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紬「はみんぐばーど」#後編 【非日常系】


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紬「はみんぐばーど」#前編
紬「はみんぐばーど」#中編
紬「はみんぐばーど」#後編




148 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 20:55:27.28 ID:PNdIIEYCo

―――

 平沢邸

唯「ただいまぁ~~~」

一同「お邪魔しまーす!」


憂「…あ、帰って来た♪」

和「丁度いい時間ね…憂、そっちのお皿はどう?」

憂「うん、フライもできたし、和ちゃんはもう座っててくれても大丈夫だよ」

和「そう、それじゃ私、向こうで待ってるわね」

純「…む~~~……先生強すぎます…」

さわ子「はっはっは! 音ゲーで私に勝とうなんて100年早いわよっ!」

和「みんな~、唯達も帰って来たし、そろそろ片付けて…」

純「さわ子先生っ! もう一回っ!」

さわ子「おうよっ! 何べんでもかかってきなさいっ!」

和「あの…2人とも聞いてる?」



149 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 20:58:41.40 ID:PNdIIEYCo

唯「ただいまぁ~♪」

律「ちーっす、みんな集まってる?」

 唯がリビングのドアを開け放つ。

 エアコンの効いた部屋からは美味しそうな香りが漂い、私達の空腹感を存分に刺激させる。

 …今日の夕飯は先日に引き続き和と憂ちゃんの合作、
 
 それはその美味しそうな香りからも、味に十分な期待が出来る感じだった。

 いや、必ずムギを連れて来るって大見得切った甲斐があったもんだな。


 …あ~、腹減った~



150 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 20:59:24.30 ID:PNdIIEYCo

憂「いらっしゃ…って…ええ??」

純「おおっ、ドレス姿にメイド衣装!」

さわ子「あらあら、まるでメイドさんに連れられたお姫様ねぇ、みんな気合入ってるじゃない?」

和「迎えに行くって言ってたけど、みんな、そんな格好で行って来たの??」

 私達の姿を見た一同が素っ頓狂な声を上げる…

 ま、普通の感覚で見れば、確かにメイド服姿の女が4人もいて、
 
 その中でキラキラの宝石類を身に付けたお嬢様がいれば…
 
 その光景はすさまじいモノになってるだろう…

 実際問題、私も今まで自分がメイド衣装姿だったことを
 
 すっかり忘れていたわけだし…慣れってのは恐ろしい。


律「んあ…髪降ろしたまんまだった…」

 慌ててカチューシャを取出し、髪を上げる私。 ふう、これで落ち着いた…


唯「と…とりあえず、うい、お着替え出してもらってもいいかな? その…5人分……」

憂「あ、うん! 分かった!」

 唯と憂ちゃんのはからいで服を出してもらう。

 若干サイズが合わなかったけど…この際我が儘は言ってられないよな…。



151 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:00:14.53 ID:PNdIIEYCo

唯「ごめんね…私達の服じゃ澪ちゃんのサイズに合わないから、お父さんのやつだけど…」

澪「いや、いきなりだったし…仕方ないよ」

さわ子「あのメイド衣装は私が何とかしとくから、あとで私のトランクにでも積んで置きなさいな」

唯「うん、さわちゃんありがとうっ」

和「じゃあ…準備も済んだことだし、冷めないうちに頂きましょうか?」

憂「そうだね…ジュースもお酒も注ぎ終わったし…えと……」

律「じゃーここは、部長である私が司会を務めさせていただきまーす!」

唯「いよっ! りっちゃんさすがっ!」

律「でへへ…えーと、本日は急な催しでしたけど、
  まさか9人もの人が集まってくれるとは思いもしませんでした」

律「思えば…私がこの誕生会を思いついたのも…」

さわ子「りっちゃん前置きが長いわよー、せっかくのビールがぬるくなっちゃうでしょー?」

梓「そうですよー、お料理冷めちゃいますよ~」


律「だー…じゃあ、主役のムギ! 何か一言!」



152 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:00:53.96 ID:PNdIIEYCo

 みんなにに促され、私は始まりの音頭をムギに委ねる。

 急に話を振られたムギだったけど、落ち着いた様子で、
 
 しっかりとした声で私達に向き合って言った…。


紬「みなさん……本日は、このような素敵なパーティーにお誘いいただき…
  まことにありがとうございます」

紬「これまで、色々なパーティーに参加してきた私ですけど…
  今日のそれは、今までのどのパーティーよりも素敵なパーティーだと思います……」

紬「本当に…本当に…んっ……っ」

唯「ムギちゃん、がんばってっ!」

憂「紬さん!」

純「ムギ先輩っ!」


 涙を堪えるムギをみんなで励ます…そして、2~3の深呼吸の後ムギは強く言い切った―――!

紬「…ぅん…っ! えへへっ…みんな…ありがとう!
  今日は思いっきり楽しんじゃおう…乾杯っっ!!」


一同「―――かんぱーーーーーい!!!!!!」


 ムギのその一言で私達のパーティーは始まった。

 私達が…ムギが本当に望んでいた…心暖まる誕生日パーティーが今、始まったんだ…!



153 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:01:33.14 ID:PNdIIEYCo

―――
――


和「部屋暗くするわね、憂、ケーキを…」

憂「うんっ! 今持って来るね~♪」

さわ子「ふふん…私もケーキ作り手伝ったのよ?」

律「すげぇ、さわちゃんケーキ作れたんだ?」

和「…先生には、ケーキの上にイチゴを乗せてもらうお手伝いをお願いしたのよ」

さわ子「あ~ん、和ちゃんそれは言っちゃダメでしょー?」

律「私の言ったすげぇを返せっ! って…前にも無かったかこのやりとり…?」



154 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:02:09.48 ID:PNdIIEYCo

 そんなこんなで憂ちゃんが大きめのショートケーキを持って来る。

 暗くした部屋にローソクの火が灯り、
 
 誕生日パーティー独特の雰囲気が私達を包み込んでいった。

憂「おもちゃのオルガンですけど、私、演奏してみますね」

さわ子「いいわねぇ、雰囲気出てていいんじゃないの?」

憂「いきます…♪」

 ~~~♪ ~~~♪

唯「はっぴーばーすでーとぅーゆー♪」

澪「ハッピーバースデートゥーユー…」

律「ハッピーバースデーディア…」


一同「―――ムギちゃーーーん!!!!」


梓「はっぴーばーすでーとぅーゆー…♪」

 ―――パチパチパチパチパチ!!!

紬「ありがとう…! みんな…ほんとうにありがとう……!!!」

唯「ほらほらムギちゃんっ! ローソク吹き消してっ」

紬「そ、そうね……えっと…すぅぅ…」



155 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:03:17.52 ID:PNdIIEYCo

 ふーっと、勢いよく息を吐きだし、ムギはローソクの火を消す。

 ―――なあムギ、お前がやりたかったパーティーって…
 
 きっとこう言う、どこの家庭でも普通にやる、そんなパーティーの事なんだよな。

 これぐらいだったらさ、私達に言ってくれれば、いくらだってやってやれるよ。

 だからもう、私達に遠慮して、自分一人で抱え込まなくてもいいんだ。

 ――そうだろ、ムギ…。


律「みんな! プレゼント持って来たよな!」

唯「もっちろん!」

梓「唯先輩、またキスとハグだけなんてオチじゃ…」

唯「ぶ~、そんなこと無いよぉ~」

律「まぁまぁ…じゃあ、まず和から!」



156 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:04:04.49 ID:PNdIIEYCo

 私はまず和に振る。

和「ええ…はい、どうぞ」

紬「わぁ…これは…?」

律「…これ、ハム?」


 そう、和がカバンから取り出したのは、
 
 達筆なフォントで書かれた『特性燻製ハム』と呼ばれる物だった。

和「ハムをね、一応美味しいって好評なのよ?」

律「あのー生徒会長、ますますお歳暮加減に磨きがかかってる気がするんですけど…」

和「あら、そう?」

 …なんか、違くないか、いいのかそれは…?

紬「和ちゃんありがとう! 美味しく頂くわねっ♪」



157 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:05:33.35 ID:PNdIIEYCo

さわ子「私はこれよ、みんなで遊べる物が良いと思ってねぇ」

 さわちゃんが革のカバンを取り出す、
 
 ジャラジャラとした音を立てて出てきたそれは、
 
 おおよそ女子高生には馴染みが薄い物で…。

律「って……これ麻雀牌じゃん! アンタはオヤジかっ!」

さわ子「えー、ダメだった?」

律「ドンジャラとかならともかくあんた……麻雀牌って…」

澪「なんていうか…相変わらずだな……」

律「まったくだ…私もこの二人のセンスだけはマネできねーよ……」

紬「私、一度でいいからまーじゃん、やってみたかったのよ…♪」

 それから、唯と憂ちゃんからはペンケースと手製のキーホルダーが、
 
 澪は可愛いぬいぐるみ、梓と純ちゃんからはゲームソフトと漫画本が送られて…


 そうそう、ちなみに私は、前にムギが好きだと言っていた駄菓子の詰め合わせをプレゼントした。

 …確かに、どれも決して高価な物ではないのだけど、それでも、ムギはとても喜んでくれていた。


 それでプレゼントも配り終え、私達のムギの誕生日パーティーは、本格的に盛り上がって行ったんだ―――。



158 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:07:06.85 ID:PNdIIEYCo

――――――――――

さわ子「ねえねえムギちゃん、あの宝石、少しだけ触らせてもらっていいかしら…?」

紬「ええ、ふふっ、どうぞー」

さわ子「いやっほう! 私、一度でいいから高価な貴金属類を身に着けてみたかったの~♪」

律「さわちゃん似てなさすぎー」

さわ子「もう、いいじゃないっ! ねえねえ、どう、私キレイ?」

唯「なんていうか…成金のおば…」

さわ子「ゆーいーちゃん? 今度の衣装危ない水着にしてもいいのよー?」

唯「す…すみましぇん…」

憂(私、それ少し見てみたいかも…)

梓「ん、憂、どうかした?」

憂「な…なんでもっ…!」


律「やっぱり、あーゆーのはムギが一番似合ってるよ」

紬「ありがとう…でも、私はもう…いらないかな…」

紬(あんな宝石よりも輝いてる物…みんながたくさんくれたんだもの…)



159 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:08:03.13 ID:PNdIIEYCo

――――――――――

梓「でもでも、あの時のムギ先輩かっこよかったです!」

律「あんな強そうなSPの腕を掴んで『彼女を離しなさい』だもんなぁ…
  なんていうか、覚醒したってああいう事を言うんだろうなぁ」

和「あら、そんなにすごかったの?」

律「そりゃもう! まぁ…でも本気で怒ったさわちゃんと澪には負けるかな…あははっ!」

澪さわ子「りーつーーーー(りーっちゃんーーー)」

律「ちょ…あれ? あーれーーー!」

澪「おでこに『肉』って書かれるのと、デコピン10連発どっちがいい?」

律「ゆ…許してくだしゃぃぃぃ!」

純「ご愁傷様です、律先輩…」

憂「あははっ…やっぱり、みんな揃ってると楽しいですねっ♪」

紬「ええ、そうねぇ~♪」



160 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:09:07.30 ID:PNdIIEYCo

 平沢邸 門前

声「…………あははっっ! ムギ腕相撲強すぎーっ!!」

声「っくぅ…教師魂舐めんじゃないわよー!」

声「ダイヤの指輪ぁ~~~~!!!! ……あへっ!?」

声「ぶいっ♪」

声「またまたムギの勝ちーー!! さわちゃんこれで20連敗だよもういーかげん諦めろって!」

声「むぅぅぅ~~~!!」

――――――――――


斎藤「如何なさいますか…奥様……」

紬母「……いえ…あれだけ楽しそうな声がしてるんですもの…私が割って水を差すのも悪いわ…」

斎藤「…心配は、無用でしたかな?」

紬母「全くね……斎藤、紬に連絡を、
   今はまだ家がめちゃくちゃなので、今日明日は帰ら無い方が良い…と」

斎藤「かしこまりました……」ピッピッピ…



161 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:10:15.04 ID:PNdIIEYCo

斎藤「………どうぞ」

紬母「…斎藤……?」

斎藤「ここは、是非奥様の口より…お伝えください…」

紬母「…そうね……。 斎藤、車を出してちょうだい」

斎藤「かしこまりました…」

―――――――――

紬『もしもし?』

紬母「つむぎ…どう、楽しんでるかしら?」

紬『はい…おかげさまで…』

紬母「ええ…それは何よりね。
   あの、今日はそちらの家にお邪魔なさい、こっちの家はまだまだ大変だしね」



162 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:11:32.30 ID:PNdIIEYCo

紬『お母様……』

紬母「もうその呼び方も止しましょ…昔のように、ママと呼んでくれて良いのよ…」

紬『お母……いえ……ママ……』

紬母「…つむぎ………」

紬『ありがとうございます……それと、ごめんなさい…』

紬母「気にしなくて良いのよ…パパもママも、今回の事で色々と考える事があったと思うしね」

紬母「改めてお祝いさせて貰うわ…つむぎ、お誕生日おめでとう」

紬『ママ…』

紬母「ほんと、立派になったわね…あんなに素敵なお友達を見つけて…」

紬母「パパも言ってたけど…今度、是非お友達を我が家へ連れてきてちょうだい、
   ママ、腕によりをかけてご馳走作るわよ?」

紬『うふふ…ママのアップルパイ、すごく美味しいですから…楽しみです…えへへっ…』

紬母「それじゃ、お友達にもよろしくね…おやすみなさい」

紬『おやすみなさい…』

 ……ピッ…

紬母「……ふぅ………っ…」

斎藤「奥様……」



163 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:12:06.53 ID:PNdIIEYCo

紬母「ねぇ斎藤……私は、紬の母として、立派だったのかしら…?」

斎藤「私めにはなんとも……ですが、今の奥様と旦那様がいてくれたからこそ…
   紬お嬢様はかのように、立派なお友達に巡り会えたものだと思っております」

斎藤「それに…私も琴吹家に仕えて10数年…今日ほど涙ぐましい事はございませんでした……。
   今宵は18年前…そう、紬お嬢様が御生まれになられた時よりも、感動しておりますよ…」

紬母「あら、あなた泣いてるの?」

斎藤「奥様こそ…目が腫れておられるのではございませぬか?」

紬母「っはぁ…使用人にこんな事言ってるようじゃ、私もまだまだね…」

紬母「帰りましょう…紬がいつ帰っても良いように…家を片付けておかなきゃ……」

斎藤「ええ……」



164 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:12:43.43 ID:PNdIIEYCo

―――
――


 深夜 平沢邸


さわ子「……くか~~zzz おっちゃんもういっぱーい!…ぐがぁ~~zzz」

澪「すぅ…すぅ…zz」

純「む~~…ほうきじゃないよぉ~私だよぉ~」

梓「だ…だれがごき…ぶりですかぁ…ムニャムニャ…zzz」

和「………zzz」

 ―――…カタッ…

 手洗いから出た私はみんなを起こさないよう慎重に布団まで戻る。

 リビングに無造作に敷かれた布団に潜り込んだ時…隣で人が起きる気配がした…。


律「……ん…? ムギ?」

紬「あ、起こしちゃった…?」

 隣にいたのはりっちゃんだった。

 起こしてしまったか、悪い事しちゃったかな……。



165 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:13:40.27 ID:PNdIIEYCo

律「…トイレか」

紬「うん…起こしちゃってごめんなさい…」

律「いいって…唯と憂ちゃんは…ああ、部屋だったな…」

紬「ええ…仲良く寝てるみたいよ」

律「まぁいいや……あのさムギ、明日…みんなで遊びに行かないか?」

紬「…明日?」

律「そ、ここにいる全員で、カラオケ行ったりボーリングしたり…
  夜まで遊び倒すんだ。 どう、楽しそうじゃない?」

紬「ええ…! 9人で遊ぶの…きっとすごく楽しいと思うわ…!」

 これまでにも、私達5人に憂ちゃんや和ちゃんを交えて遊ぶ事は過去にもあった。

 けれど、これだけの大人数で遊ぶなんて無かったから…今から明日の朝が待ち遠しいな…。


律「喜んでもらえて嬉しいよ…それじゃ、明日に備えて寝ておこう、な?」

紬「ええ…………。 ねえ…りっちゃん」



166 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:14:46.53 ID:PNdIIEYCo

 目の前にいる彼女に、私は真面目な口調で話しかける。

律「ん…どした?」

 そして、照れる感情を抑えながら、一言だけ、私は彼女に言うのだった…。

紬「…私、りっちゃんの事、大好きよ…」

律「ぶっ…お…お前、何言って…」

紬「あら、だって私達、愛し合ってるんでしょ?」

 くすりとはにかみ、照れる彼女を私は見つめる。

 暗い部屋の中でも、彼女の顔が赤くなるのがよく分かった。


律「お…お前なぁ~~……あれは、あの時の冗談で……てか、私にそんな気は……」

紬「そっか……あーあ、りっちゃんが男の人だったら、
  私、りっちゃんのお嫁さんにしてもらおうと思ったのになぁ~」



167 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:18:59.90 ID:PNdIIEYCo

律「ばかっ…」

 それは照れ隠しなのか、はた冗談にまた怒ってしまったのか、
 
 寝返りを打ったりっちゃんはそれっきりこっちを向いてくれる事は無かった。

 そして、最後に一言だけ、りっちゃんは私に向けて言ってくれた。

律「ムギ」

紬「…なーに?」

律「…おやすみ……」

紬「―――ええ、おやすみなさい…」


 ―――夜が更けていく。

 でも、明日への期待に胸が踊る私は、まだしばらく眠れそうに無かった…。

 今日は、色々な事があった…それはこれまでの退屈な毎日を、
 
 掛け替えの無い瞬間に変えてくれる一時で、何よりも素敵な1日…

 私にとっても、みんなにとっても、一生忘れられない1日……


 みんな……ありがとう…。

 瞼にこみ上げるものを感じつつ、次第に私の意識はまどろみに溶けて行った………。



168 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:19:33.55 ID:PNdIIEYCo

 翌々日放課後 部室

唯「いやぁ~~~、昨日はすっごく楽しかったよね~♪」

梓「ボーリング、あまり良い点取れませんでした…」

律「チーム戦にした時のさわちゃんのマジ顔、傑作だったなぁ」

さわ子「仕方ないでしょ…勝負ごとになるとついつい……って……痛たたた………!」

律「やれやれ、もう筋肉痛とは…さわちゃんも歳だねぇ~」

さわ子「こらっ!」

 ―――ペシッ!

律「いったぁ……」

紬「ボーリングもカラオケもゲームセンターも…私、すごく楽しかったわ…♪」

澪「ああやって、みんなで遊ぶのも良いかもな」

唯「えへへっ、そうだ、またみんなで行こうよ♪」

澪「そうは言っても唯…受験勉強やってるのか…?」

唯「…あ…………だ、大丈夫だよっ! うんっ!」

梓「本当ですか…?」



169 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:20:17.22 ID:PNdIIEYCo

律「んでさムギ、家は…大丈夫だったの?」

唯「そうだよね、あれだけ大騒ぎしちゃったから、やっぱり色々と揉めたりしたんじゃ…?」

紬「その事なんだけど、パパが言うには、もう私、パーティー行かなくても良いんだって♪」

律「へ~…って事は、許してくれたんだ?」

紬「ええ、前回の一件でパパも仕事付き合いを考えるって約束してくれたから…
  もう、私は琴吹の為に嫌な思いをしなくてもいいって…そう言ってくれたのよ」

唯「ムギちゃん、よかったねぇ~♪」

紬「ありがとう、みんなのおかげよ…」

律「そんな…でもさ、おとといからムギ、なんか雰囲気変わったよな?」

澪「ん~、なんていうか…前よりも元気になったって言うか……憑き物が落ちたって言うか…」

唯「違うよ、きっとあれが、本当のムギちゃんなんだよ…きっと……」

律「………ああ、そうだな………」

律「よーし、それじゃみんな…久々に練習、やるか!」

一同「おーーーっっ!!」



171 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:21:21.03 ID:PNdIIEYCo

 元気な声が音楽室にこだまする。

 私の放課後が始まって行く。

 窓の外を見上げると、そこには透き通る青空には大きな雲と、優雅に空を飛ぶ鳥の姿が見える。


 その鳥を見送り、私は誓う。

 みんながいれば大丈夫……どんな追い風だろうと、みんなといれば私は…乗り越えられる…。

 大丈夫…私はもう、一人じゃない。

 家には大好きなパパやママがいて…学校には、それ以上に大好きな仲間がいてくれる。

 みんながいてくれる限り、私はきっと…もっと遠く……遥かな空にだって行ける………


 だから、永遠に続かせよう、この日々を…輝きを失わぬよう、みんなで守っていこう…。

 
 私は紬…琴吹紬。


 軽音部の一員であり、仲間と共に大切な今を生きる女の子――。



172 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:21:58.64 ID:PNdIIEYCo

 親鳥に見送られ、小鳥は仲間と共に窓の外へ羽ばたきます。

 無限に広がる大空へ、歌のように透き通る小鳥の鳴き声が響きます。

 虹を越え、風を切り、雲を突き抜ける5匹の鳥。

 それぞれの顔はどれも幸せに満ち溢れ、仲間と共に…
 
 どこまでも……どこまでも……大空を羽ばたいて行くのでした……。


 おしまい



178 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 21:28:19.58 ID:PNdIIEYCo

本当はVIPにスレ立てて投下する予定だったけど、規制喰らってたのでこっちに投下。

これがSS速報に置ける長文初投下だったりしますね。

書き溜めが完成したは良いものの、それでもVIPに書き込めなかったらまた投下するかもなので、その際は是非に。


呼んでくれた方ありがとうございます、そしてお疲れ様でした…




176 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/25(月) 21:26:10.32 ID:93BNIgafo


面白かった



177 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/25(月) 21:26:26.70 ID:G+yHQZ4zo


斎藤さんマジ斎藤さん





186 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 22:13:42.37 ID:PNdIIEYCo

 某日 琴吹邸


 ムギの誕生日から数週間。

 期末試験も終えた私達は、前々から計画していたムギの豪邸に遊びに行く事となった。

 …当然だけど今回はメイドの振りをして忍び込んだわけではない。
 
 服装だってもちろん私服だしね。


律「いっやぁ……いつ見てもでっかいよなぁ~…」

 眼前に見える屋敷の規模に思わず圧倒されてしまう。

 大きな鉄製の門の向こうには綺麗な花畑が見え、
 
 庭師と思われる人が芝刈り機を器用に扱う姿が窺える。

 あの時は色々あったけど…私達もよくこんな所に忍び込む気になれたもんだよな………


唯「ほんと、お金持ちって感じするよねぇ~」

梓「私、今更ながらに緊張して来ました……」

澪「呼び鈴は…これか?」

 澪がインターホンを鳴らす。

 ピンポーンと言うお馴染みの音がスピーカーから響き、
 
 門の端に備え付けられている監視カメラが私達を捕え始めた。



187 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 22:27:35.79 ID:PNdIIEYCo

声「は~~い♪」

律「あ、あの、私達、琴吹さんの友達なんですけど…今日は…」

声「りっちゃんようこそ♪ 今出迎えをよこすからもう少し待ってて貰って良いかしら?」

律「は…はい! って、その声、ムギか?」

声「そうよ~♪」

 スピーカーから聞こえてくる声は確かにムギのものだった。

 やたらと明るいその声のトーンからも、ムギが今日のこの日を心待ちしていた事がよく分かるな…



声「お待たせいたしました」

 待つ事数分。 門の奥から私達を迎えてくれたのは、一人の執事さんだった。

執事「さあさ、日差しが強いでしょう、どうぞこちらに…」

律「はい、お邪魔しまーす…」

唯「失礼しまーす」

 ゴゴゴと言う重い音が響き、門が開く。

 まるでRPGに出て来る城の門だ。

 まさに城門とも呼べるそれを超え、私達はムギの家に入っていく…


 ……う~~ん、梓じゃないけど…ここまで丁寧にされるとやっぱり緊張してしまうなぁ…



188 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 22:36:08.58 ID:PNdIIEYCo

澪「な…なぁ律…私達、こんな格好で良かったのかな…
  やっぱり、ちゃんと正装で着た方が良かったんじゃ…?」

律「今更そんな事言ってもしょうがねーだろ? それとも、澪だけ引き返すか?」

澪「そ…それだけは…」

 涙目になる澪を諭し、私達は執事さんに連れられて庭園を歩いて行く。

唯「えへへ、憂に自慢しちゃお♪」パシャパシャッ

梓「唯先輩ったら緊張感なさすぎ…」

 唯に至っては呑気なもので、ケータイで写真を撮りまくっていた。

 …あー、あのマイペースさが羨ましいわ。


執事「そういえば、自己紹介がまだでしたな…
   私、琴吹家で執事をやっております、斎藤と申します。 以後、お見知りおきを…」

 斎藤と名乗る執事さんは私達に振り返り、お辞儀をする。

 以前ムギの家に電話を掛けた時に出た執事さんの名前も確か斎藤だったと思ったけど、この人が…。

律「琴吹さんの友達の、田井中です」


 そして私に続き、唯達も自己紹介をする。

 でも、前にあれだけの大暴れをしただけあってか、今更感があるな。



189 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 22:45:22.21 ID:PNdIIEYCo

斎藤「ええ、皆様のことはよく存じておりますよ…」

律「あちゃー、やっぱし、あれだけ騒ぎも起こせばそりゃ有名にもなってますか?」

斎藤「それはもう…琴吹家自慢のSP達の守備をを掻い潜り、見事紬お嬢様を拉致した事で有名に…」

律「んなっ? なんですと!?」

斎藤「冗談でございます」

律「って…冗談かよ!」

 笑えねえ…真面目な顔してなんて事言うんだこの人は。

 ってか、イメージと違う、この人実はこんなキャラなの?


斎藤「ですが、皆様のお話紬お嬢様より常々伺っております」

斎藤「それは先日の誕生日パーティーの折より一層伺うようになりまして…
   あれ以来、紬お嬢様の話は部活の事で持ち切りでございますよ」

唯「な…なんか照れちゃうなぁ~」

梓「ええ、なんていうか…くすぐったいです…」

澪「私達のした事、多分だけど、間違ってなかったよな…?」

斎藤「それに関しては、奥様も、そして私も思い悩んでいた事…
   ですが、それを打ち破ってくれたのが、皆様でした」

斎藤「私達はどうあがいても琴吹の人間、
   旦那様がいなければ私達の生は成り立たぬことと言っても過言ではありません…」



192 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 22:58:14.80 ID:PNdIIEYCo

 斎藤さんは遠い目でつぶやく。

斎藤「ですが皆様は、琴吹の格式や家柄などお構いなしに、紬お嬢様の為に邁進してくれました」

斎藤「そしてそれは、旦那様や私達だけではなく、来賓のお客様の心にも響いたのです」

斎藤「故に、お嬢様を縛り付けている”琴吹”という鎖は溶け、
   お嬢様は本来の素顔を取り戻すようになられました…」


斎藤「それは、田井中様や平沢様、秋山様、中野様、
   紬お嬢様のお友達がいてくれたからこそ出来た事。
   私達では、決して成し得ぬことでした…」

斎藤「皆様、先日は真に…真に、ありがとうございました………」

律「そんな…私達は…」

唯「ムギちゃんが私達を助けてくれたからです…私達は何もしてません…」

澪「むしろ、ここのお宅に迷惑かけただけかもって思って…」

梓「そうですよ、頭を上げて下さい…私達、そんなすごい事、してません」


 みんなが照れ隠しをする。

 こんな年上の人に頭を下げて感謝されるなんて…生まれて初めてのことだった。



193 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 23:12:23.59 ID:PNdIIEYCo

 庭園を超え、玄関へ着く。

 以前はガードマンに止められて誤魔化したけど、もうそんな事をする必要もない。

 そして、ギギギ…と言う音を立て、その大きな扉が開け放たれた…。


 空調が効き、大理石のタイルが敷き詰められた玄関からは微かにハーブの香りが漂い、
 
 改めてウチら庶民の家とは違うんだと言う事を実感させる。


紬父「ようこそ! みなさん、暑い中お疲れ様でした!」

紬母「あなたったら…ようこそ琴吹家へ、お待ちしておりましたわ」

 玄関口から私達を出迎えてくれたのは、ムギのおとうさんとお母さんだった。


 こうして2人を見ると、ムギがこの家の子供なんだと言う事がよく分かるな。


 お父さんはとても風格があり、でもそれは威圧感とは違う…そう、威厳があるって言うのだろう。
 そして、その大きく太い眉毛が、目の前の男性がムギの父親なんだと言う事を存分にアピールしていた。

 お母さんもそうだ、整った顔立ちにムギそっくりのウェーブがかかった綺麗な金髪と、
 包み込まれるようにおっとりとした優しい雰囲気が。 
 こう見ると、ムギはお母さん似なんだと言う事がよく分かる。

 『この親にしてこの子あり』って言うのは、まさにこの事を言うんだろうな。



194 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 23:23:42.07 ID:PNdIIEYCo

紬父「よくぞお越しくださいました、ささ、荷物を持たせますので是非中へ!」

 おじさんの呼びかけに奥からメイドさんが駆け付ける。

 みんな最初は遠慮したけど、その圧倒される雰囲気に飲まれ、つい荷物を手渡してしまった。


律「すみません…お…お邪魔しまーす」

一同「お邪魔しまーす!」

 挨拶を済ませ、私達は屋敷に入っていく。

 廊下やエントランスの端には見た事もない美術品が所狭しと並んでいる…

 それぞれが、海外の美術の教科書でしか見た事

 …てか、以前着た時こんなのあったっけ?



195 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 23:32:27.61 ID:PNdIIEYCo

澪「律…あれ…」

 澪が端を指差す、そこには眉唾物のお宝の数々が…!


律「うお、あれ、キースの生写真じゃん!」

唯「あー、あの人の持ってるギター、ギー太だ♪」

澪「ジミー・ペイジだな、あっちには…わぁぁ!! ビートルズのレコードもある!」

梓「あのレコード、もう絶版でどこにも売ってないやつじゃないですか!!」

紬父「はっはっは、私の自慢の一品ですよ、よろしければ是非見てってください!」


 さすが、音楽関係の社長の家だ…。
 
 今日ここに来なければ、一生かかっても拝められないお宝がザクザクあるな…

 軽音部員としての血が騒ぐ、あああ、もっと近くで見てたいなぁ~♪


律「梓、澪、唯…あとで、もっと見せて貰おうよ…な?」

梓「勿論です!!」

澪「ジャコ・パストリアスのブロマイド…写メでいいから映せないかな…」

唯「なんか不思議、ここにはギー太の兄弟がたくさんいるんだねぇ~」



196 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 23:45:07.22 ID:PNdIIEYCo

紬母「こちらにどうぞ…」

 おばさんの案内で私達は一つの部屋の前で立ち止まる。

紬父「他のお友達もお集まり頂いてますよ」

律「………他のお友達?」

 そのフレーズに疑問を抱きつつも、私はがちゃりとそのドアを開ける。

 そこにいたのは…まぁ、意外っちゃ意外なメンツだった


憂「このお菓子美味しい…♪ レシピ教えて貰って良いですか?」

純「~~♪ ~~♪ っっくううう!!
  まさかこのCD聞けるなんて…私来てよかった~~!!」

和「この本面白いわぁ、2~3冊借りてこうかしら?」

さわ子「…ん~~、これがヴェノア…素敵な味わいねぇ~」


 ある人はソファーで、またある人は椅子に座り、
 
 私達よりも先に着いてたみんなは、既にくつろいでやがったのだ。

律「ってえ!! なんでみんないんのさ!」

唯「あれ? 憂?」

梓「純まで、どうしてここに?」

澪「和に先生まで…みんな来てたのか??」



197 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 23:53:47.07 ID:PNdIIEYCo

声「私が招待したのよ、せっかくの機会だしね…♪」

 奥からムギが姿を見せる。


唯「みんな誘われたのなら一緒に来たのにぃ~」

憂「ごめんね、私もついさっき紬さんに誘われて…」

さわ子「いきなり電話で起こされから何事かと思ったわよ、
    外出たら、マンションの前に大きなリムジンが停まってるんですもの…」

和「それで、私達も来ることにしたのよ…
  まぁ、いきなりで驚いたけど、貴重な体験をさせて貰ったわ」

純「家出る時、お母さん腰抜かしてました、あははっ」


 そりゃまあそうだろう、普通の家の前にリムジンが停まったら、誰だって驚きもする。


律「ま、いつものメンツって感じだねぇ」

唯「ムギちゃん、今日は家に誘ってくれてありがとう♪」

梓「私、今日すっごく楽しみでした♪」

澪「おみやげ持って来たんだ、良かったら後で食べてくれ…駅前で買った安物だけどさ」

紬「私の方こそ来てくれてありがとう、今日もいっぱい楽しみましょ♪」



198 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/25(月) 23:58:37.39 ID:PNdIIEYCo

そして、全員が集まった所でおじさんが私達に向かって話し始める。


紬父「みなさんお集まり頂きありがとうございます!
   紬の親として、皆様のような素敵な方々と巡り会えたこと、光栄に思いますぞ!」

紬「パパ、堅苦しい話はよしましょ?」

紬母「そうですよあなた…今日はいつものようなパーティーじゃないんですから」

紬父「っと…これは失礼…、それではみなさん、我が家だと思って存分に遊んで行って下さい!」


 そして、私達は各々自由行動に移る

 さて、何して遊ぼうかなぁ~~~♪



199 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 00:08:03.93 ID:CsR5sUtXo

憂「紬さん、あの…厨房見せて貰ってもいいですか?」

紬「ええ、構わないわよ?」

憂「えへへっ、ありがとうございます♪」

 憂ちゃんは分かりやすい、こんな屋敷の厨房なんて

 これでまた、唯の夕飯に美味しいメニューが一つ加わるんだろう…
 
 そう考えると、羨ましい話だった


和「書庫とかもあるのかしら? もし良ければ、本を見せてもらいたいのだけれど…」

紬「ええと、今メイドに案内させるわね」


梓「ねえねえ純、あとでおじ様のコレクション見に行かない?
  すっごいレアなのいっぱいあったんだ」

純「うんっ! 行く行く~♪」


唯「澪ちゃん、さっきギー太を持ってた人の曲ってどれ?」

澪「レッド・ツェッペリンか…あああった、これだよ」

唯「へぇ~……私もいつか、こんな演奏できるようになるかな?」

律「練習すれば、いつかはなれるさ」

唯「うんっ! 私、この人を目標にする! ふんすっ!」

律「だ~ったらもっと練習して、かっこいい演奏できるようにならなとな?」



200 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 00:18:24.87 ID:CsR5sUtXo

さわ子「そう言えばムギちゃん、あの麻雀牌は使ってるの?」

紬父「おお、あの牌は先生の物でしたか!」

さわ子「ええ、すみません、ほんの冗談のつもりだったんですけど…」

紬父「いえ…私も紬もあの類のゲームには目がなくてですな…
   いや、紬が打てるようになった暁には、卓を囲もうかと思っていたのですよ」

紬「前にパパと一緒に執事たちとやらせて貰いましたけど…
  私、漢字の牌しか集まらなくて…あれが普通なんですか?」

紬父「っはっはっは、さすがに初戦から四暗刻と大三元を上がるとは思わなかったわ、
   執事達の驚いた顔が忘れられんかったぞ!」

紬「すーあんこー?」

さわ子「それ役満よ、あなた…」

紬「やくまん?」

 さすがムギ、福引で特賞を引き当てる引きの強さは伊達じゃなかったようだ。



―――
――


 おだやかな時間が過ぎて行く。

 最初は緊張しっぱなしだったけど、みんなと一緒にいるうちに、
 
 私はいつの間にか、ここがお金持ちの屋敷にいるんだって事をすっかり忘れていた…。



201 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 00:25:57.16 ID:CsR5sUtXo

 唯、澪、梓、純ちゃんらと一緒におじさんのコレクションを見ている時の事。


メイド長「あら、あなたは?」

律「あ、お邪魔してま~す」

メイド長「こちらこそ、先日はどうもね~」

澪「いえ、あの時はその…」

メイド長「いいのいいの、メイドの顔も把握してなかった私も悪かったし、
     今はお嬢様も幸せそうで何よりですよ」

メイド長「それよりも、あの時はみんな筋が良かったわよ?
     もしも働き先に困ったらいつでも言って。
     みんな私が鍛えてあげるわっ、一流のメイドとして…ね♪」

律「あははは…その節は是非お願いしま~す」

 …早くも就職先確保かなこりゃ。 就職難に困ったらムギに相談してみようかな…。



202 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 00:38:10.58 ID:CsR5sUtXo

唯「………………ギー太…」

紬父「おや、平沢さん、いかがなさいましたか?」

唯「…あ、あの、このギター、私のと一緒だなって思ってまして」

紬父「それは、レスポールですか、そう言えば平沢さんが軽音部で使ってるギターも確か…」

唯「…はいっ、これと一緒なんです」


唯「あの、おじさん…」

紬父「…どうかなさいましたか?」

唯「私、最初軽音部に入ってこのギター買ったとき…
  その、お金が足りなくて、ムギちゃんに値切って貰ったんです」

紬父「…ええ、よく存じております」

唯「…負けて貰った分は、私、大人になってお金を稼ぐようになったら、必ずお返ししますっ!」

唯「だからそれまで、ギー太は大事にしますから、もう少しだけ、待ってて貰っても良いですか?」

紬父「…そんなに気を使って頂かなくとも良いのですよ?」

唯「ううん…やっぱり、そんな事できません」

唯「受けた恩は必ず返さないといけないって思うし、それにギー太にだって悪いから…」

唯「だから、お金が溜まったらちゃんと買って、
  ギー太を弾くのに相応しいギタリストになりますから、それまで待ってて下さいっ!」

紬父「………ええ、分かりました、その日を、いつまでも待っていますよ」

紬父「…娘は幸せですな…このような心の綺麗な友人に囲まれて、本当に親として鼻が高いですよ…」



203 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 00:49:04.05 ID:CsR5sUtXo

 どれだけの時間が経っただろうか。
 
 色々見て回ってから、ムギのお母さんがアップルパイを焼いてくれたと言うので、
 
 私達はテラスに集まったんだった。


紬母「腕によりをかけて作ったわ、宜しければ是非召し上がってください」

 大き目の皿に乗ったパイからリンゴの香ばしい香りがする。

 ムギが入れてくれた紅茶も用意され、
 
 今日のティータイムはいつも以上に華やかなお茶会になりそうだった。


憂「あ、私もいくつかお菓子作ってみました、良かったら召し上がってください」

 憂ちゃんが持って来た皿にはこれまたたくさんのクッキーとパンケーキが。

 いかん……よだれが……。


紬「憂ちゃんごめんね? わざわざ作って貰っちゃって…」

憂「そんなとんでもない…私、あんなに素敵な厨房でお料理出来て、すごく楽しかったですよ♪」


紬母「手際の良さにメイドも感心してたのよ、
   ねえあなた、もし卒業したらうちでメイドとして働かない?」

憂「ありがとうございますっ! でも、私がいなくなったらお姉ちゃんが…」

律「あはははっ! まぁ、確かに憂ちゃんがいなくなったら唯が3日持たずに餓死するな」

唯「もー、私だってごはんぐらい作れるんだよ? …そりゃ憂ほど上手には出来ないけどさぁ~」



204 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 00:59:32.30 ID:CsR5sUtXo

梓「…でも、今日は来てよかったです♪」

純「好きなジャズたくさん聴けて…こんなにおいしいお菓子食べれて…夢みたいだよね」

澪「でも夢じゃない…ムギがいてくれたら、私達は今日ここに集まれたんだ」


律「考えてみればさ、ムギがいなかったら今の私達って成り立ってなかったんだよな」

澪「ああ、ムギがいなかったら部員も集まらなかった」

唯「私も、ムギちゃんがいなかったらギー太にだって出会えなかったのかも知れないね」

律「放課後ティータイムの『ティータイム』って単語すら無かった、
  ムギがいなかったらお茶会も無かったわけだから、きっと違うバンド名だったかもしれないよな」

梓「きっと、合宿だってできませんでしたね…先輩がいなかったら練習とか、どうなってたんだろ?」

さわ子「作曲だって大変だったでしょうねー、
    きっと、この世に澪ちゃんの歌詞にあんなに綺麗な曲を乗せれるのは、
    世界でもムギちゃんだけだったでしょうからねぇ」


純「そう考えるとムギ先輩って、軽音部には絶対いなくちゃならない存在なんですね~」

紬「みんな………」

紬母「みなさん、娘の為にそこまで…ありがとうございます」

紬父「本当に…本当になんとお礼を申し上げれば良いものか…」



205 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 01:06:50.77 ID:CsR5sUtXo

唯「お礼なんていいですよ、
  私達は、私達の気持ちでムギちゃんのお友達になったんだもん、ねームギちゃん♪」

紬「…うふふっ、でも、本当にみんなには感謝してるわよ」

紬「それに…ここにいる誰一人が欠けても、今の私達は成り立ってなかったと思うの」

紬「だから、ここにみんなが集まってくれたのも、私だけじゃない…みんながいてくれたからなのよ…」

律「へへへ、今日はムギが美味しいとこ持ってくのかぁ?」

和「律、茶化さないの」

律「ああ、悪かった悪かった」


紬父「でしたら…折り入ってお願いがあるのですが…
   みなさん、その演奏、是非私達にもお聴かせ願えないでしょうか?」

紬母「考えてみれば私達はまだ、皆さんのライブをまだ一度も見た事が無かったのよね」

紬「わぁ…! それいいかも! ねえみんな、ここで演奏してかない?
  私やりたい! パパとママに、私達の演奏、聴かせてあげたい!」



206 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 01:16:26.36 ID:CsR5sUtXo

唯「でもでも、私達、今日楽器持ってきてない…」

紬父「それはご安心を…こういう事もあろうかと、倉に一通りの楽器は完備しております」

紬母「当然すべて調律済みで、いつでも演奏できるようになってますわ」


律「て事は、すぐにでもライブできんじゃん♪」

唯「じゃあ、やってみようかな…♪」

さわ子「ここにあるって事は、当然どれも超に超が付く一級品でしょうしねぇ、
    滅多にない機会だから、触らせてもらうといいんじゃないの?」

さわ子「みんな本場中の本場、それも最高級の一品の楽器………か…。
    あの、せっかくだし私も良いでしょうか?」

純「あ、私も弾いてみたいかも…」

紬父「ええ! それはもう、こちらからもお願いします!」



和「じゃあ、私と憂は観客としてみんなの演奏、聴いてるわね」

憂「うんっ! みんな、頑張ってね♪」

唯「えへへ…ムギちゃんのお父さん、ありがとうございますっ♪」


 そして、私達はホールに場所を移す。

 手慣れた執事さん達のお陰とみんなで手伝った事もあって、
 
 舞台のセッティングにさほど時間はかからなかった。



207 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 01:31:27.76 ID:CsR5sUtXo

 琴吹邸 楽器庫

紬「ここが琴吹家自慢の楽器庫よ、みんな好きなのを選んでね♪」

 ムギの案内で通されたそこは『楽器庫』と呼ばれる所だった。

 体育館並の広さのそこは24時間体制で空調が完備されており、
 
 毎週専門のスタッフを雇っているお陰で、
 
 常に最高のコンディションで楽器が保管されてると言う事だ。

 中にはグランドピアノやらバイオリン、ハープやらのクラシックに使用される楽器から、
 
 琴や尺八、三味線と言った和楽器まで完備されており、
 
 まさに世界中の楽器がそこに存在してると言っても良いくらいだ。

 そして、その一角に、バンド演奏に使われるギターやベースの保管スペースを見つけ、みんなでそこに向かう。

 これだけの広さの倉庫に、これだけ多種多様な楽器を置いておけるとは…
 
 つくづくお金持ちの凄さを思い知らされる…。


唯「ん~、こっちのギー太も可愛いねぇ~」ジャンジャン…♪

澪「レフティのベースがこんなにたくさん…ここは天国だなぁ…」

純「ああぁぁ、もうどれにしようか悩むなぁ~~~」

律「私の中古のやつよりも何倍も高級な奴だぞこれ…こんなの本当に使わせて貰っていいのか…?」

さわ子「ん~~、この手に馴染むフィット感…昔の血が騒ぐわねぇ~♪」

梓「ムスタングムスタング…あ、あった……これです! やっぱりムッタンが良いです♪」

律「私も、手に馴染むしHipgigにしよう…って、結局みんな変わってないのな」

澪「そうだなぁ~」

律「ま、みんな馴染んだ奴が一番だよな…」



208 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 01:43:02.75 ID:CsR5sUtXo

だあああ失礼、楽器庫に立ち寄った後にホールへ向かったと言う事にしてください…


 楽器庫で選んだ楽器を運んでもらい、私達はホールに場所を移す。

 セッティングに手慣れた執事さん達のお陰とみんなで手伝った事もあって、
 
 舞台のセットにも、さほど時間はかからなかった。


 琴吹邸 ホール


 ―――ワイワイ…ガヤガヤ……

 舞台袖からホールを見回す。

 おかしいな…いつのまにこんなに客が来たんだ?

律「あのぉ…ムギさん、これは一体…」

唯「すごい数…私、こんな人数初めてだよ……」

澪「き…ききききききんちょ緊張ししししててててててて………!」ガクガクガクガク!!

梓「澪先輩! お…落ち着いて下さい!」

紬父「いやぁ、せっかくだったので屋敷にいる全使用人を呼んでみたのですよ!
   そしたらほら、この数で…はっはっは!」

紬「ざっと見て80人前後はいるわねぇ~、SPも呼んだらそれぐらいになっちゃったのよ♪」

純「って、防犯とかどーするんですか?」

斎藤「そこはご安心を…
   セキュリティレベルを最高のSレベルにしておきましたので、ネズミ一匹敷地内には入れませんよ」

律「いや…それどんだけですか………」



209 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 01:52:17.92 ID:CsR5sUtXo

紬父「では、私も…」

紬母「みなさんの演奏、楽しみにしてますわ…♪」


 そして、私達7人を残し、おじさんとおばさんは席へと下がって行った。

 過去にやったライブのどれよりも大きな緊張感が場を包む…。

 私も柄にもなく手が震える…、あああ~、こんなキャラじゃないのになぁ…


さわ子「とーにかく! こうまで行ったらもう退けないわよ、
    私と純ちゃんも協力するんだから覚悟決めて行くの、いい?」

 さわちゃんがみんなに喝を入れる。 こういう時、大人の存在は頼りになるものだ。


さわ子「ほらりっちゃんも! 部長がそんなんでどうするの?」

律「……………………」

 まぁ、さわちゃんの言う通りだ……。

 ここで私がうろたえてたら…誰がみんなを支えるって言うんだよ…!


唯「…りっちゃん……」

梓「律先輩……」

 みんなが私を見つめる……。

 それは期待の証。 軽音部のリーダーとして、私の声をみんなが待っている…



210 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:00:41.54 ID:CsR5sUtXo

律「うっし……じゃあ、みんな!!! やるぞ!!!!」

唯「うんっ!」

梓「やってやるです!!」

澪「……………やっぱり私…」

律「澪っ! 私達はいつか武道館で何千人って言う観客を相手にする夢を掲げてるんだぞ?
  こんな事で怯えててどーするってんだよ!」


澪「………………」

紬「澪ちゃん、終わったら、おいしいお茶を飲みましょう…ね?」

澪「……………うん、そう、だな……」

唯「澪ちゃん…!」

純「私、澪先輩と一緒に演奏するのに憧れてたんです、一緒に、頑張りましょう!」

澪「ああ…そう…だよな!」

律「よし、それじゃもう一息だ…あのさ、さわちゃん、言葉を借りていい?」

さわ子「……言葉?」

律「ああ………お前らと演奏出来て…私はサイッコーーーーーの気分だぜええええ!!!!」

さわ子「…っぷ……もう、気迫が足りないわよ…?」



212 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:06:42.61 ID:CsR5sUtXo

さわ子「本場のシャウトってのは、こーゆーもんよ………!!!」

 さわちゃんが大きく息を吸い込み…怒声と共に私達の心を揺さぶる…!


さわ子「オメエラァァァ!!!!!
    今日は死ぬ気で行くぞおおおおおおおっっっっっっ!!!!!!!!!」

一同「オオオオオーーーーッッッ!!!!!」

 さわちゃんの声に全員のボルテージが最高潮に高まって行く……!!

 今だ、この勢いに任せて行くんだ……!!


律「ああ! 行くぞみんな!! 私達が…放課後だぁぁぁぁぁぁーーーっっ!!!」

一同「オオーーーーッッ!!!」


 掛け声とともに私達はステージに躍り出る。

 そして、私達のライブが今、始まりを告げた………!



213 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:12:12.44 ID:CsR5sUtXo

唯「ムギちゃんの家のみなさんこんにちわ!! 私達が、放課後ティータイムです!」

 ―――ワーワーワーワー!!

執事「あれが紬お嬢様のお友達かぁ」

メイド「可愛い…紬お嬢様が羨ましいわぁー!」


 そして恒例通り、唯の司会でライブは盛り上がりを見せる。

唯「いつもは5人なんですけど、今日はなんと、純ちゃんとさわ子先生も来てくれました!」


さわ子「本日はよろしくお願いしまーす♪」

純「が…頑張りまーす!」



憂「純ちゃん! 先生! 頑張ってくださーい!」

和「みんなー、すごくかっこいいわよー!」

斎藤「ほっほっほ…私も、若い時を思い出しますなぁ」

紬父「いつだったか、母さんと行ったライブを思い出すな…」

紬母「2年目の結婚記念日でしたねぇ、あれは…」

紬父「ああ、確か、そうだったな…」



214 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:22:27.10 ID:CsR5sUtXo

 そして、メンバーの紹介を終えた唯は曲目を告げる。

唯「じゃあ、まずは有名なのから行こうかな…まずは、『翼をください』!」

 それは純ちゃんがいる事を考慮してだろう、比較的楽な曲を選んだ辺り、気が利いているな…

 そう、今回は予定を立てる時間もなかったうえに、
 
 軽音部じゃない純ちゃんがいる影響で、いつもの演奏ができない現状なのだ。

 でもそれは純ちゃんの存在が邪魔ってわけじゃない。 むしろ逆。

 純ちゃんの存在が…私達の演奏に色を立てる…
 
 一つでも多くの音が重なる事で…私達の音楽は…より一層の輝きを増すんだ……!

――――――――――

澪「彼女のフォローは私がやる、だから唯、お前はお前のやりたい曲を言ってくれ…
  それに私達は全力で応えるからさ…」

純「すみません……私が足引っ張って…」

梓「違うよ、純」

純「…………あずさ…」

唯「純ちゃん、演奏ができなくてもいいんだよ…
  大事なのは…『私達が純ちゃんと一緒に演奏する事』…それなんだよ……!」

純「唯先輩…ありがとうございます!」

――――――――――

唯「~♪♪…わんつーすりーふぉー!」

 ドコドン…ジャラララーーン……♪

 演奏が始まる…休日に開かれる私達の放課後が…今、幕を開けた……!!



216 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:31:57.05 ID:CsR5sUtXo

 ~~~♪ ~~♪

唯「つばさーはためかーせーーー♪」

一同「行ーきーたーいー♪」


 ――――ワーワーワー!!


 一曲目を終え、会場から大量の拍手が巻き起こる。

 一曲目を無事終え、続いて2曲目…


澪(純ちゃん、なかなかだった、全然大丈夫だったよ?)

純(…えへへ…ありがとうございます!)

梓(純、次ふわふわ時間はどう?)

純(うん、それなら大丈夫、家で何回も聴いてたから…やれると思うよ!)


 唯が司会で時間を繋ぎ、その間に私達は何を演奏するかを決める…

 それは打ち合わせでもなんでもなく、即興で決まった流れ、いわばアドリブだ。

 そのアドリブを難なくこなし、私達の息は完全に一つになる…!

 阿吽の呼吸、いや、もはやシンクロと行っても良いぐらいだ……


 そうだ…私達は、ここまで完璧になれるんだ…それが、私達放課後ティータイムなんだ……!!



217 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:36:55.05 ID:CsR5sUtXo

梓(唯先輩……!)

 梓が唯に合図を送り、唯が演奏の準備に入る。

律「じゃー次、ふわふわ時間!! ワンツースリー!」

~~♪ ~~♪

 私のリズムに合わせ、唯、梓、さわちゃんのギターが音色を奏でる…

 それに合わせるようにドラムが、ベースが、キーボードが音を奏で、
 
 その音が徐々に一つになって行く……。


澪「キミを見てると…いつもハートドキドキ♪」

唯「揺れる思いはマシュマロみたいにふーわふわ♪」

梓「いーつもがんばるー♪」

純「いーつもがんばるー♪」

―――♪ ――♪


 ライブは続いて行く…

 私達の放課後が……続いて行く………。



218 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:44:23.18 ID:CsR5sUtXo

 …それから4曲もの演奏をやり切り、
 
 2回のアンコールに応え、私達のライブは終わったんだった……。


唯「いっやぁぁぁぁ……なんとかなったね~♪」

紬「みんな、お疲れ様…♪」

澪「アドリブ…なかなかだったよ…」

律「唯も、だいぶライブ慣れしたんだな…すげーよ、お前ってやつはさ」

さわ子「みんなよく頑張ったわね、私も鼻が高いわよ

純「っっく…うん…私…わた…し……!」

梓「純もお疲れ様、すごかったよ? 純の演奏、私達と息ぴったりだった…」

澪「ああ、ほとんどフォローが必要なかった…さすが、厳しいジャズ研で鍛えられてるだけあったよ」

純「あずさぁぁ…みおせんぱい…ありが…ありがとぅ…ございます…ぅぅうっっ……!」


 それは嬉し涙だろう…純ちゃんの涙は、とても輝いていた…。

 私達に付き合ってくれた事に、私自身も、感謝の気持ちしか出てこなかった…。



219 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:50:53.41 ID:CsR5sUtXo

紬父「みなさん…お疲れ様でした…! 不覚にも感動してしまいましたよ…」

紬母「みなさん、紬…最高のライブをありがとう…私達、幸せです…」

紬「パパ…ママ…」

憂「お姉ちゃん! 純ちゃん! 梓ちゃん! 紬さん! すごく…すごくかっこ良かったよ!」

純「憂…うんっ! 私達、やったよ!」

和「澪も律も先生もお疲れ様です、みんなお疲れ様…素敵だったわよ」

澪「和、ありがとう…!」


唯「やったね、ムギちゃん!」

紬「…うんっ!」

律「へへっ、放課後ティータイム…大 成 功 !! だよな?」

紬「ええ…もちろんよ!」

さわ子「みんなと演奏出来て、私も楽しかったわよ♪」



220 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 02:57:41.61 ID:CsR5sUtXo

紬「パパ…ママ…これが、私の仲間です…」

紬「これが、私がこの学校で見つけた、宝物です…」

紬父「ああ…よく伝わったぞ……紬、よくやった」

紬母「あなたの親で、私達も鼻が高いわ…」

紬「パパ…ママ……っ!」

 泣き声と共にムギが両親に抱きつく。

 照れも恥じらいもなく親と抱き合うその姿を見て、思わず面食らったけど…。
 
 何故かその光景はとても綺麗なものに見えた…。



唯「なんか…邪魔しちゃ悪いね…」

律「そーだな…私達は一足先に行ってるか…」

梓「ですね…」


 そして私達は一足先に舞台袖を抜ける。

 振り返った時のムギの涙は、純ちゃんをそれとは違う輝きに満ちていた……

 ―――よかったな…ムギ…



221 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 03:05:50.96 ID:CsR5sUtXo

 そして、メイドさんたちが腕によりをかけて振舞ってくれた夕食を堪能し、
 
 日もすっかり落ちた頃、私達は帰る事になった。


唯「じゃあムギちゃん、今日はありがとう、また学校でね♪」

澪「おじさん、おばさん、素敵な時間をありがとうございました」

律「また、落ち着いた時にでも遊びに来るよ、みんなでさ」

紬「ええ…またいつでも遊びに来てね? 待ってるから」


紬父「みなさん、今日は本当にありがとうございました…」

紬母「素敵な休日でしたわ…これからも娘の事を、よろしくお願いします…」


純「じゃあ…私達はこれで、ムギ先輩、ありがとうございましたー!」

梓「おじさん、コレクション、また見せて下さい♪」

憂「おばさん、またレシピ教えてください、私、楽しみに待ってます♪」

和「じゃあ、私達はこれで…おやすみなさい」


紬父「ええ…今後も、娘と仲良くしてやって下さい…」

紬母「みなさん、また遊びに来てくれる事、心よりお待ちしてますわ」

紬「みんな、またねっ♪」

 手を振り、さよならを告げる3人に向かい、私達はムギの家を後にする。

 そして、門の前で停まっていた車にお邪魔し、私達はそれぞれの家路に着いたのだった…



222 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 03:12:19.47 ID:CsR5sUtXo

――――――――

紬「行っちゃった…」

紬母「ねえ紬」

紬「…はい?」

紬母「今日は、ママと一緒に寝よっか?」

紬「そんな…もう18歳なのに?」

紬父「たまにはいいじゃないか…そう、子供の頃のように、親子3人で…な?」

紬「………ええ……それじゃ、今日ぐらいは…3人で…」

紬父「はははっ、まさか、この歳になって娘と一緒に寝られるとはな…」

紬母「もうっ、あなたったら…うふふっ♪」

紬「あははっ…あははははっ♪」

紬父「はっはっはっはっは……♪」


 暖かい笑い声が響きあう…。

 そこに少し前まで感じていた窮屈さは無く、ありのままの家族の姿があるだけだった……。

 彼女達は、私を救ってくれただけじゃないんだ……。

 みんなは、家の確執に囚われていた…パパとママも…救ってくれたんだ………。



223 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(千葉県):2011/07/26(火) 03:19:43.08 ID:CsR5sUtXo

 みんな、大好きをありがとう。

 みんなが大好き とっても大好き…

 そしてその大好きは、みんなだけじゃない…パパとママにも言えるんだ。


 最初は嫌っていた琴吹って名前も好きになれた……。 むしろ、今では誇りすら持つことが出来た。

 それ全部、全部みんながいなければ始まらなかったこと。

 みんな……ありがとう……


 両親に囲まれた布団の中で…両親の温もりを感じながら…

 私は、一番の幸せに包まれていきました……




紬「はみんぐばーど」 アフター

おしまい




225 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/26(火) 04:35:35.57 ID:iGwdrPgzo


面白かったよ



227 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/07/26(火) 08:54:46.10 ID:/VHmpJyZo


よかったぜ






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紬「はみんぐばーど」#後編
[ 2011/10/26 21:33 ] 非日常系 | | CM(2)

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タイトル:
NO:6535 [ 2012/05/30 21:01 ] [ 編集 ]

すっごくいい話だった!個人的に「やっぱ軽音部って最高だぜ」や「さようなら」などの他のssにも負けず劣らずの感動をした話だったしそれらのお話よりも好きだ

タイトル:
NO:6563 [ 2012/06/03 22:20 ] [ 編集 ]

「軽音部を辞めることになりました」同様このムギちゃんすごく好きだったな。やっぱり権力に執着するムギはムギじゃないぜ。権力等に執着しないのが僕の知ってる琴吹紬だ。

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