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唯「短編だよ」#唯「仮面のわたし」 【非日常系】


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18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 12:58:41.36 ID:9pEjc62o0

唯「仮面のわたし」



 不機嫌な顔の彼女が大好きだ。なんて、勿論コレは強がりだ。
 本当は笑ってほしい、心から。
 
 けれどもそれはないだろうからせめて、きつい言葉も嫌な顔も好きになってやるんだ。
 それが彼女への復讐。ま、逆恨みだけどね。





19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:01:30.94 ID:9pEjc62o0



 重なった唇に戦慄した。自分から仕掛けたこととはいえ、震えが止まらない。
 けれどそれは勿論自分の心の中だけであって、
 彼女からすれば普段となんら変わりない私に見ただろう。
 いや、それ以前に彼女には私の顔を見る余裕など無かったと思うけれど。

「うわあ、いま唇付いたねえ」

 どうでもないことのように口に出せば、彼女ははっと体を震わせ、私を睨んだ。
 それからまるで見せ付けるかのように口を拭い、彼女の制服の裾を掴む私を投げ捨てた。



20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:03:37.80 ID:9pEjc62o0



 別に本当に巴投げされたわけじゃあない。ぺっ、と引き剥がされただけだ。
 それでも私は存在ごと捨てられたような気分になった。そしてお決まりの文句。

「あなたが嫌いです」

 知ってらあ、そんなこと。
 それともなにか、私のことを会うたびに言われないと
 覚えていられないほどの白痴だと思ってるとでもいうのか。

 彼女の言葉に眉を下げて、私は情けなく笑った。
 視界の端で揺れる花が無残に手折られる妄想をしながら。勿論、折ったのは私じゃない。彼女。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:09:27.65 ID:9pEjc62o0

「そんなあ、ひどいよ、あずにゃん。それにさっきのは私だけのせいじゃないじゃんかあ」

「そうです、だから苛々しているんです」

 本当に忌々しそうに彼女が言う。
 自分の失態と、私と。彼女の嫌なものが二つ仲良く並んでしまったのだから仕方ない。
 口元を思い切り歪め、拳を震わす。彼女のこんなとことろ、好きだ。



22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:14:29.23 ID:9pEjc62o0

 平生彼女は自分の弱みを他人に見せることを好かない。
 他人というのは、自分の他、の意味だ。
 敬愛する先輩であろうと、好意を向けるクラスメイト――私にとっての妹――であろうと、
 いやむしろそうであるからこそ、強く自立した人間に思われたいのだろう。

 周りに負けないよう精一杯に背伸びをしている彼女を見ると、なんだか妙な気分になるのだ。
 なんともいえぬ、絶妙な。
 そう、俗な言葉でいえば、そそられる、とでもいうのか。



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:17:56.28 ID:9pEjc62o0

 でも、今自分の前にいる彼女のほうがもっと素晴らしい。
 いつもの生意気だけれどどこか可愛らしい雰囲気はどこへやら、
 あからさまな敵意をこちらに向け、一方で自己嫌悪に打ちひしがれ。
 こんな姿、他に誰に見せているっていうんだろうか。
 そのことについて彼女の自覚を問いたい。

「もういいです、急いでいるので。用事がないならどいてください」

「ええー、つれないなあ、そんな」

「とにかく私はもう行きます。先生に呼ばれているので。じゃあ」



24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:21:45.06 ID:9pEjc62o0

 去っていく後ろ姿に「さわちゃん先生なら、今はうちの教室のへんにいるよ、たぶんー」と叫ぶ。
 何の反応も無かったが、その足取りは三年の校舎へ向かっていた。
 一応信用はするのか。まあ、そんなこと疑るほうがおかしいか。
 いくら私が相手でも。

 どうせならば嘘を教えてみるんだった、と頭の片隅で考え、仕方の無い自分に笑った。
 唇を人差し指でなぞる。
 先程のことを思い出したら体が熱くなった。



27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:26:30.86 ID:9pEjc62o0

 彼女が私に厳しく接する理由は、
 自分と正反対だからとか、人に余計な手間を掛けさせるからだとか、
 それでいてへらへらしているのが気に喰わないからだとか、
 思い当たるものを挙げればきりが無いけれど。
 実際のところ、考えても無駄だ。

 何故そこまで嫌悪するのかなんて、そんなことはわからない。
 とにかく好きではないのだ。そしてそれはこれからも変わらない。

 きっと彼女の中に、私を好きになる、なんて選択肢はないのだ。
 そんなことは彼女を構成する何かを壊すことになる。
 一種、私を嫌うことで何かを保っているようにも感じる彼女が、愛おしい。
 そう言ったら、どんな顔をするだろう。絶対に言わないけれど。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:32:54.20 ID:9pEjc62o0

 そう、彼女が彼女であるように私は大いに協力をしているんだ。
 そのことに彼女は気付かない。それはとてもつらいことだけれど、
 気付いたら終わってしまうのだから、仕方ない。
 本当は、彼女にとって私はどうとでもないことはわかっている。

 けれどもあんまりにそれが悔しいものだから。



31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:36:27.12 ID:9pEjc62o0

「あーあずにゃん二番目だあ!」

「あー……こんにちは」

 音楽室のドアを閉めながら、事務的な口調で彼女が囁く。
 その口調を崩してやろうと思って、私は言った。

「あずにゃんとね、キスをしたって言ったら、みんなとても驚いてたよ。
 私はそういうんじゃないって、言ったんだけどー」

 嘘だった。そんなこと、誰の前でも言うのものか。私だけの、秘密だ。



32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:42:38.18 ID:9pEjc62o0

 もしかしたら、拳が飛んでくるかも、と思った。けれど、平手で済んだ。
 しかも顔じゃあなくて、頭だ。
 まあ、ここはまだ決定打ではないので、そうカッカしてもらっても困る。まだ。
 
あのねえあずにゃん、憂にもね・・・。

 私が口を開こうとした時、彼女が言った。

「ほんとうに、嫌いです」



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:45:34.69 ID:9pEjc62o0

 苦々しい表情に、私は押し黙った。
 笑わなければならないのに。笑って、流して、そして。

「ひ・・・ひどいよお!」

 思い切り悲痛な顔で叫んだ。よかった、私はまだやれる。

「もうあなたの顔は見たくないです。今日は帰ります」

「待って、よ」

 呼び止めれば、嫌そうな顔の彼女。心など痛まない。いつものことだ。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/09(金) 13:48:58.55 ID:9pEjc62o0

「明日は来てね。みんな心配しちゃうから。だから会いに来てね」

 軽薄な笑顔でそう言えば、彼女はこちらを見ずに答えた。

「言われなくても」

「えへへへへ」

 私に、だよ。そう言ってもおかしく思われないだろうか。
 戯言だと思ってくれるだろうか。
 
 思い迷ったときにはもう彼女の背中は遠くて、私は目を細めた。





 彼女が笑いはしないのなら、怒った顔を好きになる。
 たとえ、愛しい人の前で笑っている姿があったとしても、私は平気だ。平気なんだ。



終わり




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唯「短編だよ」#唯「仮面のわたし」
[ 2011/10/29 12:57 ] 非日常系 | | CM(0)

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