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梓「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#9月25日 【クロス】


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紬「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#index




65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:30:52.11 ID:8Tvag5feo



9月25日



風子「おはよう、紬さん。今日は早いんだね」

紬「・・・」プッププー

風子「梓ちゃんと?」

紬「・・・」コクリ

風子「そうなんだ・・・」

紬「・・・」ププッププップー

風子「うん。明日だね」

紬「・・・」ププップップー

風子「うん。頑張ろうね」

紬「・・・」ニコニコ

風子「・・・」

スタスタ

ガチャッ

律「よっしゃー、一番乗りー・・・じゃねえ・・・」

澪「おはよう。はやいなむぎと風子」

風子「おはよう。昨日の時点で75%って聞いて・・・」

紬「・・・」

律「ふーん。風子だけでやろうとしてたのかよ?」

風子「英子ちゃんと夏香ちゃんも後から来るよ」

澪「・・・」

ガチャ

梓「むぎせんぱい!行きましょう・・・え・・・?」

律「ん?私の顔を見て驚いたのか?」

梓「まだ7時になっていませんよ?澪先輩はともかく・・・」

澪「・・・」

紬「・・・」

律「誰か私をフォローしてくれ。明日が本番だから、私も張り切って来たんだよ」

梓「はぁ・・・。行きましょうむぎせんぱい!」

紬「・・・」コクリ

風子「調理室だよね、私も一緒に行くよ」

梓「はい。行きましょうふぅ先輩」

風子「・・・」

紬「・・・」ルンルン

スタスタ



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:31:52.98 ID:8Tvag5feo


律「澪は行かないのかよ」

澪「私はセットの作業だから・・・。昨日の続きを終わらせるのが先だ」

律「・・・」

澪「風子も頑張ってくれてるんだな」

律「・・・そうだな。まずは席寄せようぜー」

澪「うん。私たち二人分くらいの作業スペースを確保しよう」

律「おっしゃ」

夏香「おはよ。はやいねー二人とも」

英子「おはよう」

律「おっはよん」

澪「おはよう」

夏香「さっそく始めるんだ」

律「おうよ!あ、風子たちは調理室向かったぞー」

英子「うん、ありがと。行ってくるね」

澪「行ってらっしゃい」

スタスタ

夏香「『たち』?」

律「むぎと梓だ」

澪「よいしょっ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

澪「ふぅ・・・」

律「おんどりゃあ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

律「もぅだめ・・・」ヘナヘナ

信代「早起きなんかするからだなー」

潮「・・・フッ」

慶子「芸が細かいね」

律「お、3人ともはやいな」

信代「75%だよ?ありえないって」

慶子「うん。ビックリだよね」

澪「確かに・・・」

純「澪先輩おはようございます!」

律「おいこら。私たちは視界に入っていないのか!」

純「先輩方!」



67 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:33:15.25 ID:8Tvag5feo


潮「よいしょっ」ガタッ

ワッセワッセ

ゴト

潮「望みどおり机は動かしたぞ!虎徹を返すんだ!」

律「誰が1つだと言った・・・。あと、2つだ」

潮「卑劣なっ!」

信代「なんで虎徹なのか・・・。少し面白かった」ガタッ

慶子「ネコの為に必死になるところが、なんかツボを抑えているって感じだよね」

夏「おはよーございます!皆さんはやいですね~」

純「夏が遅いんだよね」

夏「道具を取ってきたからだよ」

澪「ナイスだ、夏」

純「ぬかった!」

潮「・・・どうだ」ゼェゼェ

律「うむ。・・・駅前の駄菓子屋だ」

潮「そこに虎徹はいるんだな!?」

律「あぁ、ウソはつかないさ」

潮「遠いからいいや」

律「だな。さぁ、始めようぜー」



68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:33:51.04 ID:8Tvag5feo


――・・・


唯「さわちゃん来るよ!」

和「まだ30分前よ?」

ガチャ

さわ子「あら?みんなはやいのね」

夏「冬ねぇ、戻らないの?」

冬「あ・・・」

由記「手伝ってくれてありがとう、冬さん」

冬「ううん、大して手伝えてなかったから」

千雨「お化け屋敷見に行くからね」

冬「うんっ」

律「私たちも行こうな」キラキラ

澪「やだ!」

冬「それでは、また」

さわ子「待ちなさい冬ちゃん」

冬「え?」

さわ子「この衣装お勧めよ~」ジャン

冬「え・・・ぇ・・・え・・・?」

律「メイド衣装だろうが!」スパーン!

さわ子「いった・・・、なによ!むぎちゃんのメイドさんになるって聞いたのよ!?」

律「いつの話だよ!」

さわ子「そんなのいつだっていいのよ。さぁ・・・さあ!」ズィッ

冬「わわ・・・」

夏「やめてください!代わりに純が着ますから!」

純「・・・ん?」

ちか「『私が』ではない所がうまいよね」

さわ子「純ちゃんは一度着たからいいのよ」

律「え・・・ウソだろ・・・」

純「ウソですから。なんでそんなに引いているんですか」

澪「律も着たことあるんだぞ」

純「・・・」

律「なんだよ、無言はやめろよ!」

唯「さわちゃん!私が着るよ!」

さわ子「夏ちゃんでもいいわ、さぁ、着るのよ!冬ちゃんはこれでお化けを演じるのよ!」

夏冬「「 わわわ・・・ 」」」

和「ミイラ取りがミイラになったわね」

唯「無視されたよ」ガーン



69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:35:09.49 ID:8Tvag5feo


さわ子「さぁ!・・・っ!」ギクッ

風子「なにをしているんですか?」

冬「あ・・・」

律「・・・」

信代「・・・」

さわ子「メイド衣装を着てもらおうかな~なんて思っていたのよ~」

風子「着せるのなら、茶店衣装の方がいいと思いますけど」

さわ子「そう・・・ね・・・」

冬「山中先生、ごめんなさいっ」ダッ

タッタッタ

夏「・・・ふぅ、助かった」

夏香「風子、どうしたの?」

風子「あとはこっちの作業手伝おうと思って」

夏香「そっか・・・」

さわ子「どうしたのよ、迫力が無くなったわよ」ヒソヒソ

律「子どものお遊びは卒業したって事だろ」

さわ子「なによそれ・・・?」

律「言葉のまんまだよ」

さわ子「・・・」

律「うーし、むぎんとこ行ってこよーっと」

純「あ、私も行きます。屋台班の班長として把握しておかないと」キリ

唯「私も行くよ!」

和「今は下ごしらえよ」

唯「やめとくよ!」


律「唯のやつ・・・つまみぐい目当てか・・・」

純「・・・」

律「・・・」

純「小学校の頃色々あったみたいですよ?」

律「興味ない」

純「・・・」

律「私が興味あるのはどう楽しむか、それだけだって」

純「そう・・・ですね・・・!」



70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:36:31.88 ID:8Tvag5feo



―――――調理室


いちご「・・・」

姫子「風子は淡々と作業していたね・・・」

いちご「・・・うん」シャカシャカ


紬「・・・」シャカシャカシャカシャカ

梓「かき混ぜるの、腕疲れませんか?」

紬「・・・」フゥ

梓「交代です!」

紬「・・・」スッ

梓「・・・」シャカシャカ

エリ「梓ちゃん上手ねー」シャカシャカ

梓「そ、そうですか?」テレッ



71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:37:04.79 ID:8Tvag5feo



いちご「風子が言ってた」

姫子「?」

『梓ちゃんは夏ちゃんと冬ちゃんを置いて先に進んでしまうって事かな』

いちご「――って」

姫子「梓ちゃんにあの人の過去を話すかどうかの時だよね?」

いちご「うん」

姫子「『先に進んでしまう』・・・か・・・」

いちご「・・・風子は先に進んでしまったのかな」

姫子「梓ー!」

梓「なんですか?」シャカシャカ

姫子「あの人の過去って聞いてる?」

梓「どの人ですか?」

姫子「えぇと・・・その・・・」

律「梓と波長が合わないヤツだよ」

梓「・・・過去なんてあるんですか?」

純(相馬轍さんの過去・・・私も知らないや・・・)

いちご「・・・どうなの?」

梓「知らないです」

姫子「そっか・・・。うん、ありがとう」

梓「人っておかしくないですか?」

「「 ? 」」

梓「・・・虎徹の話ですよね?」

純「もういいよ!あっち行って!」

梓「なに・・・?」

姫子「なんでもない」

律「どこまでも合わねえのな・・・」

梓「む・・・」シブシブ

純「まったく・・・虎徹の過去ってなんだよ」

いちご「・・・印象に無いって事は知らないんだよね」

姫子「そうだね」

いちご「風子は・・・先に答えをみつけたんだね・・・」



72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:38:07.93 ID:8Tvag5feo


憂「できあがりました」

純「手馴れたもんです」

憂「お姉ちゃんに作ってってねだられるから、慣れちゃった」エヘヘ

律「1つ食べていい?」

憂「どうぞ」

律「もぐもぐ」

いちご「どう?」

律「揚げたてだから余計にうめえ・・・」

紬「・・・」スッ

律「お茶もくれるのか・・・ありがと」

紬「・・・」ニコニコ

律「ふぅ・・・、落ち着くなー」マッタリ

純「外の景色をみながらのんびりしたいですね」

律「あぁ・・・。でも、登校時間だからやらんけどな」

紬「・・・」トントントントトン

姫子「いい空間を演出・・・か・・・」

梓「お菓子とお茶があれば、それだけで楽しめるんです」

紬「・・・」ニコニコ



73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:39:07.78 ID:8Tvag5feo



―――――3年生のクラス


「律さん、よく食べたね」

まき「三つも食べたよ」

律「うまかったからな。おかげでのんびりしちった」

紬「・・・」

ガチャ

姫子「あれ、席戻ってない・・・?」

信代「また移動させるの大変だろうからこのままHRにするって」

澪「今日は一日中学園祭の準備だからな」

いちご「・・・」

唯「・・・」クンクン

律「離れろ・・・」グググ

唯「りっちゃん・・・サーターアンダギーの匂いがするよ」クンクン

律「犬かよ・・・食べてきたんだよ」

唯「なんとっ、和ちゃん!?」

和「ぴぃ~ぷぅ~♪」

澪「和が白を切ってる・・・」

唯「一子ちゃんも食べたの?」

一子「うん、おいしかったよ」

唯「まだ残ってるよね!?」

律「すまん・・・。2年生たちとおいしくいただきました。全部」テヘ

唯「ふふ・・・」ユラリ

さわ子「遊んでいないで席があった場所に座りなさい。HR始めるわよ」



74 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:39:44.52 ID:8Tvag5feo



―――――昼・中庭


梓「本来なら授業している時間なのに、先輩方と過ごすなんて・・・」ウットリ

夏「・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

冬「・・・」

梓「明日の朝、目が覚めたら今日だったらいいのに」ハァ

夏「どうすんのこれ」

憂「うーん・・・」

純「目を覚まさせたら?」

夏「どうやって?」

純「眠ってはダメだー、バシィン」

夏「ぶつんだな!?」

憂「だ、ダメだよ!」

梓「今日が終わらなければ明日は来ないんだよね」ブツブツ

夏「なんか、へんなとこ向かって走ってるよこの子」

冬「いいなぁ・・・」

夏「よくない、よくない」

冬「一緒に作業できるんだよ?」

夏「あぁ、そっちね」



75 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:40:32.74 ID:8Tvag5feo


紬「・・・」ボケー

風子「・・・」

律「完成度いくつだって?」

姫子「和が85%だって」

いちご「午前中で10%上昇できたんだ・・・」

澪「余裕だな」フフフ

信代「あと15%か、・・・冬ちゃんのところはどう?」

冬「102%だそうです」

春子「その2%分ってなんだろ」

冬「わ、分かりません」

律「あ、今ボケた?」

冬「違いますよ」

律「ちゃんと聞いておけよ?」

冬「?」



76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:41:21.64 ID:8Tvag5feo


律「平沢唯さんに尋ねます。私らの完成度はいくつでしたか?」

唯「聞いてなかったの?」

律「聞いていたぞ。それを踏まえてなんらかのリアクションをしろって事でだな」

唯「85%足す事の10%だっけ?」

和「聞いてなかったのね」

唯「ご飯に夢中だったんだよ」モグモグ

夏香「・・・」モグモグ

唯「なっちゃん、お弁当自分で作ってるの?」

夏香「ううん。母さんが・・・。時々姉さんだけど」

唯「そっかぁ・・・。うい、たまには私が作ってみせようぞ!」

憂「期待してるね」

唯「まかせんしゃい」ドン

英子「料理するんだ・・・。憂さんと一緒に楽しそうだね」

憂「えへへ」

梓「作った事あったの?」

憂「作ってみたいなぁって」

和「無かったのね・・・」

冬「私も料理しますよ」

夏「・・・」

姫子「・・・」

澪「・・・」

純「この静けさは・・・?」

夏「冬ねぇは・・・料理になにかしら実験するから・・・食べる人を困らせる・・・」

夏香「実験・・・って・・・」

唯「そいつぁいけねぇなぁ」

憂「お姉ちゃん、朝の新聞にダムの貯水率が載ってたね」

唯「うん。85%だったね~」

律「どうだ?」

冬「?」



77 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:41:48.78 ID:8Tvag5feo


律「ここまでが唯のボケだ」

冬「・・・そうですか」

律「関心もてよっ!」スッ

冬「す、すごいですね!」

律「適当に褒めるなっ」ビシッ

冬「たっ」

澪「・・・」バシッ

律「いたっ・・・?」



78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:42:42.76 ID:8Tvag5feo


風子「・・・」

紬「・・・」ニコニコ

風子「紬さん・・・」

紬「・・・?」

唯「・・・ん?」

風子「どうして、空を見上げていたの?」

紬「・・・」

澪「・・・」

風子「なにも、無いよ」

紬「・・・」

律「・・・」

風子「ただ、忘れさられていく雲が流れていくだけ」

紬「・・・」

梓「・・・」

風子「もしくは、誰にも気付かれない雲が流れていくだけ」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「どの雲もその場に留まれず、ただ、ただ、たゆたうだけ」

冬「・・・」

夏「・・・」

風子「時間の流れの中にいる人のように・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

風子「そんな空になにがあるの?」

紬「・・・」トントントトン

風子「・・・」

梓「『空は雲だけではないよ』・・・です」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

和「・・・」



79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:43:13.72 ID:8Tvag5feo


未知子「おーい、むぎさー・・・」

春子(なんていうタイミングで・・・)

信代(未知子・・・)

さわ子「タイミング悪かったようね」

紬「・・・」アセアセ

未知子「わ、私たちだけで行ってくるねー!」タラタラ

エリ「ご、ごゆっくりー!」

風子「行って来て・・・。ただのきまぐれで聞いたことだから、気にしないでね」

紬「・・・」

風子「・・・」

紬「・・・」コクリ

律「・・・むぎ」

紬「・・・」チラッ

梓「厳島神社での話を・・・?」

紬「・・・」クイックイッ

梓「分かりました」

紬「・・・」ビシッ

唯「買出しお願します」ビシッ

紬「・・・」ニコ

タッタッタ

風子「・・・」

春子「今の・・・、むぎが指を折り曲げたのは・・・なに?」

澪「鍵盤を空中で弾いたんだ・・・」

和「『よろしくね』でいいのかしら」

唯「そうだよ~」

憂(よかった・・・聴けた)ホッ

夏純信代「「「 えぇー!!?? 」」」

冬「おぉー」

姫子(よろ・・・だけだった・・・)

いちご(よ・・・だけ・・・)



80 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:44:07.40 ID:8Tvag5feo


英子「・・・」

風子「広島の?」

梓「そうです」

夏香「どうして厳島神社が出てきたの?」

律「観光したんだってさ」

いちご「・・・夏の旅で?」

唯「そうだよ」

春子「厳島神社ねぇ・・・よく知らないな・・・」

律「解説ボタンスイッチオン」ポス

冬「日本三景の一つ、広島県廿日市市の厳島の神社の事です
  高さ16メートルの鳥居が海の中に聳え立つ風景をごらんになった方も多いと思われます」

純「あぁ・・・あれか・・・」

夏「名前で気づけよ・・・」

冬「春日大社と気比神宮の大鳥居に並ぶ「日本三大鳥居」の一とされています。
  1996年、ユネスコの世界遺産として登録され、
  国内外の観光客が年間300万人台に達しています」

信代「ふーん・・・」

冬「厳島神社のある宮島は、古代より島そのものが神として――」

律「あ、もういいぞ」ポス

冬「ちなみに日本三景のあと二つは京都にある天の橋立、仙台にある――」
  
唯「松島だよね!」

憂「観光したんだよね」

唯「美しかったよぉ~。松島や、あぁいいところ、松島や」

冬「ちなみにそれは石川啄木では――」

姫子「もういいから」ポス

冬「は・・・っ・・・ぃ」



81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:45:06.57 ID:8Tvag5feo


律「私が降りた後の話か?」

梓「そうです。厳島神社へ二人で向かったんです」

澪「・・・そうか・・・・・・」

梓「夕陽が綺麗でしたよ。むぎせんぱいと一緒に鳥居をくぐって」

風子「・・・」

梓「えと・・・その・・・。その時、私は・・・むぎせんぱいの事で・・・不安な事があったんです」

憂「・・・」

姫子「聞いていい事?」

梓「・・・」

春子「そこの話は飛ばしてもいいんじゃないの?」

いちご「・・・要所だけ聞きたい」

梓「いえ・・・。それだと、伝わりませんから」

風子「・・・」

梓「むぎせんぱいが遠くに行っちゃいそうで・・・」

唯「あずにゃん・・・」

梓「笑ってはいるんですけど、むぎせんぱいの中で・・・何かが変化していて」

澪「・・・」

梓「その笑顔が不自然で、違和感があって・・・らしくない表情をみせて・・・」

律「・・・」

梓「それは、『別れ』を恐れていたからなんです・・・」

風子「っ!」ビクッ

姫子「むぎが・・・?」

梓「はい。むぎせんぱいが、です」

春子「・・・意外っていうか・・・・・・」

いちご「・・・うん」

梓「幼い頃、大切な人とのとても悲しい別れ方をしてしまって」

夏香「!」

英子「・・・」

梓「旅の中で出会った人と別れるたびに、『その時』が心を揺さぶっていたんです
  そのせいで・・・『別れ』が怖くなってしまって」

夏(・・・大切な人)

冬「・・・」

梓「姉のように慕っていたのに、時間がその人との記憶を忘れさせてしまったようです」

風子「・・・」

梓「ついでに言ってしまうと実はその人と再会を果たせていたんです。あの旅の中で・・・」



82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:46:12.22 ID:8Tvag5feo


英子「紬さんは・・・『別れ』を・・・怖さを克服できたの・・・かな?」

梓「それは分かりません」

いちご「・・・どうしてこの話を?」

梓「私たちはむぎせんぱいの帰りを待つ事で、ずっと一緒にいられると思っていたんです」

夏香「・・・」

梓「『ずっと一緒にいましょう』と旅の終着地点で約束も交わしました」

唯「うん」

律「あぁ」

澪「ずっと、な」

梓「でも、今月の28日でその約束は・・・解消されてしまうんです・・・」

風子「・・・」

梓「むぎせんぱいが空を見上げる理由・・・それは――」

風子「私は・・・乗り越えられる。乗り越えられたから」

梓「・・・」

風子「私と紬さんは違う。悲しい別れは長い人生のうちに何度でも起こる」

律「そうだけど――」

風子「私は・・・果たされなかった約束で留まったりしない」

澪「私たちは――」

風子「ちゃんと進める。前をしっかりみて進んでいる」

唯「それは――」

風子「もう・・・そんな子どもみたいな時期は過ぎたから」

姫子「・・・」

いちご「・・・」



83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:47:36.04 ID:8Tvag5feo


風子「過去の悲しい事も、これから起こる悲しい事も受け止める」

夏香「まだ子どもだよ」

英子「『ふぅちゃん』のままだよ」
   
冬「・・・っ」

夏(冬ねぇ・・・)

風子「どうして?私は『別れ』にも耐えてみせるよ。どれだけの悲しい『別れ』でも
   それが成長の証なんだから・・・。紬さんとも――」

夏香「それを子どもだと言ってるんだよ」

英子「話を聞かない『ふぅちゃん』がここにいる」

風子「バカにしてるの・・・?」

英子「だって、梓ちゃんの話を聞いていないよね」

夏香「律さん、澪さん、唯ちゃんの言葉を遮って・・・。
   耳を塞いで、聞きたくないって駄々をこねているだけだよ」

風子「果たされない約束は薄れていくものだよ。・・・そうだよね?」

英子「・・・」

夏香「・・・」

風子「果たされていないのは『約束をしよう』っていう約束だけじゃないんだよ?」

英子「・・・?」

夏香「え・・・」

風子「小学校の卒業式の日、お姉ちゃん、夏香、英子、私。4人での約束」

英子「!」

夏香「!」

風子「『高校入学式、その前の日にみんなであの公園で』」

英子「・・・それは・・・・・・」

夏香「・・・」

風子「『別々の高校に行くことになっても、ここで会おう』」

英子「・・・」

夏香「・・・」

風子「指きりげんまんしていないから・・・印象に残らなかったよね・・・」

夏香「ッ!」

風子「でも、お姉ちゃんは来てくれた」

英子「・・・!」

風子「私は学園祭を成功させて、紬さんを見送る」

梓「・・・」



84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:48:33.07 ID:8Tvag5feo


風子「午後の準備あるから、先に――」

冬「置いて・・・いかないで・・・ください・・・」

風子「・・・」

夏「冬ねぇ・・・」

風子「私は、進みたいから・・・。先に行ってる」スッ

スタスタ

唯「ふぅちゃん・・・」

澪「・・・」

律「・・・」

梓「・・・」

冬「・・・っ」グスッ

夏「ほら、拭いて」スッ

冬「うん・・・」

英子「夏香・・・」

夏香「そういえば・・・その日の姉さん変な顔で笑ってた・・・」

英子「風子・・・入学式の日に・・・何も無かったって顔してたよね・・・」

夏香「忘れていたなんて・・・」

憂「・・・」

純「・・・」

和「・・・」

英子「ごめんね・・・みんな・・・」

夏香「・・・ごめん」

姫子「・・・」フゥ

いちご「・・・」

信代「まずいよ・・・目的は同じでも、向かっている方向がまるで違う」

春子「・・・形だけの成功なんてなぁ」



85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:49:14.77 ID:8Tvag5feo


律「言葉があっても伝えきれないのかよ・・・」

澪「・・・悔しいな」

唯「そうだね・・・」

梓「・・・ちゃんと答えてないです」

律「むぎが空を見上げた理由・・・か?」

梓「はい」

澪「・・・」

梓「やっぱり私ではダメですね。むぎせんぱいが伝えなくてはいけないと思います」

唯「そっか・・・」

夏香「・・・」

英子「・・・」

澪「そろそろお昼休み終わるな」

唯「準備だよっ!」

律「だな!」

春子「気持ちを切り替えはやいな」

律「このままで終わらせられないだろ」

澪「むぎとの『別れ』がすぐそこなんだ。俯いてられない」

唯「みんなで見送るんだよ。強くなってね!」

梓「ですっ!」

姫子「そうだね」

いちご「・・・うん」

信代「・・・」

春子「肝心の二人が下向いていいの?」

夏香「今の風子がいるのは・・・私のせい・・・だよ・・・」

英子「・・・私も」

姫子「そのせいってのはなに?・・・今の風子が悪いみたいなんだけど」

夏香「それは・・・」

いちご「離れていたら、伝わらない」

英子「・・・うん」



86 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:50:04.83 ID:8Tvag5feo



冬「離れて行っちゃった・・・」

夏「近づけばいいさ」

冬「・・・できるの?」

夏「やるの、冬ねぇが」

冬「・・・」

梓「・・・」



87 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:50:31.04 ID:8Tvag5feo



―――――放課後・3年生のクラス


「澪さんは?」

一子「部活だよ・・・」

「ふーん・・・」

一子「・・・」コンコン

「いつ戻ってくるのかな」

一子「・・・・・・・・・分からない・・・」

「そうだよね」

一子「ちゃんと抑えて、曜子」

曜子「うん」

ガチャ

曜子「・・・!」


風子「屋台班からの差し入れもってきたよ」

潮「やったぁ!」

春子「ポーポーとお茶が合うんだよな」

未知子「ふむふむ」

潮「調理の様子はどう?」

風子「順調だよ」


曜子「・・・」ガッカリ

一子「ちゃんと手元見てて、危ないよ?」

曜子「うん」

一子「練習がそんなに早く終わらないから」

曜子「・・・そうだよね」



88 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:51:10.02 ID:8Tvag5feo


風子「どうしたの?」

冬「私たちの準備は終わってしまったので・・・見学に・・・」

風子「そう・・・」

冬「・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」ゴロゴロ

エリ「懐いてるね~」

冬「ふ、二人で大人しくしています・・・」

風子「・・・」

三花「大人しくする必要ないんだよ~」ホノボノ

風子「夏ちゃんたちは調理室にいるよ?」

冬「な、夏に出入り禁止にされていますので・・・」

春子「なんだそれ」

冬「あはは・・・」

虎徹「」スヤスヤ

風子「そう・・・。のんびりしててね」

スタスタ

冬「・・・」

春子「なんだありゃ・・・」

冬「・・・」

春子(まるで関心がないみたいな態度・・・)



89 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:51:58.80 ID:8Tvag5feo


――・・・


姫子「梓の反応はどうだった?」

夏「目が点になってましたよ。『どうして虎徹がいるの』って」

いちご「・・・ネコ嫌いなの?」

純「好きだと思いますけど・・・、虎徹は論外みたいです」

姫子「仲がいいんだか悪いんだか」

夏「さて、セットの出来はどうですかなー・・・」

純「・・・」ワクワク

ガチャ

夏「あらら」

冬「」スヤスヤ

虎徹「」スヤスヤ

姫子「こっちも順調みたいだね」

いちご「・・・風子と作業してくる」

潮「まって、今は1人でさせといて」

いちご「・・・1人でやっても進まないよ」

慶子「というか、ピリピリしてるから・・・」

姫子「なにか言われたの?」

潮「いんや、なんにも言わないから困ってる」

慶子「さっきまで未知子さんと一緒にいたんだけど、信代が連れて行った」

姫子「その信代たちは?」

潮「遊びに行ったよ」

夏「遊びに・・・?」

潮「けいおん部へね」

純「なにか企んでいるんですか?」

慶子「・・・私は反対したんだけどね・・・綱渡りっぽくて冷や冷やする」

夏純「「 ? 」」

潮「信代も大成功させたいって」

姫子「信代も・・・」

夏「姫子先輩、エリ先輩たちと合流しましょう」

姫子「・・・うん」

スタスタ



90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:52:32.24 ID:8Tvag5feo


純「さわ子先生にだけ衣装を作らせてしまっていいのでしょうか・・・」

潮「大丈夫だよ。根拠ないけど」

慶子「二人ともこっち手伝って」

純「はいっ!」

いちご「うん」

スタスタ

冬「」スヤスヤ

虎徹「」スヤスヤ



91 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:53:47.94 ID:8Tvag5feo



夏香「一緒にやろ」

英子「・・・」

風子「いいけど・・・。今の私は腫れ物だよ?」チクチク

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「この座布団の布お願い」

夏香「・・・うん」

英子「任せて」

風子「・・・」ヌイヌイ

夏香「・・・」チクチク

英子「・・・」スィスィ

風子「上手だね、裁縫」

夏香「英子は中学のときから・・・上手だった」

英子「・・・そんな事ないよ」

風子「・・・」チクチク

夏香「あの・・・さ、風子」

風子「・・・?」

英子「約束忘れて・・・ごめん・・・ね」

夏香「ごめん」

風子「いいよ。時間とともに風化していくものだから・・・。改まって言われる事でもない」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「手を動かして」ヌィヌィ

夏香「・・・」チクチク

英子「・・・」

風子「謝るのが目的なら、席はずしていいよ。私1人で出来る範囲だから」チクチク

夏香「・・・あのねぇ」

英子「・・・」

風子「もう完成度は目標を達成している。美冬さんと和さんが公表した数値は嘘だよ」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「打ち合わせも終わっているから、・・・帰ってもいいんだよ」

夏香「・・・」

英子「・・・」

風子「後は、明日の本番を待つだけ・・・」ヌィヌィ

夏香「・・・」

英子「前夜祭するって・・・言ってるよ」

風子「・・・そう」チクチク



92 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:55:01.30 ID:8Tvag5feo


夏香「参加しないの?」

風子「いい。・・・今の私は空気を悪くするだけだから」ヌィヌィ

英子「・・・」

風子「今も悪くしているから・・・。早く仕上げて帰るよ」チクチク

夏香「・・・っ」

英子「子どもだよ・・・。風子は・・・」

風子「・・・そう見えるならそれでいい。泣きじゃくるだけならもう終わったから」ヌィヌィ

英子「・・・」

風子「もう、あの頃の私はいないから。それでいい」プチッ

英子「今度は目を塞いでいるんだよ」

風子「聞かないの次は、見ないって・・・?次は・・・言わない、かな?」

夏香「風子・・・笑えないって・・・」

風子「笑わそうとも思ってないよ。・・・帰るね」スッ

英子「まって・・・」

風子「・・・」

スタスタ

夏香「まて!風子!」

純「ッ!?」ビクッ

エリ「どう・・・したの・・・?」

風子「・・・なんでもない。私、先に帰るから・・・」

夏香「待てって!」ガシッ

風子「・・・」

姫子(・・・夏香?)


冬「ぅ・・・ん・・・?」

虎徹「・・・」ピクピク



93 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:56:28.31 ID:8Tvag5feo


風子「痛いよ・・・、放して」

夏香「このままでは学園祭始められないでしょ!」

風子「らしくないよ夏香・・・。こんな熱くなるなんて」

英子「ううん、夏香は昔からこうだったよ」

風子「作業している人の邪魔になっているでしょ。放して」バッ

夏香「風子が1人で進んでいる『つもり』だから言ってやってんの」

風子「言ってやってる・・・?ずいぶんと上から目線だね」

夏香「子どもの目線は低いからね、そう感じ取ったんじゃないの?」

風子「子ども子どもって・・・。そう言えば私が反応すると思ってるの?」

英子「反応してるよ・・・まるで怖がっているかのように」

風子「・・・」


冬「・・・」

虎徹「・・・」ジー

夏「・・・」



94 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:57:23.17 ID:8Tvag5feo


ガチャ

味知子「おまたせー・・・?」

潮(味知子・・・)

いちご(一度ならず二度も・・・)

信代「丁度いいや、みんなこれみて」

バサッ

風子「なにそれ・・・」

信代「蛇の目傘に蛇を描いてもらいました」

和(あの絵は唯ね・・・)

夏香「・・・」

英子「・・・」

味知子「信代さん・・・空気が・・・」

信代「あはは・・・」

風子「どうしてそんな事するの?」

信代「普通じゃつまらないと思って・・・。面白くなかった?」

風子「蛇の目傘でもない、普通の野点傘だよそれ」

信代「知ってるよ」

風子「ふざけないでッ!」


虎徹「・・・!」ダッ

テッテッテ

エリ(虎徹・・・!)

アカネ「追いかけて」

エリ「う、うん・・・」

タッタッタ



95 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 20:58:41.36 ID:8Tvag5feo


信代「ふざけては・・・いるかな・・・」

風子「野点の雰囲気を壊すようなモノ作って・・・!」

信代「野点なんて名前だけじゃん、中身は茶店なんだから」

風子「同じでしょ!小学生の出し物じゃないんだよ!?」

信代「知ってるよ。でも、遊び心も必要でしょ」

風子「遊び心なんて調子のいい言葉使ってるだけ!」

夏香「風子!」

風子「どうしてこんな事するの・・・?」

信代「昨日今日の作業で思い知ったからね、楽しめない学園祭になるって」

風子「・・・楽しもうと努力してないだけでしょ」

信代「考えた結果がこれだって」

風子「楽しいのはそっちだけでしょ」

信代「承諾は貰っている。むぎ、純、姫子に話は通してあるよ」

風子「・・・なんだ」

英子「・・・」

風子「なんだ・・・バカをしていたのは私の方だったんだ・・・」

夏香「・・・」

風子「1人だけ知らないで・・・」

未知子「私も知らなかったよ」

風子「止めなかった・・・」

未知子「唯さんたちが楽しそうに描くから、こういうのもいいかなって思った」

風子「もういい・・・」

姫子「・・・風子?」

風子「どうでもいいよ・・・。・・・真面目に・・・約束を守ろうとして」

夏香「ッ!」

英子「・・・っ」

風子「たった1人・・・生真面目に・・・準備して・・・でもズレた所で頑張って・・・」

いちご「・・・1人?」

風子「輪から外れていたでしょ・・・。一目でわかる状況だったでしょ・・・」

信代「この部屋で一緒に作業してたじゃん」

風子「そんな輪の概念なんていらないよ・・・」スッ

姫子「どこ行くの?」

風子「やることないから帰るんだよ」



96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/11(日) 21:01:18.64 ID:8Tvag5feo


冬「ま・・・っ・・・まって・・・ください・・・」

風子「ごめんね、疲れちゃったから・・・」

冬「だっ・・・ダメです・・・」

風子「休みたいの」

冬「・・・ダメです」

風子「・・・」フゥ

冬「・・・」

風子「もう、いいの・・・」

冬「嘘です」

風子「嘘・・・?」

冬「もういいなんて思っていないですよ。
  私・・・嘘には詳しいんです。嘘は・・・良くないんですよ・・・心が壊れちゃいます」

風子「・・・」

冬「今、この場所から離れるときっと後悔します」

風子「それは私が決めるよ」

冬「私は後悔しました」

風子「・・・」

冬「夏に・・・辛い思いをさせました・・・」

風子「・・・」

冬「風子さんが居ないこの場所は・・・私が辛いです」

風子「・・・っ」

冬「置いていかないでください・・・」

『世界中で自分ひとり取り残されたような気になっちゃって』

風子「!」

冬「・・・」

風子「・・・」

冬「・・・」

紬「・・・」

和「むぎ・・・」

紬「・・・」クイックィッ

姫子「さいごの・・・」

紬「・・・」クィックィッ

いちご「・・・?」

風子「・・・」

梓「『ティータイムにご招待します』・・・です」

紬「・・・」ニコ



98 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 17:59:01.75 ID:b7GssNeko


律「戻らないのかよ?」

虎徹「みゃ」

律「別にいいけど・・・」

澪「エリも一緒にいればいいのにな」

唯「蛇の目でお迎えうっれしいな~♪」

虎徹「みゃ~」

律「あの絵は傑作だな」ウシシ

澪「真面目にやってる人は怒るぞ絶対」

唯「ぴっちぴっちじゃぶじゃぶ」シュッシュッ

律「はいはい。左を制するものは世界を制すね。はいはい」

澪「・・・」フリフリ

虎徹「・・・みゃっ」シュッ

律「おぉ、するどいジャブですね。将来に期待が持てます」

ガチャ

梓「なにをしているんですか・・・」

澪「戻ったか」

虎徹「・・・」ピョン

スィー

梓「エリ先輩の所へ戻るんだね、偉い偉い」



99 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 17:59:39.02 ID:b7GssNeko


唯「さぁさ、座っておくんな!」

紬「・・・」グイグイ

風子「・・・っ」

夏香「私たちもいいの・・・?」

英子「・・・」

律「ダメだっ!なんて言わね」

ゴスッ

律「いひゃぃ!」

澪「あ、ごめん」

律「言わねえよ!」

姫子「怒らないでよ」

律「姫子は呼んでねえよ!」

いちご「差し入れ」

唯「サーターアンダギーではないか!」

律「うむ。許可しようじゃないか。はやく座んな!」

澪「おまえは誰だ・・・」

春子「椅子足りないじゃん」

信代「・・・うん」

律「呼んでねえっつの」

春子「聞きたいっつの」

信代「種を撒いたから」

梓「はい、どうぞ」ガチャ

夏「どうぞ」ガチャ

姫子「ありがとう」

信代「準備してくれてるんだ・・・」

梓「最近お客さんが多いので」

夏「手伝いさせるなよ、私もお客さんだろ」

虎徹「みゃ」

梓「それはない」

夏「・・・ま、いいけど」

虎徹「みゃー!」

梓「うるさいっ、エリ先輩のとこへ帰って!」



100 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:00:21.40 ID:b7GssNeko


虎徹「みゃ~」スリスリ

冬「・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」チラッ

梓「・・・」フンッ

虎徹「・・・」イラッ

夏「この二人はなにを・・・?」

虎徹「・・・」フンッ

スタスタ

梓「・・・よしよし」

スタスタ

虎徹「・・・みゃ」

ガチャ

梓「ほら、開けてあげるから。バイバーイ」

虎徹「・・・」クルッ

スタスタ

梓「出口はこっちだって」

虎徹「みゃっ」ピョン

風子「・・・」

律(風子の膝に飛び乗った・・・空気読んでるのか・・・?)

虎徹「・・・」ゴロゴロ

夏「梓、早く座って」

梓「・・・」イライラ

スタスタ

梓「・・・」スト

紬「・・・」スッ

コト

梓「ありがとうございます」



101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:01:45.94 ID:b7GssNeko


冬「・・・」

風子「・・・」

夏香「・・・」

英子「・・・」

澪「風子、この写真見て」ペラ

風子「?」

梓「稚内の空です」

澪「日本縦断の列車。始発駅の空だ」

紬「・・・」

テッテッテ

ポロロロン

夏香「?」

英子「なんて言ったの?」

唯「今のは慣らしだよ~」モグモグ

紬「・・・」ポンポンポロロン

梓「『出発前に撮った一枚』だそうです」

風子「・・・」

紬「・・・」ポンポロポン

律「で、これが仙台の空だな」ペラッ

唯「もぐもぐ」コクリ

澪「北から撮っていったんだ、むぎは」

紬「・・・」ポンポンポロロン

姫子「『きれいでしょ』って」

夏「・・・」

冬「・・・」

律「反応薄いぞむぎ!」

紬「・・・」ガーン



102 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:02:47.47 ID:b7GssNeko


風子「特別な写真だとは思えない・・・」

梓「そうですね。それで、これが厳島神社での空の写真です」ペラッ

風子「・・・」

冬「・・・」

梓「どうですか?」

風子「・・・」

冬「もう少し、夕陽が写って・・・いたら・・・」

夏「うん。もっと綺麗になったかもしれない・・・」

澪「・・・そうだな」

紬「・・・」ニコニコ

梓「・・・」

紬「・・・」ポンポロロポンポン

梓「でも、『私たちはそこに居た』んです」

紬「・・・」ポンポロポポンポロロン

澪「『空の下にいた』」

紬「・・・」ポンポロロポポンポン

律「『特別な空の下じゃないけど』」

紬「・・・」ポンポロロポポンポロロ

唯「『特別な時間の中にいた』」

紬「・・・」

梓「『この空に想いを残せたら素敵ね』・・・むぎせんぱいはこの場所で、そう言ったんです」

風子「っ!」



103 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:03:51.78 ID:b7GssNeko


スタスタ

紬「・・・」スト

梓「だから、私たちは遠い場所にいても、一つの空の下で繋がっているんです」

紬「・・・」トントトントン

梓「ッ!」

澪「そこが、私の『最高の場所』・・・」

紬「・・・」ニコ



104 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:04:18.65 ID:b7GssNeko


律「風子はさ・・・。壁を作っているだけなんだよ」

風子「・・・」

夏香「・・・」

英子「・・・」

律「一度傷ついたらその怖さを知ることになるよな」

冬「・・・」

澪「その怖さは、できれば二度と味わいたくない」

夏「・・・」コクリ

澪「でも、壁のせいで周りの優しさも触れられなくなるんだ」

風子「っ!」

唯「それは寂しい事だよ」

姫子「・・・」

いちご「・・・」

唯「でもでも、ふぅちゃんが嫌だってことじゃないんだよ」



105 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:04:56.31 ID:b7GssNeko


風子「・・・私は、昼にみんなの声を聞かないように耳を塞いだ
   今の自分を見ないように目を塞いでいたんだよ」

信代「・・・」

春子「・・・」

風子「そうしないと・・・自分を失いそうで・・・
   なっちゃんとひでこちゃんと別れた時の自分がでてきそうで・・・」

夏香「ふぅちゃん・・・」

英子「・・・っ」

風子「むぎ・・・さんと・・・別れるの・・・っ」

紬「・・・」トントトントン

風子「っ・・・」グスッ

梓「『私も寂しい』・・・です・・・」

虎徹「みゃ・・・」スリスリ

梓「私が言ったんじゃないよ・・・」ナデナデ

虎徹「・・・」バッ

テッテッテ

風子「子どものままじゃいられない・・・っ・・・」

夏香「・・・」

風子「私は一度『別れ』を経験したんだから・・・乗り越えてなきゃダメなの・・・」

英子「・・・」

風子「このままだと私っ」

紬「・・・」

澪「『別れ』を寂しいと感じるのは素敵なことなんだと思う」

唯「一緒に居たいと想える人に出会えるってそうそう無いことだよ」

律「あぁ、そんな『出会い』があった事の証明になっているんだからな」

梓「・・・」



106 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:06:03.07 ID:b7GssNeko


英子「子どもとか大人とか、そんな括りより・・・。風子がどうありたいのか、じゃないかな」

夏香「うん・・・。『ふぅちゃん』、『風子』、『ふぅ』のそれぞれは『高橋風子』なんだから」

風子「っ!」

梓「私の質問に二人とも『どの風子でもいい』と言っていました」

律「質問って?」

紬「・・・」

梓「ふぅ先輩と風子先輩のどっちと一緒に居たいですか・・・です」

澪「そっか・・・」

紬「・・・」コクリ



107 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:06:40.62 ID:b7GssNeko


風子「私・・・怖い・・・『別れ』も、『慣れ』も・・・『忘れてしまうこと』も・・・」

夏香「・・・っ」

英子「・・・」

風子「悲しい思い出を作る事が・・・いやだ・・・っ・・・」グスッ

紬「・・・」

風子「たのしくてっ・・・たいせつなおもいでをくれた・・・ひとだからっ・・・」

紬「・・・」

風子「むぎさんとわかれるの・・・いやだっ」ボロボロ

紬「!」

風子「やだ・・・っ・・・」ボロボロ

梓「ッ!」

夏香「それを言ったらむぎさんが困るでしょ・・・意地悪だよ」

風子「意地悪でいいっ・・・覚えてくれるならそれでっ」ボロボロ

英子「子どもだね、ふぅは」

風子「子どもでいいっ・・・気持ちを出せるのなら・・・っ」ボロボロ

信代「1人で乗り越えようなんて思わないでよ。寂しいのは風子だけじゃないんだから」

風子「っ!」

姫子「うん」

いちご「・・・」コクリ

春子「・・・」

信代「友達でしょ・・・」

風子「・・・うんっ・・・ごめん・・・」グスッ

紬「・・・」

ギュ

風子「・・・?」グスッ

紬「・・・」スラスラ

風子「つ・・・な・・・が・・・って・・・る・・・?」

紬「・・・」コクリ

風子「・・・っ」グスッ

紬「・・・」スッ



108 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:07:44.60 ID:b7GssNeko



そして、むぎせんぱいは一枚の写真を指す

それは、私たち全員が列車の横で旅を終えたむぎせんぱいを囲む一枚

旅で出会った人、唯先輩、律先輩、澪先輩、私

蒼い夏の空の下、みんなで映った写真

中心にいるむぎせんぱいを、みんなが見ている構図

私とむぎせんぱいだけが

まっすぐカメラをみている構図

『最高の一枚』



109 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:12:08.49 ID:b7GssNeko



風子「どうしてみんなむぎさんを見てるの?」

律「シャッター押す寸前に変なこと言ったんだよ、むぎが」

紬「・・・」エヘヘ

風子「梓ちゃん・・・しっかりむぎさんの腕にしがみついてるね」

梓「そうですけど、問題があるんですか?」

風子「ないよ・・・」

梓「じゃあいいじゃないですか」

風子「私たちにはないよ。2年生たちに見せたらどうなるのかなぁ」

梓「問題ありますよ!ダメですっ!」

風子「分かった。・・・みてみて、冬ちゃん」

梓「やめてくださいっ!」

冬「わぁ~・・・立派な列車ですね」

風子「そこじゃないよ、中心の二人を見て」

梓「だから、強調しないでくださいよっ!」

冬「綺麗な人ですね・・・」

風子「むぎさんと梓ちゃんを見て欲しいな」

冬「あ・・・あずさ・・・ったら・・・」

梓「・・・」

澪「ほら、仙台の七夕祭りの写真」ペラッ

梓「澪先輩!?」

風子「むぎさんの両腕に花だね」

冬「・・・」

律「中学生に対抗して梓がしがみついてんのな」

紬「・・・」ポッ

唯「きゅるるるりん!」

梓「・・・くっ」

夏「あっはっは!」



110 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:13:13.15 ID:b7GssNeko


姫子「雨降って地固まる・・・かな」

いちご「・・・うん。よかった」

信代「・・・ふぅ」

春子「結構、荒治療だったな信代」

信代「・・・うん」

夏香「ありがとう」

英子「本当に、ありがとう」

信代「時には急ぎ過ぎて失うこともあるよ・・・仕方ない・・・」

律「・・・」

信代「風子の笑顔に助けられていたから・・・なんて・・・ね」

姫子「・・・へぇ」

信代「今の無しで」

唯「聞いちゃったよ・・・」ジーン



111 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:13:39.74 ID:b7GssNeko


梓「あれ・・・虎徹は・・・?」

澪「さっき出て行ったけど?」

梓「・・・そうですか」

夏「どうして虎徹がここにいたんですか?」

澪「エリが連れてきたようだったな・・・」

梓「よく分からないヤツですね」フッ

虎徹「・・・」ジー

梓「なんでいるの・・・」

虎徹「・・・」フンッ

梓「その反応はなに!?」

エリ「あはは、仲いいよねやっぱり」

アカネ「うん」

唯「あれ、みんなどうしたの?」

三花「コテッチャンに連れて来られたの」

澪「・・・?」

エリ「さっきもね、まっすぐここに走ってきたんだよ・・・虎徹は」

澪「・・・どうして・・・?」

姫子「むぎを呼びに来た・・・?」

律「すげえ!」

純「いや・・・梓を呼びにきのでは・・・?」

虎徹「にゃ~」スリスリ

紬「・・・」ナデナデナデナデ

虎徹「・・・」ゴロゴロゴロゴロ

梓「・・・」

虎徹「・・・」ピョン

梓「・・・」

虎徹「・・・」モゾモゾ

梓「・・・」

虎徹「」ウトウト

梓「なにしにきたの・・・」

虎徹「」スヤスヤ

梓「意味が分からない・・・」



112 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:15:29.64 ID:b7GssNeko


いちご「もう準備は終わったの?」

ますみ「うん・・・大丈夫・・・」

律「あ、私らなんにもしてないなー・・・」

愛「いいですよ。出来ることをしただけですから」

和「えぇ、完成度125%よ」

「「「 そんなにっ!? 」」」

美冬「和さんが、『現在の20%引いておいたらいいのよ』って」

ちか「なるほど、それは名案だね」

憂「おかげで余裕をもって明日を迎えられますね」

曜子「ここがけいおん部・・・」キョロキョロ

「私も初めて入った・・・」

「・・・うん」キョロキョロ

澪「なんだか・・・自分の部屋に友達を招いたかのような気分だな・・・」ソワソワ

律「掃除しておいてよかったぜー」

澪「律はしてないだろっ!」

唯「おぉ、響子ちゃんにキミ子ちゃんウェルカムだよ!」

響子「・・・歓迎してくれるの・・・?」

キミ子「・・・」

律「なんだ・・・ゾロゾロと・・・」

潮「前夜祭しよーぞ!」

律「いーいぞ!」

冬「やったぞ!」

純「・・・え」

夏「頑張ったんだから引かないであげて純!」

姫子「みんなテンション上がってきたね・・・」

春菜「楽しいねー。春子さんのところでやった鍋の時も楽しかったよね」

圭子「うん」

いちご「・・・なにをするの?」

唯「なにしよっか!」

未知子「・・・鍋」ボソッ

律「誰だ鍋って言ったのぉー!」

多恵「・・・」

律「名案だー!!」

さわ子「1時間後に施錠よ」

唯「みんな急いで!」

澪「いや、無理だから」

紬「・・・」ニコニコ



113 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:16:32.43 ID:b7GssNeko


風子「むぎさん」

紬「?」

風子「ありがとう」

紬「・・・」ニコ

梓「・・・」



114 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/13(火) 18:25:09.30 ID:b7GssNeko


―――――夜・梓の部屋


結局、前夜祭という事で騒いだ

あの人数で

あの部屋を埋め尽くして


冬とふぅ先輩がはしゃいでいるのを

夏と姫子先輩が見守っていた

その光景をとっても嬉しそうに

むぎせんぱいが眺めていた


胸が苦しかった

この部屋を埋め尽くすほどの人を繋いだのはむぎせんぱいだから

その人が

この場所から居なくなるという事実が

胸を締め付けた


時間が過ぎても

さわ子先生はなにも言わなかった

唯先輩が無茶を言っても

和先輩は止めなかった

憂がそれに加わって

純も調子に乗って

律先輩の勢いが増してしまった

澪先輩がそれを困った風にしながら笑っていた



いよいよ明日

学園祭が始まる




115 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/14(水) 09:14:03.44 ID:E1XWakbEo

終わりが見えてきたな
ムギの声はなんとかならんものか






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梓「いつかみた、あの大好きな、空の下で」#9月25日
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