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憂「お姉ちゃん。学校に遅刻するよ?」唯「私もう社会人なんだけど」#後編 【非日常系】


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憂「お姉ちゃん。学校に遅刻するよ?」唯「私もう社会人なんだけど」#前編
憂「お姉ちゃん。学校に遅刻するよ?」唯「私もう社会人なんだけど」#後編




107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 22:49:39.26 ID:LqpTs3Q1P

 ――

 ―― ――

律「で、何でお前らそんなに服装が乱れてるわけ?」

梓「ちょっとした感情のもつれがありまして……」

唯「珍獣ハンターごっこが止まらなくなりまして……」

律「なんのこっちゃ分からんが、ともかく行くぞ。暴露話は酒が入ってからな」

梓「了解しました」

唯「んー、ふふふ」

律「唯? なんか落ち着きがないな。特に口角辺りが」

唯「ちょっとねー。ふふ」

梓「……」

唯「ねっ。あーずにゃん」

梓「まぁ、いいんじゃないですか。それで」


律「……なんとなく感じ取ってしまったんだが、あえて聞かないでおこうか」



110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 22:53:45.17 ID:LqpTs3Q1P

律「っつーことで、乾杯! ぐびぐびっ! ぷはぁっ!」

梓「は、早い。なんという飲みっぷり……」

律「接待で鍛えられてるからな。ピッチャーの一つや二つは軽いもんだぜ」

唯「やるねぇりっちゃん。私だって負けないよ。ぐびぐびぃ!」

律「ほおぉ。唯もなかなかやるな。しかしこの場は譲らんよ、ぐびぐびっ!」

梓「ちょ、ちょっとペース速すぎですって。話の前に潰れたら元も子もないじゃないですか」

唯「それならそれでいいじゃん。何か大事な発表でも控えてるの?」

梓「それは、えっと、近況報告とか色々あるじゃないですか」

律「カシスオレンジなお子様舌の梓さんに仕切られてもなぁ~」

梓「ビールは苦手なんです……。残念ながら」

律「あのなぁ。ビールの味にくらい慣れとかないと、
  社会に出てから人付き合いに支障が出るんだぞ?

  よぉしここはだな、バリバリ社会人であるこの私がピヨっこな梓の為に、
  近況を交えながら色々と説き聞かせてやろうではないか」

梓「愚痴だらけになりそうな予感……」

律「うるへぇ! その分お前の話だって聞くんだからな。
  まずはだな、あれは、確か凍てつくような冬の日だった――」



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 22:57:19.77 ID:LqpTs3Q1P

律「――と、いうわけなのよ。
  いやぁ、ぶっちゃけ舐めてたね。今も辛酸を嘗めるような毎日だけどさぁ」

梓「うわぁ、予想通りブラック……」

唯「苦労してきたんだね……」

律「おいおい、別にお前らを悲観させるために打ち明けたんじゃないぞ。
  ぶっちゃけて、スッキリして、また明日頑張るための活力にする。それが正しい酒と友ってもんだ」

唯「りっちゃん格好いい! 惚れる!」

律「だろう? そのハートに不在通知が届いてたら、いつでも配達に伺うぜ?」

梓「キザ臭っ。おまけに酒臭っ……」

梓「でもまぁ、それだけの毎日でも頑張れるというのは、やっぱり恋が原動力になっているんですかね。
  私の前にも、そろそろいい人が現れてもいいと思うんですけど」

律「あ゛? 梓、何言ってるんだ。私の恋はキス放置だぞ。
  それ以上の関係になったこともなけりゃ、結ばれたことすらねーよ」

梓「え!? でも、確か唯先輩と電話で話した時、律先輩は昨夜お楽しみだったって聞かされたような」

唯「……てへっ」

梓「ちょっ、嘘だったんですか?」

律「まぁまぁ、唯さんには後できつーく言っておくとしてだ。
  とりあえず次に梓の近況を聞かせてもらおうではないか。
  どれだけ恋気がないかを暴露して、私を安心させるがいい。フハハハハ」

梓「どうしてそういう流れに……。まぁ話しますけど。あれは、確か木枯らしの吹く秋でした――」



114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 22:58:38.61 ID:LqpTs3Q1P

梓「――というわけで、もうしばらく音楽の道に挑戦してみようということになったんです」

律「ツマンネ」

梓「ガーン!」

梓「恋気のない話が必要だって言ったのは律先輩の方じゃないですか」

律「いやそれはさぁ、例えば片想いを手痛く叱咤されて傷心した思い出とか、
  そういう他人の不幸から蜜を絞れるような何かがさ」

梓「なんですかそれ。真剣に聞いてくれるかと思って話したのに……損しました、全く」

律「まぁまぁ、あんまり目くじら立てんなって。御意見述べたいことろは、ちゃーんと見つけたからさ」

梓「……例えば、どんなところですか?」

律「そうだなぁ。まず梓だってよく分かってると思うけど、
  いざ売り出されるようになった時、その社会人二人組は一体どうするんだ。
  売れる内に売らないと、次がいつあるかの分からん業界だろ。
  そんな時、仕事を優先するなんて言われたらどうするつもりだったんだ?」

梓「……それは、確かに前々からの課題点でした」

律「いざ時が来てからじゃあ遅ぇ。
  本気で目指してるならその二人を抜くか、その分お前が三倍動くかしかない。
  後、細かく突っ込みたい部分はいくつかあるが……
  そうだな、私が見たお前の未来予想図でも話してやろうか」

梓「私の未来……? 話してみて下さい」

律「ほぉう。食いつくねぇ」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:01:50.68 ID:LqpTs3Q1P

律「中野梓は自らの力によるデビューを諦め、
  ちょっと名の通ったグループたちのバックバンドに参加するようになる。
  結婚相手は音楽業界の誰か。これは両親がくっ付けようとする。
  ツテとコネを活かしてギターをかき鳴らす日々。
  年を食い、そのうち旦那と共に個人の音楽教室なんか開いたりする。
  音楽にまみれた人生は慎ましくも後すぼみに沈んでいく……。
  ちゃんちゃん!」

梓「……コメントしづらいです」

律「なぁ梓。お前の両親ってものすげー過保護じゃないか?
  娘のために人様のスタジオをタダで貸させるなんて有り得ねーよ。
  今まで、親経由で知り合いの業界人と会ったり話したりする機会なんか多かったんじゃないのか?」

梓「それは……たまに。ツテやコネを貰えるなら貰っておきたいですもん」

律「そいつはプロデビューへの手助けと共に、
  そうでない未来への保険でもあるというわけだ。どうだこの名推理!」

梓「はぁ……。でも律先輩はうちのバンドの演奏とか、他にも色々と知らないところがあるじゃないですか。
  それに業界のことなら私の方がよく知ってますし。決めつけられたくありません」

律「無知であるほどあれこれと空想できるもんだろ。酔っ払いの思考回路舐めんな、はっはっはー!」

律「んま、もう少し危機感を持った方がいいんじゃねーの」

梓「……頭の隅くらいには入れといてあげます」

律「そいつは有り難いこって」

律「……で、唯? どうした、さっきから黙りこくっちまって」

梓「そうですよ。おかしな推理屋は置いといて、唯先輩からも何か話して下さい」

唯「えっ、あぁ、じゃあ話すよ。あんまり面白いものでもないけど。
  あれは多分、茹だるような夏の日だと思ったけど――」



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:03:16.69 ID:LqpTs3Q1P

唯「――そんな感じで、勤め先の人たちとはあんまりうまくいってないんだ」

律「ふぅん。でもそんなの、馴染みの店に連れ込んで飲ませて吐かせれば仲良くなれるもんだろう?」

梓「律先輩の感覚でモノを言わないで下さい。別の世界なんですよ」

律「あぁん? そんなに吐くまで飲みたいってか?」

梓「い、いえ。滅相もない」

律「ったく。んで、他には?」

唯「他? って言われても、特に話すようなことはないよ」

律「そうか? 打ち明けてすっきりさっぱりーって顔になってないから、
  まだ何かあるように思えたんだけど……」

唯「ないない。ほら、私昔から嘘とかつけない性格だし」

律「だよな。私が制服出勤を目撃したのも、何かの見間違えだったんだよな」

唯「えっ!?」

梓「ちょっ律先輩、そんな言い方……」

律「いいだろ梓。このまま地味に語って解散なんて筋書きは用意してないんだから」

唯「え……。二人共、知ってたの?」

律「つい最近な。朝っぱらから箱を動かさなきゃならん時に、偶然通りかかったんだ」



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:05:21.36 ID:LqpTs3Q1P

律「まさか本当に学校に行くのかと思って、気になってさわちゃんに電話をかけてみたんだ。
  そしたらある程度の事情は教えてくれたよ。
  いい加減、他の誰かからガツンと言って欲しかったらしい。

  んで、その日の夜に飲み会の連絡をまわした。
  参加できる梓には、唯と憂ちゃんの状況、それから余計な入れ知恵をしてやった」

梓「黙っててすいませんでした。この場まで持ち込まないと、誤魔化されそうだったもので……」

律「うん。そういうことだ」

唯「そっか。さわちゃんが……」

律「なぁ唯。辛いとは思うけど、憂ちゃんの様子を話してみてくれないか?
  もし私たちで力になれるなら、なってやりたい」

梓「そうです。話すだけでも、一人で抱え込むよりずっと楽になれるはずです」

唯「りっちゃん……。あずにゃん……」

唯「うん。ごめん。ありがとう。……何から話せばいいのかな」

梓「憂が変わっちゃった経緯、とか」

唯「そうだね。あれは確か、桜が舞う季節のことだった――」



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:08:01.19 ID:LqpTs3Q1P

唯「私はまだ就職したてで、憂は大学四年生になってた。
  その日珍しく、憂が弱音を吐いたんだ。
  卒業論文の作成がどうしても捗らないって。
  でも憂は私より全然頭がいいし、すぐに乗り越えるものだと思ってた。
  何より私は仕事のことで頭がいっぱいだったから、構ってる余裕なんて少しも無かったんだ」

梓「そうしてる間に病状が進行していったんですか?」

唯「うん。でも、まだ緩やかな方だったよ。やっとおかしいと気づいたのは、その年の暮れ頃かな。
  憂が私に言ったんだ、留年するかもしれないって。始めは冗談かと思ったけど、そんなことなかった。
  その時に始めて知ったんだけど、卒業論文は半分も進んでなくて、残りの十単位まで零しそうだって」

律「憂ちゃんは出来る子だったからな。凄いショックだったんだろう……」

唯「そうだね。でも涙を見せたのはその時だけだったし、
  結果として憂は五年目に入って、再スタートを切ったから。
  やっと余裕ができた私は、なんとか憂をフォローしようとしたんだけど、
  余計なお世話はいらないって撥ねつけられちゃって……」

梓「憂は、唯先輩のお世話をするのが大好きだったから。される側は……」

唯「取り付く島もなかったかな。
  そのうち私は、憂を信用してあげることが姉としての在り方だーって思うようになっちゃって。
  それで、その年の冬に入った頃、大学を中退しちゃった。
  唐突に辞めたって聞かされて、それからはずっと家に。
  病状が酷くなって、制服の話を持ち出してきたのは今年度に入った辺りかな」

律「そして今日に至るまで、ずっと憂ちゃんを繕って生活してきたのか」

唯「そういうことになるね」

梓「他の具体的な症状はどんな感じなんですか?」

唯「物覚えの悪さから始まって、家事が疎かになったり、
  何を思ってるのかぼんやり佇むことがあったりして」

梓「それって、やっぱり……」



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:11:32.69 ID:LqpTs3Q1P

律「アルツハイマーだな。若年性の」

唯「うん。何冊か本を買って見てみたけど、それで合ってると思う」

律「思う? 医者に連れて行ったことはないのか?」

唯「……うん」

律「それはマズイだろ……」

梓「まぁ、今は過ぎたことを悔やんでも仕方ありませんよ。
  唯先輩、原因は何だったんですか。対策はあるんでしょうか」

唯「脳の萎縮なんかが引き起こすらしいけど、未だはっきりとは定義されてないみたい。
  対策は……基本的には投薬治療で抑制することができるって」

律「……なぁ唯。どうして憂ちゃんを専門医に診せようとしなかったんだ?」

唯「それは、だって、たまに良くなる時もあったし、いつか元に戻るかもしれないって。
  憂が社会から障害者だって認められること自体も悔しかったし……」

律「……そうか。その気持ちは、他の誰かじゃ理解しずらいかもしれないな。
  けど、放っておいても治る見込みがないことは、誰よりも唯自身が知っていたことなんじゃないか」

唯「……そうだよね。うん、私が悪いんだよ。私が憂を道連れ穴に落としたようなものだから……」

梓「……む、むううぅっ!」

梓「唯先輩が悲観していたら、憂だって辛い気持ちになるはずですっ!!」

唯「あずにゃん……」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:14:37.09 ID:LqpTs3Q1P

律「まぁ、病は気からってのは、どんな大病にだって当てはまるものだよな」

唯「りっちゃん……」

律「でも無理は禁物だぞ。
  支えが必要な時は遠慮なく使うんだ。その為に私たちがいると思ってもいい」

梓「はい。その通りです。私なんて暇な時間ばかりですから、ばりばり労使しちゃって下さい」

律「おい梓。お前は自分のことを見つめ直すべきだと
  有り難く説き聞かせてやったばかりだと思うんだが」

梓「丸ごと誰かの言いなりになるほどお馬鹿じゃありませんよ。
  御忠告は、後からよーく吟味して選別させてもらいます」

律「てめーコノヤロー! 先輩の忠告も聞けないってのかー、いあっはー!」

梓「ちょ、ちょおっ。いきなり絡まないで下さい!」

律「ホレホレェ頭皮が急上昇したデコ具合を堪能するがいい!」

梓「やめて下さいってば! 熱いです、摩擦は熱いですううぅ」

律「伝染しても責任はとらねえぜええぇえぇ」

唯「……ぽかーん」

唯「ふふ、はは。あはははははははっ。はぁーっ」

律「どーした。ゆーい」

唯「なんか、昔のことと今のことがあまりにも違い過ぎて、
  ギャップっていうか。なんだろう。私にもよく分かんないや」



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:16:19.89 ID:LqpTs3Q1P

律「少しは肩の力抜けたか?」

唯「うん。少しは、何かが抜けたような気がする」

梓「その意気ですよ。先輩」

唯「ありがとう。昔みたいな前向きさを思い出してみようかな」

律「ポジティブ唯再誕だな」

律「で、肝心の憂ちゃんだけど、今の時間何やってるんだ?」

唯「家にいると思う。多分ご飯は食べれてる。
  あっ、でも昨日は迷子になって隣町まで行っちゃったし、今日も何か……」

律「ふむ。そうか……」

律「とりあえず、この場はもうお開きということにしますか」

唯「二人共ごめんね。私のために設けてくれたみたいなのに」

律「唯のために開いた会なら、閉める時も唯のためだ。
  だがしかし、これはあくまでも貸しっつーことを忘れるなよ」

唯「りっちゃんきちくー」

律「大人の厳しさと言えい。ともかく、今は早く憂ちゃんの元に行ってやりなよ」

梓「そうですよ。ちなみに私もついていきます。といいますか、行ってもいいですか?」

唯「え、あずにゃんもくるの!?」



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:17:49.50 ID:LqpTs3Q1P

梓「いけませんでしょうか……」

唯「ううん。そんなことないよ。ちょっと驚いただけ」

唯「確かね、回顧治療っていうのが用いられることもあるみたいだし。来てもらえるなら凄い嬉しいよ」

律「まー梓は高校からほっとんど体型変わってないみたいだし、うまくいくかもな」

梓「そっ、それは律先輩だって同じようなものじゃないですか!」

律「残念ながら私は着痩せするタイプに成長したのだよーん。
  見たいか? まぁここじゃ脱がないけどな」

梓「むぅ。いつか確かめてやるです……」

唯「あはは。それじゃ、そろそろ」

律「おう。次回は落ち着いた頃に会を開こう。
  けどまた一年後っていうのはちょっと遠すぎる気もするけどな」

唯「うん。次は潰れるまで付き合うよ」

律「期待してるぜ」

唯「ありがとう、りっちゃん。行こう、あずにゃん」

梓「はいです」



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:24:02.33 ID:LqpTs3Q1P

 プルルルル ―― ピッ

唯「もしもし平沢です」

さわ子『もしもし私よ。今空いてるわよね、ちょっと話しましょう』

唯「まだうんともすんとも言ってないんですけど」

さわ子『空いてるって分かってるからいいの。
    あなただって、そろそろ電話がくるんじゃないかなーって、予想してたんじゃない?』

唯「まぁそうですね。今夜の飲み会は、さわちゃんが誘発させたようなものなんだし」

さわ子『その通り。少しは気がほぐされたと思うけど』

さわ子『それで、今後の見通しはどれくらい立ってるのかしら?』

唯「はい。とりあえず近いうちに病院には連れていくつもりです。
  診断結果とその後の経過次第で、デイケアや養護ホームのお世話になろうかと」

さわ子『そうね。それしかないというのが現状だけど……』

さわ子『けど、憂ちゃんの年齢だと介護保険制度の対象にならないのが辛いところね。
    障害年金が支給されても、平日の全てでデイケアを利用するとなれば確実に不足が出るわ。
    
    そうでない日は丸一日つきっきりになる。
    憂ちゃんでも入れる養護ホームは……言わないでも分かるでしょう』

唯「はい。でも可能な限り一緒にいた方がいいと思ってます。私も、きっと憂も同じ気持ちなんだろうし」



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:34:15.16 ID:LqpTs3Q1P

唯「あ、ちなみに今夜はあずにゃんがうちに来てくれるんです。
  お泊まりセット用意してくるって言ってました」

さわ子『へぇ。というかあなた、あずにゃんだなんて、まだその呼び方から離れられてないの?』

唯「あずにゃんがいじけちゃうので離れない方向に決まりました」

さわ子『……そう。私にはよく分からないわ』

唯「ですよねー。……ねぇ、さわちゃん。いや、さわ子先生」

さわ子『なあに、平沢さん』

唯「私、分かったんです。大人になりきれてなかったって。今さっき気付かされました。
  飲み会の前に、あずにゃんの近況だけ先に聞いたんですけど、
  そこに少しも疑問とか、自分の意見を持つことができませんでした。
  けど飲み会の最中、りっちゃんは私が目にも止めなかったところをズバズバ指摘してました。
  ああいうのが、成長した大人なんだと思います」

さわ子『そう。それで』

唯「思慮深さっていうのかな。大人なら大人らしく、もっと考えてみようって。
  それで、私、今なら自分がしてきたことを説明できるような気がするんです」



143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:38:36.57 ID:LqpTs3Q1P

唯「憂のため憂のためって思ってきましたけど、本質を突けば結局自分のためだったのかなぁって。
  仕事でうまくいかなかったり、鬱積する日常のイライラなんかを、
  全部憂に押し付けることで楽になろうとして。

  だから悪い意味で憂を手放したくなかったし、
  そう、自分を高い場所に置いとくために利用してたんです」

さわ子『そう。あなたがそう答えるならそうなんじゃない』

唯「あれ……。以外と冷たいんですね」

さわ子『責められる立場にいたら責めたかったけどね。でも私は、接点が一つあるだけの部外者だもの』

さわ子『私から教唆できるのは一つ。
    アルツハイマーにかかった人たちは、総じて底知れぬ喪失感に襲われるということ。
    けれど自分で自分を没することはできないから、その摩擦に苦しめられるのよ』

唯「例えば、憂は私を登校させようとするにも関わらず、
  憂自身が登校しようとする頻度はずっと少ないこと。ですか?」

さわ子『その通り。きっと脳の神経が解釈をいいようにねじ曲げてるんだわ。
    病魔によってその神経が死ぬと、また結ばれちゃうのよ』



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:41:36.71 ID:LqpTs3Q1P

唯「憂は、私が卒業できた大学に躓いたことがよほど堪えたんだと思います。
  だから都合の悪い、大学に関する記憶が真っ先に消えちゃった。
  高校生活の途中に、家にこもって半年暮らした記憶がかぶさって、
  そこが混乱する理由だと思うんです」

さわ子『なるほどね。でもね平沢さん、事態は刻々と変わっていくわ。
    これからもっと酷くなる可能性だって』

唯「はい。でも周りの人間が和らげてあげることはできます」

さわ子『そう。そうでしょうね。でも共倒れしない程度に、ほどほどにね』

唯「分かってますよっ。んでもさわ子先生、アルツハイマーについて随分と詳しいんですね」

さわ子『そりゃあ教師だもの。それくらい知ってて当然なのよ』

唯「ふーん。音楽教師なのにですかー?」

さわ子『茶化すのはよしなさい』

唯「えへへ。それじゃあ、もう家の前なので切りますね」

さわ子『はいはい。私も忙しいんだから切るわよ。またね』

 ピッ

唯「よしっ。うん」

 ガチャッ

唯「ただいまー。うーいー! 帰ってきたよー!」

唯「……憂?」



157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:49:40.81 ID:LqpTs3Q1P

唯「憂? うーいー」


唯「ういっ!」

憂「……ぽー」

唯「あ、いた。よかった……。お昼ご飯ちゃんと食べた?」

憂「……ぽけー」

唯「おーい。おねむなのかな? 寝てるなら寝てるって返事しよう」

憂「……今何時?」

唯「んもう、起きてるなら起きてるって言おう! 今はね、夜の七時だよ」

憂「夜なんだ」

唯「憂、昨日はごめんね。お姉ちゃん、ちょっとどうかしちゃってたかも」

憂「昨日?」

唯「無理に思い出さなくてもいいよ。ゆっくりゆっくりね」

憂「……そうなんだ」

唯「あっ、今日の夕飯は三人で食べることになったんだよ。もう三十分もすれば来ると思うけど」

憂「三人……。誰?」



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:51:49.73 ID:LqpTs3Q1P

 ピンポーン

唯「あっ、きたきた。一緒に迎えにいこ」

憂「うん……」


梓「こんばんわー」

唯「やっほぉあずにゃん! いらっしゃい。さぁ上がって上がって」

梓「お邪魔します」

梓「……憂、やっほぉ」

憂「えっ、あの、えと……」

唯「どうしたの、憂。そんな他人行儀になっちゃって」

憂「え、だって……」

梓「久しぶり、にはならないのかな。分かるよね。私だよ。あ、あずにゃんだよー」

唯「憂、もしかして……」


憂「どちら様ですか? ねぇ、お姉ちゃん、この人誰なの?」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/19(月) 23:56:32.56 ID:LqpTs3Q1P

梓「そんな……」

唯「……」

唯「わ、私の友達だよ! 中野梓ちゃんって言ってね、猫みたいで可愛い子でしょ?」

唯「憂とも会ったことあるはずなんだけど、
  顔を直に合わせたことが無かったから……うまく思い出せてないだけだって!」

憂「そうなんだ……」

憂「すいません中野さん。あねーちゃんがお世話になっているようなのに」

梓「い、いえ。全然気にしないで。あ、いや、気にしないで下さい。ホント全然……」

唯「と、とにかく入った入った! ねぇ、とりあえず夕ご飯にしない? あずにゃんはもう食べれる?」

梓「……はい。空きっ腹に水分ばかりだったので、入るには入ります」

唯「じゃあ早く二階へ上がった上がった。今日は特製の出来合いディナーだよっ」

梓「無駄に豪勢そうに言わなくてもいいような気が……」

唯「細かいことは気にしないの。腹が減っては戦はできぬだよ」

憂「……」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:02:03.36 ID:wS+/wJsvP

梓「ご飯おいしかったなー」

憂「……」

梓「お腹一杯になっちゃったなー」

憂「……」

梓「ねこふんじゃったー、ねこふんじゃったー」

憂「……」

梓「……」


梓「あの……唯先輩。私にも洗いもの手伝わさせて下さい」

唯「だめだめー。客人はリビングでお腹を休めてなさい」

梓「でも、どうにも向こうは……。その、憂が」

唯「憂が……?」



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:05:09.94 ID:wS+/wJsvP

唯「テレビ見てるだけみたいだけど」

梓「そうなんですけど、少しも反応してくれなくて……」

梓「といいますか、食事の時からどこか変だったじゃないですか。
  遠くを見つめてたかと思うと、はっとして意識が戻って、きょろきょろと辺りを見回したり……」

梓「私、やっぱり来ない方がよかったのでは……」

唯「違う、違うって。いつもはもっと口数多いし、自分から動こうとするはずなんだけど……」

唯「きっと、昨日の夜のことがこたえちゃってるんだと思う」

梓「昨夜に何かあったんですか?」

唯「うん。喧嘩っていうか、一方的に私から怒鳴っちゃって。
  死んじゃえみたいなことまで言っちゃって……」

梓「それは……なんとも」

唯「記憶には残ってなくても、傷跡は抉られたまんまなのかな」

梓「そんなこともあり得るんですね……」



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:08:18.15 ID:wS+/wJsvP

梓「さてと、これくらいでいいでしょうか」

唯「うん、そだね。後はお菓子でも食べながらテレビでも」

憂「あれ、梓ちゃん、いつからいたの?」

梓「えっ……えええええええええっ!?」

梓「いや、さっきからずうっと……。っていうか記憶が」

唯「や、やだなー、憂ったら。
  テレビに夢中になりすぎて、あずにゃんが来たの分からなかったのー?」

憂「えっ、そうだったんだ……。
  ごめんね、梓ちゃん。私ちょっとぼうっとし過ぎてたかも」

梓「き、気づいてくれたなら別にいいよ」

憂「あ、そうだ。お姉ちゃんもうお風呂入った?」

唯「ううん。まだだけど」

憂「もう。先に入っちゃって」

唯「ごめんねぇ、今すぐ入ってくるから。……あずにゃん、いいよね」

梓「あ、はい。分かりました」

憂「何を二人で確認とってるの?」

唯「大したことじゃないから。別に何でも」



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:11:02.25 ID:wS+/wJsvP

唯「ぷはー。いいお湯だったー」

唯「ってあれ、あずにゃん一人?」

梓「あ、おかえりなさい。あの、できるだけ憂から離れないようにと思ったのですけど……」

梓「私の布団を敷いてくるからと。
  それで、ついていこうとしたのですけど、客人だからと強く反発されてしまいまして……」

唯「そっか。あ、ちなみに憂はどの部屋に布団を敷くって?」

梓「自分の部屋だそうです」

唯「まっ、そうなっちゃうよね。あずにゃん寝るときはよろし……」

唯「ふあぁあぁあぁ……。あくびが……」

梓「もしかして、唯先輩おねむですか?」

唯「うん、まぁ。体がぽっぽしてるし、昨日は早いうちに寝ちゃってたから」

梓「唯先輩は昔から早寝するタイプでしたもんね」

梓「ちなみに、明日もお仕事あるんですよね?」

唯「うん。本当は有給取って憂を病院に連れて行きたいんだけど、私でも急に抜けるのはまずいし……」

唯「だから、たくさんサービス残業して連休取ってこようかなぁって思ってたんだけど」

梓「……あの、もしよければですが、私に任せてもらえませんか?」



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:13:02.96 ID:wS+/wJsvP

唯「憂を、だよね?」

梓「はい。明日なら何の予定も入っていませんし、
  一時的かもしれませんが、記憶は戻ってるみたいですし」

梓「もしまた忘れられたとしても、
  私ならなるだけ危害が薄そうだと見られるはずです。いいでしょうか?」

唯「……うーん。今の憂を一人にしておくのは、たった一日でも危険を伴なうよね……」

唯「うん。あずにゃんさえ良いのならお願いしたいな」

梓「はい。任せて下さい! 不審者と思われたら不審者らしく、憂の遊び相手になりましょう!」

唯「さっすがあずにゃん頼もし、ふわああぁあぁぁ……」

唯「またあくびが……」

梓「ですから、もうお休みして下さい。寝不足ですと後から響いてきますよ」

唯「んん。そうしよっかな」

唯「後は任せるよ、あずにゃん。帰れそうな時間が分かったらメールするから」

梓「はい。任されましたです」



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:17:41.80 ID:wS+/wJsvP

 チュン チュン

唯「ほわああぁ。おはよー」

梓「あ、おはようございます。よく眠れましたか?」

唯「うん。たっぷりぃ。寝過ぎて逆にまだ眠いくらい……」

梓「なら顔洗って歯磨いてしゃっきりしてきて下さい。今日は頑張る日なんですよね」

唯「うんうん。今日は頑張るひー」

唯「って、おおう。もう朝ご飯が食卓に並んでるっ」

梓「キッチン使わせてもらいました。中野家の朝食ですけど、良かったら食べて下さい」

唯「もちのろんろんだよ」

唯「いやぁ、あずにゃんはきっといいお嫁さんになれるよ。私が保証してあげる」

梓「それはどうもです。でも、一口食べてみてから判定して欲しかったですけどね」

唯「ありゃ、ごめんねぇ。顔洗ってくる~」



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:24:08.55 ID:wS+/wJsvP

唯「ぱくぱく。もぐもぐ。ごっくん」

唯「おいしー。やっぱりあずにゃんはお嫁さんの素質あるよ」

梓「……どうもです。でも唯先輩だって、
  全く料理をしないなんてことはなかったんじゃないですか」

唯「んー。だけど、私は努力して美味しい料理作ろうなんて思ってこなかったから」

梓「そうなんですか。お仕事忙しいなら仕方がないんですかね」

唯「うん、まぁ。それで……憂はまだ寝てるんだよね?」

梓「ぐっすりです。唯先輩が家を出るまでは絶対に起きないと思います」

唯「てことは、昨夜は結構夜更かししちゃったんだ」

梓「まぁ、日付変更線は過ぎてましたね。深夜アニメ見てからお布団に入りましたし」

唯「ふぅん。他には二人でどんなことしてた? 腐ったスフレは食べてないよね?」

梓「……そんなものがあるんですか。
  だいたい家の中を探検したり……あ、でもお風呂にはちゃんと入りました」

唯「そっか……。探検っていうのはうまい言い方だね」

唯「実を言うと、昨夜も探検してたみたいなんだけど。
  あずにゃんがいたから、平気かもって思ってたんだけど」

梓「みたい、というのはどういうことですか?」



202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:26:15.46 ID:wS+/wJsvP

唯「朝起きてから跡を見つけたんだ。
  床に、涙と鼻水でぐっしょりな水たまりがいくつもあって……」

唯「私がぶつけたストレスを、何らかの方法で解消しなきゃってなった結果なんだよ。きっと」

梓「……そうだったんですか」

梓「でも昨日の憂は、悲しそうな感じには見えませんでした。あれから呆けることもなかったですし」

梓「あ、そうだ。何故かいの一番に大きな亀のぬいぐるみを引っ張り出したりしてました。
  唯先輩たちが修学旅行に行っていた時、憂がホームランを出して獲得したやつです。
  お布団に入ってからは、その日の思い出話で盛り上がって、
  まるで昨日あったことみたいにお喋りしてました」

唯「……ねぇ。もしかして、憂はそのまま、いつの間にか寝ちゃったって感じ?」

梓「はい、そうでしたけど」

唯「純ちゃんがどうとか口に出してなかった?」

梓「話題には一応出てきましたけど、おおよそ疑問を抱くようなところは無かったと思いますけど」

唯「んー。やっぱり考えすぎかな。うんうん、あんまり気にしないで」

唯「って、早く支度しないと出勤遅れるじゃん! 急げ急げいそいそそそ」

梓「成長してるんだかしてないんだか分かりませんね」



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:31:40.41 ID:wS+/wJsvP

唯「あっ、おばあちゃん」

とみ「あら、唯ちゃん。おはよう」

唯「おはようございますっ」

とみ「まぁ、今朝はとっても格好いいスーツね。よく似合ってるわよ」

唯「ありがとうございます。今度からは、毎朝これで社会に出ていけるかなぁって」

とみ「そうかいそうかい。もう、お婆ちゃんが余計な心配をすることもなさそうだね」

唯「はい。色々気を使ってもらってすいませんでした。もう大丈夫です!」

とみ「まぁたくましいこと。こんな若者ばかりだったら、私の孫の世代までは安心できるねぇ」

唯「えへへ、そうかなぁ……」

唯「でも、でもね、私は凄い恵まれた方だと思うんだ。
  お婆ちゃんからも心配してもらったし、友達からも助けてもらったし。
  アルツハイマーの人も、その人を介護する側でも、
  支えが欲しくても見つからない人はずっとたくさんいると思うんだ。
  運良く拠り所を見つけられた私が、単純に喜ぶだけっていうのはちょっと違うかなぁって思って……」

唯「だからね、もし同じように困ってる人がいたら、貰った優しさを分けてあげたいんだ。
  一本なら倒れちゃっても、二本三本合わされば
  きっと丈夫になるはずって昔の偉い人も言ってたはずだから!」



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:34:09.39 ID:wS+/wJsvP

唯「……なんて偉そうに言っちゃったけど、
  じゃあ何をするかなんてすぐ浮かんでこないし、今は自分のことで手一杯なんだけどね」

とみ「ううん。今はその気持ちさえあればいいのよ。
   あなた人生まだまだ長いんだから、じっくり考えてからでも遅くないわ」

唯「うん。……いや、はいっ!」

とみ「うふふ。私こそ偉そうだったかしら」

唯「ううん。ありがとうお婆ちゃん。私、今の気持ちを忘れないまま頑張ります」

とみ「そう。頼りにしてるわ」

唯「じゃ、お婆ちゃんまたね。いってきます」

とみ「はいはい。いってらっしゃいね」



218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:35:17.75 ID:wS+/wJsvP

唯「企画書コピーし終わったら人数分の冊子を作ってー、っと」

唯「廃棄書類はさっさとシュレッダーにかけてー、っと」

唯「下請けさんの定時報告まとめを片付けてー、っと」

唯「ふぅ……。忙しい忙しい」

「やぁ、平沢君。今日は精が出てるね」

唯「あ、部長。あの、休暇の件見ていただけましたか?」

「ああ、うん。君はまめに働いてくれてるからね、了承しておいたよ」

唯「ありがとうございます」

「それにしても、随分と長くとるみたいだけど、大事でも起こったのかい?」

唯「はい、少し。妹を病院に連れていく必要があるので、それで結果によっては側に……」

「なるほどね。君が早く戻ってきてくれることを願ってるよ。妹さんにもよろしく」

唯「はい。ありがとうございます。ですから今日はやれるだけの……」



「平沢さーん。お電話でーす」



226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:39:49.07 ID:wS+/wJsvP

唯「あ、はーい。まわしてくださーい」


唯「もしもし。お電話かわりました、平沢です」

さわ子『もしもし、私桜高の山中さわ子よ。
    お仕事中にごめんなさい、携帯には何度かかけたんだけど繋がらないから。
    この番号にかけるのにも躊躇はしたんだけど……』

唯「いえいえ、もう受話器取っちゃいましたからいいですよ」

さわ子『そう。本当に悪いわね。でも、それ以上に悩ましいことが、こっちでは進行形で起こってるのよ』

唯「ということは、つまり……」

さわ子『憂ちゃんがきてるわ。付き添いの中野さんも。もう一時間以上も校門の前で粘ってるのよ』

唯「……憂の様子はどんな感じですか?」

さわ子『にべもないわね。大声を上げるものだから、近隣住民も、生徒たちからも訝しく見られてるわ。
    私が出てなんとか抑えてたんだけど、今職員室に戻ったら、警察を呼ぶべきかどうか話し合ってるの』

唯「そうなんですか……」

さわ子『監督責任者として聞きたいわ。どうする? どうして欲しい?』

唯「私は……」



232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:43:32.94 ID:wS+/wJsvP

唯「行きます。今すぐに」

さわ子『そう。なら先生たちはなんとか抑えてみるわ』

唯「はい。お願いします」

唯「……あの、さわ子先生」

さわ子『うん?』

唯「先生には、先生としての立場と仕事があるのに、色々とすいません」

さわ子『何言ってるのよ。今こうやって人様のお仕事に待ったをかけてる私が、
    そうですねと同意できるわけないでしょう』

唯「あぁ。考えてみればそうでした」

さわ子『全く。もう切るわよ』

唯「はい。また」



唯「……あの、部長」

「分かってるよ」



236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:44:32.74 ID:wS+/wJsvP

「妹さんのことだろう。すぐに行ってやりなさい」

唯「はい。すいません、突然に」

「いいんだよ。予定通りに進むばかりが人生とは限らない。
 残りはまわりの誰かに引き継がせておくから」

唯「部長……」

「ほら、早く行った。君の席が無くなるわけじゃあないんだから」

唯「はい。ありがとうございました!」




240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:45:29.60 ID:z1YtbMxm0

こんな部長すら居ないこんな世の中じゃ



241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:45:30.17 ID:N0Tqonmb0

部長イケメン



244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:46:24.07 ID:CP+b2DIA0

部長良い人すぎて泣いた



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:47:21.64 ID:vMPfCtFvO

部長理解ありすぎワロタ
こんな部長いたら日本の労働問題も少しはマシになるのかな





246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:48:35.29 ID:wS+/wJsvP

唯「はぁっ、はぁっ」

唯「いた……憂……」


憂「何度言ったら分かるんですか! 私は桜高の生徒なんです! いい加減に通して下さい!」

「いや、だからね、もう少しよく思い出して……」


唯「……憂、もういいよ」

梓「唯先輩!? 会社に行ったはずじゃあ……」

唯「さわちゃんから連絡貰って飛んできたんだ」

梓「そうなんですか……。
  すいません、任せろなんて言ったのに、引き止めることができなくて……」

唯「ううん、あずにゃんのせいじゃないよ。憂の側にいてくれてありがとう。後は私に」

憂「ちょっとお姉ちゃん! 何で校舎の中にいないの? 何でスーツなんて着てるの?」

憂「勝手にズル休みなんてして! そんなに悪い子に育てた覚えなんてないよ!」

憂「どうしてお姉ちゃんは何でなの、どうして……」

唯「憂……。混乱してるんだね」



249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:51:47.63 ID:wS+/wJsvP

梓「憂は、起きるとすぐに純がいないって騒ぎ出したんです。唯先輩の言ったとおりでした」

梓「思えば私がきちんとしたお泊りに行ったのは、あの雨の日限りでした……」

唯「そっか。だから一部だけ蘇ってきて」

憂「二人とも何話してるの? いいから早く、今ならまだ遅刻で済まされるから」

唯「憂、あのね、よく聞いて。憂はもう高校生じゃないんだよ」

憂「……何言ってるの。そんなことあるはずないよ」

唯「今は分からなくてもいいよ。これからじっくり、時間をかけて頭に入れていけばいいからね」

唯「憂は出来る子なんだから、すぐに物分りがつくよ。お姉ちゃんもできるだけ協力するから。ね?」

憂「なに……なんなの……」

唯「自分が分からなくて凄く怖いんだよね。大丈夫。憂は憂のままここにいるんだから」

唯「私がちゃんと見てるし、今はあずにゃんだって側にいてくれてる。恐がることなんてないんだよ」

憂「……嘘」

憂「うそ、うそ、うそ! 何でそんな嘘言うの……!
  もう何も分かんない! みんな嘘! お姉ちゃんの嘘つき!」



 バヂンッ!



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 00:54:11.81 ID:wS+/wJsvP

梓「だ、大丈夫ですか? 唯先輩……」

唯「……はは。生まれて始めて妹にぶたれちゃった……」

憂「お姉ちゃんはそんな、偉そうに言ったりしないもん。今のお姉ちゃんは全然知らない人だよ」

憂「だってお姉ちゃんは、いっつも家でごろごろしてて、私がお世話してあげないといけなくって」

憂「私が作った料理をおいしいおいしいって言ってくれて。子供みたいにアイスをねだって」

憂「そんなところが可愛くて、もっともっとお姉ちゃんに色んなことしてあげたくなっちゃうから」

唯「……」

憂「でもギー太を弾いてる時のお姉ちゃんは誰よりも格好良くって。そこもまた大好きで」

憂「お姉ちゃんはお姉ちゃんだもん。ずっと変わらない私だけのお姉ちゃんで平沢唯なんだから」

梓「憂、いれ以上言うと唯先輩が」

憂「ううん、もっとあるよ。私、ちゃんと知ってし。例えば一緒のマフラーで」

唯「憂ッ!! もうやめなさい!!」

梓「だ、駄目です! 手を上げるのは」



 ぎゅっ



271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:01:47.84 ID:wS+/wJsvP

憂「お、お姉ちゃん? 苦しいってば……」

唯「そうだよ。憂は苦しいんだよ。だから私も同じだけ苦しい。だって、姉妹……だか、ら……」

憂「……泣いてるの?」

唯「……うん。憂は、どんな顔してる? 耳しか見えないよ」

憂「私は……なんだろう。よく分かんない」

唯「もう、おとといので、涙は枯れちゃったのかな」

憂「……どうなんだろう。多分、悲しいんだと思う」

憂「でも、お姉ちゃんの身体はあったかい」

唯「はは。始めから、口先で誤魔化すより抱きしめるべきだったのかな」

唯「憂、なんにも心配いらないよ。
  大好きなおねーちゃんはここにいるから。今は余計なこと考えなくていい」

憂「……うん」



276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:04:38.06 ID:wS+/wJsvP

さわ子「ちょっと、そこのアツアツ姉妹さん」

唯「あ、さわ子先生」

さわ子「やっと抜けだしてきたけど、どうにか纏まったってことでいいの?」

唯「はい。おかげさまで」

さわ子「そう、良かった。と言いたいことろだけれど、あまり時間はないわ。
    昼休みで生徒が校舎から出てくる前に移動しないとパトられちゃうかもしれない」

さわ子「それで、丁度いいことに今の私はフリーなのよねー。
    どこか車で乗せていって欲しいところとかあるかしら?」

唯「それなら……」

唯「ねぇ、憂。お姉ちゃんに付いてきて欲しいところがあるんだ」

憂「……どこ?」

唯「憂と私が、私たちを見つめ直すところ」

憂「見つめ直す?」

唯「うん。これから二人が生きていくために必要なところだよ」


唯「……病院、いこっか」



283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:08:01.54 ID:wS+/wJsvP

 ――

 ―― ――

律「なんだよ今日は二人だけかよー」

唯「私じゃ不満だっていうのー?」

律「いやいや、そんなことはないがな。ないが! ムギが前日キャンセルとかな……」

唯「大事なお仕事の予定が入っちゃったんでしょ?」

律「うん……。まぁそうらしいんだけど。せっかく久しぶりに顔が拝めると思ったからさぁ」

唯「少し時期がずれるだけだって。会えなくなるわけじゃあないんだから」

律「……唯はすっかり仏様みたく寛容になっちまって。あぁ悲しきかな。私だけが置いて行かれる……」

唯「今日のりっちゃんはなんともネガティブだね。この前は私を散々元気づけようとしてくれたのに」

律「生まれて始めて告白して振られましたな二十五歳の千秋楽……。ううぅ、わーん!」

唯「ふむぅ……。なら飲んで充電するしかないね! そーれそれー」

律「おくひにちょくへつそそくのはやめへぇっ!」



286 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:10:20.39 ID:wS+/wJsvP

律「で、結局憂ちゃんのことはどうなったんだ?」

唯「うんとね、あの日にさわちゃんに病院まで送ってもらって、診てもらったよ。
  飛び込みだったから随分待たされちゃったけど」

律「きちんとした告知もしたのか?」

唯「うん、したよ。その時のことを、今覚えてるかどうかは定かじゃあないけど」

律「そうか……。大変だったな」

唯「でも憂は泣き喚いたりしなかったよ。きっと、前から薄々感じ取っていたんだよ」

唯「その次の日は、あずにゃんとさわちゃんに手伝ってもらって一連の手続きを終わらせられたんだけど」

唯「あっ、でね、その最中に知ったことなんだけど、さわちゃんのお母さんも認知症だったんだって」

律「……なるほどな。どうりで詳細に知ってたわけだ」

唯「もう亡くなっちゃったみたいなんだけどね。で、そのお母さんのいた養護ホームに、今憂はいるんだ」

律「例の、デイケアじゃ無理そうだったってことか」

唯「うん。ちょっとね……」



唯「憂の頭の中から、私まで消えちゃったみたいだから」

律「えっ?」



304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:13:38.15 ID:wS+/wJsvP

律「唯……。そんな、本当なのか……」

唯「本当のことだよ。時折様子は見にいくけど、回復の兆しはないみたい」

唯「その施設は見るからに清潔なところでね、
  白に覆われた建物で、海が近くにあって、天国みたいなところなんだ。
  この前、車椅子に座った憂を遠くから眺めてたけど、
  なんだかそこで完結しちゃってる空間を見てるようだった」

律「……今の憂ちゃんにとっては、それが一番の平穏なのか」

唯「だね。その平和が守られ続ければいいんだけど」

律「……なぁ。そいつは、結構金のかかる施設なんじゃないか?」

唯「うん、まぁ。でも障害年金とか、私のお給料から捻出すればギリギリやっていけそうだよ」

律「そうか。金なら、もし消費者金融を利用したくなるくらい逼迫したら、まず私に相談しろよな」

唯「はいはい、ご贔屓にお願いね」



310 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:16:50.72 ID:wS+/wJsvP

唯「りっちゃんからの報告も早いとこ聞いちゃいたいな。
  べろんべろんになった後じゃ遅いだろうから」

律「私の肝臓は宇宙だがな。まぁ先に言っといた方がいいか」

律「放課後ティータイム再結成の件」

唯「今じゃ、勤務後の方が意味合いあたってるかもしれないけど」

律「だな。で、二人に連絡を取ってみるとだな……
  二つ返事で、やりたい!! って言われちまったよ」

唯「おお! 本当に再結成できそうだね!」

律「スケジュール合わせとかはまだ全然だけどさ、
  みんな前向きなんだ、近いうちに全員揃って演奏できると思う」

唯「はいはい。ムギちゃんのお菓子食べる、も追加で」

律「んなもん個人的にこっそりお願いしとけー!」

唯「でへへ、めんごめんご」

唯「……あれ? あずにゃんには聞かなかったの?」

律「いんや。向こうからお断りされちゃったよ。
  今のバンドが満足にいってないのに、他のバンドにかまける余裕なんてないそうだ」

律「しかし、きっちり対バンは申し込まれたけどな。
  こちとらまだ顔合わせにまで漕ぎつけてないのに、ひでーもんだ」

唯「あはは。でもいつかやりたいなぁ。ライブハウスで、あの冬の日に戻ったみたいに」

律「ああ。きっと遠からず実現するよ」



314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:19:05.01 ID:wS+/wJsvP

 チーン

「毎度ありがとうございましたー」


律「さぁて、明日も仕事だ。早く帰っておやすみしますかぁ」

唯「明日も残業だあぁ」

律「働く女は辛いなー」

唯「辛いからこそアルコールが染みるんだけどね」

律「んだ。千鳥足のうちに我が毛布へと飛び込もうぞ」

唯「うん。それじゃりっちゃん、また」

律「おう。お互いがんばろーぜ」



334 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:29:18.76 ID:wS+/wJsvP

「いらっしゃいませー。お願いしまーす。キーホルダー等、色々ありますよー」

唯「あ、あれってもしかして……」


唯「すいません。あの、ここに並べられてるものって……」

「はい。養護ホームさくらの里の方たちが作ったものなんです。障害のある方もいるのですけど、
 こうやって工芸品などを作って、外の世界との繋がりを持とうっていう企画なんです」

唯「そうなんですか。どれも細かく作りこまれてて、綺麗……。とても障害のある人が」

唯「て、あっ! このギターのキーホルダー!」

「気に入られましたか?」

唯「これ、レスポールだ。私が使ってた、ギー太と同じ色してる……」

「これは、一段と細部まで極め細やかみたいですね。
 作られる物っていうのは、作る人の心の影響を受けるものらしいですよ」

「ちなみに裏には、その方が作った証明に、イニシャルが掘られていたりするんです」

唯「裏に、イニシャル……」


 U.Y


唯「……買います。これ、下さい!」



356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:38:14.75 ID:wS+/wJsvP

唯「憂と私は、もう遠い遠い存在になってしまったけど……。
  けれどあなたが生きた証は、ずっとこの胸に詰まっています。
  そしてキーホルダーなんて子どもじみたもので繋がっていると信じています」

おわり




361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:39:19.10 ID:Q7gOw5Ht0

おつ



362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:39:32.01 ID:ejDzbVmb0

これでいいのだ




363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:39:36.14 ID:CP+b2DIA0

乙!



364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:39:39.48 ID:SPkaGVzp0

>>356
乙ー!
よかった



368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:40:13.36 ID:XdyY+sy80





369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:40:39.24 ID:OvZVKyle0





371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:40:55.03 ID:iPEsE5Qy0

乙!



374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:41:12.31 ID:XrswCU9EO





378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:41:43.39 ID:N4qy0PLI0

原作読んで寝るか。乙



379 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:41:47.43 ID:EF/8pUsV0

おつ!!



381 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:42:09.88 ID:Zd2fy8wL0

乙!



382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:42:22.45 ID:TX2J3Dyh0

GJ



384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:42:47.74 ID:XD62lD9z0

すげえ鬱になった…
乙。



391 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:48:38.74 ID:ciNjUcqo0

久々に面白いものを見れた




392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:49:06.05 ID:9pqzhw+D0


真剣に読み耽ってしまった
さあて宿題の続きやるか



393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:49:19.28 ID:cggW74KG0

>>1乙!!
おもしろかったぜ!!



394 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 01:50:46.95 ID:v4zxULjm0





401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 02:06:21.66 ID:ALboUzzYO

卒業後書いたSSってろくなのないな



404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 02:10:03.03 ID:2D0igaUk0

>>401
げんじつ!



408 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 02:34:09.63 ID:YwIO7iWnI

乙!!
不覚にも考えさせられたわ



417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 05:45:30.74 ID:kTp5HVY20

おつ



425 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 07:40:28.13 ID:6vmH9Tu70





428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 09:46:58.93 ID:WHT/eO0WO





434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 14:22:46.63 ID:yNrX7DFA0





435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/07/20(火) 14:23:27.61 ID:RedY+10v0





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[ 2011/11/07 21:07 ] 非日常系 | | CM(0)

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