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唯澪律紬梓「夢オチ!」#律 【非日常系】


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http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1300443452/

唯澪律紬梓「夢オチ!」#紬
唯澪律紬梓「夢オチ!」#律
唯澪律紬梓「夢オチ!」#澪
唯澪律紬梓「夢オチ!」#梓
唯澪律紬梓「夢オチ!」#唯




60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/22(火) 22:12:05.37 ID:qk3mKUjDO

次は律ちゃんの夢だよ!
律ちゃん編は夢オチ要らないような気がしないでもないけど、スレタイがあれなんで…はい…すいませんでした



61 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/22(火) 22:44:47.72 ID:qk3mKUjDO

~律部屋~


律「律っちゃんはね、律て言うんだ本当はよ♪」


律「なんちって」プッ


律「(眠・れ・な・い・よ~っと)」ポチポチ


時刻は深夜0時過ぎ、なかなか寝付けない。
こんな時は寝れるまで親友に付き合ってもらおうかとメールを打つ


律「(さすがにもう寝ちゃったよな…)」


寝てるのを起こしてしまうのは悪いと思って、送信はしないまま携帯を閉じる。


律「(羊が1匹…羊が2匹…羊が3匹…)」


まだまだ眠れそうもないな…と駄目元で羊を数えてみる。お前は子供か田井中律…!


律「(羊が24匹…羊が…羊は……)」スースー


律は心地好い眠りについた



64 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/22(火) 23:05:08.85 ID:qk3mKUjDO

日は昇り、部屋に朝日が差し込む


律「(う~…眩しっ)」


眠るのが遅かったせいか少し体が怠い。


律「さてっ…んっ~~…!」


思いっきり屈伸をした後、通学の準備をする。
鏡の前でブラッシング…!カチューシャを付ける…!

律「よしっと!ん、電話か」


律「(こんな朝早くか…澪だな)」



65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/22(火) 23:28:01.89 ID:qk3mKUjDO

律「はいはーい、澪しゃん」


澪『ゴホッ…ゴホッ…あぁ、律…』


律「おいおい、大丈夫か?」


澪『ゴホッ…あぁ…律…あのさ』


律「ん?なになに」


澪『今日、学級閉鎖で…休みだってさ、インフルエンザが流行っててさ』


律「なにぃ…」


澪『私もなっちゃったみたい…ゴホッ…唯もムギもなったって』


律「なんだよー、休みなら皆で遊びに行けたのにさ」ブー


澪『自宅学習になってるから…ゴホッゴホッ…律は勉強しろよ』


律「わかったわかった、それより律ちゃんは澪しゃんの体が心配だなっ」


澪『ありがと…』


律「お大事にな、ゆっくり休みな」


澪『うん…それじゃあ』プチッ


律「(さてさて…どこで遊ぼうかな)」



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/24(木) 12:25:53.77 ID:rI6zU84DO

律「(よりによって皆インフルか…梓は学校だろうし)」


親友の忠告なぞそっちのけで今日の予定を考える律。

律「(1人で時間つぶせるとこ…むむむ…)」


律「ゲーセンだな」


平日に学校が休みになって遊ぶことになるとお得感が2倍だ
皆さんもそんな経験ありませんか?


律「~♪」



67 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 21:06:44.67 ID:hGXRTc/DO

律は自転車を走らせる、胸に秘めた思いを載せて

今日は1人だ。
唯達と行くような、プリクラがたくさんあるような
小洒落たゲームセンターNo Thank you!


律「相変わらずだなここも…」


着いたのは廃れたゲームセンター、
看板は今にも消えそうな弱々しい光を放っている。
おそらく学校では私しか知らない穴場だ


律「(どれどれ、新しいゲーム入ってるかなー)」


ドアを開けると、煙草の臭いに思わず顔をしかめる。
真っ暗な空間 まるでゲームの液晶画面が照明の代わりのようだ


光男「おう、ここは女の来るとこじゃ…」


律「久しぶり、みっちゃん」


光男「おめぇ、律坊か…!!久しぶりじゃねぇか」


律「当たり!」


光男「ちったぁ女らしくなったじゃねぇか」ニヤニヤ


律「ずっと女の子なんですけどー…まぁいいや、瓶コーラおくれ」


光男「待ってな」



68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 21:25:09.77 ID:hGXRTc/DO

カウンターに控えしは、店主・田中光男(63)。
律が中学の時からの知り合いだ。中学の時は頻繁に来ていたが、
高校で部活が始まってからは全然来れないでいた


光男「ほらよ、おめぇ学校はどした?サボりか」ケラケラ

律「違うし、インフルエンザが流行ってさぁ、休みだって」


光男「ふーん、そういや馬鹿は風邪ひかないっていうな」


律「るせー、ほい代金」


光男「あーいらんいらん、それより久しぶりに店の売上に貢献しやがれ」


律「マジか!はいはいわかりましたよー」


憎まれ口を叩きながらも女には甘い光男であった



70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 21:40:43.94 ID:hGXRTc/DO

律「まずは格ゲーかな」


椅子に着くとまずは一口
キンキンに冷えたコーラが喉を潤す。


律「(懐かしいな…)」ゴキュ

瓶コーラも今では希少なもので、
地元で飲めるのはこのゲームセンターぐらいだ。
懐かしさも加わりその味は格別であるの


律「さて…やるかぁ!」


袖を捲れば戦闘準備は万端だ



72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/25(金) 23:23:28.99 ID:hGXRTc/DO

しばし、ゲームに没頭する律…


律「おっ、乱入かぁ。負けないぞー」


律のゲームの腕は中々のもので、
ブランクがあるとはいえ、そこら辺の相手には負けたことはない


律「とどめっ…よしっ」


難無く乱入者を返り討ちにする律。
対人戦の興奮は格ゲーの醍醐味であろう。
チーム編成、攻撃的、守備的な戦い方など十人十色であるからだ。


DQN1「だぁーっ!お前何やってんだYO!」


DQN2「うっわぁ、マジヤっベェ」


律「(楽しそうだ…)」ニヨニヨ

隣の二人組は大声で話しながら、ゲームをプレイしている。


律「(誰か誘えばよかったな…)」ゴキュゴキュ


隣が騒がしいとちょっぴり寂しい。
ワイワイやるのが好きな律だが、今は黙々とCPUを片付けていく。


律が瞬獄殺を決めた時…



76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/26(土) 14:37:36.12 ID:/Y69BC5DO

店の扉が開かれた


光男「おう…っと、嬢ちゃんここは初めてか?ここは男だけの戦場だ、けぇりな」


?「……ゲームセンターに国境はないはずだけど…」

光男「国境?ガハハ、冗談がうまいな」


?「しかも、あたし…男だし…」


光男「あんまり大人をからかうもんじゃねぇぞ、まぁ、いいや入りな」


?「ありがと…」


光男「ほれ、こいつは餞別だ」


そう言うと瓶コーラを渡す光男、やはり女には甘い光男、それでいいのか光男



77 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/26(土) 15:03:20.58 ID:/Y69BC5DO

DQN1「おい、見ろよ女が来たぜ」


DQN2「ヒュー…すげぇ可愛いじゃん」


律「(まーたこいつらは…)」


律「(女が来ただぁ?ここは男だけの戦場だぜ?どれどれ…)」


どんな奴が来たのか、振り返り出口付近を見てみる…

律「え…!あれって…」


律は自分の目を疑う、もう一度目を凝らして見てみる…間違いない


律「いちごじゃないか…!」シェー


思わぬ来訪者の正体は律のクラスメイツ、若王子いちごであった。



78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/26(土) 20:22:51.74 ID:/Y69BC5DO

律「(意外だ、いちごもこんな所にくるんだ…)」


驚きを隠せない田井中律18歳…
おそらく、クラスで一番ゲーセンには縁がないだろうと思われた若王子が目の前にいるのだ。


いちご「……」キョロキョロ


いちごが向かったのは、太鼓の○人。周りを目を伺うように辺りを見回している

律「(キョロキョロしてる、可愛い)」プークスクス


いちご「……」ゴソゴソ


いちごは鞄から取り出したものは、MYバチであった

律「ブホォ」


思わず口に含んでいたコーラを噴き出してしまった、周りの視線が痛い


律「(相当、やりこんでるのか…)」


どのぐらいの腕だろうか拝見してみようかと、後ろから様子を伺うことにした




79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/26(土) 20:24:00.70 ID:M/BqaukKo

マイバチだと……!!



81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県):2011/03/26(土) 21:12:52.62 ID:FBioS6Px0

>?「しかも、あたし…男だし…」
冗談きついぜおい


冗談だよな?



82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/27(日) 07:10:36.96 ID:mPT3F8eDO

>>81

冗談だよ!
光男が「からかうんじゃねぇぞ」って言ってるし



84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県):2011/03/27(日) 08:24:06.06 ID:iAN0SDpJo

まぁ、律の夢の中だし本当に男でもいいんだけどなww





86 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 01:13:47.34 ID:oY6jxchDO

>>84
世界中のいちごファンを敵に廻せと言うのか…!wwwwww



83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/27(日) 07:33:20.66 ID:mPT3F8eDO

いちごは深呼吸する…
いつも感情を表に出さない彼女であるが、
この時の彼女はこの…そう…キリッとしたような面持ちだ


レベルを選べドン!
ここで、いちごは選んだレベルは「おに」


律「(おにかよ…!)」


レベル「おに」
太鼓の○人では限られた者しか辿り着けない境地


曲を選ぶドン!


いちご「(Sweet bitter beautuy songにしよ…)」


選曲が終わりいよいよ若王子いちごの腕前が披露される…
律は固唾を呑んでこれを見守る


律「(どれどれ…)」


それじゃあ…始めるドン!

光男「(どれどれ…)」


店主も気になっているようで、煙草を吸いながらカウンターからこちらを伺う



85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/03/29(火) 01:12:25.67 ID:oY6jxchDO

イントロが流れる
Aメロが始まろうかという所で、画面上に流れる赤と青の○の羅列を見て驚愕する律…!


律「(隙間が…ない…)」


やれるのか…若王子…!!律の不安は募るばかりであった…
しかし、その不安は次の瞬間に打ち砕かれる


いちごは、とても人間業とは思えないスピードで太鼓を叩き始めた。


いちご「……」ポコポンポコポンドンチャッドンチャ


ぬわー!すげードン!!
画面上の太鼓のキャラクターの阿鼻叫喚
スコアは伸び続ける


律「すごいよぅ…」


曲は最後のサビに差し掛かかろうという所、
時間にしておよそ3分弱だろうか。とても短く感じられた。


律「へへっ…ワクワクしてきた…!」


いちごの神業を目の当たりにして沸き上がる高翌揚。ドラマーの血が騒ぐのだろう


そして曲は終わった。

おま…すげードン!ハイスコアだぜドン!
いちごはなんなく店のハイスコアを更新。


ランキング画面のトップに「Wおうじ」が君臨した



89 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/01(金) 07:21:10.46 ID:KImduJcDO

律「なるほど、若王子で…Wおうじって訳ね…」ザッ

いちご「…!」ハッ


律「せっかくランキングのトップになったみたいだが…
  残念ながらそのランキングはすぐに更新されることになる」


いちご「今日は自宅学習のはずだけど?」


律「あたしの辞書に勉強という文字はないのさ、つーかお前が言うな」


いちご「そう…じゃあ、一緒にやってみる?」


律「ああ、勝負だいちご」

いちご「いいけど…」


いちごの腕前を見て、沸き上がる興奮を抑え切れずにはいれなかった。

不思議と恐怖はない。
律は、この強大な敵「Wおうじ」を倒すことだけを考えていた。


律「(見てろよ…そのポーカーフェイスを苦悶の表情に変えてやる!)」


いちご「準備はいい?」


律「よっしゃ、いいぞ」


カウンターから一部始終を見ていた老父。


光男「こいつぁ…おもしれぇことになってきやがった」


これから始まる戦闘に興味津々だ。



90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/01(金) 07:21:58.77 ID:KImduJcDO

律はゲームは様々なジャンルを経験済ではあるが…
主に格闘ゲームをプレイする律が絶対的不利なのは明白であった。


律「(太鼓の○人は久々だなー、部活帰りにちょっと触ったぐらいか)」


いちご「じゃ…曲決めて」

律「よーし…じゃあ、ふわふわ時間で!」


レベルは勿論「おに」で、無謀なる挑戦者が王者に挑む。


それじゃあ…始めるドン!


戦いの火蓋は切って落とされた…!!



91 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/01(金) 07:22:58.69 ID:KImduJcDO

イントロが流れる…


律「(大丈夫だ…ドラムを叩いてるイメージで…)」

いちご「(田井中さんは軽音楽部だよね…一応、用心しとこ…)」


君を見てるといつもハートドキドキ♪


律「……」ダンダンポコポコ


いちご「……」スッポコポンポン


律「(なんだ、いけるじゃん)」タカタカダンダン


いちご「(流石、ドラム経験者…けど、お楽しみはこれから)」ドンチャスッポンポン



律「(サビの部分が勝負だ!)」


あーあ、神様お願い2人だーけーの♪


いちご「……」ダダダダピヨピヨ


律「くっ…!」ダンダン


いちごは、怒涛の如く押し寄せる画面上の○を、
コンピューターのように正確に画面上のアイコンを次々と打ち消していく
対する律は…



律「(ダメだ…!ついていけない…!)」



律を置き去りにするように音楽は流れ続ける


ふわふわ時間♪ふわふわ時間♪


いちご「ふぅ…」ホッ


律「(これが…LEVEL鬼か…)」



自信たっぷりにいちごに挑んだ律であったが、完敗であった。


勝てなくとも、もっと健闘するはずだった…だがそれは過信でしかなかった



92 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/01(金) 12:44:56.76 ID:KImduJcDO

律「ちくしょう…」チラッ


いちご「……」フッ


律「(ちょっと笑った!?)」


律「ぐぬぬ…いちご!も一回勝負だ!」


いちご「いいけど…」


ここまで馬鹿にされて引き下がるわけにはいかない。王者の微笑が律に火をつけた。


律「(見てろよ…澪、唯、むぎゅ、梓…)」


もはやあるのはドラマーとしてのプライドと、軽音楽部部長としての責任



光男「(律坊に火をつけちまったか…こうなったら少々手強いぜ、おさげの嬢ちゃん)」フーッ



観戦していた光男は煙草を吹かしながら戦況を分析する。初戦は差は歴然であったが



光男「下手したら…」



光男「食われるぜ?」キリッ



学生「おっちゃんジュース頂戴」


光男「あ、はい」



95 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/05(火) 18:29:05.68 ID:dwqZIXuDO

律「(頑張れりっちゃん、負けるなりっちゃん)」ブツブツ



いちご「(なんか言ってる…)」



いちご「準備OK?」



律「よっしゃ、OK!」



2回戦の幕があける…



律「(最初らへんは大丈夫なんだが…問題はサビだ…)」ダンダンポコポコ



いちご「(さすがドラム経験者だけあって…なかなかのセンス…)」 ピョンピョンピョンピョン



イントロやAメロは律が若干のミスをするものの、ほぼ互角といったところだろう



律「くる…!」ダダダダピヨピヨ



いちご「……♪」コロコロコロコロ


律が警戒していたサビのパート
しかし、頭で思っていても体はついていかない。またしても、サビで差をつけられてしまう



Wおうじの勝ちだドン!
太鼓のキャラクターが勝者の名を宣言する



律「ぬぬぬぃぃ…」



いちご「……」フッ



またしても嘲笑うかのように微笑む王者
いかにも、余裕しゃくしゃくといった表情



律「むむむー…!いちごもう1回お願い!」



いちご「うん、いいよ」



光男「(ふふふ、流石に1回や2回で勝てるわきゃあるめぇな、
    おさげの嬢ちゃんも相当な腕と見える)」



96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/05(火) 18:29:45.69 ID:dwqZIXuDO

その後も律はいちごに挑み続けた、そしたら2時間過ぎてた。



律「また負けた…」ゼェゼェ


いちご「(なんという執念…)」フゥフゥ



実に29戦29敗
流石にお互い疲れを隠せない。2人の額には汗が滲む


律「ちょっとハーフタイムだ」ヒュウヒュウ



いちご「ええ」ハッハッ



律「(いつの間にかギャラリーがこんなに…)」



すっかり勝負に没頭していた律はギャラリーに気づかなかった。



いちご「(末恐ろしい存在だわ…Rithu Tainaka…)」


いちごの余裕な表情は真剣そのもの、前半の余裕は微塵も感じられない。
1戦終えるごとに律はスコアを着々と伸ばし続けた。
結果はいちごが勝利してきたが、もはや戦いはほぼ互角といっていいだろう。



いちご「(たった2時間でここまで進化するとはね…)」フゥフゥ



いちごはハンカチで汗を拭きながら、体力の回復に勤めた



97 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/05(火) 18:30:27.02 ID:dwqZIXuDO

一方、その頃律は…



律「あーんもう!」ドガンガラガラ



29連敗という記録的連敗という屈辱。
後一歩というところまで来ても勝てない焦燥。
そして財布がやばい。



律「(ゲームオーバーなのか…)」



半ば諦めの表情に変わってきた律



光男「おう律坊、見事な負けっぷりだな」ニヤニヤ



律「うるしゃい」ハァハァ



光男「見ろよ、ギャラリーがあんなに集まってきやがった」



律「ああ…さっきまで気づかなかったよ」



光男「もうギブアップか?」


律「うーむ…まだまだやりたいのは山々なんだけど、財布もやばくてさ…」



それを聞いた光男は煙草に火をつけ、口を開く…




光男「一つ昔話をしようか…お前さんが中坊の時のな」



律「あ?」



98 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/05(火) 19:36:07.91 ID:dwqZIXuDO

光男「この店で格ゲーの大会があったの覚えてっか?」



律「あー…2回戦で負けたけどな」



光男「それだ、お前さんが1回戦で負かした奴はここら辺じゃ有名なゲーマーだったんだぜ」



律「そうなのか!?ふぇー知らなかった」



光男「勿論、その大会でも優勝候補だった。
   お前さんとやり合ってた時はギャラリーがわんさといたもんだ」



律「ふーん、けど、それがどうしたんだよ」



光男「わからねぇか?今の状況があん時に似てるってことさ」



律「ぽ?」



光男「目立ちたがりのおめぇのことだ、ゾクゾクするだろ」



律「……!」ハッ



光男「オラ行ってこい、いい加減に勝ってきやがれ」


律「……うん!ありがとう、みっちゃん!」



光男の言葉で何かを悟った律、疲弊しきった表情が清々しい笑顔に変わった。


その顔を見て光男は親指を立てた。グッb←こんな感じの


光男「(察しがよくなったな…少しは勉強したか)」ニヤリ



99 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/06(水) 00:23:57.67 ID:kZXoFmeDO

律「(目立ちたがりね…)」クスッ



学祭のライブでもそうだった。普段の練習以上に、沢山の人の前で演奏する時は調子がいい。



律「(今はライブ、このギャラリーは観客だな)」



自分に言い聞かせ、律は戦場に向かう。
太鼓を叩く腕はすでに限界を超えていた。しかし、この独特の集中がそれすらも忘れさせる。



いちご「休憩は終わりね…」


律「ああ…うふふっ」



いちご「!?」



不敵な笑みを浮かべた律を見て、いちごは驚きを隠せない。
29連敗し、2時間の激闘を終えて、精神、肉体的にも追い詰められた状況で…



いちご「(開き直り…かな?)」



律「ああそうだ…いちご」ズビシッ



そう言うと律は、いちごの目の前で人差し指を立てた。



律「これがラストバトルな」



いちご「そう…」



王者いちごは感じとっていた、律の変化を。
この表情から初めて恐怖を覚え、一瞬、敗北という文字が脳裏をよぎる…



いちご「(いや、私は負けない…絶対に)」プイプイ



流石、王者である。
首を横にプイプイと振って、不安を一掃する。



いちご「(次が節目の30戦目…いいわ、潰してあ・げ・る)」



そして、ファイナルバトルの幕が開ける…!!



100 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/06(水) 00:45:39.50 ID:kZXoFmeDO

光男「(律坊の奴…敢えて自分を追い込んだか…)」



光男「(大会の時もそうだ、2タテくらった後…3タテ連取で逆転勝ちしやがったんだ)」



今のシチュエーションが限りなくあの時と酷似している。
大舞台、逆境
この2つが律の力が最大限に発揮できる要素なのだ。


光男「(こりゃあ…ひょっとして、ひょっとするかもな…)」



これから始まる最終決戦に思わず武者震いが起きる。


律「よし準備OK!」



いちご「こっちも…OK」


決戦に選んだ曲は「Listen!!」某アニメのEDである。



101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/06(水) 18:38:11.22 ID:kZXoFmeDO

ギャラリーの喧騒を余所に2人の戦いは始まる



律「……」ダダダダダポンポコ



いちご「(流石に…イントロとAメロではミスはしないか…)」テケテケテケテケ



序盤は2人共ノーミスで切り抜ける。



いちご「やはり勝負は中盤から終盤…!」



2時間に及ぶ激闘で、いちごは周知していた。
とうに2人の腕は激痛で悲鳴をあげていた。握力が段々と弱まってくる。



律「(くっ…いてぇ…)」ズキズキ



いちご「(痛い…よぉ…)」ウルウル



しかし、決してバチは離さない。バチを離すぐらいなら2人は死を選ぶだろう



律「流石だな、いちご」フゥフゥ



いちご「次はサビね…ついてこれる?」ハァフゥ



律「なめんなぁ!」



ウィルシング?歌うよー感じるそのまま♪どんなに小さくても世界で1つの歌♪
画面上に○の嵐が吹き荒れる…!
お互いが雌雄を決さんと最後の力を振り絞る。



いちご「え…!」ダダダダダ



律「(まだまだ…!)」タカタカタカダダダダ



いちごは驚愕する。ついさっきまで最大の弱点だったサビを律は克服。
ギャラリーからどよめきが起きる。



いちご「(なに…なにが起きたの…?)」



律「(へへっ…盛り上がってるな)」



102 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/06(水) 19:10:17.69 ID:kZXoFmeDO

ギャラリーと連動するように律のテンションも上がっていく。



いちご「(この状況で…なんて楽しそうな顔なの…)」スッポコポンポン



律「それそれっ」ポンポンポン



光男「(あれだ、あの表情だ…。覚醒しやがったな…!!)」ゴクリ



曲はサビから間奏に入り。いよいよ勝負は終盤に差し掛かる。



いちご「(負けたくない…絶対に…!)」スッポコポンポン


律「(勝つんだ…!)」スッポコポンポン



最早そこにあるのは、憎しみでも殺意でもない…あるのはプライドのみ

ウィルシング?歌うよー感じるそのまま♪


曲は最後のサビ。
ここまでお互いノーミスで切り抜けてきた。



いちご「(ここまで追い込まれたのは初めてよ…田井中さん…)」ホッ



いちごは敗北はないと確信した。
引き分けであろうと思われた次の瞬間…!





律「まだだ!」



いちご「!!」



リッースン♪
澪が最後の歌詞を言い終えた。その後に、連打が待っていた



律「うおりゃあぁぁ」ダダダダダ



いちご「あっ…」ビクン



105 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 09:17:58.02 ID:YS53vIaDO

律「よっしゃあぁぁ!」



律は雄叫びをあげた。
ハーフタイムを挟み、実に3時間に及ぶ激闘は終わった。



2Pの勝ちだドン!
すげードン!ハイスコア更新だドン!



ギャラリーから歓声があがる。なかには嗚咽を漏らすものまで…



律「(ありがとう…みっちゃん…)」



勝利への助言をくれた光男を見遣る。



光男「……」ニヤリ



光男は煙草を吹かしながら親指を立てる。
「よくやった」と言わんばかりにほくそ笑む



いちご「そんな…私が…負けた…」



王者は放心状態であった。戦績だけ見ればいちごの圧勝であるが、
まさか自分のハイスコアを更新されるとは夢にも思わなかった。



律「なぁ…いちご…」



その表情を見て律は心配そうに声をかける。



いちご「うぇっ……」ジワッ


いちごが顔を紅潮させ、涙が頬を伝わる。



律「うっ…おーい、いちごさん?」ギョッ



いちご「ごめんッッ…帰るね…!」ダッ



律「おい…!いちご…!」ダッ



いちごは店から出ていってしまった。
ほっとけるはずはない、すぐに律は追い掛ける。



106 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 18:03:01.54 ID:YS53vIaDO

いちごは店を出て細い路地裏を駆けていく。
悲しみを風が忘れ去ってくれるかもしれない、そんな淡い期待を胸に駆けていく。



いちご「うっ…うぇ…」ポロポロ



しかし、涙は止まらない。負けるはずはなかった。負けてはならなかった。
今まで戦ってきた数多くの強敵達に申し訳が立たない。
まったくの素人に負けた挙げ句、ハイスコアを更新されるという屈辱的敗北。
いちごの心は張り裂けんばかりであった。



律「いちごーーーー!」



いちご「……!」ハッ



後ろから律が駆け寄ってくれる。
律から逃れようと再び走りだすいちご。しかし



いちご「あんっ…」ドシャア



律「おいっ…!大丈夫か?」ハァハァ



いちご「何か用?」ツーン



律「いや…お前が泣いてたからさ…」



いちご「別に…泣いてないよ?」



律「そうかって…嘘つけぇ!」



こんな状況でも強がるいちごに思わず苦笑してしまう。



107 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/07(木) 18:32:54.35 ID:YS53vIaDO

いちご「敗者に言葉はかけないで…全部、同情みたいになっちゃうから」



律「同情なんかじゃないよ…。ただお礼を言いたくてさ」



いちご「お礼…?」



何を言ってるのだろう…いちごは小首を傾げる。
先程まで死闘を繰り広げた相手にお礼などないはずだ。



律「いちごと戦った30回戦さ…すっげぇ楽しかった!」



いちご「え…」



律「思わず学祭のライブぐらい興奮してさぁ…、
  それもこれも、いちごのすっごい上手かったからさ」



いちご「(そんな嬉しそう顔しないで…)」



いちごの感情には悔しさや憎しみしかなかった。
しかし、律には一切そんな感情はなく、相手を敬い感謝していた。



いちご「うっ…えっ…」ポロポロ



自分が恥ずかしい。
涙が再びこぼれる。
まさか感謝されるとは思わなかったから…



律「おぉぃ…泣くなって」


ポケットからハンカチを取り出し、頭を撫でながら涙を拭いてやる。



律「(いちごがこんな感情を出すなんて…)」



いちご「すん…すん…」グスッ



いちごが泣き止んだのを見て、律は手を差し出す。



律「いい勝負だった。ありがとうな、いちご」



いちご「こちらこそ…ありがとう…」ギュッ



固く結ばれた2人の手。
2人の間に好敵手(ライバル)という名の絆が生まれた。



110 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/13(水) 00:01:27.75 ID:1hMNgIiDO

いちご「そうだ…」


いちごは鞄からメモ帳を取り出し、何かを書いている。


いちご「はい、これ」サッ


律「ん、いちごの携帯の?」


メモ翌用紙に書かれたのは、携帯番号とメールアドレス。


いちご「また一緒にゲームできたらなって思って…」

少し視線を逸らしている、照れているのだろうか。
彼女なりにはかなり踏み切った行動だったのだろう。

律「オッケー、まだまだ29敗負け越してるからな。こっちからお願いしたいぐらい」


いちご「そうだね」ニコッ


普段は無愛想で大人しい彼女が見せた満面の笑み


律「いちごっちゃん…」


いちご「え?」


律「いや…いちごの笑った顔可愛いなって」


いちご「たっ…田井中さん、おだてるの上手だね」


律「おやぁ、もしかして照れてる?」プニ


いちご「違うもん…」


口では否定するも顔に出てしまっている。その照れた顔を見るといじらしくて…もうね…


律「ふふっ、このあとどうする?」


いちご「あっ…ごめん、今日はこれから塾なんだ」


律「そっかぁ、残念だなぁ…まぁ、あたしがゲームに長い間付き合わせちゃったし」


いちご「ううん、いいの…また今度遊ぼうね」


律「うん、じゃあ後でメールするな」


いちご「うん…それじゃあ」バイバイ


律「またなー」バイバイ


いちごの後ろ姿が見えなくなるまで見送ろう。
名残惜しいけど、連絡先はゲットしたし


律「さてさて…あたしも帰るか」


いちごを見送った後、ゲームセンターに自転車を取りに走ってきた道を戻る律。
その先に見据えるものは何なのか…それは誰にもわからない。



111 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/13(水) 00:02:14.56 ID:1hMNgIiDO

~ゲームセンター~



律「ただいま」



光男「おう、新王者のお出ましか」



律「なんだよー、それ」



光男「見ろ、お前らが行った後、あんなに集まっているわ」



律「へぇ…」



太鼓の○人のスペースでは2人の戦いに触発されてか沢山の人だかり。
元々は格闘ゲームが人気なこの店では珍しい光景だ。


光男「まぁ…お前らの記録はそうそう抜かれることはあるめぇ」



律「あのさ…みっちゃん」


光男「あ?」



律「ありがとう、みっちゃんが助言してくれたから…」



光男「ガハハ、今日は売上に貢献したからそのお礼だ」



律「ふふっ、そうだな」



光男「その力を勉強に活かせば頭もよくなりそうなもんだがなぁ」ニヤニヤ



律「うっせー」



久々に来たが、中学の時と変わらずに接してくれる光男。
そこには確かな師弟関係?があった。



律「それじゃあ今日は帰るわ、また来るよ」



光男「おう、気ぃつけてな」



みっちゃんに見送られ、りっちゃんは戦場を後にする…。



112 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/13(水) 00:02:52.01 ID:1hMNgIiDO

律「ふぅ…」



帰り道、律は力無く自転車を漕いでいく。

坂道を登っている様なスピードで、ゆっくりと漕いでいく。



律「(この脱力感…なんだろ…)」



激闘の疲労のせいだろうか、否…!



律「(もっといちごと話したかったな…)」



あのあとできれば、お洒落なティータイムに洒落込み、
2人で激闘を振り返り語り合いたかった。



律「メールしよっと」



自転車から降りると、いちごから貰ったメモ用紙を取り出し、アドレス帳に登録する。


「いちご」


なんとも可愛らしい名前だろう…。アドレス帳の名前を見てそんなことを思っていた。



律「今日はお疲れっと…」ポチポチ



律「泣き虫いちごっちゃん(笑)…よし…!」



送信が完了し、携帯を閉じる。
いちごは、おそらくまだ塾で勉強をしているだろうが返事が待ち遠しい。


律は再び自転車を漕ぎ始める。



115 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/14(木) 00:02:16.19 ID:3GElPx+DO

ギラギラと照り付ける太陽。
家に着いた時には日は沈みかけていたが、まだまだ気温は下がりそうにない。



律「ふぃー…あっちあっちぃ」



こんな時は…シャワーでも浴びて、その後にカルピスを1杯ね♪

そうすると、玄関口で脱ぎ始めた。
あらわになる10代の裸体。

ブラを外すと、控えめではあるが、撓わに実った二つの果実。

そしてパンティーを脱ぐと…………………



律「~♪」



開放的な気分になり口笛を吹きながら、風呂場へむぎゅむぎゅう。


シャワーのつまみを思いっ切り捻ると、お湯が汗を洗い流してくれる。



律「ふぅっ、ありがと」



お湯に感謝しながら、頭をシャンプーで洗う。
リンス?そんなものはNo Thank you!!

頭を洗い終わった後は、ボディソープでスポンジを泡立てる。

大雑把なイメージな律だが、体を労るように体をスポンジで擦る。



律「サッパリサッパリ♪」


シャワーで泡を洗い流したらそこはもうパラダイス。




117 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県):2011/04/14(木) 07:33:44.04 ID:dsCnNGhP0

>撓わに実った二つの果実
ダウト



119 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/15(金) 06:14:48.36 ID:UUyQEJc3o

>>117
夢の中くらいは・・・・ww





122 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/17(日) 22:28:25.37 ID:16Iaf5DDO

シャワーから上がって、携帯を確認してみる。


画面には、新着メール1件。



律「おっ、きたきた~」



待ちに待った泣き虫いちごっちゃんからの返事だ。

なぜだろう。メールが来ただけなのに、思わず頬が緩んでしまう。



「今日は楽しかったよ。
 今度は一緒に行こ(ハァト田井中さん上手だけど、次は負けないよ」



律「ハァト…」キュルルン…



この胸の高鳴り…。私はいちごに惹かれているのだろうか。

最初は絡みづらい存在であったはずなのに、たった数時間遊んだだけなのに、
いちごの泣き顔、笑顔を見てから律の中で何かが変わっていく。



律「もっともっと…仲良くなりたいな…」ポチポチ



そんなことを呟きながらメールの返事を打つ。
明日まで辛抱しよう…明日まで待てば、いちごに会える。



「そうだなー。あと、田井中さんは他人行儀だからやめよ(ハァト
 りっちゃんて呼んでもよろしくてよ?」



まずは呼び名から変えてもらおう。「田井中さん」はよそよそしい感じがするから



律「送信っと…ふぁ…」ピッ



眠気に襲われ、目を擦りながらも返事が待ち遠しい。


律「眠…」ウツラウツラ



律「スー…スー…」



夢の中でも寝ちゃった…


律が眠りにつき始めた数分後…携帯は鳴る。



「りっちゃんね、恥ずかしいけど頑張るゆ」



124 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/17(日) 23:52:26.67 ID:16Iaf5DDO

夢の中で眠りについた律は、夢の中で夢を見たそうな…




いちご『りっちゃん…』



律『ん?』



いちご『しゅき…』



律『なんだって…噛んでるぞ…』



いちご『好き…好き…』



律『いちご。まー…落ち着け』



いちご『私のこと嫌い…?』



律『いやっ…そんなんじゃないけどさー…。あたし達女の子同士だよ?』



いちご『嫌いなんだ…』ジワッ



律『ちょっと…泣くなよー…』



いちご『だって…だって…』ジワワッ



律『う…』



いちごの涙に動揺してしまう律。



125 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/17(日) 23:53:22.47 ID:16Iaf5DDO

律『えぇい…もうっ…』



いちご『あっ…』



むぎゅぎゅむぎゅう…



そうっと抱き寄せる。
泣き止んでほしくて、とっさに考えた打開策。

思いは通じたのか、いちごはぴたりと泣き止んだ。



いちご『キス…』ボソッ



消え入りそうな声でいちごは言った。
至近距離で目を閉じキスをせがむ。



律『(これは…キ…キキキ…)』



いちごのおねだりに逆らえる気がしない。
この申し出を断ったらまた泣いてしまうだろう。それは御免だ。
律は観念し、いちごの肩を掴むと



律『じゃ…じゃあ…行くぞ…』



いちご『ん…』



お互いの唇が触れ合う。
律にとって始めてのキス。おそらく、この感触は生涯忘れることはないだろう。
いちごの唇はとても柔らかく、しっとりしていて…ほんのりミントの風味。



律『……ぷはっ』



いちご『嬉しい…』



キスを終えると、いちごは目を逸らす。
自分からキスをせがんだものの、照れがあるのだろう。
もちろん、律も心臓の鼓動が聞こえそうなほどに緊張していた。



律『落ち着いた…か?』



いちご『うんっ…』ニコ



律『ははは、現金だなー』


いちごの笑顔を見て、律も笑顔になる。
いちごが、いつも笑顔でいられるように、自分がいちごを守るんだと律は固く決意するのだった…。



126 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/19(火) 20:28:22.15 ID:VDzK8D6DO

聡「姉ちゃん、朝だぞー」ユッサユッサタユンタユン



律「うぇっ!?」ガバッ



聡「やっと起きたか、んじゃ先行くな」



律「あぁ…」



ロマンチックな夢は愚弟によって終わりを告げた。

あのまま夢が続いてたら…今頃はあんなことやこんなことを…



律「(聡め…覚えてろ…)」メラメラ



復讐に燃えつつも、通学の準備を始める。



律「あっ…!メール」



一通り準備を終え、律は昨晩のいちごとのメールのやり取りを思い出す。

昨晩の最後のメールを確認し、先に寝てしまったお詫びのメールを送る。



律「今日は早めに出よう」



なぜかって?いちごに会いたいからに決まってる。
いつもは遅刻ギリギリな彼女をこうも掻き立てる



律「いってきまーす!」



律母「律!玄関先にパンツ………」



母親が何か言いかけていたが、ドアにその声は遮られた。
律は駆け足で学校に向かった。



127 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/20(水) 04:13:15.21 ID:qu2+CdUDO

早く出たせいか、いつもの通学路が違う道を歩いてるような不思議な感覚になる。


律「涼し…」


風が律のスカートをめくる。
けどそれが?こちとら伊達に死線をくぐり抜けちゃいねぇぜ。


通学路を歩いていると、見覚えのあるおさげの女の子。


律「あっ、おーい!」


いちご「あ…おはよ…」モグモグ


律「昨日はゴメンなー」


いちご「ううん、あのあと私も寝ちゃったから…」


律「そっかぁ」


怒っていないようで安心した。
おそらく塾での勉強で疲れたのだろう、少し眠そうな目をしている。


いちご「ガム食べる?」モグモグ


律「おっ、サンキュー…これは…」


彼女から差し出されたガムはミント味。
不意に昨晩の夢が思い出される。
あんなに激しい夜を過ごしたのに…いちごは普段と変わらぬ様子だ。
絶対にキスの前にこのガムを噛んでた。


いちご「田井中さん…ミント苦手?」


律「あっ…いやぁ、それよりいちご、田井中さんは止めるんじゃなかった?」


いちご「あっ…」


律「忘れたとは言わせないわよ?」ウフフ


いちご「むむ…」


悪戯に笑ってみる。
少し困った表情で、考え込むいちご。照れがあるのだろう。


いちご「ふぅ」コホン


覚悟を決めたのか、軽く咳ばらいをする苺。



128 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/21(木) 07:54:15.72 ID:nGGDtzRDO

いちご「り…り…」


いちご「りっ…」


律「ぬ…」


いちご「りっちゃ…」


律「りっちゃ?」


いちご「りっちゃ」


律「んはどうした…」プルプル


いちご「りっちゃて可愛い気がする…これで呼ぶね」

律「りっちゃ…まぁ、いいけども」


いちご「りっちゃ、学校行こ」


「りっちゃ」か…
悪くないかもしれない。
お茶の名前ぽいけど…


律「そうだなぁ、けど夏なのにインフルエンザておかしいよなぁ」テクテク


いちご「ミスしたね」ポテポテ


律「夏なら食中毒とかじゃん?」


いちご「うん、>>1が季節設定間違えたんだよ…」


律「だよなー」


何気ないことだけど、いちごが普通に話してくれるようになって、少し嬉しい。
小さな幸せを噛み締める律。

2人で歩きながら談笑し、学校に着いた。
2人でいる時間は短く感じられ、もっと話したいけど、我慢しよう。


律「(放課後に可愛がってやるぜ…ぬふふ)」


いちご「…?何笑ってるの?」


律「いや、どんくらい来てるかな」


いちご「私達だけだったりして…」


律「ははは、そんなわけないだろー」ガラガラ


教室の扉を開けると、そこには…



129 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/22(金) 07:36:58.19 ID:PDC10FQDO

ドシンッ、ドシンッと揺れる教室。信代が壁に向かって突っ張りをしている。


信代「ふんっ…!ふんっ…!1・2・3・4・ちゃんこ!!」



律「(なんという迫力…!)」


いちご「りっちゃ…怖い…」グイグイ


律「心配すんな、大丈夫だって」


恐怖を感じたのか、いちごがスカートの裾を引っ張り、声をかける。
不安にさせまいと手を握ってやる。


信代「トュルトュトュトュトュトュトュールトュトュトュトュトュ!1・2・3・4・ちゃんこ!」ドドドドド


律「(ぬ…この歌…どこかで…)」


幸いにも奴はこちらの存在に気づいていない…。まともに立ち会えば勝ち目はない。


信代「おう、りっちゃんといちごじゃん」


律「しまっ…」


先手を打つつもりが、先を越された。


信代「珍しい組み合わせだな、おいどんビックリ」


律「いやぁー…たまたま会ってさー」


信代「さぁて…ラストは四股ね!ちょっとうるさいけどごめんね」



130 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/22(金) 07:37:38.36 ID:PDC10FQDO

いちご「……」ホッ


安堵のため息。
どうやらこちらに敵愾心はないらしい。


律「朝からヒヤヒヤしたぜ…」フィー


いちご「…他はお休み?」

律「そうだなー」


信代の四股を踏む音が響き渡る中、教室を見渡す。
いつもはHRが始まるまでは、賑やかに皆がお喋りをしているものだが…


律「静か過ぎだろう」


いちご「うん…」


今日も休みならいちごとゲーセンに行けたのに…。
そんなことを思う。


さわ子「皆、おはよう」


律「あっ、さわちゃん」


いちご「おはようございます…」


さわ子「こらこら、教室で四股は禁止っていったでしょう」


信代「あっ…すいませーん」ドスドス


さわ子「むぎゅちゃんは?」


律「休みだってさ」


さわ子「(今日のケーキはなしね…)」ガックリ



131 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/22(金) 07:39:02.82 ID:PDC10FQDO

担任の登場で皆席に着く。とはいっても3人しかいない教室は違和感がある。
席が離れ離れだからだ。


さわ子「むむむ…」


何やら考え込んでいる様子。


さわ子「ふぅ…今日は少ないから皆固まって座りましょう」


律「(やったやったぁ)」


心の中でガッツポーズ。
いちごの隣りに座れる。


律「隣失礼しまーす」


いちご「どうぞ…」


信代「うっす」


律「どうも…」


さわ子「じゃあ…今日は人数少ないから居眠りもできないからね?田井中さん」


律「ぬっ…確かに…」


今日は眠るつもりはないけれどね、ティーチャーー



133 名前:まだ夢の中です:2011/04/23(土) 00:07:29.84 ID:Fzn3AScDO

今日の1時限目は体育。


教師「じゃあ、今日は相撲やっから」


律「なにぃ…!」


信代「ふふふ」ニヤリ


信代の独壇場である。
律といちごが二人がかりで挑んだとしても、勝てるかどうか…。


教師「じゃあ、最初、若王子とそこの…」


指名されたのは信代といちご。


律「(そんな…いちごが…)」


土俵に上がった2人の圧倒的体格差。
このままでは生命の危機だ。


信代「手加減しねぇぞ…前からクールビューティさが気に入らなかったんだ」


いちご「……」プルプル


まるで助けを求めるように律を見るいちご。
チワワのようにプルプルと震え、怯えている。


教師「じゃー始めっぞー」

律には、教師の笛が処刑の合図にしか聴こえてならなかった。




134 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(和歌山県):2011/04/23(土) 18:41:17.81 ID:ziMmQMCG0

信代の存在感パねえな



135 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/24(日) 12:20:10.71 ID:n+3Hnnhio

律は信代をなんだと思ってるんだ





136 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/24(日) 17:49:45.53 ID:2rKfcAZDO

信代「ふんっ」


いちご「……!」サッ


正面から張り手をする信代。
それを上手くかわし、横に回り込む。


律「よし…!いっけぇ!」

いちご「(距離を詰め、一気に決める…!)」


懐に飛び込み、押し出し………のはずだった。


信代「かわしてくれるたぁ、中々だ」ニヤリ


いちご「動かない……!」

いちごの渾身の体当たりだったが、信代は微動だにしない。

「暖簾に腕押し」という諺があるが、これは「信代に腕押し」であろうか。


いちご「えいっ…!えいっ…!」


信代「へへっ…効かないね」


いちご「そんな…」


信代「ふぬぅぅ!!」


両手でいちごの首を締め上げる。


いちご「あっ…んっ…」


信代「ヒャハハ…!いいぞいいぞ、その苦しそうなその表情!」


最早、試合は授業と呼べるものでは無くなっている。
修羅と化した信代は、高笑いをしながらいちごに容赦ない攻撃を加える。



137 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/24(日) 17:50:41.30 ID:2rKfcAZDO

いちご「はっ…はぁ…はぁ…」


徐々に、いちごの呼吸が弱くなっていく。
酸欠状態に陥いり、顔色が悪くなっていく。


信代「(中々しぶといな…)」


いちご「あ…むー…!」プクー


信代「あん?」


いちごの口からフーセンガムが膨らむ。
体内に残された僅かな酸素を送り込み、大きさを増していく。


いちご「ぷ…むー…!」プクー


信代の顔を覆うようにガムは破裂した。


信代「ぐあっ…」


堪らずいちごを離す信代。

律「よし!今がチャンスだ!いっけーいちご!」


律「あ…!」


いちご「ゲホッ…ゲホッ…ハァ…ハァ…」


もはや、いちごは攻撃に移れる状態ではなかった。
死力を尽くし、ガムを膨らませたのだろう。


信代「くっ…小癪な真似を…!」


顔からガムを剥がし終えると、鬼のような形相でいちごを見据える。


信代「よく耐えたほうだが…さよならだ、クールビューティ…」


いちご「ハァ…ハァ…デブ…」ボソッ


信代「!」カチン


信代「死ねぇぇええ!!」ドドドドド


律「やっ…やめろー…!!」


律の制止も虚しく、信代の突進がいちごを直撃した。



138 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/24(日) 17:51:35.67 ID:2rKfcAZDO

いちご「きゃっ……!!」

いちごの断末魔が響き渡る…。鈍い音と共に、土俵の外に弾き出された。


律「い…いちごー…!」


咄嗟に駆け寄る律。


いちご「はっ…りっちゃ…」


律「馬鹿!なんでギブアップしなかったんだよ!」


律はいちごに問い詰める。
信代に締め上げられた時点で勝敗はほぼ決まっていたはずだった。


いちご「だって…負けたくなかった…だもん」


律「へ…?」


いちご「相手がどんなに強くても…どんなに不利な状況だろうと…」


律「けっ…けどさ…あのまま続けたら…」


いちご「うん…。けど、ギブアップせずとも結局負けちゃったね…」


目から涙がこぼれる。

律はいちごの性格を把握した。
昨日の太鼓の○人の腕前も…、この負けず嫌いな性格があそこまで上達できたのだろう。


いちご「うぇ…りっちゃ…悔しいよ…」ポロポロ


律「大丈夫だから」


いちご「え…?」


律「お前の敵はとってやるからさ」



140 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/27(水) 08:44:11.47 ID:2W8kLshDO

いちご「だめ…りっちゃが死んじゃう」


律「いちごがここまでやられて、黙ってるわけにはいかないよ」


律「運動神経には自信あるんだぞー?」


いちご「けど…」


律「そんな顔するなって」

心配するいちごの頭をポンと叩く。
相手が強敵であるほど燃え、負けず嫌いな性格はお互い様のようだ。


いちご「じゃあ…約束…」

小指を差し出すいちご。


いちご「絶対に勝ってね…」ユビキリゲンマン


律「ふふっ、任せとけって」ウソツイタラハリセンボンノーマス


指切りを終え、いよいよ戦場に向かう律。


律「じゃな」


いちご「うん…」


不安で堪らない。
しかし、これ以上止めたところで律は引き下がらないだろう。

いちごはただ愛する人の背中を見送るしかなかった。



141 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/27(水) 08:44:44.90 ID:2W8kLshDO

律「(手が震えてる…)」


この震えは武者震いか、あるいは恐怖からなのか…。
両方であるとしても、先程の惨劇を目の当たりにした手前、恐怖の感情の方が強い。


信代「次は貴様が相手か」

律「ああ、よくもいちごを可愛がってくれたな」


信代「雑魚すぎてつまらなかったがなぁ」ニヤニヤ


律「…!」


いちごを馬鹿にされて、歯ぎしりをする律。
しかし、怒りを抑え冷静に

律「(落ち着け…勝負は熱くなったら負けだ…)」スゥーハァー


信代「ぐはは、お前は少しは楽しませてくれよな」


律「そういや…最近…」


信代「なにぃ?」


律「また体格よくなったなぁ、信代」


信代「お前…!生きて帰れると思うな…」


律「(これでいい、信代は熱くなってる)」


絶対的不利を少しでも緩和するため、まずは心理戦に出た律。


いちご「(りっちゃ…)」ハラハラ


いちご「…!…雨」


試合が始まろうとした時、雨が降り始める。
果たしてこの天候が吉と出るか凶とでるか。


教師「じゃあ、始めっぞ」

今まで空気だった教師が試合開始を宣言した。



142 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/27(水) 08:45:36.39 ID:2W8kLshDO

信代「うらぁ!」


律「くっ…!」


先制の張り手。
すかさずガードする律。


律「(なんて重い一撃だ…)」


信代「雨中決戦か…それも悪くねぇ」


律「(パワーじゃ負ける、なら…)」


信代「もういっちょいくぞぉ!」


信代の腕は空を切る。
懐に入り込み、ボディブローを叩き込む。


律「とぇぇぇい!」


信代「ぐっ…」


いちご「(上手い…!あれ…?)」


綺麗に決まったはずだった、しかし、苦悶の表情を浮かべるのは律のほうだ。


律「っっ……!」


信代「ちょっと効いたぜ…へへ」


律「(こいつ…ただの[ピザ]じゃねぇ…!)」


律が拳を入れたのは、脂肪の塊…否。
確かに固い筋肉の手応え。
並々ならぬ鍛練を積み、作りあげた脂肪にコーティングされた筋肉の鎧。


信代「前々から貴様のクラスの元気印ですっつう態度が気に入らなかったんだ」

律「(やられる…!)」


懐に入り込んだ律を目掛け、信代の手刀が炸裂する。

律「ぐぁっ…!」


信代「壊しちまったかー悪い悪い」ニヤニヤ



144 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/27(水) 22:55:29.32 ID:2W8kLshDO

律のトレードマークであるカチューシャはいとも簡単に割れた。
割れた破片が刺さり、額から流れる血。


信代「うぅーん…いいねぇ、血を見ると興奮するぜぇ…」ゾクゾク


律「ううっ…」


信代「まー大丈夫だ、雨が流してくれるからよぉ」


律「余裕だな…ええ?」


信代「倒れない度胸は褒めて…」


律「うあぁあああ!!!」

信代「!」


再び懐に飛び込み、拳を繰り出す。

もうやけくそだ。このままでは負けるのはわかってる。
ならば今、体に残された全ての力をこのラッシュにかける。


律「(頼む…効いてくれ…!)」


祈るようにただただ拳を浴びせ続ける。
信代も流石にこの猛襲には後退し、土俵際までジリジリと追い込まれる。


信代「ぐっ…!いい加減に…」


律「(もう少し…もう少し…!)」


信代「しろぉ!」


律「うぁっ…!」


信代のカウンター気味に律の顔面にヒットする。



145 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/27(水) 22:56:17.47 ID:2W8kLshDO

よろめく律は胸倉を掴まれ、追い討ちをかけるように膝蹴りがお腹に入る。


律「ぐはっ…ゲホッ…ゲホッ…」


信代「ハァ…ハァ…見事な攻撃だった、危なかったぜ」


信代「だがよぉ…決して私の肉体は打ち破れない!」

律「ぐっ…!」


いちごがされたように首を締め上げられる。


信代「ここまで追い込んだご褒美だ…!ジワジワといたぶってくれる!」グググ

律「はっ…あ…」


いちご「りっちゃ…!」


あと少し…あとわずか数十センチで勝利を掴めたのに、形勢は逆転してしまった…。

額からの出血と、首を絞められ、段々と意識が薄れていく。


律「(皆…まだ学祭のライブあったのにな…)」


薄れゆく意識の中、律は思う。


律「(思えば…迷惑ばかりかけてたなぁ…部長なのにさ…ごめんな…)」


律「(いちご…また泣きそうな顔してやがる…)」


律「(敵討なんて…言ってさ…このざまだ…)」



146 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/04/27(水) 22:57:26.38 ID:2W8kLshDO

律「(これから…沢山遊ぶはずだったのに…)」


律「(夏だから…海とかお祭り行ったりさ…また太鼓の達人もやりたいな…)」

律「(ここでお別れなんて…嫌だ…!!)」


信代の腕を掴み、ぐっと力を入れる。

とうに力を使い果たした、なのに、この力はどこから湧いてくるのか。


信代「なっ…!」


律「へ…へへ…」ニヤリ


信代「(この状況で…笑ってやがる…)」ゾクッ


雨に濡れ、額から血を流した律の笑み。
それを見た信代は、背筋が凍る気がした。


信代「随分と嬉しそうだが…頭狂っちまったか?」


律「違うね…夏休みの予定さ…考えてたんだ…」


信代「あん?」


律「この試合に勝った後な…」


信代「お前、今の状況を把握してるか?」


律「ゲホッ…いちごを泣かした責任は…取ってもらうぞ」


信代「ふん、授業も終わりが近い…楽になれよ」


信代は律を掴んだまま、土俵際に静かに歩いていく。



147 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:22:29.66 ID:yoRtLl5DO

いちご「(りっちゃ…よく頑張ったね、もういいから…これ以上苦しまないで…)」


ボロボロに変わり果てた律を見て、いちごは心の中で労いの言葉をかける。


律「まだ…」


信代「ジ・エンドだ」


信代が土俵の外に律を放り込もうとした次の瞬間…


ピカッ!


信代「ひぃっ!」


雷鳴が鳴り響き、その音に驚き信代は絞めてた手を離してしまった。


律「神様って…いるもんだな…へへ」


すかさず蹴りあげる。
ヒットしたのは信代の顎。

信代「がっ…しまっ…」


律「顎は急所だもん…」


信代がぐらつく。
強靭な肉体を持つ信代には体を狙っても倒せない、そこで律が狙ったのは、急所である顎。


律「窮鼠猫を噛むとはこのことだな」


信代「てめぇ…!」


再び掴みにかかる信代だが、その手には力なく、かわされる。


律「MAXゲージ消費だ」

律「スクリュー…アッパー!!!」


信代「ぬぐあぁぁ!!」


律の全身全霊の拳が信代に炸裂した。
難攻不落の巨城はここに墜ちた。

律の勝利を合図するようにチャイムが鳴る。


信代「負けた…この俺が…」


天を仰ぎ信代は呟く。
まさかあの状況から、敗北するなど微塵も思わなかった。


律「あぁ…そうそう、後でカチューシャのお金請求すっから」


信代「おk」グッ


教師「ほいほい、じゃあ田井中の勝ちってことで」



148 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:23:48.87 ID:yoRtLl5DO

死闘は終わった。
先程の雷雨が嘘のように晴れ渡る、
まるで律を祝福するように…


律「(本当に…死ぬかと思った…)」


律「あ…れ?」ガクッ


性も根も尽き果てたのか、力無く膝から倒れこもうとした時、後ろからいちごが支えてくれた。


いちご「はいっ…」ヒシッ


律「いちご…サンキューな」


いちご「すごい血だよ…?保健室で止血しなきゃ」


律「だな…、フラフラする」


いちご「肩貸す」


律「頼むわ」


勝利したとはいえ、体へのダメージは相当大きかった。ひょこひょこと歩く。


いちご「濡れちゃったから着替えも持ってくるね」


律「あぁ…へっくち」


いちご「(可愛いくしゃみ…)」


2人は保健室に肩を組みながら向かった。



149 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:24:39.46 ID:yoRtLl5DO

一方、信代は…


信代「不覚…!」ギリッ


放心状態のまま土俵の上で仰向けに横たわる。

余裕で勝てるはずだった。相手は格闘技を経験してもいない、まったくの素人。

信代「ふははは…!」


教師「…どうした?」


信代「あまりにも自分が不甲斐なくてさ…」


教師「……」


教師は信代の悔しさが痛いほどにわかった。


信代「まぁいいさ…自分の弱点がわかった、詰めが甘いっつうな」


教師「それがわかったなら、お前はまだまだ強くなれるな」


信代「ありがとう、先生」

信代「(田井中律…その名前覚えておくぞ…!)」


自分に負けをつけた強敵の名を改めて心に刻む。

彼女はさらに精進し、強さを増すに違いないだろう。



150 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:25:34.32 ID:yoRtLl5DO

~保健室~


いちご「誰もいないみたい…」


律「そっか…いちち」


いちご「りっちゃはベッドで座ってて、救急箱取ってくる」


律「悪いな」


戦闘の興奮状態で気付かなかったが、体のあちこちが痛む。
ヨロヨロとベッドに倒れこむ。


いちご「お待たせ」


律「あぁ…いちごも座れよ、疲れたし、痛むだろ?」

いちご「私は平気、じゃあ…消毒するから」


いちご「おいで」ポンポン


律「(ひっ…膝枕だとぉ…!)」


いちご「ほら…優しくしてあげるから」


律「(それは誤解を招く発言…!)」


律「じゃあ…よっと」ドキドキ


どきまぎしながら頭をいちごの膝に上に乗せる。
程よい柔らかさに、ほのかに香る石鹸の臭い。こんな枕があったなんて…。


律「(ふわふわだぁ…)」



151 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:27:00.77 ID:yoRtLl5DO

いちご「前髪長いね…」


律「あぁ、そういやカチューシャしてなかったんだ」

いちご「結んだげる」


そういうと、いちごは自分の髪のゴムを解き。律の前髪を束ねて結んだ。

これでパイナップルりっちゃの完成だ。


いちご「ちょっぴりしみます…」チョンチョン


消毒液の染みた脱脂綿が額の傷口にあたる。痛みを紛らわすために律は他のこと考えた。


律「(いちごの太股…いちごの太股…)」


いちご「包帯を巻いたら…完成です」


律「ふぃー、なんかハチマキみたいだなぁ」


いちご「じゃ…脱いで」


律「なっ…!?」


積極的ないちごにたじろぐ。膝枕もこの展開への布石だったのか…


律「(どうしよ…どうしよ…けど、いちごならいいかなー…って何を考えている…!)」


いちご「早く」グイグイ


律「はっ…はい…!」



152 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:27:47.26 ID:yoRtLl5DO

律は脱ぎ始める。
再びあらわになる律の体。相変わらず、控え目な二つの果実が撓わに実っている。


いちご「はい」


律「は…?」


いちご「着替え、私のだけど同じくらいのサイズだから…」


律「そっか…ははは…」


どうやら思い過ごしだったようだ。
恥ずかしいけど、ちょっとがっかりした自分を許してもらいたい。


律「おっ、ぴったし」


いちご「でしょ?」


律「さぁて…この後の授業はサボるかなー、下校まで寝れそうだし」


いちご「じゃあ…」


律「ぬ?」


いちご「私も一緒に…添い寝したげる」


律「(なんだか…胸がトキメキメモリアル)」


いちご「嫌…?」


律「…なわけないだろ、カモンカモン」


いちご「(やったぁ)」



153 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:28:50.59 ID:yoRtLl5DO

着替えはしたものの、雨に濡れたので、体を冷やさぬように布団をかぶる。


いちご「ねぇ…りっちゃ…」


律「なんだ?」


いちご「最後に決めた、スクリューアッパーって…何?」


律「あー、あれ?あれは格闘ゲームでキャラが使う技だよ」


いちご「ふふっ…そうなんだ」


律「いや、かっこよく決めたいじゃん?」


いちご「うん、かっこよかったよ…」


むぎゅぎゅ…
手を繋いできたいちご。不思議ともう緊張はしなくなった。

こういことがいとも当たり前な行為のように


いちご「今度、お出かけしよう」


律「いいね、行こうか」


いちご「カチューシャ壊れちゃったから…新しいの買わなきゃね」


律「あとさぁ、この前のゲーセンも行こうぜ」


いちご「うん、格ゲーもやってみたい…」


律「よっしゃ、もちろん太鼓の○人もな」


いちご「うん…」


この2日でかなり親密な関係になれた。
今度の休日の予定を話し合う。



154 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:29:31.41 ID:yoRtLl5DO

律「ふぁ…」


いちご「おねむ?」


律「うにゃ…まだ平気」


いちご「いいよ、無理しないで」


律「そっかぁ、じゃあ…」

激闘の疲れか、ものの5分もしない内に寝息をたてる律。


律「……」スースー


いちご「(おやすみ…)」ナデナデ


律の心地好さそうな寝顔を見て、いちごは微笑む。本当に無事でよかったと。

額に巻かれた包帯。
痣や傷だらけの顔や体。

それを見て、自分の敵討ちの為にこんな大怪我をしてまで約束を守ってくれた律に感謝していた。


いちご「(りっちゃ…頑張ったご褒美…)」チュ


そっと口づけする。
その、プルプル唇で


律「……」スースー


いちご「(起きてたら恥ずかしいから…///)」


いちご「私も…おやすみ」

熟睡していた律は、いちごの唇が触れたのには気付かなかった。

夢の中で見た夢はシチュエーションは違えど、正夢だったのだろうか。


二人はお互いの温もりを感じながら深い眠りについた。



155 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:30:15.63 ID:yoRtLl5DO

聡「おーい、姉ちゃん」


律「うぅーん…いちごぇ…」


聡「…?起きろってば」


律「あ…」ハッ


聡「朝だぞ」


律「(全部、夢だったのか…いいとこだったのに…)」


またしても我が弟に邪魔されてしまった様だ。


律「おい、聡待って」


聡「ん?どうし…」


律「スクリューアッパー!!」


聡「ぐわぁぁあ!!」


律「これで済ましてやろう」スッキリ


聡「な…なんで…」


律「愚弟よ…空気を読めってことさ」


聡「意味わからん…ぐふっ」ガクッ


気を失う弟をよそに、清々しい笑顔の姉。


律「いってきまーす」


律母「はい、気をつけてね。今日は早いのね」



156 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:33:00.15 ID:yoRtLl5DO

律「~♪」


通学路を歩きながら、あの子を探してみる。
いつもより早く出たのも、あの子に会いたいから


律「あっ、おーい」


いちご「あ…田井中さん…」


いちごは少し驚いた様子。
いつもは遅めに来る律とは通学時会うことはないからだ。


律「いちご、あのさぁ…」

いちご「?」


律「今度、ゲーセン行かないか?」


いちご「え…別にいいけど…」


律「じゃあさ、今度の休日でいい?」


いちご「うん…」


いちごは、律が急にフレンドリーに接してくるのがわからなかった。


律「(現実ではもっと一緒に遊んで仲良くなれますように…)」


「りっちゃ」と呼んでくれないいちごに少し寂しい気もした。
夢の世界のように仲良くなれるのか不安であった律だが、
その後、2人の仲はとても親密になったそうだ。



157 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/01(日) 22:37:37.60 ID:yoRtLl5DO

律編終了!

紬編おまけだけど…まだ考察中。ストーリーが出来たら投下しますねー




158 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/05/02(月) 07:16:01.46 ID:CZHt0jxX0


りついちごは素晴らしいな



159 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関東):2011/05/02(月) 09:39:58.02 ID:HPKv4gWAO

乙!
これからも期待してるぜ






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唯澪律紬梓「夢オチ!」#律
[ 2011/11/12 16:14 ] 非日常系 | | CM(0)

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