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唯「私たちの歌を、聴いてください!」#4 【日常系】


唯「私たちの歌を、聴いてください!」




80名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)10:59:58.93 ID:F3zpbMk0
三曲目



管理人:下でも訂正されていますが、四曲目です。





81名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:00:35.40 ID:F3zpbMk0

12月に入り、本格的に寒さが厳しくなってきた。

この季節になると、布団から出るのも少し億劫だ。

でも講義を休むわけにはいかないし、今日は午後から学友会の総会もある。

和「よいしょっと・・・」

私はベッドから起き上がると、軽く伸びをした。

和「はぁ・・・寒っ・・・」

今日は、雪でも降りそうな寒さだ。

和「こんな時、唯ならサボっちゃうんだろうな・・・」

旧友のことを思い出しつつ、私は洗面台へと向かった。



82名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:01:24.51 ID:F3zpbMk0

・・・・・・
・・・・
・・


和「行ってきます」

誰もいない我が家に向かって、私は一人挨拶をした。

こういう細かいことが防犯上は大事らしい。

自分に魅力があるとは思えないけど、一応は女子大生の一人暮らし。

それなりに気を使ったほうがいいだろう。

唯も一人暮らしだし、ちゃんと気を使って生活しているだろうか。

鍵をかけ、空を見上げると、灰色の雲が広がっていた。



83名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:02:17.92 ID:F3zpbMk0

和「それにしても寒いわね・・・」

半年以上往復し続け、慣れきった道を歩く。

?「お、真鍋さん。おはよう」

後ろから聞きなれた声で話しかけられた。

和「あ、先輩。お早うございます」

話しかけてきたのは、同じ学友会に所属する、一年上の先輩だった。

先輩「今日の総会の資料、大丈夫?」

和「はい。ちゃんと揃えてあります」

先輩「そっかそっか。真面目な後輩がいて助かるわー」



84名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:03:03.63 ID:F3zpbMk0

先輩はフランクな性格で、言うなら律みたいなタイプだ。

先輩「それにしても真鍋さんって珍しいわよねー。部活もサークルもやってないのに学友会に所属してるんだもの」

学友会は部活やサークルに関する援助について学校と話し合う学生団体だ。

普通なら自分の部活のために代表者が加入するが、私は違った。

和「昔から、誰かのために働くのが好きなんです」

先輩「くー、偉いねぇ。しかもいっつも資料バッチリ揃えてくるから頭が上がらないよ」

和「・・・好きで、やってることですから」



85名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:04:08.38 ID:F3zpbMk0

先輩「・・・でもさ、真鍋さん。少しは遊びなよ」

和「・・・・・・どういう、意味です?」

先輩「あー変な意味じゃないよ。そのまんまの意味。真鍋さんは少し働きすぎだと思うのよ」

和「・・・そうですかね・・・」

先輩「そんだけ日々働いてればさ、やりがいも感じるだろうけど、息抜きも必要よ?」

確かに私は、大学に入ってからは学友会の運営に付きっきりだ。

友達は出来たけれど、その人たちと一緒に遊んだ記憶はあまりない。

先輩「げ、やばっ、もうこんな時間。次の授業、遅刻厳禁の授業なんだ。それじゃ後で!」

和「はい。また後で」

先輩は走り出し、嵐のように去っていった。



86名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:05:21.72 ID:F3zpbMk0

和「やりがい・・・か」

先輩が言っていた言葉を思い返す。

高校の頃は、生徒会役員として、3年間頑張ってきた。

あの頃の仕事が辛くなかったかと言えば嘘になる。

でも、あの頃は、仕事に追われながらも、やりがいを感じていたのは確かだ。

今は、どうだろうか。

今の仕事が嫌いなわけではない。好きでやっているというのは本当だ。

でも、あの頃と今では、何かが、違っていた。

何かが足りない、そんな気がしたのだった。



87名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:05:55.57 ID:F3zpbMk0

・・・・・・
・・・・
・・


司会「では、これで今日の総会を終わります」

総会の終わりの言葉と共に、会議室が賑やかになる。

先輩「いやー、終わった終わった」

和「お疲れ様です、先輩」

先輩「真鍋さんもお疲れ。今日もバッチリだったわね」

和「そんなことないです。まだまだ勉強不足です」

先輩「あはは、真鍋さんで勉強不足なら、私はどうなっちゃうのよー」

先輩は笑いながら答えた。



88名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:06:45.89 ID:F3zpbMk0

先輩「ま、とりあえずこれで今年の会議も無事終えたし、今からみんなで遊びに行かない?」

会員「あ、賛成ですー。駅前に出来たカジュアルショップ、行きましょうよ」

先輩の誘いに、他の会員たちも賛同の意を示した。

和「すいません、私はちょっと・・・」

先輩「ん?この後用事あったっけ?」

和「いえ、今回の議事録作成と、年明けの総会の資料作成をしたいので・・・」

先輩「もう来年のこと考えてるの?そんなのまた今度でいいわよ~」

和「でもテスト期間と重なってますし、年末は色々立て込むので・・・」

先輩「・・・そう、なら仕方ないわね。じゃあまたの機会ね」

和「はい、すいません。では私は失礼します」

私は一礼して会議室を後にした。



89名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:07:20.20 ID:F3zpbMk0

慣れきった通学路を歩きながら、私は今日の出来事を思い返していた。

何故、先輩の誘いを断ったのか。

いくら忙しい時期だからといっても、今日遊びに行くことくらい出来たはずだ。

先輩と遊びに行くのが、億劫だったわけではない。

もしかしたら私は、自分を追い詰めたかったのかもしれない。

やるべきことを、無理矢理増やして、仕事量を増やして、

やりがいの感じられない今を、変えたかったのかもしれない。

しかし、そんな程度の事で、現状が変わる気は、しなかった。



90名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:08:00.83 ID:F3zpbMk0

家に帰って鞄から携帯を取り出すと、着信が来ていた。

和「・・・唯?」

ディスプレイには『平沢唯』の文字が映し出されていた。

ほんの10分ほど前に電話が鳴っていたらしい。

歩いていたから、バイブレーションに気づかなかったようだ。

私は携帯を開いたまま、履歴から唯に着信を返した。

・・・、・・・

唯「あ、もしもし和ちゃん?」

和「ええ、どうしたの?唯」



91名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:08:42.35 ID:F3zpbMk0

唯「えっとね、もうすぐクリスマスじゃん?」

和「そうね。この間学園祭だと思ったら、もうそんな季節ね」

一ヶ月ほど前、3年生となった梓ちゃんに誘われ、私たちは桜高の学園祭に行った。

梓ちゃん率いる新生けいおん部の演奏を聴いたのも、まだ記憶に新しい。

唯「今年もウチでクリスマスパーティーやろうと思ってるの」

和「あらそうなの。けいおん部で集まるのかしら?」

唯「うんっ、そうだよ。それでね、和ちゃんも是非ウチに来てよ!」

和「・・・いい、の?・・・久しぶりにけいおん部が集まるチャンスじゃない」



92名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:09:13.17 ID:F3zpbMk0

唯「だから誘ってるんだよ!和ちゃんも一緒にパーティーしようよ!」

和「・・・そう、じゃあ、参加させてもらおうかしら」

唯「やった~!あ、日にちは25日なんだけど、大丈夫?」

和「ええ、大丈夫よ。25日ね」

唯「うん!楽しみにしてるよ~。じゃあまた今度ね!」

和「こちらこそ楽しみにしてるわ。それじゃあね」

私は唯と約束を交わし、電話を切った。

和「・・・・・・クリスマスパーティーか・・・」



93名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:10:19.56 ID:F3zpbMk0

唯との短い会話で、私の心は妙に軽くなった。

高校時代と今の違い、それは―――唯が、すぐ隣にいないことだ。

高校生になって、唯が軽音部に入って安心した反面、複雑な想いもあった。

小さい頃からずっと面倒を見てきた唯は、いつしか傍にいるのが当たり前になっていた。

だから、唯が自分でやりたいことを見つけ、自立し始めた時、私は少し、寂しかった。

けれども唯は、ずっと、私と一緒にいてくれた。それが嬉しかった。

でも、大学に入ってからは、私の心はどこか穴が開いたようになってしまった。

唯が隣にいないことが、こんなにも寂しいことだとは思わなかった。

私はずっと、唯を支えてるつもりで、実は唯に支えられていたのかもしれない。



94名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:10:51.14 ID:F3zpbMk0

だから、唯に誘われた時、私の心は支えを取り戻したように、軽くなったのだ。

まだ、唯とは別の道を歩んでいることが、私自身受け入れられてないのだろう。

どうにもならないことをいつまでも悩んでいる時点で、私はまだ子供だ。

和「・・・はぁ、ネガティブなことばかり考えてちゃ駄目ね」

私は長々とした思考を中断して、議事録を作るため、パソコンに向かうことにした。



95名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:11:52.12 ID:F3zpbMk0

数週間後


あっという間に日にちは過ぎ去り、25日になった。

町中がクリスマスムード一色の中、私は唯の家へ向かっていた。

今日は唯の家でクリスマスパーティーが開かれる。

毎年プレゼント交換をやっていたので、今年もやるのかと思ったら、やらないらしい。

理由を聞いたところ『子供っぽいから』とかよく分からない理由だった。

相変わらず、唯の考えていることはどこかずれていると思う。

なんてことを考えているうちに、唯の家に着いた。



96名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:12:22.09 ID:F3zpbMk0

ピンポーン

唯「はーい」

ガチャ

和「久しぶり、唯」

唯「あ、和ちゃん!ようこそー!ささ、入って」

和「お邪魔するわね」

私は靴を脱いで、部屋へと案内された。



97名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:12:58.58 ID:F3zpbMk0

澪「お、和、久しぶりだな」

紬「和ちゃんこんばんわ~」

律「よう、和、待ってたぜ!」

梓「和さん、お久しぶりです」

憂「こんばんわ、和さん」

和「あら、みんな揃ってたの」

まだ約束の時間まで15分以上あるのに、もうおなじみのメンバーが揃っていた。



98名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:13:46.57 ID:F3zpbMk0

和「普段は時間通りに揃わなそうなメンバーなのに、今日はみんな早いのね」

律「おう!準備がいろいろあったからな!」

澪「おい、律!」

律「あっ・・・な、何でも無いぜ!今日は・・・その、み、みんなで集まるのが嬉しくて早く集まったんだ!」

和「・・・?」

また律が、よからぬ事を考えているようだったが、深く追求するのはやめておいた。

唯「それじゃあ時間は少し早いけど、パーティー始めよっか」



99名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:14:42.86 ID:F3zpbMk0

「かんぱーい!!!」

全員の掛け声と共に、グラスをぶつける音が響いた。

律「もう待ちきれねー!どの料理も旨そー!」

和「今年はすごい量ね。全部憂が作ったの?」

憂「いえ、今年は紬さんも手伝ってくれたんです」

紬「張り切りすぎちゃった~♪」

机の上には数え切れないほどの料理が並んでいた。

唯「私も飾りつけ、頑張りました!」

梓「威張れることじゃないですよ、唯先輩・・・」



100名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:15:23.48 ID:F3zpbMk0

・・・・・・
・・・・
・・


律「それじゃあ宴もたけなわということで・・・」

律が鞄から何かを取り出した。

律「ジャジャーン!大人への階段、ビールでーす!」

澪「って駄目だろっ!」ゴチン!

律「いってー、せっかくウチの冷蔵庫から盗んできたのに・・・」

和「ふふっ、相変わらずね」

この懐かしい雰囲気に触れているのが、何だか心地よかった。



101名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:16:18.56 ID:F3zpbMk0

唯「はいみんなどいてどいてー、ケーキ様の入場だよー」

台所から唯と憂が、ケーキを持ってやってきた。

それほど大きいものではなく、人数分で分けたらかなり小さくなってしまうようなものだ。

和「今年のケーキは小さめなのね」

紬「・・・りょ、料理を作りすぎちゃったから!」

澪「そ、それに甘いものは控えたほうがいいし、な」

和「・・・?」

何かをたくらんでるのは、律だけじゃないみたいだ。



102名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:17:03.05 ID:F3zpbMk0

和「でもケーキを7等分って・・・難しいわね」

憂「任せてー」

憂がそう言うと、ためらい無くケーキに包丁を入れた。

そして瞬く間にケーキは綺麗に7等分され、それぞれのお皿の上に盛り付けられた。

梓「憂・・・凄い・・・」

澪「良く出来た、妹だな・・・」

憂「それじゃ、みんな、食べましょう」

憂は満面の笑みで、返事をした。



103名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:17:59.40 ID:F3zpbMk0

その後、ケーキを食べ、ゲームや話をしたりし、クリスマス会は大いに盛り上がった。

澪はやっぱりサンタ服を着せられたり、梓ちゃんも何故か着せられ、結構ノリノリだったり

ボードゲームでムギが圧倒的な強さを見せたり、楽しかったことは挙げればきりが無い。

時間もあっという間に過ぎ、気づけば日付が変わる頃となっていた。

はしゃぎすぎた分、今はみんなゆっくりとテレビを見ている。

和「・・・今年も終わりね・・・」

テレビでは司会者が必死にクリスマスムードを盛り上げようとしている。

でも日付が変われば、一気に世間は新年へ向けて雰囲気を変える。

今年のクリスマスは、もう残り5分を切っていた。



104名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:18:33.47 ID:F3zpbMk0

憂「私、食器とか片付けてきちゃいますね」

唯「あ、私も!」

唯と憂がおもむろに立ち上がる。

和「私も手伝おうか?」

唯「いいよぉ、和ちゃんはお客さんなんだし、休んでて」

和「そう?」

昔なら唯はもう少し、私を頼っていたかもしれない。

でももう、唯は私の傍にはいない。



105名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:19:43.72 ID:F3zpbMk0

気づけはもうクリスマスの終わりまで、本当に数えるほどになっていた。

時計の秒針が、頂点へと向かっていく。

10・・・9・・・8・・・

夢のようなこの時間も、終わりに近づく。

クリスマスが終わることが、こんなに寂しく感じられたのは初めてだ。

5・・・4・・・

私は本当に、唯たちに助けられてばかりだな。

3・・・2・・・

律「おーい、和ー」

なんだかネガティブになっていた私に、律が声をかけた。

和「どうしたの?り・・・」


「ハッピーバースデー!!」


部屋中にクラッカーの音が鳴り響き、色とりどりの紙テープが舞った。



106名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:20:32.00 ID:F3zpbMk0

和「え・・・?」

突然の出来事に、私はどうすることも出来なかった。

唯「はいみんなどいたどいたー!バースデーケーキ様の入場だよー!」

憂「和さん、誕生日おめでとうございます!」

唯と憂が持ってきたケーキは、先ほどのとは比べ物にならないほど巨大なケーキだった。

上には大量のイチゴが飾り付けられている。

和「これって・・・?」

唯「お誕生日おめでとう、和ちゃん♪」

・・・今日は12月26日、私の、誕生日だった。



107名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:21:30.46 ID:F3zpbMk0

和「ふふっ、なるほどね・・・一本、取られたわ」

律「プレゼントもあるぜー!ほれほれー!」

みんなが私に綺麗に包装された箱を渡す。

和「始めから、こういう計画だったのね・・・」

唯「うん!だから25日にクリスマス会をやったんだよ!」

律「よーし、それじゃあこれからは和のお誕生日会だ!今日は徹夜で遊ぶぞー!」

和「・・・みんな、ありがとう」

私は本当に、この仲間たちに、感謝の気持ちでいっぱいだった。



108名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:22:17.33 ID:F3zpbMk0

・・・・・・
・・・・
・・


和「ん・・・」

寝てしまっていたみたいだ。

辺りを見回すと、全員力尽き、雑魚寝をしていた。

今、何時だろうか。

外はまだ暗い。

私は物音を立てないように、静かに部屋を出た。



109名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:22:59.59 ID:F3zpbMk0

家の扉を開けて、外に出る。

深夜ということもあり、外はかなり冷えていた。

和「ふぅ・・・」

私は壁に寄りかかり、空を見上げた。

和「・・・誕生日なんて、私が忘れてたわよ・・・」

独り言をつぶやきながら、今日のことを思い返した。

ふとその時、静かに扉が開き、唯が顔を出した。

唯「・・・和ちゃん?」

和「あら、唯。起こしちゃった?」



110名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:23:37.51 ID:F3zpbMk0

唯「うん、和ちゃんが外へ出てくの、見えたから」

和「そう、それは悪かったわ」

唯「・・・外は寒いよ。はい、これ」

唯はそう言うと、長いマフラーを差し出した。

唯「二人で巻けば、あったかあったか、だよ」

和「・・・そうね」

私たちは、マフラーを一緒に首に巻いた。



111名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:24:08.10 ID:F3zpbMk0

和「・・・今日の企画、唯が考えたの?」

唯「うんっ、そうだよ」

和「そう・・・驚いたわ」

唯「えへへ」

こうして唯と二人きりで話すのは、久しぶりだ。

唯と話しているだけで、私の心は温まってゆく。



112名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:24:46.65 ID:F3zpbMk0

唯「和ちゃん、元気出た?」

和「え・・・?」

唯「最近の和ちゃん、元気ないみたいだったから」

唯は、いつも私を、支えてくれる。

和「・・・すごいわね、唯は」

私は、唯がいなかったら、どうなっていたのだろう。

和「私は、色んなものを、唯に貰ってばかりね・・・」



113名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:25:24.64 ID:F3zpbMk0

唯「色んなもの?」

和「ええ、とっても大切なものを、あなたはいつもくれるわ」

和「今日だって、唯から、大切なものを貰った」

和「考えてみると、私は唯に何もしてあげられてないわ」

風が、少し強く吹いた。

唯「・・・ううん、そんなことないよ」

唯は、静かに答えた。



114名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:26:18.45 ID:F3zpbMk0

唯「いつも私に良くしてもらってるのは、和ちゃんだよ」

私は、風の冷たさを感じなかった。

和「・・・唯は、優しいのね」

唯は優しすぎるから、ついその優しさに甘えてしまう。

あなたに伝えなくてはいけない言葉を、後回しにしてしまう。

和「唯・・・」

あなたは、いつも私の傍にいてくれた。

だから、あなたに伝えたい、ありったけの、感謝の気持ちを――


和「・・・ありがとう、唯」



115名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:27:06.70 ID:F3zpbMk0

唯「・・・お礼を言うのは私のほうだよ」

唯「いつも、私の傍にいてくれて、ありがとう、和ちゃん」

和「・・・続きを先に言うなんて、ずるいわ」

唯「えへへ、早い者勝ちだよ」

唯はそういうと、静かに寄りかかってきた。

唯の体は、温かかった。



116名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:27:49.26 ID:F3zpbMk0

和「唯が傍にいるのが、当たり前じゃなくなっちゃったんだものね・・・」

和「いなくなって、初めて気づくなんて、皮肉よね・・・」

風が再び強く吹き、私たちは身を寄せ合った。

私は、意を決して、口を開いた。

和「唯、笑わないで、聞いてくれる?」

唯「うん・・・」

和「ずっと、友達で、いてね」

唯「・・・うん!」

唯はとびっきりの笑顔で、答えた。



117名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:28:40.37 ID:F3zpbMk0

和「・・・寒いし、家に入ろっか」

唯「そうだね・・・・・・あっ」

唯が空を見上げたので、私もつられて空を見上げる。

和「あ・・・」

暗闇に覆われた空に、白い雪がちらつき始めた。

唯「ホワイトバースデー、だねっ」

和「ふふっ、何よそれ」

お互いの吐く息が、白く輝いていた。

唯「・・・和ちゃん、お誕生日、おめでとう」

和「・・・ありがとう、唯」

白い雪は少しずつ、町を銀世界に、染めていった。



118名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:29:16.80 ID:F3zpbMk0

数週間後


年も明け、冬休みも終わり、私は再び普段の生活へと戻った。

今日は学友会の総会の日。

資料もしっかりと準備してきている。

先輩「お、真鍋さん、あけおめ~」

和「あけましておめでとうございます。先輩」

先輩と顔を合わすのも、今年初だ。

先輩「さて、新年一発目の会議、頑張りますかぁ」



119名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:30:04.00 ID:F3zpbMk0

・・・・・・
・・・・
・・


先輩「ふー、終わったぁ」

和「お疲れ様です」

先輩「いやー、新年ってこともあってだらけてたけど、真鍋さんがいて助かったわ。フォローありがとね」

和「お役に立てたのなら、嬉しいです」

会議も終わり、各自が帰る支度を始めた。

先輩「さて、帰りますかぁ」

和「あ、先輩・・・」

私は先輩に、提案をした。

和「もしよければ、これからどこか遊びに行きませんか?」



120名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:30:52.32 ID:F3zpbMk0

先輩「・・・真鍋さんが珍しいねぇ、テスト期間で忙しいんじゃないの?」

和「私、もう頑張るのは、やめたんです」

先輩「・・・そっか、そのほうがいいよ。じゃあどこ行く?」

和「おまかせします。先輩の好きなところで」

これからは一人で頑張るより、傍にいてくれる人を大切にしたい。

大切な親友から教えてもらったことだ。

和「先輩・・・」

そして、もう一つ、教わった大切なこと。

それは、ありがとうの、感謝の気持ち。


和「・・・ありがとう、ございます」


私は頭を下げる振りをして、恥ずかしさで赤くなった顔を隠したのだった。





終わり



121名前:◆EsB0oaQ6E6:2010/11/03(水)11:31:57.66 ID:F3zpbMk0

>>80
ごめんなさい、四曲目でした。
まとめるときとかは訂正お願いします。
次は五曲目です。




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唯「私たちの歌を、聴いてください!」#4
[ 2010/11/03 16:26 ] 日常系 | | CM(0)

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