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澪「shit」#後編 【非日常系】


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澪「shit」#前編
澪「shit」#後編




96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 14:31:20.76 ID:J0b9762hP

【放課後】

紬「また明日」

唯「じゃあね~」

梓「失礼します」

律「おう」



律「…さて」

今日の部活は早めに切り上げた。
澪が休みだったせいか、みんな今一つ練習に身が入らなかったからだ。
そして、みんなと別れた私はあるところに向かった。



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 14:36:19.92 ID:J0b9762hP

ピンポーン

『……はい』

律「…田井中ですけど」

そう、澪の家だ。
澪と話がしたかった。
何を?どうして?そんなのわからなかったけど、
とにかく澪に会わなきゃ始まらないと思った。

ガチャ

澪「………なに?」

律「今日学校休んだからさ。大丈夫かなって…」

澪「ごめん、心配かけて。明日は行くから」

律「そ、そっか。ならいいんだけど…。」

澪「じゃあ、また明日な…」

律「ちょ、ちょっと待った!」



99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 14:42:45.31 ID:J0b9762hP

澪「………まだ何かあるのか?」

律「いや、あの…その」

澪「ないなら戻るぞ」

律「昨日、泣いてただろ…?」

澪「…泣いてなんかないよ」

律「…嘘つくなよ」

澪「嘘じゃなかったら、何なんだよ」

律「………」

澪の言うとおりだ。
私は何がしたいんだ?
わからない、わからないけど…
ここで澪を帰しちゃいけない気がした。



101 名前: [―{}@{}@{}-] さるった。ごめん。:2010/09/12(日) 15:07:40.54 ID:J0b9762hP

しばらくして、澪は口を開いた。

澪「お前は、ムギと付き合ったんだろ?」

律「………」

やっぱり聞いていたようだ。

澪「だったらムギの傍にいてあげなきゃいけないんじゃないのか?」

澪「私を気にかける必要なんてないんだよ」

律「それとこれとは今は別だ」

澪「私のことなんてどうだっていいじゃないか。ほら、行けよ」

律「よくない!お前だって大切な―――」

澪「もういいって言ってるだろ!!!」

律「……!!」ビクッ



103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:14:15.73 ID:J0b9762hP

怒号が響いた。
あまりの勢いに思わず後ずさってしまった。
そして澪は伏せていた顔をあげた。

澪「もう、これ以上…。優しくしないでくれ…」ぽろぽろ

澪は泣いていた。
だけど、怒った顔や哀しい顔をしているわけではなかった。
まるで私を諭すかのような、穏やかな顔だった。

澪「今の律には、ムギがいるじゃないか…」

澪「私なんかに構うなよ…。ムギ、きっと不安でいっぱいだぞ…?」

澪「お前が、幸せにするんだろ…?そのための、恋人だろ…」

澪「私に優しくするなよ。諦めきれなくなるから…」

律「澪…。私は―――」

澪「もう、帰ってくれ…。律の顔なんかみたくない」

律「ちょっと待っ―――」

バタン

律「………ちくしょう」



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:20:58.78 ID:J0b9762hP

澪は家に入っていった。

くそっ、くそっ…!
何なんだよ私は。
上っ面だけいい格好して何も出来ない、最低な人間だじゃないか。

家に帰って私は泣いた。
いつぶりだろう、こんなに泣いたのは。
自分が情けなくて、どうしよもなくて、惨めだった。

『澪…私は―――』

あのあと、私は何て言おうとしていたんだ?
わからなかった。



106 名前: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:26:15.68 ID:J0b9762hP

【平沢家】

憂「えっ?澪さんが休み?」

帰ってきたお姉ちゃんはそう言った。

唯「うん、なんか体調がよくないみたい」

憂「そっか…」

澪さんに何があったのだろう。
お姉ちゃんと食事を食べ終わった後、
私は部屋に行き澪さんに電話をかけた。

prrrr prrrr

prrrr prrrr

出なかった。
何があったんだろう…。



108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:32:21.66 ID:J0b9762hP

【澪の家】

澪「…はぁ」

怒鳴り散らしてしまった。
ごめん、律。
でもお前にはもうムギがいる。
私に構う必要なんてないんだよ。
頭ではわかってても辛かった。
明日も学校、休もうかな…。

brrrr brrrr

澪「ん…?」

憂ちゃんからだった。
たぶん、唯から今日私が学校を休んだことを聞いたのだろう。
心配して電話をかけてくれているのだ。
私にはその心遣いがうれしかった。
でも、今日は一人にしてほしい。
ごめんな、憂ちゃん。

私は携帯の電源を切り、部屋で一人うずくまっていた。



109 名前: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:38:33.31 ID:J0b9762hP

【学校】

律「………」

翌日、澪は昨日言った通り学校に来た。
しかし、とてもじゃないがまともな様子ではなかった。
和や他のクラスメイトも心配で声をかけていた。
そのたび澪は『大丈夫』『何ともないよ』と言っていた。
見え見えの嘘だった。

澪にごめんと言いたかった。
言いたいことがたくさんあった。
しかし澪との間に出来た溝はあまりに大きく、深かった。

澪…。

・・・・・・



110 名前: [―{}@{}@{}-] 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:44:55.96 ID:J0b9762hP

【平沢家】

私は夜ご飯を作りながら澪さんのことを考えていた。
結局昨日はあの後澪さんから何の連絡もなかった。
それどころか携帯の電源を切ってしまっていたようだ。

brrrr brrrr

電話が鳴った。
画面には澪さんの携帯番号。
私は間髪入れず通話ボタンを押した。

ピッ

憂「澪さん?」

澪『…もしもし』

澪『昨日はごめんな』

憂「いえ、大丈夫です」

澪『私が休んだって唯から聞いて、電話してくれたんだろう?ありがとう』

憂「何かあったんですか…?」

澪「………律とムギが付き合ったんだ」

憂「えっ…?」



111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 15:48:58.37 ID:J0b9762hP

澪さんは淡々と言った。

律さんの馬鹿…。
どうして澪さんの想いに気づかないんですか?
あんなに、あんなに好きなんですよ?
律さんの挙動に一喜一憂して、いつも律さんのこと考えてて…。
それなのにどうして…。

澪『なぁ、憂ちゃん…。今から、会えないかな…?』

澪『ちょっとだけ、甘えさせてほしい…』

憂「…待っててください」

ガチャ

私は家を飛び出した。
澪さんの家に向かって。



117 名前:またさるってた。もうやだ。:2010/09/12(日) 16:31:23.44 ID:J0b9762hP

【澪の家】

ピンポーン

ガチャ

澪「いらっしゃい。ごめんな、忙しいのに」

憂「いえ、大丈夫です」

澪「さ、あがって。少し汚いかもしれないけど」

憂「はい、おじゃまします」

私は澪さんの家にお邪魔した。
澪さんは右足に包帯を巻いていた。



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 16:37:46.99 ID:J0b9762hP

澪さんの部屋に入る。
無駄なものがない、シンプルで澪さんらしい部屋だった。

澪「………」

憂「澪さん…?」

澪「………」

ぎゅっ

憂「わわっ…」

澪さんは私に抱きついてきた。

澪「憂ちゃん。もう、つらいよ…。嫌だよ…。何もかも…」

憂「澪さん…」

私は、澪さんを抱きしめた。



121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 16:43:36.47 ID:J0b9762hP

どうして報われないんだろう。
こんなに好きで、あんなに頑張っているのに。
澪さんには私と同じようになってほしくない。
どうあがいても報われることのない私のようには…。

憂「澪さんの想いは、いつかきっと律さんに伝わりますよ」

憂「だって、こんなに好きじゃないですか」

薄っぺらい言葉だ。
そんな確証はどこにもない。
だけど、今の私にはそれくらいしか出来ない。
そう言って、澪さんを抱きしめることしか。

澪「憂ちゃん…憂ちゃん…」

憂「はい。私はここにいますよ」

澪「うっ、ううっ、うわあああああああん」

澪さんは大声で泣いていた。



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 16:52:32.82 ID:J0b9762hP

【平沢家】

憂「ただいま…」

私の足取りは重かった。
澪さんから電話があってすぐに家を出たからご飯もまだ作りかけだったし、
何よりお姉ちゃんが帰ってくる前に家を出たから心配させたに違いなかった。

唯「あっ、憂!どこ行ってたの?!」

お姉ちゃんはいつもより声を荒げて言った。

憂「…ごめんなさい」

唯「んもう、どっか行ったならちゃんと連絡してね?私すごく心配したんだから」

憂「お姉ちゃん…」

唯「罰として、今日はアイス2本だからねっ!」

唯「お腹空いたよ、早くご飯食べよう?」

憂「……うん」

お姉ちゃんは怒らなかった。
むしろ私のことを心配していた。
涙が出そうになった。
ごめんね、お姉ちゃん。
そして、ありがとう。
そんなお姉ちゃんが、私は大好きです。



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 16:59:20.13 ID:J0b9762hP

唯「いただきまーす」

憂「はい、どうぞ」

今日はちょっと遅めの晩御飯。
お姉ちゃんは余程お腹を空かしていたのか、
あっという間にご飯をたいらげてしまった。

・・・・・・

食後、お姉ちゃんはアイスを食べながら私に話しかけた。

唯「ねぇ、憂」

憂「なぁに、お姉ちゃん?」

唯「今日どこに行ってたの?」

憂「…!」



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:04:41.12 ID:J0b9762hP

憂「それは…」

唯「言えないようなところに行ってたの?」

憂「そ、そういうわけじゃないよ!」

唯「なんか最近の憂、よく携帯いじってるし出かけたりしてるし…」

憂「………」

確かにお姉ちゃんの言うとおりだ。
最近はもっぱら澪さんとメールや電話のやりとりをしているし、
ちょくちょく会っていた。
お姉ちゃんが不思議に思うのも当然だった。
しかし、澪さんのことをお姉ちゃんに言っていいのだろうか…。

唯「なにか私に隠し事してない?」

憂「………」



125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:08:37.45 ID:J0b9762hP

唯「うい…?」

お姉ちゃんにずっと黙っていたのには理由があった。
あまりこのことを他言したくはなかったのだ。
澪さんにかえって負担になると思ったから。
だけど、今の私はお姉ちゃんにたくさん心配をかけている。
お姉ちゃんにはいつだって笑っていてほしいし、のびのびと毎日を過ごしてほしい。
余計な不安を持ってほしくなかった。
それに、もしかしたらお姉ちゃんも色々力になってくれるかも知れない。
私は澪さんのことをお姉ちゃんに話すことにした。

憂「…実は―――」



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:16:42.75 ID:J0b9762hP

・・・・・・

唯「………」

唯「そっか、そういうことだったんだね」

憂「うん…。黙っててごめんね?お姉ちゃん」

唯「いいよいいよ。なーんかりっちゃんもムギちゃんも澪ちゃんも最近変だったからさー」

唯「普通なのはあずにゃんだけだね!」

憂「そう、だね…」

胸の奥がチクッとした。
違うよお姉ちゃん。
梓ちゃんは…
梓ちゃんは、お姉ちゃんのことが好きなんだよ。



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:21:47.35 ID:J0b9762hP

【学校】

憂「あ、お姉ちゃん」

唯「お、憂にあずにゃん!」

梓「こんにちは、唯先輩」

憂「お姉ちゃん、澪さんの様子はどう?」

唯「う~ん、相変わらず…」

憂「そっか…」

梓「澪先輩、大丈夫ですかね…」

澪さんが学校に来てからすでに数日が経っていたが、
相変わらず元気がないようだった。



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:27:42.78 ID:J0b9762hP

唯「大丈夫だよあずにゃん。なるようになるって!」

梓「その自信はどこから出て来るんですか…」

唯「まぁまぁ。はい、あずにゃん!こんにちはのちゅ~」

梓「ひっ!ち、近づかないでくださいっ」ずいっ

唯「んもう、あずにゃんのいけずぅ」

梓「だ、ダメなものはダメです///」

唯「ちぇーっ、まぁいいや。また後でね!」

梓「は、はい」

憂「ばいばいお姉ちゃん」

梓「………」

梓「…ねぇ、憂。ちょっといいかな」



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:34:41.15 ID:J0b9762hP

憂「…?」

そう言うと梓ちゃんは私を人気のない廊下に連れ出した。

憂「どうしたの?梓ちゃん」

梓「ごめんね、いきなり」

梓「憂には言っておきたくって…」

憂「?」

梓「…私ね。唯先輩に告白しようと思うんだ」

憂「えっ…?」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:40:04.35 ID:J0b9762hP

梓「私、唯先輩のことが好き」

梓「さ、さっきのだって…ほ、本当はしたかったなぁなんて…////」

梓「って、そんなこと言いたいんじゃなくて!!!」

梓「そ、そりゃだらしないし、お菓子ばっかり食べてるし、すぐ抱きついてくるけど…」

梓「でも、そんな唯先輩のことがずっと好きなの」

憂「そう…なんだ…」

憂「大丈夫だよ…。梓ちゃんなら」

憂「きっと、うまくいくよ…」

梓「うん、頑張る。ありがとね、憂」

憂「実ると、いいね…」

予想は出来たのに。
いつかこんな日が来るってわかってたのに。
お姉ちゃんのこと…梓ちゃんに渡したくない。
でも私は割り切ったんだ。
姉妹なんだから、好きだって伝えたところでどうすることも出来ないって。
だからお姉ちゃんの幸せを、傍で支えてあげようって。
そう決めたのに…。
どうして、こんなに胸が苦しいの…?



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/12(日) 17:47:12.86 ID:J0b9762hP

【放課後】

梓「…ふぅ」

今日は久しぶりに部活をした。
全員が揃うやいなや、さっそく練習を始めた。
会話も全然なかった。
ティータイムのなかった部活なんて初めてかも。
けど、練習はとてもじゃないが楽しいと言えたものではなかった。
澪先輩も律先輩もムギ先輩もどことなく元気がなくて、演奏にもそれが出てた。
練習がたくさん出来たのはよかったけど、なんだろうこの重たい空気…。

部活が終わると澪先輩はそそくさと帰った。
それに続くように、律先輩とムギ先輩も一緒に帰って行った。

音楽室には、私と唯先輩の二人きりだった。
今しかない。そう思った。
部活がこんな状態で想いを告げるのはどうかと思ったが、
唯先輩とこうして二人きりになれる機会なんてめったになかったし、
何よりもう我慢出来なかった。この気持ちを、伝えたかった。

梓「あの、唯先輩…」



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:48:27.88 ID:Ukgx9fpIP

唯「ん?どうしたのあずにゃん」

梓「お、お話があるんです…」

唯「おぉっ、あずにゃんお悩みごとかい?いいよ、私が聞いてしんぜよう!」

梓「ま、真面目に聞いてください!」

梓「すぅー…っ、はぁーっ…」

私は大きく深呼吸をした。

梓「私、先輩のことが好きです」



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 01:56:46.02 ID:Ukgx9fpIP

唯「どうしたの急に?私もあずにゃんのことは大好きだよ!」

梓「そういう、好きじゃないんです」

唯「…?」

梓「私と、付き合ってほしいんです。そういう好きなんです」

唯「………」

私は先輩に想いを告げた。
ずっと先輩のことを見ていたかった。
先輩にも私のことをずっと見てほしかった。
ただそれだけだった。



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:02:02.41 ID:Ukgx9fpIP

梓「………」

しばしの沈黙。
実際には数分も経ってないのだろう。
しかし私にはそれが永遠のように感じた。
そして、唯先輩は口を開いた。

唯「…ごめんね」

梓「えっ…?」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:08:19.95 ID:Ukgx9fpIP

先輩の口から「ごめんね」の一言。
その言葉の意味を理解するのに少し時間がかかった。
私、フラれたの?
私の恋は、実らなかったの?
頭が真っ白になった。

いつの間にか頬に涙が伝っていた。

唯「あずにゃん…?」

梓「………」

梓「どうして…ですか…」



183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:14:00.74 ID:Ukgx9fpIP

梓「私を、弄んでいたんですか…?」

梓「先輩、ひどいです…。私を、こんな気持ちにさせておいて…」ぽろぽろ

むちゃくちゃだった。
何を言っているんだ私は。
先輩を責めているわけではない。
ただ、先輩にフラれたという現実を受け入れたくなかったのだ。

梓「私じゃ、ダメなんですか…?」

梓「唯先輩…好きなんです。私、すっごくすっごく好きなんです…」



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:19:29.93 ID:Ukgx9fpIP

諦めきれなかった。
こんなに誰かを好きになるのは初めてだから。
見苦しくても、みっともなくてもいい。
唯先輩に応えてほしかった。

唯「ごめんね、あずにゃん」

二回目の「ごめんね」
あぁ、もう本当にダメなんだな。
私は事実を受け入れた。
そのあとのことはあんまり覚えてない。
泣きながら音楽室を飛び出したことぐらいしか。



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:25:43.07 ID:Ukgx9fpIP

【憂の部屋】

憂「………」

梓ちゃんの話を聞いてからの私は、何もする気になれなかった。
ただぼうっと授業を受け、家に帰り、部屋にこもっていた。
お姉ちゃんが帰ってきたら、どんな顔をすればいいんだろう。

こんこん

がちゃ

唯「憂、ただいま」

憂「…おかえり、お姉ちゃん」

お姉ちゃんが帰ってきた。
今できる精一杯の笑顔で迎えた。
きっと引きつっているだろうけど。

唯「憂、あのね…」

唯「今日ね、あずにゃんに告白されたんだ」

知ってるよ、お姉ちゃん。
それを伝えに来たということは、
梓ちゃんと付き合うことになったんだね。
おめでとう。お姉ちゃん。



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:31:27.89 ID:Ukgx9fpIP

憂「そっか…。よかったね、お姉ちゃん。梓ちゃんを幸せにしてね?」

唯「…違うよ。私は告白を断ったんだよ」

憂「えっ…?」

お姉ちゃんが梓ちゃんを振った?
そんなわけない。何かの冗談だ。
認めるのは辛いけど、二人はお似合いだよ。
なのに、どうして?

憂「どうして振ったの…?お姉ちゃんだって梓ちゃんのことが好きなんでしょ?」

憂「梓ちゃん、お姉ちゃんのこと大好きなんだよ?」

唯「――――うい!」

憂「おねえ―――?」



190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:37:13.76 ID:Ukgx9fpIP

何が起きたかわからなかった。
目を開けると、お姉ちゃんの顔がすぐ近くにあった。
そして、唇にはあたたかくてやわらかい感触。
私はお姉ちゃんにキスされたのだ。

憂「…んっ」

唯「そんなこと、言わないでよ…」

唯「私が、好きなのは…憂なんだよ」

憂「えっ―――?んんっ…」

私はもう一度お姉ちゃんにキスをされた。
さっきよりも強く、深く、そして長く。
心臓がすごい速さで鳴ってる。

お姉ちゃんが本当に好きなのは、私…?



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:43:15.02 ID:Ukgx9fpIP

憂「お姉ちゃん…」

唯「澪ちゃんのところに行かないでよ」

唯「私だけを見ててよ…」

澪さんとのことを話した時お姉ちゃんの顔が一瞬曇っていたのを思い出した。
その時は気のせいかと思っていた。
うれしい、本当にうれしい。
でも、ダメなんだよお姉ちゃん。

憂「…ダメだよ。私たち、姉妹なんだよ…?」

憂「梓ちゃんと付き合いなよ…。きっと、うまくいくよ…」

唯「そんなの…」

唯「そんなの、関係ないよ」

憂「…!」

唯「憂は、私のこと好きじゃないの…?」



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:49:00.58 ID:Ukgx9fpIP

好きに決まってる。
ずっとずっと好きだった。
届かないと思ってても、叶わないとわかってても、
お姉ちゃんが大好きだった。

憂「私、お姉ちゃんのこと好きでいていいの…?」

唯「なに言っているの、憂」

そう言うとお姉ちゃんは私をベッドに押し倒した。

唯「憂は、誰にも渡さない」

唯「ずっと、私のものだから」

憂「お姉ちゃん…」

憂「んっ………」

――――――
――――
―――
――




197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:55:44.09 ID:Ukgx9fpIP

【翌日】

澪「………」

みんなとは少しずつ、少しずつだけど話すようになった。
それでも話はぎこちないし、すぐに避けてしまう。
学校に行くことが苦痛以外の何物でもなかった。

だけど、文化祭も着実に迫っている。
クラスの劇だってライブだって精一杯やりたい。
最後の文化祭なんだから。

そう思って頑張れる根底には憂ちゃんの存在があった。
憂ちゃんが私の支えとなっているから、頑張れるんだ。
最近憂ちゃんとは連絡をとっていなかったし、憂ちゃんからの連絡もなかった。
私に気を遣ってくれているのだろうか。

今日学校から帰ったら、久しぶりに連絡をとってみよう。
律とのことも、色々話したいし…。

唯「澪ちゃん、おはよう」

澪「あぁ…、おはよう」

こうして私に気兼ねなく挨拶してくれるのも今は唯だけだった。



199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 02:59:46.15 ID:Ukgx9fpIP

午前の授業。
私はいつものようにペンを走らせていた。
唯は寝息を立てて寝ているし、
律は机に突っ伏していた。(寝ているのかわからないけど)
ムギは時折律のことを目にやりながらも、真面目に板書を写してる。

憂ちゃんと話しがしたい…。
そう思いながら授業を受けていた。

キーンコーンカーンコーン

唯「澪ちゃん、ちょっといい?」

澪「ん…。どうしたんだ唯?」



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:07:37.03 ID:Ukgx9fpIP

授業が終わったのと同時に私は唯に呼ばれた。
何の話だろう、めずらしく唯の顔が真剣だった。
そして私は唯に空き教室に導かれた。

澪「唯。こんなところまで連れてこなくてもよかったんじゃないのか?」

唯「澪ちゃん」

唯「もう、憂に近づかないで」

澪「えっ…?」



202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:12:51.67 ID:Ukgx9fpIP

唯「憂はね、私のものなの」

唯「私は憂のことが大好きだし、憂だって私のことを誰よりも愛してる」

唯「だからもう憂に関わるのはやめて」

わけがわからなかった。
憂ちゃんに近づくな?
憂ちゃんのことが好き?

さっきから何を言ってるんだ唯は。
唯は梓が好きで、梓も唯が好きで。
そういう関係だったんじゃないのか?

澪「どういう…ことだよ…」

唯「私と憂は結ばれたの」

唯「好きな人には自分だけを見ていてほしいって思うのは当然でしょ?」



203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:18:07.37 ID:Ukgx9fpIP

澪「…梓は」

唯「え?」

澪「梓はどうしたんだよ。梓は唯のこと、好きなはずだろ?」

唯「昨日あずにゃんに告白されたよ。でも断った」

澪「唯は、梓のことが好きだったんじゃないのか…?」

唯「あずにゃんのことは確かに好きだけど、それはあくまで後輩として」

唯「あずにゃんには悪いことをしたと思ってる」

澪「………ひどい」

唯「私は、自分の気持ちに正直に動いただけ」

淡々と語っていた。
こんなに冷たい目をした唯は見たことがなかった。



204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:23:54.64 ID:Ukgx9fpIP

唯「憂も澪ちゃんにはお世話になったと思う」

唯「澪ちゃんと同じような境遇にいたからね」

唯はここ最近の私と憂ちゃんのことを知っていた。

唯「でも今の憂は澪ちゃんのことなんか頭にないよ」

やめろ、やめてくれ。

唯「昨日の晩、澪ちゃんのことを忘れてしまうぐらい私が憂を愛したから」

奪わないで…。

唯「もう憂は澪ちゃんのところには来ない」

私の支えを。

唯「そういうことだから、じゃあね」

ただ一つの拠り所を、奪わないでくれ…。



208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:29:04.26 ID:Ukgx9fpIP

そう言うと唯は教室に戻っていった。

もう私は一人で立つことが出来ない。
支えが、なくなってしまったから。
頑張れる理由も失った。

教室には戻らなかった。
そのまま、宙に浮いたように家に帰った。
もう9月も半ばだというのに、照りつける日差しが眩しかった。

さようなら、みんな。



律…大好きだよ。



210 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:32:37.55 ID:Ukgx9fpIP

ガラッ

さわ子「誰か、秋山さんのことを見ていない?」

教室でさわちゃんがそう言った。
もう5時間目は始まっていた。
澪の机は空いていた。

さわ子「早退かしら?でも保健室には来ていないみたいだし…」

澪が早退なんて中途半端なことをするわけがない。
何より荷物がまだある。
どこで何してんだよ…。
私は澪が心配でならなかった。

紬「………」



212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:38:17.97 ID:Ukgx9fpIP

【放課後】

部室に来たのは私とムギだけだった。
唯は用事があるからとそそくさと帰って行った。
梓も来なかった。聞いたところによると今日は学校を休んだらしい。
そして澪も戻って来なかった。。

重苦しい空気が流れた。

律「…帰ろうか」

ムギにそう呼びかけ音楽室を出ようとしたときだった。

紬「…待って」

ムギに腕をつかまれた。

律「どうしたんだよ、ムギ」

紬「ねぇ。りっちゃんは今、どこを見てるの…?」



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:47:24.78 ID:Ukgx9fpIP

どこを見てる?
私はその質問の意味がわからなかった。

律「ど、どういう意味だよ?」

ムギは答えなかった。
そして、また口を開いた。

紬「りっちゃんは、私のこと好き…?」

あの時と同じ言葉を口にした。

紬「私たち、付き合ってるんだよね…?」

紬「今度は答えてくれてもいいでしょ…?」

律「………」



215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 03:55:08.89 ID:Ukgx9fpIP

ムギは目に涙をためていた。
不安でしょうがない様子が手に取るようにわかった。
それもそのはず。
ムギと付き合って以来…
いや、正確にはあの時澪の涙を見てから。
私は澪のことで頭がいっぱいだったからだ。

律「………」

紬「…やっぱり、言ってくれないのね」

紬「そうよね、りっちゃんが本当に好きなのは…」

紬「澪ちゃんだもんね」

律「……!!!」

――私が、澪を好き。

そっか。だからこんなに胸が苦しかったんだ。
私はずっと好きだったんだ、あいつのこと。



220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:06:20.68 ID:Ukgx9fpIP

紬「…やっぱり」

紬「そういう顔をするってことは、そうなのね」

今の私はいったいどんな顔をしているのだろう。

紬「私、りっちゃんが本当は澪ちゃんのことが好きなんだってこと気づいてた」

紬「りっちゃんは、本当に鈍感だよね…。人にも、自分にも」ぽろぽろ

まったくその通りだった。
人の気持ちにも、自分の気持ちにも気づかない。
情けない。本当に情けなかった。
傷つけなくていい人まで傷つけて。
何かを失わなければ気づかない。
本当に私は間抜けだ。

紬「…馬鹿。りっちゃんの馬鹿」

律「…ごめん」

謝ることしか出来なかった。



221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:11:29.23 ID:Ukgx9fpIP

紬「馬鹿、鈍感、分からず屋、いい格好ぶり」

律「ごめん…」

紬「でも…」

紬「私はそんなりっちゃんが好きで好きでしょうがない…」

紬「1番じゃなくてもいいから、澪ちゃんの次でいいから…」

紬「私を…りっちゃんの傍にいさせてください…」

律「………」



223 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:16:58.19 ID:Ukgx9fpIP

律「………」

ムギは大粒の涙を流しながら訴えていた。
もしここで私がムギの願いに応えてしまったら、
また振り出しに戻ってしまう。何も変わりはしない。

でもそれじゃあダメなんだ。
私が本当に好きなのは、澪なんだから。

律「…ごめん、ムギ」



224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:22:06.61 ID:Ukgx9fpIP

紬「いやよ、そんなの…!絶対に、嫌…!!!」

ムギは力を込めて私の腕を掴んだ。

律「…私、行くよ。澪のところに」

律「澪のことが、好きだから」

律「…ありがとう」

私はムギの手を払った。

紬「待って!!!」

紬「行かないで…!行かないでよりっちゃぁん…」

律「…ごめん」

バタン

紬「うっ、ううっ…。りっちゃん…、りっちゃぁん…!」



226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:27:17.38 ID:Ukgx9fpIP

泣き崩れるムギを後ろに、私は音楽室を駆け出した。

ここまで来るのに随分と遠回りをしてしまった。
でももう迷わない。私が澪を守る。
だって澪のことが、好きだから…。

律「澪、澪っ…!」

私の足は自然と速くなっていった。



227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:31:08.19 ID:Ukgx9fpIP

澪の家に着いた。
呼び鈴を何度押しても何の反応もなかった。

家の玄関に手をかけると、鍵がかかっていなかった。
もちろんこのまま入ったら不法侵入だ。
でも今はそんなのどうだってよかった。
私は玄関のドアを開け、澪の家に入った。



230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:33:42.12 ID:Ukgx9fpIP

もう薄暗いというのに、家のどこにも電気がついていなかった。

私は叫んだ。
律「澪!私だ、律だよ!!出てきてくれ!」

何の返事もない。
ここで引き下がるわけにはいかない。
たくさんのものを犠牲にしたんだ。
ここで私が前に進まなきゃ、何の意味もない。
何のために、ムギにあんな辛い思いさせたのかわからないじゃないか。
私は靴を脱ぎ、澪の部屋に向かった。



231 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:41:03.18 ID:Ukgx9fpIP

バタン

律「澪!澪ッ!!」

部屋はもっと薄暗かった。
しばらくして目が暗さに慣れる。

律「澪…?嘘だろ…?」

私は自分の目に映った光景を疑った。



澪は、首を吊っていたのだ。



237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:45:50.30 ID:Ukgx9fpIP

律「澪!!!」

澪を縄から解放し、ベッドに下ろした。

律「澪!おい澪ッ!起きろって!!」

返事はなかった。
遅かった。何もかも。
私の想いは永遠に澪に届くことはなかった。
やっと、気づいたのに…。
やっと、わかったのに…。

小綺麗な澪の部屋。
部屋の机の上にはペンとノートのようなものがあった。
私はそれを手にとった。



240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 04:51:53.44 ID:Ukgx9fpIP

律「これは…」

文化祭の劇でやるロミオとジュリエットの台本だ。
だいぶ読みこまれていて汚れや折り目がたくさんあった。
至る所にペンやマーカーがひかれていた。
ぱらぱらとめくっていると、あるページに目が止まった。
ロミオがジュリエットに愛を告げるシーンだ。
見ているだけで恥ずかしくなるようなセリフ。
その一帯にマーカーが引かれていた。
マーカーの横には目立つ色のペンで大きく文字が書いてあった。

『律のことを想いながら!』

涙が溢れた。
止まらなかった。
澪…。お前は、どれだけ私のことを…。



245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:00:18.75 ID:Ukgx9fpIP

――――――
――――
―――
――


~回想~

澪『こ、こんなセリフを言うのか…?』

律『聞いてるこっちまで恥ずかしくなるぞ』

紬『何を言ってるの二人とも、そこがロミオとジュリエットの山場じゃない!』

唯『ねぇ、私にはセリフないの?!』

紬『んー、唯ちゃんにはちょっとないかな…』

唯『えーっ!!私も何かしゃべりたい!!』

律『木がしゃべる劇なんて嫌だろ…』

キャストも無事に(といっても多いに揉めたが)決まり、いよいよ練習が始まると言った頃。
渡された台本には見ているだけで耳まで熱くなるようなセリフが並べられていた。



246 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:06:22.11 ID:Ukgx9fpIP

最初の頃は恥ずかしくて口に出来たもんじゃなかったし、
澪が真剣にそんなセリフを口にしてるのがおかしくてたまらなかった。

しかし練習を重ねるごとにそんな恥ずかしさはなくなり、
お互い役にもハマるようになってきた。

・・・・・・

紬『カット!』

紬『澪ちゃん、今のところすごくよかったわよ』

澪『そ、そうかな…。ありがとう』

紬『この調子ならいい劇が出来そうだわ』

唯『りっちゃんのジュリエットもかわいかったよ!』

律『う、うるさい//』

紬『あ、りっちゃん照れてる!』

唯『んもう、素直じゃないんだからぁ』すりすり

律『うわ!や、やめろって///』



248 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:11:52.58 ID:Ukgx9fpIP

【放課後】

唯『音楽室行こうよ!』

澪『そうだな、梓も待ってるだろうし』

紬『私は劇の演出と話をするから少し遅れていくわ』

律『あ。おーい、澪ー!台本忘れてるぞー!』

澪『?!』

律『にしても、よく読んでんだなぁー。ほら唯も見てみろよ。ボロボロだぜ』

澪『み、見るなぁぁぁ!!!』ばっ



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:16:25.35 ID:Ukgx9fpIP

律『お、おい!いきなり奪うことないだろ!』

澪『う、うるさいっ///勝手に見るなっ!』がんっ

律『あいてっ!』

澪『さ、さぁ。部室に行くぞ!』

律『何だってんだよ…』

澪『見られて…ないよな、あのページ…』ぼそっ

律『なーにぶつぶつ言ってんだよ』

澪『な、ななな何でもないっ///』

律『変なやつだな』


――
―――
――――
――――――



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:21:51.47 ID:Ukgx9fpIP

ふと、そんなことを思い出した。
あの時の『見られてないよな』って、このページのことだったのかな。

律「ばか…。澪の、ばか…」

それしか言えなかった。
馬鹿なのは私の方なのに。
なぁ澪。
もう一度「ばか律」って呼んでくれよ…。
そう言いながらさ、頭…叩いてくれよ…。



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:29:03.83 ID:Ukgx9fpIP

・・・・・・

律「…よし」

台本を閉じた私は立ちあがった。
もう涙は出なかった。

そして私は戒めた。
勝手な生き方をしていた自分を。
いい格好ぶりしていた自分を。
これはそんな私に対する罰なんだと。

辛い思いばかりさせてごめんな。
せめて最期ぐらいは…
お前と同じように。

あっちで会えたら、ちゃんと想いを伝えるよ。
おんなじところに行けるかはわからないけどな…。

私は澪の髪を撫でた。
そして私は澪を吊るしていた縄に、自分の首をかけた。



ありがとう、澪。大好きだ。



259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:41:49.66 ID:Ukgx9fpIP

澪「………」

ここは…どこだ?
私は、死んだのか…?

澪「うっ…げほっ、げほっ!」

喉が苦しい。
そうだ。私はあのあと家に帰って。
首を吊って死のうとして、それから…

澪「えっ?!」

私、生きてる…?



262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:47:06.20 ID:Ukgx9fpIP

私は軽くパニック状態だった。
首を吊って死ぬつもりだったのに、
何で気絶してただけなんだ?
しかも、ベッドの上にいる…。
誰だ…?私を縄から解放したのは。

こつん

澪「いたっ」

頭に何かぶつかった。
天井を見上げる。
そこには私が吊られているはずの縄に別の誰かが吊られていた。

黄色いカチューシャ。
広いおでこ。
だらしのない制服。



律だった。



264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 05:55:27.16 ID:Ukgx9fpIP

澪「え…。律…?」

澪「りつっ!!!!」

ようやく状況を理解した私は、急いで律を下ろした。
私のように気絶しているだけかも知れない。
そう思ったが、そんな淡い期待はすぐに打ち消された。
心臓が、止まっていたのだ。

澪「なんで…。どうして、私を助けたんだよ…」

澪「私のことなんか、放っておけっていったじゃないか…」



265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:01:54.53 ID:Ukgx9fpIP

澪「ん…?」

足元に何かある。
私の劇の台本だった。
机の上に置いてあったはずなのにな…。
よく見るとペンがしおりとなって挟まってた。

私はそのページを開いた。
物語の山場、ロミオがジュリエットに愛を伝えるシーンだ。
色ペンで書かれた『律のことを想いながら!』の文字。
その下に、覚えのない言葉が書いてあった。

『澪、大好きだ。』



266 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:08:08.58 ID:Ukgx9fpIP

このくせのある字は、律の字だ。
ぐしゃぐしゃで、滲んでいた。
律、泣いてたんだな。お前は冗談でこんなことするような人間じゃないもんな。


だからこの言葉は、信じてもいいんだよな?


たった一言。それだけですべて伝わった。
律のことだ、そのたった一言を言うためにここまで来たんだろう?
なんだよ…。お前も私と同じくらい不器用じゃないか。
馬鹿だな…本当に。大馬鹿だよ。



268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:15:45.05 ID:Ukgx9fpIP

私は律の顔を見た。
なんて安らかで、幸せそうな顔をしているんだろう。
人がこんなに悲しんでるってのにお前って奴は…。
呑気に劇の練習か?
まったく、しょうがない奴だな。
いいよ。付き合ってやる。
最後のクライマックスのシーンだな。

澪「あぁ、美しいジュリエット!なぜこんな姿に!」

澪「君を、一人で死神のところに行かせはしない!」

澪「この身が朽ち果てるとも…、二度…と君…を離しは…しな…い」ぽろぽろ

澪「おい、律…。次はお前のセリフだぞ…、なぁ…」

澪「起きてくれよ、律…。起きて、私に愛を告げてくれよ…」

澪「ジュリエットが先に死んだら、話がちがっちゃうないじゃないか…」

澪「なぁ、律…。りつぅ…」



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:24:30.33 ID:Ukgx9fpIP

今、私の腕の中で大好きな人が眠っている。
私の、大好きな人が。
ずっと片思いだと思ってた。
想いが届くことはないって思ってた。
けど、最後ににその人は私のことが好きだってわかった。
やっと想いが伝わった。
でもさ、律。やっぱり、納得いかないよ。
こんなのってないよ…。

澪「うっ、うぐっ…。うわあああああああ」

私は泣いた。
声が枯れるまで泣いた。



271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:30:26.60 ID:Ukgx9fpIP

泣き尽くした私は妙に穏やかだった。

律、お前を一人になんかしないよ。
お前は私がいなきゃダメだからな。

私は部屋にあった裁ちばさみを手に取り、それを高く振りかざした。

そう、気高く最期を迎えたジュリエットのように。

そして私は、喉を突いた。



273 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:34:33.31 ID:Ukgx9fpIP

―――なぁ、律。
私たち、これからずっと一緒だよ。
もうすぐ律のとこに行くからさ、待っててくれよ。
会ったら真っ先にお前を叱らなきゃな。遅すぎだって。
私がどれだけ待ったと思ってるんだって。
めいっぱい叱ったあと、思いっきり抱きしめるんだ。
あ、劇の続きもしなきゃ。ジュリエットからまだ愛の言葉を聞いていないからな。
恥ずかしがる律の顔が目に浮かぶよ。
それから、そうだな…―――

意識が遠のいていく。

―――みーお!こっちこっち!―――

迎えに来たのか?せっかちだなぁ。
ふふっ、まぁ律らしいか。

―――なーに笑ってんだよ?―――

―――なぁ、りつ―――

―――ん?―――

―――…大好き―――



おわり




275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:36:26.29 ID:gffSUJgp0

おい唯と憂が責任感じて死ぬところまでやれよ…





277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:42:18.16 ID:Ukgx9fpIP

>>275
そこまで書こうかどうしようか迷ってたんだが蛇足になりそうだからやめたwww

読んでくれた方、ありがとう。

おやすみ。




276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:36:43.72 ID:Z7lqltgB0

ムギとあずにゃん不憫だな



278 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 06:43:16.30 ID:4c6BAf+e0


愛って重いな



282 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 07:56:29.26 ID:TQT3+S240

乙!



283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/13(月) 09:41:03.46 ID:DYxEioyD0

>>1






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澪「shit」#後編
[ 2011/12/21 21:04 ] 非日常系 | | CM(3)

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タイトル:
NO:4800 [ 2011/12/22 00:09 ] [ 編集 ]

うお
重いな

タイトル:
NO:4805 [ 2011/12/22 15:32 ] [ 編集 ]

泣いた。
澪ちゃんりっちゃん天国でお幸せにな....!

タイトル:
NO:5431 [ 2012/01/26 12:22 ] [ 編集 ]

自分は澪厨だが、最後律との心中じゃなくて
澪だけが逝って、残された、唯律が自責の念にかられるのが見たかったな

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