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朋也「軽音部? うんたん?」#5 【クロス】


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朋也「軽音部? うんたん?」#index




326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:39:31.79 ID:cUBlBpOS0

4/14 水

朋也「…おはよ」

唯「おはよ~」

落ち合って、並んで歩き出す。

朋也「…ふぁ」

大きくあくび。

唯「今日も眠そうだね」

朋也「ああ、まぁな」

唯「やっぱり、授業中寝ちゃうの?」

朋也「そうなるだろうな」

唯「じゃ、またこっちむいて寝てね」

朋也「いやだ」

唯「いいじゃん、けち」

朋也「じゃあ、呼吸が苦しくなって、息継ぎするときに一瞬だけな」

唯「そんな極限状態の苦しそうな顔むけないでよ…」



328 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:40:43.96 ID:1qYNd8dxO

―――――――――――――――――――――

坂を上る。周りには俺たちと同じように、喋りながら登校する生徒の姿がまばらにあった。
その中に混じって歩くのは、まだ少し慣れない。
いつか、この違和感がなくなる日が来るんだろうか…こいつと一緒にいるうちに。

唯「ねぇ、今日も一緒にお昼食べない?」

朋也「いいけど」

唯「っていうかさ、もう、ずっとそうしようよっ」

朋也「ずっとはな…気が向いた時だけだよ」

唯「ぶぅ、ずっとだよっ」

朋也「ああ、じゃ、がんばれよ」

唯「流さないでよっ、もう…」

唯「あ…」

坂を上りきり、校門までやってくる。

唯「和ちゃんのポスターだ」

昨日俺たちが貼った物だった。

唯「もう、明後日だもんね。和ちゃん、当選するといいなぁ」



329 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:42:29.44 ID:1qYNd8dxO

あいつの政治力なら容易そうだった。
にしても…

朋也(清く正しく、ねぇ…)

ポスターに書かれた文字を見て、なにかもやもやとしたものを感じた。
学校は社会の縮図、とはよくいったものだが…
なにもここまでリアルじゃなくてもいいのでは…。

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

昼。

春原「がははは! 岡崎、昼飯にするぞ」

いきなり春原が腰に手を当て、ふんぞり返りながら現れた。

朋也「…はぁ?」

春原「春原アターーーーーーーーーーーーック!」

びし

朋也「ってぇな、こらっ!」

春原「はぁ? ではない! 飯だと言っているだろ! バカなのか?」



330 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:42:57.68 ID:cUBlBpOS0

バカにバカっていわれた…。

春原「がはははは! 世界中の美女は俺様のもの!」

完全に自分を見失っていた。

朋也「…春原、もうわかった。もういいんだ。休め」

春原「あん?」

朋也「なにがあったかは知らないけど、もういいんだ」

朋也「がんばらなくていい…休め…」

春原「なんで哀れんでんだよっ!」

朋也「春だからか。季節柄、そんな奴になっちまったのか…」

春原「お、おい、ちょっと待て、おまえが昨日、英雄風に言えって言ったんだろ!?」

朋也「え?」

春原「え? じゃねぇよっ! 思い出せっ!」

そういえば、そんなことを言った気もする。

朋也「じゃ、なにか、今のが英雄?」

春原「そうだよっ。ラ○スだよっ」



331 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:44:17.06 ID:1qYNd8dxO

朋也「ああ、ラン○ね。まぁ、確かに英雄だけど」

春原「だろ?」

朋也「でも、おまえの器じゃないからな、あの人は」

朋也「再現できずに、ただのかわいそうな人になってたぞ」

春原「再現度は関係ないだろっ!」

春原「くそぅ、おまえの言った通りにしてやったのに…」

朋也「悪かったな。じゃ、次は中学二年生のように誘ってくれ」

春原「ほんっとうにそれで伝わるんだろうなっ」

朋也「ああ、ばっちりだ」

春原「わかったよ、やってやるよ…」

朋也「それと、今日も平沢たち、学食来るんだってさ」

春原「そっすか…別になんでもいいよ…」

―――――――――――――――――――――

7人でテーブルの一角を占め、食事を始める。

春原「ムギちゃんの弁当ってさ、気品あるよね」



332 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:44:40.15 ID:cUBlBpOS0

紬「そうかな?」

春原「うん。やっぱ、召使いの料理人が作ってたりするの?」

紬「そんなんじゃないよ。自分で作ってるの」

春原「マジ? すげぇなぁ、ムギちゃんは」

紬「ふふ、ありがとう」

唯「澪ちゃんのお弁当は、可愛い系だよね」

澪「そ、そうか?」

唯「うん。ご飯に海苔でクマ描いてあるし」

律「りんごは絶対うさぎにしてあるしな」

紬「澪ちゃんらしくて可愛いわぁ」

澪「あ、ありがとう…そ、そうだ、唯のは、憂ちゃん作なんだよな」

唯「うん、そうだよ」

澪「なんか、愛情こもってる感じだよな、いつも」

唯「たっぷりこもってるよ~。それで、すっごくおいしいんだぁ」

澪「でも、姉なんだから、たまには妹に作ってあげるくらいしてあげればいいのに」



335 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:46:14.60 ID:1qYNd8dxO

唯「えへっ、無理っ」

澪「唯はこれだからな…憂ちゃんの苦労が目に浮かぶよ…」

律「和のは、なんか、全て計算ずくって感じだよなぁ」

和「そう?」

律「ああ。カロリー計算とかしてそうな。
  ここの区画はこれ、こっちはあれ、って感じでさぁ」

唯「仕切りがすごく多いよね」

春原「さすが、和さん」

唯「和さん?」
律「和さん?」

春原「あ、いや…」

春原に注目が集まる。

和「………」

真鍋の強烈な視線が春原に突き刺さっている。
普段通りに接すること…その鉄則を破っているからだ。

春原「ひぃっ」

春原「…真鍋も、やるじゃん」



336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:46:44.99 ID:cUBlBpOS0

冷や汗をかきながら、必死に取り繕っていた。

春原「あそ、そうだ、部長、おまえのはどんなんだよ」

律「私? 私のは…」

春原「ああ、ノリ弁ね」

律「まだなにも言ってないだろっ」

春原「言わなくてもわかるよ。おまえ、歯に海苔つけたまま、がははって笑いそうだし」

律「なんだと、こらっ! そんなことしねぇっつの!」

律「おまえなんか、弁当で例えると、あの緑色の食べられない草のくせにっ!」

朋也「それは言いすぎだ」

春原「岡崎、おまえ…」

律「な、なんだよ、男同士かばいあっちゃって…」

朋也「フタの裏についてて、開けたらこぼれてくる水滴ぐらいはあるだろ」

春原「追い討ちかけやがったよ、こいつっ!」

律「わははは!」

―――――――――――――――――――――



337 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:48:09.96 ID:1qYNd8dxO

………。

―――――――――――――――――――――

放課後。無人の生徒会室へ。
周囲を警戒して、真鍋とは別ルートで向かった。
そして、席につき、会議が始まる。

和「岡崎くん、ちゃんと渡してくれた?」

朋也「ああ」

和「そう。ご苦労様」

渡した時、なにも不審がられなかったのが逆に不気味だった。
みな、手馴れた様子でさっと机の中に隠していた。
こういうことが日常的に起きているんだろうか…。

和「今日は届けものをして欲しいんだけど」

机の上には、封筒から小包まで、大小様々な包みが並べられていた。

和「それぞれにクラス、氏名…この時間いるであろう場所、等が書いてあるから」

朋也「わかった。どれからいってもいいのか」

和「ええ、どうぞ」

とりあえず、軽めのものからかき集めていく。
なぜか春原は小包を見て、そわそわし始めていた。



338 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:48:35.05 ID:cUBlBpOS0

和「それから、中は絶対に見ないでね」

下手な好奇心は身を滅ぼす、と今の一言に集約されていた。

春原「う、は、はいっ」

歯切れの悪い返事。
こいつは中身を覗いてみるつもりだったに違いない。

―――――――――――――――――――――

春原「なぁ、岡崎…これって、俗に言う運び屋なんじゃ…」

朋也「だろうな」

男子生徒1「ファッキューメーン!」

男子生徒2「イェーマザファカッ!」

いきなりニット帽をかぶった二人組が俺たちの前に立ちはだかった。

春原「なに、こいつら」

男子生徒1「おまえら、真鍋和の兵隊だろ、オーケー?」

男子生徒2「そのブツ、ヒアにおいてけ、ヨーメーン?」

中途半端すぎる英語だった。

春原「ああ? うっぜぇよっ、やんのか、らぁっ!」



339 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:49:56.37 ID:1qYNd8dxO

男子生徒1「…怖いメーン。帰りたいYO」

男子生徒2「俺もだYO」

男子生徒1「じゃ、帰ろっか」

男子生徒2「うん」

最後は素に戻り、立ち去っていった。

春原「マジでなんなの」

朋也「さぁ…」

―――――――――――――――――――――

朋也「えーと…二年B組か」

封筒を確認し、教室を覗く。
適当な奴を捕まえて、記載された名前の人物を呼んでもらった。

男子生徒「なんすか」

いかにもな、チャラい男だった。

朋也「これ」

封筒を渡す。

男子生徒「あい?」



340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:50:17.26 ID:cUBlBpOS0

受け取ると、少し開けて中を確認した。

男子生徒「ああ…そういうこと」

次に俺たちを見て、何かを納得したようだった。

男子生徒「30…いや、50はかたいって伝えてといてください」

朋也「わかった」

男子生徒「それじゃ」

一度片手を上げ、たむろしていた連中の輪の中に戻っていった。

春原「なにが入ってたんだろうね…」

朋也「俺たちの知らなくていいことなんだろうな」

きっと、高度な政治的駆け引きが行われたのだ…。

―――――――――――――――――――――

女子生徒「あの…なんでしょう」

やってきたのは図書室。
カウンターの女の子へ届けることになっていた。

春原「ほら、これ。配達にきたんだよ」

小包を渡す。



341 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:51:32.66 ID:1qYNd8dxO

女子生徒「はぁ…」

よくわかっていない様子だ。
開封していく。

女子生徒「………」

みるみる顔が青ざめていく。
そして、俺たちに謝罪の言葉を伝えて欲しいと、
そう言って、そのまま意気消沈してしまった。

―――――――――――――――――――――

春原「…中身、みなくてよかったのかな、やっぱ」

やはりなにが入っているか気になっていたようだ。

朋也「だろうな」

もし見ていれば、次はこいつのもとに小包が届くことになっていたのだろう。

―――――――――――――――――――――

手持ちも全てなくなり、一度生徒会室に戻ってくる。

春原「和さん、なんか、途中変な奴らに絡まれたんすけど。
   僕たちが和さんの兵隊だとかいって」

和「それで、どうしたの」

春原「蹴散らしてやりましたよっ」



342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:52:48.79 ID:1qYNd8dxO

和「それでいいわ。よくやってくれたわね」

春原「へへ、楽勝っす」

和「その人たちは私の政敵が雇った刺客ね」

朋也「刺客?」

和「ええ。私と似たようなことをしている輩もいるのよ」

和「でも、ま、雇えたとしても、その働きには期待できないでしょうけどね」

和「正規運動部を雇うのは、あとあと面倒だろうし…」

和「一般生徒や、途中で部を辞めてしまった生徒じゃ力不足になるわ」

和「なぜなら…」

すっ、とメガネを上げる。

和「スポーツ推薦でこの学校に入ってこられるほどの身体ポテンシャルを持ち…」

和「なおかつ、喧嘩慣れしたあなたたちには、到底適わないでしょうから」

こいつ…俺たちのプロフィールも事前にしっかり調べていたのか…。

春原「ふ…そうっすよ。僕たち、この学校最強のコンビっすからっ」

いつもラグビー部に好き放題ボコられている男の言っていいセリフじゃなかった。



343 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:53:07.69 ID:cUBlBpOS0

和「頼もしいわ。その調子で残りもお願いね」

春原「まかせてくださいよっ」

朋也(すぐ調子に乗りやがる…)

―――――――――――――――――――――

その後も俺たちは似たようなやり取りを繰り返した。
そして、最後の配達を追え、また戻ってくる。

―――――――――――――――――――――

春原「全部終わりましたっ」

和「ええ、そうね。ご苦労様」

春原「いえいえ」

春原「あ、そうだ。メガネの奴が、今までの3割増しなら60、って言ってました」

和「そう…わかったわ。ありがとう」

伝言もことあるごとに頼まれていた。
その都度、こうして真鍋に報告を入れていた。

和「ふぅ…」

ひとつ深く息をつき、生徒会長の椅子に座る。



344 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:54:14.54 ID:1qYNd8dxO

和「本当に…あと少しなのね」

声色に覇気がなかい。

朋也「まだなにか不安があるのか」

和「まぁね」

朋也「これだけやれば、もうおまえが勝ったも同然な気がするけどな」

春原「そっすよ」

和「…あなたたち、二年生の坂上智代って子、知ってる?」

聞いたことがなかった。

春原「いや、知らないっす」

朋也「有名な奴なのか」

和「ええ。それも、この春編入してきたばかりだというのによ」

なら、まだこの学校に来て二週間も経っていないことになる。
それで有名なら、よっぽどな奴なんだろう。

和「純粋な子なんでしょうね…それを、周囲の人間が感じ取ってる」

朋也「そいつとおまえと、どう関係あるんだ」

和「立候補してるのよ。生徒会長に」



345 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:54:42.93 ID:cUBlBpOS0

朋也「そら、すげぇな」

そんな型破りな奴なら、有名になるのも頷ける。

和「ええ。求心力も抜群でね…私の党から離れて、坂上さんサイドに移った人間もいるわ」

和「いえ…それが大多数かしら」

ぎっと音を立て、椅子から立ち上がった。

和「汚いことをしているとね…綺麗なもの、純粋なものが一層美しく映るの」

和「みんな心の底ではそんなものに憧憬の念を抱いていたわ」

和「そこへ、一点の曇りもない、指導者と成り得るだけの器を持った人物が現れた」

和「それは私にとって由々しき事態だったわ」

和「私は一年の頃からこちら側に芯までつかっていた」

和「そう…全ては生徒会長の椅子を手に入れるために」

和「それなのに…会長を務めていた先輩も卒業して、
  ようやく私がそのポストにつけると思っていたのに…」

和「なんのしがらみも持たず、何にも囚われない最強の敵が現れた!」

和「私は焦った。どんどん人が離れていく。中核を成していた実働部隊もいなくなった」

和「残ったのは少数の部下だけ…」



346 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:55:51.18 ID:1qYNd8dxO

和「悩んだわ…たったこれだけの戦力じゃ、どうあっても勝てっこない…」

和「途方にくれていた時…あなたたちが奉仕活動をしていることを知ったの」

和「そして思いついた…なにも知らない、一不良を使った『封神計画』を!」

朋也「なんか、ずれてないか」

和「冗談よ」

朋也「あ、そ」

和「まぁ、それであなたたちに働いてもらったってわけね」

そっと椅子に手を触れる。

和「ようやく、互角…まだ戦えるわ」

和「そして、この椅子を手に入れるのは…」

じっと、俺たちを見据えて…

和「私よ」

そう言い放った。

―――――――――――――――――――――



347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:56:23.64 ID:cUBlBpOS0

4/15 木

唯「おはよぉ」

朋也「ああ、おはよ」

今日も角を曲がったところで、変わらず待っていた。
そのほがらかな姿を見ると、僅かに心が躍った。
そんな想いを胸中に秘めながら、隣に立ち、並んで歩き始めた。

唯「…はぁ」

隣でため息。

朋也「………」

唯「…はぁっ」

今度はさっきより大きかった。

朋也「………」

唯「…もうっ! どうしたの? って訊いてよっ」

朋也「どうしたの」

唯「…まぁ、いいよ」

唯「えっとね、先週新勧ライブあったでしょ」



348 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:57:55.37 ID:cUBlBpOS0

朋也「ああ」

唯「あれから今日で一週間経つんだけど、まだ新入部員ちゃんが来てくれないんだよ…」

朋也「ふぅん…」

唯「やっぱり、私の歌がヘタだったから、失望されちゃったのかな…」

朋也「そうかもなっ」

唯「って、こんな時だけはきはき答えないでよっ」

朋也「悪い。眠さの波があるんだ」

唯「意地悪だよ、岡崎くん…」

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

4時間目が終わる。

唯「今日も、一緒でいい?」

朋也「ああ、別に」

唯「やたっ!」



349 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 16:58:27.37 ID:cUBlBpOS0

唯「じゃ、またあとでねっ」

高らかにそう告げると、席を立ち、ぱたぱたと駆けていった。
いつものメンツを集め、その旨を伝えているようだった。

春原「とーもーやーくん」

そこへ、いやに馴れ馴れしさのこもった呼び声を発しながら、春原がやって来た。

朋也「…あ?」

春原「がくしょくいーこーお」

春原「いや、でもさ、その前に…河原いかね?」

朋也「…なんでだよ」

その前に覚えた違和感はとりあえず置いておき、訊いてみる。

春原「なんでって…おまえ、言わせんなよ…」

耳打ちするように手を口に添えた。
結局言うつもりらしい。

春原「…エロ本…だよ…」

げしっ!

春原「てぇなっ! あにすんだよ!」



350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:01:40.98 ID:1qYNd8dxO

朋也「おまえが真っ昼間からサカってるからだろうがっ!」

朋也「なにがエロ本だっ! 性欲が食欲に勝ってんじゃねぇよっ!」

生徒1「春原やっべ、エロ本とか…」

生徒2「あいつ絶対グラビアのページ開きグセついてるよな」

生徒1「ははっ、だろーな」

春原「うっせぇよ!」

生徒1「やべ、気づかれた」

生徒2「エロい目で気づかれた」

春原「ぶっ飛ばすぞ、こらっ!」

生徒1「逃げれっ」

生徒2「待てって」

二人のクラスメイトたちは、わいわいと騒ぎながら教室を出て行った。

春原「岡崎、てめぇ、声でかいんだよっ」

朋也「おまえがエロ本とかほざくからだろ」

春原「おまえが中学二年生みたいにって要求したんだろっ!」



352 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:02:09.54 ID:cUBlBpOS0

朋也「だったか?」

春原「もう忘れたのかよっ!? なら、最初からいうなっ!」

朋也「いや、最初のほうは小学二年生だったからわかんなかったんだよ」

春原「ちゃんと第二次性徴むかえてただろっ」

朋也「いきなりすぎて気づかなかったんだ」

春原「なんだよ、おまえの言う通りにしてやったのによ…」

朋也「悪いな。じゃ、次はさ、一発屋芸人のようにやってくれよ」

春原「おまえさ、僕で遊んでない?」

朋也「え? そうだけど?」

春原「さも当たり前のようにいうなっ!」

春原「くそぅ、やっぱ、確信犯かよ…」

朋也「まぁ、結構おもしろかったんだし、いいじゃん」

春原「それ、あんただけだよっ!」

―――――――――――――――――――――

唯「とうとう明日だね、和ちゃん」



353 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:03:23.08 ID:1qYNd8dxO

和「そうね」

律「確か、演説とかするんだよな」

和「ええ」

律「公約とか、理想みたいなのを延々語るんだろ?」

和「ごめんなさいね、退屈で」

律「いや、和が謝ることないけど」

澪「和が生徒会長になってくれたら、学校も今よりよくなるよ」

和「ありがとう」

唯「和ちゃんの公約って、なに?」

和「無難なものよ。女の子受けするように、スカート丈が短くてもよくするとか…」

和「ソックスの種類を学校の純正品以外も可にするとかね」

和「男の子向けだと、夏はシャツをズボンから出してもよくする、とか…」

和「まぁ、先生受けは悪いし、ほとんど守れないんだけどね」

こいつが本気になればどれも軽く実現しそうだった。

律「じゃあさ、春原をこの学校から根絶します、とかだったらいいんじゃね?」



354 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:03:40.65 ID:cUBlBpOS0

律「それなら、先生受けもいいだろうし」

春原「いや、デコの出し過ぎを取り締まったほうがいいよ」

春原「昔、ルーズソックスとかあったじゃん。もう絶滅してるけど」

春原「それと同じで、ルーズデコも、もう世の中が必要としてないと思うんだよね」

 律「………」
春原「………」

引きつった笑顔で睨み合う。

澪「また始まった…」

朋也「なら、折衷案しかないな」

春原「折衷案?」
 律「折衷案?」

朋也「ああ。間を取って、春原の上半身だけ消滅すればいいんだよ」

春原「僕が一方的に消えてるだろっ!」

律「わははは!」

―――――――――――――――――――――

………。



355 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:06:12.44 ID:1qYNd8dxO

―――――――――――――――――――――

放課後。生徒会室に集まった。

和「じゃあ、今日は…」

こんこん

扉がノックされる。

和「…どうぞ」

真鍋の表情が険しくなる。
警戒しているようだった。

女生徒「失礼する」

ひとりの女生徒が入室してくる。
真鍋が俺に目配せし、廊下の方に小さく顎を振った。
他に誰かいないか、確認するよう指示してきたのだろう。
俺はそのサインを汲み取り、廊下を見渡しに出た。
人影はみあたらない。
女生徒がこちらに背を向けていたので、その場から手でOKサインを送った。
真鍋も目だけをこちらに向けて気取られない程度に頷く。

和「私に用があるのよね?」

女生徒「ああ」

和「でも、どうしてここが?」



356 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:07:25.54 ID:cUBlBpOS0

女生徒「去年あなたと生徒会役員をやっていた生徒が、私の友達になってくれたんだ」

女生徒「それで、挨拶しに行きたいと言ったら、ここにいるはずだと教えてくれた」

和「…なるほどね」

女生徒「ああ、申し遅れたが、私は二年の坂上智代という」

こいつが、例の…。

和「ええ、知ってるわ」

智代「そうか。それは光栄だ」

智代「あなたは、かなりのやり手だと聞く。けど、私も退くわけにはいかない理由がある」

智代「明日は誰が勝っても恨みっこなしだ。お互いがんばろう。それだけ言いにきた」

和「…そう」

智代「他の立候補者にも挨拶に行きたいので、これで失礼する」

出入口のあるこちら側に振り返る。
そこへ、春原がチンピラ歩きで寄っていった。

春原「おい、てめぇ。上級生にたいして口の利き方がなってねぇなぁ、おい」

智代「…なんだ、この黄色い奴は」

春原「金色だっ」



357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:09:33.54 ID:1qYNd8dxO

智代「うそをつけ。ブレザーと同じ色だぞ」

春原「なにぃっ!?」

智代「真鍋さん、こいつは部外者じゃないのか」

和「いえ…私の手伝いをしてもらっていたの」

智代「そうか…」

残念そうな顔。

朋也「始末したいなら、別にいいぞ」

春原「おい、岡崎っ!?」

智代「…真鍋さん、そっちは」

和「同じく、私のお手伝いよ」

智代「そうか。なら、正式な許可がおりたということだな」

春原「ああ? なに言って…」

ばしぃっ!

春原「ぎゃぁぁあああああああああああああっ!!」

内股に強烈なインローが入り、悶絶し始めた。
うずくまり、ぷるぷると震えている。



358 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:10:00.94 ID:cUBlBpOS0

智代「すっきりしたし、これで本当に失礼する」

転がっている春原を跨ぎ、俺がいる方のドアに近づいてくる。

和「…待って」

智代「なんだ」

立ち止まり、真鍋に向き直った。

和「考え直さない?」

智代「というと?」

和「生徒会長よ。あなた、まだ二年だし、副会長からでもいいんじゃない?」

智代「それは…だめだ。言ったはずだ。退けない理由があると」

智代「あなたにもあるだろう。それと同じことだ」

和「…そうね。引き止めて悪かったわ」

智代「いや、これくらいなんでもない。それでは」

会釈し、歩き出す。
そして、俺の脇を抜けて出て行こうとした。

朋也「待てよ」

智代「なんだ? 今度はおまえか?」



359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:12:48.52 ID:1qYNd8dxO

朋也「ああ。差し支えなかったら、おまえのその、退けない理由ってのを教えてくれないか」

智代「…まぁ、いいだろう」

智代「坂のところに桜並木があるだろ」

朋也「ああ」

智代「私は、あれを守りたいんだ」

朋也「守るって…なにから」

智代「この学校…と言っていいのかな…」

朋也「あん? どういうことだ」

智代「この学校の意向でな、あそこの桜が撤去されることになるらしいんだ」

智代「だから、私は生徒会長になって、直接訴えたいんだ」

智代「あの桜は残して欲しい、とな」

朋也「なんでまた、そんなもんのために…」

智代「それは…」

さっきまでの、固い意志を感じさせる凛とした表情が急に崩れた。
どこか悲しそうにして、目を泳がせている。

朋也「ああ、いいよ、言いたくないなら」



360 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:13:19.56 ID:cUBlBpOS0

智代「うん…助かる」

朋也「でもさ、それっておまえが生徒会長にならなくてもできるんじゃねぇ?」

智代「どうやってだ」

朋也「今の願いを真鍋に聞いてもらえばいいだろ」

智代「でも、これは私が直接したいんだ。誰かが代わりにやったんじゃ、意味がないことなんだ」

朋也「じゃあ、おまえがこのまま選挙で戦ったとして、絶対に勝つことができるのか?」

朋也「真鍋も、そうとう手強いぞ」

智代「それは…」

朋也「もし、負けでもしたら、おまえはただの一般生徒」

朋也「おまえ一人の声なんて、上には届かないよな?」

朋也「だったらさ、副会長として真鍋の下についたほうがよくないか」

智代「でも…」

朋也「ああ、おまえ自身の手でやりたかったんだよな」

朋也「でも、結局おまえが生徒会長の座についても、誰かの手は借りることになるんだぜ」

朋也「桜並木を撤去するなんて、相当大きな力が働いてそう決まったんだろ」



361 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:14:30.84 ID:1qYNd8dxO

朋也「だったら、いくら生徒会長でも、ひとりだけじゃ太刀打ちできないよな」

智代「………」

朋也「な? そうしろよ」

朋也「おまえ、この学校に来てまだ間もないんだろ? 聞いたよ」

朋也「だからさ、真鍋の下について、いろいろ教えてもらえ」

朋也「この学校にはこの学校のルールがあるんだからさ」

本当に、いろいろと。
俺もここで真鍋に使われる前は知らなかった裏がたくさんある。

智代「…今から副会長に変更しても間に合うだろうか」

朋也「どうなんだ、真鍋」

和「ええ…可能よ。前日になって変更なんて、前代未聞だけど」

智代「そうか。どこで手続きを踏めばいい?」

和「選挙管理委員会が使ってる教室が旧校舎の三階にあるから、そこへいけば」

智代「わかった。ありがとう、新生徒会長」

朋也「っと、今まで真鍋が当選するって前提で話しちまってたけど、その限りじゃないからな」

智代「いや…私と真鍋さんの二強だって、なんとなくわかっていたからな」



362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:14:51.19 ID:cUBlBpOS0

智代「これで、もう真鍋さんがなったも同然だ」

にこっと笑う。その相貌には邪気がない。
自虐的なそれでもなく、純粋な、祝福する時の笑顔だった。

智代「それじゃ、失礼する」

廊下へ出て、戸を閉めた。
足音が遠ざかっていく。
旧校舎へ向かったんだろう。

和「………」

朋也「だとよ、新生徒会長」

和「…岡崎くん、あなたやるわね。あの坂上さんを、ああもスマートに言いくるめるなんて」

朋也「そりゃ、どうも」

和「これからも私の元で働く気はない? 磨けば光るものを持っている気がするんだけど…」

朋也「いや、もうこの遊びもそろそろ飽きたからな。遠慮しとく」

和「おいしい目をみれるわよ? 大学の推薦だって、欲しければ力になってあげられるわ」

朋也「俺、進学する気ないんだけど」

朋也「それに、いくらドロドロしてて面白いってことがわかっても、生徒会だからな」

朋也「俺の肌に合わねぇよ」



364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:16:01.91 ID:1qYNd8dxO

和「そう…残念」

和「でも…これで今夜はゆっくり眠れるわ」

和「不確定要素は、なにも知らない一般のミーハーな無党派層だけだし…」

和「明日はただのデキレースになるでしょうね」

朋也「そっか」

和「今まで本当にありがとう。晴れてあなたたちは自由の身よ」

つまりもう帰っていいということか。
普通にそう言えばいいのに。

朋也「ああ、そうだ、ひとつ教えてくれ」

和「なに?」

朋也「おまえの退けない理由ってなんだ?」

和「え?」

朋也「坂上が退けない理由があるから戦うっていった時、おまえ、折れたじゃん」

朋也「だから、おまえにもあるんだろ。理由がさ」

和「そうね…あるわ。それは…」

がっ、と下にあったものを踏みつけ、片足の位置を上げた。



366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:16:30.40 ID:cUBlBpOS0

そして、腕を組む。

和「プライドよ」

あきれるほど自分に正直だった。
坂上の、安易に立ち入れなそうな理由を聞いた後では、
ちょっと可笑しくて笑ってしまいそうになる。

朋也「そっか。まぁ、そういう奴も、嫌いじゃないよ」

和「それは、どうも」

春原「…あの、和さん…足、頭からどけてくれませんか…」

―――――――――――――――――――――




367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:17:45.21 ID:SBICiwHrO

春原…





368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:18:02.38 ID:1qYNd8dxO

4/16 金

この日、全校朝会に続き、一時間目を使って選挙が行われた。
春原も珍しく朝から姿を現していた。
なんだかんだ、自分が暗躍したことなので、気になったらしい。
演説が終わると、教室に戻り投票が行われた。
当然、俺は真鍋に一票を投じた。
発表は明日行われるらしい。

―――――――――――――――――――――

昼は、おなじみのメンバーで食べた。

唯「当選してるといいね」

和「ほんと、そうだといいけど…」

律「楽勝だって」

和「そこまで甘くないわよ」

よく言う。
デキレースだと言い切ったのと同じ口から出た言葉だとは思えない。

―――――――――――――――――――――

そして、放課後。
俺はなぜかまた生徒会室に呼び出されていた。

朋也「どうした。もう終わりなんじゃなかったのか」



369 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:18:29.62 ID:cUBlBpOS0

和「忘れてたの。これで本当に最後よ」

朋也「春原は?」

和「呼んでないわ。あなたにやってもらいたいの」

朋也「はぁ…」

―――――――――――――――――――――

依頼内容は、こうだった。
ある生徒を呼び出して、真鍋から渡されたメモ用紙に書いてある内容を読み上げる。
かなり単純だった。

だが、呼び出す、というところに乱暴なニュアンスを感じる。
最後の最後でキナ臭い指令が下ったものだ。
まさか…秘密を知った俺を始末するためにやらせるんじゃないだろうな…。
警察沙汰になって、退学になれば、なにを証言しても、すべて妄言だと取られるだろう。
もしかしたら、春原はもう…。

朋也(まさかな…)

少しビクつきながらもターゲットを探した。

―――――――――――――――――――――

そして、俺はその男を指定された場所につれてくることに成功した。

男子生徒「…なんですか」

朋也「えーっとな…」



370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:19:37.56 ID:1qYNd8dxO

ポケットから紙を取り出し、読み上げる。

朋也「ゆいは俺の女だ。手出したら殺すぞ…」

朋也(ゆい? 俺の知ってる奴は…平沢くらいだぞ)

男子生徒「あ…うぅ…」

朋也(抵抗した場合、三枚目へ。ひるんだ場合二枚目へ、か)

朋也(ひるんでるよな…二枚目…)

朋也「おら、もういけ」

そう書いてあった。

男子生徒「…はい」

うなだれて、とぼとぼと立ち去っていった。

和「…うん、上出来よ」

木陰から真鍋がひょこっと出てくる。
…いたのかよ。

朋也「これ、なんだったんだ」

和「ん? わからない?」

朋也「ああ、まったく」



371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:19:57.09 ID:cUBlBpOS0

和「そういうことには鈍感なのね」

朋也「あん?」

和「だから、さっきのあの人、唯に気があったのよ」

朋也「ふぅん…って、それ、なんか生徒会と関係あんのか」

和「いいえ。これはただの私事よ」

朋也「おまえ、あいつになんの恨みがあったんだよ…」

和「恨みはないわ。ただ、唯に悪い虫がつかないようにしただけよ」

朋也「なんでおまえがんなことするんだよ」

和「幼馴染だしね。大事にしてるのよ」

朋也「へぇ、おまえ、幼馴染なんていたの…」

…幼馴染?

朋也「もしかして、この紙にある ゆい って、平沢か?」

和「ええ、そうよ。気づかなかった?」

朋也「気づかなかった? じゃねぇよっ! なんてことさせてくれるんだよっ!」

和「あら? なんで怒るの?」



372 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:21:09.43 ID:1qYNd8dxO

朋也「そりゃそうだろっ。俺、別にあいつの彼氏でもなんでもねぇし」

和「でも、かなり仲良くしてるじゃない。一緒に登校もしてるみたいだし」

朋也「それは、いろいろあって、しょうがなくだよ」

和「ふぅん。両思いなのに、お互い踏み出せないでいるのかと思ってたわ」

朋也「それはないっての。つか、いいのかよ」

和「なにが?」

朋也「俺、思いっきり悪い虫じゃん」

和「まぁ、見かけはね。でも、なかなか見所もあるってわかったし…」

和「あなたならいいかなって思ったのよ。そうじゃなきゃ、こんな役させないわ」

和「まぁ、唯がなついた人だから、悪い人ではないのかなとは思ってたけどね」

朋也「いや、おまえに買われるのも、悪い気はしねぇけどさ…」

和「それで納得しときなさいよ」

朋也「はぁ…」

和「ま、最初は潰しておこうかと思ったんだけどね」

さらりと怖いことをいう。



374 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:21:32.45 ID:cUBlBpOS0

和「でも、ほら、今までのゴタゴタがあって、手が回らなかったのよ」

…俺は坂上に感謝しなければいけないのかもしれない。

和「あの子に近づく変な男って今までたくさんいたのよ」

和「ほら、あの子可愛いじゃない? だから、大変だったわ」

和「それが高校に入って、軽音部に入部してからはもう、それまでの倍は手間取ったわ」

和「生徒会の権力を使ってようやく追いつくくらいだったもの」

そこまでモテていたのか…。

和「あなたも、あんな可愛いのに、彼氏の気配がないのはおかしいと思わなかった?」

朋也「まぁ、普通に彼氏がいても不思議じゃないとは思うけど」

和「私が全て弾いていたからね」

強力すぎるフィルターだった。

和「だから、あの子、今まで男の子と交際したことがないの。大切にしてあげてね」

朋也「いや、だから、そもそも付き合ってないんだけど」

和「あら、そうだったわね。でも、時間の問題な気がするの」

和「女のカンだから、根拠はないけどね」



375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:22:40.54 ID:1qYNd8dxO

朋也「ああ、そう…」

和「それじゃあね」

言って、背を向ける。

朋也「あ、なぁ」

和「なに?」

振り返る。

朋也「おまえに彼氏がいたことってないのか」

なんとなく気になったので訊いてみた。

和「私? 私は、ないけど」

朋也「そっか。なんか、もったいないな」



376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 17:22:59.72 ID:cUBlBpOS0

朋也「おまえも平沢の保護ばっかしてないで、彼氏くらい作ればいいのに」

和「私はいいのよ、別に」

朋也「なんでだよ」

和「特に容姿がいいわけでもないし…作るの大変そうじゃない」

朋也「いや、おまえも普通に可愛いじゃん。男はべらせてうっはうはだろ」

和「っ…馬鹿ね…」

そう小さく言って、踵を返した。
そのまま校舎の方に戻っていく。
………。
初々しい反応も見れたことだし…よしとしておこう。

―――――――――――――――――――――




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