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朋也「軽音部? うんたん?」#11 【クロス】


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朋也「軽音部? うんたん?」#index




112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:17:29.56 ID:1qYNd8dxO

4/26 月

唯「岡崎くんたち、きのう、りっちゃんと遊んだんだってね」

朋也「ああ、そうだけど…」

なんでこいつが知っているんだろう。

唯「りっちゃんから写メ来たんだよねぇ…ほら」

疑問に思っていると、平沢が携帯の液晶画面を見せてくれた。
そこに映し出されているのは、あのぬいぐるみだった。

唯「これ、春原くんに取ってもらったんだよね?」

唯「りっちゃん、すごく気に入ってるみたい」

唯「待ち受け画面にしてるんだってさ」

朋也「へぇ…」

人に報告したくなるくらいなら、相当嬉しかったんだろう。
あの後、いつものように春原と軽口を叩き合って別れていたのに。
それでも、家に帰って一旦落ち着けば、ぬいぐるみをその手に上機嫌となれたのだ。
一緒に遊んだ半日も、そう無駄ではなかったようだ。

唯「でもさぁ、私も呼んでくれればよかったのに。暇だったんだよ、きのう」

憂「お姉ちゃん、結局一歩も外に出なかったもんね」



113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:17:50.62 ID:cUBlBpOS0

唯「そうだよぉ、引きこもり歴丸一日になっちゃったよ。
  これから続く引きこもり人生の初日だよ」

朋也「でも、ゲーセンだぞ? おまえ、ゲームとかするのか」

唯「う~ん…しないかなぁ…」

朋也「じゃあ、意味ないじゃん。結局、来ても暇なままだろ」

唯「そんなことないよ。応援とかしたりさ…」

唯「あ、ほら、あの、負けたら怒って台叩くのとかやってみたいし」

朋也「それはギャラリーがやることじゃないからな…」

憂「お姉ちゃんは、モグラ叩きとか得意なんじゃない?」

唯「へ? なんで?」

憂「こう、リズムに乗って、えいっ、えいっ、ってするのとか好きそうだし」

唯「そうだね、うんたん♪ うんたん♪ って、カスタネットに似てるしね」

そうだろうか…まずジャンルからして違う気がする。

憂「そんな感じだよ。お姉ちゃん、やっぱりモグラ叩きの才能あるよっ」

全肯定だった。
やっぱりこの子も平沢の血筋なのか…。

唯「えへへ、ありがと」



116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:19:01.11 ID:1qYNd8dxO

姉もそれを真に受けている…。
恐るべき一族だった。

―――――――――――――――――――――

がらり。

ドアを開け、教室に入る。

春原「やぁ、おはよう」

すぐに寄ってきたのは、妙に元気な金髪の男だった。

春原「一緒に登校してきてるって、やっぱマジだったんだね」

春原「仲いいじゃん、おふたりさん」

朋也「いや、つーかおまえ、なんで朝からいるんだよ」

朋也「きのうは昼まで寝てたいとか言ってたくせによ」

春原「ん? べっつにぃ…」

唯「でも、偉いよ、春原くん。その調子でこれからも頑張ってねっ」

春原「ああ、そうだねぇ…」

男子生徒「おっ、春原、岡崎。おまえら、バスケ部と試合して勝ったんだって?」

男子生徒「けっこう噂になってるぞ」



117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:19:23.15 ID:cUBlBpOS0

春原「まぁねっ! 楽勝だったよっ!」

男子生徒「すげぇな。ただのヤンキーじゃなかったのか」

春原「たりまえじゃんっ。超一流スポルツメンよ、僕?」

自慢げに語り出していた。

朋也(まぁ、そんなことだろうと思ったけど…)

あまりにも露骨過ぎて、こっちが恥ずかしくなってくる。

唯「う~ん、私も自慢したくなってきたっ」

朋也「やめとけ…」

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

昼。

和「あなたたち、一昨日は大活躍だったんですってね」

春原「そうっすよ、もうボッコボコに…」

和「………」



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:20:44.49 ID:1qYNd8dxO

春原「あ、いや…」

春原「…そうだよ、すげぇかましてやったんだよ」

和「勝敗は聞いてたんだけどね。あとひとり、助っ人がいたことも」

和「あの非合法組織から人材が派遣されるなんて、ちょっと驚いたけど」

キョンのことだろう。
しかし…

朋也「非合法?」

和「ええ。SOS団といって、学校側から正式に認可されていないクラブがあるの」

和「そこの構成員よ。知らなかったの?」

朋也「いや、俺はよく知らないけど」

春原「なにしてるかよくわかんない、変な奴らなんだよね」

和「そうね。詳しい実態はつかめていないんだけど…」

和「普段は、ボードゲームに興じたり、イベントを企画したりしているらしいわ」

和「まぁ、言ってみれば、唯たち軽音部のような空気を持った集団ね」

律「あんな過激な奴らと一緒にするなよなぁ」

和「過激なのは団長の涼宮さんひとりだけで、後は比較的まともでしょ?」



120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:21:26.10 ID:cUBlBpOS0

律「まぁ…確かに、キョンの奴は普通だったけど…」

律「あ、でも、あんな部活入ってるし、このふたりとも友達だし、やっぱ変かも…」

春原「どういう意味だよっ」

和「友達?」

春原「ん? ああ、僕と岡崎の友達だよ、キョンは」

和「へぇ…興味深い人付き合いしてるのね、あなたたち」

朋也「そうか?」

和「そうよ。だって、この学校では特異とされる存在同士が交わっているんですもの」

和「それも、あなたたちふたりを起点にしてね」

和「そこになにか、物語めいたものを感じるわ」

朋也「そういうもんか…」

言われても、自分ではあまりピンとこない。

律「しっかし、和も大変だよなぁ、こうも問題児が多くてさ」

律「もしかして、歴代で一番大変な生徒会長になったんじゃないのか」

和「かもしれないわね。でも…おもしろい人間がそろった年代だとも思うの」



122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:22:49.40 ID:1qYNd8dxO

和「あんたたち軽音部も含めてね」

澪「え、ええ? 私たちもか?」

和「ええ。だから、同じ学校、同じ学年にいられたこと、誇らしく思うわ」

澪「誇りなんて、そんな…」

唯「和ちゃん、シブイこと言うね」

和「そう?」

唯「うん。なんか、この次会う時は、一人称が『俺゛』になってそうなくらいだよ」

和「今のどうやって発音したの…」

こうして俺たちと普通に会話している真鍋だが…
それも、表の顔で、裏ではいつも高度な政治戦を繰り広げているのだ。
おもしろい人間…そうは言うが、こいつ自身も強烈な個性を持っていると、俺は思う。

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

放課後。軽音部部室に訪れ、茶を飲み始める。

唯「今日は私からもみんなにプレゼントがあります」



123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:23:28.84 ID:cUBlBpOS0

唯「さぁ、受け取るがよい、皆の衆」

鞄を逆さにして、上下に振った。
中から大量に何かが落ちてくる。

澪「…ウメボシ太郎?」

律「なぁんだよ、これはっ」

唯「ウメボシ太郎」

律「いや、見りゃわかるよ。そうじゃなくて、量のこと言ってんのっ」

唯「いやぁ、実は、ウメボシ太郎が食べたくなる衝動に襲われちゃってさぁ」

唯「それで、いっぱい買ったんだけど、二個食べたら飽きちゃったんだよね」

唯「あんなに渇望してたのにさ…」

梓「すごい次元の衝動買いですね…」

唯「でもそういうことってあるよね?」

律「まぁ、あるけどさぁ…ここまではねぇよ」

澪「いや、おまえもけっこうひどいぞ」

澪「中学の時、修学旅行先で木刀三本も買ってたじゃないか」

澪「それで、旅行中ずっと私に試し切りしてきたけどさ…」



124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:25:35.32 ID:1qYNd8dxO

澪「帰ってから一度も触ってるとこみたことないぞ」

律「う…よく覚えてるな、そんなこと…」

梓「律先輩、典型的な中学生だったんですね」

律「う、うっさい」

春原「はは、そんなもん買ったって、荷物がかさむだけじゃん」

春原「普通、自宅に送ってもらうだろ」

律「って、おまえも買ったんかい…」

春原「い、いや…一般論を言っただけさ」

絶対にこいつは経験者だ。

唯「でもさ、ムギちゃんの衝動買いってすごそうだよね」

紬「そんなことないよ」

とはいえ、高級料理店にふらっと立ち寄るくらいはしそうなのだが…

紬「たまに、M&Aするくらいだから」

企業買収だった!

澪「す、すごいな、ムギ…」



127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:25:59.67 ID:cUBlBpOS0

梓「さすがです…」

唯「M&A? なにそれ」

律「誰かのイニシャル? 二人組ユニット?」

春原「お笑い芸人にそんなのいたよね」

春原「きっと、個人的に呼んで、ネタみせてもらってるんじゃない?」

唯「おおぅ、そうだよ、それだよっ」

律「やるじゃん、春原」

春原「へへっ、まぁね」

アホが三人、ずれまくった結論で盛り上がっていた。

紬「梓ちゃんは、どんな感じなの?」

梓「私ですか…」

唯「あずにゃんは、なんかしそうにないよね」

律「計画とか立ててそうだよな」

梓「はぁ…でも、たまにしますけどね」

唯「え? ほんとに? なに買うの?」



128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:27:17.39 ID:1qYNd8dxO

梓「えっと…カツオブシ…」

唯「カツオブシ?」
律「カツオブシ?」

梓「あう…」

律「猫みたいな奴だな…」

唯「でも、あずにゃんのイメージにぴったりだよ」

律「カツオブシがか?」

唯「猫のほうだよぉ」

梓「み、澪先輩はなにかないんですか?」

澪「私? 私は…」

律「澪は衝動食いだよな。ヤケ食いでリバウンドとか…」

ぽかっ

律「いっつぅ…」

澪「そんな失敗談持ってないっ。いちいち変な情報出してくるなっ」

律「うぅ、わかったよ…。で、おまえはなんなんだ?」

澪「ん、私は、マシュマロとかかな」



129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:27:36.34 ID:cUBlBpOS0

梓「へぇ、澪先輩らしい感じがしますね」

律「でもそれってやっぱ、デブる要因になるんじゃ…」

澪「で、デブとかいうなっ」

律「ひぃ、すみましぇん…」

澪「ほんとにもう…」

澪「…あの、岡崎くんは、なにかあったりする?」

朋也「俺か? 俺は、そうだな…」

朋也「たまに甘いものが欲しくなったりするな。そんな時は駄菓子とかたくさん買ってるよ」

澪「へぇ…それって、反動っていうのかな?」

澪「岡崎くん、いつも甘いもの避けて、お茶とおせんべいだしね」

朋也「そうかもしれないな」

紬「甘いものが欲しくなった時は、いつでも言ってきてね。ケーキも、紅茶も用意するから」

朋也「なんか、悪いな、いろいろと…」

紬「ううん、全然よ」

律「春原、あんたはどうせエロ本とか大量に買ってんだろ?」



130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:28:50.52 ID:1qYNd8dxO

律「衝動買いっつーか、本能買いって感じでさ」

春原「馬鹿にすんなっ! ちゃんと厳選してんだよっ!」

春原「ジャケ買いなんか、素人のすることだねっ」

律「んな主張で胸張るなよ…」

朋也「おまえは、よく俺のジュース買いに走る衝動に駆られてるよな」

春原「パシリじゃねぇよっ!」

律「わははは! やっぱ、あんたオチ要員だわ」

春原「くそぅ…いつの間に定着してんだよ…」

―――――――――――――――――――――

部活も終わり、下校する。

澪「はぁ…結局今日も練習できなかった…」

律「だって めんどくさいんだもの りつを」

澪「相田みつをさん風に言うな」

律「いいじゃん、息抜きも大事だぜ」

澪「抜きすぎだ。それに、再来週にはもう創立者祭があるんだぞ」



131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:29:31.92 ID:cUBlBpOS0

澪「あんまりだらだらもしてられないだろ」

唯「でも、二週間以上もあるから、まだ大丈夫だよ」

梓「いえ、今のうちからしっかりしてないとダメですっ」

梓「三年生は出し物がないからいいですけど、一、二年生は準備がありますから」

梓「それに、ゴールデンウィークも挟みますし」

唯「えぇ~、でも、あずにゃんだってトークしながら紅茶飲んでたじゃん」

梓「あ…う、そ、それは…」

梓「あ、明日からちゃんとするんですっ!」

唯「ムキになっちゃってぇ、かわいいなぁ、もぉ」

中野に抱きつき、頭を撫で始める。

梓「あ…もう、唯先輩は…」

春原「なぁ、岡崎、創立者祭ってなんだっけ」

朋也「文化祭みたいなもんだ」

春原「ふぅん、そうなんだ。初めて知ったよ」

律「マジで言ってんの? あんた、ほんとにうちの生徒かよ」



132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:31:23.15 ID:1qYNd8dxO

春原「授業がないってことだけは知ってたよ。単位に関係ないし、ずっとサボってたけどね」

律「ほんとにロクでもない奴だな、おまえは…」

律「でも、今回は来てもらうぞ。またおまえらには機材運んでもらうからな」

春原「あん? やだよ、めんどくせぇ」

律「なに言ってんだよ、部室に入り浸って飲み食いしてるくせに」

律「今後もそうしたいなら、文句言わずに手伝えよな」

春原「ちっ、汚ねぇ取り引き持ちかけやがって」

律「相応の条件だろ。それと、朝からちゃんと来とけよ。
  文化系クラブの発表は午前中にあるんだからさ」

春原「午前中ぅ? まだ夢の中にいるんだけど」

律「夢遊病者のようになってでも出て来い」

春原「そんなことしたら、なにかの拍子に事故が起こるかもしれないじゃん」

春原「例えば、僕がふらついて、おまえに激突したりとかさ」

春原「それで、おまえが隠し持ってた育毛剤が床に転がりでもしたら、ショックだろ?」

律「最初から持ってないわ、そんなもんっ!」

春原「うそつけ、おまえ、いつも胸ポケットもり上がってるじゃん。入ってんだろ、例の物がさ」



133 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:32:14.34 ID:cUBlBpOS0

律「ちがうわっ! これは携帯だっての!」

ポケットから取り出してみせる。

春原「そんな型のもん買ってきやがって、偽装に命かけてるね、おまえ」

律「本物の携帯だっつーの!」

折り畳んでいた状態から、ぱかっと開き、ディスプレイを春原に向けた。

春原「あれ、それ…」

律「っ! うわ、しまっ…」

そそくさと畳み直し、ポケットにしまった。

律「………」

ほのかに顔を赤らめて、決まりが悪そうに顔を伏せていた。

澪「ああ、そういえば…」

澪「律、春原くんにもらったぬいぐるみ、待ち受けにしてたんだっけ」

律「うぐ…」

春原「ふぅん、けっこう可愛いとこあるじゃん」

律「な、か、可愛いって、おま…」



134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:32:56.66 ID:cUBlBpOS0

唯「あはは、りっちゃん顔真っ赤ぁ~」

律「ゆ、唯、こら…」

紬「あら? ラブが芽生える感じ?」

律「む、ムギまで…」

いつもとは逆の立場で、揶揄される側に回っていた。
自分が的になるのはなれていないのか、しどろもどろだ。

春原「はは、ムギちゃん、僕、デコはお断りだよ」

律「な、な、なんだとぉ? あたしだってヘタレは願い下げだってのっ!」

春原「ああ? てめぇ、デコのくせに生意気だぞ!」

律「うっせー、ヘタレ!」

春原「ぐぬぬ…」
  律「ぐぬぬ…」

紬「喧嘩するほど仲がいいってね」

澪「はは、そうかも」

春原「んなわけないっ!」
  律「んなわけないっ!」

唯「あははっ、息ピッタリだよ」



136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:34:10.15 ID:cUBlBpOS0

春原「………」

律「………」

春原「けっ…」
  律「ふん…」

似たような反応をする。
やはり、同系統の人間な気がする。

―――――――――――――――――――――



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:35:34.39 ID:1qYNd8dxO

4/27 火

憂「あ、お姉ちゃん、寝癖ついてるよ」

唯「え、どこ?」

憂「襟足近くがハネちゃってるぅ…ちょっと待ってね」

立ち止まり、鞄からクシを取り出した。
撫でつける様に、やさしく平沢の髪をといていく。

憂「これでよし」

唯「ありがとぉ、憂」

憂「うん」

憂「………」

俺をじっと見てくる憂ちゃん。

朋也「ん? なんだ?」

憂「岡崎さんは、髪さらさらですね」

朋也「そうかな」

憂「はい。なにかお手入れとかしてるんですか?」

朋也「いや、したことないよ」



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:35:55.90 ID:cUBlBpOS0

憂「ナチュラルでそれですか…うらやましいです」

憂「キューティクルも生き生きしてて、ツヤもあるし…」

憂「あの、触ってみてもいいですか?」

朋也「ああ、いいけど」

身をかがめ、憂ちゃんに合わせる。

憂「じゃあ、失礼して…」

手ですくうようにして、側頭部に触れてきた。

憂「うわぁ、女の子みたいです…いいなぁ」

唯「岡崎くん、私も触っていい?」

朋也「ああ、いいけど」

俯いたまま答える。

唯「ほんとだ、さらさらだぁ」

憂「だよねぇ…」

ふたりして好き放題触っていた。

朋也「そろそろいいか」



141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:37:12.54 ID:1qYNd8dxO

憂「あ、はい。ありがとうございました」

朋也「ん…」

体勢を戻す。

唯「シャンプーはなに使ってるの?」

朋也「スーパーで買った適当なやつ」

唯「そうなの? ほんとに全然気を遣ってないんだね…」

唯「でもさ、卑怯だよっ、そんなの。私はケアしても寝癖つくのにさ」

朋也「そういわれてもな…」

唯「髪が綺麗な分、どこかにしわ寄せがきてなきゃだめだよっ」

唯「例えば、脇がめちゃくちゃ臭いとか」

朋也「そんな奴と登校したくないだろ…」

唯「でも、それくらいじゃないと納得できないよっ」

唯「だから、岡崎くんは脇が臭いことに決定ね」

朋也「決めつけるな…」

―――――――――――――――――――――



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:37:50.35 ID:cUBlBpOS0

………。

―――――――――――――――――――――

昼。

春原「おい、平沢。そこの醤油取ってくれよ」

唯「いいよぉ」

唯「はい、どうぞ」

春原「お、サンキュ」

受け取って、納豆にそそいでいく。
全体に絡めると、それを混ぜて、ご飯の上に乗せた。

春原「やっぱ、ご飯には納豆が至高だよね」

ひとりごちて、口に運ぶ。

春原「お゛え゛ぇえええっ!」

朋也「うわ、きったねぇな、至高のゲロ吐くなよっ」

律「そうだぞっ、もらいゲロでもしたらどうすんだっ」

春原「ちがうよっ! これ、醤油じゃなくてソースだったんだよっ!」

春原「平沢、てめぇ、僕をハメやがったなっ!」



144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:39:04.54 ID:1qYNd8dxO

唯「あわわ、ごめん。でも、ラベルが貼ってなくてわかんなかったんだよ…」

唯「だから、とっさに濁ってる方を選んじゃった」

春原「その時点で確信犯だろっ!」

朋也「まぁ、受け取った時気づかなかったおまえも悪いよ」

朋也「だから、前向きに考えて、事態を好転させろよ」

朋也「このケチャップで中和させたりしてさ」

春原「最悪のトッピングですねっ!」

律「わははは!」

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

放課後。
今日は最初からさわ子さんも交えた状態で活動が始まった。

春原「おまえら、昔いたアーティストで、芳野祐介って知ってる?」

春原「あの人さ、今この町にいるんだぜ」



146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:40:27.11 ID:cUBlBpOS0

   澪「えぇ!?」
   梓「えぇ!?」
さわ子「えぇ!?」

さわ子「春原、それ、ほんとなの…?」

春原「ほんとだよ。この前、名刺もらったし」

春原「え~っと…」

上着のポケットをまさぐる。

春原「これだよ」

一枚の名刺を取り出す。
長い間ポケットの中に入れられていたのだろう…しわくちゃになっていた。
最悪の保存状態だ。
にもかかわず、声を荒げて反応していた三人の注目を集め続けていた。

梓「本物ですか…?」

春原「間違いねぇよ。顔も一致してたし」

春原「な、岡崎」

朋也「いや、俺は顔のことはよく知らねぇけど」

澪「岡崎くんも、みたの?」

朋也「ああ。その時、俺もこいつと一緒に居合わせてたんだよ」



147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:41:55.53 ID:1qYNd8dxO

さわ子「ちょっとそれみせて」

春原「いいけど」

名刺を受け渡す。

さわ子「…電設会社、ね…」

さわ子さんは名刺を眺め、そう小さくこぼしていた。
その表情は、なぜか複雑そうだった。

梓「びっくりです…同じ町に住んでたなんて」

澪「うん。全然知らなかった…でも、なんか感動」

律「そういえば、おまえ、かなり芳野祐介好きだったもんな」

澪「今でも好きだっ」

律「さいですか」

梓「澪先輩も、芳野祐介好きだったんですね…意外です」

梓「あの人、ハードなロックを歌ってますからね」

梓「澪先輩が書くような感じの詩とも、ずいぶんとかけ離れてますし」

澪「って、梓も好きなのか?」

梓「はいっ、すごく好きですっ。いいですよね、芳野祐介の音楽は」



148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:42:22.97 ID:cUBlBpOS0

澪「うんうん、だよなぁ!」

澪「歌詞は激しいのに、聞いてると涙が出そうになるくらい胸を打ってきたりするしな!」

梓「ですよね! それに、ギターのテクもすごいですし!」

ファン魂に火がついたのか、話題が尽きることはなかった。
アルバムがどうだの、お気に入りの曲はなんだのと語り合っていた。

律「話についていけねぇよ…」

唯「私もだよ…」

紬「私も芳野祐介さんの事はちょっと知ってるけど、あそこまでコアじゃないなぁ」

律「にしても…さわちゃんもファンなの? ずっと名刺見てるけど」

さわ子「え? ああ、ファンっていうか、まぁ、ね…」

さわ子「あ、これ、ありがと、春原」

言って、春原に返す。

律「なに? なんかワケアリ?」

さわ子「いや、まぁ…なんでもないわよ」

梓「ところで、春原先輩は、どこで見かけたんですか?」

春原「商店街を抜けたあたりだったよ」



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:43:45.01 ID:1qYNd8dxO

梓「あの辺かぁ…あんまり行かないからなぁ…」

澪「私も…」

春原「もしかして、会いたいの? おまえら」

梓「それは、できたらそうしたいですけど…でも…」

澪「うん…遠くから見るくらいでいいかな」

春原「なんでだよ。せっかくなんだから話しかければいいじゃん」

梓「だって…芳野祐介って…その…引退理由が少し特殊ですし…」

梓「まずいじゃないですか。ファンなんです、なんて言ったりしたら…」

春原「ああ、そのことね…」

春原「ま、そんなことなら、僕と岡崎がいれば問題なく近づけるんだけどね」

春原「もう、知らない仲じゃないし」

といっても、そこまで親しいわけでもないが。

澪「そ、そうなの? すごいね…」

春原「ふふん、まぁね」

褒められて気を良くしたのか、したり顔になっていた。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:44:13.18 ID:cUBlBpOS0

春原「なんだったら、今から探しに出る?」

春原「運よく見つけられたら、話しかけられるぜ?」

梓「い、行きたいです!」

澪「私も!」

律「おまえら、きのうちゃんと練習しろとか言ってなかったか?」

澪「い、今は緊急事態なんだから、しょうがないだろっ」

梓「そうですよっ」

律「めちゃ力強いな、おまえら…」

さわ子「…私も行くわ」

律「うえぇっ? さわちゃんもかよっ!? でも、いいの? 仕事ほっぽりだして」

さわ子「大丈夫。バレなければいいのよ」

さわ子「こんなこともあろうかと、用意しておいた衣装があるの」

立ち上がり、物置へ向かった。
そして、俺たちのよく見慣れた服を手に戻ってくる。

さわ子「これよ」

唯「あっ、光坂の制服だぁ」



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:45:49.52 ID:1qYNd8dxO

さわ子「そうよ。これを着て、生徒に変装するの」

律「いや、変装っていうより、コスプレに近いんじゃ…」

さわ子「歳的な意味で言ってるなら、死ぬことになるわよ?」

律「とっても似合うと思いますっ」

さわ子「よろしい」

―――――――――――――――――――――

外へ出てきた俺たちは、早速芳野祐介を探し始めた。
といっても、闇雲に動き回っているわけじゃない。
琴吹の携帯…それも、なにか特殊な業務に使われているものらしいのだが…
それを使って、周辺の工事情報を集めてから、手分けして現場に当たっていた。

―――――――――――――――――――――

紬「あの中にいる?」

春原「いや、いないよ」

紬「そう…」

これで、回ってきたのも3件目。
まだ他の連中からも、目撃の連絡が来ない。

春原「今日は仕事ないのかもね」



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:46:28.59 ID:cUBlBpOS0

春原「もう、このままフケちまって、どっか遊びにいかない?」

春原「僕とムギちゃんふたりでさ」

俺たちは、琴吹と組んでスリーマンセルで動いていた。
携帯という連絡手段を持ちあわせていないので、誰かしらと組む必要があったのだ。

春原「岡崎も、気ぃ利かせて帰るって言ってるしさっ」

朋也「そんなわけねぇよ、俺はいつだっておまえの死角に存在するんだからな」

春原「マジかよっ!? つーか、なにが目的だよっ!?」

朋也「おまえ、気づいたらティッシュ箱が自分から遠のいてることないか?」

朋也「そういうことだよ」

春原「あれ、おまえかよっ! めちゃくちゃうざい現象なんですけどっ!」

紬「くすくす」

―――――――――――――――――――――

一度全員で駅前に集まる。

律「全然いなかったんだけど」

唯「私たちがみてきた方面も全滅だったよ」

紬「こっちも、だめだったわ」



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/25(土) 23:59:38.74 ID:cUBlBpOS0

澪「この地区の外で仕事してるのかな…」

朋也「いや…」

一台の軽トラが停めてある。
その向こう側に、人の動く気配。

朋也「いた」

さわ子「どこ?」

朋也「あそこだよ。いこう」

俺たちは軽トラに近づいていった。

朋也「ちっす」

荷台に荷物を乗せ終えた作業員に声をかける。

春原「どもっ」

芳野「…ん?」

芳野「ああ…いつかの」

どうやら覚えていてくれたようだ。

芳野「どうした。今日はまた大道芸をしにきたのか」

春原「はい、そんな感じっすっ」



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:01:31.43 ID:jpDSDOMkO

春原「それで、今日は、その仲間も連れてきてるんすよっ」

芳野「後ろのお嬢ちゃんたちか」

さわ子「お嬢ちゃんとはご挨拶ね」

さわ子さんが前に出る。

さわ子「久しぶりね、芳野祐介。私のこと、忘れたとは言わさないわよ」

春原「…へ?」

その場にいた全員が目を丸くする。

芳野「あー…すまん。どこかで会ったことあるか?」

さわ子「私よ、私っ!」

メガネを外し、頭を激しく振りながらエアギターを始める。
俺にはなにがなんだかさっぱりわからなかった。

芳野「まさか…あんた、キャサリンか。デスデビルの」

さわ子「はぁ…はぁ…ようやく思い出したようね…」

芳野「しかし…その制服…」

さわ子「あ、こ、これは…」

芳野「あんた…留年してたのか」



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:02:11.86 ID:+UZ/pLeq0

ずるぅっ! 

さわ子「そ、そんなわけないでしょっ! 今は教師をやってるのっ!」

さわ子「それで、この子たちは、私の教え子よっ」

芳野「そうか…でも、なんで教師のあんたが制服なんだ」

さわ子「それについては言及しないで。深い事情があるのよ…」

芳野「そうなのか…まぁ、いいが」

春原「……どうなってんの」

それは俺も知りたい。

芳野「それで…俺になにか用があるのか」

さわ子「あるのは、私じゃなくて、この子たちのほうよ」

芳野「あん?」

さわ子「みんな、あんたが芳野祐介ってこと、知ってるの」

さわ子「かつてアーティストとして活動していた、ね」

俺たちがひた隠そうとしていたことを、さらりと言ってのけていた。
芳野祐介はどんな反応をするのだろうか…

芳野「…そうか」



164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:03:57.64 ID:jpDSDOMkO

芳野「………」

芳野「悪いが、俺はもう、昔の俺じゃない」

芳野「だから、あんたらの用向きには応えられない」

やはり、壁を作っていた。かつての自分に対して。

澪「ごめんなさい…」

秋山が、泣きそうな顔で、ぽつりと小さくつぶやいた。

澪「私、芳野さんの引退理由、知ってました」

澪「当時の事を思い出したくない気持ちも、大体想像できてました」

澪「それでも、この町にいるってことを聞いて、どうしても会いたくて…」

澪「こんな、押しかけるようなマネをして…」

澪「本当に、すみませんでした…」

梓「わ、私も同じです。自分のことばっかり考えちゃって…」

梓「でも、会えたらどうしても伝えたかったんです」

梓「ずっとファンだったこと…あ、今でも好きですけど…」

梓「うん…あと…芳野さんの歌に、何度も励まされたことを」



165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:06:14.78 ID:+UZ/pLeq0

澪「私も…そうです。落ち込んだ時、辛い時、悲しい時…」

澪「それだけじゃなくて、上手くいった時なんかも、聴いてました」

澪「歌詞にあるような、まっすぐな綺麗さにも、すごく感動しました」

澪「芳野さんの歌を聴くと、救われたような気持ちになるんです」

澪「だから、その…ありがとうございましたっ」

梓「あ、ありがとうございましたっ」

芳野「………」

投げかけられる言葉。ただじっと受け止める。

芳野「…いい生徒を持ったな」

ふたりに答えるでもなく、さわ子さんにそう言った。
その表情には、幾分の柔らかさがあるようだった。

さわ子「まぁね。みんな、私の自慢の生徒よ」

律「春原も?」

さわ子「ええ…多分」

春原「そこは断定してくれよっ!」

芳野「おまえらも、最初から知ってたのか」



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:08:07.62 ID:jpDSDOMkO

朋也「ああ。悪かったよ、変な芝居につき合わせちまって」

芳野「いや…それなりに楽しかったからな」

ふ、と一度微笑む。

芳野「今の俺に、礼の言葉なんか受け取れはしない」

芳野「だが…」

芳野「その気持ちだけは、しっかりと噛み締めておく」

クサい言い方だったけど、この人が口にすると様になった。

芳野「名前は?」

澪「秋山澪です!」

梓「中野梓です!」

芳野「そうか」

芳野「澪、梓。君たちがいつまでも前を向いて歩いていけるよう…」

芳野「どんな逆境でも耐え抜いて、真っ直ぐ歩いていけるよう…」

芳野「この俺も祈ってる」

芳野「………」



167 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:08:48.70 ID:+UZ/pLeq0

芳野「じゃあ、またな」

それだけ呟いて、去っていく。
車に乗り込み、エンジンをかける。
すぐにその音は遠ざかっていった。

春原「…どういうこと? 僕、なんか混乱してきたんですけど…」

さわ子「一度、部室に戻りましょう。そこで話してあげる」

―――――――――――――――――――――

さわ子「あんたらには話してなかったけど…」

さわ子「私、昔この学校の軽音部で、バンドやってたのよね」

春原「え? さわちゃんってここのOBなの?」

さわ子「そうよ」

春原「へぇ、じゃ、先輩じゃん」

さわ子「ええ、だから、今まで以上に慕いなさいよ」

春原「オッケー、わかったよ、さわちゃん」

さわ子「その、さわちゃん、っていうのが、慕ってるように見えないんだけどね…」

唯「ちなにみこれが当時のさわちゃんだよ」



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:09:43.05 ID:+UZ/pLeq0

一枚の写真。
そこには、仰々しいメイクと衣装で不敵に笑うさわ子さんと、その仲間たちが写っていた。

さわ子「あ、こら、唯ちゃんっ、まだそんなもの…」

律「んで、これが音源な」

小さめのラジカセを手に持ち、再生ボタンを押した。
凶悪な音楽と、叫ぶような歌声が聞えてくる。

さわ子「こら、やめなさいっ」

平沢からは写真を奪い、部長からはラジカセを取り上げた。

春原「…さわちゃんって、けっこうヤバい人だったんだね」

さわ子「これは格好だけよ。中身は普通だったわよ」

そうだろうか。
この人の現在の性格を鑑みるに、当時もやっぱりスレていたんじゃなかろうか。

さわ子「あんたらふたりのほうがよっぽどヤンチャよ」

さわ子「すぐ喧嘩してくるんだからね。去年は大変だったわよ」

思い返してみれば、確かにそうだった。
よそで喧嘩してくるたび、学年主任に呼び出され、
その都度この人がかばってくれていたのだが…

その時のはぐらかし方が妙に手馴れていたような…そんな気もする。
まるで、そんな立場に立たされたことがあるかのようにだ。
なら、やっぱり、この人も昔は無茶していたんだ。



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:12:15.12 ID:jpDSDOMkO

俺たちに目をかけてくれるのも、そんな時代の自分と重ねてみているからなのかもしれない。

さわ子「ま、それはいいとして…芳野祐介だったわね」

梓「そうですよっ。どうやって知り合ったんですか?」

さわ子「対バンよ、対バン。この町のハコでずいぶん演ったわ」

梓「って、もしかして、芳野さんも、この町の出身なんですか?」

さわ子「そうよ。高校生の時に知り合ったんだけどね…私は光坂で、あっちは北高だったの」

梓「へぇ…」

澪「そうだったんですか…知りませんでした」

澪「公式プロフィールには、そういうこと書いてなかったですから」

律「よかったじゃん、マニア知識がひとつ増えてさ」

澪「うん…嬉しい…」

さわ子「まぁ、第一印象は最悪だったんだけどね」

さわ子「いきなり乱入してきて、マイク奪って、乗っ取ってくるし」

春原「…マジ?」

さわ子「大マジよ」



172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:13:16.91 ID:+UZ/pLeq0

俺もにわかには信じられない。
あのクールな印象からはかけ離れすぎていた。

さわ子「あの頃のあいつは、そりゃもう、ヤバイぐらい暴れまわってたんだから」

さわ子「そのせいで、いろんなバンドから恨み買って、敵作って…」

さわ子「それでも、ずっと歌い続けてたわ」

さわ子「そんな姿が、若い私には、かっこよく映ったんでしょうね」

さわ子「次第に興味を持つようになっていったの」

さわ子「そして、あるライブの後、思い切って話しかけてみたの」

さわ子「粗野で荒々しい奴かと思ってたんだけど、話してみると、意外とシャイな上に無口でね」

さわ子「それに加えて、無愛想で…そうね、ちょうど岡崎みたいな感じだったわ」

春原「こいつ、悪人顔だもんね」

朋也「黙れ」

さわ子さんは続ける。

さわ子「でも、言葉数は少なかったけど、音楽に対する情熱はすごく持ってるってことがわかったの」

さわ子「そこからよ、よく話すようになったのは」

そこまで言って、紅茶を飲み、一呼吸入れた。



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:13:53.44 ID:+UZ/pLeq0

さわ子「…多分恋してたんでしょうね」

さわ子「気づいたら、あいつのことばかり考えるようになってたの」

さわ子「そして、3年生になって、進路も大方決めなきゃいけない時期がきて…」

さわ子「あいつにどうするか訊いてみたの」

さわ子「そしたら、卒業後は、上京して、プロのミュージシャンになるなんて言うのよ」

さわ子「それを聞いて、私も血がたぎったわ」

さわ子「じゃあ、自分もミュージシャンになって、こいつと同じ道を歩くぞ、って…」

さわ子「そう、思ったんだけど…」

さわ子「………」

さわ子「その後に続けて、『プロになれたら、好きな人と一緒になる』って、そう言ったの」

さわ子「聞けば、新任の女教師に惚れてるってことらしかったわ」

さわ子「失恋よ、失恋」

さわ子「そこで、私の恋は終わって、進む道も、てんで別方向に分かれちゃって…」

さわ子「それっきりになっちゃったのよ」

この人にそんな過去があったなんて知らなかった。
付き合いは長いつもりだったが、まだ踏み込めていなかった領域だ。



174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:15:37.82 ID:jpDSDOMkO

でも…今回、こんな話をしてくれるほどに、俺たちは想われている。
こそばゆいやら、うれしいやら…。

さわ子「ま、こんなとこかしら」

梓「先生…すごすぎます…尊敬ですっ」

澪「かっこいいです、先生っ」

紬「ドラマチックですね」

さわ子「そう? おほほほ、もっと褒めなさい」

律「ま、でも、要は、失恋しちゃったよ~って話だよな」

ビシッ ビシッ ビシッ

律「うぎゃっ痛っ、さわちゃ、痛いっ」

ビシッ ビシッ ビシッ

部長の額に容赦なくデコピンが次々に繰り出されていた。

唯「りっちゃんは一言多いよね」

律「唯にまともな突っ込みされるあたしって一体…」

額を押さえながら言う。攻撃はもう止んでいた。

さわ子「そうそう、これは余談なんだけどね…」



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:16:45.99 ID:+UZ/pLeq0

ゆっくりと口を開く。

さわ子「あいつが好きだった先生っていうのが、この学校で教師をされてたのよ」

澪「え? だ、誰ですか?」

さわ子「あなたたちは知らないと思うわ。3年前に退職されてるからね」

さわ子「伊吹公子さんっていうんだけど…」

唯「え? 伊吹さん?」

唯「もしかして、ショートヘアで、おっとりした感じの人?」

さわ子「え、ええ…今はどうかしらないけど、髪はショートだったわ」

唯「じゃあ…やっぱり、あの伊吹さんだ。先生してたって言ってたし」

梓「ゆ、唯先輩、知り合いなんですか?」

唯「うん。私がよくいくパン屋さんの常連さんだから、会えばお喋りしてるよ」

さわ子「へぇ…世間は狭いものねぇ…」

澪「で、どんな人なんだ?」

唯「えっとね、綺麗で、優しくて、それで…」

話し始める平沢。
そこへ熱心に耳を傾ける秋山と中野。



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:18:24.24 ID:jpDSDOMkO

人の繋がりとは、不思議なものだ。
どこでどう交差するかわからない。
今回のように、意外な交流があったりする。
小さい町だったから、とくにそれが顕著なのかもしれない。

…ふと、思う。
俺も、そんな人と人の繋がりの中に入っていっているのではないか。
あんなにも人付き合いが嫌だった、この俺がだ。
なんでだろう。なにが始まりだったろう。
思い起こせば、それは、やっぱり…平沢からだったように思う。

唯「でね、そのパンが爆発して、周りにチョコが飛び散ったんだよ」

澪「…話が脱線していってないか」

唯「あ、ごめん。えへへ」

無邪気に笑う平沢。
できることなら、その笑顔を、ずっとそばで見ていたいと…
そう思う。

朋也(…俺、こいつのこと、好きなのかな…)

よくわからなかった。
でも…一人の人間としては、間違いなく好きだった。

―――――――――――――――――――――



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:19:12.24 ID:+UZ/pLeq0

4/28 水

唯「ふぁ~…んん」

朋也「眠そうだな」

唯「うん…きのうは遅くまで漫画読んでたから、寝不足なんだぁ…」

唯「ふぁあ~…」

大きくあくび。

唯「ほんとはすぐにやめるつもりだったんだけどさ…」

唯「読んでる途中で2、3冊なくなってることに気づいて、探し始めちゃって…」

唯「続きが読めないってなると、逆にすごく読みたくなって、必死だったよ」

憂「鬼のような形相で探してたもんね、お姉ちゃん」

唯「うん、あの時の私は、触れるものすべてを傷つけてたよ」

唯「そう…自分さえも、ね」

悲しい過去を持っていそうに言うな。

唯「それで、やっとみつけたんだけど、その喜びで、全巻読破しちゃったんだよねぇ」

朋也「寸止めされると、逆に、ってやつか」



178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:20:21.11 ID:jpDSDOMkO

唯「そうそう、そんな感じ。これ、なにかに応用できないかなぁ」

憂「勉強は?」

唯「だめだめ、止められたら、そのままやめちゃうよ」

朋也「練習はどうだ。部活でさ。逆にやりたくなるんじゃないのか」

唯「おお!? それ、いいかもしれないねっ」

朋也「じゃあ、今日は春原の奴に、妨害させるな」

朋也「隣で発狂したように、唯~唯~って言わせてさ」

唯「それ、なんかすごくやだ…」

朋也「そうか?」

唯「うん。練習より先に、春原くんが嫌になっちゃうよ」

朋也「それもそうだな」

言いたい放題だった。

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――



179 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:21:49.43 ID:jpDSDOMkO

昼。

春原「へへ…みろよ、手に入れてやったぜ」

その手の中にあるものは、パンだった。
今日のこいつは、定食の他にパンも買いに走っていたのだ。

春原「謎のパン…竜太サンドだ」

朋也「どうでもいいけど、おまえボロボロな」

春原「しょうがないだろ、紛争地帯に突っ込んでたんだからよ」

確かに、今日のパン売り場は、そう表現していいほどに混み合っていた。
なんでも、学食erの間では、先週の告知以来、
竜太サンドの話題で持ちきりだったらしい。
俺はこいつに聞いて初めてその存在を知ったのだが。

春原「生還できただけでも奇跡なんだよ」

春原「僕の目の前で、何人も志半ばにして力尽きていったからね」

春原「今でも、その浮かばれない霊が成仏できずに彷徨ってるって話さ」

そんなパン売り場はない。

澪「れ、霊…?」

律「真に受けるなよ、澪…」

春原「だから、売り子のおばちゃんにたどり着けた時は、本当に嬉しかったよ」



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:22:12.11 ID:+UZ/pLeq0

春原「もう、ゴールしてもいいよね…? って思わず口走っちゃったし」

自ら死亡フラグを立てていた。

律「でもさ、それって、竜田の誤植だろ。中身はどうせ普通のパンだよ」

春原「んなことねぇよっ! 竜太の味がするに決まってんだろっ」

律「いや、どんなだよ、それ…」

春原「それを今から解き明かしてやろうっていうんだろ」

意気揚々と包装紙を破り捨てる。

ぼろぼろぼろ

春原「げぇっ」

ぐちゃぐちゃになったパンが手にこぼれ落ちてきていた。
死亡フラグはパンに立っていたようで、しっかりここでイベントが起きていた。

春原「あ…ああ…」

朋也「もみくちゃになりながら戻ってきたからだな」

律「はは、おまえらしいオチだよ」

春原「ちくしょーっ! ふざけやがってっ!」

ゴミ箱に向かって竜太の塊を遠投する。



181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:23:22.84 ID:jpDSDOMkO

べちゃっ

春原「あ、やべ…」

男子生徒「………」

ひとりの男子生徒の後頭部に直撃していた。
ゆっくりと振り返る。

ラグビー部員「今の…てめぇか、春原」

ラグビー部員だった。

ラグビー部員「なんか叫んでたよなぁ? 俺がふざけてるとかなんとか…」

言いながら、どんどん近づいてくる。

春原「い、いや、違うんです、これは…」

ラグビー部員「言いわけはいいんだよっ! ちょっと顔かせやっ!」

首根っこを掴まれる。

春原「ひぃっ! 助けてくれ、岡崎っ」

朋也「それでさー、この前、春原とかいう奴がさー」

春原「他人のフリするなよっ」

春原「う…うわぁあああああああ」



182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:23:45.55 ID:+UZ/pLeq0

あああああああぁぁぁ…

引きずられ、消えていく。
この後、春原は両頬を押さえ、泣きながら戻ってきていた。

―――――――――――――――――――――

………。

―――――――――――――――――――――

放課後。部室に集まり、いつものように茶会が始まった。

がちゃり

梓「すみません、ちょっと遅れま…」

梓「って、唯先輩、その席はだめですっ」

唯「え、ええっ?」

梓「ていっ!」

俺の隣に座っていた平沢を椅子から引っ張り降ろす中野。

唯「うわぁっ…」

唯「って、なんでぇ? 席決まってるわけじゃないのに…」

梓「この人の隣は危険だって言ったじゃないですかっ」



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:26:45.14 ID:jpDSDOMkO

唯「でも、いつも隣に座ってるあずにゃんはなんともないんだし…」

梓「そんなことないです! 常にいやらしい視線を感じてますっ」

朋也「おい…」

春原「おまえ、けっこうむっつりなんだね」

がんっ

春原「てぇな、あにすんだよっ」

朋也「すまん、故意だ」

春原「わざとで謝るくらいなら、最初からやらないでくれますかねぇっ」

律「まぁまぁ、梓。ここはひとつ、席替えしてみようじゃないか」

梓「え?」

律「いやさ、席決まってるわけじゃないっていっても、大体いつも同じじゃん?」

律「だからさ、ここいらでシャッフルしてみるのいいと思うんだよな」

紬「おもしろそうね」

律「だろん?」

澪「いや、そんなことより先に練習をだな…」



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:27:06.76 ID:+UZ/pLeq0

梓「席替えなんて嫌ですっ! リスクが高すぎますっ」

律「でもさ、リターンもでかいぞ」

律「おまえは唯と岡崎を離したいんだろ?」

律「もしかしたら、端と端同士になって離れるかもしれないじゃん」

梓「で、でも…」

唯「私、やりたい」

梓「唯先輩…」

唯「あずにゃん、これで決まったら、私も文句言わないよ」

唯「だから、やろ?」

梓「うう…」

梓「………」

梓「…はい…わかりました」

律「よぅし、決まりだな。じゃ、クジ作るか」

春原「なんか、合コンみたいだよね、この人数で席替えってさ」

律「あんた、めちゃ俗っぽいな…」



186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:28:16.82 ID:jpDSDOMkO

―――――――――――――――――――――

全員クジを引き終わり、席が決まった。
俺の両隣には、秋山と平沢。
俺の対面に位置する春原の両隣には、部長と琴吹。
そして、議長席のような、先端の位置に中野。
そこは、元琴吹の席だった場所だ。

唯「隣だねぇ、岡崎くん。教室とおんなじだよっ」

朋也「ん、ああ…だな」

澪「よ、よろしく…岡崎くん」

朋也「ああ…こちらこそ」

春原「ヒャッホウっ! ムギちゃんが隣だ!」

春原「…けど、部長もいるしな…右半身だけうれしいよ」

律「なんだと、こらっ! あたしの隣なんて、すべての男の夢だろうがっ」

律「全身の毛穴から変な液噴射しながら喜びに打ち震えろよっ!」

春原「あーあ、しかもここ、おまえがさっきまで座ってたとこだし…」

春原「なんか、生暖かくて、気持ち悪いんだよなぁ」

律「きぃいいっ、こいつはぁああっ! 心底むかつくぅううっ!」



187 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:28:37.57 ID:+UZ/pLeq0

梓「こんなの、納得いきませんっ! やり直しましょうっ!」

唯「ええ~、ダメだよ、あずにゃん。もう決まったんだしぃ」

梓「唯先輩は黙っててくださいっ!」

唯「ひえっ、ご…ごめんなさい…」

律「あー、わかったよ、梓。あたしも、この金猿が隣なんて嫌だしな」

律「今日だけにしとくよ。次回からは自由席な。それでいいか?」

梓「…わかりました…それでいいです」

春原「じゃ、次は王様ゲームしようぜ」

律「王様ゲームぅ?」

春原「せっかく合コンっぽくなってきたんだし、やろうぜ」

律「うーん…ま、そうだな、おもしろそうだし、やるか」

唯「いいね、王様ゲーム。久しぶりだなぁ」

紬「噂には聞いたことがあるけど、私、やったことないなぁ…」

春原「大丈夫、僕が手取り足取り、優しく教えてあげるよ」

紬「ほんと?」



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:30:00.56 ID:jpDSDOMkO

春原「うん、もちろんさ」

律「ムギ、めちゃ簡単だから、なにも教わらなくても大丈夫だぞ」

春原「てめぇ、なにムギちゃんにいらんこと吹き込んでくれてんだよっ」

律「それはおまえがやろうとしてたことだろがっ」

澪「わ、私はやらないぞ…っていうか、練習しなきゃだろ」

澪「遊んでる場合じゃ…」

律「おまえが王様になって、練習しろって命令すればいいじゃん」

律「そしたら、そこでゲーム終了でいいからさ。素直に言うこと聞くよ」

澪「…ほんとだな? 絶対、言う通りにしてもらうからなっ」

律「へいへい」

朋也「ああ、俺はやらないから、頭数に入れないでくれよ」

春原「なんでだよ、女の方が多いんだぜ?」

春原「王様になれば、あんなことや、こんなことが…」

春原「やべぇ、興奮してきたよっ!」

朋也「おまえ、今めちゃくちゃ引かれてるからな」



189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:30:22.29 ID:+UZ/pLeq0

春原「へ?」

春原は女性陣の冷たい視線を余すことなく集めていた。

春原「…こほん」

春原「まぁさ、こんな、みんなで盛り上がろうって時に、抜けることないだろ」

朋也「知るかよ…」

春原「ま、嫌ならいいけど。僕のハーレムが出来上がるだけだしね」

春原「むしろ、そっちの方が都合がいいかも、うひひ」

いやらしい笑みをこれでもかと浮かべる。

朋也(ったく、こいつは…)

春原の変態願望を押しつけられた奴には同情を禁じえない。

朋也(…待てよ)

それは、平沢にも回ってくる可能性があるんじゃないのか。
というか、普通にある。
………。

朋也「…いや、やっぱ、俺もやる」

春原「あん? なんだよ、いまさら遅ぇよ」



190 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:31:47.62 ID:jpDSDOMkO

朋也「まだセーフだ。いいだろ、部長」

律「ああ、全然オッケー」

朋也「だそうだ」

春原「ふん、まぁ、いいけど」

これで少しは平沢に被害が及ぶ確率を下げられた。
よかった…

朋也(って、なにほっとしてんだよ、俺は…)

なんで俺がここまで平沢のことを気にかけているんだ…。
別に、いいじゃないか。俺には関係のないことだ。
………。
でも…どうしても耐えられない。

朋也(はぁ…くそ…)

厄介な感情だった。

律「で、梓はどうすんの? ずっと黙ってたけど」

梓「…やってやるです」

めらめらと灯った憎悪の眼差しを俺に向けながら答える。

朋也(俺をピンポイントで狙ってくる気かよ…)



191 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:32:08.22 ID:+UZ/pLeq0

だが、あくまでランダムなので、特定の個人を狙うなんて、まず無理だ。
そこは安心していいだろう。

律「うし、じゃ、全員参加だな。そんじゃ、番号クジ作るかぁ」

―――――――――――――――――――――

ストローで作った番号クジ。
部長が握り、中央に寄せる。
そして、各々クジを引いていった。

「王様だ~れだ?」

皆一斉に手持ちのストローを確認した。
俺は4だった。

春原「きたぁあああああああっ!!!」

律「げっ、いきなり最悪な野郎がきたよ…」

春原「いくぜぇ…じゃあ、4番が王様の…」

朋也(げっ…)

春原「ほっぺたにチュウだっ!」

朋也「ぎゃぁああああああああああああ!!!」

春原「うわっ、どうしたんだよ、岡崎…」



193 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:33:18.03 ID:jpDSDOMkO

春原「って、まさか…まさか…」

朋也「てめぇ、ふざけんなよ、春原っ! 俺にそんな気(け)はねぇっ!」

春原「おまえかよ…4番…」

律「わははは! いきなりキツいのいくからそういうことになるんだよ」

澪「岡崎くんと…春原くんが…キ、キキキス…ぁぁ…」

唯「ふんすっ、なんか興奮するね、ふんすっ」

紬「そういうのもアリなのね…なるほど…」

梓「…不潔」

にわかに外野が盛り上がり始めていたが…
対照的に、俺と春原は肩を落としてうなだれていた。

朋也「…いくぞ、こら」

春原「おう…こい」

朋也「陽平、愛してる」

春原「ひぃっ」

朋也「あ、その顔大好き!」

春原「ひぃぃっ」



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:33:36.86 ID:+UZ/pLeq0

朋也「次その顔したらキスするからな」

春原「ひぃぃぃっ」

朋也「あ、今した。ぶちゅっ」

ひいいいぃぃぃぃ…

BAD END

朋也(おえ゛…)

今の大惨事を目の当たりにして、きゃっきゃと騒ぎ出す女たち。
こっちはそれどころじゃなかった。

春原「うう…変な芝居入れないでくれよ…」

春原は涙を流してい泣いていた。

朋也「ああ…俺も、やってて吐き気がこみあげてきたよ…」

春原「うう…じゃあ、やるなよぉ…」

とぼとぼと自分の席に戻るふたり。

律「あんたら、ほんとはデキてんじゃないのぉ?」

唯「アヤシイよねぇ」

澪「あ…あうあう…」



195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:34:48.47 ID:jpDSDOMkO

紬「くすくす」

梓「…ふ、不潔です…」

朋也「忘れてくれ…」

律「あーあ、写メ撮っとけばよかった」

唯「あ、そうだね。見入っちゃってたよ」

朋也「保存しようとするな…」

春原「…早く次いこうぜ。ムギちゃんで中和しなきゃ、精神が持たねぇよ」

律「わはは。はいはい、わかったよ」

―――――――――――――――――――――

「王様だ~れだ?」

俺は6を引いた。

紬「あ、私だ」

唯「おお、ムギちゃんかぁ」

律「ムギは初心者だからなぁ、何がくるやら…」

春原「ムギちゃん、僕を引き当ててねっ」



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:35:11.23 ID:+UZ/pLeq0

そういうゲームでもない。

紬「じゃあ…3番の人と、5番の人」

紬「正面から、愛しそうに抱き合って♪」

律「おお、大胆だな…で、だれだ、3と5は」

唯「私、3番だよ」

澪「私…5番」

紬「まぁ…これは、これは…うふふふ…ひひ」

唯「えへへ、よろしくね、澪ちゃん」

澪「う、うん…」

席を立ち、向かい合う。
身長差があり、視線を合わすのに、平沢が上目遣いになっていた。

春原「…なんか、周りにバラ描きたいね」

朋也「…ああ」

唯「澪ちゃん…」

澪「唯…」

ごくり…



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:36:36.01 ID:jpDSDOMkO

唯「…好きっ」

澪「唯…唯っ!」

ひし、っと抱きしめあう。

唯「ああ、澪ちゃん、おっぱい大きいよ…」

澪「唯…すごくいい匂いがする…」

唯「澪ちゃん…」

澪「唯…」

目を閉じて、お互いの鼓動を感じ合っていた。

紬「…ゴッドジョブ」

ゴッド…神?
びしぃ、と親指を立てていた。
左手には、携帯を持ち、カメラのレンズを向けている。
ムービーでも撮っているんだろうか…。

―――――――――――――――――――――

「王様だ~れだ?」

俺は5。

律「お、私だ」



198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:37:00.52 ID:+UZ/pLeq0

唯「りっちゃんかぁ、これは覚悟しなきゃかもね」

春原「なんだ、ハゲか」

律「な、てめ…」

律「………」

律「…後悔するなよ」

春原「あん?」

律「じゃ、いくぞ」

律「1番が…」

言って、素早く目だけ動かし、周りを確認していた。

律「いや、やっぱ、2番が…」

また、同じ動き。

律「うん…2番が、3番を…」

律「いや、やっぱ、4番かな…」

律「うんそうだ。2番が4番に、思いっきり左鉤突きを入れる!」

唯「ひだりかぎづき?」



200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:38:12.11 ID:jpDSDOMkO

朋也「打撃のことだ。つまり、殴れっていってるんだ」

唯「うえぇ!? な、殴るの!?」

律「さ、誰かな、2番と4番は~」

入れられる側に春原を狙っているんだろう。
あの、『後悔するな』という言動からしても、そのはずだ。

だが、そんなことが可能なのか…?
やけに余裕のある佇まいだ。
あの目の動き、何かを探っているように見えたが…
そこまで精度に自信があるということなのか…?

紬「私、2番…」

春原「…4番…」

…どんぴしゃだった。

律「おおう、こりゃ、春原、死んだかなぁ?」

紬「ごめんね、春原くん…」

春原「いや…ムギちゃんになら、むしろ本望だよ」

席を立ち、向かい合う。
さっきの甘い雰囲気とは違い、殺気立った空気。

紬「ショラァッ!」



201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:38:35.50 ID:+UZ/pLeq0

ボグッ

春原「があああっ!」

メキメキィ

骨のきしむ音。

紬「おおお!!」

肘打ち、両手突き、手刀、貫手、肘振り上げ、手刀、鉄槌…
琴吹の連打は続く。

律「…煉獄」

中段膝蹴り、背足蹴り上げ、下段回し蹴り、中段廻し蹴り…

朋也(すげぇ…倒れることさえできない…)

そこにいた全員が、その連打に目が釘付けになっていた。

紬「おおお!!」

紬「あ゛あ!!」

バフゥ

拳が空を切る。
春原が事切れて、すとん、と床に倒れこんだからだ。




202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:39:01.97 ID:NWTOuQ4+0

喧嘩商売好きなんだなwwww
俺も大好きです





203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:39:44.19 ID:jpDSDOMkO

紬「はぁー…はぁー…」

どれだけの時間打ち込んでいたのだろう。
時間にして、それほどでもないのかもしれないが…
ずいぶんと長く感じられた。
それは、連打を受けた春原自信が一番感じていることだろう。

紬「あ、ご、ごめんなさい、春原くん、つい…」

春原を抱き起こし、安否を気遣っていた。

春原「あ…う…ムギちゃん…素敵な連打だったよ…」

春原「僕…幸せ…」

どうやら、かろうじて生きていたようだ。
にしても…

朋也「部長…狙ったのか?」

律「ふ…まぁな。番号を指定した時、必ず表情に出るからな」

唯「りっちゃん、すごぉいっ! 遊びの達人だねっ」

律「おほほほ! まぁなぁ~」

澪「変なとこで突出してるからなぁ、律は…」

梓「律先輩、私にその技、伝授してくださいっ!」



204 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:40:10.07 ID:+UZ/pLeq0

律「ばか者! 一朝一夕で身につくものではないっ!」

律「これは、私が踏み越えてきた数々の死線の中で、自然に身につけたものなのだ!」

律「おまえのような小娘には、まだ早いわっ!」

梓「う、うう…」

澪「大げさに言うな…遊んでただけだろ…」

―――――――――――――――――――――

「王様だ~れだ?」

6だった。

唯「あ、私だぁ」

律「唯か…正直、なにが来るか想像がつかん」

唯「えへへ、えっとね…」

唯「6番の人が、私を好きな人だと思って、愛の告白をしてください」

朋也(マジかよ…)

律「おお、なんか、おもしろそうだな、それ」

唯「んん? その他人事な口ぶり…りっちゃん、6番じゃないんだ?」



205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:41:19.42 ID:jpDSDOMkO

律「まぁな~。で、誰だ、6番は」

朋也「…俺だ」

唯「へ!?」

澪「え…」

紬「まぁ…」

律「うおぉっ、これは…まさかの二回目で、こんな内容」

律「しかも、相手は唯…かぁ~、持ってんなぁ、岡崎」

春原「これ、もうゲームじゃなくていいんじゃない?」

梓「ただのゲームですっ! 岡崎先輩も、その辺忘れないでくださいよっ!」

朋也「わかってるよ…」

朋也「あー…座ったままでいいか」

唯「う、うん…」

朋也「じゃあ…」

こほん、とひとつ咳払い。

朋也「明日朝起きたらさ…」



206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:41:45.40 ID:+UZ/pLeq0

朋也「俺たちが恋人同士になっていたら面白いと思わないか」

朋也「俺がおまえの彼氏で、おまえが俺の彼女だ」

朋也「きっと、楽しい学校生活になる」

朋也「そう思わないか」

唯「思わないよ。きっと、こんなぐだぐだな私に、腹が立つよ、岡崎くん」

朋也「そんなことない」

唯「どうして」

朋也「…俺は平沢が好きだから」

朋也「だから、絶対にそんなことはない」

唯「本当かな…自信ないよ…」

朋也「きっと楽しい。いや、俺が楽しくする」

唯「そんな…」

唯「岡崎くんだけが…頑張らないでよ」

唯「私にも…頑張らせてよ」

朋也「そっか…」



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:42:57.34 ID:jpDSDOMkO

唯「うん…」

顔を伏せる平沢。

朋也「じゃあ、平沢…頷いてくれ、俺の問いかけに」

俺は、彼女をまっすぐ見据えてそう求めた。

唯「………」

朋也「平沢、俺の彼女になってくれ」

唯「………」

少しの間。
顔を上げることもなく、頷くこともなく…
ただ小さな声が聞えてきた。
よろしくお願いします…と。

律「…わお」

春原「成立しちゃってるね」

梓「はい、そこまでそこまでっ!」

中野が俺と平沢の間に体を割りこませてくる。
そして、平沢と対面し、その肩をがしっと掴んだ。

梓「唯先輩、これ、演技ですよ!? わかってますか?」



208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:43:18.41 ID:+UZ/pLeq0

唯「う、うん…」

梓「それと…」

俺に向き直る中野。

梓「岡崎先輩、なんで唯先輩の名前使ってるんですか!」

朋也「いや、だって、平沢を好きな奴と想定するって話だったろ…」

梓「仮想好きな人なんだから、偽名使ってくださいよっ!」

梓「これじゃ、ほんとに唯輩に告白してるみたいじゃないですか!」

朋也「いや、そんなつもりは…」

梓「ふん、どうだか。あわよくばって考えてたんじゃないですか」

朋也「いや…」

梓「あと、唯先輩がOKしたのも、仮想空間での話ですからね!」

梓「現実だったら振られてますからっ」

梓「ふんっ」

ぷい、とそっぽを向いて、自分の席に戻っていった。

朋也(なんなんだよ…)



209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:44:42.43 ID:jpDSDOMkO

律「ははは、唯と付き合うには、まず梓に認められなきゃな」

朋也「…知るか」

―――――――――――――――――――――

「王様だ~れだ?」

2を引いた。俺じゃない。

梓「…来ました。私です」

律「お、梓か」

唯「あずにゃん、おてやわらかにね」

梓「………」

睨まれる。やはり、俺に狙いを定めてくるのか…。

梓「決めました。皆で岡崎先輩をタコりましょう」

朋也「って、それじゃ番号クジでやる意味ないだろっ」

律「そうだぞ。私だってちゃんと実力で春原を地獄に叩き落したんだからな」

春原「ちっ…でも、ある意味天国だったけど」

律「攻撃するなら、ルールに則った上でやれよ」



211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:45:09.13 ID:+UZ/pLeq0

それも嫌だが。

梓「…わかりました。じゃあ…」

梓「1番と…」

そわそわと全員の表情を窺っている。
部長の真似事なのだろう。

梓「う…やっぱり、2番…」

梓「あう…4…いや5…6?」

混乱し始めていた。

梓「う…もう、7番と1番が、恋人つなぎしながら愛を囁いてくださいっ!」

大方、俺と春原を引き合わせて、屈辱を与えようとでも思ったんだろう。
もし外れても、部員同士なら罰ゲームにもならない。
だから、一発ギャグや、尻文字で自分の名前を書く、
なんて露骨なものを避けたんだろう。

梓「だ、誰ですか…?」

律「1…」

春原「…7」

春原と部長のどちらもが真っ青な顔をして、震える声でそう告げていた。

唯「あはは、おもしろい組み合わせだね」



212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:46:19.56 ID:jpDSDOMkO

律「ぜんっぜんおもしろくねぇよっ」

春原「ムギちゃん、これ、罰ゲームの類だから。僕の本心じゃないからね」

律「そりゃこっちのセリフだっ」

唯「いいから、ふたりとも、そろそろやんなきゃだよ」

律「くそ…」

春原「ちっ…」

立ち上がり、近づいていく。
そして、その手がぎゅっと握られた。

律「…アンタ、カコイイヨ」

春原「…オマエモ、カワイイヨ」

律「アハハ」

春原「アハハ」

唯「カタコトじゃだめだよ。ちゃんとやらなきゃ」

唯「ルールは厳守しなきゃいけないんでしょ?」

律「うぐ…」

自分で課した掟が自分の首を絞めていた。



213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:46:57.39 ID:+UZ/pLeq0

律「あ、あんた、あれだよ、あの…」

律「そう、身長低くてさ、ヘタレで…ダサカッコイイよ」

春原「はは、おまえは、額とか残念だけど…デコカワイイよ」

  律「あははは」
春原「ははは」

唯「…はぁ、りっちゃん、遊びの帝王だと思ってたのに…」

唯「あずにゃんにも、あんなにびしっと言ってたし…」

唯「それなのに、ルールのひとつさえ守れないんだね…」

律「う…わ、わかったよ…」

律「はぁ…」

律「あんたは、普段アホだけど…いざという時は頼りがいがあって…」

律「…かっこいいよ。漢だよ」

春原「お、おう。おまえも…よくみりゃ、顔も悪くないし…」

春原「か、かわいいと思うよ…」

春原「………」

律「………」



214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:48:09.80 ID:jpDSDOMkO

春原「ぐわぁああああっ!!」

律「のぉおおおおおおっ!!」

同時に手を離し、体をかきむしる。

春原「はぁ、はぁ、かゆい、かゆすぎるよっ!」

律「アレルギー反応だ! ヘタレアレルギー!」

床を転げ周り、ぎゃあぎゃあわめいていた。

紬「ふふ、行動がそっくり」

澪「だな。やっぱり、気が合うんじゃないか?」

―――――――――――――――――――――

「王様だ~れだ?」

朋也「おっ…俺だ」

春原「岡崎、僕とムギちゃんに、なんかエッチなの頼むよっ」

律「アホか、おまえはっ! 岡崎、こいつに罰ゲームくれてやれ!」

朋也(どうするかな…)

そもそも、俺は王様ゲーム自体に興味はない。



215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:48:31.57 ID:+UZ/pLeq0

朋也(そういえば…)

秋山がしきりに練習しようと訴えていたな…。
なら、ここで俺が切り上げてやるのも、悪くないかもしれない。

朋也「…よし、決めた。おまえら、練習しろ」

澪「え…岡崎くん…」

律「なぁんであんたがそれ言うんだよぉ」

唯「もうやめちゃうの?」

朋也「なんか、やらなきゃならないんだろ。よく知らねぇけど」

朋也「だろ? 秋山」

澪「え?…うんっ」

朋也「だったら、王様命令だ。練習、始めろよ」

律「うえぇ…つまんねー奴ぅ…」

唯「まだやりたいよぉ…」

朋也「中野、おまえも練習派だろ。何か言ってやれよ」

梓「え…あ…お、岡崎先輩に言われなくても、今言おうと思ってましたっ」

梓「こほん…律先輩、唯先輩、練習するべきですよ」



216 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:49:52.36 ID:jpDSDOMkO

澪「うん。ちょうど一週できたしな」

律「まだおまえに回ってないじゃん」

澪「私に回っても、どうせ終わるんだから、同じことだろ」

律「ぶぅ~」

紬「それじゃ、今日はティータイムはお開きね」

唯「ムギちゃんが言うなら、しょうがないかぁ」

律「部長はあたしだぞっ」

澪「おまえは威厳がないからな」

律「なんだとっ」

春原「岡崎、まだ間に合う、最後に僕とムギちゃんを引き合わせてくれぇっ」

朋也「そんなに王様ゲームしたいなら、あのカメとサシでやれ」

朋也「あ、これは俺の個人的な命令だからな」

春原「プライベートでも主従関係なのかよっ!?」

律「わははは!」

澪「あの…岡崎くん」



217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 00:50:42.26 ID:+UZ/pLeq0

朋也「あん?」

澪「ありがとね。練習、するように言ってくれて」

朋也「いや、別に礼を言われることでもないだろ」

朋也「もとはといえば、俺たちがいたせいで始まったようなゲームだし」

澪「それでも、やっぱり、ありがとうだよ。私も、ちょっと楽しんじゃってたし」

朋也「そっか」

澪「うん」

朋也「まぁ、練習頑張れよ。俺が言えた義理じゃないけどさ」

澪「うん、ありがとう。頑張るよ」

言って、微笑んだ。
そして、俺に背を向け、準備に向かう。

春原「くそぅ…ムギちゃんお持ち帰りする計画がパァだよ…」

朋也(まだ言ってんのか、こいつは…)

最後まで合コン気分の抜けない奴だった。

―――――――――――――――――――――


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朋也「軽音部? うんたん?」#11
[ 2011/12/31 04:25 ] クロス | CLANNAD | CM(0)

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