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唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」#第三十二話 【スーパーロボット大戦】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより


http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1303652569/


唯「まじーん、ごー!」#index
唯「だいにじ!」なのは「スーパー!」夕映「ロボット」シャロ「大戦です!」#index




352 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県):2011/12/04(日) 23:05:30.67 ID:XEcn0y5M0


 第三十二話 Aパート


 ソロモン 司令室

ドズル「敵の本隊が出てくるぞ! 衛星ミサイルで軌道上にあるものはすべて発射しろ!」

ラコック「閣下、どちらへ!?」

ドズル「ビグ・ザムで出る! これ以上、連邦の好きにはさせん!」

ラコック「し、しかし閣下が出て行かれては!」

ドズル「取り付いた奴らを追い返すだけだ。いいな、退路を確保して、ソロモンから脱出しろ」

ラコック「は、はっ!」

 ドズル・ザビ中将は靴底のマグネットを高く鳴らして走った。
 その姿は高貴な将軍というよりも、傭兵と言ったほうがしっくりくる。

ドズル「ゼナ、ミネバ、無事に逃げ延びてくれよ」



353 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県):2011/12/04(日) 23:06:49.02 ID:XEcn0y5M0



 ソーラ・システムによってソロモンはその四分の一近くを機能停止に追い込まれていた。
 展開していた艦隊の被害はより甚大で、ジオン軍はその半数以上を失っている。

 撤退の構えを見せる敵機の中を、三機のドラグナーが疾駆していった。

シノ「いいな、私たちの任務はソロモンから撤退するドズル・ザビ中将らの確保だ!」

アリア「了解っ」

スズ「開放されたゲート、位置情報を送ります」

 長門有希のナビで萩村スズと再会した天草シノと七条アリアは
 通常通りの三機の編隊に戻り、ソロモンへ乗り込んでいく。

 そこで待ち受けていたのは、ゼナとミネバ脱出艇を護る青いモビルスーツだった。

シノ「グフ!?」

ラル「D兵器!? シノ君か!」

 ミノフスキー粒子が密度を増しているため、
 互いに音声が届いていない状況であるが、両者は互いに喋る言葉を持っていた。

ラル「相見えることを待っていたぞ、シノ君!」

 以前のものよりも改修され、重装甲となったグフが
 ヒートサーベルを抜いて発進直前の脱出艇の前に出る。

シノ「借りた命……今日、ここで!」

 レーザーソードを構えてシノは突撃した。

ラル「ほぅ、やるようになった!」

 瞬発の挙動一つでランバ・ラルは賞賛を送り、ヒートサーベルを振った。

 ――シュパァン!

シノ「うっ!?」

 熱量を持った刃同士が触れ合った瞬間、イメージよりも強烈な光りがシノの目を打った。
 このサーベルはダミーであったのだ。



354 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県):2011/12/04(日) 23:07:47.67 ID:XEcn0y5M0


ラル「したたかなのもランバ・ラルよ!」

 ドガァッ!

 ショルダータックルでD-1が転倒する。

ラル「艦の発進を急げ! アコーズ、コズン、他の二機は任せたぞ!」

「「はっ!!」」

 リック・ドムに乗った二兵士がD-2、D-3に向かっていく。

シノ「くっ……!」

ラル「また味わうかね、ヒートロッドを!」

 ビュオッ――

 真空を切り裂いて唸る鞭を辛うじてかわした。

ラル「よけたか! それも良い方に!」

 左手を壁につける形のドラグナー1型。
 右手のヒートロッドはこれでは振れない。

 ドラグナーは二本目のレーザーソードを持ち、盾を上げた。

ラル「ふふ、この懐に飛び込む時の身体の熱……良いぞ、シノ君!」

 グフもヒートロッドをしまい、またサーベルを持つ。

 ぴたりと止まった時が再び動くのは、脱出艇が発進の火を噴いた時だった。

 ゴゴォン……!

シノ「はぁぁっ!」

 ドラグナーが振ったのはレーザーソードではなく、シールドを持った腕だった。
 隠し持っていたショルダーボムがグフに飛んでいく。

ラル「この程度か!」

 アームガードでショルダーボムを殴り、ランバ・ラルは踏み込んで必殺の刺突を放った!

シノ「くっ――!」

 ドスッ!

 シールドをサーベルが貫通する。
 すぐにレーザーソードで切りかかるが、グフの手が上がり、指が直列に繋がった。

 ガガガガガガガッ!

 フィンガーバルカンがD-1の手を叩き、レーザーソードを落とした!

シノ「まずいっ!」

ラル「終わりかッ!?」

 期待外れとばかりの声音でランバ・ラルはヒートロッドを射出してD-1を捕まえる。

ラル「ならば落ちろ! D兵器と共に!」

シノ「いいや、あなたの負けだ! ランバ・ラル!」



355 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県):2011/12/04(日) 23:08:23.34 ID:XEcn0y5M0


ラル「なにっ!?」

 負け惜しみか、罠か――?
 答えはヒートロッドのスイッチを入れれば解る。
 だがもしそのスイッチが罠の起動条件であったのならば――

 刹那の思考が、ラルの寿命を削った。

 ボゴォンッ――!!

ラル「うおぉっ!?」

 左肩で何かが爆発し、グフが倒される。

ラル「そうか! 先の爆弾か!!」

 弾いた時に爆発しなかったのは、起爆をタイマーにしていたからだろうか。

 それ以上に驚くべきは、その後のラルの動きから立ち位置まで読みきり、
 撃墜覚悟で完遂したシノの実行力である。

ラル「今の言葉も、ワシをとどめる為か!」

 無重力に体勢を泳がさせられるグフの前で、レーザーソードが発光した。

シノ<熱血>「あなたを倒す! 今日、ここでーッ!!」

 ――シュガァッ!!

ラル<不屈>「ぬぅぅ!」

 バーニアの噴かし一つでも、操縦技術が現れる。
 背部の左側、膝裏のさじ加減で頭部を穿つはずの閃刃が左肩に吸い込まれていった。

ラル「あっぱれだ! シノ君!」

 煙の立つ左腕をパージして、残った右腕でグフがドラグナーにしがみついた。

 接触回線でラルが言う。

ラル「ワシは今! 一つの神話を見ている!」

シノ「な、何を……!?」



356 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県):2011/12/04(日) 23:08:57.17 ID:XEcn0y5M0


ラル「時代はもはや、ワシ等の世代ではないということだ!」

 グフが熱を上昇をさせているのが、ドラグナーにも伝わってきている。
 自爆する気か。

ラル「ワシがいち兵士を貫くならば、連邦の神話づくりなぞこの身を賭してでも潰して見せるが――!」

 彼が思い返していたのは、ドズル・ザビの命令だった。

ラル「ワシには使命がある! それを果たすのが、軍人としての生き様よ!」

 バシュッ――!

 脱出ブロックがグフの背中から飛び出て、脱出艇へ向かっていった。

シノ「くっ――!」

 動きのなくなったグフを蹴ってどかし、
 ランバ・ラルの脱出ブロックを捕まえようとするが、もう間に合わない。

 ドドォンッ!!

 グフが自爆し、ドラグナーは爆風に煽られて壁に叩きつけられた。

シノ「うあぁっ!」

スズ「会長!」

アリア「シノちゃん!」

 ランバ・ラルと同じように、アコーズとコズンに逃げられた二人がシノを助け起こす。

シノ「また……してやられてしまった……」

 ランバ・ラルの目的は脱出艇の確保であり、それを達成すると早々に引き上げた。

 しかも、グフの自爆でこのデッキからはもうソロモン内部への侵入はできない。

 ランバ・ラルの含み笑いが聞こえた気がした。

シノ「なんて、恐ろしい人だ……」


 第三十二話 恐怖! 機動ビグ・ザム! Aパート 完




351 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(関西地方):2011/11/28(月) 18:37:26.91 ID:gsSRU/Ivo



あれ?リーダーになるの早くないか?





357 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(埼玉県):2011/12/04(日) 23:11:05.49 ID:XEcn0y5M0


 分量が少なくて、上げようか迷いましたが、結局上げます。

 たぶん、投下した後にまた間違いを見つけて修正するんだろうなぁと思いながらです。

 間違いで一つ。

 前回、長門がハルヒの能力云々といいましたが、
 それよりも前の回で、ハルヒの能力がほとんどなくなっているとか書いてました。
 どうしようもならない矛盾です。
 ただ、ハルヒの願望達成能力は今後発揮されることはないでしょうから、
 使わないという方針でいきます。

 それに、ハルヒが願うことなんて戦争がはやく終わりますようにとか、
 キョンが死にませんようにとかです。
 戦争がなくなりますようにって考え出すと、
 どうしたら戦争がなくなるのか考えてエヴァのラストみたいになるかと思います。

 なお、今回、ラルが搭乗したグフは重装型グフをモデルに宇宙戦仕様となったオリ機体です。
 スパロボ的には、グフカスタムにスラスターモジュールをつけただけみたいな感じです。

 正しい性格的には、グフにこだわりがある訳でもなく、
 ドムに乗ればグフをけなして、ゲルググに乗ればドムをけなします。

 ただ、やっぱりラルにはグフが似合うので、グフってもらいました。

 今日は残機ちゃんに賭けて3万失いました。

 スロットなんてやらないほうがいいですね。

 来週には真逆のこと言ってると思います。

 マテ娘の同人誌を買いあさってるお金がそろそろなのポGoD初回版かえるぐらいになります。

 >>351
 人が辞めて私が一番長い期間の人になったからです。
 まるっきり中間管理職です。
 基本ヒマなのに部下の責任を取らなくてはなりません。
 最初から私がやったほうが早いのに、と常に思っています。


 PCとは別に携帯で番外編を書いています。
 出来次第載せたいと思います。
 あの人が何故、あんなことになったのか――って感じです。
 


 とことで!

 グゥフフフwwwww




358 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/12/05(月) 00:04:21.41 ID:Jj4BrUjfo

乙乙
ラル強いなあ





359 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:50:30.46 ID:OeBrETBe0


 第三十二話 Bパート


 ビグ・ザムは全高59.3メートルの大型モビルアーマーである。
 モビルスーツが歩兵ならば、ビグ・ザムは戦車に相当する。
 手はなく、飾りのような脚と巨大な頭部は獰猛な種の梟を思わせる。

 その火力は三百六十度斉射できる十六門のメガ粒子砲で充分と言えよう。
 更に無数の爆薬、頭部の口にあたる部位の大型ビーム砲は戦艦も一撃で鎮めることが出来る代物だ。

ドズル「このビグ・ザムが量産に成功した暁には、ジャブローなど跡形もなく焼き尽くしてくれるわ」

 ビグ・ザムの周囲は既にジムとドラグーンの屍に溢れていた。
 搭載しているメガ・ジェネレーターはまだ基地内の電源ユニットと直結している。

ドズル「いいか、まずはソロモンにとりつく連邦兵どもを叩き潰す!」

 同乗している二人のパイロットに檄を飛ばし、ビグ・ザムを前進させた。

ドズル「我等がジオンの兵どもよ! ドズル・ザビの命令をよく聞け!!」

 小惑星ソロモンのごつごつした表面に二本の脚を乗せて、ドズルは将兵に叫ぶ。

ドズル「これからビグ・ザムが殿軍を務める!
    貴様等はソロモンを撤退し、ア・バオア・クーへ向かえ!」

 幾つかの光芒がやみ、すぐにまた復活する。

 何機かはビグ・ザムの許へ寄ろうとして、ある者は落ちて、ある者は別の光りに引っ張られていく。
 ジオンの艦艇は二十あまりになっている。
 いったい何人の兵士が生きて戦域を脱出できるか
 ――ドズルは膝元から湧き上がってくる衝動を抑えなければならなかった。

ドズル「すまんな、お前達、ワシにつき合わせて」

ラコック「味方を逃がすためです。閣下お一人にやらせるわけにはいかんでしょう」

マイヤー「閣下も、御自らの御武運をお大事に考えください」

 索敵役のラコックと操縦役のマイヤーがビグ・ザムを動かしている。
 ドズルが見ているのは照準線と引き金、巨大なビグ・ザムは一人で操縦できるものではない。

ラコック「閣下! 敵艦隊を捕捉!」

マイヤー「ビグ・ザム、浮上します!」

ドズル「応!」

 ズオォ……!

 ビグ・ザムがソロモンから離れていく。
 ソーラ・システムで圧倒的優勢に立ったはずの連邦軍だが、大型モビルアーマーの出現で編隊が乱れた。

ドスル「雑魚には目もくれるなよ! 真っ直ぐに敵艦に向かえぃ!!」

ラコック・マイヤー「「了解!」」

 機動兵器に乗る連邦兵の多くはビグ・ザムから距離をとるが、中には逸って前に出てくるものもいる。

ドズル「これ以上、ソロモンをやらせはせんぞ! 木っ端どもが!!」

 ビビューッ!

 ビグ・ザムのビーム砲が一斉に噴き、辺り一帯を火の海にした。

 その無数の爆光を抜けていくと、連邦の艦サラミスがビグ・ザムに照準を合わせていた。

サラミス艦長「近づかせるな! 撃てっ、撃てーっ!」

 ズギュゥ! ギュギュゥッ!

 サラミスがメガ粒子砲を連射する。

 しかし、いかなる機体や艦も一瞬で宇宙の塵に変えるメガ粒子砲を、
 ビグ・ザムは避けずに受け止め、弾いてしまった。

すずか「あ、アレイさん!」

アレイ「あぁ、見た! ヤツは今、ビームを跳ね返した!」

 別の角度から観察していたガンダムとGファイターの前で、ビグ・ザムはサラミスに突っ込んでいく。



360 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:52:35.10 ID:OeBrETBe0


ドズル「大型メガ粒子砲、撃てーっ!!」

 ドギュゥーッ!

 ズドッ、ボボボボッ!

 ビグ・ザムの口にも見える最前の砲門から、
 極太のビームが発射されてサラミスをはじめ多くの艦隊を粉砕した。

すずか「あ、圧倒的じゃないですか……!」

アレイ「……チッ!」

 グンッ……!

 Gファイターがガンダムの前に躍り出て、ビグ・ザムへ突進していく。

すずか「アレイさん、ダメです!」

アレイ「たった一機のモビルスーツのために、やられてたまるか!」

 強い激情にすずかも前に出て行った。
 あの敵は強大な力を秘めている。
 Gファイター一機では相手にならないとすずかは察知していた。

ドズル「ハァッハッハッハ!」

 高笑いするが、すぐに顔を引き締める。

ドズル「ビグ・ザムは主力艦隊に突撃する。戦力をズタズタにされすぎた。
    味方の撤退が完了するまで威力を見せつけてやるぞ!」

マイヤー「はっ!」

ドズル「フフフ、まさかこうも簡単にソロモンが陥ちることになるとはな」

ラコック「閣下! 後方から急速接近!」

 Gファイターがビームキャノンを撃ちながら迫る。

アレイ「ジオンが!」

 ビキューン!

 通常のビームライフルよりも威力の高いビームキャノンも、
 ビグ・ザムのIフィールド
 ――ミノフスキー粒子に電磁波を流すことで生じるメガ粒子を偏光する磁場――に跳ね返されてしまう。

ドズル「えぇい、対空防御!」

 ビグ・ザムの脚の爪が放出され、Gファイターを迎撃する。

アレイ「くっ――!」

 ギュンッ――

 辛うじて捻らせた機首を爪が掠め、アレイはミサイルを放つ。

ドズル「上昇しろ!」

マイヤー「はっ!」

 上昇したビグ・ザムを誘導ミサイルが追うが、ドズルがビームで狙撃した。

ドズル「ハッハッハッ! 舐めるなよ!
    このビグザムには長距離ビームなどどうということはない!
    道連れに一人でも多く地獄に引きずり込んでやるわ!」

アレイ「――ッ!」

 慣性飛行のGファイターにビグ・ザムのビーム砲が向く。

すずか「アレイさん!」

 バパァッ!



361 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:53:05.18 ID:OeBrETBe0


 間に滑り込んだガンダムのシールドでビグ・ザムのビームが遮られる。

アレイ「す、すまない、月村……」

 死の一瞬で力を放逐してしまい、Gファイターは動きが鈍る。

ドズル「ガンダムか! 貴様等がガルマをやった白い奴か!」

 ググォッ……!

 ビグ・ザムがガンダムを狙って機動する。

ドズル「ガルマだけではない! ガイアも! マッシュも、オルテガも!
    ワシの部下を……! 貴様がぁーっ!」

すずか「強い意志がぶつかってくる!? くぅっ!」

 ガンダムはよく避けた。
 その過程でGファイターからも引き剥がし、すずかはビグ・ザムを連れてソロモンまで飛んだ。

ドズル「貴様を落とせば、いや、落とさねばガルマが報われぬどころか、ジオンの存亡に関わる!
    ラコック! マイヤー! 絶対に奴を逃すな!」

ラコック「はっ!」

マイヤー「了解!」

すずか「ついてきてる!」

ドズル「喰らえぇーい!」

すずか「……今!」

 ビグ・ザムの攻撃の直前、すずかは突如反転、停止した。

ドズル「なにっ!?」

 相対速度を計算しつくしたガンダムはビグ・ザムと交錯の瞬間、ビームライフルで砲門を狙った。

マイヤー「やらせるかっ!」

 グンッ――!

 操縦がドズル一人であったならビグ・ザムは暴発して散っていたはずだ。
 ビームは急速転進したビグ・ザムの右足を撃っただけだった。

ドズル「えぇいっ! なんという反応だ!」

 ニュータイプ――ソロモンでも騒ぎ始めた単語がドズルによぎる。

ドズル「えぇい! 人間は人間だ! 連中がニュータイプだから蹂躙されるという話は聞けんぞ!」

 怒りはもっともである。
 ドズルは指揮官である以上に戦士であった。
 過去には一度だけ式典用に作られた専用モビルスーツに乗って戦場に躍り出たこともある。
 〝ルウム戦役〟のことである。
 幕僚達は慌てふためいたが、ザビ家の一族といえども同じ戦場に出てくれる
 ――その共感が将兵の信頼を絶大的に勝ち取った。

ドズル「人間が戦争の道具のようにうまくやれる訳はない!
    ニュータイプが実在するなどという戯言も聞けん!
    戦争を決めるのは数と兵器の質だ!
    それの為にソロモンの一族は苦しい生活に耐えてきたのだ!」

 思い起こす。ソロモンでの日々。
 ドズルでさえ、ズム・シティにいた頃に比べれば、よほど質素な生活をしていた。
 合成肉はモビルスーツパイロットに全て与えてしまった。
 天然物は女子供のものだ。
 ドズルは常に腹をすかせていた。
 しかし、椅子にふんぞり返るだけの一日は、食欲が湧かない。

 ビグ・ザムの試験日だけ、飯を食うことができた。

ドズル「ガンダムではなく、たった一人のパイロットのために、ビグ・ザムがやられるというのか!
    パイロットなぞ、パイロットスーツに小便を撒き散らすのが仕事だ!」

 ガンダムは背中を見せていた。
 それを覆うとしたが、マイヤーは機体を転回させていた。

ドズル「どうしたか!?」

ラコック「敵がいます! スーパーロボット!」

 瞬時にビグ・ザムが左に移動する。
 元いた場所を巨大な手斧が通り過ぎる。



362 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:54:22.78 ID:OeBrETBe0


夕映「ゲッタァァァァァァビィィィィィィム!!」

マイヤー「よ、避けっ――」

ドズル「遅いわ馬鹿者ォッ!」

 操縦権を奪ったドズルはIフィールドで無力化できぬゲッタービームに正面をとり、
 大型メガ粒子砲で迎え撃った。

 ギュゴォォォォォォォッ!!

 毛色の違うビームは衝撃波で干渉し、相殺される。

夕映「これ以上、好きにはやらせないですよ!」

 ジャッ!

 手に戻ったトマホークを構えてゲッタードラゴンがビグ・ザムに体当たりしてくる。

夕映「ゲッタートマホーク!」

ドズル「くおぉっ!」

 ぶんっ!

 急上昇したビグ・ザムの下で斧が空振りし、ビグ・ザムの爪が赤い肩を穿つ!

夕映「くっ!」

のどか「ゆえっ!」

夕映「平気ですよ、のどか!」

 ゲッタードラゴンはすぐに姿勢を立て直して、ビグ・ザムに直進する。

ドズル「えぇい、近づけさせるな!」

夕映「ドマホゥゥク・ブゥメランッ!」

 ビシュッ!

 かろうじて避けることに成功する。
 が、ビグ・ザムのセンサーがまた警告する。

氷柱「いきなさい! スラッシュリッパー!」

 ギュシンッ!

海晴「オクスタンランチャー、Bモードっ!」

 ズドォンッ!

 またいつの間にか接近していた敵機の実体兵器に曝される。

ドズル「ぬうぅぅ! やられはせんぞーっ!」

 バシューッ!

 全砲門を覚醒させて弾丸、刃を焼き尽くす。

氷柱「いくわよ」

 スプリットミサイルを放ち、自身もビームランチャーに熱を持たせて突っ込む。

氷柱「タァァーッ!」

 ドズルは息を呑んだ。
 ビグ・ザムのビームの雨を敵のゲシュペンストが華麗にすり抜けながらやってくる。

 だが、氷柱の刃がビグ・ザムに届くことはなかった。

 一本のヒートサーベルがビームランチャーの熱刃を受け止めたからだ。

「はぁぁぁっ!」

 弾き返されて、氷柱は割り込んだ敵がリック・ドムだと気付いた。



363 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:56:19.71 ID:OeBrETBe0


氷柱「このっ!」

 ビューン……!

 ビームを撃つが、リック・ドムは的確に避けて近づいてくる。

「落としてみせる!」

氷柱「は、速いっ!」

海晴「えーいっ!」

 ガシュンッ!

 鍔迫り合いはゲシュペンストに取って代わったヴァイスリッターが受ける。
 ――が、高機動を得るために馬力を捨てた薄羽の白天使はじりじりと押される。

氷柱「このっ!」

「むっ!」

 反撃しようと身構えた氷柱を察して、リック・ドムは離れて、ビグ・ザムに張り付く。

「ドズル閣下! ご無事でありますか!?」

 接触回線にドズルは聞き覚えがあった。

ドズル「ラカン・ダカラン伍長だな!」

ラカン「はっ!」

 リック・ドムのパイロット、ラカン・ダカランは中期卒輩では格闘技能に長けた男だった。

ドズル「撤退命令が出ていたはずだぞ!」

ラカン「お言葉ですが! 閣下をお守りせずして自分だけが逃げることは出来ません!」

 階級が伍長なのは、実直な性格と勝ちすぎる胆力で上官と衝突してしまうことが原因であり、
 それはドズルにとっては好感に値する性格であった。



364 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:56:55.13 ID:OeBrETBe0


ドズル「えぇい、馬鹿者めが!」

ラカン「馬鹿は自分だけではありません!」

 リック・ドムは既に携行していた武器をほとんど捨てていて、ヒートサーベル一本になっている。
 それでもラカン・ダカランには覇気があった。
 ラカンの言葉であたりを注意すると、何機かの味方機がゲッタードラゴンにとりついていた。

 その先頭は新モビルスーツ・ゲルググに乗るアナベル・ガトー少尉である。

ガトー「連邦が如きに!」

 ビュオンッ!

 ビームライフルと共に新開発されたビームナギナタを振るってゲッタードラゴンへ飛び込む。

夕映「ゲッタートマホーク!」

 ガツッ!

 ゲッター線とメガ粒子が相殺して、弾け飛ぶ。
 互いに得物を失った時、モビルスーツのほうが動きが速いのだ。

ガトー「撃ち貫いてみせる!」

 ビームライフルを抜いて連射する。
 ゲッター合金の装甲は貫けるものではないが、頭部に執拗にダメージを与え続けた。

夕映「ゲッターはまだ! こんなものでは!」

ガトー「悪魔の兵器が!」

 ガギィィィッ!

 ゲッタードラゴンの手首の鋸を左腕で受け止めたゲルググは手榴弾を投げつける。

 ドゴォンッ!

のどか「きゃぁぁっ!」

ハルナ「やってくれるじゃないの!」

ガトー<信念>「おぉぉぉっ!」

夕映<熱血>「でぁぁぁっ!」

 ガガガガッ!!

 拾い直したトマホークとビームナギナタが再び閃光を放つ。


ドズル「馬鹿者が! 馬鹿者どもめが!」

 熱く怒鳴り散らすドズル・ザビは、昂揚を抑え切れなかった。

 ジオン軍のソロモン撤退作戦は、まだ始まったばかりである。

 白い光芒が戦列に再起してくるのを、ドズルは感じていた。


 第三十二話 恐怖! 機動ビグ・ザム! Bパート 完



365 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/08(木) 22:59:04.17 ID:OeBrETBe0


 ファーストでは、ドズルが一番好きです。
 次点でカイとミハルのコンビ。

 ドズルはかっこいい。
 ビグ・ザムから出るときにライフル持った時「嘘ぉ!」って思いました。

 なんていうか、ランバ・ラルの最後よりも印象的になります。

 ラルばっかりがよく持ち上がりますが、
 ファーストって、話が進むに連れてだんだん死に方が印象的になっていくんですよね。

 最初がデニムとジーンで、ガルマ、ラルといって、
 ミハル、トクワン、ドズル、マ・クベといって、ララァになります。

 死に方じたいは地味でも、シャアがぽつりと言うことで印象深くなる。
 これも富野節の一つですね。

 そういえば、ラコックとマイヤーはガンダム本編では
 ビグ・ザムのパイロットではなく、単なるドズルの副官的ポジションです。
 ただ、ドズルを除いて二人いるビグ・ザムのパイロットには名前がついてなかったので、
 この二人の名前を借りました。


 とことで!




366 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/09(金) 16:44:18.37 ID:Wgz8Coq5o

更新間隔が短くなってきたな
いい調子だ乙



367 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/10(土) 13:29:51.88 ID:YC+FyatAO

5対1とかドズル胸熱

夕映に一票



368 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/10(土) 13:46:40.27 ID:oS6OtmPco

ビグ・ザムってあのフォルムにロマンを感じる





369 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:32:03.59 ID:zpwqrQke0


 第三十二話 Cパート


すずか「あれが……ドズル・ザビ……」

 確証はなかったが、すずかはそう感じていた。

 ビグ・ザムはソロモンの周辺を飛びながらゲッタードラゴンの攻撃を避け、反撃している。
 その影から、圧倒的な〝気〟を感じる。
 すずかは急ぐべきだと判断した。
 あの戦場を支配しつつある〝気〟は敵を思うがままに呼び込んでいる。

ドズル<気合>「撃てーッ!!」

 ズドドォォッ――……!

 ビグ・ザムの全砲門が幾多のモビルスーツと戦艦を爆発させた。

ガトー「ヅォリャァァーッ!」

ラカン「ゥオオオッ!」

 ザザシュッ!

 取り巻くジオン兵たちも意気が上がっているのか、ビグ・ザムから逃れた連邦兵を落としていく。

すずか「アレイさん、大丈夫ですか!?」

 傍らのGファイターに声をかける。
 Gファイターの中の氷坂アレイはやっと自分を取り戻したようだった。

アレイ「くっ……あいつのバリアーはビームにしか効果がないようだ……」

 この指摘にすずかは驚嘆した。
 アレイが実戦に出たのは二回目
 ――それでビグ・ザムの攻撃を避けるだけではなく、装備の分析までしていたのだ。
 彼女は始めからすずかをフォローするつもりで出撃しているのだから、当然である。
 それを実行し続けられるかが、問題なのだ。

アレイ「奴の懐中に飛び込めば、やれるかもしれない」

 Gファイターがガンダムの下に潜り込んだ。
 指示燈を受けてその上に乗ると、Gファイターが発進する。

すずか「あ、アレイさん、どうするんです!?」

アレイ「言っただろ、奴の懐中で直接攻撃する!」

 彼女の強い語気は静かな声音からもはっきり伝わった。

すずか「そんな無茶な! Gファイターじゃもたないですよ!」

アレイ「だが、誰かがあいつを止めないと――見ろ!」

 ビュシィィ!

 ゲッタードラゴンの右腕にメガ粒子砲が直撃し、丸く膨れて爆発した。

のどか「きゃぁぁぁっ!」

ハルナ「マズイ……!」

 合体が解除され、三機のゲットマシンが退避を始める。

ドズル「見たか! スーパーロボットといえども、ビグ・ザムの敵ではない! 者ども、押し返せぃ!」

ラカン「ははっ!」

ガトー「承知!」

 ギュオォー……!

 勢いに乗ったジオン軍が手当たり次第に味方機に攻勢を仕掛ける。



370 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:32:57.38 ID:zpwqrQke0


氷柱「このぉぉ!」

 ズギュン、ギュンッ――!

 ジオン軍はもはや不利ではなかった。
 ビームランチャーの命中率が如実に物語っており、
 ムキになりやすい氷柱は武器を取捨するタイミングを完全に見失っていた。

ガトー「遅いっ!」

氷柱「当たれぇ!」

 精神的に不器用な氷柱の射撃をガトーは読みきり、ゲシュペンストにゲルググの強固な肩をぶつけた!

氷柱「あぁぁっ!」

ガトー「何と他愛もない。鎧袖一触とはこのことか!」

 ドォッ!

 蹴りが飛び出し、ゲシュペンストの挙動を押さえつけると、ビームナギナタを手に再度突っ込む!

ガトー「沈めぇーっ!」

 ズバァッ!

 ゲシュペンストの頭部と左肩がビームナギナタの餌食になった。
 本来ならば、胴まで真っ二つになるはずだが、それを為しえなかったのはガトーの力量ではない。

ガトー「また貴様か! 連邦の魔女めが!」

 高町なのはが、氷柱のいるコクピットブロックを護っていた。
 ビーム刃を旋回させるが、あえなく回避される。

なのは「私が魔女なら、シャナちゃんだって!」

ガトー「大佐を貴様のような俗塵と同等にするか!!」

 ガガガガッ!

 手首に収納されたバルカンを撃つが、全て魔法障壁に逸らされる。

ガトー「貴様を野放しにしてはならぬ!」

なのは「この新型……速くて軽い!」

 ゲルググの推進力はリック・ドムの比ではなかった。
 自在に動く開放的なスラスターが接近戦での運動性を格段に向上させているのだ。

レイジングハート『Divine buster.』

なのは「いけぇーっ!」

 ドシューッ!

ガトー「舐めるなァ!」

 ビシュゥゥッ!

 魔法砲撃がゲルググの掲げたシールドで遮られる。
 更にシールドの手が外向きに払われ、なのはを叩いた!

なのは「きゃぁぁっ!」

すずか「なのはちゃん!」

アレイ「集中しろ、月村!」



371 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:34:26.01 ID:zpwqrQke0


 防御障壁に丸く包まれながら宇宙を彷徨う友達への悲鳴を叱咤され、
 すずかは操縦桿を強く握りなおした。

アレイ「アタシたちの狙いはあいつだけだ、それ以外には構うな! 私情は捨てろ! 戦争だ、これが!」

 ガンダムを乗せたGファイターはビグ・ザムの真下を取って急上昇した。

ドズル「性懲りもなくやってきたか!」

 ビッ! ビグ・ザムの爪が襲い掛かる!

 が、今度はガンダムが上に乗っている!

すずか「やっ!」

 シュボッ!

 ビームライフルが爪を掻き消し、Gファイターはビグ・ザムに接近していく!

アレイ「ありったけを喰らえ!」

 シュドドォッ――!

 機首が折れてミサイルを放出する。

マイヤー「やらせるか!」

 グォッ……!

 ビグ・ザムが回避する。

アレイ「いけっ、月村!」

すずか「はい!」

 ガンダムが跳躍し、その股下を縫ってビームキャノンが飛ぶ。

 ビームはIフィールドに拡散されるが、磁場が乱れてビグ・ザムの機内が一瞬不明瞭になる。

ドズル「えぇい、近づけるな!」

ラコック「やっています!」

 ババッ、ババババッ!

 半数以上の砲門がガンダムに向けられて、ビームの雨を降らす。

すずか「わぁー!」

 閃光に気が触れたような声を出し、すずかは突っ込んでいく。

 通常、モビルスーツからのビームは見えない。
 センサーが感知し得ないものはモニタに映らないからだ。
 敵機が銃口から発するロックオンのレーザー光を感知して、警告を鳴らすのである。

 しかし、すずかの網膜には確かに、これからやってくるビームが光芒を描いて鮮明であった。

 右に、左に、瞬時に制動して、ビグ・ザムのビームを避ける。

 一発、直撃するが、シールドで支えた。
 半秒後にまたもう一発、二発。

 すずかはシールドを捨てた。幾多の経験から、これが限界だと彼女は知っている。

ドズル「落ちんのか! 奴がニュータイプだというのか!」

 バババババッ!

 ガンダムがバルカンを撃つ。
 Iフィールドの影響を受けずにビグ・ザムへ流れていった。

すずか「当たるっ!」



372 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:35:14.04 ID:zpwqrQke0


ドズル<必中>「ぬぅぅぅぅぅ!」

 ぐぉっ!

 ビグ・ザムの脚がガンダムを蹴り飛ばそうとする。

すずか<閃き>「そんなもの!」

 ズシャッ!

 ビームサーベルで切り落とす。
 代わりに手首のパワーが落ちるが、すずかはペダルを全開に踏み込んだ。

すずか<熱血>「うわぁぁーっ!」

 最後に感じたビームを掻い潜って、
 すずかは最も〝気〟が集中しているビグ・ザムのコクピット部にビームサーベルを突き刺した!

ドズル<鉄壁>「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

すずか「――ッ!!?」

 ビグ・ザムに侵入したビームサーベルが黒い霧に覆われて動かなくなるのを、
 すずかのイメージの中で鮮烈に描かれた。
 ぐぐっ、と固定されたメガ粒子の刃が〝しなり〟、
 ガンダムの破損したマニピュレーターに過大な負荷を与えて、ゴギッ! と不快な音があがった。

 『パパをいじめる!』

すずか「な、なに!?」

 金切り声が耳朶を打ち、すずかの意識がガンダムの操縦から離れた。

ドズル「ミネバ!」

 『パパぁ!』

すずか「う、うぁっ!」

 宇宙を飛翔する思惟がすずかを通り過ぎ、ガンダムの機体が金色の磁界に張られて返されてしまった!

ドズル「ミネバが! 俺をミネバが助けてくれたのか!!」

 声はもう聞こえなかった。
 しかし、ドズルは一〇〇万力を得たような肉体の高潮を確信していた。

 振り仰いでいた視線をビグ・ザムのコクピット内に戻すと、
 コンソール・パネルの前でぐったりとしている部下を発見した。

ドズル「ラコック! マイヤー! どうしたか!!」

 返事はおろか、パイロットスーツの背中が揺れることさえなかった。
 ガンダム対ビグ・ザムの急激過ぎる加速が、スーツの吸収力を超え、
 人間の体の臨界まで達してしまったのだ。

ドズル「俺はお前達と時同じくして死ななかったのは、ミネバがいたからなのか!」

 赤子一人の力では、ドズル一人を助けるのが精一杯だったのか。
 頭の悪いドズルには何も悟れない。

 解るのは、ここでガンダムを倒せとミネバが教えてくれたことだけだ。

ドズル「うおぉぉぉ! やらせはせん! やらせはせんぞーっ!!」

 操縦桿を強く握りしめ、ドズル・ザビはビグ・ザムを機動させた。



373 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:36:09.10 ID:zpwqrQke0


すずか「あ、赤ちゃん……!? 私を排除しようとしたの!?」

 覚醒する自我を鋭敏に感じ取って、
 すずかはガンダムの体勢を立て直そうとする――が、ガンダムは動かなかった。

すずか「あ、あぁっ! 関節の磁界が狂ってる! ミノフスキー粒子が反発しあっているんだ!」

 それはビグ・ザムからガンダムをはじき出したIフィールドが原因なのだが、
 究明できても、機体が動かないことに変わりはない。

 どれだけ揺すっても動かない。
 代わって、ビグ・ザムがせり上がっていた。

すずか「く、来る! う、動いて、ガンダム!」

ドズル「やはりモクバが! そのモビルスーツこそが、ジオン百年を滅ぼすというのか!」

 バパァッ!

 大型メガ粒子砲は潰されてしまった。
 四つにまで減らされたビーム砲を動かないガンダムに放つ。

ドズル「ぬぅぅ! 照準がずれたか! えぇい、どうだ!」

 ビシューッ!

 何度か放つうちに、少しずつガンダムに近づく。

 ビシッ!

 一発がガンダムの脚を掠めた。

ドズル「これで終わりだ!」

 とどめのビームが放たれる!

アレイ「まだァァァァァァァァッ!!」

 ゴォォォーッ!

 ガンダムの背後からGファイターが乗り出し、ビームキャノンを撃った!

ドズル「ぬおぉ!」

 ビシィィッ!

 放たれたビグ・ザムのビームと威力を殺し合い、強いミノフスキー粒子の干渉が起こり、強烈な磁場が形成された。

 グオォッ……!

すずか「が、ガンダム……動けるの!?」

 アレイとドズルのビーム相殺が再びガンダムの関節を蘇らせのだ。



374 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:36:57.21 ID:zpwqrQke0


ドズル「やらせはせんぞーっ!」

 ビシューッ!

 再度、ビグ・ザムのビームがガンダムを襲う!

アレイ「お前らジオンに――!」

 バシュゥゥッ!

すずか「アレイさん!」

 ガンダムの前に身を出したGファイターのAパーツにビームが直撃する!

アレイ<熱血>「失せろ! 道連れになどさせるかぁぁ!」

 シュバッ!

 螺旋軌道を描き、GファイターからAパーツが射出された!

ドズル「な、なにぃ!?」

 パイロットを二人失い、機能が半減していたビグ・ザムには避けられなかった。

 ズガァァァァッ!!

アレイ「まだだ! まだぁーっ!!」

 ガガガガッ! シュドドォッ……!

 ビグ・ザムに突っ込んだAパーツに、
 Bパーツから露出したコア・ファイターのバルカンとミサイルをぶつける。

 バツッ! ブッ――

 視界に砂嵐が入るのは、カメラの故障のはずだと、アレイの中の愚かな部分が忘れさせた。

ドズル「お、おぉぉぉぉぉっ!」

アレイ「消えろぉぉぉぉぉぉぉっ!」

 遂に、Aパーツの火線に火が点いた。

 ドゴォォォォォォッ!!

 ビグ・ザムの下半分が大きく膨れ上がり、Aパーツの爆発に触れて――

アレイ「……なんだ…………?」

 おかしかった。
 ビグ・ザムは赤く熱を発するだけで、爆発しなかった。
 Aパーツだけでは奴を爆破させるには至らなかったのか
 ――ならばもう一発ミサイルを浴びせてやれば……

アレイ「ウッ……!」

 網膜に訴えかける虹色の光りがアレイの目を閉じさせた。
 同時に、カンカンカンカン! と、鉄同士がぶつかり合う音をコア・ファイター内に響いた。

すずか「アレイさん! 逃げてぇぇ!」

 叫び声が濃いミノフスキー粒子でノイズとなってわからなかった。



375 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:37:28.16 ID:zpwqrQke0


 すずかには、このビグ・ザムのおかしさの正体がわかっている。
 暴発寸前で静止しているビグ・ザムの機体に仁王立ちになっている人影がある。

ドズル「やられはせん! やられはせんぞ! 貴様等如きにやられはせん!」

 ノーマルスーツ一つ、ライフル一つで
 ガンダムとコア・ファイターに立ち向かおうとする人物が全身から黒い霧を発していた。

すずか「だ、だめぇ!」

 霧がコア・ファイターへ向かっていく。
 宇宙で霧が形を示すはずがない。
 機体から出る爆煙とか、そういうもののはずだろう。

 しかし、霧は人物から発せられているようにしか、すずかには見えない。

すずか「逃げて! 来ちゃだめぇぇ!」

 必死の叫びの前で、霧が一つの形となってすずかの視野を支配した。

 物の怪の形があるとすれば、このような形であろうと思える。
 ガンダムを、Gファイターを見据えるような黒い霧の形に双眼が輝いて、拡散したのだ。

 すずかの全身は震えていた。

 双眼が怨念をもって自分を見たと感じたのだ。

すずか「だ、だって……! 私たちは……あぁっ! みんな、みんななのに!」

ドズル「やらせはせん! やらせはせん!」

 ノーマルスーツが跳躍した。
 コア・ファイターの上に回りこむと、再びライフルを連射する。

アレイ「こ、こいつ!」

 ビッ! ビキッ!

 弾丸がコア・ファイターのパイロットが望めるガラス面にヒビを入れていった。

アレイ「いい加減にしろ!」

 コア・ファイターを直進させると、そのノーマルスーツを機首にめりこませた。

 接触回線がその人物の声を拾った。

 
ドズル『やらせはせん! やらせはせん!
    ジオンの栄光! この俺のプライド! その全てを懸けて! やらせはせんぞーっ!』


 それが、ドズル・ザビの最期の喚きであった。
 待っていたかのように真下のビグ・ザムが爆発し、炎と風に飲み込まれて消えていった。



376 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:38:09.51 ID:zpwqrQke0



アレイ「あ、あいつは、あいつが、ドズル・ザビだったのか……?」

 父親の仇を倒した手に実感はなかった。
 ドズルが戦場に出たルウム戦役で、彼女の父親は戦死したのだ。

アレイ「そうか……」

 自嘲気味に笑みをこぼす。
 なるほど、復讐など、やってみたところで何の役にも立たない。
 嘘ばかりのドラマも、真実を教えることがあるのだ。

アレイ「うっ……!」

 目に痛みが走った気がした。
 違う。これは痛みじゃない。
 ノイズだ。目のノイズ。砂嵐。

アレイ「そ、そうか……!」

 コア・ファイターのコクピットは透明なガラス面だ。
 ガンダリウム合金に護られたGファイターだから、アレイは戦場に出ることができた。
 アレイの目は本来は人類に無害な放射線の影響を強く受けてしまう。

 手を伸ばしてシャッターのスイッチを探す。
 指先が触れた瞬間だった――ビグ・ザムの破片がヒビの入ったコクピットハッチに当たった。

 パリン――

 それは、ガラスの割れる音だけではなかった。


アレイ「あ、あぁっ……くっ……」


 暗い……これが、戦場の闇なのか……



 第三十二話 恐怖! 機動ビグ・ザム! 完



377 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 22:39:15.38 ID:zpwqrQke0


 
 みは姉はラカンと戦ってました。
 もしかしたらみは姉(19)のほうが年上かもしれない。

 ドズル大好きですが、別にジオン好きというワケではないです。
 強いて言えばみんな大好きです。

 だからAGEも大好きです。

 UE側の作画に気合入りすぎてても。
 ラーガンのカットインがなくても。
 ディケがカツ以下かもしれなくても。
 タイタスが乗り捨てでも!

 当SSでは女の子ばっかり活躍しているので、
 その分、敵勢力の野郎どもがこれでもかと張り切ってくれるんです。
 
 まあ、張り切るほど悲惨な目に合うだけかもしれないんですが……

 次回も、そんな話。

  次回『陽光! ファースト・コンタクト』

 サイド6で君を待っている――


 とことで!




378 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/13(火) 22:25:10.80 ID:kXg97uUno


アレイは暗闇を彷徨うのか



379 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/17(土) 23:57:49.46 ID:q5CQeuQAO

バーニィを助けてやってくれ






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タイトル:
NO:5876 [ 2012/03/14 00:16 ] [ 編集 ]

けいおんのキャラ一人も出てないw

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