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律「終末の過ごし方」#11 【非日常系】


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律「終末の過ごし方」#index


558 名前:にゃんこ:2011/09/17(土) 21:43:52.43 ID:PrE/G5mJ0

「胸に残る音楽をお前らに。本当の意味でも、ある意味でも、とにかく名曲をお前らに。
 今日もラジオ『DEATH DEVIL』の時間がやって来た。
 この番組も、今回入れて残り二回。
 日曜休みだから、土曜が最後の放送って事になるわね。

 勿論、お付き合いするのは、いつもの通り、このアタシ、クリスティーナ。
 終末まではお前らと一緒!
 後二回、ラストまで突っ走ってくから、お前らも最後までお付き合いヨロシク!

 ……いやあ、にしても、思えば遠くに来たもんだ。
 飽きたら早々に打ち切ってもらおうと思ってたのは内緒の話だけど、
 これまたやってみると中々コクがあって、濃厚なのに、不思議と飽きが来なかった。
 って、料理番組の感想みたいだけど、でも本当にそんな感じ。
 一ヵ月半って短い間だったけど、この番組もリスナーのお前らもアタシの宝物。
 残り二回の放送が心底名残惜しいわよ。

 でも、勘違いしないでよね、お前ら。
 終わるのはラジオ『DEATH DEVIL』の終末記念企画だからさ。
 来週からはラジオ『DEATH DEVIL』の終末後記念企画が始まる予定なのよ。
 超絶パワーアップ予定でさ。
 そんなわけで、来週月曜から新装開店なんで、引き続き本番組をヨロシク。

 あ、ディレクターがそんなの聞いてないって顔してる。
 そりゃそうよね、言ったの今が初めてだもん。
 いいじゃんか、ディレクター。
 言ったもん勝ちだし、まだこの番組続けたいじゃん?
 リスナーの皆も望んでると思うし、誰も損しない素敵企画だと思うけど?

 ……お。
 苦笑いしてるけど、ディレクターからオーケーサインが出たわよ、お前ら。
 おっし、これで本決まり。
 ラジオ『DEATH DEVIL』破界篇は次回で終了。
 来週からラジオ『DEATH DEVIL』再世篇にパワーアップして再開予定って事で。
 ちなみに破界篇の『かい』は世界の『界』で、
 再世篇の『せい』は世界の『世』って書くからお前らもよく覚えといてね。

 何でかって?
 いや、あんのよ、そういうゲームが。
 深い意味は無いから、それ以上はお前らも気にしないで。



559 名前:にゃんこ:2011/09/17(土) 21:44:42.79 ID:PrE/G5mJ0

 分かってるって。
 別に終末の事を忘れてるわけじゃないよ。
 日曜日の陽が落ちる前には、終末が……、世界の終わりがやって来る。
 誰も望んじゃいないけど、とにかく足音響かせて、まっしぐらに終わりがやって来る。

 でもさ、未来の事は誰にも分かんないじゃない?
 九分九厘世界が終わるらしいけど、それは確定した未来じゃない。
 『未来』ってのは、『今』になるまで永久に『未来』なんだから、
 それがどうなるか不安に推論してたって無意味でしょ?
 日曜日に世界がどうなるかは、結局は日曜になってみるまで分からない。
 だったら、別に来週の事を予定してても、悪くないんじゃない?
 馬鹿みたいだって自分でも分かっちゃいるけどさ。

 え?
 どしたの、ディレクター?
 九分九厘じゃ全然決まってないも同然だって?
 九分九厘……、あ、ホントだ。
 九分九厘じゃ一割にもなってないじゃん。
 こりゃ失礼。

 いや、アタシの友達がさ、99%の事を九分九厘って言うのよ。
 ついその口癖が感染しちゃったみたいね。
 馬鹿みたいと言うか、ホントに馬鹿で申し訳ない。
 正確には九割九分九厘終末がやって来るって話だけど、
 それにしたって確定してないのは確かなんだし、確率の話をしててもしょうがないわよ。
 ……確率を思いっ切り間違えてたアタシが言うのもなんだけどさ。
 あははっ、まあ、勘弁してちょうだい。

 話はちょっと変わるけど、お前らパンドラの箱の話って知ってる?
 有名な話だから知らない人は少ないと思うけど、
 その箱を開けたら、世界にあらゆる災厄が飛び出して来たって話ね。
 箱を開けたら、艱難辛苦、病別離苦、そんな感じの四苦八苦が世界に蔓延しちゃった。
 四苦八苦は仏教用語だけど、それは今は置いといて。

 それだけ災厄が一気に飛び出たけど、
 一つだけパンドラの箱の中に残ってた物があったらしいのよ。
 それは『希望』……、なーんて言い古された話をしたいわけじゃない。
 箱の中に残ってた物が何なのか色んな説があるみたいだけど、
 一説によると残ってた物は『予知能力』なんだって説もあるらしいのよね。

 確かに人が『予知能力』なんて手に入れちゃったら、最高の災厄だと思わない?
 先の事が分かんないから、人生ってやつは面白いし、人は生きていけるんでしょ?
 馬鹿みたいって言うか馬鹿だけど、
 アタシ達は先の事が分かんないから、どうにかながらでも生きて来られた。
 終末が近付いてても、馬鹿話どころか来ないはずの来週の話までできる。
 未来の事が分からないから……、そういう事ができるのよね。

 人間って、そういう馬鹿な生き物でいいんじゃないかって、アタシは思うのよ。
 だから、思う存分、未来の話をしようじゃない?
 例え存在しない未来でも、『現在』を生きられるならそれもアリでしょ?

 ……しまった。
 やけに真面目な話になってしまった。
 ひょうきんクリスティーナと呼ばれるくらい、
 ひょうきんに定評のあるアタシとした事が……。

 ま、アタシはそう思うってだけの個人的な意見よ。
 お前らはお前らの思うように生きてくれれば、それでオーケー。
 自由を求めて、自由に生きてくのがロックってやつだしね。

 さってと、そろそろ今日の一曲目といきますか。
 今日の一曲目も終末っぽいって言ったら、終末っぽいのか?
 歌詞を見る限り、内容が全然理解できないけど、
 もしかしたら終末の曲なのかもしれない……と思わなくもない曲。

 そんな変わり種の今日の一曲目、愛知県のジャガー・ニャンピョウのリクエストで、
 サイキックラバーの『いつも手の中に』――」



560 名前:にゃんこ:2011/09/17(土) 21:45:59.77 ID:PrE/G5mJ0







「りっちゃんが着たがってたあの高校の制服、お友達から借りられたのー」

それなりの楽器の練習の後、お茶の準備をしながら、
いつもと変わらないほんわかとした柔らかい表情でムギが微笑んだ。

「えっ? マジで? ホントに?」

少し大袈裟に私はムギに尋ねてみる。
勿論、疑ってるわけじゃない。
確かあの高校の制服の話をしたのは、確か『終末宣言』前の約一ヵ月半前の事だ。
言い出しっぺの私ですら半分忘れ掛けてたのに、
ムギがその約束をずっと覚えてくれれたって事に私は驚いていた。

それもただの一ヵ月半じゃない。
世界の終わりまで残り少ない時間の中で、
ムギは私との約束を果たそうとしてくれてたんだ。

「ありがとな、ムギ!」

申し訳ないんだか、嬉しいんだか、
何とも言えない気持ちになって、私はお茶の準備をするムギに後ろから軽く抱き着いた。

「ちょっと……、危ないよ、りっちゃん」

叱るような口振りだったけど、口の端を笑顔にしながらムギが言った。
お盆にお茶を乗せたムギに抱き着くのが危ないのは分かってる。
でも、抱き着きたかったんだ。
それくらい私の胸は色んな気持ちでいっぱいだった。
ムギはいい子だな、本当に……。

「おい律……、危ないぞ?」

「わーってるって、み……」

その言葉に返事しようと顔を向けた私は、一瞬言葉を失った。
そこには嫉妬に燃えてるってほどじゃないけど、若干不機嫌そうな顔の澪が居たからだ。
昨日友達以上恋人未満になっておいて、
よりにもよってそいつの前で他の子に抱き着くのは、確かにあんまり褒められた事じゃないよな……。
別の意味でも危なかったか……。

「ごめんごめん、ちょっと危なかったな」

「気を付けろよ、律」

「ああ、分かってるって」

言いながら私がムギから離れた直後くらいに、
澪が不機嫌そうな顔から軽い苦笑に表情を変えていた。
少しは嫌だったんだろうけど、不機嫌な表情は半分演技だったらしい。
ムギ相手にやった事だし、澪自身もそんなに心が狭い奴ってわけじゃない。
軽い警告の意味で不機嫌そうな演技をしたんだろう。
澪自身が嫌だからと言うより、
将来的に深い仲になる誰かの前でそういう事をするなって事を、私に教えてくれたみたいだ。

やれやれ。
澪は私の母さんかよ……。
そう思わなくもないけど、私を心配してやってくれた事だし、悪い気はしなかった。
まあ、将来的にそんな深い仲になる予定があるのは、今は澪しかいないんだけどな。

「でも、あの高校の制服が着られるのは嬉しいよな。
 ありがとう、ムギ」

澪がムギに軽く微笑み掛ける。
「いえいえ」とお盆に置いたお茶をそれぞれの机に置きながら、ムギが会釈した。
その二人の様子はとても仲の良い友達そのもので、
澪がムギに対して嫉妬してるって事もやっぱりなさそうだ。
心なしかムギが私達を見る目も、いつもより生温かく見える。
ひょっとして……、私と澪の関係、気付かれてる……?
いや、別に隠す事じゃないんだけどさ……。



561 名前:にゃんこ:2011/09/17(土) 21:47:39.84 ID:PrE/G5mJ0

「遂に私達があの高校の制服に袖を通す時が来たか……」

「何を大袈裟に言ってるんですか、唯先輩」

「えー……。
 あずにゃんはあの高校の制服を着るの楽しみじゃないの?」

「楽しみですけど、そんな大袈裟に言うほどじゃないです」

「もー。あずにゃんのいけずぅ」

「何がいけずですか……」

不意に顔を向けると、唯と梓がこれまた仲が良さそうに会話していた。
先輩と後輩としては少しどうかと思うが、
それでも久しぶりにそんな唯と梓の姿を見るのは純粋に嬉しかった。
私がボケて、澪が注意して、ムギが皆を思いやって、唯と梓が子供みたいにじゃれ合う。
そんな時間を取り戻せた事が、今は本当に嬉しい。

「ところで、その制服は何処にあるんだ?
 明日持って来てくれるのか?」

笑顔になりながら、私は目の前のムギに訊ねてみる。
お茶の準備を終えたムギも軽く微笑みながら返す。

「ううん、あの高校の制服はもう持って来てあるの。
 さわ子先生の衣装と一緒に、ハンガーで掛けてあるんだ。
 本当は制服を着るのは明日がいいかなとは思ってたんだけど、
 今日の方がいいかもって思い直したんだ。
 多分、明日はさわ子先生の衣装をたくさん着る事になると思うし……」

「だろうなー……」

少し呆れながら、私は小さく呟いた。
昨日、土曜日にライブを開催する事を皆に伝えると、
即座に部員全員が手を上げて快くライブへの参加を決めてくれた。
皆ならそうしてくれるだろうと思ってはいたけど、やっぱり嬉しかった。
その時、少し泣き出しそうになってたのは、誰にも内緒だ。
ついでに言えば、昨日家に帰った後、
広辞苑で『役不足』の意味を調べた時の私の表情も誰にも内緒だ。

とにかく、ライブに部員が全員参加する事が決まった後、
私達は信代やいちご、聡や憂ちゃんとか、そんな思う限りの知人に連絡を取った。
観に来てはくれなくてもいい。

ただ私達が最後にライブを開催する事だけは、皆に知っておいてほしかったから。
でも、全員とは言わないけど、
多くのクラスメイトや友達が私達のライブを観に来てくれると言ってくれた。
こんな時期なのに、私達の最後のライブを観てくれる……、そんな皆に心から感謝したい。

勿論、さわちゃんも私達のライブを観に来てくれると言っていた。
「最後のライブに相応しい、素敵な衣装を持ってくわよ!」と余計な言葉まで添えて。
いや、余計な言葉って言ったら、すごく失礼だとは思うんだけど……。
思いはするだけど……さ。
それでも、澪と梓が珍しくそのさわちゃんの衣装を着る事を反対しなかった。
むしろ自分から進んでその衣装を着たいって言い出したくらいだ。

当然、そのさわちゃんの衣装を心から着たいわけじゃなくて、
その衣装を着る事で、これまでさわちゃんにお世話になった感謝の気持ちを示したいからだ。
その気持ちは私だって同じだった。
澪と梓が反対しないんなら、
私だって最後の……高校最後のライブくらいは、さわちゃんの好きにさせてあげたいんだ。

そんなわけで、ムギの言葉は本当に正しい。
確かに今日の内に着ておかないと、
明日あの高校の制服を着るどころか、目にできるかどうかすら危うい。
早めに、今すぐにでも着ておかないと、
折角のムギの努力を全部水の泡にしちゃう事になる。

「じゃあ、お茶飲んだらすぐにあの高校の制服に着替えようぜ、皆。
練習もあの高校の制服でやろう。
急がないと、衣装合わせとか言って、さわちゃんが来るかもしれないしな」

少し焦って私が言うと、皆が非常に神妙そうな表情で頷いた。
私達の心は今こうして一つになった。
一つになり方が、非常に微妙だが。



562 名前:にゃんこ:2011/09/17(土) 21:50:07.56 ID:PrE/G5mJ0



今回はここまでです。
やりました。
ようやく初っ端の開始一行目から張っていた伏線を回収できました……。
あれ伏線だったのか……。

でも、これで次の更新で一番書きたかったシーンが書けそうです。




563 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/17(土) 23:46:14.97 ID:FK5IZ+lno

乙です



564 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区):2011/09/19(月) 02:22:21.85 ID:dtVh4mnk0

一番書きたかったシーンか
楽しみだな





565 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:36:50.84 ID:i61ag9xK0






さわちゃんの衣装の中に埋もれて、
あの高校の制服はさりげなくハンガーに掛けられていた。
実はムギが言うには、一週間前には既に友達から借りていたらしい。
でも、私達のそれぞれが悩みを抱えている事に気付いていたムギは、
皆の悩みが少しでも解決するまで、制服の事は誰にも言わないでおこうと思ったんだそうだ。
あの学校の制服を着るなら、皆揃って、笑顔で着られる方がいい。
「変な我儘で皆に秘密にしてて、ごめんね」と苦笑しながらムギが言ったけど、
そのムギの変な我儘を悪く思う部員なんていなかった。
大体、それは変な我儘じゃなくて、ムギの思いやりなんだから。

私達はムギの思いやりに感謝しながら、部室の中であの高校の制服に着替え始める。
一緒に大浴場にだって入ってる仲だ。
変な照れもなく、皆手早く着替えを終えていった。

特に部室で水着に着替える事も躊躇わない唯とムギの着替えは、そりゃ早かった。
物凄い早着替えだった。
唯なんか上下の下着丸出しになってから、誰の視線も気にせずそのまま着替えてた。
決して悪い事じゃないんだけど、妙に複雑な気分になるのは何故だろう。

唯よ……、今更だけど、女子高とは言え、
女子は人前では普通ブラジャーとパンツを丸出しにせず、上下片方ずつ着替えるもんなんだぞ……。
唯らしいっちゃ、唯らしいんだけど……。

でも、唯がそんな見事な着替えっぷり(脱ぎっぷり?)を見せてくれたおかげで、
残る私達も初めて着るあの高校の制服を戸惑わずに着替える事ができた。
初めて着る服って、どんな服でも少しは戸惑うもんなんだけど、流石は唯だ。
伊達にメイド服ですら、即座に着方を覚える女じゃない。
その能力と情熱をもっと他で生かせればいいんだけど、それでこそ唯でもある。

「りっちゃん、カックイー!」

制服に着替え終わった私の姿を見て、唯が珍しく私に対する称賛の声を上げた。
普段が普段だから、またからかわれてるのかと思ったけど、
私の姿を褒める唯の輝いた瞳には嘘が無いように見えた。
どうやら純粋に褒めてくれてるらしい。

まあ、私自身ってより、制服自体が格好いいからってのもあるんだろうけど。
それでも、褒められるのに悪い気はしない。
私は少し照れ臭い気分になりながら、目の前の制服姿の唯に言ってやる。

「ありがと、唯。唯も似合ってるぜ」

「でっへへー、そっかなあ。
 私、そんなに似合ってる?」

「そうですね、似合ってますよ、唯先輩。
 何だかすごく優等生みたいに見えます」

私の言葉に乗っかる形で、これまた制服に着替え終わった梓が言った。
梓のその言葉に、唯がまた頭を掻いて照れ始めたけど、唯は気付いてるのだろうか。
優等生みたいに見えるって事は、普段は全く優等生に見えてないって事に……。
事実だから、しょうがなくもあるが……。

「律先輩も似合ってますよね。
 すごくまともな女子高生に見えますよ」

悪気の無い顔で、梓が無邪気な声色で続ける。
唯が普段優等生に見えてないってだけならまだしも、
私の方はまともな女子高生にすら見えてなかったのかよ!
いや、確かに普段は制服を着崩してるけどさあ……、
そんなに言うほどまともな女子高生に見えてなかったのか……。
突っ込む気になるより先に、すごく落ち込むぞ。
着崩すだけなら、あの生徒会長の和も結構やってるのに……。
これが人望の差か……。

初めて着る服だし、私としては珍しく制服の上着のボタンまで締めてたけど、
どうにも悔しいので全部外して、スカートの中に入れてたシャツも出してやった。
タイ……と言うか、
制服のネクタイも緩めて、会社帰りのサラリーマンみたいにしてやる。



566 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:48:49.57 ID:i61ag9xK0

「あー、折角まともな女子高生みたいだったのにー……」

今度は梓じゃなくて、唯が残念そうに呟いた。
ブルータス、おまえもか。
……ブルータスってのが誰かはよく知らないけど。
しかし、そんなに私がまともな女子高生に見えてなかったとは……。

だが、構わん。
これが私のスタイルだ。
残り少ない高校生活、世界の終わりが来ようが来まいが、最後まで貫き通してやるぞ。
唯と梓は精々真面目に制服を着こなすがいいさ。

「つーん」

わざわざ声に出しながら、腕を組んで唯達から視線を逸らしてやる。
別に怒ってるわけじゃないけど、このくらいの自己主張はしておかなきゃな。

「悪口言ったわけじゃないんだよー。
 ごめんよー、りっちゃ……」

唯が謝りながら私に駆け寄って来ようとして、その声が途中で止まった。
どうしたんだろう、と私が唯に視線を戻すと、
唯は少し驚いた顔で私の後ろの方に視線をやっていた。
唯の隣に居る梓も、意外そうな表情でその方向を見つめている。

その視線を辿るみたいに振り返ってみると、
その唯達の視線の先には、私と同じようにあの高校の制服を着崩したムギが居た。
上着のボタンを外し、ネクタイも緩めていて、どうにもムギっぽくないその姿。

「どうしたんだよ、ムギ?
 そんなに制服を着崩したりして……」

つい不安になって、私はムギに訊ねてしまう。
いくら何でも、ムギっぽくないにも程がある。
何かの心境の変化か?
恋する乙女は好きな男のタイプによって印象を変えるらしいが、そういう事なのか?
その私達の不安そうな視線に気付いたムギは、困ったように苦笑して言った。

「ご……、ごめんね、皆。
 前からりっちゃんの制服の着方、してみたいなって憧れてたんだ……。
 でも、授業中にやったら、叱られちゃうじゃない?
 それで今までりっちゃんの真似ができなくて……。
 だから、折角の機会だし、りっちゃんみたいに制服を着てみようと思ったの。

 ……でも、ごめんね。私には似合わなったよね……。
 やっぱりこの着方はりっちゃんがやってこそだよね……。
 すぐに着替え直すから、ちょっと待っててくれる……?」

本当に残念そうなムギの声色。
かなり落ち込んでるみたいに見える。
似合わないなんてそんな事ない。
私がそれを伝えようと口を開くと、それより先に唯と梓がムギに駆け寄っていた。
真剣な表情で唯と梓がムギに伝える。

「そんな事ないよ、ムギちゃん!
 変な顔しちゃって、私達の方こそごめん!
 ムギちゃんのそんなカッコ見るの初めてだから、ちょっと驚いちゃっただけなんだよ。
 すっごく似合ってるから、そのままのカッコでいよ?
 いいでしょ、ムギちゃん?」

「そうですよ、ムギ先輩!
 その格好のムギ先輩の姿も、意外性があって素敵です!」



567 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:49:31.74 ID:i61ag9xK0

……私に対する態度とは天と地ほどの差があった。
でも、別にそれが嫌ってわけじゃない。
私も唯達と同じ気持ちだ。

いつもムギに助けられてる私達だ。
ムギがしたい事なら、何でも手助けしてあげたい。
制服を着崩したムギの姿が似合ってるってのも確かだしな。
お嬢様っぽいムギの見せる(実際にお嬢様なんだけど)少し背伸びをしたその姿。
意外性があって驚くけど、とても可愛らしくて、素敵だと思う。

「……本当?」

自信なさげにムギが呟く。
そのムギの手を取って、唯が優しく微笑んだ。

「ホントだよ、ムギちゃん。
 すっごく可愛いもん。着替え直すのは勿体無いよ。
 私の方からもお願い。そのままのカッコでいてよ、ムギちゃん」

「……りっちゃんは、私がりっちゃんの真似して、嫌じゃない?」

唯に手を取られながら、ムギが意を決した表情になって言った。
私に断られたらどうしようかと思ってるんだろう。
まったく……。
いつも頼りになるくせに、こんな時だけ気弱になるんだからな、ムギは。
ムギは多分、自分の外見とか、家柄とか、色んな事が周りの皆と違ってる事を気にしてる。
皆の仲間になりたくて、皆と同じ事をしてみたいと思ってる。

だからこそ、皆と同じ事をして、
それでも自分の姿が浮いていたらと思うと、不安で仕方が無いんだろうと思う。
人と違う事は強味になる事もあるけど、ほとんどの場合不安に繋がっちゃうものなんだ。
だから、私はムギに言ってあげるんだ。

「嫌なわけないだろ?
 ムギが私の格好に憧れてたって言ってくれるのも嬉しいよ。
 どんどん真似してくれよ、ムギ。
 何ならカチューシャだって貸してやるぞ?」

「……うん。ありがと、りっちゃん。
 ごめんね。ありがとう、皆……」

それでようやく、ムギはまた笑顔になってくれた。
私達が大好きな、ムギの柔らかくていつまでも見てたい笑顔に。

悩み事は人それぞれ。
世界の終わりを間近にしても、悩みの形はそれこそ千差万別。
失くしたキーホルダーの事や、成功させたいライブの事や、
人と違う自分の事や、そして、恋の事なんかをそれぞれ悩んで……。
馬鹿みたいだけど、それが私達が私達のままでいるって事なんだろう。

「……で?」

私は部屋の隅の方で、
私達の様子をうかがってた黒髪ロングに視線をやってみる。
黒髪ロングは居心地の悪そうに壁際に身を寄せ、目を逸らす。



568 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:50:19.33 ID:i61ag9xK0

「おまえの方は何でそんな恰好をしてんだよ、澪」

「いや、その……、あの……」

歯切れ悪く澪が呟く。
そんな恰好と言うのは、あの高校の制服に着替えた澪の姿の事だった。
澪も私やムギと同じように制服を着崩し、
濃紺の上着のボタンを外して、シャツを出した上にネクタイを緩めている。

それだけなら、まあ、いいとして、
何故か澪はその上から更にフード付きのパーカーを重ねていた。
フードまで被って、明らかに場違い感丸出しだ。

いや、それも別にいい。
重要なのは、その薄紫っぽいパーカーは澪の私物って事だ。
それは何度か澪の部屋で見掛けた事があるけど、
澪自身が着ているのを目にした事が無いパーカーだった。
いつの間にか、さわちゃんの衣装と一緒にハンガーに掛けていたらしい。

「照れてるのか?
 別に制服くらいなら恥ずかしくないじゃんか?
 恥ずかしいにしても、上からパーカーなんか着ちゃったら、
 制服借りて来てくれたムギにも悪いだろ?」

「いや、そうじゃなくて……」

私達の会話が耳に入ったらしい。
ムギは私達の方に近寄ると、優しい声色で澪に囁いた。

「いいんだよ、澪ちゃん。
 恥ずかしいなら、そのままでも。
 フードを被ってる澪ちゃんも新鮮で素敵だもん」

「ち、違うんだよ、ムギ。
 恥ずかしいとか、そんなんじゃなくて、私は、ただ……」

恥ずかしい事からは逃げがちな澪としては、珍しく食い下がっていた。
この調子だと、本当に恥ずかしいからパーカーを着てるわけじゃないらしい。
でも、そうなると、澪がこんなにしてまでパーカーを着てる理由が分からない。
一体、どういう事なんだ……?
私が不審そうな視線を向けると、遂に観念したようで、澪がぼそぼそと呟き始めた。



569 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:50:50.07 ID:i61ag9xK0

「……たんだ」

「え? 何? どした?」

「あの雑誌でMAKOちゃんが、この制服の上からパーカーを着てたのが可愛かったんだ……」

沈黙。
天使が通ったかのような沈黙が音楽室を包む。
澪が顔を真っ赤にして、フードを更に深く被って縮こまった。

MAKOちゃん……。
確か澪が読んでるファッション誌の読者モデルの名前だったはずだ。
何度か澪の部屋で読んだ事があるけど、
確かそのMAKOちゃんが今の澪みたいな恰好をしてた時があった気もする。
だから、澪はこの制服を着るのに乗り気だったんだな。
制服を買うのは無理としても、パーカーだけは自前で用意して……。

「澪ちゃんって、結構ミーハーだよね」

悪気の無い表情で、唯が楽しそうに口にする。
実際悪気は無いんだろうけど、その唯の言葉は澪にとどめを刺すのに十分だった。
パーカーに手を掛け、急に暴れるみたいにして立ち上がる。

「いいよ! 似合わない事して悪かったよ!
 脱ぐよ! 今すぐ脱ぐから待っててよ!」

「いやいや、そこまでせんでも……」

私は暴れる澪の腕を取って、どうにか動きを止めようと力を入れる。
でも、体格のいい澪を小柄な私の力で抑えるのは少し無理があって、
澪のパーカーがもう少しで脱げそうになった瞬間……。

「あーっ!」

唯が不意に大声を出した。
あまりに突然の事に、私も澪も、ムギや梓ですらも驚いて動きを止める。

「ど……、どうしたんだよ、唯……」

私はおずおずと唯に訊ねてみる。
奇行には事欠かない唯だけど、少なくともこんな風に突然大声を上げる事はそうはない。
つまり、よっぽどの事があったって事だ。

「見てよ、りっちゃん! 凄いよ!」

唯が人差し指を窓の方向に向けて、また大きな声を上げる。
私も窓の方に視線を向ける。
窓の外の光景を見た瞬間、唯が大声を上げるのももっともだと私は思った。
澪達も呆然として、窓の外の光景を見ていた。

「うわ……」

つい私の口からそんな声が漏れ出していた。
それくらい、印象的な光景だった。

「空が……」

私に続くみたいに、澪が呟く。
空は変わらず青かった。
だけど、その青い空に流れるたくさんの雲は、
これまで見た事が無い速度で流れていて……。
例えるなら、テレビで観るVTRの早回しの空模様。

そんな早回しの雲が、
現実の時間で、
青い空を流れていた。
まるで、
世界の終わりを告げるみたいに。



570 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:51:25.08 ID:i61ag9xK0






異常な空模様に惹かれ、私達五人はグラウンドにやって来ていた。
風は強かったけど、台風って呼べるほどの風速でもなかった。
ムギや梓の髪がそこそこ靡く……、その程度の風速。
つまり、異常な速度の風が吹いてるのは上空だけなんだろう。
世界レベルで考えればあり得ないって事は無いんだろうけど、
日本ではまずあり得ない速さで多くの雲が流れていた。

世界の終わりを告げる前兆……ってか?
そうとしか思えない雲の動きに、私はとても複雑な気分になる。
不謹慎だけれど、私はその雲の動きをすごく綺麗だと思っちゃったから。
終わる前の美しさなのに、それは残酷なくらい綺麗だったんだ。
多分、皆もそう感じてるんだろうと思う。

私はしゃがみ込んで。
梓はただ静かに顔を上げて。
ムギは少しだけ首を傾げて。
唯は右手を飛行機に見立ててみたいに掲げ。
澪は結局フードを被ったままで。

五人とも、静かに空を見上げている。
皆の顔に悲しみや諦めの表情は浮かんでないし、
多分、私もそんな顔はしていない。
誰もが静かに、空を流れる雲を見上げている。
世界の終わり……、終末の予兆を実感している。
世界は本当に終わるんだな……って、頭じゃなくて心で理解する。

恐くないと言ったら嘘になる。
でも、今は恐さより、残念な気持ちの方が大きかった。
折角皆と仲良くなれたのに、
かけがえの無い仲間達ができたのに、
その関係は終わる。もうすぐ終わる。
それが残念でしょうがない。

私は立ち上がり、皆と肩を並べる。
右から、ムギ、梓、澪、唯、私って順番で並ぶ。
空模様が気にはなるけど、もう空を進んで見上げはしない。
終末の予兆については、未来の私達については、十分に実感できた。
だから。
今から私達が見るのは、今生きる私達と今生きる私達のしたい事だ。



571 名前:にゃんこ:2011/09/19(月) 14:55:28.87 ID:i61ag9xK0



今回はここまで。
たまにはこんな時間に。

一番書きたかったシーンってどこがって?
いや、あの……、ほら……、
今回は『No, Thank You!』のED映像の再現みたいな感じでして……。

実はあのED映像って超世界の終わりっぽくね?
って、ふと思ったのがこのSSを書くきっかけだったりします。
そのためだけに五ヶ月近くも続けてきたのか、自分。
読んでくれる皆さんも付き合って頂き、ありがとうございます。




572 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/19(月) 16:07:59.59 ID:hM8+Qw+J0


No, Thank You!がきっかけだったのかww
NTYは衣装もかっこいいよね



573 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/19(月) 17:33:49.73 ID:QFIITvryo

>>571
EDの雰囲気伝わってたよ!



574 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/09/21(水) 01:25:32.07 ID:hkyb0Fzto

あの映像かっこいいよね エフェクトも含めて
しかしそこからこれだけ書くのは素直にすげぇ





575 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:23:52.21 ID:IdvxXT/q0

「終わっちゃうんだね、私達の世界……」

正面を向いたまま、唯が呟く。
終わる世界を名残惜しいと思ってる……、
そんな感じの表情で唯は淡々と呟いていた。

「そうだな……」

唯の言葉に私が答える。
日曜日に世界が終わる。それはもうほとんど確定事項なんだ。
それまでに私達がやらなきゃいけない事は、まだたくさん残されてる。
だったら、前に進まなきゃな。
その先にあるのが、世界の終わりでも。

「そっかー……。それは残念だなあ……」

気が付けば、唯が呟きながら私の手を握っていた。
私も握り返す。強く。
もう私達の絆を見失わないために。
視線を向けると、澪達もそれぞれ隣のメンバーと手を繋いでいた。
軽音部一同、放課後ティータイム一同、強く手を握り合う。

全員が手を繋いだのを見届けると、唯が軽く笑った。
自嘲でも諦めでもない、純粋で幸せそうな笑顔で。
そんな笑顔で、皆の顔を見回しながら自信ありげに言った。

「でも、大丈夫だよ。私達は放課後ティータイムだもん」

「おいおい……。根拠になってないぞ、唯……」

澪が少し呆れたみたいに唯の顔に視線を向ける。
だけど、唯は自信に満ちた表情を崩さなかった。
澪の顔に自分の顔を近付けて、唯が不敵に続ける。

「甘いよ、澪ちゃん。
 根拠ならちゃんとあるのです」

「えっ……、本当に根拠なんてあるんですか?」

梓が意外そうに声を上げた。
梓も唯の発言はいつもの無根拠な自信からのものだと考えてたみたいだ。
いや、かく言う私も、唯のその発言に根拠があるとは考えてなかった。
こんな時期だから意味の無い自信でも持てる唯は心強いし、
それでいいと思ってたんだけど、どうやらそういうわけじゃなかったらしい。

「何々? 教えて教えて」

ムギが好奇心に満ちた顔で唯の顔を覗き込む。
否定から入らず、まず好奇心から物事に臨むそのムギの態度は、
世界の終わりを目前にしてもいつものままで、私にはそれがとても嬉しかった。

「ふっふっふ……、だったら皆に教えてあげましょう」

自信満々な態度を崩さず、嬉しそうに唯が笑う。
少しだけ澪から手を離し、ピースサインで空に手を掲げると、すぐに掌を開いた。
いつの間に書いていたのか、
掌には我等が放課後ティータイムのマークがマジックで書かれていた。



576 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:25:07.35 ID:IdvxXT/q0

「何故ならば!
 放課後ティータイムはいつまでも放課後だからなのです!」

「意味が分かりません……」

梓が呆れた顔で突っ込むと、澪も困った顔で苦笑した。
その二人の反応には不満があったらしく、唯が眉を軽く吊り上げて補足説明を始める。

「もーっ、あずにゃんも澪ちゃんも分かってないんだから……。
 だからね、いつまでも放課後って事は、言い換えたら永遠に放課後って事でしょ?
 つまり、放課後こそ、放課後ティータイムの真骨頂の時間って事なんだよ」

それだけで全てを説明したつもりらしく、
「ふんすっ!」と唯は自信満々のままに謎の鼻息を鳴らした。
鼻息……か?

とにかく久しぶりにその得意の鼻息を鳴らすくらい、唯には自信のある説明だったらしい。
どちらかと言うと唯側に近い私は、唯の言おうとしてる事は何となく分かる。

でも、真面目なタイプの澪と梓は唯の言う事が分かってないみたいで、首を傾げていた。
どうにか澪達に唯の発言の真意を説明してやりたいが、
感性に満ちた唯の発言を噛み砕いて説明できるほど、私も感性的じゃないからなあ……。
どうしたものかと悩んでいると、意外な所から助け舟がやって来た。

「世界の放課後……?」

確かめるみたいなその小さな声は、ムギが呟いたものだった。
唯が嬉しそうにムギの方に顔を向けて微笑む。

「そうそう! さっすがムギちゃん!
 私が言いたいのはね、そういう事なんだよ!
 おしまいの日に世界が終わっちゃうって事は、
 つまり世界中の授業が全部終わっちゃうって事でもあるよね?
 だったら、世界が終わっちゃった後に始まるのは……」

「世界の放課後……か」

唯の言葉を継いで、私は呟いてみる。
これまた唯らしい言い回しだなと、感心しながら思う。
そういや、前に漫画で読んだ事があるけど、
終末の予言の日の事をラグナロク……、神々の黄昏って言うんだっけ。

神々の黄昏と世界の放課後……。
言い方の違いはあるけど、言ってる事は大して変わらない。
そうなると、確かに私達が世界の終わりを恐がってるわけにはいかないな。
他の誰が世界の終わりを恐がってても、私達だけはその世界の放課後を恐がっちゃいけないんだ。
だって……。

「私達は放課後ティータイム……、だもんな。
 放課後ティータイムの活動は、唯の言うように放課後が真骨頂だ。
 その放課後を恐がるなんて、放課後ティータイムの名が廃るってやつだな」

私が言うと、唯が満面の笑顔で私に抱き着いてきた。
自分の言葉を理解してもらえたのが、心の底から嬉しかったらしい。

「ありがとう、りっちゃん!
 分かってもらえて、すっごく嬉しいよ!」

「どういたしまして、唯。
 そんなに喜んでもらえるとは思わなかったけどな……」

「放課後が真骨頂って、五時から男ですか……」

呆れ顔の梓が、わざわざ古い言葉を使って突っ込んでくる。
五時から男っておまえな……。
いや、梓の言ってる事は、全面的に正しくもあるけどさ。

「でも、確かにそれだな」

話の成り行きを見守ってた澪が、不意にとても楽しそうに言った。
私達の中で世界の終わりを一番恐がってるのは澪のはずだけど、
唯の言葉はその澪の不安を簡単に振り払ってしまったらしい。
それが唯の人柄で魅力なんだろうな。
澪の悩みを完全には解決してやれなかった私としては、ちょっと悔しいけどさ。

「よっしゃ」



577 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:25:48.63 ID:IdvxXT/q0

抱き着いてきた唯の身体から少し離れて、私は気合を入れるみたいに呟いた。
部員に引っ張られてるだけじゃ、示しが付かないってもんだ。
一応、私はこれでも部長なんだからな。
両手を上げて、宣言するように言ってみせる。

「放課後ティータイムとしちゃ、
世界の放課後を気にしてるわけにはいかないぞ、皆。
明日のライブのために精一杯やるぞーっ!」

「おーっ!」

私の言葉に続き、皆が腕を掲げる。
世界の終わりへの不安を吹き飛ばしていく。

「私達の最後のライブ!」

「おーっ!」

ムギが続ける。
私達はここに居る。世界が終わろうと、それだけは否定させない。

「最高のライブを!」

「おーっ!」

梓も力強く宣言する。
放課後は私達の真骨頂。誰の記憶にも残らなくても、私達が死ぬまで私達を憶えている。

「絶対、歴史に残すライブ!」

「おーっ!」

少し赤くなりながら、澪も腕を掲げる。
いや、死んでも記憶に残してやる。
どんな形になっても、私達が生きた証として私達の曲を残してやるんだ。

「終わったらケーキ!」

「おーっ!」

こんな状況になっても、唯が予想通りの宣言をかましてくれる。
この前の学園祭の時は戸惑わされたけど、残念ながら二度目は無い。
唯がそう宣言するのを分かってた私達は、これまでで一番大きい声で掛け声を合わせてやる。
おやつに釣られてるみたいだけど、結局はそれが私達の本質だ。
馬鹿馬鹿しいとは思うけど、その本質だけは世界が終わっても変えてやらない。



578 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:28:07.83 ID:IdvxXT/q0

気合を入れ終わった私達は、皆で顔を合わせて笑い合う。
世界の終わり……、終末……、世界の放課後……、何でもいい。
もうそんな物に私達を止めさせない。
人はいつか死ぬ。
そんな事は分かってたつもりだったけど、その実は何も分かってなかった。
死ぬのを間近にして、私は気付く。
命は誰にとっても限りあるものだ。

いや、いつか死ぬ……どころの話じゃない。
下手したら一秒後には死んでる可能性もある。
それこそ一秒後に頭に隕石が直撃してる可能性だってあるんだ。
こう言うのも変なんだけど、きっと私達はまだ幸せなんだろうと思う。
自分の死ぬ時期が分かり、それに向けて準備ができるなんて、できそうでできる事じゃない。
不慮の事故で死ぬ事より、戦争や病気で死ぬ事より、それはきっと幸福な事なんだ。

だからこそ、もう迷わない。
思い出に浸りもしないし、約束に心奪われる事もしない。
思い出も約束も人生に必要な物ではあるけど、それは今を生きるために必要な物ってだけだ。
今を生きるための材料なのに、それに縛られてちゃ、何の意味も無い。
だから、私達は今を生きようと思う。

もう一度、私達は手を繋ぎ合う。
私達が今生きているって事をお互いの肌で感じ合うために。
生きてるんだって感じ合えるために。
と。

「あっ、唯ーっ!」

手を繋ぎ合う私達に、誰かが声を掛ける。
手を繋いだまま、私は声のした方向に顔を向けてみる。
声がした場所では、和が風に髪を靡かせながら立っていた。
隣には和と仲がいいらしい高橋さんも居る。

「どうしたの、和ちゃん?」

まだ私の体温を感じていたかったんだろう。
珍しく駆け寄らず、私と手を繋いだままで唯が和に訊ねた。
軽く微笑みながら、和が応じる。

「生徒会の仕事が一段落したから、さっき音楽室に唯達の様子を見に行ったのよ。
 でも、誰も居ないじゃない?
 どうしたのかと思ってたら、窓からグラウンドに唯達が居るのを見つけたの。
 こんな所で皆で手を繋いで、一体、何をしてるの?」

「ちょっと邪神復活の儀式をしてたんだよ」

部員の皆の絆と温もりを確かめ合っていたとは、流石に恥ずかし過ぎて言えない。
ふと思い付いたボケを私が口にすると、軽く微笑んだままで和が返した。

「そうなんだ。じゃあ私、生徒会室に戻るわね。
 邪神が降臨したら呼んでくれるかしら」

「突っ込めよ!」

「……冗談よ、律」

「和の冗談は冗談なのか本気なのか分かりにくいんだよ……」

「それに終末が近いからって邪神を復活させるより、
 ムスペルを率いたスルトと交渉をした方がいいんじゃないかな?」

ぼやくみたいに私が呟くと、
和の隣に立っている高橋さんがよく分からない事を言い始めた。



579 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:32:27.67 ID:IdvxXT/q0

「スル……、え? 何?」

「スルト。北欧神話に登場する巨人の事。
 邪神復活って事は、ヘルヘイムのヘルを復活させようとしてたんでしょ?
 終末……、つまり、ラグナロクを止めるのなら、ヘルよりもスルトを止める方がいいと思うの。
 ヘルヘイムも脅威的な軍勢を率いてるけど、ムスペルは世界を燃やし尽くすレベルだもの」

「あの……、えっと……、その……、
 何て言うか……、ごめん……?」

高橋さんが何の話をしているのか、全然分からない。
ひょっとして私が邪神復活とか適当な事を言ったのが悪かったんだろうか。
何が何だか分からないまま、私はとりあえず高橋さんに頭を下げる。
スルト……、じゃない、
すると、高橋さんが風に揺れる眼鏡を掛け直しながら微笑んだ。

「冗談よ。ごめんね、りっちゃん」

スーパーウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐分かりづれええええっ!
和と仲がいいだけに優等生コンビだな、とは思ってたんだけど、
ここまで高度で知的なボケを駆使する子だとは知らなかった。
そうして私が呆けた顔をしてるのが面白いのか、高橋さんは笑顔を崩さず続ける。

「終末に邪神とか言ってるから、そういう話なのかと思っちゃって、つい……。
 本当にごめんね、りっちゃん」

「風子って本当に北欧神話が好きよね。
 でも、風子がそれを言うなら、
 私としては終末はキリスト教圏の方を支持したいわね。

 天使が七つのラッパを吹く事で訪れる黙示の日。
 そっちの方がこれから訪れる終末には相応しいと思うのよ。
 大体、これから訪れる終末がラグナロクの方だとしたら、
 もう既に巨人族の侵攻が起こってる時期でしょ?」

高橋さんのボケ(?)に更に和が難しい会話を被せ始めた。
やめてくれ……、日本語で喋ってくれ……。
隣に目をやると、唯も私と同じように頭を抱えて唸ってるみたいだ。
頭がいい人と自分が一対一で話すのならともかく、
頭がいい人同士が話すのを傍から見せられる事ほど、どうしようもない事は無いよな、マジで。
特に和は頭のいい天然ボケだ。下手すれば唯の数倍は強敵となるだろう。

これはどうにか空気を変えねばなるまい。
大丈夫。私は居るだけで空気を変えられる事で定評のあるりっちゃんだ。
相手が和達という強敵ではあるけど、違う話くらいは振れるはずだ。

「そ……それよりさ、和。
 和が生徒会の仕事をしてたってのは分かるけど、どうして高橋さんと一緒に居るんだ?
 高橋さんは別に生徒会ってわけじゃなかったよな?」

私が言うと、唯が和に見えないように私の後ろで親指を立てた。
グッジョブって意味なんだろう。
幼馴染みとは言っても、唯も和の知的過ぎる一面は苦手としてるみたいだ。
私もたまに暴走する澪は苦手だからなあ……。

私の言葉を聞いて、流石の和も自分が高橋さんと話し過ぎてたと実感したらしい。
一つ咳払いをしてから、風に揺らされる眼鏡を掛け直した。

「今日はね、風子には生徒会の仕事を手伝ってもらってたのよ。
 風子とは一緒に音楽室に顔を出す予定だったから、それまでの時間、ちょっとね……。
 おかげで溜まってた仕事は全部片付いたわ」

「音楽室に顔を出す予定……?」

澪が首を傾げて和に訊ねると、それには高橋さんが応じた。

「うん、そうなの。
 昨日ね、唯ちゃんから土曜日にライブをやるってメールを貰ってから、
 居ても立っても居られなくなっちゃって……。
 土曜日に会える事は分かってたんだけど、それまでに軽音部の皆の顔を見ておきたかったんだ」

「そうなんだ。嬉しいな。ありがとね、風子ちゃん」

唯が笑顔で近付いて、高橋さんの手を取る。
すると、唯に釣られるみたいに、高橋さんも満面の笑顔になった。



580 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:33:45.04 ID:IdvxXT/q0

「ううん、私の方こそお礼を言わせてほしいくらいだよ、唯ちゃん。
 私ってこんな性格でしょ?
 終末が近付いてるからって何ができるわけもなくて、図書室でずっと本ばっかり読んでたの。
 本を読んでる時だけは、終末に対する不安も見ずにいられたから……。

 でも、この前ね、図書室でたまたま会った若王子さんから聞いたの。
 こんな時だけど、軽音部がずっと練習してるよって。
 多分、最後にライブをしようとしてるんだろうねって。

 私……、嬉しかったなあ……。
 こんな時でも頑張ってるクラスメイトが居るって思うと、すごく心強くもなったの。
 だから、唯ちゃんからメールを貰った時、
 私もそのライブを見ていいんだって思うとすっごく嬉しかった。
 ありがとう、皆……」

その高橋さんの言葉に、唯は少しだけ呆けていた。
高橋さんが何を言ってくれているか、ちょっと理解し切れていないらしい。
私は唯の近くまで駆け寄って、耳元で「褒められてんだよ」と教えてやった。
少し赤くなって、唯がまた幸せそうな笑顔を浮かべる。

鈍感な奴だが、それも仕方ないかな。
こんなに褒められる事なんて、ライブやった時もそうは無かったからなあ……。
ふと振り返ると、澪達も頬を染めてるように見えた。
褒められ慣れてないから、照れ臭いんだろう。
背中がむず痒くなってる私も、人の事は言えないんだけどさ。

「それにね……」

私達の顔を見ながら、高橋さんが続ける。

「嬉しかったのは私だけじゃないよ。
 皆の顔が見たいって子は、他にも居るんだよ」

言うと、高橋さんがグラウンドの端の方に生えてる樹の陰に視線を向ける。
これまで気付かなかったけど、その木陰には見覚えのある人影があった。
小柄で、後ろに髪を束ねている、眼鏡のクラスメイト……。

「宮本さん?」

澪がその人影に向けて声を掛ける。
小さくなりながらだけど、
その人影……、宮本さんはゆっくりと私達の方に歩み寄って来た。
すごく仲がいいわけじゃないけど、宮本さんが照れ屋で赤面症なのは私も知ってる。
それで宮本さんは遠くから私達を見てたんだろう。

「アキヨちゃんもライブを観て来てくれるの?」

唯が嬉しそうな声色で、近寄って来た宮本さんに訊ねる。
宮本さんは赤面しながらも、唯の瞳を見つめながら軽く頷いた。

「宮本さんはね……」

宮本さんが何を言うより先に、和が嬉しそうに微笑みながら言った。
人より先に話し始めるなんて和らしくないけど、
多分、それだけその話を伝えたくて仕方が無かったんだろう。



581 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:34:33.56 ID:IdvxXT/q0

「宮本さんとはさっき音楽室に顔を出した時に出会ったんだけど、
 宮本さんはずっと音楽室の中の様子を気にしてたみたいだったわよ。
 人の気配がしないから、本当にライブをするのかって不安になってたんじゃないかしら。

 だから、私は宮本さんと一緒に貴方達を捜す事にしたのよ。
 練習はあんまりしない部だけど、今はたまたま音楽室に居ないだけで、
 ちゃんとライブに向けての準備はする部だって知ってもらいたかったしね」

「普段から練習くらいしとるわい!」

私が口を尖らせて言うと、「そうかしら?」と和が苦笑する。
高橋さんがそんな私達を楽しそうに見つめ、宮本さんも軽くだけど表情が緩んだ。
小さな声だけど、はっきりと宮本さんが言葉を出し始める。

「皆……、最後のライブ、頑張ってね……。
 私、応援してるから……。
 ずっと皆で、終末なんか関係なく、音楽続けてね?
 私、軽音部の音楽、好きだから……。
 軽音部のライブ、すっごく面白かったから……!」

こんなに宮本さんの声を聞いたのは初めてかもしれない。
口数が少ない子だし、照れ屋な子だしな。
それでもこんなに話してくれるって事は、
私達の音楽を本当に好きでいてくれてるって事なんだろう。
面白かったって感想は複雑だけど、好きでいてくれてるんならそれでもいいよな。

頑張らなきゃな、と私はまた思った。
和も高橋さんも宮本さんも、
勿論、それ以外の皆も私達のライブを楽しみにしてくれてる。
これはもう私達だけのライブじゃないって感じる。
これは私達放課後ティータイムに関わってくれた皆が、
世界の終わりに見せ付けてやる一大的なロックイベントなんだ。

見せてやろうじゃないか。
神なんだか何なんだか、世界を終わらせようとしてる誰かさんに。
私達は生きているんだって。

「ねえねえ、和ちゃん」

そうやって決心を固める私を置いて、
唯がまた場にそぐわないマイペースな事を言い始めた。

「どうしたのよ、唯?」

「予備の眼鏡とか持ってない?」

「何よ、いきなり」

「だって、皆が眼鏡掛けてるから、私も掛けたくなったんだもん」

「何を言い出すんですか、いきなり……」

呆れた表情で梓がこぼす。
確かにまたいきなり何を言い出すんだ、唯は……。
まあ、唯の言う事も分からないでもない。
今ここに居る軽音部以外のメンバー全員が、見事なまでに眼鏡を掛けてるからなあ……。
妙な所で流行に敏感な唯が眼鏡を掛けたくなったとしても、不思議じゃなくはある。

だけど、残念ながら、和が呆れた表情で唯に返した。



582 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:35:11.14 ID:IdvxXT/q0

「悪いけど予備の眼鏡は、今日は持って来てないわ。
 私の眼鏡をちょっとだけ貸してあげるから、それで満足しときなさい」

「えー……。
 皆で眼鏡を掛けて、記念撮影とかしたかったのにー……」

「おいおい。何個眼鏡が必要になると思ってん……」

「ならばその願い、私が叶えてあげましょう!」

私が唯に突っ込み終わるより先に、
その言葉はよく聞き慣れたあの人の声に潰されてしまった。

そう。
その人こそこれまた眼鏡を掛けたファッションパイオニア……、さわちゃんだった。
またいつの間に来たんだ、この人は。やっぱり瞬間移動の使い手なのか?
和と高橋さんは何となくさわちゃんの本性を知ってるみたいだから特に驚いてなかったけど、
無垢で儚げな印象の宮本さんは、さわちゃんのそんな本性に思いも寄ってなかったみたいだった。
若干怯えてる感じで私の方に走り寄って、私の背中の後ろに隠れる。

「また神出鬼没だな、アンタ!」

宮本さんを庇いながら言っってみたけど、
さわちゃんは私の突っ込みを華麗にスルーし、ひどく心外そうな表情で唯に言った。

「もう……、駄目でしょう、平沢さん。
 着たい服がある時とか、ファッションに関しての悩みがある時とか、
 そういう時はいつでも先生に相談してっていつも言ってるじゃないの」

「あー、そっか。さわちゃんに相談すればよかったんだよね。
 忘れててごめんね、さわちゃん」

「次からは気を付けるのよ、平沢さん」

「はーい」

ボケなんだか何なんだか、
和と高橋さんとは違った意味で高次元の会話を交わす唯とさわちゃん。
これはもう私達に踏み入れる領域じゃないな……。

「って、先生。
 願いを叶えるって、もしかして……」

澪が不安そうにさわちゃんに訊ねる。
さわちゃんは心底うれしそうに、その澪の言葉に答えた。

「そうよ。貴方達、眼鏡を掛けたいんでしょ?
 安心しなさい。被服室に二十個くらい眼鏡を置いてるから、貸してあげるわ。
 秋山さん達も遠慮なく掛けたらいいわよ」

どうしてそんなに眼鏡を置いてるんだ、とは誰も訊ねなかった。
さわちゃんはそういう人なんであって、それに対して疑問を持つのは、
何で酸素と水素が結合すると水になるのか、って考えるのと同じくらい無意味だった。
さわちゃんの謎は、そういう自然の摂理みたいなもんなんだ。
それでいいいのだ。

そんなわけで。
筋道を立てて話すのも面倒臭いけど、
何故だか私達はこれから皆で眼鏡を掛ける事になった。



583 名前:にゃんこ:2011/09/21(水) 21:39:14.88 ID:IdvxXT/q0



今回はここまでです。
宮本さんはともかく、高橋さんの性格が掴めないので、超オリジナルです。
宮本さんは大人しい文学少女で、
高橋さんは活発な文学少女かなって感じですが。

そんなわけでと言うべきか。
次回、眼鏡編です。




584 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(大分県):2011/09/21(水) 21:56:15.53 ID:hkyb0Fzto

元ネタリスペクトか。眼鏡的な意味で



585 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/21(水) 22:02:10.87 ID:LbUQXX8Ho

中野さん、五時から男はちょっと古いですよ



586 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2011/09/21(水) 22:05:48.19 ID:g9BFceRSO

眼鏡編どんな話になるんだろう





五時から男

高田純次のTVCM「グロンサン」より。
キャッチコピーは「5時まで男/5時から男」。
1988年に流行語大賞・大衆賞を受賞。

終業時間後(五時~)元気に・・・ということらしい。

YouTube:5時から男のグロンサン






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律「終末の過ごし方」#11
[ 2012/03/23 19:41 ] 非日常系 | 終末の過ごし方 | CM(0)

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