SS保存場所(けいおん!) TOP  >  恋愛 >  梓「私、結婚しますから」#1

お知らせ

SS保存場所は移転しました。
現在けいおん!関連の更新はしていません。
今後更新するかは未定です。
SS保存場所






梓「私、結婚しますから」#1 【恋愛】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330186585/l50
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1330273140/

梓「私、結婚しますから」#index




1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:19:10.55 ID:1FD7vy2wo

こんにちわ、平沢唯です

突然ですが、私には好きな人が居ます

私の一つ下で、同じ軽音部に入部してくれた唯一の後輩、一年生の中野梓ちゃん

通称、あずにゃんです

ちっちゃくて、可愛くて、真面目で、ギターが凄く上手いです

そんなあずにゃんに、私は一目惚れしちゃいました

あの瞬間のことは忘れられません

新入部員が来なくて、みんなで悩んでた時

控えめなノックの音が部室に響いて

次の瞬間、あずにゃんがおずおずと入ってきた時のことを

一瞬で心を奪われました

まあ、その気持ちが恋だったと気づくのには、三ヶ月ほどかかりましたけど




2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:20:42.76 ID:1FD7vy2wo

部室

唯「やっほー」

部室のドアを開けると、真っ先に目に飛び込んで来たのは

唯「あ」

ベンチに荷物を置こうと背を向けているあずにゃんでした

梓「あ、唯先輩」

振り向いて、素敵な笑顔を向けてくれます

梓「こんにちわ。今日は早いですね」

もう我慢できません

唯「あーずにゃああんー!」

梓「ちょ、ちょっと唯先輩!」

一直線に向かって行って、ほとんど飛びつく感じで抱きつきます

私のバッグが床に落ちましたが、そんなのは気になりません

今はその小さくて柔らかいあずにゃんの体を堪能する時です

唯「あずにゃん久しぶりー。会いたかったよー」

梓「久しぶりって、今朝も一緒に登校したじゃないですか」

唯「私、三時間あずにゃんに会わないとダメかも」

梓「休日とかは平気じゃないですか。またそんな適当なことを……」

適当というか、嘘じゃないんだけどね。休みの日だってずっとあずにゃんのこと考えてるし

たまに耐えられなくなって、理由を付けてはあずにゃんに会いに行くけど

でも、引かれちゃうよね。女の子同士なのに、そんなことさ



3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:21:24.66 ID:1FD7vy2wo

唯「適当じゃないもーん」

だから、そんな風にかわして

あずにゃんの首筋に顔を寄せます

ああ、もうすっごいいい匂い

梓「ちょ、唯先輩、恥ずかしいんですけど……」

唯「あずにゃん分補給だよ。大丈夫だよ、いい匂いだしー」

梓「きょ、今日体育あったんで、汗臭いんじゃ」

唯「気にならないよー」

ぎゅーっと、痛くない程度に抱きしめます

至福の時間だけれど、

そんな時でも私は頭の中で、この時間が終わるまでのカウントダウンを忘れません

3、2、1、っと

唯「ふあぁ、補給完了ー」

ジャスト一分

私はあずにゃんから離れます

梓「もう、いっつもいっつも……。恥ずかしいじゃないですか」

唯「大丈夫だよー。私とあずにゃんの仲じゃん」

梓「学校で、とか……」

唯「学校じゃ無ければいいの?」

梓「そ、そんな問題じゃありません!」



4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:22:33.64 ID:1FD7vy2wo

ぷいっと顔をそむけるあずにゃん

その仕草が可愛らしくてたまらないけれど

学校じゃ無ければいいのかな?

なんて、ちょっと思ったりもします

まあ、そんな問題じゃないのもわかっているけど

あずにゃんは優しいから、私のしたいことをさせてくれてるだけです

決して、誤解しないように。期待しないように

だからこそ、ジャスト一分

唯「みんなはまだ来てないの?」

梓「まだみたいですね。私もさっき来たばかりなので」

唯「そっかー」

落ちた鞄を拾って、ソファーに置かれているあずにゃんの鞄の隣に置きます

同じくギー太も、あずにゃんのむったんの隣に

ささやかな幸せです

梓「みなさんもうすぐ来るでしょうし、先にお茶の準備しときましょうか」

唯「そうだねー。あ、手伝うよ」

梓「お願いします」

唯「今日のむぎちゃんのお菓子、何かなぁ」

梓「なんでしょうねぇ」



5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:23:36.18 ID:1FD7vy2wo

ガチャ

律「おいーっす」

澪「お、二人とも早いな」

りっちゃんと澪ちゃんが来ました

あずにゃんとの二人っきりの時間もおしまいです

それがちょっと惜しかったり

唯「遅いよ二人ともー」

梓「こんにちわ、律先輩、澪先輩」

律「ちょっとなー」

澪「そう言えば、むぎは?まだ来てないのか」

唯「まだ来てないみたいだよ」

梓「もうそろそろじゃないですかね」

その時です

ガチャ

紬「うふふ」

物置部屋の扉が開いて、そこからムギちゃんが現われました

紬「こんにちわー」

梓「ムギ先輩?」

律「なんでそんな所から。……まさか」



6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:24:13.64 ID:1FD7vy2wo

紬「うふふ、良い物見せてもらいましたーお二人さん」

梓「ちょ……」

唯「あはは……」

どうやら見られちゃったみたいです

私があずにゃん分補給するところ

恥ずかしいけど、同じくらいに嬉しいのは何故だろう

澪「相変わらず好きだなぁ、ムギは」

紬「趣味だからね。あ、もちろん澪ちゃん達のも大好きよ?」

澪「ちょ……!」

律「マジで……?」

紬「私に隠し通せると思ってたの?うふふ」

なんだか澪ちゃんとりっちゃんが真っ赤になってます

よくわからないけど、突っ込まない方がいいのかな

梓「もう!来てるなら最初から言ってくれれば、私も唯先輩に抱きつかれなくてすんだんですよ」

紬「あらあら、素直じゃないわねー」

梓「そ、そんなんじゃ!」



7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:24:41.25 ID:1FD7vy2wo

え、あずにゃん、やっぱり私に抱きつかれるの嫌なのかな……

こ、これからどうしようか

抱きつきたいけど、やっぱ一分は長すぎたのかな

三十秒、いや、二十秒くらいにしといた方がいいのかな……

紬「それじゃみんな揃ったし、お茶にしましょうか。今日はショートケーキよ」

ムギちゃんは、顔を真っ赤にしてる三人を横目にお茶の準備を始めました

心なし、どこかお肌がつやつやしているような気がします

澪「い、いつのを見られたんだろう……」

律「いやまぁ、見られたんなら仕方ねーんじゃねーの?」

澪「そ、そんなこと言ったって、もしアレとかアレとか見られたとしたら……」

律「だーから家に帰ってからでいいじゃんって言ったのにー」

澪「だって、あの時は律だって乗り気だったじゃ!」

よくわからない話をしてるけど、澪ちゃんとりっちゃんも抱き合ったりしてたのかな

まあ、幼なじみだし、仲いいもんね

はあ、それにしてもあずにゃんのこと、どうしよう……

梓「唯先輩?どうしたんですか、何か考え事を?」

気づくと、あずにゃんが私の顔を心配そうに見ていました

どんな顔をしていたのか自分ではわかりませんが、

唯「だ、大丈夫だよ!大したことじゃないって!」

あずにゃんに余計な心配をかけるわけにはいきません

決して大したことじゃないわけじゃありませんが、そう言っておきます

唯「ほらほらあずにゃん、お茶始めるよ。席に座って!」



10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:30:37.52 ID:1FD7vy2wo

夏休みが終わって、もう十月になろうとしていました

夏服から冬服に衣替えも始まって、もうすぐ文化祭の準備も始まろうとしています

日々を過ごして、時間が進んで行っても

それでもあずにゃんへの気持ちは変わりませんでした

むしろ、どんどん強くなっていくような気さえします

あずにゃんと会える毎日はとても楽しくて、毎日明日が待ち遠しいのですが

そんな気持ちの隙間にふと、この時間の終わりのことも考えるのです

つまり、卒業

まだ私は二年生で、まだまだ一年以上も先の話ですが

それでも、あずにゃんと当たり前のように毎日を過ごせる日々の終わりは、確実に近づいているのです

当たり前と言えば、当たり前の話です

私は二年生で、あずにゃんは一年生

誰にでも高校生活は三年間しかなくて

私はあずにゃんの居ない一年を、すでに過ごしているのです

そんなことが、この日々の終わりが頭を過ぎると

ふと、妹の憂がうらやましくなります

憂は一年生の今、あずにゃんと出会えているし、同じクラス

憂は三年間、あずにゃんと一緒なのです

あずにゃんの居ない一年を、過ごさなくていいのです

……って、そんなことを今更言っても仕方ありませんけど

軽音部のみんなと出会えた一年生のときは、それは、私も楽しくないはずがありませんでしたから

でも、どこかで「ずるいなぁ」という自分勝手な感情も、やっぱりあるわけですけど



13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:31:31.80 ID:1FD7vy2wo

律「そういえば、もうすぐ文化祭だな」

ムギちゃんのお茶を飲んでいる時、りっちゃんがそう呟きました

澪「そういえばそうだな。あと……三週間か」

紬「澪ちゃんのクラスは何をやるの?」

澪「あー、どうだろうな。喫茶店とかじゃないかな」

律「え、澪、メイド服着るの!?」

澪「き、着るわけないだろ!私は、たぶん受付とかになるよ。ライブもあるし……」

律「ちぇー」

紬「ふふ、りっちゃん。メイド服、うちにあるわよ?」

律「え、マジで?ちょっとそれ今度かs」

澪「こ、こら律!――む、むぎのクラスは何をやるんだ?」

紬「それがね、私たちのクラスは部活してる人が多くて。クラスの出し物にまで手が回らないから」

郷土研究になったの、とむぎちゃんは残念そうに言いました

そうです。私たちのクラスは郷土研究

つまり、実質的に出し物はしないのです

去年は焼きそば屋さん楽しかったし、今年も何かやるのかなってちょっと楽しみだったんですけど

それでも、仕方ありません

それに、クラスの出し物が無い分、放課後ティータイムの活動に時間が割ける

つまり、あずにゃんとの時間が確保されたわけです

あ、そういえば

唯「あずにゃん」

梓「はい?」



14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:32:04.20 ID:1FD7vy2wo

可愛らしく両手でマグカップを持ってお茶を飲んでいたあずにゃんが、私に顔を向けます

少し首を傾げるその仕草なんて、私はきっとずっと死ぬまで覚えていることでしょう

唯「あずにゃんのクラスは出し物あるの?」

出し物何をするの、と聞いた方が良かったと思いました

これじゃあ、まるで出し物が無ければいいのにと思っているようじゃないですか

いや、思ってはいますけど、それでも

梓「たぶんやりますよ。みんな乗り気でしたし」

まあ、そうですよね

唯「そ、そっか。ははは……」

当たり前に、ありますよね

梓「あ、でもちゃんとライブのために、裏方に回してもらいますよ。私もライブ楽しみですし」

そう言って微笑むあずにゃん

その微笑みの対象が私であることに、どこかムズムズします

律「そう言えば梓はこのメンバーでライブするの始めてだよな」

梓「はい。というか、ライブをするのも初めてです。
  バンドに入ったの放課後ティータイムが初めてなので」

紬「そっかー。梓ちゃん、初めてなんだー」

むぎちゃん、なんか言い方エロい

澪「まあ、ライブは二日目だから、
  梓はクラスの出し物も頑張っていいよ。一年生の出し物は一日目だしな」

が、頑張っちゃダメだよ澪ちゃん。あずにゃんに会えなくなるじゃん

梓「そ、そうですけど、やっぱりライブの練習もしっかりやりたいので……」

その時チラっと、あずにゃんが私を見ました

いや、私がずっと見てたから、たまたま目が合っただけなのかもしれませんけれど

唯「そ、そうだよね!練習もしっかりしなきゃ!」

梓「そうですよ。だからこんな風に、のんびりしてるのも時間が勿体無いです」



15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:32:30.72 ID:1FD7vy2wo

唯「こ、これは大事な時間なんだよ。お茶しながら力を蓄えてるんだよ!」

そういうことにしておきます、と言って、あずにゃんはため息をつきました

でもそれは、なんというか、暖かくて、どこか優しげな種類のため息のような気がしました

律「曲目は何にする?Happy Jackやろうぜ!」

澪「洋楽なんかみんなわからないだろ」

律「そっかなぁ。唯が歌ったら結構可愛いアレンジになると思うんだけど」

澪「――なんで唯?」

律「だって一応ボーカル……ちょっと、澪」

違うって、ちょ、待って澪!

何故か不機嫌になった澪ちゃんをりっちゃんが必死になって言い訳しています

どうしたんだろう

澪「どうせ私が歌っても可愛くありませんよーだ」

律「だからそんなつもりじゃ無かったんだって」

紬「ふふふ」

澪「じゃあ、そろそろ練習するか。曲目はまあ、あとで考えよう」

梓「そうですね」

唯「やろっかー」

みんなが立ち上がって、楽器の方へ向かいます

何気に、あずにゃんとの距離が近くなるから練習するのは結構好きだったりします

お茶してる時は、あずにゃんと私の距離は結構開いてますから

席順、やっぱり失敗だったかな

せめてりっちゃんと私が交代すれば、あずにゃんとの距離も近くなるのに



16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:33:34.80 ID:1FD7vy2wo

唯「ただいまー」

玄関に入ると、エプロン姿の憂が出迎えてくれました

憂「お帰りなさい、お姉ちゃん」

唯「もう外真っ暗だよ」

憂「陽が落ちるの早くなったね」

唯「もうすぐ寒くなるよ。嫌だねー」

靴を脱ぎながら、憂とそんな話をします

憂は私が靴を脱ぎ終わるまで、にこにこしながら待っていてくれました

唯「今日のご飯なーに?」

憂「今日はお肉が安かったから、ハンバーグにしたの。もうすぐ出来るよ」

唯「いつもありがとうね、憂。いいお嫁さんになれるよー」

そんな、とはにかむ憂はとても可愛いです

憂もいつかお嫁さんになっちゃうのでしょうか

まあ憂なら、いい相手が見つかるでしょう

いいお嫁さんになれるでしょう

私は、どうだろう

料理とか家事とか得意じゃないし、まず、女の子が好きな時点で幸せになれるとは思いません

かと言って、あずにゃん以外の人にはこれっぽっちも興味がありませんけれど

憂「先に着替えてきてね、お姉ちゃん。降りてきたら、すぐにご飯食べられるようにしておくから」

唯「はーい」

そんな将来への漠然とした不安にぼうっとしながら、私は階段に向かいます

ちら、っとキッチンの方を見ると、憂が何かを口ずさみながら食器を並べていました



18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:34:13.35 ID:1FD7vy2wo

唯「ねー、ういー」

憂と二人での夕食です

お父さんとお母さんはいつものように旅行で、私たち二人での夕食は慣れています

えっと、今回はどこだっけ。フィンランドだっけ?

憂「どうしたの、お姉ちゃん」

唯「さっき歌ってたの、なんて歌?」

憂「え?」

唯「さっきご飯の準備しながら歌ってたじゃん」

憂「あ!」

き、聞いてたの?と憂が顔を赤らめます

憂「えっとね、あれは『いっしょにたべよう』って曲なの」

唯「いっしょにたべよう?」

うん、と頷いて憂はお茶を飲みます

憂「恋人との夕食のために、頑張ってお料理するって歌。歌ってた人はもう亡くなったんだけど」

とても優しい歌だから好きなの、と憂は言います

その表情がとても優しげで、だからきっと、憂はその歌が大好きなんだと思いました

唯「そっか」

憂「今はお姉ちゃんといっしょにたべよう、だね」

唯「恋人じゃなくてごめんね」

憂「そんなことないよ。お姉ちゃんと一緒にご飯食べるの、好きだよ」

憂と二人で笑います



19 名前:>>17 文字数で12万くらいだからたぶんここでは収まります:2012/02/27(月) 01:36:01.36 ID:1FD7vy2wo

でも、そっか。恋人かぁ

唯「憂は今、好きな人居るの?」

憂「え!?」

えっと、と憂が視線を落とします

憂「……うん。居ないよ」

唯「そっかー」

まあ、女子高だしね

憂「お姉ちゃんは?」

唯「うぇ、私?」

……あずにゃんが好き、だなんて

さすがに憂にも、言えません

唯「居ないよー。私そういうの、まだわからないもん」

私のこの気持ちは、たぶんずっと、誰にも話さないまま終わります

憂「……そっか」

そう言って、憂は不思議な微笑み方をしました

憂「頑張ってね、お姉ちゃん」

唯「?」

あ、そうだ

唯「憂、その、『いっしょにたべよう』って歌。私、練習して聞かせてあげるよ」

憂「え、ほんと!?」

唯「うん。あとでCD貸してね。あずにゃんに習って、弾けるようになるよ」

憂「ふふ、ありがとう、お姉ちゃん」

唯「あ、あとさ。……週末、あずにゃんをお泊りに誘っていい?」

憂「うちに?いいよ。初めてだよね。梓ちゃんが泊まりにくるの」

『いっしょにたべよう』って歌を憂から聞いたからじゃないけど

それでもやっぱり、そういうのは憧れます

恋人同士じゃなくても、その可能性は無くても

好きな人と夕食を食べるのは、頑張れば出来そうです

憂の許可も貰ったし、あとはあずにゃんを誘うだけです

来てくれるかな、あずにゃん



20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:36:51.94 ID:1FD7vy2wo

梓「今週末、ですか?」

唯「う、うん」

翌日の放課後

練習の合間の、休憩時間

ティーカップを両手で持って、あずにゃんは目をぱちくりしました

唯「予定が無いなら、うちでお泊りとかどうかなって」

梓「別に予定は無いですけど……いきなりどうしたんですか?」

唯「え、えっとね」

よし、あずにゃん予定無いんだ!

唯「ほ、ほら、あずにゃんこないだ、
  両親がお仕事で家空けちゃうって言ってたじゃん。寂しいかなって思って」

心遣いはありがたいんですけど……、とあずにゃんが私を上目遣いで見つめます

梓「本当にそれだけですか?」

唯「あ、当たり前だよ!他意は無いよ!」

憂のお料理おいしいよー

一人じゃないから寂しくないよー

一緒にお風呂入れるよー

夜遅くまでお話できるよー

梓「い、一緒にお風呂は遠慮しますけど……」

ちぇー

でも、とあずにゃんは言いました

梓「……そうですね。一人じゃちょっと寂しいので。もし迷惑じゃなければ」



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:37:23.08 ID:1FD7vy2wo

お泊りに行ってもいいですか、と

あずにゃんは言いました

唯「も、もちろんだよ!」

梓「それじゃあ今週の金曜から、ですね。よろしくお願いします」

唯「やったー!」

律「なんだ、梓も外泊するのか」

梓、も?

唯「りっちゃんもどこかにお泊りするの?」

律「ああ。澪ん家にな。澪の両親も今週末居ないって言うからさ」

唯「へー」

律「一人じゃ怖いってうるさいからなー。そこで私が仕方なく……」

澪「べ、べつに怖いとか言ってないだろ!」

澪ちゃんが真っ赤になって反論していますが、まあ、一人が怖いのは本当だと思います

それにしても、りっちゃんもお泊りかぁ

……もしかして、

唯「むぎちゃんも、もしかしてどこかお泊りするの?」

それまでニコニコと私たちの会話を聞いていたむぎちゃんは、

突然話を振られてびっくりしたのでしょうか、何故かビクっとしました

紬「え?」

唯「あ、みんなお泊りするから、もしかしたらむぎちゃんもかなーって」

紬「う、うん。そうね。さわk、じゃないわ。ホテルと両親に泊まる予定に」

律「……むぎ、ちょっとこっち来て」

その瞬間、りっちゃんと澪ちゃんが立ち上がり、むぎちゃんを引きずって物置に入りました

あまり中の声は聞こえませんが、何かを話しているようです



23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:37:51.25 ID:1FD7vy2wo

「……マジで……さわちゃ……」

「黙っ……なさい……でもバ……と大変な……」

「いや……ないけどさ……実は……」

「そう……私達もちょ……って思っ……」

「ほ、本当!?」

何の話をしてるんだろう

梓「さあ。ちょっと聞こえませんが……」

唯「でも『本当!?』ってのだけは聞こえたね」

梓「そうですね」

んー。まあ、いいや。今はあずにゃんの方が大事だ

唯「へへへ。週末はあずにゃんと一緒だね」

梓「そうですね」

唯「これで寂しくなくなるよ!私が!」

梓「よく言いますよ。言うほど寂しいわけじゃないくせに」

唯「ほ、本当だってー」

梓「はいはい。そういうことにしておきます」

「こ……ゆ……とあず……に……」

「まだ言わ……の」

「……だもんな」

「今が……二人に……期だから……」

「……った」

「あり……」

がちゃ、っと扉が開いて、中から三人が出てきました



24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:38:29.74 ID:1FD7vy2wo

唯「おかえりー」

律「ただいまー」

梓「何の話をしていたんですか?」

澪「ああ、大したことじゃないんだ。気にするな」

唯「えー、なんかずるいー」

紬「ごめんね。でも今は、二人のことだけに集中してほしいのよ、唯ちゃん」

唯「ほえ?」

梓「そ、そういう話だったんですか……」

何故か顔を真っ赤にするあずにゃん

今日は表情がコロコロ変わって、色んなあずにゃんが見られます

唯「そういう話ってどういう話ー?」

梓「私も知りません!」

あずにゃんがプイっと顔を背けます

可愛い

唯「むー。なんか疎外感」

梓「私が居るじゃないですか」

唯「いーもんねー。こうなったら、私はあずにゃんと独立します!」

あずにゃんをぎゅーっと抱きしめます

梓「ちょ、唯先輩!」

唯「これから私達は『ゆいあず』として独立します!」

律「む!HTTから足抜けすると申すか!」

唯「ふふふ。ギターが二人も抜けたら大変じゃないかな?」

律「くっそー。まさか梓までそっち側とはな!」

梓「私の意思じゃありません……」



25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:38:57.89 ID:1FD7vy2wo

唯「ギター二本でどこまでも行くよ私達は……う、嘘だから澪ちゃん。泣かないで……」

澪「う、嘘でも抜けるとか言うなよぉ……」

澪ちゃんが涙目でした

唯「冗談だよぉ。放課後ティータイムは永遠だよー」

律「ごめんごめん。ちょっと乗っかっただけだから。冗談だって」

よしよしとりっちゃんが澪ちゃんの頭を撫でます

こういう時、りっちゃんってすごいなと思います

いつも自然に、澪ちゃんを慰めたりフォローしたり出来るから

梓「むぎ先輩……鼻血出てますよ……」

紬「いいのいいの!私のことは気にせず続けて!」

むぎちゃんは幸せそうです

いつも通りの軽音部の日常です

その時、腕の中であずにゃんが呟きました

梓「永遠、か……」



26 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:39:25.72 ID:1FD7vy2wo

金曜日の放課後
唯「まだかなー」

今日はあずにゃんが家にお泊りに来る日

今日という日を心待ちにしてきました

なんだかソワソワしてきます

憂「お姉ちゃん、そんな玄関で待ってなくても……」

苦笑しながら、憂がそう言います

だって部屋の中でじっとしてたら、時間が経つの遅く感じるんだもん

和「本当に嬉しいのね、梓ちゃんが泊まりにくるの」

唯「あ、和ちゃん」

リビングから、和ちゃんがやってきました

和「でもそんなお泊りの日に、本当に私もお邪魔してよかったのかしら」

唯「いいに決まってるよー。大歓迎だよー」

和ちゃんも今日は家にお泊りです

高校に入ってから初めてかな?

以前は結構頻繁にお泊りしに来てくれてたのに

憂「あ、当たり前だよ和ちゃん!私が誘ったんだもん!」

憂がわたわたと手を振って、和ちゃんに言いました

そうです。今日、和ちゃんを呼んだのは他ならぬ憂なのです



27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:39:52.36 ID:1FD7vy2wo

『お姉ちゃん、その、週末に梓ちゃんがお泊りに来る時、和ちゃんも呼んでいいかな……?』

そう言われた時は何も考えずにオッケーしましたが、いきなりどうしたんでしょう、憂は

まあ、最近和ちゃんが家に来なくなったから寂しかったのでしょう

和ちゃんに懐いてるからなー、憂は

っと、そこで、玄関のドアベルが響きました

唯「あずにゃん来た!」

鍵を開けるのすらもどかしく、急いで扉を開けました

開けた扉の先に居たのは、我が麗しの天使、あずにゃん

右手がドアベルを押した形のまま空中で止まっていて、目を丸くしていました

唯「いらっしゃい、あずにゃん!」

梓「こ、こんにちわ、唯先輩。早いですね、出てくるの」

唯「いやー、あずにゃんが来るの待ち遠しくて、玄関で待機してましたから!」

梓「もう、何ですかそれ」

あずにゃんが笑います

あ、信じてないな?

唯「まあいいや。さあさあ、上がって上がって」

梓「はい、お邪魔します」

あずにゃんを招き入れます



28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:40:28.60 ID:1FD7vy2wo

憂「いらっしゃい、梓ちゃん」

和「こんにちわ」

梓「あ、こんにちわです」

あれ?

唯「驚かないんだね、あずにゃん。和ちゃんが居るの知ってた?」

梓「うぇ!?」

びっくりしたように、あずにゃんが変な声を上げました

梓「え、えっとそれはその」

憂「わ、私が伝えてたんだよ。和ちゃんもお泊りするからって。ね、梓ちゃん?」

梓「う、うん!」

ふーん、そっか。まあいいや

唯「あずにゃん、荷物をお持ちします!」

梓「え?で、でも先輩にそんなことをさせるわけには」

唯「いいからいいから」

お泊り道具が詰まっているだろうドラムバッグをあずにゃんから奪い取り、肩に担ぎます

唯「じゃあ、荷物置いてくるから。あずにゃんはリビングでゆっくりしててね!」

梓「は、はい」

急いで玄関からリビングを抜け、階段を駆け上ります



29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:41:04.42 ID:1FD7vy2wo

そうです。目指す場所は私の部屋

こうして私の部屋に荷物を持って行くことで、自然と今夜あずにゃんの寝る場所が決まるのです

あずにゃんは私の部屋で私のベッドで一緒に寝るのです

まあ、一緒に寝るからと言っても、私がしたいようなあれこれは出来ないでしょうけれど

でも、一緒に寝るくらいはいいじゃない。せっかくあずにゃんがお泊りにきてくれたんだもの

部屋の扉を開けて、ドラムバッグをベッドの上に置いて

そして急いでリビングへと戻ります

時間が惜しい!

あずにゃんと過ごす時間が!

唯「た、ただいまー!」

階段を降りてリビングへ出ると、三人はさっそくお茶してました

憂「お姉ちゃん、そんな慌てなくても……」

和「なんだか今日はいつにもまして落ち着き無いわね、唯」

梓「そんなに走ると怪我しますよ、唯先輩」

唯「へへへ、ごめんごめん」

私もソファーに座ります

自然にあずにゃんの隣に座ることも忘れてはいません



30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:41:27.92 ID:1FD7vy2wo

憂「お姉ちゃん、はいお茶」

唯「ありがとー」

さて、と

唯「あずにゃん、今日からゆっくりしていってね」

梓「はい、お世話になります」

憂「和ちゃんも、いっぱいお話しようね!」

和「そういえば最近忙しくて、憂ともあまり話が出来てなかったわね。その分の埋め合わせしましょうか」

憂「うん!」

あずにゃんと憂が顔を見合わせて、微笑みます

やっぱり仲がいいんだなー、二人とも

同じクラスだし

……私も同じ学年で、同じクラスだったら良かったのに

あずにゃんに名前で呼んでもらったりとか、考えただけでドキドキします

まあ、唯先輩って響きも、とてもたまらないのですが

梓「ところで、これから何をしましょうか」

唯「ゴロゴロしようよー」

梓「ダメですよ、だらしのない……」

憂「そうだね。ちょっと時間が中途半端だよね」



31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:42:04.75 ID:1FD7vy2wo

憂がちらっと、時計を見ます

今の時刻は、午後三時半

みんなに用事があるので、今日の部活はお休みにして急いで帰ってきた次第です

憂「そうだ。今のうちに夕飯の買い物行っちゃおうか」

ぽん、と手を打って憂が言いました

憂「四人だから、いつもより多めに作らなきゃね」

和「そうね。そうしましょうか」

あ、だったら

唯「私が行ってくるよ、憂!」

憂「え、いいの?」

唯「うん!私とあずにゃんとで行ってくるよ!」

梓「え、私もですか?」

唯「だ、だめ?」

梓「だ、だめじゃないです。ご一緒します!」

そうです

こんな風に自然な感じで、あずにゃんとプチデートが出来るのです!

和「四人分ともなるとそれなりの量になるだろうから、二人の方がいいわね」

ほら、和ちゃんもフォローしてくれてます



32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:42:37.11 ID:1FD7vy2wo

憂「それじゃ、お願いしていいかな、お姉ちゃん、梓ちゃん?」

唯「もちろんだよ!さあ行こうあずにゃん!」

梓「ちょ、わかりましたからそんなに急かさないで下さい!」



33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:43:04.02 ID:1FD7vy2wo

唯「えっと、それから」

梓「人参と……たまねぎですね」

商店街のスーパー

二人で夕飯のお買い物中です

梓「牛乳っと……あった。こっちでいいんですよね?」

唯「うん。いっつもそれだよー」

梓「うちと一緒ですね」

唯「本当に?えへへ、気が合うねあずにゃん」

梓「選んでるのは私じゃなくてお母さんですよ」

そう言って微笑むあずにゃん

梓「それよりもほら、次は何を買うんですか?」

唯「えーっとね」

憂に書いてもらったお買い物メモに目を向けます

唯「次はお刺身だねー。好きなのでいいってさ」

梓「っていうか、他にも結構量がありますね。食べきれるのかな……」

唯「大丈夫だよ。四人も居るし。それに、憂のご飯は美味しいよー?」

梓「憂、料理上手ですもんね」



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:43:35.95 ID:1FD7vy2wo

あずにゃんがマグロとカレイのお刺身を手に取ります

梓「どっちがいいですか?」

唯「マグロ」

梓「じゃあマグロで」

あずにゃんがカゴの中にマグロのお刺身を入れました

唯「え、あずにゃんいいの?」

梓「私もマグロの方が好きなので」

そうなんだ。じゃあ、

唯「今度こそ、気が合うね、あずにゃん」

梓「ふふ、そうですね」

そっかー。あずにゃんマグロ好きなんだー

猫っぽいからかな?

梓「さて、あとは……」

唯「アイス!」

梓「もうそんな季節じゃないのに……」

唯「季節なんて関係ないよ!ちゃんと四人分買うから!」

梓「はいはい、わかりました」

唯「あずにゃんは何がいい?」

梓「唯先輩と同じやつでいいですよ」

唯「本当に?おそろい?じゃあねー、おすすめのやつがあってねー」



35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:44:01.35 ID:1FD7vy2wo

唯「あずにゃん、重くない?」

帰り道

二人、両手にビニール袋を持ってゆっくりと歩きます

アイスは氷と一緒に入れているので、しばらくは溶けないでしょう

随分と涼しくなったし

梓「大丈夫です。唯先輩こそ重くないですか?そっちと変えましょうか」

唯「大丈夫だよー。あずにゃんよりも先輩なんだから、重い方は私が持つの!」

梓「じゃあ、ゆっくり帰りましょうか」

二人で並んで、川原の道をゆっくりと歩きます

今が何時頃なのか、時計も携帯も持っていないのでわかりませんが、もう陽が暮れ始めていました

唯「陽が落ちるの、早くなったねえ」

梓「そうですね。もう今年もあと二ヶ月で終わりですよ」

唯「早いねー」

梓「早いですねー」

少し前まで、夏のなごりというか

そういう残り香みたいなものも感じられたのですが、今ではもう、欠片もありません



36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:44:37.41 ID:1FD7vy2wo

唯「ねえ、あずにゃん」

梓「なんですか?」

唯「夏の終わりってさ、なんか寂しいよね」

梓「夏、嫌いなんじゃないんですか?唯先輩。暑いの苦手だから、てっきり」

唯「あー、暑いのは苦手なんだけどね。でも、夏の雰囲気は好きなの」

唯「なんか、にぎやかな感じがするんだよね。お祭りというか、全部が生き生きしてるというか」

梓「それが終わっちゃうのが寂しいんですね」

唯「うん。そうだと思う」

へへ、と笑うと、あずにゃんが微笑んでくれる

唯「だから、夏の終わりになると名残りを探しちゃうの。まだどっかに残ってないかなって」

梓「例えば、どんな名残りですか?」

唯「風の匂いとか、空の青さとか……あと、蝉の鳴き声とか」

梓「蝉ですか?」

唯「うん。蝉の鳴き声って、夏だなーって感じがするじゃん。
  だから、蝉の鳴き声が聞こえてる間はまだ夏かなって」

梓「なるほど」

唯「変な話しちゃってごめんねー」



37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:45:06.60 ID:1FD7vy2wo

梓「いえ。……他の季節は嫌いなんですか?」

唯「そんなことないよー。春は桜が綺麗だし、秋は美味しいものたくさんあるし。
  冬は寒いけど、雪とか降るしクリスマスもあるし」

でも、

唯「でもやっぱり、夏はなんか特別なのかな。
  来るとワクワクするし、終わると寂しいよ。なんでだろうね?」

梓「なんででしょうね。でも、気持ちはわかりますよ」

唯「そっか。ありがとね、あずにゃん」

梓「いえ。……もう蝉は鳴いてないんですか?」

唯「うん。毎年ね、ここらへんで蝉の鳴き声が聞こえなくなるとさ。
  近所に林があるから、そこまでぶらーっと行ってさ。蝉の鳴き声を探すの」

唯「ここら辺じゃ聞こえなくても、その林だけ、蝉がまだ鳴いてたりするんだけどさ。
  一週間前くらいかな?もうそこでも鳴き声は無くなっちゃったから」

もう夏は行っちゃったんだよ

そうですか

そのまま、あずにゃんも私も何も言いませんでした

この沈黙がどういう種類の沈黙なのかわかりませんでしたが

居心地の悪い沈黙ではありませんでした

お互いの考えていることがわかるというか

わかるというのは言いすぎでも、検討は付くというか

まあ、私はあずにゃんが大好きで、ただ一緒に歩いているだけで幸せだということもあるのでしょう

梓「また……」

唯「え?」

梓「また来ますよ、夏。来年も」

唯「……うん」

あずにゃんはとても優しいです



38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:45:39.24 ID:1FD7vy2wo

唯「ただいまー」

憂「おかえりー、お姉ちゃん、梓ちゃん」

唯「重かったよー」

梓「お疲れ様です。頑張りましたね、唯先輩」

唯「あずにゃんもねー」

憂「お疲れ様、二人とも。すぐにご飯の準備するからね」

唯「今日のご飯なにー?」

憂「ん?いろいろ。いっぱい作るから、お腹をすかせて待っててね」

憂が張り切っています

やっぱり、和ちゃんとあずにゃんがお泊りにきてくれたのが嬉しいのでしょう

リビングに入り、キッチンへ

買い物袋を置くと、憂がエプロンを付けます

梓「あ、私も手伝うよ。夕飯の支度」

憂「いいよ梓ちゃん。お買い物行ってもらったし、ゆっくりしてて。……お姉ちゃんと」

どこか悪戯っぽく憂が微笑むと、なんだかあずにゃんの顔が赤くなったような気がしました

唯「……あずにゃん、風邪?」

だったら大変です

季節の変わり目。こういう時に体調を崩しやすいのですから



39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:46:08.43 ID:1FD7vy2wo

風邪を引いてあずにゃんが学校を休むということになれば、私はもうどうしたらいいか……

梓「だ、大丈夫ですから!顔覗き込まないでください!」

ぷいっと顔をそむけるあずにゃん

風邪じゃないなら、いいのですが

唯「じゃあ、私と一緒にゆっくりしようよー」

ぎゅっとあずにゃんを抱きしめます

梓「ちょ、唯先輩……!」

唯「いいでしょ?今は学校じゃないし。
  それに今日は部活無かったから、あずにゃん分補給出来なかったもん」

梓「で、でも憂も和先輩も居るじゃ……」

唯「そういえば和ちゃんはどこに行ったんだろうね」

見当たらないけど

靴はあったから、お出かけではないでしょう

おっと、それどころじゃない

唯「あーずにゃーん……」

あずにゃんの首元に鼻先をうずめます

いい匂いで、あったかくて、肌なんかさらさらで

本当に落ち着きます



41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:46:39.30 ID:1FD7vy2wo

唯「ふあー……」

出来るだけ、このあずにゃんの感触を体で覚えておかないと

許された時間は少ないのですから

三、二、一、と

唯「……はい、終わり!」

梓「え?」

唯「補給終わりー。どうしたの?」

梓「なんかいつもより短か……なんでもないです」



どこか浮かない顔のあずにゃん

どうしたのでしょう

ちゃんと十五秒ルールは守りましたよ?

梓「むー……」

上目遣いで睨まれます

唯「あずにゃん怖い顔しても可愛いよ?」

梓「な、何言ってるんですか!」

ああ、いつものあずにゃんに戻った



42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:47:07.21 ID:1FD7vy2wo

唯「ほらほら、あずにゃん。疲れてるでしょ?一緒に座って、テレビでも見ようよ」

そんなあずにゃんをソファーに誘います

もちろん私の隣に

梓「じゃあ、失礼します」

唯「……あずにゃん、もっと近くにおいでよ」

梓「いや、ソファー大きいんですから、そんなに密着しなくても……」

唯「えー!ダメだよこっちの方がテレビ見やすいから!だからお願いあずにゃん!」

梓「ちょ、だから近いですって!先ほども言いましたけど、憂も和先輩も……」

和「あら、二人ともお帰りなさい」

あずにゃんと必死の攻防をしていると、和ちゃんが戻ってきました

半ズボンに半そでTシャツというラフな格好の和ちゃん

寒くないのでしょうか

唯「ただいまー。和ちゃんどこ行ってたの?」

和「ああ、お風呂を掃除してきたの。憂にばかりやらせても大変だろうから」

梓「……聞きましたか唯先輩。これが年上の女性というものですよ」

唯「耳が痛いよ……」



43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:47:38.37 ID:1FD7vy2wo

和「いいのよ梓ちゃん。唯に手伝わせると、ほら……ね」

梓「ああ……そうですね」

唯「え、なに?なんでそんな目で見るの二人とも」

和「気にしなくていいのよ」

梓「そうです。それが唯先輩の良い所でもあるんですから」

唯「なんかよくわからないけれど、喜んでもいいの?」

梓「はい」

やったー!あずにゃんに褒められた!

憂「あ、和ちゃん」

キッチンからひょっこりと憂が顔を出しました

和「お風呂掃除終わったわ、憂」

憂「ありがとう和ちゃん。ごめんね、お客様なのに……」

和「何言ってんの。幼馴染なんだし、遠慮しないで。
  夕飯の支度も手伝うわ。エプロンはこれ着ていいのね?」

憂「で、でも和ちゃん、疲れてるんじゃ……」

和「お風呂掃除だけだもの。平気よ」

梓「そうだよー。手伝って貰いなよ和先輩に。四人分だと結構大変でしょ?」

憂「も、もう梓ちゃんったら……」



44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:48:05.95 ID:1FD7vy2wo

憂の顔が心なしか赤くなってます

あずにゃんはニヤニヤしてるし

そんなあずにゃんも可愛い

憂「じゃ、じゃあ、お願いしてもいい?」

和「もちろんよ。えっと……」

そうして和ちゃんと憂が夕飯の支度を始めました

こうやってソファーに座りながら二人が夕飯の支度をするという光景は久しぶりでした

中学までは見慣れていたので、どこか安心するというか、ほっとする光景です

唯「絵になるでしょ。二人がキッチンに立ってると」

同じく私の隣に座って(話かけながらあずにゃんとの距離を少しづつ詰めています)、

二人を見ているあずにゃん

梓「そうですね。なんか、和先輩も憂もしっかりしてるタイプだから、お似合いというか」

唯「でしょー?」

梓「……唯先輩も少しは和先輩を見習ったらどうですか。そんなにベタベタしないとか」

唯「えー?」

あずにゃんの肩と私の肩を密着させながら、私はあずにゃんに言いました

唯「でもほら、和ちゃんもけっこうベタベタするよ?」

梓「え?」



45 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:48:37.94 ID:1FD7vy2wo

和「相変わらず良いお尻してるじゃない」ナデナデ

憂「あっ!……もー、和ちゃんったら」

和「別にいいじゃない。幼馴染でしょ?」モミモミ

憂「お料理中だから危ないよぉ」



46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:49:25.00 ID:1FD7vy2wo

唯「ね?」

梓「聡明な和先輩のイメージが……」

和ちゃんも久しぶりに憂とお泊り出来て、浮かれているのかもしれませんが

唯「幼馴染だし、あんなもんでしょー」

梓「お尻揉みしだいてましたよ、和先輩……」

唯「憂もスキンシップ大好きだよ?」

梓「憂も嫌がってないところがまた、ね……」

だーかーらー

唯「私達もしよーよー」

梓「だからなんでそうなるんですか」

この流れだったら、あずにゃん、お尻触らせてくれないかなー

唯「だって悔しくない?あっちに負けてるよ!」

梓「こっちはこっちで、マイペースでやるんで心配しないでください」

唯「じゃあマイペースにやろー」ギュー

梓「んむぅ……もう、唯先輩は……」

三、二、一

唯「はい終わり!」

梓「……」



47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:49:52.43 ID:1FD7vy2wo

唯「ふぁー、お腹いっぱいー」

梓「憂、和先輩、ご馳走様でした。美味しかったです」

和「私は手伝ったくらいだから気にしないで、梓ちゃん」

夕ご飯を食べ終わりました

やっぱり、みんなで食べるご飯は美味しいです

両親が仕事だったり旅行だったりでほとんど家に居ないから、いつも憂と二人きりだもんね

憂と一緒なら、寂しくはないんだけれど

梓「ほら、唯先輩。食べてすぐ寝るなんてだらしないですよ」

唯「だってー。お腹いっぱいで動けないよー」

ゴロリと横になります

梓「もう、唯先輩ったら」

ゴロゴロしてたら、視線がスカートで座ってるあずにゃんの足に向きます

……チラっと見えないかな

憂「お粗末様でしたー」

そう言って、憂は食器を片付け始めます

憂「ごめんね、つい張り切って作りすぎちゃった。全部食べてくれてありがとうね」

梓「美味しいから全然大丈夫だったよ。あ、私も手伝うね」

憂「え、大丈夫だよ梓ちゃん。お客様なんだし……」



48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:50:23.89 ID:1FD7vy2wo

梓「料理は全部任せちゃったんだから、これくらいさせてよ」

憂「ゆっくりしてもらうはずだったんだけど……そうだ、お姉ちゃんとお風呂入ってきなよ!」

梓「え!?」

ほっほう……

唯「今すごく魅力的な言葉を聞いたんだけど」

梓「ゆ、唯先輩……」

唯「一緒に入ろっか!あずにゃん!」

梓「お断りします」

唯「なんでさー!」

あずにゃんとお風呂だよ?こんな機会、滅多にないよ?

梓「恥ずかしいじゃないですか……
  それに、もう子供じゃないんだからお風呂くらい一人で入ってください」

唯「ちぇー」

まあ、嫌がってるなら仕方ないか

無理強いして嫌われるのもいやですし

唯「じゃあ、和ちゃん。久しぶりに一緒に」

梓「誰でもいいんですか?」

唯「一人でお風呂入ってきます」

梓「はい。いってらっしゃい」

あずにゃんの目が怖かったよー

なんで睨むのさー

なんか怒らせるようなことしたかな……



49 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:50:50.60 ID:1FD7vy2wo

唯「ふいー。いいお湯だったよー」

お風呂から出ると、憂は洗濯物をたたんでいて、

あずにゃんと和ちゃんはテレビを見ながらお茶を飲んでいました

憂「おかえり、お姉ちゃん」

唯「気持ちよかったよー。和ちゃんはお風呂掃除の天才だね!」

和「誰がしても同じだと思うわよ」

そんな謙遜しちゃってー

もう秋も深まって、最近では夜になると肌寒い日が続いてます

そんな時期のお風呂はどうしてこんなに幸せなんでしょうか

梓「はい、唯先輩」

そんなことを考えていると、何やら冷蔵庫の方でごそごそしてたあずにゃんがやってきました

唯「アイスだ!」

梓「唯先輩が買ったんじゃないですか。
  憂が『お風呂上がったら食べてもいいよ』って言ってましたから、はい」

唯「ありがとー、あずにゃーん」

思わず抱きしめちゃいます

あー、やっぱ大好きだよあずにゃん

梓「……唯先輩あったかい」

唯「あれ、抵抗しないね、あずにゃん?」

梓「抵抗しても抱きつくじゃないですか」



50 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:51:24.65 ID:1FD7vy2wo

唯「まあねー」

梓「っていうか唯先輩。髪がちゃんと拭けてませんよ」

唯「え、そう?」

梓「適当にするからですよ。憂、タオルある?」

憂「うん。はい、これ」

洗濯物の中から憂がタオルを出して、あずにゃんに渡します

唯「……おお?」

梓「動いちゃだめですよ」

わしゃわしゃと

あずにゃんが

あのあずにゃんが……!

唯「あずにゃんが私の髪を……!」

梓「動いちゃだめですってば」

優しく私の髪を拭いてくれるあずにゃん

とても気持ちいいです

どこか気恥ずかしいけれど、何故だろう、安心というか、暖かい何かが心の中を満たします



51 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:51:50.99 ID:1FD7vy2wo

唯「はわー」

梓「はい、終わりました」

あずにゃんが一歩分、私から離れます

唯「あ、ありがとね、あずにゃん」

梓「いいですよ。それより、髪をちゃんとドライヤーで乾かしてくださいね。風邪引いちゃいますよ」

唯「うん。……あ、アイス」

梓「あ、ちゃんと髪乾かしてからですよ、唯先輩」

んーと

うん

唯「いや、あずにゃんがお風呂から出てからにするよ」

梓「え?でもそんな、先に食べてくれても……」

唯「ううん。いっしょにたべよう」

梓「……はい!じゃあ、急いで入ってきますね」

唯「ゆっくりでいいよー、あずにゃん」

憂「梓ちゃん、はい、新しいタオル」

和「私たちのことは気にしなくていいから、ゆっくり入ってきなさい」

梓「は、はい。じゃあ、お先に失礼しますね」



52 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:52:22.92 ID:1FD7vy2wo

そう言ってパタパタと浴室に向かうあずにゃん

そんなあずにゃんの後ろ姿を眺めながら、

唯「ごめんね、お風呂あとになっちゃって」

和「ん?別にいいわよ。最初から、先に入ってもらうつもりだったし」

唯「え?そうなの?」

和「ええ。私、憂と一緒に入るからちょっと長くなるし」

憂「も、もう和ちゃんったら」

憂も顔が真っ赤です

唯「いいなー……」

私もあずにゃんと入りたかったなー

和「明日、誘ってみればいいじゃない。もしかしたら入ってくれるかも」

唯「うん、そうする」

まあ、あずにゃんに髪わしゃわしゃして貰えたから

お風呂は明日のお楽しみということで我慢しましょう



53 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:52:59.74 ID:1FD7vy2wo

憂「じゃあ、そろそろ寝ようかー」

みんながお風呂から出たあと人生ゲームをしていたら、もう日付が変わってしまっていました

本当はもうちょっと夜更かしをしていてもいいんだけれど

和「そうね、そうしましょうか」

真面目な和ちゃんはそう言って、片付けを始めました

憂「じゃあ、部屋割りだけど。私とお姉ちゃんの部屋に一人づつでいいかな」

和「いいわよ」

唯「はいはい!私あずにゃんと寝る!」

絶対にあずにゃんと寝る!絶対に!

唯「いいよね、あずにゃん!」

梓「は、はい」

唯「やったー!」

あずにゃんが真っ赤な顔してるけど、もしかしてあずにゃんも嬉しいのかな!?

梓「べ、べつにそういうわけじゃないです!」

ですよねー

和「じゃあ私は憂とね。計画通り」



54 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:53:30.86 ID:1FD7vy2wo

唯「え?」

和「なんでもないわ。で、お布団だけど」

憂「あ、お客様用のお布団なら二階の押し入」

和「無いの?なら仕方ないわね。一緒に寝ましょうか」

和ちゃんが絶好調です

唯「お布団無いなら仕方ないね。あずにゃん、一緒のベッドだよ」

梓「な、無いなら仕方ないですよね」

和「そうよ。だから憂、今日は一緒に、ね?」

憂「う、うん。大丈夫だよー」

唯「それじゃあ……」

歯磨きして、部屋に行こう



関連記事

ランダム記事(試用版)




梓「私、結婚しますから」#1
[ 2012/04/01 17:40 ] 恋愛 | 唯梓 | CM(0)

コメント(アンカー機能)
●>>1と半角で書き込むと>>1と記事へのアンカーが生成される。
●*1と半角で書き込むと1とコメントへのアンカーが生成される。
上記の2つのアンカーが有効なのは該当記事のみ。

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

サイト関連
メール ツイッター 最新記事一覧(30件)
ユーザータグ 検索

U:
P:
色々変更
好みのカラーコードをどうぞ

記事の背景色変更


本体の背景色変更


名前の色変更
IE8:重
火狐4.01:軽
chrome:軽


広告4
広告5
広告6