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梓「私、結婚しますから」#2 【恋愛】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330186585/l50
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1330273140/

梓「私、結婚しますから」#index


55 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:53:57.62 ID:1FD7vy2wo

私の部屋です

唯「あずにゃんの荷物はあらかじめ私の部屋に運んでおきました!」

梓「知ってますよ。着替えとか歯ブラシとか取りにきたんですから」

そうだったねー。えへへ

唯「あずにゃん、やっと二人っきりになれたね」

梓「ま、またそう訳のわからないことを……」

あれー?結構かっこつけたんだけどなー

あずにゃんって雰囲気を大事にしそうだから、まずは雰囲気からって思って色々考えてたのに

……まあ、どうなろうって期待はしてないけどさ

でも、もしかしたらって小さい希望は持ってたり

あー、でもなー

やっぱり、女の子同士だしね……

梓「唯先輩?」

ふと我に返ると、あずにゃんが私の顔をのぞき込んでいました

梓「どうしたんですか?なんか凄い真面目な顔してましたけど」

唯「……できるだけ長くあずにゃんと一緒に寝るにはどうしたらいいかを考えてたんだよ」

梓「はいはい」



56 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:54:31.34 ID:1FD7vy2wo

なんとか誤魔化すことが出来ました

あずにゃんの前では、いつも通りの私でいたいのですが

やっぱり家の中だと、油断しちゃますね

梓「どうします?もう寝ますか?それとも、もうちょっとお話してます?」

唯「間を取って、お布団の中でお話しようよ」

梓「そうですね」

あずにゃんが、憂から受け取った枕を私の枕の隣に置きます

その枕と枕の距離が、心なし近いような気がして嬉しいです

……勘違いでしょうけれど

あずにゃんにしてみれば、きっとそれは先輩と後輩の関係なら、妥当な距離感なのでしょう

そんなことを考えつつ、布団に潜り込みます

梓「じゃあ、電気消しますよー」

唯「はーい」

電気が消えて、部屋の中が真っ暗になりました

ゴソゴソと音がして、ベッドが軋みます

唯「あずにゃん、おいでー」

梓「失礼しますね」

あずにゃんがお布団の中に入ってきました

ゴソゴソと身じろぎした後で、ふぅと息をつくのが聞こえます



57 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:55:08.64 ID:1FD7vy2wo

唯「あずにゃん、寒くない?」

梓「大丈夫です。そっち、布団短くないですか?」

唯「大丈夫だよ」

あずにゃんの足が私の足に触れて、ちょっとドキっとします

少しくらいなら、ハメを外してもいいよね?

唯「あーずにゃーん」

出来るだけ優しく抱きしめてみます

一緒に寝てはくれるんだから、今夜はちょっと長めに抱きついても大丈夫だよね

梓「もー、唯先輩は……」

唯「いいじゃん。二人っきりだよ?誰も居ないし」

梓「……まあ、一緒に寝る時点で抱き枕にされるのは覚悟してましたけど」

唯「じゃあいいの?」

梓「……今夜だけですよ」

唯「やった」

あずにゃん公認です!

そうとなれば、今まで短縮していたあずにゃん分補給時間の埋め合わせです

唯「へへー」



58 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:55:36.22 ID:1FD7vy2wo

まだ目が暗闇に慣れてなくて、よくわかりませんが

声の方向からして、たぶんあずにゃんはこっちを向いてるよね

なら、首筋に顔を埋めてみます

唯「むふー」

梓「ちょ!……く、くすぐったいですよ」

唯「あずにゃんの匂いがするー」

梓「当たり前じゃないですか」

嗅ぎ慣れてるあずにゃんとあずにゃんの髪の匂い、それに微かなシャンプーの匂い

私と同じシャンプーの匂いがあずにゃんからも漂ってきて、それが凄くドキドキします

唯「私と同じシャンプーの匂いだね」

梓「お泊まりしたんだから当たり前ですよ。
  そういえば、結構高そうなシャンプーとリンスでしたね。唯先輩の好みですか?」

唯「ううん。憂がね、
  『女の子なんだから、シャンプーとリンスは良い物を使わないと』って探してきてくれたんだ」

私はそういうの、詳しくないから

梓「そうですか。だから唯先輩も憂も、髪の毛サラサラなんですね」

唯「えへへ。さわってみるー?」

梓「じゃ、じゃあ、少しだけ……」

あずにゃんがすっと手を伸ばす気配がしました



59 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:56:03.79 ID:1FD7vy2wo

私の髪に触れた瞬間、ビクッと指先が震えて、その後おずおずと撫でてきます

梓「すご……ふわふわのさらさらです」

唯「へへ、ありがとう」

優しく、まるで猫を撫でるかのようにあずにゃんの手のひらが私の髪を愛でていきます

気持ちいいです。猫になりたい

梓「んぅ……」

私もあずにゃんの髪に触れました

触れた瞬間、あずにゃんが可愛い声で反応します

唯「あずにゃんもサラサラだよ。何これすごい……」

今まで抱きついた拍子に髪に触れたり、意図的にあずにゃんをナデナデしたこともあるのですが

こうやってまともにあずにゃんの髪の感触を楽しむのは初めての経験でした

梓「そ、そうですか?」

唯「うん。なんか本当、お人形さんみたいというか」

梓「髪が黒いし長いから、日本人形みたいとはよく言われます」

唯「色も白いしね……」

梓「ひ、否定してくださいよ……」

唯「可愛いよ、あずにゃんは」

梓「へっ!?」



60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:56:32.34 ID:1FD7vy2wo

ちょ、そんな……。いきなり、言わないでくださいよ

消え入りそうな声でそう、あずにゃんは呟きました

実際、可愛いんだから仕方ありません

本当、可愛いっていうか美人です

私なんかとは全然違いますよ

梓「ま、まあ。ありがとうございます」

唯「お世辞じゃないよー。本当だよ」

梓「唯先輩も、その」

唯「んー?」

あずにゃんの髪を指で手のひらで楽しみながら、続きを促します

梓「唯先輩も、か、可愛いですよ」

あずにゃんの髪を撫でる手が、無意識に止まってしまいました

唯「へ?」

梓「だ、だから!」

ゆ、唯先輩も、可愛いですよ

これも消え入りそうな声で、だけどはっきりと聞こえました

声の小ささは、それほど気にならないくらいに近い私とあずにゃんの距離

そんな、ほとんど密着してるような状況でそんなこと言われると……



61 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:57:00.84 ID:1FD7vy2wo

唯「……」

梓「……」

それからお互い、何も言えません

ただ黙って、お互いの髪を撫で続けているだけです

こ、この雰囲気は……

甘酸っぱいような、恥ずかしいような、そんな

今まで経験したことの無い空気です

唯「……」

えっと、どうしよう

何か喋らなきゃ

……でも、あずにゃんって髪さらさらだなー

パジャマなんか二番目のボタンまで外しちゃってて、

そこから石鹸のいい匂いとか、いつものあずにゃんの甘い匂いとか……

そんなことを考えていると、

梓「……唯先輩」

唯「ひゃ、ひゃい!?」

なんの前振りもなしに、あずにゃんが私の名前を呼びました



62 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:57:27.89 ID:1FD7vy2wo

梓「……なんですか、今の」

暗闇の中で、あずにゃんが吹き出したのがわかります

唯「い、いや、ちょっと考え事してたから……」

いきなり呼ばれるから、ちょっとびっくりしちゃって

うわずった声を上げちゃいました

唯「な、なに?あずにゃん」

梓「えっと。ちょっと、質問があるんですけど」

唯「質問?何でも聞いてよ。何でも答えるよ!」

梓「はい。……その」

そこで、あずにゃんの言葉が止まります

ただ黙って、私の髪を撫でているだけです

その定期的な感触の中で、もっと言えば断続的に続く緩やかな気持ちよさの中で

どうしたんだろう、と思います

何か、悩み事があるのかな?

唯「……あずにゃん、どうし」

あずにゃんが抱きついてきました

私の髪を撫でていた手を、私の背中に回して

私の胸元に、顔を埋めています



63 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:57:53.58 ID:1FD7vy2wo

唯「え……え?」

いきなりのことで、上手く言葉が出てきません

あずにゃんの少し熱い、湿った吐息が私のパジャマの布地の隙間を抜けて素肌に感じます

梓「唯先輩、今好きな人とかいますか?」

唯「す、好きな!?」

好きな人って!

今私の胸に顔埋めてる人がそうですって、そんなこと言えるわけないです

唯「い、えっと……」

梓「……いないんですか?」

唯「いる……ような、いないような」

梓「どっちですか。はっきりしてくださいよ」

唯「うぅ、じょ、女子校だし、その」

女子校なのに学校に好きな人が居ますよ私

言えないよあずにゃんにバレたら嫌われちゃうって

どうしようどうしよう

唯「あ、あずにゃんはどうなのさ!好きな人いるの!?」

梓「ちょ、唯先輩に聞いてるんですから、私は関係ないでしょ!?」

唯「いーや、まずは質問する人から先に答えないと!いるの?いないの?」



64 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:58:24.07 ID:1FD7vy2wo

追求をかわすための逆質問でしたが

質問しておいてなんですが、答えて欲しくはありませんでした

yesなら確実に私は失恋してしまうし

noでも、結果は同じです

聞きたくないけれど

それでも、一度言ってしまえば後戻りは出来ないのです

唯「あずにゃーん。どうなのー?」

言わないで

誤魔化して

上手く騙されるから、かわされるから

梓「……いますよ」

唯「……っ!そ、そっか」

あずにゃん、好きな人いるんだ……

ズクン、と胸の中で何かが落ちます

抜け落ちたような、何かが刺さったような

そんな音でした

唯「高校は女子校だから、あれかな。中学でいい人が居たのかな」



65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:58:51.70 ID:1FD7vy2wo

男の人、とは言えませんでした

どこかで期待してるのでしょうし、それに

あずにゃんが男の人と、なんて

考えたくも、口にしたくもありませんでした

本当はこんなことだって聞きたくない

私はさっきから、聞きたくないことばかり聞いている

きっとどこかで混乱しているのでしょう

少なくとも、冷静ではありません

梓「……私、今までギターばかりやってて」

唯「うん……」

梓「だから、恥ずかしいですけど、この年になるまで人を好きになったことなかったんですよ」

そんなに恥ずかしいことじゃないよ、あずにゃん

私だって、あずにゃんに出会うまで人を好きになったことなかったし

もっと言えば、私は女の子が好きってこと、あずにゃんに出会うまで知らなかったもの

まあ私は、あずにゃんと違って夢中になれるものもなくて、ただぼうっと生きてきただけだけど

梓「だから、中学では何もありませんでした。高校に入ってからです、その人と出会ったのは」

唯「……どこか、外で?他の学校とか」



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 01:59:25.16 ID:1FD7vy2wo

近くに共学の学校はありませんけれど

それでも、どこかのお店の店員さんとか

すれ違った人とか

梓「いえ。……同じ、学校に」

唯「え……」

いつの間にか、あずにゃんの顔が見えていました

暗闇に目が慣れてきたんでしょう

窓から入る弱い月明かりが、ベッドのシーツをほのかに青白く輝かせて

あずにゃんは私の胸から、上目遣いで私を見つめていました

それがどういう種類の感情を含んだ視線なのかは、私にはわかりませんでしたが

それでも、あずにゃんは真剣でした

唯「同じ、学校って……」

梓「そういう、ことなんです」

唯「そ、そっか」

あずにゃん、まさか

唯「校長先生が?」

梓「殴りますよ?」

唯「痛い痛い痛い痛い」



67 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:00:01.05 ID:1FD7vy2wo

殴られはしませんでしたが、あずにゃんが強く抱きついてきました

とても柔らかくて幸せなんですが、確かにちょっと痛いです

梓「なんで校長先生が出てくるんですか!関係ないじゃないですか!」

唯「だ、だって、うちの学校、男の先生少ないし、その中で可能性が僅かでも高いと言えば」

梓「だからって校長先生はないです!……だから」

だから、と

あずにゃんはちょっとだけ言い淀んで、そして

梓「だから、生徒です。同じ学校の」

そう言いました

あずにゃんがまた、上目遣いで私を見つめています

でも、見つめているというか睨んでいるというか

月明かりの中ではわかりませんが、少しだけ瞳が潤んでいました

唯「……あずにゃん、女の子が好きなの?」

梓「そう、みたいです……」

唯「……」

あ、あずにゃんも

あずにゃんも、女の子が好きなんだ



68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:00:26.36 ID:1FD7vy2wo

ほっとすると同時に、色鮮やかな嬉しさが静かにこみ上げてきました

まるで、見ている世界がカラー写真に変わったようです

私だけじゃなかった!

私の好きな人が、女の子が好きだって!

梓「ゆ、唯先輩」

唯「ん?」

梓「すみません……引きますよね、こんな」

唯「引くわけないじゃん!!」

梓「ひゃ!」

唯「あ」

つい大声を出してしまいました

だってあずにゃんがそんなこと言うから

唯「ご、ごめんねあずにゃん。びっくりしたね」

梓「い、いえ」

あずにゃんにバレないように息を吐いて、落ち着きます

もしかしたら、私にも

私にも、チャンスがあるかもしれないのです



69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:00:53.56 ID:1FD7vy2wo

唯「えっと。好きな人がいるって言うと。同級生?上級生?」

あずにゃんは一年生だから、下級生ってことはありません

梓「え、そ、それは……」

唯「それは?」

梓「い、言えるわけないじゃないですか!」

唯「えー!?」

ここまで来て!?

梓「第一、私の交友関係とか唯先輩、ほとんど知ってるじゃないですか。
  バレちゃいますよ、そこまで限定したら」

唯「あ、じゃあ私の知ってる人で、あずにゃんも知ってる人なんだね?」

梓「しまった!」

ばかにゃん可愛いです

そうかー、私の知ってる人かー

唯「……軽音部関係?」

梓「だからもう言いませんってば!」

唯「ちぇー」

そこまで特定出来たら、あと少しなのにな

唯「じゃあさ」

梓「なんですか。絶対に言いませんからね」

唯「どんな人か、教えてくれない?あずにゃんの主観でいいからさ」

梓「……」



70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:01:27.33 ID:1FD7vy2wo

答えてくれるかな

あずにゃんは少し身体を揺らすと、どこか照れたように私の胸におでこを押しつけて、言いました

梓「かっこよくて。真剣な時は真剣で、やる時はやる人で。温かくて、優しくて。目が離せない人です」

唯「……そか」

私、失恋しちゃったっぽいです

どうしよう

どう考えても、私はそんな人間じゃありません

さっきまで舞い上がってたのが馬鹿みたいです

ほらね、人生は甘くないんだよ

上げて落とすんだよ

もし神様が居るとすれば、きっと意地悪なんだと思う

梓「……唯先輩?」

唯「……わかっちゃった、あずにゃん」

梓「え?」

唯「あずにゃんの好きな人」

梓「そ、そうですか……」



71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:01:54.00 ID:1FD7vy2wo

恥ずかしかったのでしょう、あずにゃんはもっと私に身体を押しつけてきます

ああ、柔らかいなぁ

あずにゃんは可愛いから

きっと、その子と抱き合ったりするんだろうな

そう考えると、泣きたくなります

実際、もう涙目です

でも、言っちゃったから

言葉にしちゃったから、続けないと

唯「澪ちゃんでしょ」

梓「唯先輩いい加減にしてください怒りますよ」

唯「なんで!?」

だって、あずにゃんの言った通りの人って、まんま澪ちゃんじゃん!

梓「た、確かに澪先輩はかっこいいですけど!でも、そんな目で見たことないです!」

唯「ち、違うの?」

梓「違います!」

そっか……

じゃあ、あとは一人しか居ないね



72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:02:20.17 ID:1FD7vy2wo

唯「じゃあ、りっちゃんか」

梓「うにゃああああああああああああああ!」

唯「痛い痛い痛い痛い」

二度目の痛い抱きつきです

なんで?違うの?

梓「わざとやってるんですか!?そんなわけないでしょ!?」

唯「だ、だって、りっちゃんって男前だし……」

梓「だからって恋愛感情は持ちません!それに、律先輩は澪先輩と付き合ってるじゃないですか!」

唯「え、本当に!?」

梓「気づいてなかったんですか!?」

りっちゃんと澪ちゃんって、付き合ってるの!?

女の子同士で!?

唯「えっと、仲がいいなーとは思ってたけど。幼なじみだからかなーって」

梓「ただの幼なじみがお互いの内太もも撫で合うわけないじゃないですか」

唯「そんなことしてたの!?」

梓「先輩、部活中どこを見てるんですか?明後日の方向ですか?」

どこ見てるって、あずにゃんしか見てないよ

貴重なあずにゃんとの時間、粗末に出来るわけないもん



73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:02:50.62 ID:1FD7vy2wo

梓「はぁ……」

唯「ご、ごめんね、あずにゃん。私、そういうの疎くて……」

梓「まあ、そういう人ですもんね、唯先輩は」

そこ……き……すけど

独り言のように呟いたあずにゃんの言葉は、最後まで聞こえませんでした

梓「……どうでもいいですけど、和先輩がお尻揉むのはスキンシップで納得して、
  澪先輩達の内太もも撫で合うのは驚くんですね」

唯「だって内太ももだよ?えっちだよ!」

梓「違いがよくわかりませんが。ま、いいです」

唯「それについて語りたいけど、今度の機会にするよ」

梓「……それで?今度は唯先輩の番ですよ」

唯「え、私?」

梓「好きな人、居るんですか?」

唯「あ……」

えっと

どうしようもありません

あずにゃんは、女の子が好きってカミングアウトしてくれて

りっちゃんと澪ちゃんは、そういうステップを乗り越えて、愛し合ってるのです

私も、ちょっとだけ勇気を出さないと



74 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:03:17.87 ID:1FD7vy2wo

唯「……い、居ます。同じ学校に。お、女の子なんだけど」

梓「そ、そうですか」

唯「あ、あずにゃんと一緒だね!私も女の子が好きって、その子と出会って気づいちゃって」

梓「そ、そうですね。一緒ですね!」

へへへ、と笑い合います

そしてあずにゃんがずいっ、と顔を近づけてきて、

梓「それで、相手の女の子のことは追求してもいいですか?」

唯「い、えっと、それは」

梓「私も追求されたんですから、唯先輩にする権利はありますよね?」

唯「い、言わなきゃダメ……?」

さすがに今ここで告白する勇気はありません

とにかく、あずにゃんの好きな人がまだわからないし、私じゃない可能性が高いし

どうすればいいかわからなくて、ただあずにゃんの目を見つめます

梓「……そんな目、しないでくださいよ。いじめてるみたいじゃないですか」

唯「だ、だってー」

梓「聞きませんよ無理に。私の好きな人だって、唯先輩はわからないみたいだし」

唯「う、うん……」



75 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:03:46.13 ID:1FD7vy2wo

梓「これだけヒント出したんだから、考えておいてくださいね」

唯「うん。……あ、私もヒント出す?」

梓「え!?いや、えっと。……いいです。先輩が教えてくれるの、待ってますから」

唯「そ、そっか」

梓「はい」

私の好きな人をあずにゃんに教える時

それって、つまり、そういう時です

今まで、あずにゃんに告白するなんて考えてもいなかったけれど

その、形の無かった考えられなかった瞬間が、急に目の前、手の届く場所で色づいてきて

そしてその時、心臓の音が聞こえ始めます

確かに、今まで動いて無いわけではありませんけれど

それでも私はその時、初めて自分の心臓が動き始める瞬間を体験しました

唯「あずにゃん。あずにゃんの好きな女の子って、確かに私が知ってる人なんだよね」

梓「んー……」

何故かあずにゃんがそんな声を出して、私をじっと見つめます

梓「知ってる人ですけど。でも案外、唯先輩は知らないかもしれないですね」

唯「え!?話が違うよあずにゃん!?」

梓「唯先輩が知ってるってことは断言出来ます。
  ただ、唯先輩は『その人』のことを違う見方で見てるかもってことです」



76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:04:13.17 ID:1FD7vy2wo

唯「難しくてわかんないよぉ、あずにゃん……」

梓「哲学的な話ですよ」

そう言って、あずにゃんはコホンと咳払いします

梓「私は、その、私の好きな人を、先ほど上げたような人だと思ってます。
  そしてそれは、誰が何と言おうと間違ってません。それだけは自信があります」

かっこよくて。真剣な時は真剣で、やる時はやる人で。温かくて、優しくて。目が離せない人

梓「澪先輩や律先輩じゃありません。もちろん両先輩方もその人のことは知ってます。
  そして先輩方がそれぞれ私の好きな「その人」に持ってる印象は違うかもしれませんが」

唯「違うけど……?」

梓「さっきの私の持ってる『その人』の印象を律先輩や澪先輩に言えば、すぐにわかると思います」

唯「へぇ……」

あずにゃんの言ったことは、正直上手く理解出来たかどうかわかりません

でも、それでもまっすぐ伝わってきたものはわかりました

それは、私があずにゃんを誰にも負けないくらい大好きだから

だから、わかってしまうことなんですけど

唯「あずにゃん、その人のこと大好きなんだね」

梓「へ!?いや、まあ、その……」

あずにゃんが私の胸におでこをくっつけます

梓「……大好きですよ」



77 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:04:47.70 ID:1FD7vy2wo

今夜はあずにゃんが自分から抱きついてくれます

それは今まで無かったことだし、今までよりも確実にあずにゃんとの距離は近いのに

それでも、素直に喜べないのは欲張りだと思います

可能性を感じちゃったから

暗闇の中、小さいけれど蝋燭を見つけてしまったのです

少なくとも、女の子同士だからって理由ではフられない

一番気にしていた、足枷だった重りは無くなった

彼女には

あずにゃんには、好きな人が居るけれど

唯「あずにゃん」

梓「はい?」

小さい声で呼びます

唯「今夜、あずにゃんが寝るまでの間だけでいいから。抱っこしてていい?」

梓「え?」

唯「ちょっと今夜は寒いから。だから、ね?」

梓「……仕方ないですね」

唯「いいの!?」

梓「一緒に寝ようって言われた時に覚悟してたって言ったじゃないですか」



78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:05:12.78 ID:1FD7vy2wo

唯「じゃ、じゃあ……!」

梓「向きは変えさせてもらいますけどね」

そう言ってあずにゃんは、私の胸から顔を離して、反対方向に向きを変えました

唯「えー、なんでそっち向くのさー」

梓「……唯先輩、おっぱい大きいから息しづらいんです」

唯「……大きくなるよあずにゃんも。これからじゃん」

梓「私も最近はちょっと……何でもありません……負けです私の……」

唯「……揉んでみる?私の」

梓「ば、馬鹿なこと言ってないでそろそろ寝ますよ!」

唯「ちぇー」

あずにゃんだったらいいのに

梓「あ、明日の朝は私と憂が朝ご飯作りますから、唯先輩はゆっくり寝てていいですよ」

唯「え、いいの?」

梓「はい。準備出来たら起こしますんで」

唯「うん。……ありがとね」

梓「お泊まりさせて貰ってるんだから、これくらいは。じゃあ先輩、おやすみなさい」

唯「うん」

背中を向けたあずにゃんの身体を、ぎゅっと抱きしめます



79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:05:52.39 ID:1FD7vy2wo

唯「おやすみ、あずにゃん」

おやすみなさい、とあずにゃんが小さく言って

少し身じろぎをして、背中を私の身体にぴったりとくっつけて

それで、あずにゃんは眠るみたいでした

心なし体を丸めて、私にくっつきながら寝息を立てるあずにゃんは猫のようでした

眠り始めるあずにゃんを起こさないようにゆっくりと、あずにゃんを抱きしめなおします

パジャマは新しい物なのでしょうか、どこかよそ行きのような匂いと感触がします

不自然にあずにゃんの身体に合ってないというか、雰囲気と馴染んでないというか

似合ってないというわけではありません

淡い青色はあずにゃんの白い肌に映えるし、

少し大きめで、袖の先から覗く小さな指先は、とても可愛いです

でもその時、私はあずにゃんが遠くに行ってしまうような気がしました

あずにゃんには好きな人がいて、それは私じゃなくて

それで、きっと近い将来、あずにゃんはあずにゃんの好きな人とこうやって眠るのでしょう

私の知らない場所で、知らない時間に、知らない表情で、知らない仕草で

その時あずにゃんは、きっとこういう風に背中を向けてなくて

その人の胸の中で眠るんだろうな

そう思った瞬間、目眩がしました



80 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:06:44.72 ID:1FD7vy2wo

動悸が激しくなって、吐きそうになります

絶え間ない焦燥感と無力感と身勝手な理不尽

誰でもいいから当たり散らしたい乱暴な気持ち

この感情は初めてでしたが

きっとこれを、嫉妬というのでしょう

私はあずにゃんの好きな人に嫉妬していました

私と違って、あずにゃんを抱きしめても喜んで貰える

私と違って、あずにゃんから求めて貰える

私と違って、一緒にいるだけであずにゃんを幸せに出来る

まるで私が不可能なことを、当たり前のように出来る彼女のことが

私には、漫画の中のヒーローのように思えました

私の方が好きなのに

絶対誰にも、あずにゃんへの気持ちは負けないのに

おかしくないですか?

お互いの気持ちのベクトルがちょっと違うだけで、一番強い気持ちが蔑ろにされるなんて!

梓「んぅ」

あずにゃんが身じろぎして、私は慌てて腕の力を緩めました



81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:07:16.24 ID:1FD7vy2wo

無意識に力を入れすぎていたみたいで

幸い、あずにゃんは気づくことなく眠っているようです

唯「あずにゃん……もう寝た……?」

静かな寝息が聞こえて、ほっと胸をなで下ろします

それから、今度は優しくぎゅっと抱きしめます

あずにゃんが寝るまで、という約束でしたけれど

ロスタイムです。少しだけなら、許して貰えると思います

唯「ふぅ……」

あずにゃんの髪に顔をよせてみます

いつもはツインテールにしている髪は今、縛られることなくシーツに私の肩に流れています

あずにゃんの首すじに、鼻を押しつけました

よそ行きのパジャマの襟元からただようあずにゃんの匂い

パジャマ越しに伝わるあずにゃんの体温

身体の全部で感じるあずにゃんの寝息

ふと、この時間はとても貴重なものなんじゃないかと思いました

私はあずにゃんが好きで、あずにゃんには好きな人がいて

もしその人とあずにゃんが付き合ったなら、

きっとこういう風に家にお泊まりには来てくれなくなるでしょう

軽音部の合宿でも、あずにゃんはきっと一緒には寝てくれないでしょうし

そう考えると、もう――



82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:07:41.02 ID:1FD7vy2wo

唯「……ごめんね、あずにゃん」

口の中で呟いて、そして

手探りであずにゃんの胸をパジャマ越しに触りました

起こさないようにそっと、揉んでみます

ブラはしていないのでしょう、予想外に柔らかくボリュームのある膨らみにびっくりします

あずにゃん、そこそこあるじゃん

そんな失礼なことを考えつつ、揉み続けます

こういう行為がどういうことか、わかっているつもりです

でも、今しかチャンスが無いなら

今しか、無いから

私はあずにゃんを、そういう目で見ています

あずにゃんにえっちしたいし、あずにゃんにしてもらいたい

私が毎晩頭の中であずにゃんにどういうことをしているか

あずにゃんが知ったら、きっと嫌われちゃうと思います

でも、好きなんです

大好きなんです、あずにゃんのこと



83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:08:07.80 ID:1FD7vy2wo

嫌われたって気持ち悪がられたって、仕方ないです

あずにゃんの胸に吸い付いて離れない右手をそのままに、再びあずにゃんの首すじに

唇が触れるか触れないかのところまで近づけます

キスしたい

吸い付いて、ずっと消えないくらいに痕を残したい

あずにゃんは私の物だって、刻みつけたい

私は興奮していました

普通じゃありませんでした

胸を揉みながら、首すじに唇を近づけて匂いを堪能して

今あずにゃんが起きたら

きっともうこれからずっと、口を聞いてくれないだろうな

もしかしたら軽音部も辞めて、もう私には姿すら見せてくれないかも

なんだか笑えてきます

わかってます。わかってますよ

胸から、足の方に手を伸ばします

私だって、好きでもない人にこんなことされたくないです



84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:08:36.83 ID:1FD7vy2wo

りっちゃんにも澪ちゃんにもむぎちゃんにも

大好きですけれど、こんなことはされたくありません

太ももを撫でて、お尻に到達します

あずにゃんにしてもらいたいです

あずにゃんにしかしたくないです

あずにゃん以外、考えられなくて

お尻から、再び前に手を

嫌われちゃうと思うけど、それでも私はあずにゃんとしたくて

内太ももに指を這わせて、少しづつ、上に


『ああ、あずにゃんの好きな人だったら、
 きっとこういう事してもあずにゃんは喜んでくれるんだろうな』



85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:09:24.86 ID:1FD7vy2wo

体を起こします

あずにゃんの身体から喜ばせることの出来ない手をどけて

あずにゃんに布団をかけなおします

酷く惨めな気持ちでした

たぶん、私は今泣いてます

声をあげると、あずにゃんが起きてしまうから

そっとベッドから下りて、部屋を出ます

何か飲もう

飲んで、落ち着こう

私が部屋を出る時

あずにゃんが深いため息をつきました



86 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:10:18.25 ID:1FD7vy2wo

私の横で、誰かがゴソゴソしているようでした

ベッドが静かに軋んで、止まります

瞼の裏が明るいし、どこかで雀の鳴き声もするから

きっと朝なんだろうなぁと、寝ぼけた頭で考えます

考えるだけで、起きたくはないのですけれど

あずにゃんもまだ眠ってるよね

ちょっとだけ抱きついちゃおう

そう思って左横を手探りするのですが、どうにもあずにゃんには触れられません

唯「んぅ、あずにゃん……?」

思わず、声に出してしまうと

梓「ひゃい!?」

唯「ふぇ?」

思わず、目を開けて

唯「あずにゃん……?」

あずにゃんが、ベッドの上

寝ている私の右側に正座していました

その片手は何故か、私の胸の数ミリ上で止まっています



87 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:10:52.59 ID:1FD7vy2wo

唯「……」

んーと

梓「……」

唯「……さわっていいよー?」

梓「ちっ、違います!誤解しないでください!」

弾かれたようにあずにゃんが立ち上がって、ベッドが揺れます

梓「朝ご飯出来たから、起こしにきただけです!た、たまたま胸の上で手が止まってただけで!」

唯「そっかー」

上手く頭が回らないけれど、どうやらあずにゃんは私を起こしにきてくれたようです

そういえば、朝ご飯はあずにゃんと憂が作ってくれるんだっけー

身体を起こして、伸びをして

唯「おはよー、あずにゃん」

梓「お……おはよう、ございます」

なんか、あずにゃんが見つめてくる

唯「んー?なんか付いてるー?」

梓「い、いえ、すみません」

ぷいっと横を向いてしまうあずにゃん

少し、顔が赤いです



88 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:11:18.56 ID:1FD7vy2wo

梓「朝ご飯出来ましたから。早く顔洗って、降りてきてくださいね」

唯「はーい」

あずにゃんは長袖のTシャツにジーンズという格好で、その上からエプロンを着ていました

きっとご飯が出来てからすぐに、呼びにきてくれたんでしょう

そう思ったら、なんか嬉しくて

唯「ありがとね、あずにゃん。エプロン姿も可愛いねー」

梓「なっ!」

今度はわかります

明らかに真っ赤になってます

梓「朝っぱらから恥ずかしいこと言わないでくださいよ、もう!」

唯「えー、本当だよ」

梓「じゃあ私、先に行ってますから!二度寝しちゃダメですからね!?」

そう言って、あずにゃんは行っちゃいました

あずにゃんの背中を見送って

そして、少し安心します

唯「昨日の夜のこと、気づいてないみたいだ」

気づかれてたら、きっと嫌われてる



89 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:11:50.14 ID:1FD7vy2wo

少なくとも、今のように起こしに来てくれたり、口を聞いたりしてくれることは無いでしょう

それだけ最低なことを、私はしてしまったのです

でも、最低なことだってわかってるけれど

もし昨日の夜のような状況に置かれたら、私はまたやってしまうでしょう

そして今度は、もしかしたら歯止めがきかないかもしれません

唯「……本当に、好かれる要素がないね。私は」

あずにゃんの好きな人とは正反対です

かっこよくて。真剣な時は真剣で、やる時はやる人で。温かくて、優しくて。目が離せない人

あはは

唯「はぁ……」

ため息をついて、そして

唯「でも、収穫はあった」

あずにゃんは女の子が好き

私にだって、もしかしたら何万分の一の確率でチャンスがあるのかもしれません

頑張れば、あずにゃんにこっちを向いてもらえるかも

私の気持ちのベクトルはあずにゃんに向いてて、

あずにゃんの気持ちのベクトルが私じゃないところに向いてても

ちょっとだけなら、あずにゃんの気持ちの向きを変えられるかもしれません

あずにゃんに、私を見て貰えるかもしれません



90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:12:21.67 ID:1FD7vy2wo

自信は正直、無いですけれど

唯「……頑張ろう」

でも、何もしないでいるほど私のあずにゃんへの気持ちは、中途半端ではないです

どうせ、これまであずにゃんにしか興味が無かったのだから

これから先も、あずにゃんにしか興味は持てないのでしょう

フられちゃうことになっても、あずにゃんが他の人に連れて行かれちゃうことになっても

私は私なりに、あずにゃんを振り向かせたい

唯「うん……!」

ベッドから降りて、パジャマを着替えます

ちょっとだけ髪を整えてから

唯「私、頑張るよ。ギー太」

応援しててね



91 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:15:28.63 ID:1FD7vy2wo

朝のリビング

いつもの休日よりも少し早い時間のテレビニュースの音声が流れる中で

私たち四人はテーブルについていました

私たちはもう箸を取ってそろそろ食べ始めようという時なのですが

一人だけ、あずにゃんだけは箸を取らず、何故か正座で私の反応を待っていました

唯「じゃあ、いただきまーす」

憂「はーい」

梓「ど、どうぞ」

唯「そ、そんなに見られると食べにくいよぉ」

梓「す、すみません!」

テーブルには、ご飯に卵焼きに厚切りベーコン、サラダにお味噌汁が四人分並んでいました

どれも美味しそうで、朝なのにおかわりしちゃいそうな勢いです

憂「お姉ちゃん、今朝は梓ちゃんがお味噌汁作ってくれたんだよ」

唯「え、そうなの?」

梓「えっと。お料理あまり得意じゃなくて、憂にお味噌汁だけ作り方を教わったというか」

唯「そうなんだ。じゃあ一口目はお味噌汁からだね」

あずにゃんがお料理作ってくれた!

私にだけではありませんけれど、贅沢は言ってられません

生まれて初めてのあずにゃんの手料理です



92 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:16:24.01 ID:1FD7vy2wo

唯「……じゃあ、いただきます」

梓「はい……」

和「なんでそんな真剣なのよ二人とも……」

憂「ふふ」

わかってないな、和ちゃんは

この瞬間がどれだけ重要なのかを

お味噌汁を手にとって、一口すすります

梓「ど、どうですかね」

唯「いつもの憂のお味噌汁とは違うけど……」

梓「はい……」

唯「……うん。すごい美味しい!」

梓「ほ、本当ですか?」

唯「本当だよ!」

お味噌はいつものと同じですが、どこか憂の作ったものとは違います

お味噌の量だったり溶き方だったり、わかめやお豆腐の切り方の違いでしょうか

憂のお味噌汁も美味しいけれど、あずにゃんの作るお味噌汁もすごく美味しい

なんかこう、憂のものとは違った愛情が伝わってくるというか!



93 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:16:45.93 ID:1FD7vy2wo

唯「ありがとねーあずにゃん。私、お味噌汁なんて作れないよ。すごいねー」

梓「い、いえ。ありがとう、ございます……」

あずにゃん照れてるー

和「でも、本当に美味しいわよ梓ちゃん。本当に初めてなの?」

お味噌汁をすすりながら、和ちゃんが言います

梓「はい。憂がお豆腐の切り方から教えてくれて」

憂「だから言ったでしょ、梓ちゃん。すごく美味しいよって」

梓「えへへ……」

唯「ほら、あずにゃんも食べなよ。冷めちゃうよ?」

梓「はい。それじゃあ、いただきます」

憂「どうぞー」

四人で朝ご飯を食べます

普段なら、休みの日は昼近くまで寝ているので朝ご飯と昼ご飯が一緒になることが多いのですが

なんか、こうやって早起きしてご飯を食べるっていうのも悪くない気がします

あずにゃんも居るし、お味噌汁作ってくれるし

朝からラッキーです



94 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:17:12.59 ID:1FD7vy2wo

和「そう言えば、憂の手料理食べるのも久しぶりね」

憂「うん。和ちゃん、最近来てくれなかったもん」

和「憂、受験だったし。受験終わってもしばらく新しい生活で忙しかったでしょ?」

憂「それはそうなんだけど……でも、それとこれとは話が別っていうか……」

梓「おお……」

唯「おお……」

あの憂が、いつもニコニコ心の広い憂が、和ちゃんに不満をぶつけてる……

ぶつけると言っても、頬を膨らませる程度だけど、それでも

和「ふふ、ごめんごめん。
  じゃあ、これからは憂の都合がいい日にはお泊まりしにくるわ。
  私だって憂の手料理食べたいもの」

憂「え、本当に?」

和「もちろんよ。来年になったら受験勉強もしなきゃならないけど。
  でも、お泊まりする時間くらいは作るから」

憂「えへへ」

梓「おお……」

唯「おお……」

なんというか

和ちゃんすごい

憂の扱いを心得ているというか



96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:17:39.47 ID:1FD7vy2wo

お姉ちゃんの私よりも、もしかしたら……

梓「和先輩、すごいですね」

唯「うん。やっぱ私たち姉妹と付き合い長いからね」

梓「二人が何をしてもらいたいのか言わなくても理解してる、と」

唯「うん。と言っても、和ちゃんも甘やかしてるってわけじゃないけどね」

お菓子とか食べ過ぎないように言われるし

梓「そうですか。……いいなぁ」

唯「ん?なんか言った?」

梓「何でもないです。おかわりどうですか?」

唯「うん!じゃあ、ご飯とお味噌汁も!」

梓「え、お味噌汁も?」

唯「だってあずにゃんの作ったお味噌汁美味しいんだもん」

梓「えへへ。……でも、無理して食べ過ぎないでくださいね。気持ちだけで嬉しいですから」

唯「無理してないよー」

どこか嬉しそうに、キッチンに向かうあずにゃん

その、揺れるツインテールの背中にみとれながら

なんか、いいなぁこういうのって思います



97 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:18:11.97 ID:1FD7vy2wo

もしあずにゃんと結婚とかしたら、こういう光景を毎朝見られるんだろうな

……あずにゃんの好きな人が羨ましいよ

唯「はっ」

ダメだダメだ、また落ち込んじゃってる

頑張るって決めたのに、決めたそばからこれじゃあダメだ

もっと意識して、前向きにならないと

梓「どうぞ、唯先輩」

唯「ありがとー、あずにゃん」

よし、前向きに。気にしてないぞってところを!

唯「いやー、あずにゃん良いお嫁さんになれ、る、よ……」

梓「なんで泣いてるんですか唯先輩」

お嫁さんとか結婚って単語は、どうやら私にはまだキツイみたいです



98 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:18:46.42 ID:1FD7vy2wo

唯「私がお皿洗いやります」

そう宣言した瞬間、三人が「何言ってるのこいつ」って顔で私を見ました

朝食を食べ終わってから、少し経って

食後の熱いお茶を飲んでいた時です

和「何言ってるのあんた」

唯「声に出しちゃった!」

梓「そうですよ。どうしていきなりそんな無茶を」

唯「無茶!?」

お皿洗いが私にとって、どれだけ高いハードルだと思われているのでしょうか

唯「だ、だって、和ちゃんはお風呂掃除して、
  憂やあずにゃんはお料理作ってくれたのに、私だけ何もしてないもん」

和「いつものことでしょう。今更何とも思わないわよ。どれだけ付き合い長いと思ってるの……」

梓「そうですよ。唯先輩はそのままでいいんです。怪我したらどうするんですか」

唯「あずにゃんまで!?」

私、どれだけ信用が無いのでしょう

憂「お姉ちゃん。嬉しいけど、あんまり無理しなくても」

唯「ぶー。ここまで言われたら、尚更後には引けないね!」



99 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:19:19.64 ID:1FD7vy2wo

あずにゃんの好きな人の特徴

かっこよくて。真剣な時は真剣で、やる時はやる人で。温かくて、優しくて。目が離せない人

まず私にほど遠い特徴ですが、なんてことはありません

これはつまり、あずにゃんの好きなタイプなのです

だから、私がこのような女の子になればいい

今は全然ほど遠いけれど、少しづつでもいいから、あずにゃんの理想に近づけたら

そしたらあずにゃんも「案外、唯先輩も悪くないんじゃ」って見てくれるかも

まずは、「かっこいい」女の子です

かっこよく家事をこなしてみせます

お料理とか洗濯物とかはまだ無理だけど、お皿洗いくらいなら!

憂「んー。そこまで言うなら、お願いしようかな」

微笑んで、憂は言いました

憂「無理しないで、ゆっくりでいいからね」

唯「うん!任せてよ!」

和「じゃあ、私たちはゆっくりさせて貰うわ」

梓「唯先輩、せめて食器を流しに運ぶくらいは手伝わせてもらいますから」

唯「うん、お願いねー」

あずにゃんと一緒に、使い終わった食器を持っていきます



100 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:19:52.76 ID:1FD7vy2wo

唯「じゃあ、頑張るね!」

梓「……やっぱり、私もお手伝いしま」

唯「いいからいいから、私に任せて」

あずにゃんをソファーまで送って、お皿洗い開始です

スポンジに洗剤をつけて、お皿を先に水で軽く洗って……

私だって、もう高校生なんだし

お皿洗いくらいできます

一通り全部スポンジで洗っておいて、それから水洗いして、食器乾燥機に

手順はバッチリです

梓「じー」

唯「大丈夫だよ、あずにゃん。そんなとこで見て無くても大丈夫だって」

梓「お皿割って怪我しちゃうんじゃないかと思うと、気が気じゃ無いんですけど」

唯「割らないよー。慎重にしてるもん」

梓「で、でも……」

和「梓ちゃん、大丈夫よ。こっちに来てお茶飲みましょう」

憂「そうだよ。梓ちゃんもゆっくりしないと」

梓「う、うん……」



101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:20:23.27 ID:1FD7vy2wo

まだ心配なのかなー、あずにゃん

日頃からダラダラしてるから、自業自得だけど

でも、これをバッチリ決めたら、あずにゃんの理想のタイプにまた一歩近づくんだよね

頑張らなきゃ!

あずにゃんがソファーからチラチラとこちらを窺っている気配を感じながら、

お皿を割らないように作業を進めます

集中すればそれなりに、慣れて無くても出来るようで

唯「あっと一枚!」

ラスト一枚となったお皿を取ります

こういう時にミスして落としちゃうのが私

慎重に、滑らないように……

ザクッと

お皿を掴んだ瞬間、指に熱い何かが走りました

そしてほとんど同時に、細長い痛みが伝わってきて

唯「痛っ!」

思わず叫んで、お皿を落としてしまいます

陶器の食器は、ステンレスのシンクに落ちて派手な音を立てました

梓「唯先輩!?大丈夫ですか!?」



102 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:20:50.23 ID:1FD7vy2wo

唯「あ、あずにゃん」

あずにゃんが血相を変えてキッチンに飛び込んできました

唯「なんか、食器の下の方が欠けてたみたいで……」

梓「け、怪我は無いですか!?」

唯「怪我ってほど大袈裟なものじゃないけど」

ほら、とあずにゃんに右手を開いてみせます

唯「右手の薬指、ちょっと切れちゃったみた……」

あずにゃんが私の腕を掴み、私の切れた指先を口に含みました

唯「ふぇ?」

唇が指先を包み込んで、あずにゃんの舌が傷口を舐めます

予想外の出来事に、何も言えません

ただ、伏せ目がちに私の指を咥えるあずにゃんを見て、「まつ毛長いなぁ」ってぼうっと思います

ちょっと吸われて、ゾクッとなって

憂「お姉ちゃん、大丈……」

和「どうしたの、ゆ……」

憂と和ちゃんも、少し遅れて飛び込んできました

途端、あずにゃんが指を口から離しました

あずにゃんの唾液が糸を引いて、離れた私の右手の薬指を繋ぎます



103 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:21:19.26 ID:1FD7vy2wo

梓「あ、いやえっと、その」

顔を真っ赤にして、あずにゃんが言います

梓「これはその、間違えたっていうか!」

憂「梓ちゃん、凄い……」

和「その手があったわね」

梓「ち、違うんです!これ、その火傷した時の対処法でして、咄嗟に焦ったというか、間違えまして!」

わたわたと手を振りながら言い訳するあずにゃん

どんどん声が小さくなって、ついに

梓「すみません……唯先輩……」

謝ってしまいました

唯「い、いや!私もびっくりして何も言えなかったし、その、嬉しかったよ!」

梓「う、嬉しいとか言わないでください……」

ヤバイよ私も動揺してるっていうか、上手いフォローが出来ないよ

憂「それで、お姉ちゃん大丈夫なの?」

唯「ん、うん。食器の下の部分が欠けてたみたいで」

憂がシンクの食器を手に取ります

憂「あ、本当だ。ごめんねお姉ちゃん。私が注意してたらこんなことには……」



104 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:21:49.69 ID:1FD7vy2wo

唯「い、いや、大丈夫だから」

むしろ感謝したいくらいです

憂「怪我、大丈夫?」

唯「平気だよ。あずにゃんが、その、……してくれたし」

梓「うぅ……」

憂「あはは。救急箱が棚の上にあるから、梓ちゃんに治療してもらいなよお姉ちゃん」

憂が言った途端、ピクっと反応するあずにゃん

梓「う、うん!わかった!」

憂「ふふ。よろしくね」

和「包丁ってどこかしら」

憂「和ちゃん止めてお願い」



105 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:22:17.59 ID:1FD7vy2wo

ソファーに座って、あずにゃんの治療を受けます

私の薬指をティッシュで包みながら真剣な表情で消毒液を垂らすあずにゃん

消毒なら、さっきあずにゃんがやってくれたのに

なんて言うと、たぶん痛くされるから言いません

梓「痛くないですか?」

唯「う、うん。大丈夫だよ」

消毒をした後、軽くティッシュで拭って、絆創膏を貼ってくれます

梓「気をつけてくださいよ。ギタリストにとって指は大事なんですから」

唯「だ、だよね」

梓「まあ、右手の薬指なら別に演奏に支障は……」

何気にこれ、あずにゃんに手を握ってもらってるんだよね

これも初めての経験です

いつもは私から握ってるから、なんというか

昨日からあずにゃんと新しいこといっぱい出来てます

さっきの、指おしゃぶりの時だって

あずにゃんの唇柔らかかったし、口の中温かかったし、舌だって……

梓「唯先輩、聞いてます?」

唯「はい!?」

梓「聞いてなかったんですね……」



106 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:22:44.37 ID:1FD7vy2wo

唯「ご、ごめんね、ぼーっとしちゃって」

梓「いえ。まあ、事故ですけれど、これからは気をつけてくださいねって話です。
  もし深い傷とかになったら大変ですし」

唯「ありがとねー、あずにゃん。飛んできてくれて」

そういえば、誰よりも早く来てくれたよね、あずにゃん

梓「そ、それは!その、唯先輩が怪我するのは予想の範囲内っていうか」

唯「だよねー」

そんなところですよねー

はあ、信用無いのは知ってたけど、ちょっと期待しちゃったんだよね

そんなに甘くはないか

『唯先輩が心配だから、飛んできちゃった』みたいな理由にはならないですよね

唯「あずにゃん、ダメ元で聞くけど、私かっこよかった?」

梓「はい?えっと、まあ。怪我するのは格好悪いというか、可哀想だなって思いますけど」

唯「だよねー、あはは」

かっこいいって難しいです……

梓「っていうか、何でそんなこと聞くんですか?」

唯「……かっこよく、なりたいなって思って」



107 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:23:10.36 ID:1FD7vy2wo

へー、とあずにゃん

梓「事情が飲み込めませんが、唯先輩はそのままでもいいと思いますよ」

あずにゃんはそう言ってくれるけれど

ダメなんだよそれじゃあ、あずにゃん



108 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:23:39.16 ID:1FD7vy2wo

お昼ご飯を食べ終わり、また食後のお茶をみんなで飲んでいます

お皿洗いで怪我をしてしまった私がお昼ご飯を作らせて貰えるわけもなく

どころか今、お皿洗いすらあずにゃんにやってもらう始末です

まだ、あずにゃんの好みの一番目だと言うのに

かっこいいとか、私には無理なのでしょうか

和「それで、午後はどうする?」

ずずっとお茶をすすりながら和ちゃんが言いました

和「何も予定が無いなら、ちょっと外でブラブラしない?」

憂「外?商店街の方?」

和「ええ。せっかく天気がいいんだもの。デートしましょうよ」

憂「で、デート……!」

あずにゃん可愛いなー

ツインテールが揺れてる。あの揺れ方はきっと、ご機嫌なんだな

和「唯、聞いてるの?」

唯「え?」

和「聞いてないのね」

憂「みんなで、外で遊ぼうかって」



109 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:24:06.97 ID:1FD7vy2wo

唯「へー」

和「Wデートって形になるわね」

唯「……ほう」

あずにゃんとデート

たぶん夕飯の買い出しのついでとかそんなレベルだろうけど、それでもデートには違いありません

もしかしてこれは、チャンスなのではないでしょうか

あずにゃんをしっかりリードして、頼れる先輩=かっこいい私です

唯「行く」

和「梓ちゃん、ちょっといい?」

梓「はい?なんですか?」

ひょこっとあずにゃんがキッチンから顔を出しました

和「みんなで買い物ついでに外でブラブラしようって話してたの。梓ちゃんも大丈夫?」

梓「はい。大丈夫ですよ」

唯「へへ、あずにゃんとWデートだね!」

梓「……唯先輩、Wデートの意味わかってます?」

唯「四人でデートすることだよね!」

梓「そうだけど違うというか……まあ正直、期待はしてませんでした」

あれ、なんかあずにゃんがため息ついてる

憂「じゃあ、お皿洗い終わってしばらくしたら行こうか」

和「そうね」

唯「あずにゃーん、やっぱり私も手伝うよー」

梓「ダメです。怪我してるでしょ唯先輩は」



110 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:29:49.79 ID:1FD7vy2wo

律「次、どこ行く?」

澪「楽器屋寄っていい?ベースの弦、予備が切れちゃってて」

律「はいよ」

行き先を決めて、澪と歩く

土曜日、商店街

人は当たり前のように多くて、それを理由にして澪と手を繋ぐ

いつもなら、人前で手とか繋げないからな

まったく、澪ったら恥ずかしがり屋さんなんだからー

澪「律?どうした?」

律「いや、別に。――こっち、もっと寄れよ」

澪の手を引いて、肩を密着させる

いっそのこと腕を組んで欲しいけど、さすがに無理だろうな

澪「人が多いな」

律「休日だもんな。ちょっと疲れた?」

澪「いや。……でも、ちょっと人に酔ったみたい」

人見知りが関係あるのかどうかはわからないけど、澪は人混みが苦手だ

まあ、程度の差はあれ人混みが好きな人なんて居ないと思うけれど



111 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:30:26.80 ID:1FD7vy2wo

律「じゃあ、楽器屋寄ったら、どこか喫茶店でも行って休もうか」

澪「本当?じゃあさ、ちょっと行ってみたい喫茶店あるんだ」

律「いいよ、そこで。……でもなぁ、ぶっちゃけむぎの紅茶に慣れちゃってるから」

律「どんな紅茶飲んでも、普通って感じなんだよな」

澪「あー、それはあるな。舌が肥えちゃってるっていうか」

律「まあ、休めればいいか」

澪「そうだな。……って、あれ?」

律「どしたー?」

澪「なあ律、あそこに居るのって……」

澪の視線の先を辿ると、そこには

律「あれ、唯と梓じゃん」

小物を扱っている小さな店の前に唯と梓がいた

二人とも、店先に並んでいるカップや食器を眺めている

律「おー、デートか?」

澪「二人きり……じゃないみたいだ。ほら、店の中に和と憂ちゃんがいる」

確かに、店の中の小物を眺める和と憂ちゃんの姿もあった

律「ほほう、Wデートか」

澪「そ、そうなのかな」



112 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:30:54.44 ID:1FD7vy2wo

澪がどこか照れたように言う

なんでお前が照れるんだよ

律「せっかく会ったんだ。話していこうぜ。おーい、ゆ」

澪「ば、馬鹿!律ちょっと待て!」

ぐいっ、と腕を引き寄せられる

弾みで澪は私と腕を組む形になったし、澪の大きいおっぱいの感触も楽しめた

わざとやってるんだとしたら、最高だ、乗ってやる。今すぐ帰ろう

でも意識してない行動だってのも当然気づいてる

律「なんだよー、みおー」

澪「私達が一緒に現れたら、デートしてるのバレるだろ!」

律「……ああ、そっか」

澪「お前はもう……」

そういやそうだったな。バレちゃいけないんだった。特に唯と梓には

律「むぎに言っちゃったから、ちょっと油断してたっぽい。あはは」

澪「まったく……」

そう言って、澪はまた唯と梓の方に向き直る

二人は何がおかしいのかクスクス笑いながら食器を見ていた



115 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:31:39.44 ID:1FD7vy2wo

澪「なんか、いい感じだな」

律「そうだなー。ほら、見ろよ唯のやつ」

唯が背後から梓の肩を抱こうとして、何度も手を伸ばしては引っ込めてる

つーかそんなことするような雰囲気なのかよ

もっと夜景が綺麗なところとかさ。間違っても商店街じゃないよ

澪「あー、結局諦めたな、唯」

律「あんな肩落とさなくても……」

梓に顔をのぞき込まれて、慌てて手を振って笑う唯

なんつーか

律「面白いな、これ」

澪「なんか覗き見してるみたいで悪いよ、律。早く行った方が良くないか?」

私の腕を引いて、澪はそう言うけれど

律「ちょっとだけ見てようぜ!」

澪「な、本気か!?」

律「大丈夫だって。あいつらお互いに夢中で私達なんて気づいてねーし。
  それに、澪だって気になるだろ?」

澪「気にならないって言うなら、嘘になるけど……」

澪は心配してたもんな、唯のこと

まあそれは、私もムギも、同じことだけど



116 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:32:22.91 ID:1FD7vy2wo

律「じゃあ決まりだ。大丈夫、ちょっとだけだって」

そうして、私達は手近な看板の陰に隠れる

一応、バレないように工夫はしておかないとな

律「さーて、ホシに動きはあるか?」

澪「ホシって……あ、梓が何かいいの見つけたっぽいぞ」

見ると、梓が何かカップを持ってて、そこに唯が話しかけている

唯が大袈裟に両手を上に上げて、梓が慌てた様子で手を振ってて

律「私が買ってあげるよー、かな」

澪「そうみたいだな」

プレゼント作戦か

またベタというか……

澪「なんか今日、積極的じゃないか?唯のやつ」

律「だな」

いつもはこんな風じゃなく、チャンスがあればちょっとアプローチするくらいなのに

律「梓、昨日から唯ん家泊まってるんだろ?なんか進展があったんじゃないか」

澪「へー、唯も頑張ったんだな」

頑張ったのが唯とは限らないけどなー



117 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:32:59.05 ID:1FD7vy2wo

澪「お?今度は唯のカップを選ぶらしいぞ」

梓の選んだカップを唯が受け取ると、何やら話をして、それからまた梓がカップを選び始めた

澪「……あずにゃん、私のカップ選んでくれる?」

律「だろうな。唯のやつ、結構やるな」

並んだカップの前で、梓が悩んでいる

そんな真剣になるようなことなんだろうか。

まあ、あいつらにしかわからない何かがあるんだろうけど

しばらくして梓が一つのカップを取り上げた

両手で持って上から下から横から眺めて、そして隣の唯に見せる

律「おーおー、唯、嬉しそうだなおい」

澪「見てるこっちが照れてくるな。梓のと色違いっぽい?」

律「本当だ。なんだよ、仲良いなあいつら」

笑顔で梓からカップを受け取る唯

そのまま、梓と二人で店の中に入ろうとする

会計のためだろうが、唯、はしゃいでんなー

つーか、

律「たぶん、こけるな」

澪「はしゃいでるしなー。おそらく」

案の定、カップを二つ持ってはしゃいでた唯は何かに足を引っかけた

そのまま、こけてカップがしゃーんでお店に弁償……



118 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:33:49.28 ID:1FD7vy2wo

律「お?」

澪「おお……」

そうはならなかった

咄嗟に梓が唯の前に回って、唯を抱き止めた

まるで唯がこけるのを予想していたかのように、その動作はスムーズだった

まあ、私達も予想出来たことだから、梓も難なく予想はついたんだろうけど

身長差があるから、梓は文字通り体全体で唯を支えていた

両手を唯の腰に回して、体を密着させて

律「……なんか長いな、おい」

澪「人前で抱き合うなんて……」

澪が顔を真っ赤にしながらも二人を凝視している

澪って恥ずかしがってやってくれないけど、それでも憧れてる節はあるよね

まあ、今度やってやろう

唯と梓はしばらく抱き合ってて、突然ぱっと離れたかと思うと、お互い顔を真っ赤にして笑っていた

初々しいったらないね

まあ、唯は気づいてないし、梓も確証は持てていないみたいだけど



119 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:34:48.71 ID:1FD7vy2wo

端からみれば一目瞭然だけど、当事者としちゃ、わかりづらいのかもしれない

私と澪も、あんな感じで周囲をやきもきさせていたのかもな

言わなくちゃわからないよ、お互いのことなんて

律「帰るか、澪」

二人が揃って店内に消えたのを確認して、私は言った

澪「そうだな。喫茶店はまたみんなで行こうか」

見せつけられちゃって、ちょっと私も澪といちゃいちゃしたくなった

たぶん澪も同じだろう

なんかそわそわしてるし

澪「なあ、律」

商店街を出ようと澪の手を握ったところで、澪が言う

あ、この声のトーンは何かをお願いする時のだ

律「なんだ?なんか欲しいの?」

私達もカップ買うのかな

あいつらまだ店内残ってるけど

澪「い、いや、違う!そうじゃなくて」

なんかモジモジしてる澪が可愛い

澪「律、その……今日も、泊まってくよね?」



120 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:36:06.44 ID:1FD7vy2wo

律「ん?ああ」

なんだ、そんなことか

律「当たり前だろ。土日は澪と一緒にいるって言ったじゃん」

澪「そ、そっか。へへ」

可愛いなちくしょう

律「寂しがり屋の澪さんをひとりぼっちには出来ませんよねー」

澪「あ、ありがとな。……あ、でも結局、日曜の夜は一人で寝るのか」

律「日曜の夜も泊まるよ。朝、澪ん家から登校すりゃいいし」

そうなると思って、制服も教科書も持ってきてるしな

律「それに、せっかく二人きりなんだ。もったいないだろ?」

澪「そ、そうだよな!」

嬉しそうに微笑む澪

なんだよ、そんなこと心配してたのか

ったく、私が澪を一人にするわけないだろ

澪「なあ、帰りにスーパー寄ってかない?夕飯の材料買わないと」

律「寄ってくか。今夜は何にする?」

澪「どうしようかな。何か食べたいものある?」



121 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 02:36:33.46 ID:1FD7vy2wo

律「魚や野菜って気分じゃないな。肉」

澪「わかった。じゃあ、スーパーで見てから決めるか」

りょーかい

そう言って、二人で歩き出す

スーパーに寄って、夕飯を二人で作って、お風呂入って

明日も休みだ。夜更かし出来る

さらに親は居ないし、二人きり

そう考えると、なんか身体がウズウズしてくる

たぶん澪もそうだ。握る手にちょっと力が入ってる

そんなことを考えつつ、歩いていたら

律澪「あ」

二人揃って気づく

楽器屋行くの忘れてた




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