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梓「私、結婚しますから」#5 【恋愛】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1330186585/l50
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1330273140/

梓「私、結婚しますから」#index


283 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:47:25.08 ID:1FD7vy2wo

件名 Re
今日の唯先輩の演奏、良かったですよ。どこが不満なんですか

件名 Re:Re
音楽ですか?んー、基本洋楽とか、ですかね。
そう言えば、澪先輩も律先輩も洋楽好きなんですよね。唯先輩は?



284 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:47:56.18 ID:1FD7vy2wo

件名 Re
褒めたって何も出ませんよ。誰にでもそういうこと言ってるんでしょ!

件名 Re:Re:Re
んー、欲しい服はあるんですけどね。……一緒に行きませんか?



285 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:48:32.74 ID:1FD7vy2wo

件名 試験勉強
ちゃんとしてます?赤点とか取ったらダメですからね!

件名 Re
唯先輩は猫と犬、どっちが好きですか?

件名 お弁当
忘れたでしょ。憂が言ってましたよ。今から届けに行きますから教室に居てくださいね

件名 Re:Re
また平気な顔でそういうことを……。どうせ本気じゃないんでしょ!

件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re
そうですね。もう遅いですし。じゃあ、また明日。おやすみなさい

件名 Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re:Re
そうだ!忘れ物しないように、ちゃんと準備してから寝てくださいね!



286 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:49:06.87 ID:1FD7vy2wo

部室のドアが開いて、りっちゃんが顔を出しました

律「あ、やっぱりこんなことに居たか」

唯「どうしたの?」

律「いや……つーか、何してんだ?」

唯「へ?」

ギターはケースから出していましたが、私はベンチに寝そべったままで

唯「……えへへ。練習の合間の休憩?」

そっと後ろ手で手に持ったものを隠します

律「ったく、お前は」

笑いながら、りっちゃんは部室に入ってきます

律「いや、お前の姿が朝から無かったからさ。こうして探してたわけ」

唯「そうなんだ。何か用事?」

律「何もないけどさ」

唯「そっか」

私は身を起こして、ベンチに座り直します



287 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:49:33.04 ID:1FD7vy2wo

唯「……今日、結婚式するんでしょ?りっちゃん」

律「え?」

なんでそんな驚いた表情するの

律「えっと、私言ったっけ?結婚式するって」

唯「いや、カマかけただけ」

律「お前なぁ……」

ため息をついてうなだれるりっちゃん

律「いや……今年はしないよ。澪と決めた」

唯「……私のせい?」

律「そういうわけでも……あるかもな」

澪がさ、とりっちゃんは言いました

律「お前らのこと、納得いかないって。あいつは、軽音部みんなで結婚式したかったらしくて」

唯「そっか。……なんか悪いことしちゃったね」

律「……私もむぎも、同じ考えでさ。でも、お前と梓のことだから。
  お前が決めて、私達は口出し出来ないもん」

唯「感謝してるよ。本当に。こんな結果だけどさ」



288 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:50:04.10 ID:1FD7vy2wo

律「……もう一回、考え直さないか?だってこのままじゃ、お前の気持ち……」

だから、なんでりっちゃんがそんな顔するのさ

りっちゃんは澪ちゃんと幸せになるんだから

だから、そんな顔することないじゃん

唯「私の気持ちは、別に無駄になるわけじゃないよ。
  あずにゃんと憂に幸せになって欲しいって思ってるのは本当だもん」

律「だから、お前の気持ちはどうなるんだよ!お前は誰と幸せになりたいんだ!」

唯「……もう間に合わないよ。結婚式の伝説は本当だし、二人はそれを知ってて式を挙げるんだもん」

律「で、でも!――なにか他に、方法が……」

唯「りっちゃん」

私はりっちゃんを抱きしめました

唯「ありがとね。こんなに心配してくれて」

律「心配じゃ……なくて……」

唯「知ってる。私のことも考えてくれてるし、あずにゃんのことだって同じくらい考えてるんでしょ」



289 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:50:39.47 ID:1FD7vy2wo

あずにゃんに幸せになって欲しいと願うのは、私だけじゃないのです

りっちゃんも澪ちゃんもむぎちゃんも

みんな、あずにゃんの幸せを祈ってるのです

ただ、あずにゃんの幸せが私の失恋であって

だから、こんな風に困らせてしまうのです

律「澪にも聞かれたけど……私もどうすりゃいいかわからないんだよ……どうしたら、みんな……」

唯「りっちゃん。澪ちゃんと結婚式してきなよ」

律「え?」

唯「私だって、りっちゃんと澪ちゃんの幸せを祈ってるもん。
  二人が同時に幸せになれるんなら嬉しいよ」

りっちゃんが私とあずにゃんの幸せを祈ってるのと同じくらいに

私だって、りっちゃんと澪ちゃんの幸せを祈ってる

これは嘘じゃない

唯「……私がそう言ってたって澪ちゃんに伝えて。だから」

律「……っ」

唯「泣き止んでよ」



290 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:51:13.46 ID:1FD7vy2wo

自分のために泣いてくれる友達を持って、私は幸せ者だと思いました

りっちゃんも澪ちゃんもむぎちゃんも

私を応援してくれてて

だから、これからも

あずにゃんと憂が結ばれてしまっても

きっと私は何とか頑張れると

そう、思います

唯「澪ちゃん置いてきちゃったんでしょ。……もう行かないと」

抱きしめる腕をほどいて、私は言います

唯「私はもう大丈夫だから。気にしないで」

律「……うん。ありがとな」

グシグシと制服の袖で乱暴に目をこすって、りっちゃんは顔を上げました

律「じゃあ、行ってくるよ。澪んとこ」

唯「うん。頑張ってね!」



291 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:51:46.52 ID:1FD7vy2wo

部室の扉に手をかけて、そして思い出したように振り返ります

律「そういえば、梓の結婚式には……」

唯「ここから直接行くよ。何時くらいかな」

律「十一時四十五分からだって。……その、唯」

唯「大丈夫だって。本当に」

笑って答えると、りっちゃんも少しだけ微笑みました

律「じゃあ、私達も梓のクラスに行ってるからさ。後でな」

唯「うん」

部室の扉が閉まりました

少し耳をすましてみると、階段を下りていく小さな足音が聞こえます

どうやら行ったようです

私は隠していた携帯をポケットから出しました

時刻表示を見ると、十一時三十分を少し過ぎたところ

あずにゃんの結婚式のために、もうすぐ出なきゃいけない時間なのですが

唯「ふぅ」

再び、私はベンチに座ります



292 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:52:14.25 ID:1FD7vy2wo

別にあずにゃんの結婚式に行かないわけではありません

本当は行きたくないけれど、行かないわけにもいきませんから

憂に約束しちゃたし、あずにゃんにだって

だから、二人の結婚式に行く前に

私にはやらなきゃいけないことがあるのです



293 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:52:41.29 ID:1FD7vy2wo


件名 Re
私は大丈夫です!唯先輩とは違って、日頃から勉強してますから
これに懲りたら、少しは日頃から頑張ってくださいね。たまになら、勉強付き合いますから

件名 パン!
ゴールデンチョコパン買えましたよ!
唯先輩、食べてみたいって言ってましたよね。今から一緒にお昼どうですか?

件名 Re:Re:Re
だから、人前で抱きつかれるのとか恥ずかしいって話をしてるんです!



294 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:53:08.86 ID:1FD7vy2wo

唯「……こんなにメールしてたんだ。私とあずにゃん」

あずにゃんと出会って……半年くらいかな?

それで、あずにゃん専用のメールフォルダがほとんどいっぱいになっていました

改めて読み返すと、本当に楽しい思い出が溢れてきて

唯「気持ち悪いなぁ、私。あずにゃんからのメール、全部保護とかね」

フォルダにかかっていた保護を外します

唯「このメールしてた頃は、なんだか楽しかったな」

まだ全然あずにゃんに告白しようなんて考えてなくて、あずにゃんからメールが来るだけで嬉しくて

本当、最近はラッキーなことが続いてて、少し調子に乗っちゃったよ

告白しようなんて考えなかったら、こんなことにはならなかったのかな

今でも、あずにゃんに抱きついたり自然にお話したり笑い合ったり

今日だって、一緒に露天とか回ったり出来たのかな

唯「……ふっ……うぅ……っ」

本当、私はどれだけ泣いてるんでしょう

いくら泣いても涙は止まらなくて

これから、どれだけ泣けばいいのかもわかりません



295 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:53:47.92 ID:1FD7vy2wo

唯「……よし」

袖で涙を拭いて

携帯の画面を見ます

唯「みんなにいっぱい迷惑かけちゃったし。私も前に進まないと」

慣れない操作をなんとかこなして、「はい」と「いいえ」の二つの選択肢が表示されて

唯「ありがとね。私は確かに幸せだった」

親指を、決定キーに乗せて

唯「ばいばい、あずにゃん」

フォルダの消去をしようと、親指に力を込めた

その時

唯「わっ!」

突然、携帯が鳴り始めました



296 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:54:43.46 ID:1FD7vy2wo

びっくりして、思わず携帯を落としそうになって

唯「っと」

すんでのところでキャッチします

唯「メール……?」

今の着信音はメールでした

何だろう、りっちゃんか誰かから?

あずにゃんの結婚式にはまだ時間があるから、催促とかじゃないと思うけど……

画面を見て、そこに表示されていたのはあずにゃんの名前でした

心臓がドクンっと高鳴ります

唯「……」

フォルダの消去はひとまず後で

あずにゃんからのメールを開きます

慣れた手つきで、何百回も繰り返した指の動きで

フォルダから、あずにゃんの新しいメールをクリックします


件名 唯先輩にだけ特別に
お先に見せちゃいますね。どうですか?みんなで作ったんですよ!



297 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:55:13.62 ID:1FD7vy2wo

唯「……添付ファイルがある」

添付ファイルを受信して、表示して


その瞬間、私の中が真っ白になりました


画像は、あずにゃんのウェディングドレス姿の写真でした

自分で撮ったものではありません

ある程度全体が入るように撮っているから、きっと誰かに撮ってもらったのでしょう

お化粧もしてないのにあずにゃんの肌は白くて、目が大きくて

いつものツインテールはほどいて、クセ一つない綺麗な黒髪が白いウェディングドレスに流れていて

本当に、綺麗で

唯「……無理だ」



298 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:56:01.12 ID:1FD7vy2wo

無理

絶対無理

嫌だ絶対嫌だ

無理耐えられない

誤魔化すなんて出来ない嘘もつけない絶対に嫌だ

もうダメだ

唯「絶対に無理」

携帯をベンチに放り出して、駆け出します

部室の扉を抜けて階段を駆け下りて

廊下には多くの生徒がひしめいていました

クラスの呼び込みやお客さんですごい活気で

そんな中を私は走ります

肩がぶつかって、足もぶつかって

謝罪の言葉もそこそこに、私は走ります

唯「無理……絶対無理……」

頭の中は真っ白で

その空白の中で想うのは、さきほどの画像のあずにゃんの笑顔だけで

唯「うわっ!」

何かに足を取られて、転びました



299 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:56:36.42 ID:1FD7vy2wo

あごと手のひらに鈍い痛みが走って、一瞬意識が遠くなります

涙が少しだけ出てきて、視界が滲んで

「あの、大丈夫ですか?」

周りの人達が、何事かと集まってきます

唯「だ、大丈夫です!」

立ち上がって、再び走りました

「ねえ、今の人って」

「軽音部のボーカル……?」

袖で涙を拭います

動かすたびに、足のあちこちが痛みます

派手にこけたから、きっと他のところも怪我をしてるんでしょう

でも、走れる

この足は動く

なら何も問題はない

階段を駆け下りて、角を曲がって

ふと、頭の片隅に疑問が生まれました



300 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:57:11.12 ID:1FD7vy2wo

私は今から、何をしようとしているんだろう?

あずにゃんのクラスへ行って、そこで一体なにを?

明日のライブはどうするの?

これからの軽音部の活動をどうするの?

これからのあずにゃんとの関係が、どうなってもいいの?

唯「無理なんだよ、もう」

もう何も知らない

考えたって傷つくだけなら、何も考えない

当たって砕ける

武器を持ってないなら、噛みついてでも

ヒビは無理でも、せめて傷くらいは刻んでやる

都合の悪い現実に反抗してやる

この真っ白な衝動に吹かれてどこまでも行こう



301 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:57:46.03 ID:1FD7vy2wo

ああ、格好悪いなぁ、私

あずにゃんの好きな人になんて結局届かなかった

最初からわかってたことなんだ

家事も出来ないし気の利いた言葉一つ言えない

好きな人の幸せを祈るくらいの優しさも持ち合わせちゃいない

ごめんねあずにゃん

これで最後だからね

あと一回だけ、私のわがままに付き合ってね

あずにゃんのクラスにたどり着きます

目の前の扉を開けば、全てが変わってしまう

今までのあずにゃんとの関係も、憂との関係も

そういうあれこれも、真っ白な風景の向こうに消えていって

私は、思いっきり引き戸を開けました



302 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:58:33.87 ID:1FD7vy2wo

唯「はあっ……はあっ……」

教室の中は、教会のように飾り付けられていました

机を出して、椅子だけを両端に並べて客席のようにしています

入り口から中央、そして教壇の前まで赤いバージンロードが引かれて

教壇の上には、ぶかぶかで手が袖に隠れている牧師服の純ちゃん

そしてその前に、ウェディングドレス姿のあずにゃんと憂が立っていました

三人とも、飛び込んできた私を驚きの表情で見ています

可愛いな、二人とも。あのウェディングドレス、本物なのかな。すごく綺麗

唯「はあ……はあ……」

客席にも、満員とまでは言わないけれど多くの生徒が座っていました

りっちゃん達の姿はありません

きっとまだ来ていないのでしょう

何事かと私を窺う客席の視線を、しかし私は無視してまっすぐとバージンロードを歩きます

足の痛みも心臓の動悸も気にせず、あずにゃんの元へ向います

梓「ゆ、唯先輩?どうしたんですか、そんな」

慌てた様子で駆け寄ってくるあずにゃんを、私は

梓「え」

抱きしめました



303 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 04:59:28.42 ID:1FD7vy2wo

強く、自分の体にあずにゃんの細い体を抱き寄せます

首元に顔を埋めて、腰に手を回して

絶対に離したくない

梓「ゆ、唯先輩……?」

いつもと様子が違うと思ったのでしょう

あずにゃんもいつものように抵抗せず、私のされるがままになっています

ただ、あずにゃんの心臓の鼓動も私と同じくらいに高鳴っていて

何故だかそれを、強く意識しました

唯「ごめんね、あずにゃん」

梓「ごめんって……まあ、いきなり教室に入ってきたのはびっくりしましたけど」

唯「違うよ。今からすることに対しての謝罪」

梓「え?」

唯「最後のわかままだよ。別にきいてくれなくてもいいからね」

あずにゃんの耳元で囁いて、そして

唯「憂」

教壇の前の、ウェディングドレス姿の憂に呼びかけます



304 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:00:04.76 ID:1FD7vy2wo

憂「どうしたの?お姉ちゃん」

困惑の表情の憂

無理もありません

いきなり、私が教室に飛び込んであずにゃんを抱きしめているのですから

唯「ごめんね憂。私、あずにゃんを渡したくない」

梓「え」

憂「……?」

腕の中のあずにゃんがピクっと震えたのがわかりました

少しだけ強く抱きしめ直してから、私は憂に言います

どうしても、声は震えてしまうけれど

唯「この前は、あずにゃんをよろしくなんて言ったけど。あれ、取り消す」

憂「……」



305 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:00:48.66 ID:1FD7vy2wo

唯「絶対に渡したくない。大切な妹と後輩だからって、応援しようと思ったけど。でもダメだった」

唯「あずにゃんが他の誰かと幸せになるなんて嫌だ。
  他の誰かの隣で幸せそうに笑ってる未来なんて欲しくない。耐えられない」

唯「絶対に嫌だ。……わがままなのはわかってる。邪魔をしてるのもわかってる。でも」

唯「無理なのもわかってるよ。でもだからって、簡単に諦めるなんて出来ない」

唯「せめて、刃向かわせてもらうよ。憂にも……あずにゃんにも……!」

あずにゃんを抱きしめながら、一息にそう言いました

これからどうしようだなんて考えてはいません

そもそも、こんな啖呵を憂に切るつもりもありませんでした

ただ、憂は本当に綺麗で

だから、もう何かを考える余裕もなくて

憂「んーと、良く意味がわからないんだけど……」

そう言って何かを考え込む憂

憂「……って、ああ。そういうことか」

呟くと、何故か微笑みながら「ごめんね、お姉ちゃん」と言いました

憂「そっか。気づかなかったよお姉ちゃん」

唯「……ごめんね。なかなか言い出せなくて」



306 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:01:16.85 ID:1FD7vy2wo

憂「ううん、気にしてないよ。
  ……それにしても、困っちゃうな。今、私と梓ちゃんの結婚式の最中だよ?」

微笑みながら、憂は言いました

余裕の表れでしょうか

確かに、私がやっていることは誰にとっても迷惑でしょうけれど

唯「知ってるよ。……だから、邪魔をしにきたの」

憂「お姉ちゃん。――私と梓ちゃんは愛し合ってるんだよ?」

梓「ちょ、憂!?」

憂「梓ちゃんは黙ってて」

ピシャリと憂が言います

憂「それなのに、お姉ちゃんは何の権限があってそんな私達を邪魔するの?」

権限なんて無いよ

邪魔をする理由なんて一つでしょ

憂「お姉ちゃんと梓ちゃんって、ただの先輩後輩じゃないの?」

憂がため息をつきます

憂「そんな関係で私達の仲を邪魔されても困るかなー」

首を傾げて、困った風に微笑みながらそう言って

その時、頭が真っ白になりました



307 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:01:51.33 ID:1FD7vy2wo

唯「ち、違う!!」

思わず、叫びます

そうだけど

周りから見れば、そうだろうけど、でも!

唯「あずにゃんにしてみれば私はただの先輩だけど、私は違うの!」

唯「私はあずにゃんのこと、ただの後輩だなんて思ってないの!」

唯「私は、あずにゃんが好きなの!世界で一番、私があずにゃんを好きなの!」

大声で叫んでしまいました

当のあずにゃんを抱きしめながら

もう引っ込みはつかない

わがままは通した

これからどうする?

あずにゃんを他の人になんて渡したくない

いっそこのまま、あずにゃんを連れて……!

憂「へー。……だってよ?梓ちゃん」

微笑みを絶やすこと無く、憂はそう言いました

私ではなく、あずにゃんに向けて



308 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:02:40.95 ID:1FD7vy2wo

梓「……」

憂「何か言ってあげなよ。お姉ちゃんに」

離してくれますか、とあずにゃんは小さい声で言いました

一瞬ためらいましたが、大人しく解放することにします

あずにゃんは私が解放したあとも、私のそばを動きませんでした

ただ、俯いているから表情がわからなくて

唯「あの……あずにゃん……」

梓「待ってください。色々言いたいことはあるんですが、まずは」

顔を上げて、私を見上げます

あずにゃんの表情は、やっぱり少し怒ってるようで

梓「こんな人前で恥ずかしいこと大声で言わないでください」

唯「で、でも、あずにゃんが憂と結婚しちゃうなんてそんなの……

梓「だから言ったじゃないですか。デモカップルだって」

確かに部室であずにゃんはそう言ってました

でも

唯「でも、あずにゃん桜高祭の伝説知ってるって言ってたじゃん!
  だから、デモカップルでも関係ないって思って」

梓「え、唯先輩、伝説のこと知ってるんですか!?」



309 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:03:22.91 ID:1FD7vy2wo

驚きの表情で聞かれた後、あずにゃんは憂を振り返りました

憂「え、いや私は言ってないよ?梓ちゃんの計画が台無しになっちゃうし」

計画って……?

唯「いや、伝説のことはりっちゃん達から聞いたの」

梓「そうですか。……まあ律先輩達なら、知っててもおかしくないですし」

そうボソボソと言うと、あずにゃんは言いました

梓「……伝説を知ってるなら、大丈夫だってわかるはずじゃないですか。私と憂が結ばれるわけないって」

唯「ぎゃ、逆だよ!あずにゃんが伝説を知ってるから、憂と結ばれたいのかなって!」

梓「何か話が噛み合わないんですが。
  ……演技だったとしても、私と憂が結婚の真似事をするのが嫌だったとか?」

唯「それも嫌だけど、私がここに来たのはあずにゃんを他の人に渡さないためで!」

梓「……えっと、よく意味がわからないんですが」

どういうこと?

この様子だと、あずにゃんは憂とは、本当にデモカップルのつもりだったの?

だってそれじゃ、話の辻褄が合わない

と、私が混乱してきた時

律「ちょっと結婚待った!梓!」



310 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:04:04.43 ID:1FD7vy2wo

ガタン、と派手な音を立てて教室の扉が開いて

澪「梓!」

紬「梓ちゃん!」

りっちゃんと澪ちゃんとむぎちゃんが飛び込んできました

梓「え」

澪「梓!その、結婚の前に唯の話を聞いてやってくれ!」

律「そうだ!た、頼むから!」

紬「お願い梓ちゃん!憂ちゃんとの関係、応援したいけど……でも唯ちゃんのことも!」

荒く息をつきながら、口々に言う三人

ふと、りっちゃんが憂を見つけて

律「……だめだ唯。憂ちゃん綺麗すぎる」

唯「し、知ってるもん!」

思わずそう言ってしまいます

すると

梓「って、律先輩と澪先輩がどうしてこんなところ居るんですか!?」

何故か慌てた様子であずにゃんが言いました



311 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:04:47.09 ID:1FD7vy2wo

律「え?なんでって、唯の話を聞いてもらおうって思って……」

梓「結婚式するんじゃないんですか!?」

澪「え?」

と、その時

正午のチャイムが鳴りました



312 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:05:13.45 ID:1FD7vy2wo

文化祭期間中は、いつもよりも十五分早くお昼休みになります

梓「ああ……」

憂「な、鳴っちゃったね……」

呆然と教室の時計を見るあずにゃんと憂

唯「ど、どうしたの……?」

梓「どうしたのって、正午のチャイム鳴っちゃいましたよ。
  ……その、もしかして私と唯先輩のせいでお二人は」

申し訳なさそうにりっちゃんと澪ちゃんを見るあずにゃん

澪「結婚式って……ま、まあな」

律「しようと思ってたけど。何?チャイムがどうかしたの?」

梓「え?」

ここでまた、あずにゃんは憂と顔を見合わせます

憂もわけがわからないと言った表情であずにゃんを見返していて



313 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:05:43.72 ID:1FD7vy2wo

梓「えっと。整理させてもらっていいですか」

律「お、おう」

梓「お二人は結婚式したいと思ってたんですよね」

律「うん」

梓「でも正午のチャイム鳴っちゃいましたよね」

律「うん」

梓「もう伝説の効果は無くなりましたよね」

律「うん。……え?」

澪「え?」

紬「え?」



314 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:06:39.79 ID:1FD7vy2wo

伝説の効果が無くなったって……?

梓「……伝説の内容、言ってもらっていいですか?」

律「桜高祭で毎年、どこかのクラスで開かれる結婚式で愛を誓えば永遠に結ばれる……だよな?」

梓「『どこかの』クラス、ですか……」

ああ、とあずにゃんが呟きます

憂もそれを聞いて、納得したようです

澪「え?律の言った通りじゃないのか?」

憂「いえ、大まかに言えばその通りなんですけど」

憂が困った風に微笑みながら、言いました

憂「『どこかの』クラスじゃないです。『三年生のどこかの』クラスです」

紬「え」

梓「それに加えて、『午前中に愛を誓えば』って制約も付いてます」

ため息をついて、あずにゃんは言いました

梓「正しくは、『桜高祭で毎年三年のクラスが開く結婚式で、午前中に愛を誓えば永遠に結ばれる』です」

律「そ……」

澪「そうなのか……」

呆然と、りっちゃんと澪ちゃんが呟きます



315 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:07:09.12 ID:1FD7vy2wo

紬「間違えてたのね……さわちゃん……」

え、それじゃ……

唯「じゃあ、あずにゃん最初から……」

梓「だから言ったじゃないですか。これはデモですからって」

呆れたようにあずにゃんは言いました

唯「で、でも!憂はあずにゃんと愛し合ってるとか言ってたよ!?」

憂「あ、ごめんねお姉ちゃん。それ嘘だよ」

しれっと、笑顔で憂が言いました

唯「う、嘘……?」

憂「うん!」

……憂が私に、嘘?

それはそれで、ショックなんだけど……

唯「な、なんでそんな嘘を……」

憂「だってお姉ちゃん。こうでもしないと自分の気持ち、伝えないでしょ」

少し怒ったように、憂は言います

憂「お姉ちゃんにはお姉ちゃんなりの悩みがあったんだろうけど、
  それでも伝えなきゃならないことは伝えないと」

憂「梓ちゃん可愛いんだから。
  簡単に他の人に取られちゃうよ。本当に私が好きだったらどうしてたの?」



316 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:07:39.38 ID:1FD7vy2wo

唯「それは……嫌だけど……」

憂「お姉ちゃんが何か勘違いしてるみたいだったから、そこに乗っかったの。
  まさか伝説を間違って知ってたのは驚いたけどね」

とにかく、憂はあずにゃんのことはそういう目で見てないってことだよね

……背中、押してくれたみたいだし

唯「……ありがとね、憂」

憂「ううん。お姉ちゃんのためなら何だってするよ」

にっこりと微笑む憂

憂「まあ……この後は、お姉ちゃんと梓ちゃんの問題だけど」

そう言って、憂はあずにゃんを見ました

相変わらず、あずにゃんはどこか不満げに私を見ています

……そりゃ、勘違いでこんな恥ずかしい告白をしてしまったわけですから

唯「ご、ごめんねあずにゃん。でも、その、さっき言ったことは全部本当だから」

梓「……知ってます」

小さくそう言うと、あずにゃんは俯きました

梓「でも、まだ全然わかってないです。唯先輩は」

唯「えっと……」

スキンシップ禁止令の発端

あずにゃんが泣いた理由

それは確かに、まだわからないけど……



317 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:08:23.18 ID:1FD7vy2wo

梓「……後にしましょう。今はまだ、忙しいですから」

そう言って、あずにゃんは呆然としているりっちゃんと澪ちゃんを見ました

そ、そうだった

唯「ご、ごめんねみんな。私の勘違いのせいで……」

二人は私のせいで、今年の結婚式は出来なくなったのです

二人とも、すごく楽しみにしてたはずで

りっちゃんなんて、泣いちゃうほど私と結婚式の両方で悩んでたのに

でも

澪「……まあ、いいよ」

唯「え?」

律「うん。間違った伝説を教えたの私達だしさ。
  それに、やっぱり澪は納得してなかったみたいだったし」

笑いながら、りっちゃんは言いました

律「さっきも『せめて唯のこと見届けてから結婚式する』って、話し合ってたところだ」

唯「そ、そうなんだ。ごめんね、澪ちゃん……」

澪「ああ、いいよ。それに、唯のこともあったけどさ」

他にもやらなくちゃいけないことがあったんだ、と

微笑みながら、澪ちゃんは私の頭を撫でました



318 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:08:53.21 ID:1FD7vy2wo

唯「……他にも?」

律「え、なんだよそれ」

澪「私からプロポーズしてないだろ、お前に」

え、とりっちゃんが澪ちゃんを見上げました

澪「プロポーズしてもらったからさ。私もやらなきゃって。……観覧車の一番上で」

律「み、澪……お前マジで……」

澪「今年はダメだったけどさ。来年は、な。それまでには、プ、プロポーズ頑張るから」

律「澪!私の王子様!」

二人にも何か色々あるようなので、私はむぎちゃんの方へ向き直ります

唯「むぎちゃんもごめんね……心配かけちゃって」

紬「ううん。いいのよ。私も今年は結婚式挙げないって説得したし」

唯「え、むぎちゃんも誰かと付き合ってるの!?」

紬「え!?いや、その……それはまた、今度ね!唯ちゃんと梓ちゃんのあれこれが終わってから!」

そう言うと、そそくさとりっちゃんと澪ちゃんの影に隠れてしまいました

私とあずにゃんのあれこれ、って……

ちらっとあずにゃんを窺います

相変わらず、どこか不機嫌そうに俯いているあずにゃん



319 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:09:21.24 ID:1FD7vy2wo

律「……なあおい、唯。なんで梓のやつ不機嫌なんだ?」

りっちゃんがやってきて、小声で聞いてきます

唯「えっと、その……私が告白しちゃったから、かな。あはは……」

憂と結婚しないと聞いて安心していましたが、そうじゃないんです

あずにゃんには他に好きな人が居るということ

「かっこよくて。真剣な時は真剣で、やる時はやる人で。温かくて、優しくて。目が離せない人」

状況は、変わっていないのです

それどころか、私が告白しちゃって

あずにゃんの都合も考えずに暴走しちゃって

きっとあずにゃんは迷惑だったと思います

っていうか、こんな公開告白、あずにゃんの好きな人に聞かれたらと思うと

きっとあずにゃんは今にも走り出して、その人に伝えたいんじゃないでしょうか

あの人に興味は無いと

ただの部活の先輩で、私はそういう気持ちはなくて

私が好きなのは、あなただと

けれど、相変わらずあずにゃんは頬を少し膨らませながら俯いて、その場に立っています



320 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:09:50.78 ID:1FD7vy2wo

それは、あずにゃんが立てた一つのルールのため

大好きな人を追いかける

その先どんな結末が待っていようと構わず走って行くための一つの制限

あずにゃんからは告白出来ない

それが、彼女がその場に立ち尽くしているたった一つの理由だと思います

律「……そうか?」

しかし少し眉を寄せて、りっちゃんは言いました

律「少なくとも私の知ってる梓は、気持ちを伝えられて嫌な顔をするような人間だとは思わないけど」

ぼやくように呟いた、その時です

三度、教室のドアが乱暴に開かれました



321 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:10:33.68 ID:1FD7vy2wo

三度目の侵入者も、これまた息を荒げながら教室に入ってきます

和「憂……!やっぱり……無理……!」

それは和ちゃんでした

制服の袖に「実行委員」と書かれた黄色い腕章を付けています

この様子だと、お仕事の最中にここまで走ってきたようです

憂「あ、和さん。ちょうど良かったね、今から誓いの言葉だよ」

にっこりと、息を荒げる和ちゃんに微笑む憂

って

唯「ひっ……!」

澪「どうした、唯」

唯「う、憂が……なんか怒ってる……」

律「え、なんで?」

唯「わからないけど……」

それでも確かに、憂は怒っているようでした

姉である私もそう何度も見たことがない憂の怒る場面

憂は優しくて心も広くて大抵のことは優しく包み込んでくれる妹ですが

それでも、怒る時は怒るのです



322 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:11:19.15 ID:1FD7vy2wo

和「……憂。あなたに言わなくちゃいけないことがあるの」

憂「んー?なにかな、和さん」

和ちゃんが少し言い淀みます

しかし、キッと憂を正面から見つめると

和「梓ちゃんと結婚して欲しくないの。考え直して」

そう言いました

って、あれ

和ちゃん、もしかして憂のこと……?

紬「……和憂?和憂ね!?」

むぎちゃんがはしゃいでいますが

憂は相変わらず、怖い憂のままのような……

憂「え?どうして?」

首を傾げて、憂は和ちゃんに言いました

憂「私が誰と結婚式しようが、和さんには関係ないでしょ?」

和「憂……」

いきなりの出来事によくわかりませんが、もしかすると和ちゃんは私と同じことを?



323 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:11:51.57 ID:1FD7vy2wo

澪「え……え?そういうことなの?」

律「馬鹿。黙ってみてろ……」

ぐっと、和ちゃんが拳を握りました

そして

和「あなたの事が好きなのよ、憂。愛してる。誰にも渡したくない」

まっすぐに真正面から、和ちゃんが言いました

はっきりと、声が震えることもなく

ストレートにぶつけました

憂「……」

そんな和ちゃんの直球な告白に、憂は少し目を見張ったあと

憂「うん。知ってるよ。それで?」

困った風に、微笑みました



324 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:12:28.10 ID:1FD7vy2wo

唯「え……?」

梓「は?」

和「し、知ってるって……」

呆然と和ちゃんが呻きます

さすがに言葉も続かないでしょう

勇気を振り絞った告白を、まさかこんな反応で返されるなんて

憂「和さんとは今まで通りだから安心してよ。私は梓ちゃんと幸せになるから」

梓「って、ちょっと憂!?」

憂「梓ちゃん」

黙ってて、と言われてあずにゃんがビクッとしました

どうやらあずにゃんも、憂が怒ってるのが理解出来たようです

な、なんで憂はこんなに怒ってるんだろう……



325 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:13:06.81 ID:1FD7vy2wo

和「私はあなたが他の人と愛し合うなんて嫌なのよ!だから」

憂「……和ちゃんが好きなのは私の身体でしょ?」

冷たい声で憂が言うと、和ちゃんの肩がビクッと震えました

和「え……?なんで……」

憂「お泊まりの夜に私にしたこと、忘れたの?」

お泊まりの夜って

あずにゃんと和ちゃんがうちに泊まりにきた、あの夜だよね

何かあったのかな

和「お、起きてたの……?」

憂「起きてたよ。ちょっと期待してたもん」

笑いながら憂は言います

でもその目は、ちっとも笑ってなくて

憂「まさかあんなことして終わりだなんて思ってなかったけどね」



326 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:13:49.41 ID:1FD7vy2wo

和「ち、違うのよ。それは」

憂「別にいいよ?これからも撮らせてあげる。でもね、私も幸せになりたいの。だから」

憂「だから、梓ちゃんと結婚式しちゃおうかなって。
  それでいいよね?和ちゃん。これまで通りだもんね?」

和「待って!その、それは違うの!あなただから、その、誘惑に勝てなかったっていうか!」

憂「信じられると思ってるの?」

和「その……」

憂「だったら和ちゃんの携帯、見せてもらえる?」

和「あ、それは……」

憂「私のこと本気で愛してるなら、その中身消してくれる?」

和「……」

壮絶な修羅場でした

私達も含め、客席の生徒も微動だにしません

っていうか憂の断片的な情報から推測してみると

……和ちゃん、私ですらそれは踏みとどまったよ?

憂「和ちゃん」

和「……」

教室内に冷たい空気が流れる中

純「は、はいはい!そこまでー!」



327 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:14:36.65 ID:1FD7vy2wo

パンっと手を打ったのは、教壇に立っている純ちゃんでした

純「憂も梓も落ち着いて!今クラスの出し物の最中なんだからさ」

梓「純……」

憂「ごめんね。ちょっと取り乱しちゃったね」

純「先輩方も、ね?進行の妨げになっちゃいますし」

唯「あ」

紬「ご、ごめんなさいね」

いそいそと、私達は客席に座ります

そういえばそうだった

これ、クラスの出し物だったんだよ

純「まあ、進行と言ってもね……」

純ちゃんが教室を見渡します

どう考えても、もう普通の進行が出来る雰囲気ではなくて

純「皆さん、申し訳ありませんが予定していたデモカップルの式は諸事情で中止となりまして……」

憂「和ちゃんがダメって言うからね」

和「……」

梓「ふーんだ」

唯「……」



328 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:15:22.75 ID:1FD7vy2wo

純「ですからその代わりに、本物のカップルの式を執り行いたいと思います!」

純ちゃんの言葉に、客席が盛り上がりました

一瞬で、冷たい空気がお祭りの雰囲気になっていきます

純「というわけで、梓。唯先輩とお願いね」

梓「え!?私達、別にまだそういうのじゃ」

純「そういうのいいから。誰のせいだと思ってんの?ちょっとは協力しなさい」

梓「……っ!でも」

唯「あ、あずにゃん……」

梓「そんな目で見ないでください!」

憂「行ってきなよ梓ちゃん。お姉ちゃんは、私が着てるドレスを着てね」

唯「え、いいの?」

憂「うん。和ちゃんのせいで、私は今回着れなくなっちゃったから」

和「……」

純「律先輩と澪先輩もどうですか?」

澪「あー、私達はまだ」

律「お願いするわ」

澪「って律!?」



329 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:16:03.49 ID:1FD7vy2wo

律「いいじゃん別に。効力無いって言うし」

澪「で、でも私はまだ律にプロポーズして……」

律「練習だから大丈夫だって。ほら、ドレスに着替えに行くぞ」

澪「ちょ、ちょっと待ってよ!」

なんだかわかりませんが、あずにゃんと結婚式が出来るみたいです

確かに嬉しいんだけど、色々複雑というか

私の告白なんて宙に浮いたままだし、あずにゃんは相変わらず不機嫌みたいだし

紬「写真!写真撮らないと……」

さわ子「じゃあ他の人に頼みなさいね」

紬「って、先生!?いつの間に……」

さわ子「さっき来たのよ。言い訳を思いついたからね」

紬「言い訳って、何のことですか?」

さわ子「『あら、琴吹さん余っちゃったみたいね。先生と組もうか』」

紬「……さわちゃんちょっと待って」

さわ子「すみませーん!一組追加してくださーい!」

紬「ば、ばれたら大変なんだから」

さわ子「あ、これは練習だからね。何度言われようと、来年は本番するから」

紬「もう……えへへ」



330 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:16:31.82 ID:1FD7vy2wo

あれ、さわちゃんが来てる

いつの間に来たんだろう

梓「唯先輩」

唯「は、はい?」

梓「お話は、明日のライブが終わったあとでします」

唯「……うん」

梓「だから、まあ」

ため息をついて、あずにゃんが言いました

梓「着替えてきてください。そこのカーテンで仕切ってるところが、更衣室になってますから」



331 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:17:04.35 ID:1FD7vy2wo

唯「こんなもんかな」

リビングの掃除機がけを終えて、私は額の汗を拭いました

昼食の食器も片付けたし、お風呂掃除もしたし、リビングも綺麗にしました

唯「……そろそろかな」

時計を見て、呟きます

土曜日の午後四時

夕ご飯の準備はしなくてもいいと言われました

食材も、行きがけに買ってくると

唯「……部屋の片付けもやっておこうかな」

階段を上がります

……ちょっと汗臭いかな

ついでに着替えもしておこうか

今日はあずにゃんが家に来ます

一昨日の約束通り、「話」をするためにお泊まりにきます



332 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:17:38.64 ID:1FD7vy2wo

あずにゃんからの電話が来たのは金曜日の夕方でした

あずにゃんの初ライブが終わり、全てを出し切った私は、リビングのソファーでぼうっとしていました

最高のライブになったと思う

盛り上がったし、みんなも演奏していて楽しそうだったし

私も満足する演奏が出来ていたと思う

あずにゃんも、気持ちよさそうにギターを弾いていましたから

だから、放課後ティータイムのギタリストとして

また、あずにゃんの先輩として、きちんと役割を果たせたと思います

ライブ前日は私が暴走しちゃって、きっとあずにゃんも精神的に混乱していたと思いますから

だから、最高の結果を出すことが出来て安心しました

残された問題は、私のことだけ

唯「……辞めたくないなぁ、軽音部」

大切な場所ですから、あの場所は

お茶を飲んだりお話したり、みんなで練習したり

居心地が良くて、離れたくなくて

出来ることなら、ずっと居たい場所ですが

唯「あずにゃんの反応次第かなぁ」



333 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:18:26.81 ID:1FD7vy2wo

やっぱり気まずいよね、あずにゃんは

あずにゃんには好きな人が居るっていうのに、自分勝手に告白しちゃって

雰囲気を悪くするようなものなのに

あずにゃんは優しいから、きっと辞めないでって言ってくれると思います

けれど、それでもやっぱり、あずにゃんも気にしちゃうと思います

あずにゃんにしてみれば、居心地が悪いでしょう

それは当たり前のことで、あずにゃんはちっとも悪くなくて

悪いのは、私です

唯「あー……」

ばふっとソファーに寝転びます

学校から帰ってからそのままなので、制服のまま寝転んだらしわになると思いますけれど

でも、着替えるのも億劫です

寝転んだ姿勢で視界に入るのは、ソファーに立てかけたギターケース

唯「……大丈夫だよ、ギー太。軽音部辞めても、ちゃんと弾き続けるからねー」

手を伸ばしてケースに触れようとした、その時

唯「電話……?」

着信音が鞄の中から鳴りました



334 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:18:54.38 ID:1FD7vy2wo

ケースに伸ばした手を鞄の方に向けて、手探りで中の携帯を探します

唯「……あずにゃんからだ」

背面ディスプレイに表示された『あずにゃん』の文字に、思わずビクッとなってしまいます

何だか急に怖くなります

何を言われるのか、どういう態度を取られるのか

結末を先送りしたい気持ちは正直ありましたが、それでも、着信を無視することは出来なくて

唯「は、はい」

梓『あ、もしもし。いきなりすみません。今、いいですか?』

唯「え?あ、うん。大丈夫だよー」

聞こえてきたのは普段のあずにゃんの声でした

不機嫌でも無く、緊張するでも無く

普通のあずにゃんの声でした

梓『今日のライブ、楽しかったですね』

唯「そ、そうだね。盛り上がったし」

梓『次は新歓ライブですかね。まだ時間はあるけど、今から楽しみです』

唯「も、もー。さすがに気が早いよー」

な、なんだろうこれ

あれかな、私が辞めるって言い出さないように釘を打ってるのかな



335 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:19:45.91 ID:1FD7vy2wo

梓『ところで、今日はちょっとお願いがあって電話したんですけど』

唯「……な、なにかな?」

梓『お願いというか、決定事項の伝達ですね』

唯「……もう決まってるってこと?」

梓『はい。――明日、唯先輩の家に泊まりに行きますから』

唯「……え?」

梓『唯先輩、週末と月曜日の文化祭休みは一人でしょ?』

唯「そ、そうだけど……言ったっけ?私」

梓『町内会の旅行でお互いの両親は不在でしょう……』

唯「あ、そっか」

梓『憂も和先輩の家に泊まりに行くって言ってましたから』

唯「聞いてたんだね。うん、一人だよ」

梓『唯先輩一人じゃ心配なので私も泊まりに行きます。いいですか?』

唯「えっと……そりゃ、私は嬉しいけど」

梓『本当ですか?なら、お邪魔させてもらいますね』



336 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:20:09.72 ID:1FD7vy2wo

梓『えっと、とりあえず明日の夕方頃に行きますから。夕飯の材料は行きがけに買って行きます』

唯「う、うん」

梓『夕飯も私が作りますんで、心配しないでくださいね』

唯「で、でもねあずにゃん、お泊まりに来るって、その」

梓『大丈夫です。忘れてません』

唯「え?」

梓『お話も、きちんとさせて貰いますから』

それじゃあ失礼します、と言って電話は切れました

無機質な切断音の後に耳に残るのは、あずにゃんの最後の言葉

唯「……決まっちゃうんだ。明日」

私の気持ちの終着点

私とあずにゃんの線引きの明確化

後悔はしていません

もし時間が巻き戻っても、私は再びあずにゃんの結婚式に乗り込むでしょう

でも

それでも

唯「怖いなぁ……」

あずにゃんと顔を合わせるのが怖いという気持ちも、確かにありました



337 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:20:38.53 ID:1FD7vy2wo

午後五時を少し過ぎた頃に、玄関のベルが鳴りました

走って行って玄関を開けると、買い物袋とドラムバッグを両手に持ったあずにゃん

唯「い、いらっしゃい、あずにゃん!」

梓「こんにちわ……今日も早いですね、出るの」

そう言ったあとで、あずにゃんは私の手に握られている雑巾に気づいたようです

唯「え、えっとね。廊下の拭き掃除、してたから」

そうですか、と微笑んで

あずにゃんは一歩、私に近づきました

唯「持つよ、それ」

あずにゃんが持つ買い物袋とドラムバッグを受け取ります

二人分の、今日の夕飯と明日の昼食までの食材

そしてお泊まり道具が入っているであろう白いバッグ

買い物袋はずっしりと重くて、あずにゃん大変じゃなかったかなと思ったり

明日の夕方の食材は、一緒に買いに行けるのでしょうか

唯「さ、入って。一応掃除はしたんだけど……」

梓「はい、お邪魔しますね」



338 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:21:15.02 ID:1FD7vy2wo

ドラムバッグを私の部屋に置いた後で、あずにゃんは台所に立ちました

梓「来るのが遅くなってすみません。すぐに夕飯の支度しますね」

唯「いや、こちらこそ。わざわざ来てもらっちゃってごめんね」

いいですよ、と笑いながらあずにゃんは冷蔵庫を開けます

梓「唯先輩が一人だとか心配ですしね」

唯「も、もっとしっかりしなきゃだよね」

梓「んー、そのままでもいいんじゃないですかね」

食材を手際良く取り出しながら、あずにゃんは言いました

梓「私も一人は少し寂しいので。ちょうどいいですから」

唯「……私も、何か手伝おうか?」

梓「大丈夫です。唯先輩はテレビでも見ていてください」

そう言われても、何だか手持ちぶさたです

とりあえず、ソファーに座ってテレビを眺めてみますが

唯「……まあ、こんな時間だしね」

面白い番組なんてやっているわけがなくて

キッチンに目を向ければ、エプロン姿のあずにゃんが立っています

ツインテールを揺らしながら、人参を切っています

それは私が欲しかった光景でした

ぼうっと眺めていると、何故だかその光景に安心してしまって

それで、思い出します



339 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:22:01.63 ID:1FD7vy2wo

あずにゃんがここに来た理由

それは私と話をするためだと言うことに

梓「唯先輩、お風呂沸いてますか?」

キッチンから顔を覗かせて、あずにゃんが聞いてきました

唯「う、うん。もう入れるようにしてあるよ」

梓「お風呂とご飯、先にどっちがいいですか?」

唯「あず……えっと、ご飯で。お風呂は後でいいよ」

梓「わかりました。じゃあ、急いで作りますね」

そんな夫婦みたいな会話をしていますが

もちろん私達は夫婦じゃなくて、恋人同士でもなくて

……あずにゃん、どうしてお泊まりになんて来たんだろう?

いえ、もちろん嫌というわけではありません

むしろ嬉しいのは当たり前ですし、今日は前回と違って二人きり

以前の私なら、本当にドキドキするシチュエーションだったでしょう

しかし、今は状況が違います

あずにゃんには好きな人が居て、私はそんなあずにゃんに告白してしまった

それもあずにゃんの教室で、大勢の前で

それについての話をするために、あずにゃんは今日ここに来たのです



340 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:22:27.56 ID:1FD7vy2wo

……でも、なんでお泊まり?

話をするだけなら

ごめんなさいと言うだけなら、お泊まりなんてせずにどこか外で待ち合わせでもすればいい

でもあずにゃんはそれをせず、わざわざ私のご飯まで作って、お泊まりまでしてくれて

もしかして、と思いました

心臓が高鳴り、身体中が熱くなるのがわかります

ただその仮定も、あり得ないことだとはわかっていました

何百回と繰り返したこの気持ちの動き方に、少しも慣れませんけれど

なんでだろう

なんで、あずにゃんはここまでしてくれるんだろう

唯「……わかんないよ」

あずにゃんに聞こえないようにそっと呟きました



341 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:23:00.55 ID:1FD7vy2wo

リビングへ行くと、パジャマ姿のあずにゃんがテレビを見ていました

梓「あ、唯先輩。ずいぶん長風呂でしたね」

唯「う、うん。ちょっとぼーっとしてて」

笑って誤魔化します

本当はあずにゃんがお泊まりに来た理由について悩んでたんだけど

……本当に、一人なのが寂しかったのかな

それか、本当に私を心配してくれてたのか

どちらも、現実味はありませんでした

あずにゃんは一人でお留守番くらい慣れっこでしょうし

私を心配して、なんて、あずにゃんは私のことが好きって前提が無いと成立しないじゃないですか

ただでさえ、お互いに微妙な立場なんですから

あずにゃんがソファーから立ち上がり、冷蔵庫の方へ歩いていきます

なんだろうと思っていると、帰ってきたその両手には

梓「はい、どうぞ」

アイスでした

それも、こないだのお泊まりの時に私があずにゃんにお勧めしたアイスです

唯「え、アイスなんてあったっけ?」

梓「いえ、夕飯の買い物に行った時に一緒に買っておいたんです。食べたいだろうなって」



342 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:23:28.51 ID:1FD7vy2wo

だから、はいと

あずにゃんが手渡してくれました

唯「あ、ありがとう……」

梓「……って、唯先輩」

唯「へ?」

梓「また髪がちゃんと拭けてないですよ」

髪に手を当ててみると、確かに濡れていました

確かに、考え事に夢中で拭くのもおざなりだったような気がします

梓「もう……はい、アイスはおあずけです」

唯「あ」

ひょいっとあずにゃんが私のアイスを取り上げました

唯「アイス……」

梓「髪を乾かしてからですよ。ほら、ソファーに座ってください」

私をソファーに座らせると、あずにゃんはタオルを持ってきました

そして

唯「ふぁ……」

当たり前のように、私の髪を拭いてくれました



343 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:24:04.98 ID:1FD7vy2wo

梓「まったく……子供じゃないんですから、ちゃんと拭いてくださいよ」

唯「う、うん。ちょっとぼーっとし過ぎてたからかな」

梓「ライブが終わって気が抜けちゃうのもわかりますけどね」

唯「えへへ……」

梓「……綺麗な髪なんですから、ちょっとは気を使いましょうよ」

その言葉通り、あずにゃんは優しく私の髪を拭いてくれます

この前のお泊まりの時にも、あずにゃんはこうして優しく髪を拭いてくれました

これで二回目なんだけれど、相変わらず気持ち良くて

しかも今回は二人きりで、私達以外に人は居なくて

……変な気分になっちゃいます

なっちゃいけないんだけど

誤解しちゃいけないんだけど

あずにゃんの手つきは本当に優しくて、勘違いしちゃいそうで

泣きたくなります

梓「はい。あとはドライヤーで乾かしてくださいね」

手を止めて、あずにゃんは言いました

手際よくタオルをまとめながら、あずにゃんは立ち上がります

きっと洗濯機にタオルを入れに行くのでしょう

唯「あずにゃん」



344 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:24:46.05 ID:1FD7vy2wo

そんなあずにゃんに、私はお願いしてみます

梓「はい?」

唯「ドライヤーもやって」

梓「へ?」

唯「ダメ?」

梓「……もう、仕方ないですね」

お姉さんみたいにあずにゃんは微笑んで

じゃあドライヤー持ってきますから、とタオルを持ってリビングを出て行きました

唯「……」

本当にしてくれるなんて思っていませんでした

いつものあずにゃんなら、『それくらい一人でやってくださいよ』とか言ってる場面なのに

優しすぎる気がします

ご飯の時も、私の大好物ばかりでしたし

そりゃお風呂は流石に一緒には入ってくれなくて、

じゃあということであずにゃんに一番風呂を譲れたわけですけど

なんでだろうと思って

そしてその時、一つの仮定に思い至ります



345 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(福岡県):2012/02/27(月) 05:25:13.13 ID:1FD7vy2wo

ここまであずにゃんが優しい理由

……これが正しければ、きっとあずにゃんはある程度の私のワガママは聞いてくれることになる

ズキッと胸が軋みました

終わりに向かっていること

あずにゃんは私と笑顔での結末を望んでいること

もしこの仮定の通りだとしたら

唯「……」

もう、どうしようもないですよね




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梓「私、結婚しますから」#5
[ 2012/04/06 17:00 ] 恋愛 | 唯梓 | CM(2)

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タイトル:
NO:6208 [ 2012/04/06 17:28 ] [ 編集 ]

ここまで鈍感ってあり?

それと、いろんな制約があったのか!
なんか、作者さんに敬意を表したくなる

タイトル:
NO:6209 [ 2012/04/06 17:51 ] [ 編集 ]

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