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唯「けいむしょ!」 【クロス】


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唯「けいむしょ!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1322917417/
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333194299/




1 名前:1:2011/12/03(土) 22:03:37.99 ID:+hCfvYYc0

けいおんSSですが、元ネタは漫画及び映画作品『刑務所の中』です。パラレルというか何というか。
すごくしょうもないので、心の広い人だけお読み下さい。




刑務所の中

Wikipedia:刑務所の中







2 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:05:17.93 ID:+hCfvYYc0

 
律「おおっ、今日もいっぱい抜けてんなぁ」

午前6時40分、起床。
布団をたたんで片付けたら、すぐに房内の掃除。
10分後の6時50分には点検だから、ちょっと忙しない。

律「なあ。これ、梓の陰毛だろ」

梓「違いますよ」

りっちゃんが毎朝毎朝、飽きる事無く繰り返す話題はいつも体毛の事。
小中学生レベルだよー、まったくもう。
でも、慣れてしまった今となっては日課みたいな感じ。

律「これは唯の陰毛だろ。なあ、そうだよな」スッ

唯「ん~?」ジーッ

唯「違う。私のじゃないよ」プイッ

律「絶対そうだって。ほら」

唯「違うよぉ! 私のじゃないってば!」

どうでもいい事をみんな必死で否定するんだよね。私も含めて。

あ、申し遅れました。私は平沢唯といいます。
見ての通り、この某女子刑務所の214号室に囚人として服役中です。
そして、私と同様に朝の清掃に励んでいる四人。

律「やっぱムギの陰毛はわっかりやすいよな。金髪だし」

掃き掃除をしながら、お決まりの体毛話を振ってくるのが田井中律ちゃん。通称、りっちゃん。
214号室の房長で頼りになる姉御って感じ。顔が広くて面倒見がいいから、他の房でも彼女を
慕う人は多いんだよね。
暴行とか傷害とか、そんなような罪状らしいけど、全然そんな風に見えないなぁ。

澪「もう! マジメにやれ、馬鹿律!」ゴチン

同じく掃き掃除をしながら、りっちゃんに拳骨したのが秋山澪ちゃん。通称、澪ちゃん。
りっちゃんとは刑務所に入る前からの友達らしくて、刑務所の中でも仲良しさん。少し羨ましいな。
罪状は大麻取締法違反、覚醒剤取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反と、薬物数え役満。
筋金入りのジャンキーさんだね。

紬「あらあら、今日も二人は仲良しさんね」ニコニコ

りっちゃんと澪ちゃんのやり取りを見ながら笑っている
拭き掃除担当が琴吹紬ちゃん。通称、ムギちゃん。
大企業の社長令嬢らしくて、いつでもおっとりぽわぽわ。
他のみんなのお世話が大好きで、房のお母さん的存在。
ムギちゃんの罪状は何だか難しくて忘れちゃった。いろんな企業から何億円も騙し取ってたんだって。

梓「何してるんですか、先輩方。あと三分で点検ですよ。早くしないと」

便所掃除を終わらせて、房内の掃除を手伝い始めた彼女は中野梓ちゃん。通称、あずにゃん。
私達五人の中では一番年下で、ここに収監されたのも一番後。
だから私達の事は必ず“先輩”って呼ぶんだよ。気にしなくていいのに。
あずにゃんの場合は長年の間、食い逃げと食料品万引きを繰り返して、被害総額は一千万円以上。
しかも裁判では「生きていく為にやった」って一切反省の色を見せなかったから、刑期は相当
長くなっちゃったみたい。

とまあ、これが私の仲間、214号室の面々。
みんな犯罪者とは思えないくらい、いい人達ばかり。
この刑務所の、この房で本当に良かった。出所まで何とかやっていけそう。

え? 私はどうして刑務所に入る事になったのかって?
私の場合は銃砲刀剣類不法所持と火薬類取締法違反なんだけど…… ん~、その話はまた今度ね。



3 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:07:48.44 ID:+hCfvYYc0




第一話



さわ子「点検ンンン用ォ~~~意!!」

午前6時50分。今日もさわちゃん刑務官の点検の時間。
ドアの前に五人横一列で、座布団を敷いて正座します。

律「おっと、並ぶか」

唯「正座、正座っと」

梓「しかし、ホントあの人の声ってよく通りますよね。廊下の――」ヒソヒソ

澪「梓、シッ! 交談禁止!」ヒソヒソ

シーン

コツコツコツコツ

さわ子「214号室! 番号ォ!」

律「1!」

澪「2!」

唯「3!」

紬「4!」

梓「5!」

さわ子「はい、おはよう!」

律澪唯紬梓「おはようございます!」

私達の点検は終わったけど、全室終了するまでは、入口前で一列に正座したまま。
でも、りっちゃんは身体がプルプルしてるし、私も動きたくてウズウズしてる。
だって、もうすぐ朝食だもん! フンス

さわ子「点検ンンン終了ォ~~~!!」

の声がかかると同時に!

律「ほいっ、ほいほいっ」パッ パッ

食事席の位置に素早く動かされる座布団!

澪「よいしょ!」ガッチョン

唯「はい!」ドン

電光石火で用意される折りたたみ式テーブル!

梓「これ、律先輩! これ、澪先輩! これ、唯先輩! これ、ムギ先輩!」シャーッ シャーッ

テーブルを滑る五人分の箸箱!

見よ! このスピーディーな連携プレー!
そして、すぐに配食が始まるよ!

配食係「はい、これとこれがB」

紬「はい、B」

配食係「はい、こっちA」

紬「はい、Aです」

廊下の配食係からご飯の器を受け取ったムギちゃんが、私達の方へどんどん回していく。
このAとかBとかは何かというと、実はAの方がご飯の量を多くしてあるのです。
立ち仕事の人はフタに赤い丸が書かれたA、座り仕事の人は青丸のBが当たります。
私もA飯が食べたいなぁ。でも立ち仕事は疲れるから嫌だし……
あ、おかずとお味噌汁は均等だよ。




参考:YouTube:刑務所の中






4 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:11:23.53 ID:+hCfvYYc0




律澪唯紬梓「いただきまーす」

午前7時00分、やっと朝食。
この日のメニューは、
 麦飯(麦3米7)
 味噌汁(玉葱と切り麩)
 マグロフレーク
 金時豆の佃煮

いきなりあずにゃんが金時豆とマグロフレークをご飯に放り込み、
その上からお味噌汁をジャバーッとかける。
いわゆる“ねこまんま”。あずにゃんというニックネームの由来になった食べ方。
彼女はこの食べ方が一番好きらしい。
その横では、ムギちゃんが箸につままれた金時豆をウットリと眺めている。

紬「金時豆、甘いからビューよね」パクッ

唯「だねぇ。ビューだよねぇ」

ちなみに「ビュー」というのは「素晴らしい」「すごく良い」って意味らしいよ。
方言かなのか隠語なのか、よくわからないけど。
いずれにしても甘い物が大好きな私としては、その意見に同意だね。

梓「あー。甘納豆、洗面器いっぱい食べたいです」ガシュガシュゾフゾフ

おっ、ここにも同志が。

律「しっかしさぁ、悪事を働いたってのに、
  こう三度三度美味いメシを出してもらっちゃっていいのかねえ。
  こんなんじゃ張り合いがありゃしねえ」モグモグ

澪「そう思うんなら、感謝と反省を込めて、ありがたくいただけよ」パクパク

律「わかってますって。はあー、
  それにしても、この美味い麦飯だけは食べずにゃいられねえなぁ」ガツガツ

うん、それも同意。もぐもぐ。



*「ビュー(「良い」「素晴らしい」という意の北海道弁)




午前7時40分 木工場

さてと、今日も始業の時間。
私のお仕事は鎌倉彫の彫刻。
木製のティッシュ箱やゴミ箱、物入れに彫刻刀でキレイな模様を彫っていきます。
この作業自体はわりと好きなんだけど、この環境があまり、何というか……
あ、りっちゃんが挙手してる。ちょうどいいや。ちょっと見てて。

律「願いまーす」ウィーン ドンドン

さわ子「……」

律「願いまーす!(周りの機械がうるさくて声が届かないよ)」ドォン ガリガリガリ

さわ子「……」

律「願いまぁす!!(ううっ、腹が……)」ウィィイィィイイイン

さわ子「……」

律「願いまぁあああす!!!!」

さわ子「m9(`・ω・´)」ビシッ

律(席から立ち上がったら、静かに歩いて……)スッスッスッ

律(通路の白線の中に入ったら、両手を腰に当てて小走り……)タタタタッ

律(さわちゃんの前まで来たら止まって、白い足形の上に乗って、気をつけ、脱帽、礼)ペコッ

律「用便、願います」

さわ子「何だ、朝済ませてこなかったのか」

律「も、申し訳ありません。急に腹具合が……」プルプル ゴロゴロ

さわ子「なるべく仕事中は行かないようにしろよ」



5 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:14:07.20 ID:+hCfvYYc0

 
律(し、身体検査されて……)ポンポン ポンポン

さわ子「よし!」

律(れ、礼して……)ペコッ

律(ぐぁあ、帽子かぶって……)スッ

律(あああ、我慢出来ねえぇえええ! また両手腰で小走りぃいいい!)タタタタッ

律(ぬぅおおおおお!! “大便使用中”の赤い木札持って個室突撃ぃいいいいい!!)バタァン

唯(り、りっちゃん、間に合ったかな……)

唯(というわけで、私はこの『願います』が苦手なんだよね……)

澪「願いまーす!」

紬「願いまーす!」

梓「願いまーす!」

さわ子「m9(`・ω・´)」ビシッ

澪「研磨機、願います!」

さわ子「よし!」

梓「願いまーす!」

紬「願いまーす!」

さわ子「m9(`・ω・´)」ビシッ

梓「作業指導、願います!」

さわ子「よし!」

唯(いちいちさぁ~。もぉ~、やだよぉ~。私、めんどくさいの嫌なのになぁ~……)コツン コロコロ

唯(ああっ! 消しゴム落としちゃった!)

唯「ね、願います……」ウィーン ドンドン

さわ子「……」

唯「願います!」ドォン ガリガリガリ

さわ子「……」

唯「願いまぁす!!」

さわ子「m9(`・ω・´)」ビシッ

唯「けっ、け、消しゴム拾いです!」

さわ子「……よし!」

唯(なんか消しゴムひとつで馬鹿に疲れちゃうなぁ…… 精神的に……)

さわ子「作業やめぇ! 整列!」

唯(はぁ~、やっとお昼だよ)



6 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:16:25.70 ID:+hCfvYYc0

 


午前11時00分 食堂

唯「ふぃ~」

律「唯、こっちこっち」

澪「お疲れ」

紬「お疲れ様」

梓「お疲れです」

唯「あう~、お疲れちゃ~ん」

律「しっかし、えらい目にあっちまったぜ。危うく大惨事だよ、ったく」

澪「でもアレだよな。出所してさ、
  シャバでもつい『願いまーす』って言っちゃいそうな気がしないか?」

紬「フフッ、わかるわかる」

梓「一発でムショ帰りってバレますね」

唯「……私、うっかり言っちゃうような気がする」

律澪紬梓(確かに……)

唯『願いまーす! 願いまーす! 三種のチーズ牛丼の並と豚汁、願いまーす!』



午後4時50分 214号室

律「62番!」

澪「124番!」

唯「134番!」

紬「128番!」

梓「222番!」

さわ子「214号室、五名異常無し! はい、ご苦労さん!」

律澪唯紬梓「お疲れ様でした!」

刑務作業が終わって房に戻り、夕方の点検を受けたら、すぐに夕食の配食が始まります。

配食係「はい、春雨スープでーす」

紬「わぁ、今夜の春雨スープはビューですよ~。ほぉら」

律「うは、すっげえ! 春雨が山盛りだ!」

唯「やったぁ!」

配食係「はい、これ最後です」

紬「こっちもビューよぉ。大きいお肉がゴロンと入ったわ」

澪「おっ、それ当たりだな」

唯「はい、当たりの春雨スープはあずにゃんに」

梓「あ、ありがとうございます」ジュルリ



7 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:20:01.33 ID:+hCfvYYc0

 
本日の夕食メニューは、
 麦飯(麦三分米七分)
 春雨スープ(春雨、ナルト、鶏肉)
 ポークケチャップ(豚肉、玉葱)
 カボチャそぼろ煮(カボチャ、豚挽き肉、グリーンピース)

朝食と夕食の時は交談禁止という訳じゃありません。
だから、一日の仕事を終えた後の夕食タイムは特にお喋りが多くなります。
今日は澪ちゃんがお喋りの中心。うーん、珍しい。

澪「でさぁ、朝早くから洗車してピッカピカにしてさ。
  フッと見るとちょっと汚れたとこがあるんだよ」パクパク

律(また例の洗車の話か。もう何十回聞いたかな、これ)ズズーッ

澪「んで、それキレイにして、チラッと視線を移すと『あっ、ここも汚れてる』」パクパク

唯「ふんふん」モグモグ

澪「そこキレイにしてさ。
  そしたら、また『あっ、ここも汚れてる』『ありゃ、こっちも汚れてる』」パクパク

梓「」ハフッガフッズルッズルズルッガツガツズゾッスハフクッチャズバブクッチャ

澪「そんな事をくり返して、気がついたらもう夕方になってたんだよ。
  ハハッ、そりゃ人が見たら変に思うよな。一日中、車洗ってんだもん」パクパク

唯「うーん、確かに怖いかも」モグモグ

澪「異常に集中しちゃうんだよね。シャブ打つと」パクパク

配食係「しょゆそ~~~す」ガラガラ

律「おっ、醤油もソースも減ってるな。もらうか」

梓「ぷぅ。ごちそうさま」ゲフッ

澪「もう食べたのか? 早いなぁ」パクパク

梓「もっと早く食べる気になれば、これくらい一分以内で食べれるです」

唯「ホント早いよね、あずにゃん」モグモグ

律「さすが、食い逃げあずにゃん」モグモグ

紬「ねえ、澪ちゃん。その、覚醒剤の注射って自分で自分に打つの?」

澪「ん? そうだよ。まず、口でこうグッと袖をだな、こう……」グッ ギュッギュッ

律「おっ、出たぞ。澪お得意のエアシャブ」

澪「まあ、これ箸だけど、こうして、こう……」スッ スーッ

澪「んはぁ~…… エヘンッ! ってやってさ。も、ギンッギン!」ブンブン

紬「……澪ちゃん、本当に薬止める気あるの?」

澪「うっ…… や、止めるよ。パパもママも悲しんでるし……」

紬「……自分で注射する姿って汚いよね」

澪「うん、汚い…… 今度やったら本当に家庭崩壊して、
  何もかもおしまいだから…… 止めなきゃ……」

紬「大丈夫。澪ちゃんなら止められるわよ。ね?」

澪「う、うん」

梓「あれ? 澪先輩、ご飯が半分も残ってますよ。食べないんですか?」

唯「ホントだ。澪ちゃん、どしたの?」

澪「ん? ああ、今ダイエットしてるんだ。ご飯半分ダイエット」

唯(自分が残す分には、いくら残してもお咎め無しだけど……)

梓(他人から食べ物をもらうのは、沢庵一切れでも不正配食で即懲罰房行き……)

唯梓(ああ、あの残ったご飯食べたい! 全然足りない!)



8 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:22:55.72 ID:+hCfvYYc0

 


キーンコーンカーンコーン

午後7時00分、就床。つまり布団を敷いて寝る準備。早いなぁ。
7時から9時までの就床時間はパジャマに着替えて、
布団に寝転がってテレビを見たり、雑誌を読んだり。自由時間って感じだね。

律「うぃ~っし、就床就床」

澪「はい、テーブルの上は片づけて。たたむぞ」

紬「さあさあ。お布団敷いて、パジャマに着替えましょうね」

唯(ん~む、りっちゃんと澪ちゃんはお父さんっぽいね。
  ムギちゃんは勿論お母さん。我が房はアットホームだなぁ)ヌギヌギ

紬「あら、唯ちゃん。まだ官物(※)のブラとパンツなの?」     ※刑務所支給の物品

唯「んー? あ、うん。タダだしねー」

紬「でも、ゴワゴワだし、サイズ違いが酷いし。
  私物用の下着セットを買ったら? 千円ちょっとで着け心地が全然違うわよ?」

唯「もう少しお金に余裕が出来たら、そうするよ。
  それにホラ、こんなすごい下着、絶対よそでは着れないからいい思い出になるし」

梓「ん~♪ ん~♪」シャコシャコシャコ

紬「フフッ、そうね。じゃあ歯磨き中の梓ちゃんはどんな下着かしら」グイッ ズルズルッ

律「ブッw ム、ムギ、お前っ……w パンツまで下ろしてるじゃねーかwww ブハハッwww」

唯「な、なんで私との会話からそういう流れにwww おかしいでしょwww
  てゆーかあずにゃん、早くパンツとズボン上げてwwwww」

澪「馬鹿、梓w 早く直せよw 見つかるぞwww」

梓「ん~」グイグイ

紬「ごめんね。ついw」

澪「今度点数引かれたらこの房、テレビ視聴禁止だぞ。ふざけすぎないようにしような」

唯「あ、そうだ。テレビテレビ」ピッ

岡村『ぅおいし~~~コレ!』

律「だぁあああ! 今日、ぐるナイの日かよ!
  しかも二時間ゴチスペシャルかよ! 唯、なんてもん見せるんだ!」

唯「だ、だってぇ!」

澪「ああ…… 美味そう…… 甘そう……」

梓「はっきり言って料理よりもデザートに目がいきますね。目が、目ががががが」ガクガク

紬「この甘味の誘惑を断ち切るには、やはり梓ちゃん分を補給するより他は」ギューッ

唯「ムギちゃん天才」ギューッ

梓「じゃあ私は何分を補給すればいいんですか。つかムギ先輩、耳の穴に舌入れんな」グイーッ

澪「いかんいかん。ちょっとトイレ行って落ち着こう。よいしょ」

梓「ちょw マジでw いやマジでw」ドッタンバッタン

紬「まあまあまあまあw まあまあまあまあw」ドッタンバッタン

唯「アハハハwww こんなお母さん絶対やだwww アッハハハハハwwwww」ドッタンバッタン



9 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/03(土) 22:25:34.91 ID:+hCfvYYc0

 
澪「おい、やばいぞ。ちょっと騒ぎ過ぎだって」

律「お前ら、いい加減に――」

さわ子「こらぁ! お前ら、ここをどこだと思ってるんだ!!」バシーン

律澪唯紬梓「……」

さわ子「修学旅行に来てんじゃねえぞ! わかってんのか!」

唯「はい……」シュン

紬「すみません……」ズーン

梓「反省してます……」ガビーン

さわ子「外で苦労してる家族の事を考えてみろ!!」

澪(あーあ、アウトか……)

律(来月から一ヶ月間、テレビ視聴禁止……)

午後9時00分、消灯、就寝。



第一話 終わり



10 名前:1:2011/12/03(土) 22:26:55.77 ID:+hCfvYYc0

今日はこんなところで。
全四話の予定です。
では、失礼します。




11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(岡山県):2011/12/03(土) 22:31:31.88 ID:Y0IsV7gio




14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です):2011/12/07(水) 02:36:59.53 ID:D5OOF+U00

あれ、これ面白いな



15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(長屋):2011/12/07(水) 04:08:46.58 ID:Uu/WFUM10

数え役満で笑ってしまった
乙乙





16 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:31:51.43 ID:7v7ukZr00

午後12時20分 運動場

受刑者達「いっち、にー、さん、しー! いっち、にー、さん、しー!」ザッ ザッ ザッ ザッ

さわ子「全体ィ~~~止まれェ!」

受刑者達「いっち、に!」ビタッ

さわ子「はい、体操!」

唯「はい!(前に出てっと)」ダッ

唯「田井中さん、基準!」

律「基準!」ビッ

唯「田井中さん基準で体操体形に開いて下さい!」

受刑者達「」ダッ

唯「腕を前から上に上げて背伸びの運動! いちにいさんしい、ごおろくひちはち!」

受刑者達「いちにいさんしい、ごおろくしちはち!」

唯「にいにいさんしい、ごおろくひちはち!」

受刑者達「にいにいさんしい、ごおろくしちはち!(『ひち』って言うなw)
     (ダメ、笑ったら怒られるw)(早く終われ早く終われ早く終われw)」

皆さん、こんにちは。平沢唯受刑者です。
今日は屋外での運動の日。
運動の日は他の房の受刑者との交流の場でもあります。

だから、半数以上の人は運動をせずに、ベンチや芝生でお話をしてたりします
(運動場に出るのは強制だけど、運動そのものは自由なので)。
実は私もその一人だったり……



第二話



私とりっちゃん、澪ちゃん、ムギちゃんはベンチで他の房の人達とお喋り。
一緒にいるのが、214号室の四人以外では一番仲良しの和ちゃんと、
あとは最近よく喋るようになった姫子ちゃんと信代ちゃん。
あ、ちなみにあずにゃんは全力で野球をプレイ中。

律「うう、寒いなぁ。もう師走だもんなぁ……」

姫子「でさ、もう悩んで悩んで……
   でも、やっぱりやるしかないって思ってマスクかけてさ、
   本当にもう怖くて怖くてドキドキしながらさ、
   レジの前で黙って包丁出したら、すぐお金出してくれてさぁ」

唯「ふんふん」

姫子「『なぁ~んだ、良かった』って思って、それからやりだしたんだ。連続コンビニ強盗」

律「シャバではどんな仕事してたんだよ」

姫子「コンビニ店員」

唯「もうすぐ仮釈放だね」

澪「シャバで正月か。いいなぁ」

和「……」

姫子「でも、正月に出ても仕事が無いでしょ?
   お金も全然無いし。まいっちゃうよ。ホント、どうしよう……」ハァ

信代「百万や二百万の貯えはあるでしょ?」

姫子「いやぁ、全然無いよ。ここで稼いだ作業賞与金が六万円くらいあるだけ」

信代「それじゃアンタ、何の為に強盗やったかわかんないじゃん。うっはははははw」



17 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:35:26.36 ID:7v7ukZr00

 
澪「しかし、ここにいるのはお金が無い連中ばかりだな」

律「どうしてそんなに金が無いのか不思議でしょうがないよ。
  十万や二十万はあるだろって思うけどなぁ」

信代「貧乏の天才だね。うはははw」

紬「あの~、中島さんは拳銃で人を射殺して、家で寝てるところを逮捕されたんですよね?」

信代「うん、そうだよ。貸した金を取り立てに行ったらね、
   トチ狂っちゃって包丁振り回してくるからさ」

紬「ええ」

信代「バーン! 討ち取ってやった。ま、人一人殺して七年なら安いもんだよね。うっはははははw」

紬「たまには殺してしまった方のご冥福を祈ったりします?」

信代「しない。そういう事は全然しないね。うはははw」

律「えらい! 自己確立してるね」

紬「和ちゃんは? どうして、ここに?」

唯(そういえば、私もまだ聞いてなかったな。和ちゃんの過去)

和「……」

唯「あ、話したくなかったら……」

和「……子供にミルク飲ませてたら友達が来てね」

和「『ねえ、あいつ殺すから来てよ』って言うから出てみたら、みんなが車に乗ってて」

和「それで、山に連れて行って絞め殺しちゃったの。綱引きみたいに、両側から、みんなで」

律「殺される時ってピーピー泣いたりする?」

和「ううん、『もう殺して』って目をしてたわ。
  その子、ヤクザからもお金引っ張れるだけ引っ張ってたから、
  もう行き詰まって死にたかったのかもね」

律「そんな生き方してたら殺されて当然だろ……」

和「ああ、子供が抱きたいな…… 一人が宗教に目覚めて、自首なんかするから」

律「大馬鹿野郎だな、そいつ」

和「はぁ…… もうすぐお正月ね」

唯「……ねえねえ、お正月はようかんが出るってホント?」ワクワク

和「ん? 出るわよ」クスッ

澪「唯の頭の中は甘い物の事でいっぱいだな。
  まあ、ここにいたら、みんな多かれ少なかれそうなるか」

信代「お正月はいいよぉ。おいっしーもんがたらふく食べられて。うはははw」

唯「ホント!? わぁああぁあああ……」キラキラ

信代「大晦日の夕食時におせち料理と年越しそばが出るよ。小ぶりなみかん三個と袋菓子もね」

十二月三十一日 夕食
 おせち料理
  ・ヒレカツ
  ・チキンフライ
  ・エビフライ
  ・鮭切り身焼き
  ・ニシンの昆布巻き
  ・玉子焼き
  ・漬物
  ・鯛練り
  ・ようかん一本の1/2
 白米ピラフ
 春雨スープ
 年越しそば(つゆネギワサビ付きのもりそば)

信代「年越しそばはパジャマのまま食べると怒られるからね。布団もちゃんとたたんで」



18 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:38:24.46 ID:7v7ukZr00

 
姫子「私、ここに来て久し振りに年越しそば食べたなぁ」

信代「お正月は本当に食べ過ぎて、お腹の具合がおかしくなっちゃうよね」

一月一日 朝食
 麦飯
 雑煮(丸餅二個、豚肉、サヤエンドウ)
 身欠ニシン佃煮
 サケ缶
 ふりかけ二袋

信代「餅も食べでがあって美味しかったなぁ。
   おせち料理も食べて苦しいって思ってたら、すぐ昼になってね」

唯「いいなぁ……」ジュルリ

一月一日 昼食
 白米ご飯
 すき煮(牛肉、しらたき、豆腐、白菜)
 おふくろ煮(油揚げの中に肉野菜ひじき入り)
 茶碗蒸し
 奈良漬け
 パインジュース

和「『ああっ、銀シャリだ』って食べたら全然味が無くてね。麦飯の方が美味しかったわ」

信代「相当古い米使ってんでしょ。刑務所だもんね。うっはははははw」

一月一日 夕食
 白米ご飯
 アジフライ
 シューマイ
 うま煮(豚肉、タケノコ、ニンジン、ナルト)

姫子「食べて食べて、もう何も思い残す事は無い、って感じるよね」

一月二日 朝食
 白米ご飯
 味噌汁(ネギ、玉子)
 桜エビ佃煮
 こうなご佃煮
 サンマ缶

信代「桜エビとこうなごは甘くてねぇ。
   口の中の甘さが消えないうちにもうお昼になって、まぁた甘い袋菓子が出てさぁ」

一月二日 昼食
 白米牛丼
 栗きんとん
 なます(大根、ニンジン)
 袋菓子(ようかん)

一月二日 夕食
 麦飯
 あべかわ餅(丸餅二個、きな粉)
 オムレツ
 牛肉缶
 梅漬
 フルーツサラダ(パイン、黄桃、みかん、リンゴ)

信代「袋菓子は五日の就寝時までに食べないと怒られるよん」

姫子「もう身体中が甘くなってね。これ以上食べられないって思っても死ぬ気で食べるんだよね」

一月三日 朝食
 白米ご飯
 味噌汁(麩)
 マグロフレーク
 赤貝缶
 味付のり

一月三日 昼食
 中華丼
 ワカメ玉子スープ
 エビチリ
 イカ缶
 ヤクルトミルミルE



19 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:42:07.82 ID:7v7ukZr00

 
一月三日 夕食
 白米ご飯
 味噌汁(なめこ)
 トンカツ
 フルーツサラダ

信代「私なんか正月三が日で体重4kgも増えちゃった。うっはははははw」

澪「はうっ……!」

紬「た、体重……!」

唯「いいなぁ…… もうちょっとの辛抱だね。待ち遠しいなぁ」ウットリ

さわ子「終了ォ~~~!!」ピリリリリリリリ

和「さあ、行きましょうか」

信代「行くべ、行くべ。うはははw」

唯「姫子ちゃん、もうすぐお別れなんだね。さみしくなるよぅ」

姫子「ん……」

律「今度捕まりそうになったらさぁ、思いっきし走って逃げれば大丈夫だって」

姫子「もういいって」

澪「事故も起こさず、よく頑張ったな」

姫子「まあね……」

紬「元気で、悔いの無い、良い人生を。今度こそね」

姫子「……」

梓「唯先輩! 唯せんぱーい! 私の活躍、見てくれましたか!?」タッタッタッ

唯「あー、あずにゃん! ごめん、全然見てなかったー!」

梓「」

紬「あら、ごめんなさい。私も……」

律「つか梓、何かやってたのか?」

澪「わ、私はちゃんと見てたぞっ!?
  その、通してというか、全体的にというか、あの、ザッとというか」

梓「」

さわ子「整れェ~~~つ!!」

姫子「……」

姫子「怖い……」

姫子「出るのが、怖い……」



午前7時00分 214号室

今日は入浴と医務の日。
入浴がある日は刑務作業が早く終わるから、何だかウキウキしちゃうんだよね。
そのせいか、今日は朝食の時間からみんなの話も弾みます。

本日の朝食メニュー
 麦飯
 味噌汁(油揚げ、白菜)
 昆布の佃煮
 カブの漬物

律「中学生に学校中追いかけ回されてさ、講堂に逃げ込んで捕まったんだぜ? カッコ悪いよなぁ」

唯「え? 掃夫の純ちゃんが?」

律「そうだよ。学校荒らしなんかしてな」



20 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:46:30.52 ID:7v7ukZr00

 
梓「」ガツガツガシュガシュスハフスハフ

澪「和って胸大きいよな。冬用獄衣だと着やせしてわかりづらいけど」

紬「あら、澪ちゃんだって負けてないプロポーションじゃない」

澪「いや、そんな……」

唯「そうだよ、澪ちゃんはモデルさん並みのスタイルだもん」

梓「」ズゾッズゾゾバクバクグッチャグッチャ

律「この前も鈴木の奴、必死こいてガラス拭いちゃってさ。
  『先生! 私、こんなに一生懸命やってます!』
  って犬みたいに目ェうるうるさせちゃってな。ったく」

紬「知ってる? 中島さんの乳首ってすごく小さくて可愛いのよ。
  今日、お風呂だからよく見てみて」

唯「よ~し、今日忘れずに見てみよう。中島さんの乳首」

梓「ぷう。ごちそうさま」ゲフッ

澪「だから早すぎるって、梓……」

唯「ん~、なんか足の甲がかゆいなぁ…… わっ、赤くなって腫れてる」

律「今日、医務の日だから診てもらえよ。あの医官、ヤブっぽいけど」

唯「うん、そうするよ」



午前10時00分 木工場 刑務作業中

純「医務~、医務~、医務ありませんか~」

唯(あっ、きたきた)

週二回の医務の日は、掃夫が就業時間中に工場の全員へ聞いて回るのです。

唯「願います」

純「はい、平沢さん」

唯「足の腫れ物です」

しばらくすると、助手(受刑者)を連れて医官が巡回に来ます。

純「平沢さーん、若王子さーん、瀧さーん。こちらへー」

唯「134番、平沢唯です。足に腫れ物が出来ました」

医官「はい、見せる~」

唯「はいっ」ヒョイ

医官「はい、かかない~」

唯「ありがとうございました」ペコリ

純「平沢さん、塗り薬が処方されるようですから、後でお届けしますね」ニコッ

唯「ありがとう、純ちゃん(ホント感じのいい子だなぁ。なんでりっちゃんはあんなに嫌うんだろ)」

医官「はい、体温計見せる~」

いちご「はい」サッ

エリ「あっ、は、はい」ゴソゴソ サッ

医官「はい、君はまだ見せな~い」

エリ「す、すみません」

医官「はい、入浴禁止~」

いちご「ありがとうございました」ペコリ



21 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:50:55.24 ID:7v7ukZr00

 
医官「はい、体温計見せる~」

エリ「あっ、はいっ、あれ?」ゴソゴソ ゴソゴソ

医官「はい、遅い~」

エリ「す、すみません」サッ

医官「はい、健康~」

エリ「あ、ありがとうございました」ペコリ



午後3時25分 脱衣所

唯「おっ風呂、おっ風呂♪ フンフフーンフーンフーン♪」

入浴も週二回。それ以外の日はどうするのかというと、
バケツのお湯で足を洗うのとタオルで身体を拭くだけ。

だから石けんで身体が洗えて湯船に浸かれる入浴の日は、
袋菓子の出る祝祭日と同じくらい楽しみなのです。

ただし、お風呂場は狭いので受刑者は二班に分かれて、交代で入ります。
それと入浴中は交談禁止だから、ちょっと味気無いかな。

純「あ、平沢さん、お疲れ様」

唯「お疲れ様、純ちゃん。洗濯物集め?」

純「はい」

唯「大変だよね、掃夫さんのお仕事」

純「……あの窓ガラス、どう思います?」

唯「窓? ああっ、ガラスが入ってないみたいだね!
  すごい! アレって純ちゃんが磨いたんでしょ!?」

純「そう言ってくれるの平沢さんだけです。みんな、私の事を悪く言うんですよね」

唯「え? どうして? 純ちゃんは立派に掃夫さんのお仕事を務めてるじゃない」

純「そう、ですよね…… そうですよね!
  みんなの洗濯物をたたんで揃えたり、食器についた残飯集めたり、
  手を抜かずに窓ガラス拭いたり。ミスも無く、先生に注意もされず、
  みんなが嫌がる工場の雑用を一生懸命やってる……!」

唯「うんうん、立派に務めてるよ」

純「でも、陰でコソコソ言う人がいますから。
  ……飯田さん、最近休憩時間は食堂に入ってませんよね」

唯「慶子ちゃん? そう言われてみれば、そうだね」

純「みんなから陰で『ティッシュちゃん』って呼ばれてるんですよ」

唯「ティッシュちゃん?」

純「こないだの入浴の時、アソコにティッシュの切れ端がくっついてるの見た人がいたんです」ヒソヒソ

唯「あ、アソコに?」ヒソヒソ

純「アソコに」ヒソヒソ

唯「はー、そんな事がねぇ……」

純「私、飯田さんのアソコにティッシュがくっついてた事、先生に報告しておいたんです」

唯「え!? そんな事までさわちゃん刑務官に言うの!?」

純「はい。何でも全部ご報告した方が先生にかわいがられますから」

唯「かわいがられる?」

純「かわいがられます。……あっ!」タタッ

唯「ほえ?」

純「先生! 洗濯物の片付け、終わりましたぁ!」ペコリ

さわ子「よし!」



22 名前:唯「けいむしょ!」:2011/12/11(日) 01:53:43.08 ID:7v7ukZr00

 
唯(ああ、大人なんだなぁ。あんな風に孤独に頑張り続けるのは、私じゃ無理だよ……)ヌギヌギ

唯(私にはやっぱりみんながいなきゃ無理。
  りっちゃんや澪ちゃんやムギちゃんやあずにゃんや和ちゃんがいなきゃ……)ヌギヌギ

唯(たとえ刑期が延びても、たとえ刑務官に嫌われても、仲間がいたら……)

唯(でも、憂……)

唯(どうして……)

和「唯。何、素裸で突っ立ってんの?」

唯「うぇ!? あ、いや、これはその……」アセアセ

和「ほら、さっさと入るわよ。入浴時間は15分しかないんだから、
  手早く身体洗って、ゆっくり湯船に浸かりましょう」

唯「う、うん!」



第二話 終わり




25 名前:SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b):2011/12/11(日) 15:05:57.69 ID:0gji47CYo

乙でした。
グルメSSかと思いきや様相が変わってきた。





2 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 20:46:19.43 ID:LXDpPuq10

さわ子「姿勢正してェ~~~! 喫食開始ィ!」

受刑者達「いただきます!」

唯(うっ……)

律(げー……)

澪(うわぁ……)

紬(……)

梓(な、なんて事を……)プルプル

皆さん、こんにちは。平沢唯受刑者です。
突然ですが皆さんに質問です。
皆さんが一番こだわりを持っている主食は何ですか?
単純に一番好きな主食でもいいですよ。
ご飯? パン? 麺?
人によって十人十色、千差万別の好みやこだわりがあるのかもしれません。
今回は、そんな主食にまつわる喜怒哀楽のお話になりそうです。



第三話



11時00分 木工場 食堂

本日の昼食メニュー
 麦飯
 焼きそば
 キュウリの漬物
 バナナ

唯(こんな酷い食事、収監されて初めてだよ……
  いや、これまでの人生の中でもベスト3に入る酷さかも……)

唯(麦飯、大好きです。キュウリの漬物、しょっぱ過ぎない漬かり具合でgoodです。
  バナナ、目も鼻も舌も狂喜乱舞してます。ただ……)

唯(この焼きそば。これは、これは無いよぅ……
  グデグデネチョネチョの麺、塩味っぽいのがわずかについた味の薄さ……)

唯(まず“焼き”じゃないよね。焼いてないでしょ。
  鉄板で炒めてないでしょ、明らかに。茹でてから油まぶしただけじゃないの、これ)

唯(それに焼きそばの麺が箸で挟み切れる柔らかさって、一体どうなってるの?
  これって混ぜ続けたら、この器の中で糊になるんじゃないかな)

唯(いや、茹でたから柔らかくなったなんて言い訳はどうかと思うよ。
  だって、その理屈でいったら、ラーメンも蕎麦もうどんもみんな糊になっちゃうしさ)

唯(だから、百歩譲って焼きそばを茹でて作るのを認めたとして、
  せめて茹で時間と味つけにはもうちょっと気を遣おうよぅ……)チラッ

唯(わぁ、他のみんなも焼きそばには全然手をつけてない。
  キュウリの漬物で一生懸命、ご飯を食べてる)

唯(あずにゃんなんか顔色が真っ青だよ。
  麺類には人一倍こだわり持ってる子だし、そりゃそうなるよね……)

唯(工場の食堂での昼食は交談禁止だから、余計にこの焼きそばが悲しくて重いなぁ……)



午後4時50分 214号室

律「さってと、夕メシ夕メシ」

本日の夕食メニュー
 麦飯
 おでん(ちくわ、大根、こんにゃく、さつま揚げ)
 きんぴらごぼう
 金時豆と昆布の佃煮
 塩漬けキャベツ

梓「」ガツガツムグムグイライラガッシュガッシュグチャグチャイライラ

律「しっかし、今日の昼メシはひどかったなぁ」

唯「ねー、あれは無いよねー」



3 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 20:48:48.90 ID:LXDpPuq10

 
澪「ここのご飯は概ね美味しいけど、たまにああいうハズレがあるからな」

梓「あんなの麺に対する冒涜です!」プルプル

紬「まあまあ、梓ちゃん」

澪「ん? 律、今日の晩の献立、醤油いらないぞ」

律「あ、ついいつもの癖で出しちゃった。わりーわりー」

唯「!」

唯「りっちゃん、ちょっとお醤油貸して」

律「ああ。ほいよ」

唯「へへー。ご飯にお醤油をチョロっとかけてっと……」ピチャッ ピチャチャッ

唯「久し振りだなー、お醤油ご飯」モグモグ

梓「……」ジーッ

唯「んんっ! やっぱ、おいしー!」

麦3分に米7分のご飯がお醤油とピッタリ合って、ものすご~~~くおいしい!
家の白いご飯でしてた時より、全然おいしいよ。これならおかずなんかなくてもいいなぁ。

澪「かけ過ぎには気をつけろよ、唯」

紬「そうよ。塩分の取り過ぎは体に悪いのよ」

唯「え……? あ……」


『かけ過ぎたらメッだよ、お姉ちゃん。塩分の取り過ぎは体に良くないんだからね』


律「どした? 唯。ボーッとして」

唯「う、ううん、何でもない。いやー、あんまりにもお醤油ご飯がおいしくてさぁ」

澪「まったく、もう…… 何だか心配になるよ、唯を見てたら」クスッ

律「でもさ、シャバじゃあ身の回りに美味いもんだらけだってのに、
  グルメ(笑)やスイーツ(笑)は
  『もっと美味いもん、もっと美味いもん』って馬鹿みたいに走り回ってるじゃん。
  醤油飯くらいで幸せになれる唯を見てたら、私は逆に安心しちゃうな」

唯「そう? えへへー」テレテレ

梓「いや、微妙に褒めてないような……」



午後5時30分、余暇時間。夕食の空下げ(下膳)も終わり、
みんなは折りたたみ式テーブルを囲んで思い思いにそれぞれの余暇時間を過ごします。
りっちゃんと澪ちゃんは将棋、ムギちゃんは雑誌を読んでて、あずにゃんはノートに何やら書き物。
私は何をしよっかなぁ。

チャララッチャッチャララチャララ~

放送『受刑者の皆さんにお知らせします。明日十二月十二日水曜日は、
   えり布、敷布、枕カバー、靴下の洗濯です。
   出寮の際、出入口に出して下さい。繰り返します――』

律「明日は洗濯か。忘れてたな。準備しなきゃ」

唯「あっ、いいよ、りっちゃん。私がやっとくから」

律「そうか? サンキュー」

唯「なんのなんの。えーっと、衣類洗濯願箋っと…… 靴下はみんな出すよねー?」カキカキ

律「うん、出すー。うわ、飛車取られた。くそー」

澪「出すよ」

梓「出しまーす」

紬「私は私物の靴下だから自分で書くわね」



4 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 20:51:58.17 ID:LXDpPuq10


唯「ほーい。靴下4点と、敷布とえり布と枕カバーが5点、っと……」カキカキ

願箋を書いたら、洗濯札を付けた布ヒモでみんなの靴下をまとめて、214号室の洗濯袋に投入。
ちなみに官物の靴下は黒色で、私物の靴下は紺色です。

唯「敷布、えり布、枕カバーの白物は朝になったら洗濯袋に入れれば大丈夫だよね。
  よーし、オッケー! カンペキ!」

さーてと、本格的にする事が無くなっちゃった。
どうしよう。何しよっかな。
支給のチリ紙でもたたもうかな……



唯「……」タタミタタミ

紬「……」パラリ

梓「……」カキカキ

律「ちょっとタンマ。やっぱ今の無し」

澪「却下」パチン

梓「あっ」ポロッ コロコロ

律「どした?」

梓「また獄衣のボタンが取れちゃいました」

律「すーぐ取れやがんのな」

梓「もうっ、針と糸借りなきゃ」サッ

梓(入口ドアの横にある報知器ボタンを押して、小窓の前で気をつけ、っと……)

コツコツコツコツ ガラガラッ

さわ子「何だ」

梓「222番、中野です! ボタンが取れたので針糸を願います!」ペコリ

さわ子「よし!」



梓「……」チクチク

澪「王手」パチッ

律「詰んだ……」ヘナヘナ

唯「ねーねー。ムギちゃん、何読んでんの?」

紬「ん? エルメスの特集よ」 パラリ

唯「えるめす……?」

紬「うん。このケリーバッグなんかいいわね」スッ

唯「けりー……? 何それ?」

紬「こういう風に台形で、かぶせ蓋に錠が付いてるのがケリーバッグっていうの。
  モナコのグレース・ケリー公妃が由来になっててね。
  今では色々なブランドから出てるけど、私はやっぱり元祖のエルメスが一番好き」

唯「ほえ~」

紬「このケリープルシュなんて、ドブリス地のマロンで落ち着いた色合いの割には
  モコモコのムートンが付いてて、すごくオシャレで可愛いわよね」

唯(知らなかった…… こんな世界があったなんて……)

紬「ほら、これなんて唯ちゃんにピッタリだと思うわ」

唯(良家のお嬢様で、一人っ子で、O型で、受刑者かぁ…… 怖いもの無しかも……)ジーッ

紬「どうしたの? おかしな唯ちゃん」クスッ



5 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 20:54:58.79 ID:LXDpPuq10

 

刑務官「こらっ!! お前、何やってんだ!!」


唯律澪紬梓「!?」ビクッ


刑務官「そんな事していいと思ってんのか!!」


律「向かいの房だ。何やったんだ?」

唯「び、びっくりしたよー」ビクビク

梓「ウチの房かと思いましたよ」アセアセ

澪「水道の水出しっぱなしで、歯でも磨いたか?」


刑務官「さっさと歩け!!」


律「あっ、引っ張られてくぞ」

澪「誰だ?」

律「風子だ。風子」

紬「えっ、高橋さん? あの真面目な?」

律「懲罰房行きかぁ。一体、何やったんだ?」

梓「私、ちょっと見てみます」サッ

梓(また報知器ボタン押して…… 刑務官が来る前に小窓から……)チラッ

ちずる「」トントン

梓(あっ、向かいの小窓で島さんが雑誌を指差してる。あれは…… うわっ、来た!)

コツコツコツコツ ガラガラッ

さわ子「何だ」

梓「222番、中野です! 針糸、ありがとうございました!」ペコリ スッ

さわ子「よし!」

コツコツコツコツ

梓「わかりましたよ。雑誌のクロスワードパズルです」ササッ

律「あちゃー、ヘマしたなぁ」

唯「ええっ? パズル、ダメなの?」

紬「ダメよ、官本(※)に勝手に書いちゃ」     ※刑務所が貸し出す共用の雑誌、書籍

澪「ノートに書き写してからやればお咎め無しだったのにな」

唯「そっかー、写せばよかったんだね」

律「ま、風子もこれでいい薬になったんじゃないか?」

唯「でも…… 風子ちゃん、何だかかわいそう……」

澪「私達も気をつけないとな。明日は我が身だよ」

紬「規則違反は仮釈放に響くものね」



刑務官「入れ!」ドンッ

風子「きゃっ!」

刑務官「正座!」

風子「は、はいっ! ううっ、ぐすっ……」ポロポロ



6 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 20:59:41.54 ID:LXDpPuq10

 
刑務所の中ではパズルをしてしょっぴかれちゃうのです。



午前10時45分 木工場 刑務作業中

今日はパン! パンの日!
昼食の献立がパン食の日なのです!
みんな、指折り数えてこの嬉しい日を待っていました。
ほらほら、昼食を乗せたカートが配食係に押されて、作業中の木工場を駆け抜けていきます。
ああ、木屑の臭いに混じって、パンの香ばしい匂いが……

律(パンだ……)

澪(パン……)

紬(パンね……)

梓(麺もいいけど、パンも……)

唯(よぉ~し、気合い入れて仕上げちゃうぞ!)フンス



午前11時00分 食堂

パン食は毎月6回、昼食時に支給されます。
その6回の中でも今日のパン食は、特にみんなが待ち焦がれていた最高のものなのです。

本日の昼食メニュー
 コッペパン
 マーガリン
 小倉小豆
 フルーツサラダ(パイン、黄桃、みかん、リンゴ)
 牛乳

唯「わぁああ……」キラキラ

食堂全体に満ちているフルーツの甘い香り。
ギトギト光るマーガリンや小倉小豆の上を、妖精さんが華麗に舞っています。

さわ子「姿勢正してェ~~~! 喫食開始ィ!」

受刑者達「いただきます!」

澪(まずはフルーツサラダから…… んん~、美味くて脳がとろけちゃうよ)パクパク

紬(はぁ、甘い甘い小倉小豆…… 幸せ~。ビューだわぁ)モグモグ

唯(ああ、マーガリン…… マーガリンをパンにたぁくさん塗って……)ペトペト パクパク

梓(マーガリンと小豆を混ぜてパンに塗ると、また味が一塩増すんですよね、これが)マゼマゼ ペトペト

律(おおー。梓、ハジけてるなぁ。私もやろっと)マゼマゼ ペトペト

梓律(んまーい!)モグモグ

唯(小さい頃に初めて食べたイチゴショートよりも、学校帰りに食べたクレープよりも、
  何百倍も何千倍も美味しいなぁ。パンってすごいんだねー)モグモグ

澪(こりゃヘロインなんか目じゃないって)パクパク

紬(でも、ここに入る前は色々な料理をいっぱい食べてきたのに、
  何でマーガリンを塗っただけのコッペパンがこんなに美味しいのかしら……?)モグモグ

唯(ん……?)キョロキョロ

唯(わぁー、みんな幸せそうな顔で食べてる)ニコッ

律(へへー)ニコッ

澪(美味いよな)ニコッ

紬(幸せね)ニコニコ

梓(最高です!)ニンマリ

さわちゃん刑務官に見咎められない程度に顔を見合わせて、幸せに浸る私達なのでした。



7 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:00:20.08 ID:LXDpPuq10




第三話 終わり



8 名前:1:2012/03/31(土) 21:03:18.20 ID:LXDpPuq10

次、最終話いきます。



9 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:05:25.57 ID:LXDpPuq10

皆さん、こんにちは。平沢唯受刑者です。
今日は土曜日。免業日です。
免業日というのは休日の事。
土曜日、日曜日、祝祭日は工場の刑務作業がお休みになります。
なので、免業日は平日より一時間遅い7時40分に起床して一日が始まるし、朝の点検も一時間遅いのです。
お休みの日がウキウキしちゃうのは、刑務所の中も外も変わらないんだよね。

午前7時45分 214号室

みんな、鏡の前で髪をとかしたり、整えたり。
囚人だけど女の子だもん。

唯「2級者集会だねー、今日」トカシトカシ

素行が優良な受刑者は、段階ごとに1級者~4級者と決められます。
この房では私とりっちゃんが2級者、他の三人は3級者。
2級者は毎月一回の集会があって、お菓子を食べてジュースを飲みながら、映画を観るのです。
へへ~、いいでしょ~。

あと、他に特典と言えば、
本や日用品を入れる2級ボックスっていう戸棚がもらえるとか、手紙や面会の回数が増えるとか。

澪「いいなぁ」トカシトカシ

律「映画は何だろ。先月は『ダイハード』だったよな」トカシトカシ

紬「えーっと…… 『死霊の盆踊り』って書いてあるわ」

唯「えっ」

律「えっ」

紬「ウソウソ。冗談よ。『スタンド・バイ・ミー』ですって」

唯「へー。私、見た事無いや」トカシトカシ

律「私も。面白いのかな」トカシトカシ

梓「名作よ。今、思い出しても切なくて泣けてきちゃう」ウルッ

澪「まあ、どうせ二人ともお菓子とジュースに夢中で、内容なんて頭に入らないだろうけどな」

梓「コーラを飲んだらゲップが出るのと同じくらい確実ですね」

唯「むー。失礼な」トカシトカシ

律「今回もお菓子はアルフォートかな。ビスケットにチョコレートがついててさ」

澪「うっ…… いいなぁ、2級者は。私も早く2級になりたいよ」

梓「ああ、チョコが食べたいです……」

唯「じゃあ、靴下の中に隠して持ってきてあげるよー」トカシトカシ

律「馬鹿! そんな事してバレたら即懲罰房行きだぞ!」

梓「お気持ちは嬉しいですけど、駄目ですよ。唯先輩」

唯「ちぇー、いいアイディアだと思ったんだけどなー。ぶーぶー」トカシトカシ トコトコ



唯(ふあー、窓の外はいい天気だねー。すごく爽やかーな感じ)トカシトカシ

唯(この感じ、何だか懐かしいような…… 前にもこういう感じがあったような……)トカシトカシ

テンケンンンンヨォーーーイ

唯(そうだ、思い出した。子供の頃の夏休みの朝が、こういう爽やかさだったんだ)トカシトカシ

ユイセンパイ ユイセンパイ

唯(あの頃は自分が牢屋に入るなんて、想像もしてなかったなぁ)トカシトカシ

唯(人生って不思議だね……)トカシトカシ


さわ子「こらァ!!」


唯「わひゃあっ!?」ビクッ



10 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:08:56.27 ID:LXDpPuq10

 
さわ子「お前、何やってんだ」

唯(さ、さわちゃん来てる……? い、いつの間にか、みんな正座してる……?)」アセアセ

唯「ひゃ、ひゃひゃひゃ134番、ひ、ひ、ひら、平沢、です」ペコリ

さわ子「点検用意の声が聞こえなかったのか」

唯「あ、あの、その…… くせ毛で、なんか、その、ブラシが、えっと……」ビクビク

さわ子「免業日に朝っぱらから注意受けるような事はするな!! わかったか!!」

唯「はい! すみましぇん!」ペコリ



最終話



午前8時00分 214号室

本日の朝食メニュー
 麦飯
 味噌汁(キャベツ)
 納豆
 大根おろし

唯「ひどいよ~。教えてくれればいいのに~」

梓「私、ちゃんと声かけましたよ」ジャバー マゼマゼ

律「たまに怒られた方がいいんだよ。唯の場合」パクパク

澪「そうだな。唯は朝、ボーッとしてる事が多いし。
  いつもフォローしてもらえると思ったら大間違いだぞ」モグモグ

紬「まあまあまあ。今度から気をつけましょうね、唯ちゃん」

唯「はぁい……」シュン

配食係「しょゆそ~~~す」ガラガラ

律「あー、これだけあれば、まだもらわなくていいかな」

梓「律先輩、醤油ソース係みたくなってますね」

律「そう言うな。癖になってるんだよ」

澪「……配食係って作業賞与金、高いのかな」

紬「詳しくはわからないけど、大変そうだから高いかもね」

律「だよなー。朝の点検が済んだらすぐに白衣着て各房にメシ配って、
  それが済んだら自分達もソッコーでメシ食って、すぐに空下げでまた各房回って、だもんな」

唯「私、無理かも……」

梓「」ガツガツガシュガシュハフハフズゾズゾ

紬「でも、どうして? 澪ちゃん」

澪「ん…… パパとママに、ごめんなさいの意味も込めて仕送り出来たらな、って思っただけだよ」

律「いい心がけじゃんか! えらい!」バンバン

澪「いたたっ、痛いって…… 律だって家に仕送りしてるだろ?」

律「まあねー。聡の奴、学費とかでまだまだ金がかかるからな」

紬「無駄遣いせずに賞与金を貯めて送金したら、澪ちゃんの親御さんも家計が随分助かると思うわ」

澪「うん。そうだよな」

作業賞与金は特に必要があると認められれば、
家族に対する扶助、被害者に対する弁償、罰金や訴訟費用に使う事が出来ます。
んー、でも賞与金は出所の時にしか現金支給されないので、
どちらにしても私達が所内生活で現金を扱う事はないんだよね。



11 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:12:35.64 ID:LXDpPuq10

毎月の賞与金支給の時も、私物の服や本を買う時も、
賞与金出納帳の上で数字が上がったり下がったりするだけ。
やっぱり、檻の中の不自由な生活なのです。
悪い事をしたんだから当たり前なんだけど。



午前9時55分 214号室

朝食が済むと免業日はすごくゆったりします。
平日の余暇時間がずーっと続く感じ。

澪「で、香車がまっすぐ進めて、桂馬がひとつ飛ばした左右の斜め前に進めるんだよ」

唯「ふんふん」

律「唯、覚悟してろよー。私がいーっぱい鍛えてやるからな」ムフフ

紬(ニューヨーク近代美術館かぁ。また行きたいな)パラリ

梓「……」カキカキ

ガラガラッ

配達係「秋山さん、田井中さん、平沢さん。お手紙です」スッ

澪「ありがとうございます」

律「聡からか。こんなチョコチョコ寄越さなくてもいいのに」

澪(パパとママからだ。嬉しい事は嬉しいんだけど、手紙読む度に罪悪感が……)

唯「……」ポイ バタン

梓「ゆ、唯先輩、読まずにボックスにしまっちゃうんですか?」

唯「うん、いいの」

梓「でも……」

唯「いいの。澪ちゃん、将棋の続き教えて~」トコトコ

澪「ああ、いいぞ」

梓「……」


さわ子「115番、真鍋。集会」

和「はい」


あっ、隣の房で和ちゃんが呼ばれてる。
2級者集会の整列の時間だ。

律「おっ、来た来た」

澪「いいなぁ」

紬「いいなぁ」

梓「いいですねぇ」

律「へへっ。さぁて、甘シャリ食ってくるか。唯」サッ

唯「うん!」サッ

ガチャン

さわ子「62番、田井中。134番、平沢。集会」

律「はい!」

唯「はいっ!」

房を出て、廊下でみんなが二列に並んでるところへ、私達も並びます。
いつもと違って、気をつけも前ならえもありません。



12 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:16:14.89 ID:LXDpPuq10

 
律(えいっ、膝カックン)カクッ

和(ちょっと!)

さわ子「はい、進んで」

集会への往復の時は、木工場や運動場の時みたいに足踏み行進をしなくてもいいのです。
気のせいだと思うけど、さわちゃん刑務官もいつもと比べて優しい感じ。
もしかしたら、私は映画やお菓子よりもこの雰囲気が好きなのかも。



午前10時00分 講堂

集会場の中ではドボルザークの『新世界』って曲が小さく流れてます
(後からムギちゃんに曲名を教えてもらいました)。
各房ごとに入場して、入ってすぐのところで、お菓子とジュースを受け取ります。

刑務官「はい」スッ

唯「ありがとうございます(アルフォートとコーラだ! やったぁ!)」ペコリ

刑務官「はい」スッ

律「ありがとうございます(K&Kのカリフォルニアコーラだw まだ売ってるんだな、これw)」ペコリ

お菓子とジュースを受け取ったら、席の前の方から順番に座っていきます。
私の左隣にはりっちゃん。その左隣には和ちゃん。あっ、一番前の方にいるあの髪型は純ちゃんだ。

さわ子「黙想!」

号令がかかったら、姿勢を正して、手を膝の上において、目をつぶります。
その間に大扉が閉じられて、カーテンが引かれて、照明が消されて……

さわ子「黙想やめ!」

目を開けると、おお、真っ暗。



~♪

唯(あ、なんか始まった。そんな事よりアルフォート、アルフォート!)ガサゴソ ビリビリ

律(ん~ん~! いい! いい! 最高!)カリコリ モグモグ

唯(甘~い! チョコレートは永遠にチョコレートだよぉ! そうだ、コーラも……)モグモグ プシッ

律(んぐっ、んぐっ…… プハーッ! コーラうめー! たまんねー!)

唯(ノドが、ノドがシュワシュワする! 忘れてたよ、こんな感覚!)ゴクゴク

和(美味しいのはいいんだけど…… 周りの食べる音で映画に集中出来ないわ……)

唯(口の中が甘々だ~。幸せ~。これがずっと続けばいいのに)モグモグ ゴクゴク

律(ひとつ、ふたつ、みっつ…… 残りあとみっつか……)ガサゴソ

唯(ここからは大事に食べよう……)ガサゴソ



~♪

律(あ~あ、無くなっちった……
  ん、映画もそろそろ終わりか。結局、澪の言う通りになったな。フフッ)

『クリスは望み通り町を出た。私と同じ中学に進んだ彼は、
 持ち前の頑張り精神で法律学校にも合格し、弁護士にまでなった。

 先週、彼はレストランに入った時、目の前で男達が言い合いを始め、
 一人がナイフを抜いたのを見て、止めに入った。
 彼らしい行為だが、運悪く喉を刺され、ほとんど即死だったという。
 クリスとはもうずっと会っていなかったが、私は彼を忘れないだろう。友情は永遠のものだ。

 私は、12歳の時に持った友人に勝る友人を、その後も持った事は無い。
 誰もがそうなのではないだろうか。

 When the night has come. And the land is dark. And the moon is the only light we see...』

律(ん……?)チラッ



13 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:19:51.79 ID:LXDpPuq10

 
唯「……」

唯「……」

唯「(´;ω;`)ブワッ」

律(す、すげえ…… 映画のラスト2、3分だけ観て号泣しとる…… 私にゃ真似出来ねえ……)ゴクリ



午前11時50分 214号室

ガチャン

律「62番!」

唯「134番!」

さわ子「よし、入房」

ガチャン

律「フフーン」ニヤニヤ

唯「へへーん」ニコニコ

澪「どうだった?」

紬「どうだった?」

梓「どうでした?」

律「よかったぜ~。なあ? 唯」

唯「うん!」

澪「お菓子は何だった?」

唯律「ア・ル・フォー・ト」

梓「やっぱりぃ~」ヘナヘナ

澪「いいなぁ~」ヘナヘナ

律「まだ口の中に甘い余韻が…… んふ」

紬「飲み物は?」

律「コーラだよん」

澪紬梓「いいなぁ~!」ヘナヘナ



午後1時00分 214号室

免業日は昼食後の午後1時から午後3時までお昼寝が許されています。
この時間は囲碁将棋、交談は禁止。
敷布団にシーツは敷かず、パジャマではなく獄衣のまま寝ます。
寝そべっての読書はいいけど、書き物はダメ。
書き物をするのなら、必ず布団はたたんで小机を出して、その上でしなければいけないのです。

澪「……」スースー

紬「……」スヤスヤ

律「うー……」ウツラウツラ

澪ちゃんとムギちゃんは早くも夢の世界。
りっちゃんは寝そべって雑誌を読んでるけど、沈没は間近だね。
私とあずにゃんは小机を出して書き物。
私は最近、刑務所のご飯とか生活を憶えてる限り記録する事にしました。
日記みたいに後から読み返したら面白いかもしれないし。
本にして出したら、結構売れたりして。いや、まさかねー。
でも、あずにゃんはいつも何を書いてるのかな?

そんなこんなで、免業日の午後は静かに過ぎていきます。



15 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:38:26.92 ID:LXDpPuq10

 
律「……」ンガーンガー

澪「……」スースー

紬「……」スヤスヤ

梓「あの、唯先輩」

唯「なぁに?」

梓「どうしてご家族からの手紙を読まないんですか?」

唯「……」

梓「私と違って、心配してくれるご家族がいるのに…… かわいそうですよ」

唯「……午睡時間は交談禁止だよ、あずにゃん」

梓「あっ、はい…… そうですね……」

唯「……」

梓「……」カキカキ

唯「……」

梓「……」カキカキ

唯「……」

梓「……」チラッ

唯「……」

梓「……」ジーッ

唯「……私は、銃刀法違反と火薬取締法違反で捕まったんだけどね」ボソッ

梓「は、はいっ……」

唯「お巡りさんに通報したのは、妹の憂だったんだよ」

梓「えっ……?」

唯「……」

梓「で、でも…… どうして?」

唯「……」

唯「……」

唯「憂はね、明るくて、優しくて、勉強も家事も出来る、すごくえらい子だったの」

唯「それに、いつも『お姉ちゃん、お姉ちゃん』って、
  何にも出来ないダメな私のお世話をしてくれて、何だか私の方が妹みたいだった」

唯「私の前ではいつも笑顔だったから。いつも元気で明るかったから。
  気づいてあげられなかった……高校でひどいいじめを受けてたって」

唯「首から下の、服で見えないとこはアザだらけ。
  教科書は破かれたり、イタズラ書きされてたり。それに、お金もいっぱい取られてた……」

梓「ひどい……」

唯「憂は優しくていい子だから…… いつも私の事を想ってくれてたから……
  心配かけたくなかったんだね……」

唯「両親は二人共、海外に行ったりで家にいない時の方が多かったから、
  それを知ってからは私が何とかしなくちゃって思って……
  学校に相談に行ったりしたんだ。何回も何回も」

唯「でも…… 学校側は『担任や生徒から聞き取り調査を実施したが、
  いじめの事実は認められなかった』だって」

梓「何ですか、それ! 傷や教科書が立派な証拠じゃないですか!」カーッ

唯「名門の私立校だし、いじめがあったなんて認めたら、評判に関わると思ったんだろうね」

梓「いや、でも、陰でいじめてたのが表沙汰になれば、いじめてた子達だって、もう――」



16 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:42:53.45 ID:LXDpPuq10

 
唯「ううん」フルフル

唯「もっとひどくなった。暴力とか恐喝とかは無くなったけど、
  今度はみんなが憂を無視するようになったの。
  まるでそこに誰もいないみたいに。先生達までだよ……?」

梓「そんな……」

唯「でもね、憂は憂のままだった。
  どんなにいじめられても、私といる時はいつも、笑顔で、優しくて……」

唯「それが、もう、悔しくて悔しくて……」

唯「……だからね、殺してやろうと思ったの。いじめっ子も、教師も。みんな、一人残らず」

梓「う……」

唯「インターネットで知り合った外国人さんから売ってもらったんだ。拳銃を一丁と弾をたくさん。
  日本でも、銃って簡単に買えるんだね。ビックリしちゃった」

唯「キチンと計画を立ててさ。撃つ練習は出来ないから、素早く弾倉取り替える練習をいっぱいしてさ」

唯「『さあ、明日の授業中に教室に乗り込んで、撃ちまくってやるぞ』
  って、銃のお手入れしてた夜に、お巡りさんがいっぱい来てね……」

唯「憂は、ぐすっ、ずっと謝ってた……
  ううっ、ぐすっ…… 『ごめんなさい、ごめんなさい』って……」ポロポロ

唯「私がっ…… ぐすっ…… パトカーに、乗せられる時も……
  『お姉ちゃん、ごめんなさい』って……
  『お姉ちゃん、お姉ちゃん』って…… ううっ……」ポロポロ

唯「憂…… ぐすっ…… どうして……?
  私は憂の仇を討とうと…… ぐすっ、憂の為に……」ポロポロ

梓「……唯先輩は、馬鹿です」グスッ

唯「え……?」

梓「そんなの決まってるじゃないですか! 唯先輩に人殺しになってほしくなかったからです!
  そんな事もわからないんじゃ、唯先輩は馬鹿です! ダメダメお姉ちゃんです!」グスッグスッ

唯「でも……」

梓「妹さんは、たぶん、強い子だったから……
  唯先輩が考えてる以上に、強くて、お姉ちゃん想いな子だったから……
  唯先輩がそんな事をしなくても、楽しくて幸せな時間を過ごさせてくれれば、
  それだけで頑張れるって思ってたんじゃないでしょうか…… 私の勝手な考えですけど……」

唯「……」

梓「だから…… ドジで、おっちょこちょいで、ボーッとしてて、頼りなくて、天然で……
  でも、一緒にいると何だか幸せな気持ちになれる唯先輩のままでいてほしかったから、
  通報したんです。たぶん……人なんか殺したら、もう戻って来れなくなるから……」

唯「そっかぁ…… 私、ダメなお姉ちゃんだね、ホントに……」グスッ

梓「私は、唯先輩の妹さんに感謝してます」

唯「……?」

梓「狂った大量殺人犯の唯先輩じゃなくて、
  馬鹿な考えを起こして銃を所持してただけの唯先輩に出会えたのは、妹さんのおかげですから」

唯「……」

梓「……私もお昼寝します。まだ午睡時間が一時間くらいあるので」サッ

唯「あ、あのっ、あずにゃん……」

梓「午睡時間は交談禁止です、唯先輩」

唯「あっ、うん…… そだね……」

梓「じゃ、おやすみなさい」ゴソゴソ

唯「おやすみなさい」

梓「……」

唯「……」

梓「……」スースー

唯「……ねえ、あずにゃん。
  出所したらみんなで一緒にご飯食べようね。この房のみんなと、憂の六人で」



17 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:46:21.02 ID:LXDpPuq10

 
梓「……」スースー

唯「憂の手料理、美味しいんだよ。ハンバーグも、ビーフシチューも、カレーも」

梓「……」スースー

唯「私、楽しみにしてるよ」

梓「……」

唯「……手紙、読もっかな」

免業日の午後は、静かに過ぎていきます。



午後4時40分 214号室

本日の夕食メニュー
 麦飯
 吸い物(玉子、玉葱、ほうれん草)
 トンカツ
 スパゲティサラダ

律「うは、やった! トンカツ、トンカツ!」ガツガツ

唯「テンション上がるよねー、トンカツって」モグモグ

澪「普段のご飯は塩っ気も油っ気も少ないからなぁ。油物のメニューは貴重だよ」パクパク

紬「でも、脂肪分が多いと体重が……」

澪「うっ……」

唯「あっ、そーだ。今日もお醤油ご飯しよっと」ピチャッ ピチャチャッ

律「最近、マイブームだな。醤油飯」

唯「うん! 美味しいもん!」モグモグ



19 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 21:48:07.11 ID:LXDpPuq10

 
澪「ソースかけたトンカツと醤油ご飯…… 見てるだけで喉が渇いてくる……」

梓「……」ジーッ

唯「どしたの? あずにゃん」

梓「唯先輩、私にもお醤油貸して下さい」

唯「え? う、うん」スッ

梓「……」ピチャッ ピチャチャッ

唯(あずにゃん……!)ジーン

律「おいおい、梓もかよー」

澪「あまり唯の真似するなよ、梓」

紬「かけ過ぎないようにね?」

梓「……」ガツガツ

唯「どう? どう?」ソワソワ

梓「……なかなかイケますね」モグモグ

唯「でしょ!? でしょ!?」

梓「はい」ガツガツ

唯「今度、ソースかけてみて? これがまたオツなんだから!」

梓「はい。やってみます」ニコッ



唯(よぉ~し! えらいぞ、あずにゃん!)








14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/03/31(土) 21:25:53.03 ID:XGeduQaCo

和ちゃんも中にいんのか


18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/03/31(土) 21:46:55.91 ID:XGeduQaCo

皆の罪状が気になるな
多分純ちゃんはオチ要員なんだろうけどww





20 名前:唯「けいむしょ!」 :2012/03/31(土) 22:07:51.13 ID:LXDpPuq10

終わりです。
少しでも楽しんで頂けたなら幸いです。


>>14
いるのです。3年2組の子達は全員入ってます。

>>18
罪状に関しましては第一話冒頭にも書きましたが、
唯 銃砲刀剣類不法所持、火薬類取締法違反
澪 大麻取締法違反、覚醒剤取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反
律 傷害罪
紬 詐欺罪、金融商品取引法違反、所得税法違反
梓 食い逃げ、食料品万引き
という設定です。
純ちゃんは学校荒らしなので、不法侵入とか窃盗ですね。


今度は多少パラレル気味でもオリジナルを書いてみたいと思います。
あと、おまけと言っては何ですが、
けいおんキャラが映画版だと誰のポジションだったかを書いておきます。

平沢唯 ………… 山崎努

田井中律 ……… 田口トモロヲ
秋山澪 ………… 村松利史
琴吹紬 ………… 香川照之
中野梓 ………… 松重豊

真鍋和 ………… 窪塚洋介

鈴木純 ………… 伊藤洋三郎

立花姫子 ……… 長江英和
中島信代 ……… 木下ほうか
飯田慶子 ……… 大杉漣
高橋風子 ……… 草薙良一
島ちずる ……… 林海象

山中さわ子 …… 斎藤歩

医官 …………… 椎名桔平


では、また。さようなら。




21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県):2012/03/31(土) 22:09:49.22 ID:XGeduQaCo


一話とか読んでないから読んでみる






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