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澪「お試し期間!」#前編 【恋愛】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333758510/

澪「お試し期間!」#前編
澪「お試し期間!」#後編




1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:28:30.45 ID:ypdOa8j/0

注意
・百合です
・数か所語尾にwwwwwwが付いています
・SS初心者です

以上が苦手な方はスルーでお願いします





2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:30:16.80 ID:ypdOa8j/0

律視点


律「は?」

澪「だから、明日一日お試ししてみてって」

律「何を?」

澪「私を///」

律「いやいや」

澪「いやいやいや」

律「いやいやいやいや!」

澪「いやいやいやいやいや!!」

律「いやいやいや……あいたっ!」ゴチン!

澪「しつこいっ!!」

律「ぶーぶー」

澪「とにかく、明日一日だからな!///」


そう言うと澪は走り去って行った。
数日前からそわそわしていると思ったら、
これを言う為だったとはさすがのりっちゃんでも分からなかったぜ。



3 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:31:23.30 ID:ypdOa8j/0

しかし困ったな。
帰り道。
私の家の前まできたら突然、

澪「律! 明日一日、私と、こここ恋人にならないか?」

だもんな。
澪が言うには、

澪「親友で幼馴染の女の子に突然告白されたら、律困っちゃうだろ?」

澪「だから、明日は一日、こここ恋人お試し期間だ///」

澪「その日の終わりに改めて告白するから、その時に返事を聞かせてくれないか?」

だそうだ。
うーん、お試しも何も、私も澪のこと好きなんだけど。
あいつ全然気が付いてなかったんだな。



5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:32:21.14 ID:ypdOa8j/0

その日の夜

あぁ! 明日は澪とデートかぁ!
楽しみだなぁ。一日のお試しとはいえ恋人なんだろ?
どこまでヤッていいのかな?

手は……繋ぐだろ。
キスは……ギリギリOK?
舌突っ込むのは……ギリギリOUT?……OKでいいかwwwwww
だって恋人だもんな!

そういやどこに行くんだろ。
さっき来たメールには、明日10時に迎えに来るって書いてあったけど。
動物園かな?
いや、春とはいえまだ寒いから水族館かな。
まぁ、澪と一緒ならどこでもいいか。
どんな所でも澪を楽しませる自信あるし。

そういや、澪はその日の終わりに改めて告白するって言ってたけど、
どんな告白すんだろ。
きっとメルヘンで痒くなるような言葉考えてんだろーな。
詩とか朗読したりしてwwwwww



7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:33:55.71 ID:ypdOa8j/0

あぁ、楽しみすぎて眠れないや。
澪でも数えるか。

澪が一人。
澪が二人。
澪が三人。
澪が四人。
澪が五に……

あいたー!!

はあー、ちょっとウトウトしたら、夢の中で五人の澪にゲンコツくらったwwwwww
痛いwwwwwwけど幸せwwwwww

だめだ、余計に興奮して眠れないや。
梓でも数えるか。

梓が一人。
梓がふた……。
あれ?
梓ってどんな顔してたっけ?
たしか目が二つに、鼻の穴が二つで、口が……ZZZZZZZZZ



8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:34:48.50 ID:ypdOa8j/0

翌日

10時になっても澪は迎えに来なかった。
変わりに来たのは「ごめん、ちょっと遅れる」と書かれたメール。
澪が遅刻するなんて滅多に無いことだ。
きっと澪も、興奮して眠れなかったに違いない。
かわいいヤツめ。

しかし30分待っても澪は来なかった。
さすがに心配になってきたな。電話でもするか。

コール音。

コール音。

コール音。

そして留守電のメッセージが流れた。

あれ。うんこ中かな。
もう一度かけてみよ。
やっぱし出ないな。
メールしてみるか。
いや、電話に出られないならメールも返って来ないか。

よし、迎えに行こう!
歩いている間に澪に会うかもしれないしな。



9 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:35:32.59 ID:ypdOa8j/0

家を出て、ゆっくり歩く。
会ったら何て言おうかな。
「うんこ、時間かかったな! 止まらなかったのか?」
イマイチだな。
「りっちゃん様とのデートが楽しみ過ぎて眠れなかったのか?」
いきなり本当のこと言ったらマズイか。

いつもの角。
ここを曲がったら後は一本道だ。
きっとここを曲がったら澪がいる。
ちょっと小走りしながら顔を紅潮させた澪がいる。
そんな気がした。
りっちゃん様は澪のことならなんでも分かるんだぜ!

そしていつもの角を曲がった。

澪はいなかった。

気のせいだったwwwwww



10 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:36:28.44 ID:ypdOa8j/0

まだ家にいるのかな?
あぁ、なにも迎えに来なくても家電にかければ良かったのか。

家電にかける。

コール音。

コール音。

コール音。

……。

誰も出ねぇ。

何かあったのかな?
不安が腹の奥底から湧き出して、じわじわと全身に広がって行くような気がした。
弾かれたように走り出す。

澪。澪。澪おおおおおおおおおおおおおおおおおう!!!


澪ん家の玄関。
インターフォンを押す。
一応押したから開けてもいいよね?
私はインターフォンを押してすぐにドアを開けた。



11 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:37:31.34 ID:ypdOa8j/0

律「みいいいいいいおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
澪「うるさい!!」

ゴチンッ!!

律「あいたっ!!」

澪「あ、ごめん。つい反射で……」


ドアを開けたら澪が立っていた。
そんで、いきなりゲンゴツをくらった。
心配して走ってきたってのに、愛が痛いぜ澪しゃん……。
頭をさすりながら目線を上げる。
そこには、普段着ないスカート姿の澪がいた。


澪「えっと……遅れてごめん。その、すぐ出るから、ちょっと待ってて!」


そう喋りながらだんだん顔が赤くなった澪は、
言い終わる前に自室へ走って行ってしまった。

ヤベエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!
澪しゃんかわいすぎだろおおおおおおおおお!!
これが漫画やアニメだったら、私、ここで間違い無く鼻血出てるぅwwwwww



12 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:39:07.53 ID:ypdOa8j/0

澪「律! お待たせ……って、きゃあ! 律! 律! 鼻血出てるぞ!」

律「 」


リビングで30分ほど休ませてもらって、やっと澪ん家を出る。
ありゃりゃ、もう11時になっちゃってるよ。


駅まで10分ほどの道のりを二人で並んで歩く。
澪しゃんのバッグがやけに大きくて重そうだ。


律「澪。持つよ」

手を差し出した。

澪「ありがとう。でも、大丈夫だから」

それでも私は出した手をひっこめない。
だってさ、

律「作ってくれたんだろ? お弁当」


澪がちょっとびっくりしたように眼を開いた。
でも、すぐに顔を赤らめて笑いながら頷いた。
りっちゃん様には何でもお見通しなんだぜ。


律「お礼に、私が持つよ」



13 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:39:46.12 ID:ypdOa8j/0

澪のバッグを掴んで引き寄せる。澪は抵抗せずに渡してくれた。
その時に手が一瞬触れて私も顔が熱くなっていくのが分かったから、


律「よーし、駅まで競争だぁー!!」

澪「お弁当がぐちゃぐちゃになっちゃうだろ!」


二人で笑ってごまかした。



14 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:40:47.64 ID:ypdOa8j/0

電車に乗る。
車内は空いていたので、座ることにした。
先に座った私のとなりに澪が座る。
いつものことなんだけど、
いつもよりちょっと近くに座ってきた澪にドキドキした。
早く着かないかな。でももっとこうしていたいから、
やっぱりまだ着かなくていいや。


そんで。
はい、着きました。
水族館でございます。
りっちゃん当たったwwwwww



15 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:41:51.29 ID:ypdOa8j/0

律「腹減ったな。見る前に食べよーぜ!」

澪「あぁ、そうだな。じゃあ、外のベンチに行こうか」


澪のバッグから、小さな丸いテーブルにお弁当箱が並べられた。


澪「えっと……口に合うか分からないけど……」

澪「め、め、召し上がれえええええええっ!!!///」


ものすごい勢いでの「召し上がれ」にちょっと笑いそうになったが、
怒られそうなんで我慢。

中身は私の好きな食べ物ばかりだった。
かわいく、彩りよく並べられている。澪らしいや。
澪しゃんの手作り弁当……。



16 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:43:17.43 ID:ypdOa8j/0

律「いっただっきまーす!! うめぇっ!!!」


遠慮なくガッツくwwwwww
朝から走ったから腹ペコだものwwwwww


澪「あ! コラ! 私の分まで食べるな!」


律「御馳走様でした……げふっ。動けない……」

澪「私の分まで手を出すからだ」

律「だって美味しかったんだもーん……げふっ」

澪「///」テレテレ

あ、澪が照れてる。
かわいいなぁ……げふっ。



17 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:45:23.51 ID:ypdOa8j/0

結局、さらに一時間休憩。
どんどん時間が少なくなっていくな。


澪「律! 律! 見て見て! マンボウだよ!」

律「あぁ、マンボウだな」

澪「あ! あっちのお魚、キレイ!! 律! 律! あっち行こう!」


振り回されながらも、それが心地良かった。
楽しそうな澪を見てるとさ、こっちまで楽しくなるんだもん。


最後に、イルカのショーを見ることにした。
本日ラストのショーはすっごく混んでいて、
一番後ろになんとか座ることができた。
一番前で見せてあげたかったな。
そんなことを思いながら澪の横顔を盗み見する。
期待で潤んだ瞳に照明がキラキラと反射して、素直にキレイだなって思う。
本当にキレイだよ、澪。



18 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:46:52.57 ID:ypdOa8j/0

澪「律! イルカだぞ!」

律「あぁ、丸々して美味そうだな」

澪「りいいいつううう!」

律「冗談だってばwwwwww」


ショーが始まると、イルカの動きに合わせて歓声が上がった。
ふと見ると、椅子に手をついている澪の左手が見えた。
あら、無防備だこと。
握っちゃおうかな。
でも澪しゃんってば恥ずかしがり屋だから、
人前でこういうことしたら怒るかな。
でもでも! 恋人なんだし、いいよね?

右手を、澪の左手に重ね……



19 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:48:49.64 ID:ypdOa8j/0

澪「律! 律! 今のジャンプ凄かったな!」

律「へ!? あぁ、そうだな!!」


急に話しかけてくんなwwwwww
ビックリすんじゃねえかwwwwww

だめだ、緊張してきた。
そっと手を重ねる代わりに、そっと手を横に並べる。
小指だけが重った。
ヘタレりちゃんにはこれが精いっぱいだった。

だってさ、これなら澪が「人前でやめろ!」って言っても、
「誤解だ! 澪しゃんの小指は大きいから椅子のフチだと思ったんだよ!」
なんて言い訳できるし。

視界の端で澪が振り向いたのが分かったけど、
私は、澪に気が付かないふりをしてイルカに集中した。
澪は何も言わずまた正面を向いた。
良かった。どうやら拒否はされないらしい。

と思ったら、そっと左手を引き抜かれた。
ぎゃーーー!!! やっぱり拒否されたああああああ!!!



20 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:50:30.05 ID:ypdOa8j/0

そして、右手がそっと温もりで包まれた。
右手を見る。
そこには確かに、確かに澪の左手が重なっている。

しっかりと横を向き澪を見ると、
顔を真っ赤にしながらイルカのショーに熱中しているふりをしていた。
今日の澪しゃん、大胆wwwwww
嬉し過ぎるwwwwww
キスしたいです!
君のその綺麗な横顔に、キスをしたいです!


澪「あんまりジロジロ見るなぁ///」カァ


もう押し倒したいです!
今すぐ押し倒したいです!

押し倒せない代わりに澪の指に自分の指を絡めてぎゅっと握ってやると、
澪は幸せそうに笑ってくれた。

やっぱり押し倒したいwwwwww



21 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:51:40.38 ID:ypdOa8j/0



帰り道。

電車の椅子に並んで座る。
弁当が入っていたバッグを膝の上に抱えた。バッグの下から手探りで澪の手を握る。
一瞬ビクッってなる澪しゃんは本当にかわいい。
顔真っ赤にしながら周りの乗客に気付かれないように自然と喋ろうとするんだけど、
必死なのバレバレな澪しゃんはもっとかわいい。


澪「律」

律「なに?」

澪「律、顔真っ赤だぞ」


私も真っ赤だったwwwwww
必死に余裕な振りしてたけどバレバレwwwwww



22 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:52:16.36 ID:ypdOa8j/0

澪「律……」

小声で澪が話すから、耳を澪の口元に近づけた。

澪「律、かわいい……」

律「んなっ!?」

やめろおおおおおおおおおおおおおお!!!!
照れるうううううううううううううう!!!!


電車を降り、並んで歩く。



23 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:53:38.46 ID:ypdOa8j/0


律「腹減ったあー! 澪! コンビニ寄ってくぞ」

澪「はいはい。でもあんまりたくさん買うなよ? 夕飯入らなくなるからな」


夕飯の心配までしてくれるなんてさ、私の嫁かっつーの。
全く、澪は良い嫁になれるよ、うん。
きっと、上手くやっていけると思う。

コンビニでからあげ君買った。
歩きながら食べようかと思ったけど、
小さい頃よく澪と遊んでいた公園が見えたんで公園へ。

ベンチに座ると、当たり前のようにいつもより近くなった距離で澪が座ってきた。
あぁもう! いちいちかわいいwwwwww


律「はい、あーん」

そんな澪にからあげ君おすそわけ。
でも、つまようじに差したからあげを手でつまんで食べちゃった。
あーんしてくれなかった……。

さてと。
からあげ君食べたし、本題に入りますか。



24 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:54:33.97 ID:ypdOa8j/0


律「なぁ、澪?」

澪「ん?」

律「ちゅーしていい?」

澪「な…な…なーーーっ!!!」チーン

ありゃりゃ、気絶しちゃったよ。

律「澪!! 澪!! 戻ってこおーい!」

澪「はっ! 駅か? 降りなきゃ!」

律「ちょっ!! コラ! どこ行くんだよ!! 駅じゃない! ここは公園だ!」

澪「あ、あぁ、律。おはよ」

律「そんなんでこれから先、大丈夫か?」

澪「……相手が律なら、律なら大丈夫……」

律「大丈夫じゃなかったじゃんwwwwww」



25 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:55:38.80 ID:ypdOa8j/0


澪「きゅ、急に言うからだっ!」

律「なんだよ。じゃあ、昨日のうちにメールで言っといた方が良かったのか?」

澪「それはムードが無い!」

律「じゃあ、どーすりゃいいんだよ!」

澪「二人きりで、見つめ合って、なんとなくそんな雰囲気になって……」チーン

律「おーい、澪しゃーん。妄想で気絶すんの止めてもらえます?」

澪「はっ! 駅か? 降りなきゃ!」

律「またそこから!?」



27 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:56:58.58 ID:ypdOa8j/0



言い訳なんだけど、

律「澪、好きだよ」

せめてこれくらいは許してほしいなんて、

律「でもさ、いつも一緒にいるから、この感情がLike なのか Loveなのか分かんないんだ」

澪に甘えてばっかで、

律「ちゅーは友達同士じゃしないだろ?」

頼ってばっかで、

律「だから、ちゅーしたら分かる気がするんだ」

でもこれで最後にするからさ、

律「ちゅー、してもいいか?」

最後のワガママきいてくれ。



28 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 09:59:04.59 ID:ypdOa8j/0

顔を真っ赤にして俯いてる澪の両肩に手を乗せると、澪の肩がビクっと跳ねた。
触れてみて初めて分かったけど、
澪、震えてる。
緊張してるんだ。
私だって緊張してる。
心臓がうるさいくらいにバクバクしてる。

そっと唇を近づけて、優しくキスをした。


澪「ど、どうだった?」

律「柔らかかった!」

澪「違う! キ、キ、キスの感想じゃない!」

律「へ?」

澪「そ、その。Like か Love か。どっちか分かった?」

律「あぁ」



29 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:00:10.78 ID:ypdOa8j/0


澪。
私、私ね……。

律「……」

この気持に、

律「いやぁ~! やっぱナイわ!!」

嘘をつくから、

律「澪しゃん! これからも親友でいてくれよな!」

どうかこの気持に気がつかないでいて、

律「きっとさ、私達いつも一緒だから澪も勘違いしてたんだろ?」

でも、心のどこかで、

律「澪しゃんはモテるんだから、すぐにカッコイイ彼氏ができるよ!!」

澪に気が付いてほしいって思う私は、



30 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:01:04.31 ID:ypdOa8j/0


律「澪しゃんは綺麗だし頭良いし、良妻賢母になれるって!」

ズルイ人間で、、

律「そんでさ、幸せになれよ……」

どうしようもなく澪が好きなんだ。

澪「私、まだ告白してない。改めて告白するっていっただろ?」

律「その前に答えが出ちゃったんだよ」

澪「私は、私は、ずっとま、前から……」

律「澪っ!! 告白はさ、これからの為にとっとけよ」

澪「この気持、無かったことにしろって言うの?」


大粒の涙が、澪の両眼からぼろぼろとこぼれ落ちる。
拭うこともせずにまっすぐ見つめてくる強い視線に耐えられず、
私は目線を反らした。



31 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:01:49.95 ID:ypdOa8j/0

律「そのうち忘れるよ……。さて! そろそろ帰りますか! 今日の夕飯なんだろな!」


勢いよく立ち上がり、そのまま歩きだす。


律「澪! また明日なっ!」


澪に背を向けたまま走り出した。
もう限界だ。

遠くで澪の嗚咽が聞こえたが無視。
だって、私だって限界なんだよ。


律「腹減ったぁー! えぐ、ぐすん。今日の夕飯、えぐ、なんだろな……ぐすん」


めちゃくちゃに走った。
息が上がって胸が痛かったけど、関係ない。
息が上がったから胸が痛いのか、澪をフったから胸が痛いのか、
自分の気持に嘘をついたから胸が痛いのか、
それともその全部で胸がいたいのか。
もうさ、分かんないんだよ。
ただ分かるのは、澪が好きってことだけなんだ。



32 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:02:43.90 ID:ypdOa8j/0

家に着いた。


律ママ「お帰り。ご飯の用意が……」

律「あぁ、ごめん! 澪と食べてきちゃったからいらないや」

律ママ「そういう時は電話しなさいっていつも言ってるでしょ!」

律「忘れてたぁ。ごめんなさーい!」


台所から出てこようとするお母さんと会わないように、急いで二階へ上がった。



33 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:03:24.53 ID:ypdOa8j/0

すぐに部屋へ入り、ベッドへダイブ。
ぼろぼろと大粒の涙をこぼしながら私を見つめる澪の顔を思い出す。


律「ごめんよ、ごめんなぁ、ごめん……」


泣かせたのは私。
でも、
その涙を止めるのは私じゃない。
その隣にいるのは私じゃないから、
澪を幸せにするのは、私じゃないんだ。


律「これでいい。これでいいんだ」


仰向けに寝転び、先日のことを思い出す……。



34 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:04:07.42 ID:ypdOa8j/0



先日


澪ママ「あら、りっちゃんいらっしゃい。今澪ちゃんは用事で出かけていないのよ」

澪ママ「もうすぐ帰ってくるから、上がって待ってて」

律「はーい」

澪ママ「そうだ! 頂いたケーキがあるんだけど、一緒にどう?」

律「わーい! 食べる食べる!」


おばさんと一緒に、リビングでケーキと紅茶をいただく。


律「うまいっ!!」

澪ママ「うふふ、いっぱいあるから食べてね」



35 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:04:59.68 ID:ypdOa8j/0


律「やった! 澪に見つかったら」

律「『そんなに食べたら夕飯入らなくなるだろ!』って怒られちゃうからな」

澪ママ「あらあら。なんだか夫婦みたいね」

律「澪が夫だったら私、毎日ゲンコツ喰らってそうだwwww」


私と澪が夫婦だったらかぁ。
手料理作ってさ、お風呂沸かしてさ、澪の帰りを待つの?
うわー、楽しそう!
毎日澪と一緒にいられるって、幸せだろうな。


澪ママ「それにしてもあなたたち、もう高校三年生でしょ?」

律「実感無いけどねww」

澪ママ「うふふ、りっちゃんらしいわね。」



36 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:05:32.32 ID:ypdOa8j/0


澪ママ「あなたたち、彼氏いるの?」

律「女子高通ってる私に、それ聞いちゃう?」

澪ママ「澪ちゃんも彼氏いないのかしら?」

律「いないよ」

澪ママ「澪ちゃんは人見知りの恥ずかしがり屋だからねぇ」

澪ママ「でも一人っ子だから、いつか結婚して孫の顔見せてもらわないとね!」

おばさんの言葉は、でっかいハンマーで思いっきりぶん殴られたような衝撃だった。



37 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:06:22.42 ID:ypdOa8j/0


目を開けると見えたのはいつもの天井と、
あの日楽しみでしょうがないって顔して笑ってた澪のお母さんだった。
あの日から私は、澪を見るたびに胸が痛む様になった。
これ以上好きになっちゃいけないって、
澪の、私が好きって感情にも気がついちゃいけないって。
そう言い聞かせてきたんだ。

だけど澪は、一日恋人になりたいと言ってきた。
私はそれを利用したんだ。
澪と恋人になる。
それは一生敵わないと思っていた私の願望だった。
それが一日限定で叶うのだ。
楽しい思い出を作ろう。
その思い出を一生大切にして生きようって思ってた。

でもさ、やっぱり辛過ぎるよ。
大好きな澪をあんなに泣かせるなんて。



38 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:07:08.47 ID:ypdOa8j/0



その時、部屋にノックの音が響いた。
私はとっさにうつぶせになる。
泣いてる顔を家族に見られたくないから。

ガチャリとドアが開く。


聡「姉ちゃん、風呂空いたよ」

律「うん、すぐ入る」

布団に顔を埋めて返事をした。声がくぐもって涙声をごまかせそうな気がしたから。

聡「姉ちゃん? 泣いてるの?」

ごまかせなかったwwwwww

律「泣いてない! 眠いだけ。早く部屋に戻れよ!」



39 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:07:49.34 ID:ypdOa8j/0


聡「澪姉とケンカでもしたんだろ?」

律「……」

聡「全く姉ちゃんは変わんねぇなぁ。」

聡「どーせ姉ちゃんが何かしたんだろ?」

聡「早く謝っちゃえよ? 澪姉なら許してくれるからさ」


バタンとドアが閉まった。
聡がいなくなったのを見計らって顔をあげる。



40 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:08:19.40 ID:ypdOa8j/0



聡「やっぱし泣いてんじゃんwwwwww」

律「あ! コラ! てめぇ、部屋に戻ったフリしやがって!!」

枕を勢いよく投げてやった。
でもひょいとよけられた。
コンチクショー!!

聡「なぁ、姉ちゃん。風呂から上がったらさ、久しぶりに対戦ゲームしようぜ!」

中学生のくせに、気い遣ってんのか。
心配してくれてんだな。
でも、

律「忙しいからやらなーい」

さすがにゲームって気分じゃない。



41 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:08:49.44 ID:ypdOa8j/0


律「ほらほら出てった出てった。下着出すから出てけ」

聡「姉ちゃん、ブラジャーいらないくせに」

律「やっぱゲームやる! ボッコボコにしてやんよっ!!!」

聡「返り討ちにしてくれるわっ!!!」


そうだ、忘れてた。
澪の為に澪をフったんだ。
もう迷わない。
家族にも心配かけない。
大丈夫、大丈夫、私は大丈夫。
きっといつか澪は私を忘れる。
その時までの辛抱だ。

生意気だけど私の大切な家族。
ありがとな、聡。



42 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:09:27.97 ID:ypdOa8j/0



翌朝


意外にも、澪はいつもの待ち合わせ場所で待っていてくれた。
ショックで寝込むかと思ったけど、私にフラれたこと、
あんましショックじゃなかったのかな?


澪「おはよ」

律「はよーっス」


昨日のことは触れないでおこう。
無かったことにすればさ、澪の黒歴史が増えることは無いもんな。
私って本っ当! やっさしーい。


澪「昨日のことなんだけど……」

わお。私の優しさ無駄になったwwwwww



43 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:10:15.67 ID:ypdOa8j/0


澪「私、やっぱり諦められないよ。この気持に嘘は付けない。」

澪「律は優しいから無かったことにしようとしたんだろ?」

澪「でも、私はちゃんと伝えたいんだ。」

律「私の気持は変わらないよ? 澪は大切な親友だ。それ以上でもそれ以下でもない」

澪「はは、またフラれたな」

自嘲気味に澪は笑った。

澪「それでもやっぱり律を諦めきれないよ。」

澪「あと何回フラれたら私、律を諦められるのかな……」



44 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:10:58.87 ID:ypdOa8j/0



悲しそうに笑う澪は儚げで、今にもボロボロと崩れ落ちてしまいそうだった。
でも、私はもう迷わない。
家族って大切だろ?
澪は一人っ子なんだ。
両親の期待を一身に背負ってる。
その震える肩に背負ってるんだ。
だから、私は迷っちゃいけない。


律「澪、止めてくれ。私たちは女同士なんだよ。」

律「まだ私を諦められないってんなら、もう親友じゃいられない」

目を見開いた澪に追い打ちをかける。



45 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:11:43.02 ID:ypdOa8j/0


律「澪に、彼氏が出来るまで、私に近づくな」

澪「無理だ! そんなの無理だよ!!」

律「合コンでもなんでも行けばいいだろ! 澪はかわいいんだからすぐに彼氏ができる!」

澪「違う! 律以外を好きになるなんて無理だって言ってるんだ!」

律「無理じゃない! 無理だって思いこんでるだけだ!」

澪「律に何が分かるんだよ?」

澪「小学生の時からずっと律だけを想ってきた私の気持ちの何が分かるって言うんだよ!!」

律「それが迷惑だって言ってんだよ!!」



46 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:12:33.71 ID:ypdOa8j/0



澪は泣かなかった。
目はただ開いているだけで何も見てはおらず、
口は一文字に結んだまま何も語らず、
思考は止まり、
体は制止し、
呼吸すらしているか分からない状態に見えた。

気絶してんのか?
立ったまま?


律「澪? みーお? みおっ!!」


ダメだこりゃ。
そうだ、おばさんに電話しよう。


律「あ、もしもし? うん、律だよ。あのね、澪が急に具合悪くなっちゃってさ。」

律「え? 迎えに来てくれんの? ありがとっ! 場所はね……」



47 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:13:10.51 ID:ypdOa8j/0


ほどなくしておばさんが車でかけつけ、澪を乗せて走って行った。
終わった。
これで終わったんだ。
私たちはもう、終わったんだ。

よし、学校に行こう。

歩きだそうとしたら、へなへなと座り込んでしまった。
はは、カッコ悪いな。
澪と一緒にいられなくなるって思っただけで、腰が抜けてんじゃん。


小さい時から飽きずにずっと一緒で、
お互いのことはなんでも知ってて、
幼馴染と言うにはちょっと親密過ぎた私たちの関係は終わり、
これからは何の繋がりもなくなる。

澪が居ない生活が始まる。

想像もしたことがなかった生活が、想像もしなかった形で、今、急に始まった。



48 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:13:43.70 ID:ypdOa8j/0


澪視点


気が付くと自室のベッドに寝ていた。
あれ? 夢?
嫌な夢だったな。

えっと、律にフラれて……あぁ、思い出したくもない。
例え夢だったとしても、それは私にとって辛すぎる内容だった。

今何時だろ。
あれ? 12時? えっと、今日は何曜日だっけ?


部屋に響くノックの音。

ママかな?
返事を待たずに、そっとドアが開いた。



49 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:14:34.39 ID:ypdOa8j/0


澪ママ「澪ちゃん、起きてたの? 具合はどう?」

澪「うん?」

あれ? 私、具合悪いんだっけ?

澪ママ「りっちゃんが電話してきた時はびっくりしたわよ」

澪ママ「朝は何とも無かったのにねぇ……」

律から電話?
はっ、として体を見ると、私は制服姿だった。
まさか……。

澪「ねぇ、ママ。私、今日……学校に、行った?」

澪ママ「澪ちゃん、大丈夫?」

澪「答えてっ!」

澪ママ「……行ったわよ。でも、」



51 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:15:19.63 ID:ypdOa8j/0


澪ママ「通学途中に澪ちゃんが具合悪くなったってりっちゃんから電話があって。」

澪ママ「迎えに行ったら、歩道で澪ちゃんが立ったまま気を失っていたの」

澪「律は?」

澪ママ「え? りっちゃん? りっちゃんは、」

澪ママ「車に澪を乗せるのを手伝ってくれた後、学校へ行くって言ってたわよ」

澪ママ「澪ちゃん、まだ具合悪そうね。寝てていいのよ?」

澪ママ「お昼ご飯はどうする?」

澪「ごめん、具合悪いから……」

澪ママ「そうね、今は寝た方がいいわ。りっちゃんには私からお礼言っておくから」

澪「止めて!!」

澪ママ「!?」



52 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:16:04.47 ID:ypdOa8j/0


澪「あ、えっと、私からお礼言っておくからさ」

澪ママ「そう。じゃあ、私は今度りっちゃんが遊びに来る時、」

澪ママ「クッキーを焼こうかしら。」

澪ママ「りっちゃんが遊びに来る時は教えてね!」

澪「うん……。ありがとう、ママ。私、もう少し寝るね」



53 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:16:45.49 ID:ypdOa8j/0


ママは律が大好きだ。
友達がいなくて本ばかり読んでいた私に最初に出来た友達の律。
家にばかりいた私を外に連れ出してくれた律。
友達の中で誕生日プレゼントを最初にくれた律。
ママと一緒に初めて作ったチョコをあげたのも律。

私が律の話をすると嬉しそうに聞いてくれたママ。
私が居ない時に律が来ると一緒にお茶を飲んでいるママ。
律のためにクッキーを焼くママ。
「娘が増えたみたいね!」と笑いながら時々泊まっていく律の夕飯を作るママ。

ごめんねママ。もうね、律はここには来ないんだ。



54 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:17:24.61 ID:ypdOa8j/0


好きになっちゃいけなかった。
でも、好きにならないなんてできなかった。
だって、私の中はこんなにも律で溢れてる。
律を忘れるってことは、もう私じゃなくなっちゃうってことなんだよ。

それでも始まった、律の居ない生活。

最も望まない未来が、最も望まない形でやってきた。



55 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:18:17.26 ID:ypdOa8j/0



この日、私は学校を休んだ。
ずーっとベッドの中で過ごして、外はもう真っ暗だ。
いつもならそろそろ律と電話を始める時間だった。
私たちは毎日一緒にいても、必ずこの時間にどちらかが電話をかけていた。

今日から……鳴らないのか。

鳴らないって分かっているのに、携帯電話が気になって仕方ない。
もしかしたら律が電話をかけてきてくれるんじゃないかという淡い期待は、
日付が変わったというのに消えなかった。

私は何を期待してるんだろ。



56 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:18:55.99 ID:ypdOa8j/0


律に、今朝はごめんって、言い過ぎたって言ってほしい。
私のこと好きじゃなくてもいいから、律の隣りにいさせてほしい。

私は、そんな気持ちを律宛のメールに書きつづった。
書き終わると、送信せずに下書き用フォルダに保存する。
行き場の無い想い。
誰にも言ってはいけない想いを、送信されることのない律宛のメールへ閉じ込める。



57 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:19:42.25 ID:ypdOa8j/0


翌日も私は学校を休んだ。
軽音部のみんなからは心配のメールが次々届くのに、
一番欲しい律からのメールは未だ無し。


さらに翌日も私は学校を休んだ。
これで三日だ。
それでも律からは何も連絡が無い。

律、本気なんだな……。

相変わらず律宛のメールは貯まり、しかし一通も送信されることは無かった。
いくらメールに気持を閉じ込めても、気持が溢れて来てどうしようもない。
私、どれだけ律が好きなんだろうな。


ママもさすがに心配しているし、明日は学校へ行かなきゃ。



58 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:20:42.81 ID:ypdOa8j/0


翌日。

朝、洗面所の鏡の前。そこに映ったのは、
瞼は腫れ、目の下には大きなクマ、頬はこけ、目は落ち窪み、髪はボサボサな自分だった。
そりゃそうだ。
何も食べてないんだもの。
律にフラれた日から眠れず、食事も固形物が咽喉を通らなくなっていた。
寝不足で頭がボーっとする。
でも、学校に行かなきゃ。

朝食を食べようとしたけれど、気持ち悪くなって食べられなかった。
なんとか牛乳だけ飲み、身支度をする。



59 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:21:21.06 ID:ypdOa8j/0


澪ママ「澪ちゃん、まだ体調悪いんじゃない? 食欲も無いし。」

澪ママ「病院に行った方が……」

澪「大丈夫だよ。ほら、動いてないからお腹空いてないんだ。」

澪「それじゃ、遅刻しちゃうから行って来ます!」

澪ママ「行ってらっしゃい。って、まだずいぶん早い時間じゃないの……」



60 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:22:07.51 ID:ypdOa8j/0


久しぶりに家を出た。
外は春らしく強い風が吹いていた。

しばらく歩くと、律との待ち合わせ場所に到着した。
ここで、律を待つ。
律はここを通らないと学校には行けないから、ここで待ってさえいれば、
必ず律に会えるはずだ。

何十分経ったのだろう。
最初は通勤する大人たちがちらほらと足早に過ぎ去って行くのを眺め、
少しすると、通学のピークを迎えたらしく学生がたくさん通った。
時計を見ると、そろそろ行かないと遅刻になってしまう時間が迫ってきている。
私は想いを込めて、律がいつも走って来る曲がり角を眺めた。

会いたい。
でも、会うのが怖い。



61 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:22:49.39 ID:ypdOa8j/0


ほどなくして、見慣れた背格好の女子高生が走ってきた。

あぁ、まだ顔ははっきり見えないというのに、なんでこんなに愛おしいんだろう。
心臓がドキドキと脈を打ち始める。
それまでは死んだように冷たかった私の体に、
脈々と温かい血液が流れ込んでいくのが分かった。


澪「律!」


律ははっと顔を上げ、私を見た。
返事は無いが、こちらに近づいてきて、私の前で止まった。



62 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:23:26.89 ID:ypdOa8j/0


澪「律、おはよ」

律「彼氏はできたのか?」


律の鋭い眼差しが私を射抜く。
その目からは、強い決意が覗えた。
私に彼氏が出来ないと、挨拶もしてくれないのか。

私は、あの日の律がフィードバックする。

律『澪に、彼氏ができるまで、私に近づくな』



63 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:24:01.47 ID:ypdOa8j/0


澪「えっと……その……」

律「まだできてないのか?」

澪「そんなすぐにできるわけないだろ!」

律「じゃあ、私に近づくな」


私の前を通り過ぎようとする律の腕を掴む。
あれ? 律の腕、こんなに細かったっけ?


律「なんだよ?」



64 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:24:46.12 ID:ypdOa8j/0


澪「もう、律のこと諦めたよ。もう好きじゃない。気の迷いだったんだ。」

澪「身近な人を好きになっちゃうっていう、思春期特有のあれだったみたい。」

澪「だから、だからさ、親友に戻らないか?」

澪「親友じゃなくても、ただの友達でもいいから」


カッコ悪いなって自分でも思うけど、もうなりふりなんて構っていられなかった。
どんな形でもいいから、律の隣りにいたいんだ。

ふいに呼ばれた、私の名前。


律「澪?」


それだけで私は、こんなにも胸が弾むんだ。



65 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:25:42.43 ID:ypdOa8j/0


律「本当は私、澪が好きなんだ。私と付き合ってよ」

澪「え? 本当?」

律「うん」

澪「本当にいいの?」



66 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:26:25.19 ID:ypdOa8j/0


律「……お前、なんで断らないんだよ」

澪「え?」

律「私のこと、もう好きじゃないんだろ?」

律「なのに、なんで断らないんだよ?」

律「やっぱり、まだ私のこと諦めてないんじゃん」

澪「」

律「彼氏ができるまで、私に近づくな」

掴んでいた手を振りほどき、律は行ってしまった。
騙されたのか、私。
断られることは予想してたけど、騙されることは予想してなかったよ。
そうか、律。
そうまでして私を諦めさせたいんだ。
本当に本当に本気なんだな。



67 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:27:21.48 ID:ypdOa8j/0


学校


学校に到着したのは、一時限目が始まって少し経ってからだった。
教壇に立つ先生と軽く言葉を交わし、
一番前の席に座っている律の横を通り過ぎて行く。
律は顔を伏せていたから、どんな表情なのか分からなかった。



休み時間

律はすぐに教室を出て行ってしまった。
トイレかな。



68 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:27:56.08 ID:ypdOa8j/0


いちご「ねぇ、律はどこ?」

私に聞かれても困るんだけどな。

澪「さぁ、トイレにでも行ったんじゃないかな?」

いちご「……」

澪「えっと……何?」

いちご「澪にも分からないことってあるんだ」


そんなにいつも一緒にいるわけじゃないと思うんだけど、
そういう風に見られてるのかな。
ちょっと嬉しいけれど、今は胸が痛む方が大きかった。



69 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:29:06.25 ID:ypdOa8j/0


結局、律が戻って来たのはチャイムが鳴って先生が入ってくるギリギリ前だった。

次の休み時間も、その次の休み時間も、お昼休みも、
休み時間は全てこの教室から出て行った。

私を避けている。
そうとしか思えない。
でもね。
私には分かるんだ。
律が教室から出て行くのはね、優しさなんだってこと。
私を避けていることを他の友達に知られないように、
そして私がクラスの友達と話せるように、自分から出て行ったんだろ?
教室から出て行く律の後ろ姿は、いつもより小さく見えた。



70 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:30:02.62 ID:ypdOa8j/0


部活の時間


休もうかと思ったけど、唯に手を引かれてついつい音楽室まで来てしまった。

しばらくするとムギや梓も来て、ティータイムが始まった。
みんなの話は頭に入ってこなかった。
こんな時も考えるのは律のことばかり。

律が来たら、みんなの前でも私のことを避けるのかな。
不安で胸が押しつぶされそうだ。
やっぱり帰ろう。
まだ病み上がりだからって言えば、きっとみんなも分かってくれるだろうし。


澪「あの……みんな、私……」



71 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:31:12.41 ID:ypdOa8j/0


その時だった。勢いよくドアが開かれたのは。
ドアに背を向けていたけれど、こんな乱暴に開けるのはアイツしかいない。
私はとっさに顔を伏せた。


律「おっちゃん! まだやってる?」

唯「あ! りっちゃーん! よく来たね。ささ、お入り」

律「おお、懐かしいな!」

ムギ「りっちゃん! いつものアレでいい?」

律「おう!」

梓「どんな設定なんですか、それ?」

律「故郷の飲み屋!」

唯「同窓会!」

ムギ「さびれた中華料理屋さん!」

梓「バラバラじゃないですか……」



72 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:31:50.81 ID:ypdOa8j/0


律が目の前の席に座った。けど、私は伏せた顔を上げられないでいた。
朝の言葉がフラッシュバックする。

律『彼氏ができるまで、私に近づくな』



73 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:32:29.74 ID:ypdOa8j/0


唯「りっちゃーん! 今日はちっとも私の所にきてくれないじゃない!」

唯「あなた、他のクラスの子と浮気してるんでしょ?」

律「そんなわけないだろ? 唯だけだよ」

唯「りっちゃん!」

律「唯!」

唯「りっちゃーん!」

律「ゆーいー!」

唯「りーーーっちゃーーーんっ!!!」

律「ゆーーーっいーーーっ!!!」

唯「……」

唯「あれ? 澪ちゃんのツッコミがこない!?」



74 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:33:12.23 ID:ypdOa8j/0


一斉に視線が私へと集まる。
恐る恐る律を見た。
でも、律は、律だけは、私を見ていなかった。


唯「澪ちゃん、どうしたの? 具合悪いの?」


私に彼氏が出来ないと、目も合わせてくれないのか……。
数日前まではあんなに仲が良かったのに。
もう戻れないの?
好きって気持ち、隠しておけば良かったのかな。
でも、律なら大丈夫って思ったんだ。
律なら、例え私のことをフっても、変わらずに親友でいてくれるって。

あぁそうか、私、ただ、律に甘えてただけだったのか。



75 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:34:04.26 ID:ypdOa8j/0


唯「澪ちゃん。保健室、行こ?」


気が付くと私は、隣りに座っていたムギにハンカチで涙を拭かれ、
唯が背中から抱きついていた。


澪「ご、ごめん。私、まだちょっと具合悪いみたいだ。帰るな。ごめん」

唯「私も一緒に帰るよ!」

澪「大丈夫だよ、唯。一人で帰れるから」



76 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:34:38.48 ID:ypdOa8j/0


唯「あー! 私、用事あったんだぁ。忘れてたよ!」

唯「だから澪ちゃん、一緒に帰ろ?」

梓「あ、あの! 私も用事あったの忘れてました。だから私も一緒に帰ります」

唯「澪ちゃん! 私、エリザベス持つよ!」

梓「あ、じゃあ私はバッグを持ちますね」

澪「いや、荷物くらい持てるんだけど……」

唯「いいからいいから! じゃ、みんな、また明日ねぇ!」

梓「さよならデス!」



78 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:35:31.26 ID:ypdOa8j/0


帰り道

唯「澪ちゃん。大丈夫?」

澪「うん、もう大丈夫だよ」

梓「澪先輩。病み上がりなんですから、無理しないでくださいね」

澪「ありがとう、二人とも」

唯「あのね、澪ちゃん。もしかして、りっちゃんと何かあった?」


律の名前が出て、ドキっとしてしまった。
言葉に詰まる。


梓「また律先輩が何かしたに決まってます!」

梓「澪先輩、気にしないでくださいね。」



79 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:36:19.01 ID:ypdOa8j/0


梓「今日なんて廊下を歩いてたら、律先輩に後ろから膝カックンされたんです。」

梓「膝がカクってなった拍子に持っていた教科書を律先輩の足に落としてしまって。」

梓「そしてら律先輩『いってえええええええ!! 絶対血ぃ出た!」

梓「絶対血ぃ出た!』って騒ぐから、私ビックリしちゃって、」

梓「ゴメンナサイゴメンナサイって謝ったんです。」

梓「それで律先輩が廊下で靴下脱いで足を確認したら血なんて一滴も出てなくて、」



80 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:37:01.76 ID:ypdOa8j/0


梓「血、出て無いですねって言ったら、」

梓「律先輩『そういやそれほど痛くないやwwwwww』」

梓「って言って、そのまま走って行っちゃったんですよ!?」

梓「気が付くと周りは私にすっごく注目してて、」

梓「本当に恥ずかしい思いをしたんですから!」

唯「あはははは!!! りっちゃん面白い!!!」

梓「笑いごとじゃないです! 同じクラスの子には漫才部にでも入ったのかって言われるし!」



81 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:38:18.51 ID:ypdOa8j/0


休み時間になると教室から出て行っちゃうから、
どこで何をしていたか分からなかったけど、そんなことをしていたのか。
律らしいというか、なんというか。
律に避けられてるのにそれでもこういう話を聞くと嬉しく思ってしまう私は、
もう色んな意味で手遅れなのかもしれない。


梓「だから、きっと澪先輩は悪くないです!」

梓「律先輩が何かしたに決まってます!」


これは梓の優しさ。
きっと私を元気づけようとしてくれてるんだ。



82 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:39:01.91 ID:ypdOa8j/0


澪「ふふ。ありがと、梓。でもな、律は悪くないんだ」

唯「あ! 笑った! 今日初めて澪ちゃんの笑顔を見たよ」

唯「澪ちゃんを泣かせるのも笑わせるのも、りっちゃんなんだね!」

澪「え!? ちちち違う! そんなんじゃない!!」

澪「私が具合悪かっただけで、何でもないから!!」

唯「そっか、何でもないのかぁ」



83 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:39:30.57 ID:ypdOa8j/0


唯「休み時間になるとどっか行っちゃうし、」

唯「澪ちゃんの涙を見ても何もしないなんてりっちゃんらしくないと思ったんだけど、」

唯「澪ちゃんがそう言うなら、きっとそうなんだね」

これは唯の優しさ。
澪ちゃんが言いたくないなら、もうこれ以上は聞かないよって。
そう言ってくれているんだろう。

私、みんなに甘えてばかりだ……。



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