SS保存場所(けいおん!) TOP  >  恋愛 >  澪「お試し期間!」#後編

お知らせ

SS保存場所は移転しました。
現在けいおん!関連の更新はしていません。
今後更新するかは未定です。
SS保存場所






澪「お試し期間!」#後編 【恋愛】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1333758510/

澪「お試し期間!」#前編
澪「お試し期間!」#後編




84 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:40:16.88 ID:ypdOa8j/0


澪宅

澪「ただいま」

澪ママ「おかえりなさーい。早かったわね?」

澪「うん。まだ本調子じゃなくてさ。部活しないで帰ってきちゃった」

澪ママ「そうだったの。あら? りっちゃんは?」

澪「え? 律? 居ないけど?」

澪ママ「澪が具合悪い時はいつも送ってくれていたから、一緒だと思ったわ」

澪ママ「お夕飯になったら呼ぶから、それまで少し休むといいわ」

澪「うん、そうするよ」


ここでも律か。
私の中は律で溢れてると思ってたけど、
私の周りも律で溢れてるんだな。
嬉しいな。
でも、胸が痛いよ。



85 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:40:57.87 ID:ypdOa8j/0


今日はたくさんみんなに心配かけて、たくさん甘えちゃったな。
みんなごめんね。
でも、もう大丈夫。
私決めたから。

律が好き。

やっぱり律がいないと私、上手く笑えないんだ。
だから、どんな形もでいいから、律の傍にいさせて。



86 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:41:28.80 ID:ypdOa8j/0

翌日

律視点

朝。

洗面所の鏡の前に立ち歯を磨く。
あぁ、寝不足だ。
眠い。

澪があんな涙みせるから、眠れなくなっちゃったじゃないか。



87 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:42:14.72 ID:ypdOa8j/0


澪と唯と梓が帰った後の教室に残された、私とムギ。

律「さて、二人じゃあ練習にならないし、私達も帰るか」

ムギ「りっちゃん。澪ちゃん、泣いてたね」

律「あぁ、そうだな」

ムギ「なんで泣いてたのかな?」

律「具合が悪かったからじゃないのか?」

ムギ「そうね」


沈黙が流れる。
あぁ、きっともうみんな気が付いてる。
何があったかまでは分からないだろうけど、
私と澪の間に何かあったってこと、気が付いてるんだ。



88 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:42:57.33 ID:ypdOa8j/0


ムギ「りっちゃん」

律「ん?」

ムギ「私ね、最初、合唱部に入ろうと思ってたの」

律「あぁ、そうだったな」

ムギ「でも、軽音部に入った」

律「ありがとな、ムギ」

ムギ「ううん。私ね、りっちゃんと澪ちゃんを見て、楽しそうだなって思ったの。」

ムギ「それから、羨ましいなって思ったの」

律「私、ゲンコツされてたのに?」

ムギ「うふふ。そうよ、それが羨ましいなって思ったの」

律「ムギ、あのゲンコツはゲンコツなんてもんではなく、鉄拳制裁だぞ?」



89 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:43:44.95 ID:ypdOa8j/0


律「こう、タンコブなんてぷくーって膨らむし、頭の芯まで痛むしぃ……」

ムギ「でも、りっちゃんは嬉しそうだったよ?」

律「いやいやいや!! 私、そういう趣味無いから!」

ムギ「趣味? 趣味でそういうことをやってる人がいるの?」

ムギ「ちょっとその話、詳しく聞かせてもらえないかしら?」

律「知らん! 私は知らないぞ!! そんな所に食いつくなよぉ!」

ムギ「うふふ、冗談よ。でも、羨ましいって思ったのは本当。」

ムギ「イタズラされても、ゲンコツされても、」

ムギ「それでも二人は仲良しでしょ?」



90 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:44:31.61 ID:ypdOa8j/0


ムギ「それはね、お互いのことを知ってて、信頼し合ってなきゃできないと思うの。」

ムギ「許すとか許されるとかじゃない、もっと固い絆で結ばれてるって感じね。」

ムギ「私は、そんな二人が大好きなの」

律「……」

ムギ「りっちゃん、何かあったらいつでも相談に乗るから、」

ムギ「私達に出来ることがあったら何でもするから、」

ムギ「無理しちゃダメよ?」


ムギは優しくほほ笑んだ。

私は、涙をこぼさないようにするのが精いっぱいだった。



91 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:45:08.76 ID:ypdOa8j/0



気が付くと聡が私と鏡の間に割って入っていた。


律「邪魔だからあっちに行け」

聡「姉ちゃん、いつまで磨いてんだよ!」

聡「そんなに磨いても美人にはならないんだからな!」


全く生意気なヤツめ。
聡が左手に持ってるコップの水を口に含み、うがいしてやった。


聡「あ! きったねぇ! 自分のコップ使えよ!」


朝からテンション高くて、小学生かっつーの。

準備をすませ、家を出る。



92 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:45:55.01 ID:ypdOa8j/0


律「いってきまーす」

律ママ「あ、律! 午後から雨降るらしいから、傘持って行きなさい!」

律「いらなーい。降ったら澪の傘に入れてもらうから」


言って、自分でハッとした。
そうだ。
今は澪を避けなくちゃいけないんだった。


律「やっぱり傘……」

律ママ「まったくアンタは澪ちゃんにお世話になってばかりなんだから!」

律ママ「澪ちゃんが居なかったらどうするのよ!」

律「あはは。行ってきまーす」



93 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:46:45.18 ID:ypdOa8j/0



通学路。

あの先の角を曲がれば、いつも澪が待っていた。
今日は……さすがに居ないかな。

角を曲がると、見慣れた背格好の女子高生が立っていた。

澪しゃん、健気過ぎだろ!!

昨日あからさまに澪を避けてあんなに泣かせたのに、
それでもこんな私を待っていてくれるのか?



94 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:47:13.68 ID:ypdOa8j/0


『彼氏が出来るまで、私に近づくな』

あれ、撤回しようかな。
さすがの澪でも、そんなすぐに彼氏できるわけないし。
親友でいても、きっといつか澪には良い彼氏ができるよな。

澪は私に気が付くと走り寄って来た。


澪「律! おはよ。あのさ、私、か、か、かかか彼氏が出来たんだ!」



95 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:47:50.78 ID:ypdOa8j/0


律「おはよ、あぁ、彼氏ね……ええええええええええええええ!!!!!」

澪「きゃあ! 急に大声出すな! びっくりするだろ!」

律「澪、今、なんて言ったの?」

澪「だから、えっと、そのぉ、私、彼氏が出来たんだ」



96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:48:41.49 ID:ypdOa8j/0


はぁ、びっくりした。
なんだ嘘か。
澪、目が泳ぎまくってるじゃんwwwwww
バレバレだぞwwwwww
面白いから、からかってやろーっと。
私達は歩きながら話した。


律「んで、どこで知り合ったんだ?」

澪「えっと、去年の夏期講習で知り合ったんだけど、」

澪「先月の三月にやってた春期講習でまた会ったんだ」

律「ふーん」



97 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:49:18.86 ID:ypdOa8j/0


澪「えっと、それで、昨日、告白されてさ。」

澪「良い人だったし、その、OKしたんだ」

律「そっか。んで、彼氏が出来た御感想は?」

澪「え? えっと、えっとぉ、昨日の今日だから、まだ実感湧かないっていうか……」

律「んで、澪は今、幸せ?」

澪は私の目を真っすぐに見つめて言った。

澪「うん。幸せだ」

その真っすぐな目は自信に溢れ、
そのしっかりとした声は嘘が混じる隙も無い程だった。



98 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:50:05.74 ID:ypdOa8j/0


それは、いつもの澪だった。
さっきまできょどってた不安定な嘘っぽい澪なんかじゃなく、
自信のある時の澪そのものだった。

そして今、澪の口元にたたえる微笑。
もはや疑う余地など無かった。

澪に彼氏が出来たんだ。

あぁ、良かった。
これでもう澪を避けなくてもいいんだ。
これでもう澪が泣くこともないんだ。
これでもう私の恋が叶うことはないんだ。
良かった…、
良かった……。



99 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:51:06.55 ID:ypdOa8j/0


放課後

今日はほとんど寝て過ごした。
授業も、休み時間も。
いや、本当は寝てなんかいない。
寝たフリをしていただけなんだ。

澪に彼氏ができたことに、私は想像以上にショックを受けていた。

私ってバカだなぁ。
自分で言ったんじゃないか。

『澪に彼氏ができるまで、私に近づくな』

まいっちゃうよなぁ。
澪を幸せにするのは私じゃないって。
これでいいんだって。
いっくら言い聞かせても、ちっとも心がついてこないんだ。



100 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:51:38.23 ID:ypdOa8j/0


あぁ、部活行きたくないなぁ。
そうだ、ちょっと遅れて行こう。
暇潰しにクラスメイトとおしゃべりでもすっかな。

律「よっ! いちご!」

いちご「何?」

律「今日も体操服姿がかわいいね!」



101 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:52:16.75 ID:ypdOa8j/0


いちご「律……」

律「ん?」

いちご「キモイ……」

律「」

いちご「早く秋山さんと仲直りしなよ。じゃ」


暇潰しにならなかったwwwwww
ってか、なぜかダメージ喰らったwwwwww

はぁ……。

やっぱ帰ろっかな。


のそのそ準備。
廊下をダラダラと歩く。



102 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:53:05.96 ID:ypdOa8j/0


立ち止まり窓の外を見ると、雨が降り出していた。
あちゃー、本当に雨降ってきちゃったよ。
傘持ってないなぁ。

突然膝に衝撃が走る。
そのまま膝から崩れ落ちそうになるのをなんとか堪えた。


梓「ぷくく。見事にカックンってなってましたね。ぷくく」

律「梓! コラ!」

梓「きゃーっ!」ダダッ!

律「あ! 待てーーー!!!」

なんて追いかけてたら、ついつい音楽室まで来てしまった。
今なら引き返せる。
よし、帰ろう。



103 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:53:49.25 ID:ypdOa8j/0

音楽室の中から梓の声が聞こえる。

梓「律先輩来ましたよ」


手遅れだったwwwwww

音楽室に入り、しぶしぶ澪の前に腰かけた。


澪「遅いぞ! 律。何してたんだ?」

律「あぁ、ちょっとな」

梓「律先輩は廊下で雨を眺めていましたよ」

唯「りっちゃん、雨は食べられないよ?」

律「食べんわい! 唯と一緒にすんな!」

唯「ヒドイ!!」

ムギ「あらあら」



104 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:54:24.53 ID:ypdOa8j/0


澪「律。傘忘れたんだろ?」

律「う……うん」

澪「仕方ないなぁ、律は。帰りは私の傘に入ってきな?」ニコニコ

律「う……うん」


澪のヤツ、やけにニコニコしやがって。
彼氏ができたことがそんなに嬉しいのか。
なんか分かんないけどイライラする。



105 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:54:54.65 ID:ypdOa8j/0

澪「律、今日の授業寝てただろ?」

唯「そうそう。一番前なのによく眠れるね」

ムギ「あら、唯ちゃんもよく寝てたわよ?」

唯「でへへ」

梓「律先輩も唯先輩も受験生なんですよ? そんなことで大丈夫なんですか?」

唯「大丈夫だよ! なんてったって三年生は始まったばかりだからね!」



106 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:55:29.83 ID:ypdOa8j/0

みんなが喋っている中で、澪が目配せしてきたので小声で話す。

律「なんだよ」

澪「ノート、貸そうか?」


なんなんだ、なんなんだ、いったいなんなんだ!!
澪からノート貸してくれるなんて、有り得ない!!
これが、彼氏ができたヤツの余裕なのか!?
余裕って言うヤツなのかあああああああ!?


律「ムギ! 悪いんだけどさ、ノート貸してくんない?」

ムギ「えぇ、いいわよ」



107 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:56:02.56 ID:ypdOa8j/0


ムギが長椅子に置いたバッグから、今日受けた授業のノートを貸してくれた。


律「うわあー!! ムギの字は綺麗だな!!」

唯「見せて見せて! わあ! 綺麗!」

梓「あ、私も見たいです。本当だ、綺麗ですね。それに、なんだか良い匂いもします」

ムギ「そんな、恥ずかしい……」

律「これはラベンダーの香りかな?」

唯「えぇ、フローラルだよ!」

梓「え? 私はローズだと思いましたけど」

律「バラバラじゃん!!」



108 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:56:30.12 ID:ypdOa8j/0


ノートを急いで写す。
ついでに隣りに座ってる唯もムギから借りたノートを写していた。


澪「律、それ終わったら練習するからな」


私は澪の目も見ずに、生返事を返した。



練習を始めたが、
早く帰りたいと思うからなのか、自分でも分かるくらいに私のドラムは走っていた。

梓「唯先輩。Aメロの出だしなんですけど……」

ムギはキーボードで何かを弾いて遊んでいる。



109 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:57:05.56 ID:ypdOa8j/0

澪「律、ドラム走ってるぞ」

律「これくらいがちょうどイイんだよ」

澪「もうちょっとリズムをキープしないと……」

律「あぁもう、分かったよ。ゆっくりやるよ」

澪「……律」

律「分かったってば」

澪「律……私を見てよ。私の目を見て、話をしてくれないか?」

スティックを見つめていた視線を、ゆっくりと上げた。
澪が、真っすぐに私を見ている。



110 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:57:41.38 ID:ypdOa8j/0


やめろ。
見るな。
その目で彼氏を見つめて、
その唇で彼氏に愛を囁いて、
その手で彼氏に触れて、
その胸の中は彼氏への想いで溢れているんだろ?

律「ああああああああああああああ!!!! 用事があったんだ!! 帰る!!」

乱暴に荷物を掴むとスティックをねじ込み、


律「ごめん! またな!!」



111 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:58:09.53 ID:ypdOa8j/0

みんなに背を向けたまま音楽室を出る。
すぐに澪の足音が聞こえた。
アイツ、追ってきたのか。
放っといてくれ!

私は全力で走った。

下駄箱に脱いだ上履きを乱暴に詰め込み、
靴をつっかけて雨の中走り出す。
が、走り出してすぐに腕を掴まれた。
足元に目線を落とすと、上履きのまま泥だらけになった澪の足が見えた。
バカ、靴履き替えないなんて反則だろ。



112 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:59:10.22 ID:ypdOa8j/0


澪「律! なんで? なんで私のこと避けるの?」

律「」

両腕を掴まれた。

澪「目を見て! 私の目を見てよっ!! お願いだよ、りつうう……」

涙声に訴える澪。
未だ澪を見れずに俯く私。

雨は何もかも濡らしていく。
私も、澪も、髪も、服も、涙も、心も。


澪「私に彼氏ができたら親友に戻ってくれるんじゃなかったのか?」

律「ごめん。用事があるから、帰んなきゃ……」


そう言うと澪の腕は力なく垂れさがり、私の腕は解放された。
背を向けて歩きだす。

もう、戻れないかもしれない。



113 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 10:59:43.97 ID:ypdOa8j/0

私って、ワガママだなぁ。
自己中でさ、ガサツでさ、サボってばっかでさ。
だけど、どうしようもなく澪が好きでさ、
誰よりも好きでさ。
例え澪に彼氏が出来ても、私が一番澪のこと好きなんだ。
絶対誰にも負けない自信があんだ。
だからさ、澪を見てるのが辛いんだよ。
誰かのものになっちゃったんだと思うと、
胸が痛くて苦しくて息が出来なくなっちゃうんだ。
親友ならさ、一番澪の幸せ願ってやんなきゃいけないのに、
なんでだろうな。
こんなはずじゃなかったのにな。

今頃軽音部のみんなどうしてんだろ。
空気悪くしちゃったな。

ごめんよ、澪。
もう私、どうしたらいいか分かんないや。



114 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:00:34.02 ID:ypdOa8j/0


トンちゃん視点


澪ちゃんがりっちゃんを追いかけて教室を出て行った。
教室に残された三人は、窓から校庭を眺めている。


唯「あ、りっちゃん……」

梓「走って帰っちゃいましたね」

ムギ「あ、澪ちゃんも歩いて帰って行くわ」


三人同時に溜息が洩れた。



115 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:00:54.25 ID:ypdOa8j/0


唯「あの二人に何かあったのは確実だね」

梓「でも、何があったんでしょうか?」

唯「りっちゃんはずっと澪ちゃんを避けてるし、澪ちゃんは元気無いし」

ムギ「ケンカ、かな?」


また三人同時に溜息が洩れた。



116 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:01:30.54 ID:ypdOa8j/0

梓「こんな酷いケンカは初めてですね。」

梓「二人とも止めちゃって軽音部が廃部に。なんて、なりませんよね?」

ムギ「きっと大丈夫よ。あんなに仲良しの幼馴染なんだもの」

唯「りっちゃん家に行こ!」

梓「え? 律先輩、用事あるって言ってましたけど?」

ムギ「澪ちゃんを避ける為についた嘘。なんじゃないかしら」

梓「でも、行ってどうするんですか?」

梓「私達に話してくれるでしょうか?」

唯「澪ちゃんが忘れていった荷物をりっちゃんに渡すんだよ」

唯「そうすればりっちゃんは、澪ちゃんに荷物を届けなきゃいけなくなるでしょ?」

ムギ「そうね。あの二人にはじっくり話し合う機会が必要よね」



三人は荷物をまとめて出て行ってしまった。



117 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:02:02.78 ID:ypdOa8j/0


りっちゃんは昔、
俺の水槽についているコンセントが抜けていたのを真っ先に見つけてくれたことがあった。
水温を調節するコンセントだったから、
もう少しで寒くて死ぬところだった俺を助けてくれた、いわば命の恩人だ。


そんなりっちゃんが、最近元気がない。
どうやら原因は澪ちゃんにあるらしい。



118 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:02:35.09 ID:ypdOa8j/0


この二人に何があったのか。
スッポンモドキの俺には分からないが、
りっちゃんに恩返しがしたい。

俺は生まれて初めて、人間の為に何かしたいと思った。
スッポンモドキの俺に、いったい何が出来るのだろうか……。



119 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:03:20.02 ID:ypdOa8j/0


澪宅

澪ママ視点

澪ちゃんがずぶ濡れで帰って来た。
しかも泥だけの上履きで。
今はお風呂に入って温まっているけれど、明らかに様子がおかしかった。
いえ、様子がおかしかったのは今に始まったことではなかったわね。
日曜日、りっちゃんとお出かけしてくるって行った日。
あの日帰ってきてからずっと、澪ちゃんは食欲が無い。
今では、一目で分かるくらい痩せてしまった。

そして何より、りっちゃんの話をしなくなった。
りっちゃんに出会ってから毎日りっちゃんの話をしていた澪ちゃんが
りっちゃんの話をしないなんて。

きっと、りっちゃんと何かあったのね。



120 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:03:56.62 ID:ypdOa8j/0


最初はケンカかと思ったわ。
でも、いつもなら翌日には仲直りするのに、
あれから5日も経っている。


澪「ママ、お風呂ありがとう。やっと体が温まったよ」

痛々しい笑顔に、思わず目をそむけたくなった。
ダメ。
私だけは何があってもこの子から目を離したらダメ。

澪ママ「ねぇ澪ちゃん。駅前のケーキ屋さんが新作のプリンを出したのよ」

澪ママ「買ってあるから一緒に食べましょ?」



121 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:04:37.98 ID:ypdOa8j/0


澪「……」

澪ママ「澪ちゃん?」

澪「え? 何?」

澪ママ「手が止まってるけど、プリン美味しくなかった?」

澪「美味しいよ。でも、部活でお菓子をたくさん食べすぎちゃってさ、」

澪「お腹いっぱいになっちゃった。ごめんね」

澪ママ「いいのよ。じゃあ私、そろそろお夕飯の支度するわね」

澪「……」

澪ママ「澪ちゃん?」

澪「え? 何?」

澪ママ「ううん、何でもないわ」



122 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:05:17.05 ID:ypdOa8j/0


真面目で優しくてしっかり者の澪ちゃん。
何でも私に話してくれたのに、こんなことは初めてで。
正直、どうしていいか分からない。

ただ。
例えどんなことがあっても、私だけはこの子の味方でいよう。
そんなことを考えながら料理を作っていた。


澪ママ「澪ちゃーん。出来たわよお」


後ろを振り返ると、澪ちゃんはリビングのソファーで眠っていた。
仕方ないわねぇ。
大きくなったと思っても、まだまだ子供なんだから。



123 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:06:11.89 ID:ypdOa8j/0


二階から毛布を持ってきて澪ちゃんに掛けようとした時、
ふと床に落ちている携帯電話が目についた。
澪ちゃんの携帯電話。
メールでも見ながら寝ちゃったのかしら。

毛布を掛けて、携帯電話を拾い上げた。
その拍子。何かのボタンを押してしまったのか、
真っ暗だった画面が光り、文字が現れた。

いくら我が娘でもこれはプライバシーだ。
だから読まないようにしようと思ったのに、
目に飛び込んできた『律』という文字。
いけないいけないと思いつつ、私はメールを読み始めてしまった。



124 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:06:38.21 ID:ypdOa8j/0


そこには、りっちゃんへの溢れる愛がこもっていた。

ショックは無かった。
薄々気がついていたから。
でも、予想外だったのはその愛の深さ。
思春期の一時的なものと捉えていたけれど、
こんなにもりっちゃんのことが好きだったなんて。


私は携帯をそっと澪ちゃんの横に置き、立ちあがる。
キッチンへ行こう。
料理しなくっちゃ。
久しぶりだから上手にできるかしら?



125 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:07:18.22 ID:ypdOa8j/0

律宅


律視点


帰宅してみると、家には誰もいなかった。
都合が良い。
こんなびしょ濡れの姿家族に見られたら、イジられるもんな。

制服を洗濯機へ放り込み、スイッチを押す。
雨で濡れた体は冷え切っていたが、お風呂を沸かすのが面倒くさい。
自室に戻り、頭まですっぽりと布団にもぐりこんだ。

寒いな。
ちっとも温まらないや。

ここには雨が降っているのかもしれない。



126 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:07:51.67 ID:ypdOa8j/0

玄関のチャイムが鳴った。

あぁ、家に誰もいないって面倒くさい。
布団から出たくない。
まぁいっか。
誰もいませんよおー、っと。

しかし玄関から聞き覚えのある声が聞こえた。


唯「りっちゃーーん!!」


あぁ、何か言いに来たのかな。
会いたくないなぁ。
やっぱ居留守使おう。



127 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:08:31.20 ID:ypdOa8j/0


梓「ちょっ! 唯先輩!! それはマズイですって!」

唯「あれ? 靴があるよ?」

律「うおおい!! 勝手に玄関開けるなっ!!」

唯「あ、りっちゃん! ほら、やっぱり居たよ?」

ムギ「あら、本当ね」

律「無視かい……」

ムギ「りっちゃん、あのね? これ」


ムギが手に持っていたのは、澪のベースとバッグだった。
三人もいるのに、一人で持ってきたのか!?



128 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:09:28.65 ID:ypdOa8j/0

ムギ「澪ちゃん、荷物置いて帰っちゃったの。」

ムギ「それで、三人でここまで持ってきたんだけど、重くって」

唯「りっちゃん、澪ちゃんに届けてくれないかな?」


ここまで来たんなら頑張れ。
澪の家はすぐそこだぞ。
なんて言えなかった。

だってこれは、私を澪の家に行かせたい為の口実なんだろ?
つまりこれは私に、澪と話し合えってことなんだ。
用事があるって言って帰った私の家に来るなんて、
まるで私が家に居るって分かってたみたいじゃないか。
やっぱし私が澪を避けてること、バレバレなんだな。
でも、そこを責めないでいてくれるみんなに感謝しなきゃな。



129 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:10:21.28 ID:ypdOa8j/0

律「しょうがないなぁ。そこに置いといて。みんな、上がってく?」

唯「ううん。今日はいいや。それよりもりっちゃん!」

唯「早く荷物を届けてあげて! きっと澪ちゃん、困ってると思うから」

梓「絶対届けてくださいね! 律先輩にベースを預けたままだと不安なんで」

ムギ「りっちゃん! ふぁいとおー!!」


三人は玄関を閉め、帰って行った。
と思ったらすぐにドアが開き、唯が顔を出した。


唯「りっちゃん! 今度遊びに来た時には上がってくからね!」

律「ん、またな」

唯「りっちゃん隊員、ご武運を!!」


ゆっくりとドアが閉まった。



130 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:10:59.83 ID:ypdOa8j/0

今度は私がそのドアを開ける。

外には道路を歩く三人の姿があった。


律「みんな! ありがとな!!」


三人は振り向き、手を振ってくれた。



131 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:11:43.41 ID:ypdOa8j/0


澪宅

通い慣れた道。
見慣れた家。
押し慣れたインターフォン。
聞きなれたチャイム。

もう来ることは無いと思っていた場所は、
ひどく懐かしく、
とても愛おしかった。


澪ママ「あら、りっちゃん。いらっしゃい」

律「おばさん、久しぶりっ!」

澪ママ「どうぞ、上がって」

律「ありがと」


家の中は甘い匂いが漂っていた。
くんくん、良い匂い。
私、この匂い知ってる……。


澪ママ「りっちゃん、犬みたいね、ふふふ」



132 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:12:23.03 ID:ypdOa8j/0


玄関で靴を脱ごうとしてハッとした。
隅に、泥だらけになった澪の上履きがあったのだ。
あのまま帰ったのか。
だから荷物を唯達が持ってきたんだな……。


リビングに行くと、澪がソファーで寝ていた。
澪を見ただけで胸が痛む。


澪ママ「りっちゃん、ちょっと」

ダイニングキッチンに通されると、テーブルには焼きたてのクッキーがあった。


澪ママ「今ちょうど焼けたところなのよ。一緒に食べましょ?」

律「ありがと! えっと……」

私は澪をチラと見た。

澪ママ「澪ちゃんはもう少し寝かせておきましょう」



133 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:13:03.67 ID:ypdOa8j/0


二人向かい合わせになり、おばさんが淹れてくれた紅茶でティータイムが始まった。
クッキーを一口かじると、懐かしさが込み上げてきた。
このクッキーは、私が小学生の時に初めて御馳走になったもの。
あんまりにも美味しくて、動けなくなるまで食べたっけ。
それから時々おばさんはクッキーを焼いてくれるようになった。
でも最近はなかったから、久しぶりだな。


澪ママ「ねぇ、りっちゃん。おばさんの昔話、聞いてくれる?」



134 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:13:39.41 ID:ypdOa8j/0


澪ママの回想


澪ちゃんが生まれ、5年が経った頃。
昔から子供は二人欲しいと思っていた私は焦っていた。
なかなか妊娠しないのだ。

ある日。
産婦人科にて。


医師「検査の結果なんですが、子宮の中に腫瘍が見つかりました。」

医師「腫瘍が悪性なのか良性なのか調べますので、検査室へどうぞ」


目の前が真っ暗になった。
腫瘍って何?
私、死ぬの?



135 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:16:16.51 ID:ypdOa8j/0

不安なまま時は過ぎ、検査結果を聞きに再度来院した私は、
今までで一番衝撃的な事実を突き付けられることになる。


医師「残念ながら腫瘍は悪性でした。」

医師「しかし早期発見できたので、」

医師「子宮を摘出してしまえば命にかかわることはまず無いでしょう」

医師「これからの治療計画をお話します」


その後の話は一つも頭に入ってこなかった。



136 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:16:47.59 ID:ypdOa8j/0



手術は成功した。
私は助かったのだ。
二人の子供という昔からの夢と引き換えに……。

絶望。
そんな言葉じゃ言い表せない感情が体を支配する。
手術は成功したというのに体はなかなか元気にならなかった。
その為入院は伸び、毎日点滴を受ける日々がダラダラと続いていた。



137 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:17:17.72 ID:ypdOa8j/0


ある日。

母がお見舞いに来てくれた。
病院の方針で子供は面会に来られないため、
澪ちゃんを預けていた母から近況を聞く。


母「昼間は私と遊ぶんだけど、あの子、」

母「夜になると毎日布団をかぶって泣いてるんだよ。」

母「私にバレないように声を押し殺してね」



138 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:17:44.70 ID:ypdOa8j/0


胸が締め付けらる。
ごめんね、澪ちゃん。
お母さん、早く元気にならなきゃね。


母「これ、澪ちゃんがママにって」


丸めた画用紙を手渡された。
画用紙を広げると、私と、夫と、その間には澪ちゃんが描かれている。
絵の中の三人は、笑っていた。


回想終わり



139 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:18:18.98 ID:ypdOa8j/0



澪ママ「りっちゃん。私ね、その時に誓ったの。」

澪ママ「澪ちゃんの笑顔を守ろうって。」

澪ママ「この先どんなことがあっても、この子の味方でいようって」


知らなかった。
おばさん、そんな苦労があったんだ。
私は何も言えずにいた。



140 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:18:55.56 ID:ypdOa8j/0


澪ママ「澪ちゃんが初めて出来たお友達はりっちゃんだったわね」

澪ママ「それからよく遊びに来てくれて、私、本当に嬉しいの」

澪ママ「だって、子供が増えたみたいでしょ?」


澪ママは笑った。
その笑顔が澪に似てて、余計に胸が締め付けられた。


澪ママ「だからね、私はりっちゃんの味方でもあるのよ?」

澪ママ「私、何があっても、二人の味方だから」



141 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:19:30.28 ID:ypdOa8j/0


私は泣いた。
いろんな感情がごちゃまぜになって、涙は止まらなかった。
それを見ておばさんも泣きだした。
そしたら笑えてきて、二人で泣きながら笑った。
泣きながら笑って、泣きながらクッキーを食べた。
おばさん。涙でしょっぱいけど、クッキー美味しいね。
私が言うとおばさんは、あら、じゃあ今度塩クッキー作ってみようかしら。
次は三人で作りましょうね。
なんて言うから、私はまた泣いた。



142 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:19:59.44 ID:ypdOa8j/0


澪「律? え? ママ? なんで二人とも泣いてるの?」

後ろを振り返ると、澪が目を真ん丸くして立っていた。

律「みいいいいいいいいおおおおおおおおおお!!! うえーーーーーん!!」


愛おしいぜ、コンチクショー!!
私は立ち上がり、澪をギュッと抱きしめた。


澪「え? ちょっ!? 律? 何? なんなの?」



143 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:20:31.97 ID:ypdOa8j/0


それを見ていたおばさんも立ち上がって、澪を私ごと抱きしめた。
ちょっと痛いけど、すっごくあったかい。


澪ママ「澪ちゃーーーん!!! りっちゃーーーん!!! うえーーーーーん!!」

澪「は? なんで二人とも泣いてるんだよ!」

澪「なんか分かんないけど、私まで悲しくなっちゃうだろ……うえーーーーーん!!」


澪にも涙が移ったwwwwww
そんでやっぱり、泣きながら笑った。

おばさん、
唯、
ムギ、
梓、
聡、
いちご……?
とにかく、みんなに迷惑いっぱい掛けちゃったな。



144 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:21:04.25 ID:ypdOa8j/0


澪ママ「じゃ、お夕飯の支度するから、ちょっと待っててね」

澪「うん。じゃあ私、律と部屋に居るね」


澪の部屋に入り荷物を隅に置くと、いつもの定位置にそれぞれ座った。
私はベッドの上。
澪はベッドの下。


澪「それで、なんで泣いてたんだ?」

律「私も、おばさんも、澪が大好きってことだよ」

澪「え? りりりりりつううう?」



145 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:22:07.55 ID:ypdOa8j/0


律「私、みんなに迷惑掛けたくないって、みんなに心配させたくないって思ってた。」

律「そんで澪を守るんだって、澪の幸せ見守るんだって思ってた。」

律「でも、私は何から澪を守れたのかな?」

律「たくさん傷つけて、たくさん泣かせて。」

律「守るどころか、私が一番澪を傷つけてたんだ。」

律「澪。もう一回。もう一回だけチャンスをくれないか?」

律「明日ってお休みだけどさ、何か用事ある?」

澪「えっと、11時から用事が……」

律「そっか……。もしかして彼氏?」

澪「え? いや、その、かかか彼氏……」

律「まぁいいや、それまで一緒にいられるなら」



146 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:22:41.97 ID:ypdOa8j/0


律「今日さ、泊まってってもいい?」

澪「うん、いいけど。あの、展開が早くて頭が追いつかないんだけど……」

律「あのさ、今から明日の11時まで、一緒にいてくれないか?」

律「澪には彼氏がいるから、恋人お試し期間ってのはできないけど、」

律「明日、彼氏の所に行く前に私が改めて告白するから、」

律「その時に返事を聞かせてほしい」

澪「あの、かかか彼氏は……」

律「大丈夫だって! ちゅうしたりしないからさ!!」



澪ママ「お夕飯できたわよぉ! りっちゃんもおいでぇ!」

律「はあ~い!! 行こうぜ、澪!」


私は戸惑う澪の手を引いて、階下へ降りて行った。



147 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:23:35.60 ID:ypdOa8j/0


食事と入浴を済ませ、澪の部屋でテレビを観ながらまったり過ごす。


澪「あ! 律! 律! これ、この間一緒に行った水族館じゃないか?」

テレビでは先日行った水族館の特集が流れている。

律「本当だ。あの水族館だな」

澪「あ! 律! 律! このイルカのショー、見たよな!」

律「そうだな、相変わらず丸々して美味そうなイルカだな」

澪「りいいいつううう!?」

律「冗談だってばwwwwww」


今まで当たり前だと思ってたこと。
それが出来る幸せ。
うん。今、私、間違いなく幸せだ!



148 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:24:07.92 ID:ypdOa8j/0


澪「楽しかったよなぁ。また行きたいなぁ……」


澪。今さ、誰と行きたいって思ってる?
やっぱ彼氏かな?
望みは薄いだろうけどさ、
一緒に行きたいって思ってる相手が私だったらいいな。
なんて、さんざん傷つけた私が言う資格なんて無いかもしんないけど。
それでもズルイ私は願ってしまうんだ。
私と一緒に行きたいって、そう思ってくれって。



149 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:24:41.00 ID:ypdOa8j/0


澪「そうだ。ベースと荷物、持ってきてくれて、ありがとな」

ベースをケースから出そうとしている澪の背中に話す。

律「いや。その荷物、持ってきてくれたのは唯とムギと梓なんだ」

澪「え!?」

律「三人がさ、私の家まで持ってきてくれたんだよ。」

律「ここからはりっちゃんが持って行けってさ」

澪「そうか……あれ?」

律「どした? どっか濡れてたか?」



150 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:25:10.08 ID:ypdOa8j/0


ベースの弦の間に手紙が挟んであった。
中を開くと、似顔絵や落書きがたくさんしてあって、
メッセージが書かれていた。

唯『ごぶうんを!!』

ムギ『澪ちゃん! ファイト!!』

梓『律先輩のことなんで、ベースに傷がついていないか後で確認してください。』


澪は手紙を抱きしめて、嬉しそうに笑った。
そんな澪が愛おしくて、後ろから抱きしめた。



151 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:25:38.89 ID:ypdOa8j/0


澪「りりりりりり……つ……」


彼氏がいるんだもんな、こんなことしちゃいけないよな。
でも、彼氏君、すまん。
たくさん我慢したんだから、一つだけワガママ言わせてくれ。


澪「コラ!! 胸を揉むな!!!」


ゲンコツ喰らったwwwwwwww痛いwwwwwwでも幸せwwwwww



152 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:26:17.53 ID:ypdOa8j/0


その後もまったり過ごし、就寝時間に。
いつものようにベッドには澪が。
その下に布団を敷いて私が寝ていた。


律「みぃおー? 起きてる?」

澪「起きてるよ」

律「あのさ、そっちに行ってもいい?」

澪「律、寝ぞう悪いからヤダ」

律「大丈夫大丈夫! 私、もう子供じゃないんだぜ!」


無理矢理澪のベッドに入る。



153 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:27:19.86 ID:ypdOa8j/0


澪「ちょっ! 律! 狭いって! おーりーろー」

律「いーやーだー」

澪にしがみつき、なんとかベッドから落とされそうになるのを堪える。


澪「本当に律は自分勝手だな」

律「ごめんな?」

澪「そんなこと言って、直す気無いんだろ?」

律「バレたwwwwww」

律「でもさ、好きな子にはワガママ言いたくなるんだよ」


澪、大人しくなったwwwwww
絶対照れてるwwwwww


澪を抱きしめてると、ほどなくして眠気がやってきた。
ずっと寝不足だったから、久しぶりにぐっすり眠れそうなきがs……zzzzZZZ



154 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:27:56.56 ID:ypdOa8j/0


翌朝。


澪「律。律。りーつー。……。律!! コラ!! 起きろ!!」

目を覚ますと、目の前に澪しゃんのお顔があった。

律「ちゅうううう」

澪「やーめーろー!!」

澪「私、そろそろ準備しないと間に合わなくなっちゃうから、律、そろそろ離して?」


あれ、澪しゃんを抱っこしたまま寝ちゃったのか。
私は澪を抱きしめる手に力を入れ、さらにギュッと抱きしめた。



155 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:28:41.35 ID:ypdOa8j/0


律「ヤダ。離したくない」

澪「でも、遅刻しちゃうから。また、今度な?」

律「……」

澪「……律?」

律「行くな。彼氏の所になんか行くなよ」

律「一緒に居よう。ずーっとこうしてさ、今までと変わらない生活を」

律「恋人として、私と一緒に過ごしてくれませんか?」


あれ? 反応が無いな。
恐る恐る澪を抱きしめる力を抜き、私の肩に埋めている澪の顔を肩から離した。
澪は、大粒の涙をボロボロとこぼしていた。



156 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:29:17.17 ID:ypdOa8j/0


澪「私、律の隣りに居ていいの?」

律「居てくれなきゃ困る」

澪「私、私なんかでいいの?」

律「澪じゃなきゃダメだ」

澪「本当に?」

律「澪」

澪「騙してない?」

律「みーお」

澪「からかってない?」

律「澪!」



157 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:29:53.27 ID:ypdOa8j/0


澪「だって、だって、律、私のこと、好きじゃないんでしょ?」

律「好きだよ」

澪「え? 聞き間違いかな? 今何て言ったの?」

律「愛してるYO!」

澪「チャラい!!」

律「冗談だってwwwwww」

澪「え? 冗談? やっぱり騙してたの?」

律「違う違う! そっちが冗談じゃない!」



158 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:30:30.85 ID:ypdOa8j/0


律「ふざけてごめん。ホラ、私も照れくさかったからさ。」

律「もう一回、今度はちゃんと言うから聞いててね」

澪「うん」

律「澪」

澪「は、はい///」

律「澪が笑ってると、私まで楽しくなっちゃうんだ。」

律「私がいつでも笑わせてあげる。」

律「だからさ、ずっと私の隣りで笑っててよ。」



159 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:31:18.21 ID:ypdOa8j/0


澪のお母さんが澪の笑顔を守るなら、
私が澪を笑顔にするから。


律「澪、大好きだっ!」

澪「律……。ごめん、録音するからもう一回言って?」

律「ムリムリムリ!!」

澪は笑った。
そして、

澪「律、愛してるよ」

律「んなっ!? なあああああああああ!!!///」


悔しい。
恥ずかしくて愛って言葉使わなかったけど、先に使われてしまった。
でも嬉しいからいっかwwwwww



160 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:32:05.28 ID:ypdOa8j/0


澪「じゃ、私、でかけてくるな」

律「えええええええ!? さっそく浮気!?」

律「いや、まだ彼氏と別れてないからこっちが浮気なのか!?」

澪「いや、歯医者さんに行くんだけど?」

律「へ?」

澪「あの……昨日言おうと思ってたんだけど、律が話を遮るから言えなくて。」

澪「えっと、私、彼氏、いないんだ」



161 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:32:40.56 ID:ypdOa8j/0


律「えーと。うん。うん? え?」

澪「だから、彼氏はいないんだってば。あれは嘘だったの!」

澪「だって、そうでもしないと律の隣りにいさせてもらえなかったでしょ?」

律「わあああああああああああ!!!!」

律「騙されたああああああああ!!!!」

律「でも嬉しいいいいいいいい!!!!」

澪「うるさいっ!!」


朝っぱらからゲンコツ喰らったwwwwww
痛いwwwwwwでも幸せすぎるwwwwww

あ、澪が笑った。
ホラね。
この笑顔を見ると、私も楽しくなっちゃうんだ。



162 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:33:13.64 ID:ypdOa8j/0


澪「あ、そうだ、律。前に告白できなかったから、私からも告白していい?」

律「どーんと受けるから、言ってみるがいい!」

ベッドから降りると、机の引き出しから手紙のようなものを持ってきた。

澪「律のために詩を書いたんだ。聞いてくれ!」


出たーーー!!! 痒くなるポエムーーー!!!
りっちゃん当たったwwwwww
澪のことなら何でもわかるんだぜ!


終わり



163 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:34:35.32 ID:ypdOa8j/0

以下、おまけを書きます。

映画のネタバレが少々含まれていますので、
ダメな方はスルーでお願いします。



164 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:35:06.81 ID:ypdOa8j/0

おまけ

トンちゃん視点


ある日の部室

カップが俺の水槽の中に沈められた。
カップにはそれぞれ、ヨーロッパ、ドバイ、ロンドン、温泉と書かれていた。

俺は泳いだ。

しかしみんなに八百長がバレてはいけない。
俺はなるべく自然に見えるように、一生懸命演技しながら泳いだ。

そして、
ロンドンと書かれたカップに触れた。



165 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:35:33.71 ID:ypdOa8j/0


澪「ロロロロロ……ドンドン!!」


澪ちゃんの笑顔を見て、りっちゃんが笑った。
俺の恩返しが達成された瞬間だった。

幸せになれよ、お二人さん!



166 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:36:40.92 ID:ypdOa8j/0

本当におしまいです。

お目汚し、失礼ました。



167 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 11:37:55.19 ID:ypdOa8j/0

やべ、字間違いwwwwww

失礼しましたwwwwww



168 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 13:15:26.14 ID:y+oh9bmwo

よかったよ




170 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 14:41:11.29 ID:igRENDmH0

おつー



171 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします:2012/04/07(土) 15:25:45.84 ID:61AtCVhv0

よかった。二人が結ばれて本当に良かった
久々にいい律澪が見れたよありがたう





関連記事

ランダム記事(試用版)




澪「お試し期間!」#後編
[ 2012/04/15 17:08 ] 恋愛 | 律澪 | CM(0)

コメント(アンカー機能)
●>>1と半角で書き込むと>>1と記事へのアンカーが生成される。
●*1と半角で書き込むと1とコメントへのアンカーが生成される。
上記の2つのアンカーが有効なのは該当記事のみ。

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

サイト関連
メール ツイッター 最新記事一覧(30件)
ユーザータグ 検索

U:
P:
色々変更
好みのカラーコードをどうぞ

記事の背景色変更


本体の背景色変更


名前の色変更
IE8:重
火狐4.01:軽
chrome:軽


広告4
広告5
広告6