SS保存場所(けいおん!) TOP  >  スポンサー広告 >  ファンタジー >  唯「なよたけの・・・」#後編

お知らせ

SS保存場所は移転しました。
現在けいおん!関連の更新はしていません。
今後更新するかは未定です。
SS保存場所






スポンサーサイト 【スポンサー広告】


上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
[ --/--/-- --:-- ] スポンサー広告 | | CM(-)

唯「なよたけの・・・」#後編 【ファンタジー】


SS速報VIP(SS・ノベル・やる夫等々)@VIPServiseより

http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1308840176/

唯「なよたけの・・・」#前編
唯「なよたけの・・・」#後編




102 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:36:47.43 ID:p4ZanQb/0



一方その頃、宮廷では……


「ん……誰だ……なんだ、梓姫からか……」

「律皇子、どうされた?」

「紬皇子……いつからここに?」

「つい先程だ。良き寝顔を見させてもらったぞ。それで……一体どうなされた?」

「お主も趣味が悪いな……。我が愛しの君からメールが届いた」

「何故お主のPCに?……いや、よく見ればそれは帝の物か……。ん?何故帝のPCがお主の部屋に!?」

「帝から……ふぁ~あ……預かってそのままなだけだ……他意はない……ふぁ……」

「随分と眠そうだな……」

「泡沫の国より現の国へと強制的に戻されたからな……
 さて、姫からのメールを確認するか……ん?……なん……だと……?」

「律皇子、どうした?」

「これを……読んでくれ」

「わかった、これだな……。な!!なんだってぇぇぇぇーーーー!!!」

「今すぐさわ子帝に知らせないと!!」

「では共に参ろうぞ!……せーのっ」

「「みかどぉー!!てーへんだてーへんだ!てーへんだぁぁぁーーーーー!!!」」



103 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:37:50.27 ID:p4ZanQb/0


「そこを右よ!」

「オッケー!」

「次は左!」

「よっしゃ!」

「最後は真っ直ぐ!」

「どりゃぁぁぁーーーっっっっ!!!……ってムギ、襖を蹴破れってか?」

「あ、ばれた?テヘッ♪」

「テヘッ♪じゃないだろ……セットをこわしてどーすんだっ」

「イタッ!……やったー、りっちゃんにつっこまれた~♪」

「……まさか、そのためだけに?」

「うん♪」

「ハァ……」


律皇子と紬皇子が話していると、突然襖が開いて不機嫌そうな顔をした帝が姿を見せました


「ちょっとー、折角優雅に午後のお茶を飲んでいるんだから、少し静かにしてちょうだい」

「あ、ゴメンさわちゃん……じゃない!帝、大変です!」

「何よ、急に真面目な顔して……何かあったの?」

「梓姫からメールです!しかも急を要する内容の」

「急を要する……?ちょっと見せて!」



104 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:38:35.51 ID:p4ZanQb/0



メールを読み進める帝の顔は徐々に険しさを増していきました


「これは……!律皇子!紬皇子!」

「「はい!!」」

「梓姫の一大事である。澪御主人、聡御行、唯麻呂を呼び寄せるのだ!」

「「御意!!」」


それから数刻後、宮廷には帝の要請に応じた三人の姿がありました


「あ、ちょっとそこ訂正」

え?律さん、何処を訂正するのですか?

「聡が居ない」

「そういえば……今日は一度も見ていないな」

「今朝部屋に行った時は居たんだけどな。……ったく、一体何処に行ったんだ?」

荷物は有ったんですか?

「あぁ。だから家に帰った訳じゃなさそうなんだけどな……」

「居ないのなら仕方ないわね、
 残ったメンバーで話を進めましょうか、そのうち姿を見せるかもしれないし」

さわ子さんの言う通りですね、では改めて……。



105 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:39:08.20 ID:p4ZanQb/0



それから数刻後、宮廷には帝の要請に応じた二人の姿がありました


「澪御主人、唯麻呂、話は聞いているな」

「ははっ!確かに!」

「あずにゃ姫の一大事なんだよね!」

「月の民には悪いが、我々には梓姫が必要なのだ。だから姫が帰るのを全力で阻止しようと思う」

「「「「御意!!」」」」

「……厳しい戦になると思うが、皆覚悟は出来ているか?」

「既に」

「同じく」

「聢と」

「あずにゃ姫の為なら、この命惜しくありません!」

「では一週間後、梓姫の屋敷に一同集おうぞ!!」

「「「「ははっ!!!」」」」



106 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:40:05.67 ID:p4ZanQb/0



それから一週間、帝の命を受けた四人はそれぞれ戦の為の準備をすすめました

そして……遂に迎えた満月の夜

帝を含めた五人は事前に計画した作戦の通り、梓姫の屋敷の内外に就きました


「律皇子!様子はどうだ?」

「月は変わらずに美しい姿を見せております!」

「そうか!引き続き監視を頼むぞ!……紬皇子!弓の手入れは万全か?」

「はい!御要望とあらば闇夜の鵜を撃ち落として見せましょうぞ!」

「おぉ!頼もしいな!……澪御主人!刀の切れ味はどうだ?」

「問題ありません!舞い散る一枚の花弁を花吹雪にすることも可能です!」

「うむ!良い返事だ!……唯麻呂!梓姫の様子はどうだ?」

「取り乱した様子も無く落ち着いております!……ね、あずにゃ姫♪」

「えぇ。唯麻呂さんが一緒ですから♪」

「そ、そうか!では引き続き梓姫の護衛を頼むぞ!」



107 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:42:09.45 ID:p4ZanQb/0


「は~い!……えへへ~、あずにゃ姫さまぁ~♪」

「えへへ~、唯麻呂さ~ん♪」

「あずにゃ姫さまにほっぺスリスリ~♪」

「にゃっ!?もぉ……ほっぺスリスリがえしぃ~♪」

「むぅ、まさかそんな攻撃をしてくるとは……
 ならばこうだ!むぎゅー、抱き着き攻撃であずにゃ姫さま分ほきゅー。えへへ~」

「じゃぁ私も、抱き着きがえしで唯麻呂さん分ほきゅー。うふふ~」

「……梓ってそんなキャラだっけ……?」

「純、何変な事言ってるの?演技に決まってるでしょ?」

「演技……ねぇ」

「当たり前じゃん」

「えっと、まさに今、お姉ちゃんが後ろから抱き着いて首筋をクンクンしているんだけど……それも?」

「演技ですっっっ!!」

「えっ?……じゃぁあずにゃんは、今あんまり嬉しくないの?」

「そ、そんな事はありません!演技と言ったのは、
 その、えと……ひ、人前で……あまりやってほしくない事や
 自分がやりたくない事を……あえて容認するという事でして……」

「……さりげなく大胆な事言ってるよ、この娘さんは」



108 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/07/29(金) 00:42:37.26 ID:p4ZanQb/0


「えっと……要約すると、梓ちゃんはお姉ちゃんと二人きりなら
 なんでもオッケーって事……で、合ってますよね?さわ子先生」

「……えっ!?……あ、あぁ。そうね、それで合っているわ。
 ……つまり、私達はお邪魔虫的存在であると言いたいのよね。
 はぁ~ぁ、いっそ二人だけの世界にでも行っちゃえば~?」

「そ!そんな事は……」

「あずにゃ姫様、大丈夫ですよ!
 例えこの世界で二人きりになっても、今と変わらずにスリスリしますから!!」

「唯麻呂さん……それは本当ですか?」

「愛する人に、嘘などつけましょうか?」

「あぁ……唯麻呂さん……なぜあなたは唯麻呂さんなんですか?」

「梓姫……あなたこそ、なぜ梓姫なのですか?」


「……ナレーターさん……」

はい。純さんどうしました?

「……ここでツッコミ入れても……良いよね」

……そうですね、明らかに本来の台詞から逸脱している上に長すぎです。

「ですよねー」

では、純先生!お願いします!!


「では!スゥゥゥ……
 この話は竹取物語だってーのぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーっっっっっっ!!!!!!」



112 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:29:56.21 ID:Vibsg/FD0



その後も周囲に目立った変化は無く、気が付けば日付が代わる頃となっていました


「りーつー」

「なーにー」

「様子はどぉー?」

「変わらなーい。……ムギー」

「なーに?」

「そっちはー?」

「同じー、変わった様子はありませーん」

「はぁ……ホントに今夜来るのかー?」

「でもりっちゃん、梓姫様は今夜って言ってたわ」

「だよねぇ……はぁ、まぁ一応今夜はやっとこさ半分だからなぁ。……ん?あれ……?」



113 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:32:10.46 ID:Vibsg/FD0



律皇子が呟いたその時、それまで静かにその姿を見せていた月の輪郭がぼやけ、小さな点が現れました

皇子が目を凝らして見つめていると、その点は段々と大きくなり、

それが人影だと判断出来る頃にはそこから聞こえる雅楽の音が屋敷に響き渡っていました


「雅なる音色だが……律皇子!月からの使者なる者が現れたのか?」

「はい!真っ直ぐこちらに向かってきております!!帝!如何為されますか?」

「先ずは話し合いからだ。我も表に出る。皆のもの!配置につけ!油断するでないぞ!!」

「梓姫や、早く蔵の中へ」

「ここは私達と唯麻呂様が守りますからね」

「……あの、出来れば、唯麻呂様も一緒に。……その方が安心できるので……」

「ふむ……じゃがしかし、それでは……」

「良いではないか。宜しい、私が許可しよう」

「帝!本当ですか!?」

「あぁ。実際護衛をするのならそれが一番だからな」

「あ、ありがとうございます!!」

「なに、他ならぬ梓姫の頼み。断る筋合いなどございませぬ」

「帝!月の者が!!」

「わかった!すぐ行く!!



114 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:33:15.77 ID:Vibsg/FD0



律皇子からの声に応じて帝が表へ出る頃には、

使者はその姿形がはっきりと確認できるほど近づいておりました


「あれが月より参った者か」

「左様にございます」

「……出来れば、話し合いで解決したいのだがな……それにしても良い調べだ……」

「……そうですね……」


帝達は暫くの間その調べに耳を傾け、使者が近づくまで待ちました

そして、遂に使者は屋敷で一番高い松の頂にその身を置きました


「……そなたが月の使者か?」

「いかにも。名を和と言う。そなたは地上の帝か?」

「いかにも。ところで和殿、何故地上に参られたのだ?」

「……帝ともあろうお方が、わざわざそのような質問をされるのか?」

「なーに、戯れだ……。では率直に言おう。
 梓姫は渡さない。姫は我らにとって今では不可欠な存在なのだ」

「では私も率直に……。梓姫は連れて帰る。これは私に課せられた使命なのだからな!」

「では、交渉決裂……だな」

「そう……なりますな」

「律皇子!!紬皇子!!あの者を射落とすのだ!!!」

「「承知!!!」」



115 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:33:56.95 ID:Vibsg/FD0



二人はそう応えると共に、弦を引きはじめました

それを見た使者は右の手の平に不思議な光を宿しました


「紬皇子!先ずは拙者から射るぞ!!」

「任せた!!」

「和殿!!早々に月へと戻るがよい!さすれば命は救おうぞ!!」


律皇子が上げた声と共に放たれた矢は緩やかな放物線を描きつつも、

狙い違わず使者の右足へと一直線に向かいました

「刺さる!!」

地上の誰もがそれを確信していました

しかし使者は、迫り来る鏃にも全く動じていません。それどころか笑みまで浮かべています

その様子を見た地上の者達が訝しく思ったその時、使者は無言でそれに向かい手を翳しました

するとどうでしょう、手の平の光が徐々に大きくなりまるで使者を護るかのように包み込みました

そして、鏃がその光に触れた瞬間……


「な、なにぃっっっ!!!」


右足を狙っていた筈の矢はその縁を滑るかのように動き、使者の遥か後方へと飛び去りました


「ならば次は拙者が!これを喰らえぃ!!」



116 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:34:34.48 ID:Vibsg/FD0



紬皇子はそう言い放つと矢を二本番えて放ちました

狙うは頭と心臓

矢はそれぞれ狙い通りに使者のそこへと向かいます


「どのような術を用いているのかはわからぬが、二本同時ならば防ぐ事も出来まい!」

「さぁ、どうかしら?」


するとまるで使者の呟きに会わせるかのごとく光が強まり拡がっていきました

そして二本の矢は同時に触れた途端その場で反転し……


「なっ!なにぃっ!?」


紬皇子が放った以上の速度で戻ってきました


「うわっっっ!!!」


慌てて身を翻そうとした刹那、

一本は狩衣の脇腹を掠め、一本は紬皇子の烏帽子を貫き地面に突き刺さりました



117 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:35:13.09 ID:Vibsg/FD0



「紬皇子!大丈夫か!」

「あぁ……なんとか大丈夫だ!」

「予想以上に手強い……流石に月より来ただけはあるな。二人共!加減は無用だ!!」

「「おう!!」」


帝の号令に二人は次々と矢を射かけました

しかしそれらは全て光に阻まれ、

ある物はあらぬ方へ飛び去り、ある物は地面や屋根へと突き刺さりました

その間も使者は屋敷に近付き、矢の半分を射終える頃には律皇子の目前まで迫っていました


「チッ!仕方ない、私は一度退く!!」

「無駄よ」


屋根から降りようとした律皇子に向かい使者がそう告げ左手を翳しました

するとそこからも光が溢れ、律皇子の身体を包み込みました


「うわぁぁぁーーーー!!!!」

「律皇子!!!」

「……よくも皇子を!!」

「帝、安心して下さい、別に危害は加えておりませんよ。……ほら、ご覧になればわかるでしょう?」

「何だと……?」



118 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:35:54.90 ID:Vibsg/FD0



使者に促され帝と紬皇子は律皇子を見ました

皇子を包み込む光が徐々に揺らぎ薄らいでいます

やがてそれは全て消え去り、そこには明らかに脱力した皇子の姿がありました


「律皇子!無事か!」

「ん~?まぁねぇ~。……ムギ~お茶くれぇ~」

「り、律皇子……?」

「あ~、和じゃないか~。一緒にお茶飲もうぜぇ~」

「おのれ!律皇子に一体何をした!!」

「……気になるのならあなたも体験してみれば良いわ」


使者はその言葉が終わるや否や一気に紬皇子の目前に降り立ち光を浴びせました


「うぉぉぉーーー!!!やめろぉぉぉぉーーー!!!」


皇子の叫びが辺りに木霊しました

帝達は、唯々見守る事しか出来ません

そして、先程同様に光が薄らぎ……



119 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:36:28.52 ID:Vibsg/FD0



「りっちゃ~ん、お茶もうちょっと待ってねぇ~」

「えぇ~!?なんでだよぉ~」

「だって~、まだ私達しか居ないんだもん」

「あ~、それもそうだなぁ~」


そこには、律皇子同様に腑抜けた表情の紬皇子の姿がありました


「おのれぇぇぇぇーーー!!!よくも二人をこのような姿にしてくれたなっっっっ!!!」

「……それほどまでに怒るような事かしら?」

「黙れっっっ!!!飛び道具とはひと味違う拙者の刀を受けてみよっっっ!!!」


澪御主人は明らかに無防備な使者めがけて刀を振り下ろしました

その切っ先からは使者に引導を渡す喜びの歌声が聞こえます
「取った!!!」
そう確信した澪御主人は振り下ろす腕に更なる力を込めました

「流石、速いわね……。でも、無駄よ」



120 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:37:33.67 ID:Vibsg/FD0



使者が落ち着き払った口調でそう言うと同時に刃が光にめり込み使者へと迫りました

が、しかし……


「ぬぉっ!?」


使者の目前まで迫った刃は光の膜に阻まれそこから先へと進む事が出来ません


「残念だけど、ここまでね。じゃ、あなたも二人と同じようにしてあげるわ」

「あぁっ!や!やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」


訪れる静寂

そして光が収縮したその後には……


「……ん?唯と梓はまだ来ていないのか」

「おやぁ~、その口調からすると……澪しゃんもティータイムが待ち遠しいんでちゅかぁ~?」

「律と一緒にするなっ!……まったく……私はベースのチューニングするぞ!」

「へいへい……ま、実際二人が来なきゃ始められないからなぁ~。私もドラムの調子チェックしとくか」

「あ、じゃぁ私もキーボードの……する必要は無いわね……ショボーン」



121 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:38:29.88 ID:Vibsg/FD0



「な、なんという恐ろしい技なのだ……」

「恐ろしい?私としては平和的に事を解決できる素晴らしい力だと思いますが」

「だからこそ、だ。聞くが、皆は元に戻るのであろうな」

「えぇ。戦う気勢を削ぐだけですので、半刻から一刻あれば戻りますよ」

「嘘ではあるまいな」

「……一度味わえばわかりますよ」

「そんな物を頂く気など毛頭無いがな」

「そうですか……ですが、嫌でも味わってもらいますよっ!!」


使者の言葉を合図に、二人の戦いが始まりました

先手を取ったのは使者は、先程までと同様に帝へ光を放ちました

しかし帝は動ずることなくその光を持っていた鏡で反射させました


「その鏡は……『八咫鏡』!?という事は首に掛けられた勾玉と手に持つ剣は……」

「その通り、『八尺瓊勾玉』と『天叢雲剣』だ」

「……まさか三種の神器を持ち出してくるとは思いませんでしたよ」

「相手の実力が不明だからな、
 用心に越したことは無いと思って準備をしたのだが……正解だったな!!!」



122 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:39:53.37 ID:Vibsg/FD0



そう言い放つと同時に帝は使者へと切りかかりました

それを見た使者は即座に光を拡げ僅かに身を翻します

瞬間、剣が光と共に衣の裾をを切り裂きました


「見事……今の一撃を躱すとはな」

「……その剣の噂は、月でも有名でしたからね……」

「成る程……だが、次はそうもいかぬぞ!!!!」


帝は目にも留まらぬ速さで剣を繰り出します

が、使者はそれを上回る速さで剣をかわし続けました


「避けて、ばかり、では、勝利、できぬ、ぞ」

「……さて、そうでしょうか」

「では、どのように、して、勝つ、のだ?」


会話を交わす間も休むことなく、帝は剣を振り続けます


「せいっ!たぁっ!とぉっ!」


ですが、その切っ先は使者はおろか最初に切り裂いた衣ですら掠めることが出来ません



123 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:41:21.00 ID:Vibsg/FD0



「てやっ!ハァ……ハァ……えいっ!ハァ……ハァ……」

「そろそろですね。帝、あなたの負けです」

「ハァ……ハァ……世迷い言をっ!!」

「……周りをよく見てください」

「……なにぃっっっ!!!」


気付くと、帝は使者の放つ光に囲まれていました


「……鏡や剣で対処出来る光はごく一部だけ、全ての方向からの光を防ぐことなど出来ません」

「だが無駄だな、勾玉の存在を忘れていたとは言わせぬぞ」

「えぇ、忘れてはいませんよ」

「では何故?妖しげな術は勾玉によって全て封じられるのだぞ」

「それは『悪意を持つ術』にのみ有効ですよね。……残念ながらこの『光』に悪意は僅かもありません」

「な、なんだとぉ!!」

「では、そろそろ終わりにしましょうか」


使者はそう宣言すると、左の手の平を帝に向けて光を放ちました


「小癪なっ!せいっ!!ていっっ!!」


帝は迫りくる光を反射しながら切り裂き続けました

しかし……



124 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:42:31.55 ID:Vibsg/FD0



「ハァ……ハァ……、う……あ……ヒィッ!
 ……やめろ!くるなぁっっっ!!……あっ!あぁっっ!!ぐぁぁぁぁーーーーー!!!!!」


遂に帝は力尽き、光に飲み込まれてしまいました

先程までと同様に訪れる沈黙

やがて包み込む光は徐々に小さくなってゆき……


「ふぅ……今日も疲れたわぁ~。……ってあなた達!何やってるの!?」

「何って……チューニングですけど……」

「それはわかるわよぉ。私が聞きたいのは、なんでお茶していないのかってことなのぉ」

「いや、まだ唯と梓が来てないし。てゆーかさわちゃん、その発言は顧問としてどーよ」

「あら、そうだったの。じゃぁ、仕方ないわね……私はのんびりと待たせてもらうわ~」

「……ハァ」

「りっちゃんどうしたの?溜め息なんかついちゃって……」

「え?あぁ、ムギか……いや、なんでもない。……ツッコミ入れたら負けのような気がするし」

「そ、そうなの?」

「早く来ないかな~♪」



125 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:43:13.00 ID:Vibsg/FD0



「……これで大丈夫ね。さて、と」


使者は帝達の様子を見て満足げに頷くと、屋敷の中へと足を踏み入れました


「……あそこね」


視線の先には重厚な蔵の扉、そして……


「あ、梓姫は渡さんぞ!」

「そ、そうですとも!」


最後の砦となるべく蔵を守る、翁と嫗の姿がありました


「……そこをどきなさい」


使者は二人の前にゆっくりと歩み寄ります


「い、いやじゃ!!絶対に動かんぞ!!!」

「梓姫を連れていかないで下され!!」

「では……仕方ありませんね」


使者は手の平を二人に向け、光で照らしました



126 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:44:06.01 ID:Vibsg/FD0



「ぬおっ!か、身体が……!」

「……あぁ、これでは梓姫が……」


光を浴びた二人の身体は座り込んだ姿勢のそのままに床の上を滑り、使者の隣へと運ばれました


「これで、邪魔する者は居なくなりましたね……梓姫!そちらにいらっしゃいますね」

『……帰って下さい!私は……地上で暮らしたいのです!』

「……そうもいきません。これは決まり事なのです」

『決まり事……私の意向は完全に無視なんですね』

「えぇ……そうよ。……だから、お願い。……嫌な事くらい、わかってる。でも……」

『和さん……ごめんね。私、和さんの気持ち、よくわかる。
 でも、私は……私は!あの奔放過ぎる月帝の許に戻る気などありません!!』

「……そんな閂と錠前一つで私から逃れられると思っているの?」

『はい!!思っています!!』

「そぅ、貴女も随分と地上で惚けたようね……
 こんな物、月光の力を使えばたやすく外れる事くらい覚えているでしょ?」


そう言って使者が両手を扉に翳すと、今までとは比べものにならない強い光が扉に降り注ぎました

すると、物音一つたてずに鍵が外れ、閂が動き、蔵の扉がゆっくりと開きました


「さ、そんな所に隠れていないで……えっ?……誰も……居ない!?」

「へっへーん!引っ掛かったなぁー!二人はとっくに逃げてったよーん!!」

「な、なんですって!?それは本当なの?」



127 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:44:56.89 ID:Vibsg/FD0


「あぁ。梓姫は……既に抜け穴を通って安全な場所へ移った!
 月の使者でも手を出せない、太陽神の加護を受けた『聖域』にな!!」

「『聖域』ですって!?そ、それは何処なの?」

「うふふふ~、何処かしらね~。
 ……『太陽が沈む事無く常に照らし続ける所』……残念だけど貴女には教えられないわ」

「お、教えなさい!今すぐに!!」

「そうはいきませぬ。先程も申したが、わしらにとって梓姫はなくてはならぬ存在なのじゃ」

「お爺さんの言う通りです、なので……お引き取り下され」

「でもまぁ、何処……というか今どうしているかくらいは教えてあげる」

「帝、それは真か?」

「帝の名にかけて誓うわ。
 それじゃぁ……梓ちゃ~ん♪唯ちゃ~ん♪今何をしているのかな~?……モニターかもーん!!!」

あ、それは私の台詞……。

「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ、気にしちゃダメですよ、ナレーターさん」

はぁ……わかりました。

「……さて、それじゃ今の二人を映してちょうだい!」

了解です。


……ここは屋敷から離れた……っておやぁ?何か変ですよぉ!?



128 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:45:42.28 ID:Vibsg/FD0


「……樽G爆破しまーす!」

「オッケー!」

「……お、赤くなりましたよ!!」

「よっしゃ!えっと……罠はそっちか!!」

「ほれほれ~こっちだよ~ん」

「では私もそちらに……」

『……おい』

「んー?なーに、ねーちゃん」

「お!来たきたキタ━━━(゜∀゜)━━━!!」

「そのまま真っ直ぐ!!」

『……おい!』

「だからなーに?……よっしゃかかった!!」

「捕獲玉ポーイッ」

「私もポーイッ」

「オッケー!!ベリオ亜種ゲットーー!!!」

『おい!!聡!!!!』

「わわっ!!!お、驚かすなよ~」

『驚かすなよ~、じゃない!!なんでお前がそこに居るんだよっっっ!!!』

『てゆーか……聡の隣に居る君は……誰?』

「あれ?澪さんは会ったこと無いんだっけ?ほれ、挨拶」



129 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:46:11.26 ID:Vibsg/FD0


「あ、えっと、田井中の友達の鈴木です」

『鈴木君か、よろしく』

『……ところで斉藤、あなたも何をしているのかしら?』

「御覧の通りでございます。お二方とパーティーを組んでモンハンをやっておりました」

『……そんな事を聞いているのではありません!!』

『あの、唯先輩と梓は何処ですか?』

「あぁ、それでしたら……ナレーターさん、
 すみませんが部屋の隅にある外部ケーブルのBをモニター端子に繋いでいただけますか?」

隅に……あぁ、これですか。少々お待ち下さい。

『……斉藤、なんでこんな事をしたのか今すぐ教えなさい』

「お嬢様……申し訳ございません。全ては唯様からのご提案でして……」

『唯ちゃんからの?』

「はい……」

……お取り込み中申し訳ありませんが、繋げましたよ。

「ありがとうございます。お嬢様、詳しくは唯様ご本人から説明があると思われますので……」

『……わかったわ』

では、外部スイッチを入れますね。

『……草原?』

『だな……おそらく外の』

『でも、なんで唯ちゃんはこんな事をしたのかしら……』

『まぁ、直接聞いてみればいいさ。おーい!ゆいー!!』『……』



130 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/09(火) 22:47:22.95 ID:Vibsg/FD0


『あれ?ゆいー!!あずさぁー!!返事しろぉー!!!』

『……』

おかしいですね……、斉藤さん!

「はい」

お二人は外に居るんですよ……ね?

「そうです。おぉ、一つ言伝を忘れておりました」

言伝……ですか?

「はい。唯様より預かっております。『ナレーターさん、ちゃんと再開してね』との事です」

ちゃんと……ですか?……ちゃんと……ちゃんと……あ!そ、そうか!!

『あの、唯先輩の言伝で何がわかったんですか?』

純さん、キーワードは『再開』ですよ。

『再開……あぁーー!!なるほど~、手が込んでるなぁ~』

『お姉ちゃんらしいね~』

「それと、ナレーションを少し手直しされたそうです。
 そちらに置いてあるPCにメールで送ったと言っておられましたが」

PCにメールで……あぁ、これですね。えーっと、これは台本のこの部分を置き換えれば良いのですね?

「はい、そうです」

わっかりましたー!では早速再開しますよ!!



134 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:34:20.50 ID:mBPRPvBe0



……ここは屋敷から離れたとある草原……

太陽の光がさんさんと降り注ぎ、薫風が走る度に若草が華麗な踊りを披露しています

草原をよく見ると、中央付近に小さな祠が一つ

その前に立ち、手を合わせる人影が二つ

梓姫と唯麻呂です


「唯麻呂様、こちらに奉られているのが……」

「はい。太陽神、『天照大神』様です」

「だから夜半を過ぎているのに太陽が天にあるのですね」

「えぇ。……ここならば、流石の月読命といえども手を出すことなど無理ではないですか?」

「……そうですね……」

『梓姫』

「その声は……和さんですか?」

『えぇ、そうよ。……まさかそんな所に逃げるとは思いもしなかったわ』

「……私も、こんな場所があるとは思いもしませんでした」

『もう一度、確認するわ。……梓、本当に帰る気は無いのね?』

「……うん。私は……さっきも言った通り、月帝の自由奔放ぶりが嫌なの!」

「あずにゃ姫……それ程までに月帝が嫌いなの?」

「だってそうでしょ!ある日突然『地上に降りて修業をしてこい』って言われて!
 有無を言わさずに竹型カプセルに乗せられて!!」

「そんな事を……?」



135 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:34:52.98 ID:mBPRPvBe0


「地上で楽しく暮らしていたのに突然『帰ってこい』って言われて!!
 おまけに私を連れ帰る使者が幼なじみの和よ!!!
 なんで……なんでこんな酷いことばかりするのっっ!!!」

『……そうよね、今回ばかりは酷すぎるわね……』

「修業って何!?月の姫になるための修業だって言ってたけど!
 これじゃ……これじゃぁ……単なる……イジメ……だよぉぉぉ……」

「あずにゃ姫……泣かないで……ギュッ……いーこいーこ」

「唯麻呂さん……唯麻呂さぁぁぁぁーーーーん!!!ウワァァァーーーン!!!!」

『……和殿』

『和で良いわ、えーっと……澪御主人』

『澪と呼んでくれ。それで……その……月帝とは梓姫が言ったような人物なのか?』

『……えぇ。良くも悪くもその通りよ』

『良くも悪くも?』

『そう。……私と梓は共に孤児だったの。
 でも、月帝はそんな境遇にある子供達を集めてちゃんと育ててくれたわ。』

『……それが自由奔放となんの関係があるんだ?』

『大有りよ、だってそのために国の法律まで変えてしまったし』

『はぁ……自由奔放もそこまでいくと凄いな』

『それに、その性格のお陰で政も上手くいってるし。
 ただ……下手に上手くいっているから、
 今回みたいな事は全て見て見ぬ振りをされているのも、事実よ』

『……同じ帝を名乗る者として、にわかには信じ難いな……』

『まぁ、そうでしょうね。実際、月帝の良い面のみを見ている者からしたら有り得ない事ですから』

『孤児を育てる慈愛の心と孤児を突き放す鬼の心を持つのか……まるで地蔵菩薩だな』

『ジゾウボサツ?その名を聞いたことはありませんが……
 おそらく帝の言うそれと同じではないかと思いますけどね。……さて、ねぇ梓、聞こえる?』

「ヒック……うん……」



136 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:35:39.85 ID:mBPRPvBe0


『もう一度聞くわ。……月帝の勅にそなたは従うか?背くか?どちらか速やかに答えよ』

「……私は……月には戻りません!」

『では、恩義ある月帝に背くのだな?』

「……恩義がある事は重々承知の上です。
 ですが、私にはその恩義をも上回る恩義が、地上の皆にあるのです!!」

『……そう、わかった……じゃぁ月帝にはそう伝えておくわ』

『和さん……本当に良いの?』

『紬皇子……えぇ、これで良いんです。私も、今回の件に関しては少なからず思うところがあるので』

『でもさぁ、手ぶらで帰ったら大変な事にならないのか?』

『それくらい承知の上ですよ、律皇子。……まぁ、大変な事と言っても、私が姫になるだけですから』

『『『『『『「「えぇっ!?」」』』』』』』

『そんなに驚かなくても……』

『いや、普通驚くだろ』

『……そうかしら?』

『うん!』『あぁ!』『えぇ!』『そうよ!』『そうですよ!』『それが普通ですよ!』

『……地上人の考えはよくえわからないわ……』

『いや、むしろ月の人の考えがおかしいと思うんだが……』

『……まぁいいわ。それで?梓はこれからどうするの?』

「私は……唯麻呂様と共にこうします!!」



137 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:36:47.01 ID:mBPRPvBe0



梓姫はそう叫び、唯麻呂と固く手を繋ぎました

するとどうでしょう、二人を不思議な光が包み込み、辺りはまばゆい輝きに満たされました


「……斎藤さ~ん、ちゃんと見えなくなってますか~?」

『大丈夫ですよ、唯さん』

「唯先輩、急がないと!」

「ほいほ~い」


『……なぁ澪、あの二人は何をやっているんだと思う?』

『さぁな……。既に昨日決めたシナリオから逸脱しているしな』

『ワクワクするわぁ~』


やがて光は徐々に薄らぎ、二人の姿が再び露わになり……ってえぇぇぇーーー!?

「ナレーターさん、どうしました?」

いえ、どうもこうも……お二人の格好が以外過ぎたので……つい。

「んもぉ、折角ポーズ決めてるんだからちゃんとやってよぉ~」

『いや、その格好は誰が見ても驚くと思うぞ』

『律の言う通りだ。なんでそんな格好しているんだ?』

「……変ですか?」

『変も何も……なんで梓も唯先輩も普段着なのさ』

「いやぁ~、実は昨日の夜テレビ見てたら急に閃いてさぁ~」



138 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:37:24.72 ID:mBPRPvBe0


『閃いたって……唯、何を閃いたの?』

「あのね、和ちゃん。昨日の天気予報で今日は晴れて心地好いって言ってたんだよ」

「唯先輩……それだけじゃ通じないと思うんですけど」

『……つまり、晴れて心地好いから、スタジオじゃなくて外にしたって事ね。
 ついでに終わったらそのまま外でのんびりまったりしようと思った……でしょ?』

「おぉ!さっすが和ちゃん!!」

『まぁね、伊達に長い付き合いじゃないし』

『じゃぁ……斎藤は昨日の夜に唯ちゃんから連絡を受けていたのね』

『はい。他言無用と言われましたので……お嬢様、申し訳ございません』

『まぁ、そういった理由なら仕方ないわ。今回は許してあげる』

『お嬢様、有難うございます』

『あれ?でも一つおかしくないか?』

「ほぇっ!?りっちゃん、どこかおかしい所あった?」

『いや、唯達じゃなくて……おい、聡』

『なーに?』

『お前がここに居るのは良いとしてだ、何で鈴木君も居るんだ?』

『斎藤さんに頼んで連れてきてもらった』

『そうじゃなくて……何で連れてきたかって事!』

『あぁ、そっちか。……暇だったから』

『……そんな理由で呼んだのか?』

『だって、電話したら暇だしオッケーって言ってたから』



139 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:38:12.97 ID:mBPRPvBe0


『鈴木君……本当?』

『あ、はい』

『はぁ……最近の若者はよくわからんなぁ』

『お前も最近の若者だろ……』

『聡よりは年上だいっ!!』

『はいはい……』

「あの~、すみませんけど~」

『梓ちゃん、な~に?』

「そろそろ再開していただけませんか?」

「このポーズとってるのも辛いんだよ?」

『……そんな戦隊モノの決めポーズみたいなのしてるんだから仕方ないんじゃない?
 てかポーズやめれば良いじゃん』

「いやぁ~そう言われてもですねぇ~」

「なんかさ、タイミング逃したら辞めづらくって……」

『なにそれ……ま、いっか。梓と唯先輩だし』

『そうだね~』

「純だけじゃなく憂まで……」

「二人共……しどいよ……シクシク」

まぁまぁ、ではお望み通りに再開しますよ。



140 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:39:03.96 ID:mBPRPvBe0



やがて光は徐々に薄らぎ、二人の姿が再び露わになりました

その姿は先程の狩衣ではなく、まるで異国の者のようです


「私はこれより『梓姫』ではなく『梓』として!」

「私はこれより『唯麻呂』ではなく『唯』として!」

「「普通の女の子として共に生きてゆきます!!」」

『な……なんですって!?梓、本気なの?』

「和……私は本気だよ」

『でも、共にって……私達の寿命は地上の者より遥かに長い事くらい知っているでしょ?』

「えぇ、知っていますよ」

『なら、どうして!?』

「和殿……ご安心を。私は先程、あずにゃ姫……もとい、あずにゃんから薬を貰い、既に飲みました」

『……『不老不死の薬』を?』

「はい。そうです」

『……それだけ本気って訳ね』

「あずにゃんと共に生きるためなら、このくらい当然です!」

『そう、わかったわ。では……、唯殿、梓を頼みましたよ』

「はい!!!」

『それじゃ、梓……』

「和……ウグッ……ごめ、ごめんね……エグッ……我が儘いっぱい……しちゃって……グズッ」



141 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:40:00.14 ID:mBPRPvBe0


『……良いのよ。さっきも言ったけど、私も今回の事に関してはちょっと頭にきてるからね』

「……でも……ヒック……でもっ……」

『もぉ……別にこれが今生の別れって訳じゃ無いんだからさ』

「グズッ……そう……なの……ヒック……?」

『そうよ。だって、私が姫になるんだし……別に梓を連れ戻しに来る必要無くなるでしょ?』

「それは……グスッ……そうだけど……でも……」

『確かに私が此処に来るのはかなり難しくなるわ……でも、難しいだけで無理な訳じゃないから』

「うん……わかった……」

『それじゃ、二人共、またいつか』

「うん!またいつか、必ず会おうね!!」

「その日を楽しみに待ってます!」


その言葉を最後に二人の映像が途絶え、先程までの喧騒が嘘のように静寂が屋敷を包みました

残されたのは、梓姫を連れ帰る事に失敗した使者と、梓姫を守り通した地上の者達

それぞれの顔には先程の戦いによる疲労の色が濃く出ています



142 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:40:45.61 ID:mBPRPvBe0



「……じゃぁ、私は月へ帰りますね」

「……和殿、戻られる前に少々聞いても宜しいか?」

「帝……なんでしょうか」

「先程そなたは『此処に来るのはかなり難しいが無理ではない』と申されたが……真か?」

「えぇ」

「それは時間と手段、どちらの理由なのだ?」

「……どちらも、ですね。時間は……月帝を説得する事は容易でない為、です」

「具体的にはどれ程の時間が必要と思われるのだ?」

「……我々の時間で、恐らく数年」

「……我々の時間に換算した場合は、一体何年だ?」

「地上の年月に換算すると……十数年、ですね」

「十数年!?それ程まで……。では次に、手段とは?」

「……私は『月の民』です。先程の矢や刀を退ける力、そして蔵の閂を外したり戸を開いたりする力、
 それらは全て『月光』のご加護が有ったからなのです」

「……つまり、『月光』が無ければ力を奮えない……と」

「はい、その通りです。ですので、月が天に無い時は……」

「来ることも不可能、ということか……」

「……それならば、尚更儂等がそれを見ることは不可能じゃな、婆さんや……」

「……そうですね、私達は何時お迎えが来てもおかしくはありませんからね……」



143 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:41:29.34 ID:mBPRPvBe0



再び静寂が屋敷に訪れました

本来ならば聞こえてくるであろう木々のざわめきも、今は全く聞こえません

そんな重苦しい沈黙を破る声が不意にあがりました


「ん?……なんだコレ?」

「律皇子、どうされた?」

「澪御主人……蔵の中に何かあるんだ……箱か?」

「箱ですね。よっと……軽いな」

「軽いのか……ちょっと貸してくれないか?」

「あ、はい」

「ありがとう。……ふにゅにゅにゅにゅぅぅぅぅーーー!!!
 お、重くて持ち上がらないぃぃぃーーー!!!」

「えっ!?そ、そんな事あるわけ無いだろう!?」

「はぁ……はぁ……
 こんな重いものを軽々と持ち上げるとは……さっすが澪しゃん、ちっから持ちぃ~!!」

「……つまり、今のアドリブは、それを言いたかったが為の物だった、ということか?」

「え?あ、いやー、シリアスな展開ばっかだからさぁ~、ちょっとだけぇー?息抜きぃー?みたいn」

「い い 加 減 に し ろっっっ!!!!」

「あぎゃぁぁぁぁーーーーっっっっ!!!!」

……えー、お二人の事は放っておいても……良いです……か?

「……そうして貰えると助かるわ……全く、あの子達ときたら……」

で、では、続けます。



144 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:42:10.19 ID:mBPRPvBe0



律皇子が見つけた物は片手で持てる程の小さな箱でした

帝が手に取り軽く振ると、何やらカサカサと乾いた音がします


「ふむ、中には何が……?」

「……鑑識にまわしてみますか?もしかしたらこれを開くヒントg」

「もぉ……なんでムギちゃんまでそんな事……折角のクライマックスなのに……グスン……」

「あ、あの、さわ子先生っ」

「和先輩と憂と私がついてますよっ」

「クスン……ホントに?」

「はい。だから涙を拭いて下さい……可愛い顔が台無しですよ」

「和ちゃん……ありがと……私、和ちゃんの担任で良かった……」

「さわ子先生……」


「……あれ?憂、もしかして先生と和先輩も脱線してる?」

「もしかしなくてもそうだと思うよ、純ちゃん」

「ハァ……これじゃシナリオ進まないじゃん……もうちょっとで終わりなのに」

「うーん……仕方ないから私達も何かする?」

「何かって……なにを?」

「えっとね~、例えば……」



145 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:42:56.43 ID:mBPRPvBe0


「例えば?それだけじゃわからな……
 ンッ……ンムッ……チュムッ……プハァ……も、もぉ……いきなりなんて狡いよ……」

「フフッ……ごめんね……なんか……みんなを見てたら……我慢出来なくって」

「……なるべくなら我慢して下さい……部屋に帰ったらいくらでもしていいから……」

……あのぉ~、……純さーん、憂さーん……シナリオ進めましょうよぉ~。

「……ギュッするくらいだったら……良いよね……」

「……うん、良いよ……」

「純ちゃん……大好き……」

「憂……私も……大好きだよ……」


……そんな……頼みの綱でもあるお二人も脱線するなんて……

じゃぁ……スイッチをBに切り替えて……斎藤さーん、宜しいですかー?

「鈴木!ソッチに金行ったぞ!!」

「オッケー!……よっしゃ落ちた!!」

「銀の相手は私に任せて下さい!!閃光弾いきます!!!……墜ちろぉぉぉぉぉぉ!!!」

「金脚引きずってるぞ!」

「捕らえろ捕らえろー!」

「ではシビレ罠仕掛けさせていただきます」



146 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:44:30.84 ID:mBPRPvBe0



……斎藤さん達まで……。

この分じゃ外の二人も……っとぉ~!?

外部スイッチオン!!

そこの二人!!

「ぬぉっ!?」「キャッ!」

誰も居ないからって、一体何をしようとしていたんですか?

「え、えと……その……」

「あ、あずにゃんと……キス……しようとして……いました……」

あのですねぇ、外部モニターの映像は私の所で逐一チェック出来る状態なんですよ?

「そ、そうなの!?」

「じ、じゃぁさっき話していた事も……筒抜けなんですか!?」

いえ、音声はオフになっていますので……って昨日も似たような事ありませんでしたっけ?

「そういえばあったような……んで?ナレーターさんはどんなご用?」

えー、そのー、……ちょっとスタジオの映像見ていただけますか?

「ほいほーい。……ありゃ?」

「これは……シナリオが止まっているんですか?」

その通りです……頼みの綱である斎藤さんも……二画面にしますので確認してください。



147 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:46:10.74 ID:mBPRPvBe0


「……えっと……モン○ン中?」

そうです。

「まだやっていたんですか……」

ですので、もうお二人の力を借りるしか選択肢が残っていないんですよぉ~。

「うーん、そうかなぁ~?私にはまだ残ってると思えるんだけど……」

……そうですか?

「あ、私もわかりました」

「あずにゃんもわかった?」

「はい。そういえばやっていないですね」

えっと……それは一体どんな事ですか?

「まだわからないの?しょーがないなぁ~、
 じゃぁ早く終わってもらいたいから特別に教えてあげよう!」

あ、ありがとうございます。それで……一体……。

「あのね……」



148 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:50:11.67 ID:mBPRPvBe0






あー、あー、……よし、頑張れ自分。

(スイッチオン……ボリューム最大……スゥゥゥゥゥゥゥーーーー)

み な さ ん!!!!!!!!

「ぬぉっ!」「うわっ!」「キャァッ!」「わっ!」「ヒャッ!」「わわっ!」「キャッ!」

そ ろ そ ろ さ い か い し ま せ ん か っ!!!!!!!!

「「「「「「「は、はいっ!!!!!」」」」」」」

(こっちはオッケーですね。ではスイッチをBに切り替えて……スゥゥゥゥゥゥーーーー)

そこの三人!!!!!

「んなっ!」「のわっ!」「はいっ!」

そのクエストが終わったら!!ゲームも終わりにしませんか!!!

「わ、わかりましたぁっ!」「り、了解っすっ!」「畏まりましたっ!」

(ボリュームを下げて……スイッチを外部に切り替えて……)

ふぅ……唯さん、梓さん、聞こえますかー?

「ほーい」

「聞こえますよー」

ありがとうございます、お二人のお陰で無事シナリオを進めることが出来そうです。

「うまくいったんだ~、良かったぁ~」



149 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:52:50.24 ID:mBPRPvBe0

「これで一安心ですね~」

はい。ではもう少々そちらでお待ち下さい。

「「はーい♪」」

あ、だからといってチューするのはダメですよ~。

「流石に……人前では……ねぇ」

「そうですよ……ね……」

では改めて……。

(ボリュームを上げて……スイッチをALLに合わせて……)シナリオをっ!再開しますっ!!


律皇子が見つけた物は片手で持てる程の小さな箱でした

帝が手に取り軽く振ると、何やらカサカサと乾いた音がします


「ふむ、中には何が……?」

「開けてみますか?」

「うむ、では紬皇子、頼んだぞ」

「畏まりました。では……」


紬皇子が箱を開けると、そこには数個の小さな麻袋が入っていました


「あ……その麻袋は……」

「和殿、ご存知か?」

「はい。帝、これこそが先程梓が言っていた『不老不死の薬』です」



150 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:55:35.39 ID:mBPRPvBe0


「……ま、真か?」

「えぇ」

「ということは……これを飲めば、
 我々も梓と和殿が再会するその日を目にする事が出来る……ということか!」

「わ、儂等のような老いぼれでも大丈夫なのですか?」

「翁、ご安心を。これを煎じて飲めば誰でも月の者と同じ時間を過ごすことが出来るようになりますよ」

「ば、ばぁさん……」

「お爺さん……」


翁と嫗は抱き合って泣き続けました

二人の再会に立ち会える、それがとても嬉しかったのです


「……では、皆でこれを飲もうじゃないか。紬皇子、煎じてくれぬか」

「ははっ!では椀を……あら?これって七袋あるわねぇ……」

「ん?何かおかしいのか?」

「だって澪ちゃん考えてみて、今ここにいるのは和ちゃんを除いたら何人?」

「えっと……律、ムギ、さわ子先生、憂ちゃん、純ちゃん、私の六人だな」

「でもここには七袋あるのよ?どうしてかしら……もしかして間違い?」

「……あぁっ!わかったぞっ!!」



151 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 13:58:06.49 ID:mBPRPvBe0


「律、何がわかったんだ?」

「澪、ムギ、それって聡も含めての人数だよ!」

「聡?……そっか、当初の予定だと居る事になっていたから……」

「それで七袋なのね!」

「その通り~!」

「じゃぁ聡を呼んできたほうが良いんじゃないか?」

「んー?別にいいよ~、居てもやること無いし。聡もそうだろ?」

『うん、着替えてもいないし……』

「という訳だ。だからムギ、六人分頼む」

「は~い。よろこんでぇ~」


紬皇子は車座になった各々の前に麻袋の入った椀を置き、慣れた手つきでそこに湯を注ぎました


「薬液が全て浸み出るまで、暫しお待ち下さい」


使者の言葉に皆黙って椀を注視すると、袋から薬液がゆらゆらと浸み出始めていました

そして現在の時間にして五分後

ついに『不老不死の薬』が完成しました



152 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 14:00:25.20 ID:mBPRPvBe0



「ふむ……なぁ紬皇子、私にはただの茶にしか見えぬのだが、皇子はどう思う?」

「どうと聞かれても……私も律皇子と同じ意見なのだが」

「だよなぁ~……」

「まぁ、確かに見た目はただのお茶ですが飲んでみればそうでは無いということが良く解りますよ」

「そうか。では皆の者、椀を手に取るのだ!」


帝の令に各々目の前に置かれた椀を掲げます


「では……唯と梓、二人の新たな門出の祝いと遥か先にある梓と和殿の再会を祈って!」

「「「「「門出の祝いと再会を祈って!!」」」」」

「乾杯!!」

「「「「「乾杯!!!!!」」」」」


皆は祝いの声を上げ、椀の中身を一気に飲み干しました

すると、今まで充実感で満たされていた皆の笑顔が、徐々に険しくなっていきました



153 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 14:06:33.88 ID:mBPRPvBe0



「の……和殿……」

「なんですか、帝」

「こ、これは……良薬口に苦し……ということ……か?」

「はい、その通りです」

「……ウゥッ……口の中が苦くて渋い……唯はこれを飲み干したのか……」

「……なぁ澪、今何て言った?」

「え?あぁ、こんな苦くて渋いお茶を唯は飲み干したんだなぁって」

「……ちょっと確認の必要が有るな……ナレーターさん!唯と今話せますか?」

スイッチを入れれば可能ですよ。

「じゃぁ、ちょっとお願いします!」

では少々お待ち下さい……ポチッとな。

……はい、大丈夫ですよ!

「おーい、ゆーいー!聞こえるかー?」

『聞こえるよ~。りっちゃんな~に~?』

「あのさー、唯はお茶飲んだのかー?」

『お茶って……薬の事?う、うん。飲んだよー』



154 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 14:07:04.73 ID:mBPRPvBe0


「ほほぅ……結構甘かったよなー」

『そ、そうだねー』

「唯先輩……その反応は……」

「飲んでないんだね……お姉ちゃん……」

『ちょ、ちょっとー、憂も純ちゃんも何を言っているのかなぁー』

「唯……あのな、あのお茶は……ありえねぇ位苦くて渋いんだよっっっっっ!!!!」

『な、なんだってぇぇぇぇーーーー!!!!』

「つーわけで……唯、後でしっかりと味わってくれ。お誂え向きに丁度一袋残っているんだ」

『……慎んで遠慮させていただきます』

「いーやっ、これは話の流れ上飲まなくちゃいけないからな、終わったらちゃーんと飲んでもらうぞっ!」

『そ、そんなぁ~』

「ヘッヘーンだ!私達が受けた苦しみを唯も味わってみろー!」

『ウゥッ……りっちゃん隊長厳しいっす……』



155 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/13(土) 14:07:35.09 ID:mBPRPvBe0


『唯先輩!私も半分飲みますから、頑張りましょう!』

『あずにゃん……うん!私頑張るよ!!』

「……結局そんな感じの流れになるんだな……」

「律先輩、仕方ないですよ……」

「今の二人には何を言ってもムダだからねぇ」

「……実の妹と親友がそう言っているんだ。律、諦めろ……」

あのー、皆さんそろそろ大丈夫ですか?

「あ、はい!憂も大丈夫だよね」

「うん♪」

「澪ちゃんもりっちゃんも大丈夫よね?」

「おぅ!そう言うムギはどうだ?」

「もっちろん♪」

「先生は……大丈夫ですか?」

「一応ね……そう言う和ちゃんは……無関係だったわね……」

では再開しましょうか、ラストまでこのまま一気に駆け抜けましょう!

「「「「「「「はいっ!!!!!!!」」」」」」」



158 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:09:07.27 ID:byEftcYL0



時と言うものは無情なる物です

薬を飲み干した皆が使者と歓談を楽しんでいると、東の空が白み始めました


「もうこんな時間になってしまいましたか。では改めて……私は月へ帰りますね」


そう言うと、使者はフワリと舞い上がり松の頂に立ちました


「和殿!最後にもう一つだけ!次は何時来られそうなのだ?」

「……帝、すみませんがそれに関しては未だ不明です」

「そうか……」

「そうだ!では、こうしましょうか。
 次回……というか此処に来られる三日前に、月から合図を送ります」

「合図を?」

「はい。この幹に文を括り付けた矢を撃ち込みます」

「成る程、それならわかりやすいな。承知した!ではその日を楽しみに待っていようぞ!」


使者はその返事に無言で頷くと、雲に乗り月へと向けて飛び立ちました


「皆様!梓の事を宜しくお願いしますね!!」

「帝の名において!その日までしっかりと見守らせていただこう!!」

「大丈夫!私等がちゃんとついてるから!!」

「律皇子の言う通りですよ!だから安心していて下さい!!」

「せ、僭越ながら!私も力になります!!」



159 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:09:36.35 ID:byEftcYL0


「儂等もですぞ!!なぁ、婆さんや」

「えぇ、梓の親ですからね」

「それでは……また次に会える日まで、暫しのお別れです!さようなら!!」

「「「「「さようならー!!!!!」」」」」


皆は使者の姿が段々と小さくなり、見えなくなるまで手を振り続けました


「さて……我等もそろそろ帰るとするか。律皇子、支度を頼む」

「ははっ!」

「……翁」

「なんでしょうか」

「合図が来たらすぐ私と皆に知らせてくれ……皆楽しみにしているのでな」

「畏まりました」

「頼んだぞ……。皆の者!準備は整ったか!」

「「「既に!!!」」」

「うむ、良い返事だ!……では、翁、嫗、いずれまた会おう!達者でな!!」

「「はい!!」」



160 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:10:36.90 ID:byEftcYL0






「その後、数ヶ月程経った満月の夜に再び和殿……じゃなくて、和姫がやってきた。

 あぁ、勿論『合図』もちゃんと送ってきたぞ。

 食べて咏って……色んな事をして、楽しかったんだよなぁ~。

 だって、気が付いたら帰る時刻ギリギリだったし。


 そういえば、この時はまだ『姫』を名乗れないって言ってたなぁ~。

 何で名乗れなかったんだっけ……?

 二人でお茶談議をしていたから、紬皇子なら知っているかな?」



「律皇子、和姫はちゃんと言ってたじゃないですか。

 『儀式が終わるまでは仮の身分だ』って。

 それにしても……毎回持参してくる月のお茶には驚かされますね。

 銀紫色のお茶など初めて見ましたよ……。

 まぁ、此処だけの話、味はいま一つだったんですけどね……フフッ。


 そういえば、澪御主人は姫が来る度に二人で何処かに行って、

 帰ってくると毎回『今回もダメだった……』って言っているけれど……。

 何が『ダメ』なんだろう?」



161 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:11:19.35 ID:byEftcYL0




「つ、紬皇子……その理由、言わねばなりませんか?

 ……ハァ、仕方がありませんね……わかりました。

 私が『ダメだった』と言っているのは、和姫との『手合わせ』です。

 私は最初の戦いで負けた後、『あれは月光の力があったからだ』と思っていました。

 ですが……それを使わずとも姫は強いです。

 後から聞いた話なんですが、
 
 どうやら月の姫になるためには『知』だけでなく『武』も必要なんだそうで……。

 いやはや、毎回のように自分と姫ではこれ程に『間』が違うのかと思い知らされていますよ。


 そういえば、梓殿も姫になる予定だったのだから、『武』に長けているんでしょうか……?

 今度帝に聞いてみようかな……」



「澪御主人、その事ならば以前メールで教えてもらったぞ。

 ただ……梓殿は戦いそのものが嫌いだと書いていたので、そちらの面では和姫に劣るのかもしれんな。

 だが、『お言葉ですが、帝よりは強いと自負しております』と書いてあったからな。

 少なくとも地上の者で勝てる者は一人も居ないのだろう。


 そういえば、嫗は宴の料理を総て一人で取り仕切っていたが……、

 あれ程の料理を作る者は宮中……いや、都広しと言えども彼女以外誰も居ないな……。

 今度、料理長として招き入れてみるかな……無理かもしれぬが……」



162 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:11:45.82 ID:byEftcYL0




「帝、折角のお誘いですが丁重にお断りさせていただきます。

 いくら私めが料理に長けていたとしても、それは内々での宴だからこそです。

 宮中で日々献立を考え、それを振る舞うのも不可能ではありませんが……、

 私には『翁』という伴侶がおります故……。

 
 そういえば、先程届いた『合図』を見て翁が小躍りしていますが……、

 一体何がそれ程に嬉しいのでしょうか……?」



「嫗!遂に、ついにこの日がやって来たぞ!!!

 和姫からの文に『月帝が折れた』と書いてあった!!

 これで……これで和姫が梓と再会出来るぞ!!

 早速皆に知らせなければ……。


 よし!先ずは梓と唯殿に連絡じゃ!!!」



163 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:12:21.50 ID:byEftcYL0




「あずにゃ~ん」

「なんですかー?」

「なんかメールが来てるよぉ~」

「誰からですかー?」

「ん~っと、翁さんからだよ~」

「父上からですか……なんだろ?」

「うん。なんか急ぎの内容らしいけど……開けても良い?」

「あ、まだ洗い物終わらないんで、見てて良いですよー」

「ほ~い。んじゃぁぽちっとなっと。えっと~、……えっ?」

「唯せんぱーい、何て書いてありましたかー?」

「……」

「唯せんぱーい!」

「……」

「あれ?……唯先輩?」

「……」



164 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:12:50.36 ID:byEftcYL0


「ゆーいせーんぱい?……なんだ、ちゃんと居るじゃないですか。もぉ……返事くらいしてくださいよ」

「……あ、あずにゃん……」

「一体どうしたんですか?こっちの呼び掛けにも答えないで」

「あ、ゴメン……聞こえてなかったよ。……あれ?あずにゃん洗い物は?」

「もぅとっくに終わりました。それで?父様からのメールには何て書いてあったんですか?」

「メール……?そうだ!あずにゃん!今すぐこれ読んで!!」

「もぉ……そんなに急かされなくても読みますってば。
 えーっと……えっ?……えぇぇぇーーーーっっっっ!!!!」

「あ、あずにゃん驚き過ぎ……」

「だ、だって!でも!えぇっ!?ほ、本当に?」

「本当だと思うよ……あずにゃん、良かったね~」

「……ヒック……よがっだ……でずぅ……ウグッ……」

「ずっと……グスッ……待ってたもんね……」

「……グズッ……」

「明後日……楽しみだね♪」

「……グスッ……はいっ♪!!」



和姫との再会を待ち侘びつつ、二人は空を見上げその時に思いを馳せます

燦々と輝く日輪は、そんな二人を優しく見守るのでした



165 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:13:27.06 ID:byEftcYL0






さて……この物語もそろそろ幕引きの時間となりました

この後、梓と和姫は無事再会し大団円となるのですが……

更にその後、皆がどのように過ごしたかを、蛇足ではありますが書き記しておきましょう


先ずは帝と両皇子ですが……

どうやら二人の再会を見て思うところがあったようです

今まで全く政に参加しなかった両皇子ですが、帝を助けるべくそれに精を出すようになりました


「ちょっと律皇子!あの書類はどうしたの?」

「え?……あ!み、帝、少々お待ち下さい!今すぐ書いてお渡しします!!」

「やっぱり……もぉ、貴方は次の帝になる第一候補なんだからしっかりとしてよね」

「まぁまぁまぁまぁまぁまぁ、律皇子もあれで頑張っているのですから……」

「それは……まぁ、認めるけど……」

「クスッ……帝も律皇子もお疲れの御様子ですよ、そろそろお茶にしませんか?」

「お茶!?よっしゃー!さわちゃん休憩しようぜい!!」

「……良いわよ。そのかわり……書 類 を 書 い た ら ね ♪」

「デ、デスヨネー……アハハ……」


未だ前途多難な様子ではありますがね



166 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:13:58.67 ID:byEftcYL0




次に澪御主人ですが……

どうやら和姫にどうしても勝ちたいらしく、剣術の腕をを磨くことに日々明け暮れているようです


「……あの構えからでは次の流れに対応出来ないな……
 ではこちらの構えで……いやいや、これは五回前に失敗した構えだな……」


どうやら今は構えの練習をしているようですね


「ならばこの構え……うむ、これなら……ってこれは二十三回前に失敗した構えじゃないか!
 じゃぁこれは?……って、これも五十七回前に……」


いやはや、迷走していますねぇ~

姫に勝てる日はいつになることやら……



そして翁と嫗ですが……

相も変わらず、悠々自適な生活を送っています


「さてと……今日も日課の散歩に行くとするかの」

「純ちゃん、お弁当忘れちゃダメだよ」

「おっと、危ない危ない……てかこれ多過ぎない?私一人じゃ食べ切れないよ?」

「だって……二人分作ったから……」

「……そか。じゃぁ……今日は嫗も一緒に行くか?」

「……はい♪」



167 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:14:24.15 ID:byEftcYL0



ただ、姫が二廻り毎の満月に来る事を確約してくれたので、その時だけは宴の準備で忙しい模様です


「あぁっ!大変!!」

「ど、どうしたの!?」

「純ちゃん!来週末だよ!!」

「来週末……?何かあったっけ?……あぁっ!そうだった!!」

「今から献立考えないと……純ちゃん、何が良いと思う?」

「うーん……この前が魚介中心で、その前が洋風だったっけか」

「うん。そして更にその前が中華風だったから……」

「今回は肉中心の和風で良いんじゃない?」

「それが一番無難なんだけど……」

「何か不満が?」

「……例えば、ロシア風とか……東南アジア風とか……アフリカ風とか……」

「……一応平安時代なんだから、それは自重したほうがいいんじゃないかなぁ……」


はてさて、次回の宴の献立は何になる事やら……



168 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:14:56.67 ID:byEftcYL0




最後に唯と梓ですが……

月帝の赦しを得た現在でも、聖域で仲睦まじく暮らしています

翁と嫗だけでなく他の皆も共に暮らす事を強く勧めたのですが、二人はそれを頑なに拒みました


「だってさぁ~、折角二人でラブラブなのにわざわざ『嫁の実家』に住むってのはどうかと思わない?」

「確かに、居心地の良い空間から敢えて悪い空間へ移動する利益はありませんね」

「だから、私達はこの地に二人で暮らす事を選んだのであります!フンスッ」

「……唯先輩、ところで私達は誰にむかって話しをしているんですか?」

「えっとねぇ~、……ギャラリーの皆さんに!です!!」

「ギャラリーって……誰も居ませんよ?」

「居るよぉ~。あずにゃんわからない?」

「はい」

「仕方ないなぁ~、じゃぁ特別に唯先輩が教えてあげましょう!」



169 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:15:39.00 ID:byEftcYL0


「……で、誰なんですか?」

「先ずは、空に輝く太陽さん!次に野原の草花さん達!
 おっと、そこを駆ける風さんも忘れちゃいけないよね!そしてそして……」

「……つまり、『自然』がギャラリーだと」

「いぇーす!あずにゃん大正解!!」

「……ハァ」

「まぁまぁ、そんな溜め息つかないで……。
 さて、正解したあずにゃんには唯先輩からのご褒美をプレゼントします!」

「ご褒美……?あ、なんか嫌な予感が……」

「あずにゃ~ん!むちゅちゅ~!!」

「ちょっ!そ、それはダメです~!!」

「えぇ~?なんでぇ~」

「だ、だって、約束したじゃないですか!」

「あ……そうだったね……ゴメン」


唯と梓が交わした約束

それは……

『帝と月帝の前で祝言を挙げる』

そのためには守らねばならない事がありました



170 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:16:26.00 ID:byEftcYL0



「『純潔』を守らなくちゃ……ダメなんですよ」

「……うん」

「だから、キスとか……エ、エッチな事とかはしちゃいけないんです」

「そうだったね……」

「で、でも、それ以外なら……大丈夫……です、よ……」

「それ以外か~、……では改めて、あずにゃんにはご褒美のむぎゅぎゅー」

「にゃぁ~♪」


……キス程度なら問題無いとは思いますがね



それでは、後日談もこのくらいにして

私は筆を置くとしましょう


唯と梓が無事祝言を挙げられるよう祈りながら……



おしまい♪



171 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:17:24.88 ID:byEftcYL0






……以上で、全ての撮影が終了しました!!!

「よっしゃ終わったー!!」

「流石に疲れたな……」

「早くメイク落としてお茶したいわぁ~」

「私も~。帝の衣装って動き辛いからクタクタよぉ~」

「でも先生、私の衣装よりは動きやすかったんじゃないんですか?」

「まぁね~」

「確かに……和先輩の衣装は宙吊り用のフックやら何やらがついてるから大変そうですよね」

「一応動きやすい位置に付けてあるんだけどね、それでも気をつけないといけないから……」

「朝に体験させてもらった時、こんなの付けて動けるのかぁっ!?って思いましたもん」

「でも、楽しかったね~」

「ね~」

「あ、そうだ!ナレーターさん、まだ外と話せます?」

大丈夫ですよ、律さん。……『例の件』ですね?

「そうそう。では……おーい!ゆーいー!!」



172 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:17:58.23 ID:byEftcYL0


『りっちゃんな~に~?』

「撮影終了したなっ!」

『そだねっ!』

「撮影終了したんだぞ~」

『だからわかってるって~』

「……ホントにその意味がわかってるのか?」

『……どゆこと?』

『あ!唯先輩!ほら……例の……』

『例の?……あぁっ!!!』

「どうやら思い出したみたいだな……」

『うん……。ねぇ、りっちゃん……やっぱ……飲まなきゃ……ダメ?』

「そんなの当たり前じゃないか」

『で、ですよねー。あはは……』

「……とまぁ、冗談はそれくらいにしておいてっと」

『……へっ!?』

「ま、今回は特別に許してやろう」



173 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:18:34.03 ID:byEftcYL0


『りっちゃん……良いの?』

「本音を言わせてもらえれば、唯にも飲ませたい。でもさぁ……唯はこのあと何をする予定だ?」

『えっと……このまま外で……ゆっくりまったりゴロゴロしようと思ってるんだけど……』

「それって、『梓と一緒に』だろ?」

『……うん』

「だったら尚更だ。なぁ唯、折角梓と二人きりでのんびりと出来るんだぞ?」

『そう……だね』

「唯は、頭の片隅で『嫌な事が待ってる』なんて考えながら……楽しく居られるか?」

『多分、無理』

「だろ~?だからさ、今回は特別って事だ」

『そっか。……りっちゃん、ありがとね』

「……そ、そのかわり、ちゃんと後で何をしてたか言うこと!これが許す条件だ!!」

「うふふ、りっちゃんたら……」

「律、見えないからって照れながら言うのはどうかと思うぞ」

「ふ、二人共!ばらすなよぉ!!」



174 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:19:09.48 ID:byEftcYL0



「……フゥ、青春ねぇ~」

そうですね~。……ところで皆さんそろそろホテルに戻りませんか?

「さんせーい!早く戻ってシャワー浴びたーい!」

「もぉ、純ちゃんったら……」

「俺もゲームの続きやりたいな~」

「おい、聡は充分過ぎる程にやってただろ!だから今日はもうゲーム禁止な!」

「えぇ~?なんでだよぉ」

「ゲームは一日二時間まで!」

「はーい……」

ハハハ、仲が良いですね~。

では……。


皆さん!二日間お疲れ様でした!!

「「「「「「「「「「『『お疲れ様でした!!!!!!!!!!!!』』」」」」」」」」」」



「唯、晩御飯までには戻るのよ」

『わかったよ~』

「梓ちゃん、唯がはしゃぎすぎて時間とかを忘れないようにちゃんと見ていてね」

『はい、わかりました』

『うぅ……和ちゃん酷いよ……』



175 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:19:43.24 ID:byEftcYL0






『フフッ、まぁ良いじゃないの。幸せ一杯の親友に対する祝辞みたいな物よ』

「ぶぅ……祝辞っぽくなぁ~い」

『……さっきの言葉、よく考えてみればわかるとおもうけどね』

「さっきの……?」

「それって、私に言った言葉ですか?」

『そうよ。……時間はたっぷりとあるんだから、二人で考えてみなさい♪じゃぁ、後でね』

「わかった~、じゃぁね~」

「お疲れ様でした!」


えっと、このスイッチを……ポチッと


「消えたかな?あーあー、聞こえますかー?……よし、オッケー」

「唯先輩、お疲れ様でした♪」

「あずにゃんも、お疲れ様でした~♪」


フゥ……やっと全部終わったよ~



176 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:20:19.03 ID:byEftcYL0



「……いい天気で良かったですね」

「そだね~。……ちょっとあっちまで歩こうか、高くなってて見晴らし良さそうだし」

「良いですよ、今日は軽装ですし」

「昨日のあずにゃんだと辛いよね~、結構衣装重かったし」

「終わったあと、楽屋までまともに歩くことが出来ない状態になりましたからねぇ」

「重い衣装で座りっぱなしだったからね~」

「唯先輩が一緒に居てくれたお陰で助かりましたよ……」


そんな事を話しながら歩いていると、いつの間にか目的の場所に到着していた。


「わぁー!いい眺めー!!」

「戦国の合戦シーンを撮ったこともあるって言っていただけありますね~」

「ね~」


辺り一面に広がる草原。

吹き抜ける風が気持ち良いな~

……あ、そうだ



177 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:20:57.24 ID:byEftcYL0



「えいっ♪」

「……唯先輩、そんな所に寝転がると服が汚れますよ」

「草がいっぱいだから大丈夫だよ~」

「もぉ、しょうがないですねぇ……よいしょっと」

「えぇ~?あずにゃんは座るだけぇ~?」

「当たり前じゃないですか……と言いたいところですが……えいっ♪」

「えへへ~」

「……唯先輩が気持ちよさそうにしていたから……特別、です」

「そっか」


私達はそのままボーっと流れる雲を見続けていた。

時折草花の間を駆け抜ける風の音だけが聞こえる。


「ねぇ、あずにゃん」

「……何ですか?」

「さっき和ちゃんが言ってた事って……」

「『祝辞』の事ですか?」

「うん。あれってさぁ……どこが『祝辞』なのかなぁ?」

「私が唯先輩の事をちゃんと見て、時間までに帰ってきなさい……って事ですよね」

「多分……」



178 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:22:59.90 ID:byEftcYL0



うーん……わっかんないなぁ~

あずにゃんが私の事をちゃんと見て……


ん?


それってもしかして……


「あずにゃん……和ちゃんはあずにゃんに『ちゃんと私の事を見て……』って言ったよね」

「はい、そう言っていましたね」

「……和ちゃんと一緒にどこか行ったりしたときはね、
 和ちゃんが色々と私の世話をしてくれてたんだよね」

「はぁ」

「ちゃんと起きたか確認するついでに迎えに来るとか、電車の中で寝過ごさないように気を付けるとか」

「あ……」

「口の周りが汚れてたらそれを拭き取ったりとか、迷子にならないよう手を繋いで歩いたりとか……」

「……あの、それって……」

「そう、あずにゃんが私にやってくれてる事と一緒……
 だから、さっき和ちゃんが言った『ちゃんと見ていてね』ってのは……」

「唯先輩の事は全て任せた……という意味……ですか」

「うん、そうだと思うんだ。だからさ……」



179 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:23:33.04 ID:byEftcYL0



そこまで話した私は「よっ」と声を出しながら身体を起こした。

隣には寝転んだあずにゃんも不思議そうな顔をしながらつられて起き上がる。

それを見た私は少し微笑みながら話を続けた。


「だから、これからも宜しくね。あずにゃん」

「あ、あのっ、こちらこそ、宜しくお願いしますっ」

「色々とお世話かけちゃうよ~♪」

「……どんとこいです。どんな事でもお世話しますよ」

「ホントにどんな事でもお世話してくれるの?」

「あ……その、ムリの無い範囲で、ですけど」

「えへへ……でも、あずにゃんのお世話もさせてね」

「当然です。恋人同士なんですから」

「そっかぁ~」

「そうですよ」

「……この先、ずっと、お世話されて、お世話して……」

「……この先、ずっと……」

「……おばあちゃんになっても……ずっと……ね」

「……はい……」



180 名前: ◆GLPLA.M.6I:2011/08/15(月) 23:24:46.73 ID:byEftcYL0





辺り一面に広がる草原……

風の声以外

何も聞こえない


「あずにゃん……大好き……愛してるよ……」


天には光り輝く太陽……

降りそそぐ日差し以外

見ている者は誰も居ない


「唯先輩……大好き……愛して……ます……」


二人きりの世界で……


「あずにゃん……」


私達は……


「唯先輩……」


初めての……






おしまい!!



182 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(滋賀県):2011/08/16(火) 19:36:29.14 ID:jj0zBBTwo


このふたりが何時までも幸せだと良いな





関連記事

ランダム記事(試用版)




唯「なよたけの・・・」#後編
[ 2012/04/27 22:28 ] ファンタジー | | CM(0)

コメント(アンカー機能)
●>>1と半角で書き込むと>>1と記事へのアンカーが生成される。
●*1と半角で書き込むと1とコメントへのアンカーが生成される。
上記の2つのアンカーが有効なのは該当記事のみ。

コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する

サイト関連
メール ツイッター 最新記事一覧(30件)
ユーザータグ 検索

U:
P:
色々変更
好みのカラーコードをどうぞ

記事の背景色変更


本体の背景色変更


名前の色変更
IE8:重
火狐4.01:軽
chrome:軽


広告4
広告5
広告6








上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。