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唯「嘘」#1 【シリアス】



1名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:02:18.19ID:FjSXEy20

百合スレ発企画SSセカンド





2名前:◆/Rw26BTumM:2010/11/21(日)00:03:41.27ID:FjSXEy20

一番手いっきまーす
澪ムギでありんす






3名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:04:45.33ID:FjSXEy20


 私は異常なんだと思う。

 だってほら、校医さんも私を奇異の目で見ている。

 「今日も体調が悪い、と」

澪「……はい」

 これで4日続けて保健室に通っている。

 授業にも若干の支障が出ているし、

 本当に体調が悪いなら、病院に行くことを考える状況だ。

 でも私の悪いところは体の調子ではない。

 誘惑に負けて、本当に体が悪くなったような気にさせる、私の嘘つきな心だ。

 「秋山さん……」

 校医の先生は、既に覚えてしまっている私の名前を溜め息まじりに吐いた。

 「ハマッちゃうのは分かるけど、程々にしたほうが良いわよ? 大事な場所なんだから」

澪「は……は!?」

 一瞬にして顔に血がのぼって、かあっと熱くなる。

 「思春期にはよくあることだけどねぇ。私もそんな時期が」



4名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:05:21.15ID:FjSXEy20


 がしゃりとシャッターをおろして、先生の言葉を防ぐ。

 相談した訳じゃないのに、軽々しく踏み込んでくるのは止してほしかった。

 私のサボタージュを咎めているのかもしれない。

 だけど、ここだけは触れないでほしい。

 「無理に我慢しろー、とは言えないけど、今晩は少し頑張ってみない?」

澪「はあ」

 話の終わる気配に私は耳を開き、そして曖昧に頷いた。

 「うん、うん」

 校医さんは満足そうにこくこく首を振る。

 「それじゃ秋山さん、私4時間目くらいまで用事あって居れないから」

 「ここ、お願いね」

 ウインク。ターン。オープンザドア。退出。クローズワン。

澪「……」

 このままでは私も、あんな風になるのではと危惧した。

 私も存分におかしいが、先生も相当のものだ。



5名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:06:00.12ID:FjSXEy20


 未来――いや、今はそんな暗いことを思うのはやめよう。

 本当に、確かに少しだけ、眠気はあるのだから。

 私は上靴を脱いで、一番奥のベッドに座った。

 スカートを何度も直しつつ、布団に潜る。

澪「……あと20分か」

 携帯をそっと出し、時刻を確認する。

 あの心配性のお嬢様が、あと20分したらやって来る。

 とくとくと胸が高鳴るのを感じる。

 やっぱり私はおかしい。

 嘘で固めて築いた、私たちが見詰め合うステージは

 まさしく軋むベッドのように不安定だ。

 でも、そんなステージでさえ、私は立ちたいと思う。

 ……ムギの出てくるストーリーなら。



6名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:06:30.47ID:FjSXEy20


 しばらく目を閉じていたら、チャイムが響いた。

 2限の終わりだ。

澪「……」

 脈動の速さは、最高潮に達していた。

 保健室に足音が近づくたび、呼吸が止まる。

 がちゃりとドアが開くと、太腿の筋肉がぴんと張った。

紬「澪ちゃーん?」

澪「ムギ……」

 わざと小さな声でムギを呼ぶ。

 ライアー・インザライは嘘に余念がない。

 しゃっとカーテンを開けて、ムギが現れる。

 そして一歩進んで、私たちだけの狭い空間をつくった。

紬「……体の調子はどう?」



7名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:08:09.68ID:FjSXEy20


 ムギは、優しい。

 私の嘘に気付く様子もなく、ただ私の体調を案じてくれる。

 それが仕事である保健室の先生にすら、疑いのまじる視線を向けられる私なのに。

澪「ん……少し、胸が苦しいかもしれない」

 嘘ばかりつくのが申し訳なくて、一匙だけ真実を加えてみる。

紬「苦しいって……大丈夫なの?」

 嘘をつかなかったご褒美かは分からないけれど、瞳に焦燥をにじませ、ムギが私の顔を覗きこむ。

澪「い、いや、言う程でもないよ。そんな感じがするくらいだ」

 慌てて体を起こす。耳から煙が出そうだった。

 そのとき。

紬「こら澪ちゃん、寝てないとだめ!」

 ムギが私の両肩に手を置いた。

 ふわりと柔らかな力がかかって、私はベッドに沈められていく。

 その一瞬が、耐えようもなく甘かった。



8名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:09:33.14ID:FjSXEy20


 きしん、きしん。

 私の頭の裏で、何かが数度軋みを上げた後、無音にて断たれた。

澪「ムギ……」

 天井の前で、ムギは慌てふためいた顔をしていた。

紬「ねぇ、本当に大丈夫? 顔が真っ赤よ?」

 何を言っているかは分からなかった。耳がきいんとして、聞こえない。

 でも、私に語りかけていることは間違いない。

 そして、それだけでムギのことを愛しく想うには十分だった。

紬「?」

 手をのばして、ムギの後ろ頭に左手を置く。

 指にふわふわの癖っ毛が絡んだ。

 少し力を入れる。抵抗感はなく、ムギの顔が私の口元におりてくる。

紬「……」



9名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:10:18.71ID:FjSXEy20


 ムギは目を開いたまま。

 私も、どうしてかタイミングを失ったか、目を開けたまま。

 わたし達の唇は、奇跡的にぴったり重なっていた。

 「ちゅ」と間抜けな音は、カーテンの中いっぱいに響いた気がした。

 ムギが唇を離したのだった。

紬「み、澪ちゃん?」

 その声は、ただ純粋な疑問のみを含んでいた。

 驚きも、興奮はおろか、嫌悪すらない。

 私は、こんなにもぐちゃぐちゃと感情がないまぜになっているのに。

澪「ムギ。……な?」

 明確なのは、私がムギを愛しているという事だけ。

 ムギの脇の下に腕を差し、ぎゅっと抱き上げる。

紬「ひゃあ!」

 やっぱり抵抗しない。ムギには抵抗できないのかもしれない。



10名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:10:56.67ID:FjSXEy20


 されるがままに、ムギが私の上にのしかかる。

澪「うむ……」

紬「あの、澪ちゃん……?」

 足の爪先を動かし、少しずつ私たちを阻む布団をどかしていく。

 返事をせずに、私はムギをぎゅっと抱きしめる。

紬「……」

 ムギの身体はこんなにも温かいのに、彼女はぶるっと小さく震えた。

澪「なぁ、ムギ。ムギは私のことどう思う?」

紬「澪ちゃん……いったい何の話?」

澪「おかしいと思うだろ。こんな私……」

 私はなにが言いたいんだろう。

 こんな話をムギにして、どうしようっていうんだろうか。

紬「私は……澪ちゃんがおかしいとは思わないけれど」

 ムギは私の顔から視線をそらすように俯いた。

紬「嘘をつくのは、いけないと思うわ」



11名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:11:40.26ID:FjSXEy20


 私は息をのんだ。

澪「知ってたのか!?」

紬「だって、澪ちゃん……元気いっぱいじゃない」

 目の前のムギの顔が、にわかに歪んだように思えた。

 その笑みはどこか淫靡な、私の見たことのないムギだった。

 そういえば、私はムギのことをほとんど知らない。

澪「……元気いっぱいということもないと思うけど」

 私はぼそりと言う。

 体がほてり過ぎて、小さな声しか出せなかった。

紬「そうね。澪ちゃんはきちんと悪いことをしてるって自覚があるからね」

 ムギの指先が私の顎に触れる。

 背筋に、ぞくりと言い知れぬ感覚が走った。

澪「む、むぎぃ……」

 愛されているというより、母親にあやされているような感じだ。

 ……悪くない。



12名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:12:06.54ID:FjSXEy20


紬「澪ちゃん、可愛いわ……」

 不意に、ムギが目を閉じる。

 つられるように、私も瞼をおろし、ムギに身を任せた。

 唇が触れ合う。

澪「ん……」

紬「ふふ。……ちゅ」

 私のくちびるが、ほのかに潤んだムギの唇に食まれる。

 頭がぼうっとして、何も考えられなくなる。

 私の背中に、ムギの腕が回される。

 わたし達はさらに密着する。

 制服越しに、ムギの胸の柔らかさが感じられる。

澪「っ……」

 状況の整理もままならない。

 けれど、とにかく我慢できない。

 私はそっと、左手を浮かす。



13名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:12:40.20ID:FjSXEy20


 ムギの腰より、すこし下。

 そこへ手をおろし……

紬「こらっ」

澪「たっ」

 目にも止まらぬ速さで、ムギの右手が私の手をはたいた。

紬「みーおーちゃん?」

澪「……」

 そうだ。

 そのまえに、本当のことを言わないといけない。

 けれど。

澪「……」

 もう、手も口も動かなかった。

 その理由ははっきりしない。

 うそばかり言っているから、真実を口にできなくなったのかもしれない。



14名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:13:31.31ID:FjSXEy20


紬「……そう」

 ムギが残念そうに言って、身体を起こした。

 ベッドをおりて、ムギは私に背を向ける。

紬「それじゃあ私、そろそろ教室に戻らないと」

澪「あ、ああ……」

 顔は見えないけれど、ムギの笑った気配があった。

紬「澪ちゃん。しっかり休んで、元気になってね?」

 それだけ言って、すたすたとムギは去っていく。

 なにを咎めることもなく、ほんとうに見舞いに来ただけのようだった。

澪「……」

 先生、ごめんなさい。

 私は今も、今晩も、頑張れそうにありません。

 そして、明日もまた、嘘を吐きに参ります。


  終



15名前:以下、三日目金曜東Rブロック59Aがお送りします:2010/11/21(日)00:15:52.10ID:FjSXEy20

(;^ω^)……!?

おわりです
澪「ライムギ畑で嘘ついて」というフレーズが頭の中にがっちり固定されてしまって
もうこれしか書けそうにありませんでした
話の落とし所もわかりませんでした



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唯「嘘」#1
[ 2010/11/21 17:20 ] シリアス | 澪紬 | CM(0)

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