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紬「唯ちゃんを縛って憂ちゃんの目の前で拷問して殺すのが夢だったの#4 【ホラー】





管理人:残酷な描写を多々含みます。閲覧には十分ご注意下さい。




紬「唯ちゃんを縛って目の前で憂ちゃんを拷問して殺すのが夢だったの#1
紬「唯ちゃんを縛って目の前で憂ちゃんを拷問して殺すのが夢だったの#2
紬「唯ちゃんを縛って目の前で憂ちゃんを拷問して殺すのが夢だったの#3



696 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 21:52:22.91 ID:Fy3k1C/iO

憂「ど、ういうこと…………?」

自分の声が自分のものに思えなかった。呆然とした声が憂の唇から漏れ出た。
その唇は血の気を失い、頬は固く青ざめていた。

憂「約束は……?」

紬『守ったわ。私は文字通り、なにもしていない』

憂「うそだっっ!」

憂は叫んでいた。これまでかろうじて保っていた冷静さが失われたかのように憂は声を張り上げる。

憂「約束は……約束は!?」

紬『そこまで言うなら見てみなさい。これを』

テレビの画面が切り替わる。


憂「――――!」


憂の目に飛び込んできたのは緑一色の画面だった。



701 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 22:00:47.51 ID:Fy3k1C/iO

憂は思わず目を細める。


唯がどこにも見当たらないのだ。


あるのは緑一色だけだ。

紬『これは一日目の映像だよ』

憂「お姉ちゃんは……お姉ちゃんはどこ?」

紬『よく目をこらしてみて。いるでしょ? 緑色に染まった唯ちゃんが』

紬に言われてようやく憂は唯の存在を見つけた。

気づくのに時間がかかるわけだ。


なにせ唯自身までも全身隈なく緑色に染められているのだから。


おそらく唯は裸にさせられ、なんらかの方法で緑色に染められたのだ。
この部屋で緑色じゃないのは唯の眼球ぐらいだろう。

紬『唯ちゃんが狂ってく姿を楽しんでね』



710 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 22:09:37.46 ID:Fy3k1C/iO

紬『まあ、一日目から四日目までは特になにも起きてないから飛ばすわね』

五日目の映像になる。

憂「…………」

紬『ちなみに朝になったばかり。ここからが楽しいからね』

紬は楽しそうに言う。

唯はやはり緑色の状態で床に寝転がっている。

憂「……?」

なにかが奇妙だ。というより、奇妙になった。

唯の様子がおかしい。



713 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 22:22:31.15 ID:Fy3k1C/iO

床に転がっていた唯はおもむろに立ち上がると部屋の中をうろうろし始める。

うろうろと。うろうろと。

なにかを探しているように見えたが、この部屋には真の意味でものがない。
窓もなければ調度品もなにもない。あるのは緑色の景色だけなのだ。
憂が固唾を呑んで見守る中、唯は不意に立ち止まる。

その顔は呆然としていた。

ケモノが漏らすような荒い吐息が聞こえたと思った。

 『ふぅー、ふぅっー、ふぅ、ふうぅー、ふぅ』

気のせいかと思ったが、その吐息はどんどん大きくなっている。
唯が再び歩き始める。あちこちに視線をさ迷わせるが、やはりなにもないのだ。

 『うううぅ、ふぅ、ふー、ふうぅ、ふううぅ……』

すでに唯は吐息を漏らしている主が唯であることに。

唯は指に歯をたてて、延々と部屋の中をさまよう。



715 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 22:30:58.26 ID:Fy3k1C/iO

憂「お姉ちゃん?」

憂は無意識のうちに姉の名前を呼んでいた。もちろん、映像の唯が反応するわけがなかった。

唯は親指の爪をキリキリと音がしそうなくらいに歯をたてた。部屋をひたすら行ったり来たりしながら。

だが、唯はまた突然立ち止まる。やはり唯の顔は呆然としている。
だが、今度ははっきりと唯の様子がおかしいとわかった。
唯はわなわなと唇を震わせ、やがては身体を震わせ、頭を掻きむしり始める。

唯『あ、あ、あ、ぁぁぁぁぁ……みどりぃ』

唯がさらに頭を掻きむしる。緑色に染まった髪の毛が何本か散り落ちた。

唯『みどりぃ……? みどりしかない……みどりぃ、みどりぃだよ……』

唯の目にはすでに正気の色はない。

唯『みどりぃいゃあああぁあぁああああああぁあぁあぁああああああぁあああ』

不意に唯が絶叫の直後に自分の手のこうに噛み付いた。



720 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 22:39:35.72 ID:Fy3k1C/iO

唯『はふ、はふううぅ、はっふううぅ……はふ、はふううぅ……!』

唯はまるで極上のステーキを目にしたように、自らの手のこうに噛み付く。
ぎりぎりと歯が音をたてて軋む。歯が徐々に唯の手のこうの薄い肉に食い込んでいく。
首を何度も振り、肉を食いちぎろうとしているのだ。

憂「な、なんで……」

紬『理屈はよくわからないの。ただ緑一色の部屋にいると人間気がおかしくなるのよ。
  そして緑の補色である赤い色を本能的に求めて自らの肉体を傷つけるそうよ』

唯『ぎぎぎぎぎギぎぎぎぎぎぎぎギぎぎぎぎぎ……』

唯は鼻をぴくぴくと動かし、より荒い息を吐き出し続ける。
やがて、手のこうの肉の限界が来たのか、血が滴り始める。

唯の唇をつたい、赤色が床を汚す。


唯『ひ、ひひひ、……ひひひひ、あ、か……あかだよぉ???』

唯の唇がニタアと歪み、血を滴らせた。



729 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 22:53:08.81 ID:Fy3k1C/iO

唯は血走った瞳で緑の部屋を見渡す。緑が目に飛び込んでくると、再び唯は頭を掻きむしった。

唯『あかあぁ……あかあぁ、あかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあかあ……あかああああ』

長く伸びた爪を唯はほとんど剥がすように、噛み付く。
無理やり剥がすかのように、あるいは食いちぎるかのうに、爪に歯を立てる。
爪は数秒で剥がれてしまい、そこからさらに真っ赤な鮮血が流れる。

唯『あ゛があ゛あかあああああ゛ぁああああああ』

唯が床に転がり、絶叫する。
当たり前だった。爪を剥がされれば一枚で大人でさえ音をあげるのだ。
一介の女子高生でしかない唯には、爪が剥がれる激痛になど耐えられるわけがなかった。

唯『もっとおおおあかあああああかあああああかあああああかあああああかあああああかあああああかああああ』

唯は爪を左腕に突き立て、容赦なく引っかく。痛みがないわけではないが、赤を見れないのは耐えれない。

唯はさらに、身体のあちこちに爪を走らせ、次々と肌を傷つけていく。



734 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 23:00:57.76 ID:Fy3k1C/iO

身体に浅い傷が走り、その上からさらに唯は爪で肌を傷つける。
引っ掛かれた肌がぷくっと膨らみ、鮮血がはじける。

唯『はあはあはあ……もっとまっかあがみたいぃ……みたいのおおおぉ』

唯は身体を起こすと、床にむけて一気に走り出す。
どん、と鈍い音がして唯の額が壁に衝突する。唯はそのまま頭を額にぶつけ続ける。

唯『はあっ! はあはあ! はあっ!……ふうぅ、ひひひひひ……ひひひ、ひふっ……』

鈍い音が何度も部屋に響く。唯の額からもやはり血がこぼれ落ちる。
さらに唯は顔に爪を突き立てる。唯の中指は瞼に置かれていた。

唯『ひひひひひっ、あかだよおおぉ……あかあああああかあああああかああああっ……!』

瞼を鋭く爪で引っかく。たちまち血が噴出し、唯の顔を染めあげる。

憂「やめて……」

憂は目を覆った。これ以上見ていることなど不可能だった。



737 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 23:11:51.67 ID:Fy3k1C/iO

唯『おらあああかだあ!』

唯が壁に向かって思いっきり蹴りをぶつける。少女の足は簡単に壁相手に根負けした。
ミシィっ、という音が室内に響く。骨が折れる音だ。唯はさらにそれを繰り返した。

唯『あはあはあ……いだいいけど、あしいぃ、あか、あかだよおおぉ』

唯の足はあらぬ方向へ曲がるだけでなく、いつのまにか肉が裂け、血を流して骨が見えていた。

唯『あは、は、はあは、……うぃ、あかーいよぉ……あかだよおぉ……』

唯の目には涙が受かんでいるのに、唯はひたすら自分を痛め続けた。

憂「もうやめてっ!」

紬『唯ちゃんが狂うのを見るのがそんなにいや?』

紬は心底楽しげに憂に尋ねた。



741 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 23:20:48.60 ID:Fy3k1C/iO

憂『お願いです、もうやめて……お姉ちゃんを助けて』

やはりこの妹は、姉を拷問にかけたほうが反応が面白い。
場合によっては律以上の勇士が見れるかもしれない。

紬「唯ちゃんを助けてほしい?」

憂『お願いです。お姉ちゃんを……お姉ちゃんだけは……』

憂はベッドに座りこんで、涙を流した。
紬はまずは憂をここまで追い詰められたことに、満足げに口許を歪める。

紬「わかった。助けてあげる。ただし……憂ちゃんが拷問を受けるならね」

憂『わかりました。わかりましたから、お姉ちゃんにはもうなにもしないで……』

憂の涙混じりの震えた声が耳に心地好くてしかたがなかった。



749 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 23:28:18.77 ID:Fy3k1C/iO

紬「わかった。憂ちゃんの優しさに免じて、唯ちゃんを助けてあげる」

憂『あ、ありがとうございます』

憂は頭を下げた。紬は思わず吹き出しそうになった。
これから拷問をされるのに、ありがとうございます、とは傑作だった。

紬「唯ちゃんもさぞかし喜ぶわ。斎藤、今すぐ唯ちゃんを別の部屋へ移動させて。憂ちゃんもね」

斎藤「わかりました」

紬「ふふふ、楽しみね」

紬は自分の血が騒ぐのを感じた。



752 名前: ◆OD6Ec0CF7M :2010/11/24(水) 23:39:02.55 ID:Fy3k1C/iO

紬が足を踏み入れた部屋は、血の香が充満していて、常人であればまず鼻を押さえずにはいられない状態だった。
紬がいくつもの拷問をここで重ねてきた結果が、この部屋だった。

紬「それじゃあそろそろ始めようかしら?」

部屋の中央には平沢唯と平沢憂がいた。唯には一応鎮静剤が打ってある。
憂は男たちに裸の状態で拘束されていた。

紬「憂ちゃんを縛りつけて」

紬の指示に従い、憂が十字架を模した作りの張り付け板に拘束される。

憂「…………っ!」

憂が腕を縛られた痛みに顔をしかめる。

紬「じゃあ、まずはウォーミングアップで、ムチと行きましょうか?」

紬は手に握ったムチを床に叩きつける。憂が、身体をびくりと震わせる。



755 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/24(水) 23:47:06.68 ID:Fy3k1C/iO

今までの拷問と比べるとムチというそれは、いささか以上に劣るように思える。
確かに、よっぽどのことをしないかぎりは命に別状が出ることもない。
だが、それは拷問として大したことがないという意味ではない。

紬は、不意にムチを憂の腹にぶつける。

憂「――――っうぅ!」

憂は突然の激痛に身体をよじらせる。声にならない声が憂の口から吐き出された。
ムチがあたった場所は赤い大きなみみずばれになっていた。

紬「ふふ、意外とムチって痛いでしょ――っ!」

紬が再びムチを憂に見舞う。今度は足首に目掛けて。

憂「ぁぁあぁああ!」

紬はさらに続けてムチを憂の身体にたたき付ける。



763 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/24(水) 23:54:26.09 ID:Fy3k1C/iO

わずか10分の間に憂の白い裸体には赤いミミズバレが無数に走っていた。

憂「はあはあ――」

紬「なかなか我慢強いのね――ふっ!」

再びムチがしなり、悲鳴をあげる。憂が喉をのけ反らせて、悲鳴が室内に反響する。

紬「ふふ、すごく絵になるわね。憂ちゃん」

紬は憂にゆっくりと歩みよると、傷の走った憂の乳房に舌を這わせる。

憂「……っ!」

鋭い痛みが走り、憂は顔をしかめる。紬はさらに憂の乳首を舌で絡めとり、吸い上げる。
しかし、左手は憂の傷口をえぐるように爪をたてる。

憂「ぁあっ……!」

紬「憂ちゃんは本当にかわいいわね」



770 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:02:14.93 ID:OODhPEWeO

紬「憂ちゃんの頑張り次第では唯ちゃんは助かるのよ。頑張って」

紬が憂の剥き出しの耳に舌を這わせる。
たっぷりと唾液を含んだ舌で、紬は憂の耳の穴をおいしそうに嘗めた。
憂が身体をぶるっと震わせ、荒い息を吐く。

憂「はあはあ……くっ」

紬「ふふ、りっちゃんたちはもっとヒドイ目にあってるんだから頑張って」

あれほど威勢のよかった憂は、消えかかっていた。ムチを床にたたき付けると、

憂「……ひっ!」

憂が身体をびくりとはねさせる。もはや憂の心は掌握したも同然だった。

紬「怖い? ねえ、私が怖いの?」

憂は質問には答えなかった。代わりに。

憂「どうして紬さんは私たちをこんなふうにするんですか?」

質問をし返してきた。視界の隅で斎藤がぴくりと反応した気がした。



776 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:10:18.92 ID:OODhPEWeO

紬「…………」

この期に及んでまだ質問をし返す憂に図らずも紬は感心していた。
やはりこの少女は極上だ。だからこそ、徹底的にいじめてやりたい。
紬は渇いた唇を濡れた舌で、ペロリとなめる。

紬「憂ちゃんの、唯ちゃんへの思いの強さに免じて質問に答えてあげる」

紬は言った。斎藤が驚いた顔をした。


―――――――――――――――――――――――――

紬が拷問に惹かれてしまった理由は簡単なことだった。
彼女は彼女の環境のせいで誰もが抱える問題を、病に変えてしまった。

誰もが抱える問題。それは自身のアイデンティティーについてだった。



780 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:19:06.07 ID:OODhPEWeO

紬は精神的に不安定だった。自分というものが自分で理解できなかったのだ。

エリクソンによればアイデンティティーの安定には、他者との関係が欠かせないという。
そして、同時に自分の役割を認識すること。

これらが欠けていた、あるいは現在進行形で欠けているが故に紬は、精神的安定すら欠いてしまった。

家族との関係は希薄そのもの。周りの人間は紬を褒めるだけで正当な評価を下さない。
紬は無意識のうちに自分のアイデンティティーが崩壊していることに気づいていた。

だからこそ紬はこれを好奇心で埋めた。できるかぎり知れることは知ろうとした。
結果、彼女はとある科学者と出会い人体の神秘を知った。


そして彼女の好奇心は彼女と拷問を結びつけた。



786 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:28:58.06 ID:OODhPEWeO

紬はあっという間に拷問に取り付かれた。魅了されたと言っていい。

拷問をする少女。

それは、どこにも存在しない、誰も持っていない自分だけのアイデンティティーなように思えた。
実際それはかなり異常だったと言える。

紬自身、自分の異常性は理解していた。だが、異常性への自覚は逆に彼女のアイデンティティーを強化した。


しかし、彼女がずっと拷問に取り付かれていたのかと言えばそうでもない。
高校の軽音部としての生活は彼女の不安を徐々にではあるが、取り除いていった。
だから一時的に彼女は拷問から離れることができた。だが、時間が経つとまた不安が蘇った。

――私は軽音部に本当に必要なのか?

ただ良い金づるとして利用されているのではないか、そんな不安が紬の胸に広がり始めた。

そして、唯が言ったある言葉が再び紬を拷問へと誘った。


唯『澪ちゃんは優しいし、りっちゃんは面白いし、ムギちゃんのお茶は美味しいし――』



799 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:37:27.05 ID:OODhPEWeO

憂「それが理由なんですか?」

憂の声は予想よりもだいぶ落ち着いていた。むしろ納得が言った、という顔さえした。

紬「そんな理由で、って思ったでしょ?」

実際自分でも異常な動機だと思う。誰かに理解してもらおうなんて思わない。
どうせ憂にも理解できるわけがない。

だが、事実なのだ。唯が自分の不安を駆り立て、再び拷問の欲求を復活させてしまったのは。

紬「私を不安にさせる唯ちゃんが憎いの。私を不安にさせる軽音部がいやなの」

憂「……だから、皆さんを拷問にかけたんですか?」

紬「ええ。変でしょ?」

紬は憂に尋ねた。どう回答するか非常に興味があった。

命大事さに否定するのか、あるいはヤケクソになって異常だと自分を罵るのか。


憂「……自業自得でしょ?」


憂の冷えきった声が、紬の耳朶を凍りつかせた。



809 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:45:47.94 ID:OODhPEWeO

紬「な、んですって……?」

憂「だから自業自得だって言ったんです」

憂の瞳は侮蔑するように細められる。
紬のほうが圧倒的に優位な立場にいるのに、知らず知らずのうちにムチを握る手には、汗が滲み出ている。

紬「自業自得?」

憂「そう、自業自得です」

紬「なにが自業自得って言うの?」

怒りのあまり声が上擦っている。視界が真っ赤に染まったような気さえした。
このままムチで打ちまくって、この少女を殺してしまいたかった。

憂「思い出してみれば簡単だと思いますが……紬さん、私たちをここに連れて来るとき、どうやって誘いましたか?」

紬「え……?」

自分はあのときどう誘ったのか。

たしかお菓子をあげると言って……

紬「……!」

紬の顔がまたもや凍りつく。



821 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:53:08.24 ID:OODhPEWeO

憂「そう。紬さん、あの瞬間でさえもお姉ちゃんをお菓子で誘った。どうしてですか?」

それが一番唯を連れると思ったから。紬は自然にそう言って唯を誘った。
だが、それは本当にそれだけが理由だったのだろうか。

お菓子という釣り餌がないと唯が自分の誘いを断るのではないか、そんな不安が胸のどこかにあったのではないか。

紬は背筋に冷水を流されたような気分だった。吐き気すら覚えてしまう。

憂は言った。淡々とした声で。

憂「結局、紬さんって正面から皆さんと向き合おうしてないだけなんじゃないんですか?」

紬「……さい」

憂「私のお姉ちゃんの気持ちも、皆さんの気持ちも知らないんじゃなくて、知ろうとしなかっただけなんじゃないんですか?」

紬「うるさいっ!」

紬は叫んでいた。声が情けないくらいにひっくり返っている。



830 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 00:59:50.61 ID:OODhPEWeO

紬の額から汗が流れて頬を伝う。これ以上話を聞いていたら、気が狂ってしまいそうだった。

紬「もういいわ。情けなんてかけない。私が直々に拷問して殺してあげる」

紬は男たちに命令をし、部屋を移動するようにした。

紬「唯ちゃんだけは助けてあげようと思ったけど、もうおしまい。二人とも殺す」

憂「……」

憂は紬の言葉にまるで反応を返さなかった。
その憂の態度が紬の怒りをより増長させた。が、紬はかぶりをふると深呼吸した。


紬「終わりにしましょ、憂ちゃん」



851 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 01:14:04.36 ID:OODhPEWeO

この部屋だけは他の部屋とは違う。少なくとも紬にとってはこの上なく思い出深い場所だ。

なにせ、ここで紬は初めて拷問をしたのだから。

血の匂いが堆積し、発酵したこの場所は紬にとっては落ち着く場所の一つであった。

紬「ここで憂ちゃんたちを拷問する」

紬は部屋を見渡す。この部屋は他の部屋より広く、なにより拷問器具が揃っている。
そして紬は怒りが頂点に達したとき決まって木馬の拷問を実行する。

今回の拷問では性器に手を出すつもりはなかったが、この際だ。徹底的に嬲って殺す。

斎藤「紬お嬢さま。本当にひとりでよろしいのですか?」

斎藤が心配げに質問しときたが、紬は大丈夫だとあっさり答えた。

紬「あなたは、憂ちゃんを天井に吊したら部屋から出ていって」

斎藤が一瞬、反論しようとしたが紬は黙殺した。



876 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 01:29:21.78 ID:OODhPEWeO

男たちの手により、憂の手首は縄に縛られた。
この縄に縛られるということ自体が、恐怖心を煽ることができる。
ミシミシっと縄が軋む音がする。この音がより一層、恐怖心を刺激するのだ。

紬「憂ちゃんは今から泣き叫ぶはめになるわ。
  この部屋は外からはカギが開けれないようになっているから助けは絶対には来ないわ」

すでに部屋には自分と憂と唯しかいない。

紬「唯ちゃん、今眠っちゃてるけどね。唯ちゃんが起きるまでに憂ちゃんは生きていられるかしら?」

紬は言葉を並べていく。拷問は始まる前から、すでに始まっているのだ。
紬は縄で手足を拘束させられた唯を、楽しげに見つめる。この少女もすぐに妹のあとを追うことになる。

紬「なにか言い残したことはある? どうせ次の瞬間にはしゃべれなくなってるから聞いといてあげる」

憂「……結構です」

あくまで憂は反抗するつもりだ。この態度がいつまで持つか。
紬は、憂を地獄へ送るための木馬を取りに踵を返す。



紬「唯ちゃんを縛って目の前で憂ちゃんを拷問して殺すのが夢だったの


紬の言葉は最後まで続かなかった。紬の背後で足音がしたからだ。



903 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 01:44:30.78 ID:OODhPEWeO

足音――人間の足が床に着地したときにするあの鈍い音。

紬「――!?」

紬が反射的に振り返る。が、その時には憂が紬の襟首を掴んでいた。
憂の頭が紬の顔面を捉える。いわゆる頭突きだった。

状況が把握できないまま、紬は床に転がる。鼻が熱い。じわりじわりと痛みが広がりつつあった。

憂「紬さん、最後の最後で油断しましたね」

紬「ど、どういうこと!?」

有り得ない。どうして自分が床に転がって、どうして彼女が立っているのだ!?

憂「紬さん。縄で人を拘束するなら腕まで拘束するべきでした」

憂が紬を見下ろす。その瞳には驚愕に顔を歪ませた自分が映っていた。



928 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/25(木) 01:55:55.85 ID:OODhPEWeO

紬「どうやって縄を解いたの……?」

未だに痛む鼻柱を抑え、紬が尋ねる。

憂「簡単です。縄をね、縛られる瞬間、こう持つんですよ」

憂は縄の先端を親指と人差し指の間で挟みこむ。

憂「こうすると、簡単に縄がほどけるんです」

あまりにあっさりと言われ紬は拍子抜くする。
おそらく実際には部下たちに悟られないようにする必要があったから、言うほど簡単にできるわけがない。

いや、そもそもどうしてこうもうまくいった?
木馬の拷問をしようとしなければ、たとえ一対一になったとしても、こんな展開にはならなかったはずだ。

紬「ど、どうして、こんなことが……」

憂「私、わかってたんです」

紬「…………?」

憂「紬さんが私に木馬の拷問をすることが」



951: ◆OD6Ec0CF7M 2010/11/25(木) 02:10:05.31 OODhPEWeO
紬「意味がわからない。憂ちゃんが私の考えを読んでいたって言うの?」

憂はその質問を無視し、続ける。

憂「紬さん。私が一週間、なにもしないでいたと思っていたんですか?」

紬「なにを言ってるの? 憂ちゃんはなにもできたはずか……」

憂「知らないなら知らなくていいです」

憂は一歩、紬に近づく。

確かに憂が直接できることはなかった。だが、情報収集ならできたのだ。

執事である斎藤を通じて。斎藤は頑なに口を閉ざしていたし、実際口をきくことはまずなかった。

だが、「どうして、紬さんはこんなことをするんですか?」と初めて尋ねたとき、斎藤が動揺したのを憂は覚えていた。
そして、見抜いたのだ。斎藤は紬にこんなことをするのはやめてほしいということを。

昨夜、斎藤は紬と拷問について憂に語った。
誰でもよかったのだ。ただ、紬のことを誰でもいいから聞いてほしかったのだろう。

その話の中で紬が怒りが頂点に達したときは、木馬を使うことを知ったのだ。



976: ◆OD6Ec0CF7M 2010/11/25(木) 02:22:22.69 OODhPEWeO
さらに木馬を用いる際、紬が手足、ではなくあえて手首のみを縄で拘束することを知った。


憂「紬さん、もう終わりです」

紬「……う、うそよ」

明らかに紬は狼狽していた。当たり前だ。こんな展開を誰が予想していた。

憂がまた一歩、歩み寄る。

憂「紬さん。私、この一週間ずっとある夢を見てたんです。紬さんに拷問される夢を」

紬「こ、こないで……!」

憂「お姉ちゃんを傷つけたことは許しません」

紬の足はすっかりすくんでしまってまるで動くことができない。

憂はすでに目の前にいた。やはり冷たい瞳で見下ろす。



39 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 00:39:59.59 ID:g1Pc1+6bO

紬の足は無意識のうちに後ずさり始めた。気持ちの悪い汗が背中から噴き出る。

憂「紬さん、私はどうしたらいいんですか? お姉ちゃんを傷つけられた痛みをどう解消すればいいんですか?」

紬「…………」

憂「質問には答えてください」

紬は憂に少しでも隙がないか確認するが、とてもありそうには見えない。
紬はさらに一歩後ずさる。憂が一歩近づく。

身体の汗腺が全部開いたかのように汗が出てくる。
憂の常人離れした殺気が紬を畏縮させるのだ。

紬はなにかこの状況を打開する手はないか頭をフルピッチで回転させる。

憂「逃げようとしても無駄ですよ」

憂の足がもう一歩踏み出される。

殺される。そう思った。が、紬の視界に気絶した唯が入ってきて、唇を好機に歪めた。

紬は床を蹴り、床に転がる唯の背後へ回る。

憂「!」



50 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 00:51:34.45 ID:g1Pc1+6bO

憂が紬の意図に気づくよりも、紬が唯の首筋にバタフライナイフを押し当てるほうが早かった。

憂「お姉ちゃん!」

紬「ふふ、憂ちゃん。それ以上近づいたら……わかってるよね?」

憂「……」

紬が勝ち誇るかのように笑みを浮かべる。対照的に憂は顔を強張らせる。

鈍く光るナイフが唯の首筋をなぞるように滑る。

紬「今は刃を当ててないけど、憂ちゃんが下手なことをすればどうなるか……わかるわよね?」


憂は両手をあげる。降参の意志を伝えるためだ。

紬「ふーん、唯ちゃんのためなら簡単に憂ちゃんは降参するのね」

憂「お姉ちゃんを離してください」

憂は言う。部屋が暗いせいか憂の顔がはっきりとは視認できなかった。



55 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 01:02:20.01 ID:g1Pc1+6bO

紬はその間に思考を働かせる。

この状況なら再び自分が優位に立つことができる。
問題はどうやって憂を無力化するかだ。さっきのようなミスで危険な目にあいたくはなかった。
唯をこのままの状態にしておくのも、限界がある。

不意に本当にわずかにではあるが、裸足が床を踏み締める音がした。
紬は顔をあげ、唯に落としていた視線を憂に向ける。


紬「動かないで」

憂「…………」

紬「何度も同じことを言わせないで」


紬自身余裕はまるでない。この部屋は外から開けることなどできないのだ。
まずは一対一というこの状態をなんとかする必要がある。

紬が唇を開きかけた。まさにその瞬間。


「ひ、ひヒひひ、ひヒひヒヒヒひヒ……」


不気味な笑い声がどこからか聞こえた。



58 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 01:14:10.51 ID:g1Pc1+6bO

紬はその笑い声の正体がなにかわからなかった。
というより理解しようとしなかった。他に気を配る余裕がなかったのだ。

憂との距離は決して遠くはないのだ。

彼女の身体能力なら、自分との距離をゼロにするのにほとんど時間はかからないだろう。
紬はナイフを握る手に力をこめる。


「ひヒヒヒ、ひ、ヒひ、ヒヒひ、ひひ……」


紬はそこで身体を硬直させる。

どこか理性が欠けていて、壊れた蓄音機を連想させる正気を失った声。

この声がどこから聞こえるのか、紬はすでにわかっていた。

紬「ゅ、い――」


 「ひ、ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひむ、ぎ、ちゃん」


次の瞬間、眠っていたはずの唯の顔が飛び込んできた。



127 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 19:28:30.06 ID:g1Pc1+6bO

紬の目に飛び込んできた唯は、おおよそ普通の人間と呼ぶことができる状態ではなかった。

唯「きひひ、ひふっ、ひヒひヒヒひひヒひひヒヒひひヒひひヒひひ」

ナイフを持った紬の右手目掛けて唯が突っ込んでくる。
咄嗟に避ける暇すらなかった。なにせ速かったからだ。
紬は手首を唯に噛みつかれると、ほとんど同時に押し倒される。
背中をしたたかに床に打ち付け、息が詰まった。一瞬、視界が真っ暗に染まる。


次の瞬間、視界がもとに戻ると紬は悲鳴に近い声を漏らした。

唯「ひ、ひひヒひひ、ヒひひひひひ、ふ、ひっ、むぎ、ちゃ、ん」


唯は口の端から涎を垂らして紬を見下ろす。
もっともその目は焦点が定まっていないため、どこを見ているのかはわからない。



134 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 19:41:25.22 ID:g1Pc1+6bO

あの拷問は唯を精神的にも肉体的にも狂わせてしまっていた。

唯「ひっ、むぎ、むぎちゃ、きひひ、ふひっひひ、あ、そ……きひひっ」


唯の鼻は右に曲がってしまって、鼻の穴からは渇いた血がこびりついていた。
瞼もいかなるわけか切れていて、彼女の目を赤く縁取っている。
シミひとつなかったはずの顔には、無数の引っ掻き傷が刻まれ、ミミズバレになっていた。
唇も、悲惨なことになっていた。下唇のほうは何度も噛んだのか、肉がえぐれている。

紬「……っ」

唯の手が紬の首を締め付ける。
唯の手は、拷問の結果、緑の補色である赤を求め血だらけだった。えぐれた薄い肌からは骨が垣間見えた。

憂「お姉ちゃん、殺しちゃダメだよ。殺すのはまだ早いよ」

足音が近づいてくる。紬はなんとか唯を押しのけようとしたが、いかんせん、力が強すぎる。

紬は必死で思考を働かせる。だが、出てきたのはひとつの疑問だけだった。


唯には部下に鎮静剤を打つように言ったはずだ。

なのになぜ?



141 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 19:52:37.49 ID:g1Pc1+6bO

憂「紬さん、気になってることがあるんじゃないですか?」

紬「…………!」

憂「お姉ちゃんには鎮静剤を打ったはずなのに。そう思っているんでしょ?」

憂の指摘通りだった。いくらなんでも薬の効果が切れるのが早過ぎる。

憂「紬さん。紬さんは疑問に思わないんですか?」

唯に押し付けられているため、紬は話すのも困難だった。それでも懸命に声を搾り出した。

紬「ど、どういうこと?」

憂「紬さんの部下が紬さんを絶対に裏切らないという保障はあるんですか?」

紬は憂に言われたことに対して始めて、その当たり前のことに考えが行き着く。

憂「紬さんみたいに拷問好きな人ばかりではないと思うんです、私」

憂の足がわずかにふらつく。鞭は当然、憂にダメージを与えていた。

だが、それ以上に紬は自分の中のなにかがふらつくのを感じた。

部下が裏切る?



150 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 20:09:19.86 ID:g1Pc1+6bO

憂「私ね、面白いものを見たんです」

紬「面白いもの?」


憂「廊下にぶちまけられたゲロです」


紬「……?」

憂「わかりませんか? そうかもしれませんね。紬さんみたいに拷問好きな人にはわからないかも」

紬「どういうこと?」

憂「紬さんの部下さん全員が拷問好きなのかって話ですよ」

紬は眉をひそめる。そのビウにはまだ疑問が漂っていた。

憂「拷問の光景って極めてショッキングですよね。だったらそれを見て戻す人がいたっておかしくない」

もっとも、こんなのは単なる憂のハッタリにすぎなかった。
もしかしたら、鎮静剤の効果がなんらかの理由で切れたのかもしれない。

紬「彼らが裏切ったの? 私を……?」

憂「おそらくね」

力の抜けた声が天井に吸い込まれる。
もっとも、憂の考えでは彼らは紬を裏切ってなどいない。
単なる嫌がらせだ。彼らからしたら紬の拷問のほうが嫌がらせなのだろう。



157 名前:◆OD6Ec0CF7M:2010/11/26(金) 20:18:02.04 ID:g1Pc1+6bO

だからこそ戻してしまった吐瀉物をあえて、放置したのだ。

おそらく、今までにだって何度かそういうことはあったはず。ただ、紬が気づかなかっただけで。

今回はたまたま紬にとって致命的な状況になってしまっただけで。

案外、憂の妙に縄が抜けやすくなっていたのも彼らがそうしやすいようにしたのかもしれない。

憂「紬さん、残念ですね」

斎藤にしたって、紬に拷問をやめてほしかったはず。
その思いが憂の前で紬と拷問の出会いと、彼女が抱いている精神的問題について語らせてしまった。

それだけのことなのだ。

彼らはこんな状況になるなんて夢にも思わなかっただろうが。彼らの主同様。

紬「……私を、私をどうする気?」

憂は切り捨てるように返した。


憂「拷問して殺す」



紬「唯ちゃんを縛って目の前で憂ちゃんを拷問して殺すのが夢だったの#5



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[ 2010/11/27 01:30 ] ホラー | | CM(1)

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NO:4098 [ 2011/10/18 15:29 ] [ 編集 ]

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