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唯「まるでパンドラボックスだね」#12 【日常系】


266 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:36:33.22 ID:xlq73.AO

りっちゃんと喧嘩をした。
始まりは些細なことから、それが段々言い合いになって…気がついたら私は部室を飛び出していた。
不意にこぼれる涙を拭いながら家路につく。りっちゃんが悪いわけじゃないんだ。
いつもなら冗談止まりのことを私が真に受けて切り返したのだ。
だからりっちゃんは悪くない。悪いのは私なんだ……。

唯「明日謝らなきゃ……」

そう思うも明日は生憎の土曜日。学校が休みで憂鬱になるなんて思いもしなかった…。

唯「11月27日…」

そう、明日は私の誕生日であり、そしてそれが今日の喧嘩の原因でもあった。




267 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:37:22.66 ID:xlq73.AO

それを言い出したのは、ムギちゃんからだった。

紬『これから誕生日はみんなで祝いましょう』

1年、2年の時は誕生日だからといって特別なことをしたことはなかった。その日を迎えたからと言ってそれを進言する気にもなれず、いつも通りの日々を過ごした。
しかし3年になり、これがみんなで過ごす最後の一年と言うこともあって少しでも記念日(思い出)が欲しくなったのだろう。
みんなそれに賛成し、誕生日が来た人をみんなでお祝いしようということになった。

そんな話をしたのが4月中頃、その時に私も誕生日を言った気がする…。


268 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:38:20.84 ID:xlq73.AO

7月2日。
その日はムギちゃんの誕生日だった。家である豪勢な誕生日パーティーに呼ばれ、みんなでムギちゃんの誕生日を祝った。
私はプレゼントにムギちゃん専用カップをあげたっけ。今でも大切に使ってくれてる……なのに。

8月21日
次はりっちゃん。その日は猛暑日を記録してて、凄く暑かった。それでもみんなりっちゃんを祝う為に田井中家に集まった。
弟の聡君も巻き込んでのホラー映画観賞会、楽しかったなぁ。
プレゼントにはカチューシャをあげようとしたけど、そこは澪ちゃんに譲ってドラムスティック型シャープペンをプレゼントした。
喜んでくれたかな…?


269 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:39:24.98 ID:xlq73.AO

そして、11月11日

その日はみんなの可愛い後輩、あずにゃんの誕生日だった。
あずにゃんの家で純ちゃんや憂も交えてお祝いした。
プレゼントはあずにゃんそっくりの可愛い猫のキーホルダー。探すのに苦労したんだよ?
でも学園祭間近と言うこともあり、あずにゃんが練習しましょう!と意気込んだのもありで休みの日の学校へ行き練習をしたり……。
あずにゃんったらせっかくの誕生日なのに練習だなんて……あずにゃんらしいよね。

そして学園祭も無事終わり、とうとう私の番が明日に控えている……という26日の金曜日。


270 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:40:11.29 ID:xlq73.AO

律『澪~明日新しい喫茶店オープンするらしいぞ! 一緒に行かないか?』

澪『私はいいよ。受験勉強しないと……』

紬『じゃあみんなで行ってそこでやりましょうか』

律『ナイスアイディーアームギ!』

梓『私は純達と約束があるので』

律『ちょっとだけでも来いよ梓~』

梓『じゃあ…ちょっとだけ』

律『よしじゃあきーまりっ!』

一言も、ただの一言も私の誕生日の話は出なかった。

みんな、忘れてしまっているんだろう。
無理もない。最近は学園祭に受験勉強にと息つく暇もなかったのだ。


271 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:42:15.83 ID:xlq73.AO

学園祭が終わり、やりつくした感が漂っていたのは事実だ。
それでも受験という壁が私達を休ませてはくれない。
それに板挟みとなってしまった私の誕生日…。
仕方ない、仕方ないんだよ、私。

だから……ね、いつも通りに振る舞おう?

お願いだから……。

律『唯も行くだろ~? 受験勉強よりごろごろしてる時間の方が多そうだもんな!』

唯『……ッ! りっちゃんと一緒にしないでよッ!』

我慢…出来なかった。

忘れられてたから怒った?
受験勉強のストレス?

違う…悔しかったんだ……。


272 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:43:24.24 ID:xlq73.AO

私がみんなを祝った気持ちが踏みにじられた気がして悔しかった。
プレゼントを考えて、もらう人の笑顔を想像して……ほんとうにおめでとうって思ってた。
でも……他のみんなにとってはただの形だけの思い出作りに過ぎなかったんだ。
誕生日を祝うって決めたから祝う。ただそれだけだったんだ……ッ!

だから学園祭が終わり、受験と言う名の壁が迫って来た時、11月27日と言う日はただの土曜日と成り下がった。
より大事なものに上書きされてしまった。

消えてしまった私のみんなとの誕生日……。
まるで生まれて来たことさえ否定されてしまったみたい。

そう思うと、やっぱり……、涙が止まらなかった。


273 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:43:57.37 ID:xlq73.AO

──そして、11月27日の朝がやって来る。

憂「お姉ちゃん早く起きて~。今日はお天気がいいからお布団干さないと」

唯「んん…後10分~」

憂「だーめ。布団没収っ」

唯「あ~っ! 寒い……」

掛布団を見事に奪われ起きるという選択肢しかなくなった。
もそりと起き出すと覚醒を促す為に洗面所で顔を洗う。

唯「つべちっ」

冬の水道水が夏に出ればみんな幸せなのに…なんて思いながら顔をゴシると、ようやく頭がすっきりしてくる。

唯「あ……今日わたしの誕生日だった」


274 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:45:01.95 ID:xlq73.AO

憂「~♪」

唯「憂~」

憂「ん? なぁにお姉ちゃん?」

唯「えっと……いい天気だね!」

憂「うん。絶好の洗濯日和だね」

唯「じゃなくて!」

憂「ぅん?」

唯「えっ~と……今日って何日だっけ~?」

憂「27日だけど……どうかしたの? お姉ちゃん」

唯「べ、別に何でもないよ! 洗濯物干すの手伝うね!」

憂「ありがとうお姉ちゃん」


変だ、毎年祝ってくれている一人(もう一人は和ちゃん)の憂が私の誕生日を忘れるなんてあり得ない!

ってことはもしかして……。

私の誕生日って11月27日じゃない!?


275 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:45:43.51 ID:xlq73.AO

そうか、そうだったんだ! 間違ってるのは私だったんだよ!

でも……じゃあ私の誕生日はいつかと聞かれると……やっぱり11月27日しかない。
意を決して最愛の妹に問う。

唯「憂…今日って私のた」

憂「あっ! もうこんな時間! 純ちゃん達と約束してたんだった! ごめんねお姉ちゃん!」

スタタッーとベランダを抜け出して行く憂。

唯「んじょ……」

唯「んじょー」

昔こんな鳴き声の怪獣がいたなと思いながら、綺麗な青空を眺めていた。


276 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:48:16.38 ID:xlq73.AO

再び部屋に戻ると、掛布団が連れ去られたベッドにダイブする。

唯「みんな今頃喫茶店かな……」

話の途中で言い合いになって抜け出してしまったので何時にどこに集合なのかもわからず、昨日はそのままふて寝してしまった。

唯「……」

ふと携帯に目をやるも、着信やメールの類いを知らせるランプは一切発光していない。

唯「はあ……」

まるで自分だけがこの世界に取り残されたような感覚が襲ってくる。
何であんなこと言ったんだろう。
いつも通りに「みんな誕生日忘れてるよっ!」と言えば今頃……。


277 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:49:44.25 ID:xlq73.AO

ううん、そんな形だけの誕生日会……私はいらない。

唯「誰も祝ってくれなくたっていいもん……もう大人だもん!」

そう言って掛布団のないベッドでまたふて寝を開始しようとした時だった。

ピロリロリーン

唯「はっ! ふっ! ほっ!」

起き上がり、携帯を掬い上げ、開く!

新着メール 1件

そんな簡素な言葉にこれ程興奮してる自分がいる。
誰かからのお誕生おめでとうメールかも! と思うと焦ってwebなんか開いちゃったり。

唯「早く早くぅ~!」

そして、ようやく開いたメールの内容は

Amazon新着情報


278 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:50:31.26 ID:xlq73.AO

唯「ううう……」

無人島でやっと見つけた食料が、腐った食パンだった時ぐらいの衝撃だろう。
力なく携帯を閉じると机に置き、巣(ベッド)へと帰還する。

しかし、その数秒後。
また悪魔のサイレンが鳴る。

ピロリロリーン

唯「つ、釣られないんだからねっ」

チカッ、チカッ、と光る携帯のランプ。

唯「くっ……」

まるで長い船旅を経た後に見る灯台の光のようだ。

唯「く……く……クマちゃん!」

見事に携帯に一本釣りされた唯だったが、今度は内容が違った。

唯「りっちゃんからだ……」


279 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:51:35.83 ID:xlq73.AO

緊張したおもごちでメールを開封していくと、そこにはこう書かれていた。

──────────
From田井中 律
件名
本文
近くの公園で待ってる
──────────

たったそれだけだった。
昨日のことも喫茶店のこともなく、ただ、公園で待ってる、と。

唯「……」

しかし、待ってるのなら行かないわけにはいかないだろうと身支度を整える。

唯「昨日のことちゃんと謝らなきゃ……」

手早く準備を済ますと勢いよく階段を駆け降り、玄関を飛び出した。

唯「っと鍵かけなきゃ」


280 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:52:27.09 ID:xlq73.AO

律からのメールが来てからおよそ5分ほどで唯は公園に現れた。

律「唯~こっち」

唯「ごめんりっちゃ~ん。待った?」

律「わたしも今来たとこ」

唯「……」

律「……」

初めの挨拶まではいつも通りにいったもののお互い昨日を思い出したのか沈黙が二人を襲う。

唯「(駄目だ…ちゃんと謝らなきゃ)」

話の糸口を見つけようと律を観る。

そこで、ふと浮かんできた言葉をそのまま口にする。

唯「……りっちゃん服似合ってるね!」

律「そ、そうか?」

上は黒のブルゾン、下はジーンズと中性的な格好だったが律はそれを上手く着こなしていた。


281 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:54:22.16 ID:xlq73.AO

律「ありがと/// 唯も似合ってるぞ!」

唯の本心から出た言葉で再び打ち解け合った二人。

今しかないというタイミングで唯が謝ろうとした時、

唯「りっちゃん昨日ごめ 律「唯! この箱開けてみてくれ!」

唯「……ら?」

昔そんな怪獣いたなと思いながら唯は突き出された箱をまじまじと凝視する。
何の変哲もないただの白い箱だ。

唯「…くれるの?」

律「ん。開けてみ」

誕生日を覚えててくれた、と言う嬉しい気持ちを抑えながら、言われた通りゆっくりとその箱を開けてみる。

すると、

中身は空っぽだった!


282 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:55:26.01 ID:xlq73.AO

唯「え゛」

頭の中がこの箱と同じく一瞬真っ白になる。そんな唯を見て、律がすかさず確認を取る。

律「開けたな!? 箱開けたよな!?」

唯「う、うん」

余りの剣幕に何も入ってないことについて言及する前にやりこめられてしまった。

律「じゃあ行くぞ!」

律が唯の手を握り歩き出す。

唯「へ? どこへ?」

律「ひーみーつー♪」

とびっきりの笑顔でそう告げる律を見て、昨日のことがまるで嘘だったかのように思えた。


283 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:56:37.91 ID:xlq73.AO

電車に乗ること数十分、

律「やって来ました遊園地!!!」

唯「遊園地!! でもなんで遊園地?」

律「いいからいいから! ささ、中へどうぞ~」

唯「あ……。でもわたしお金あんまりない……」

律「ふふ、この入場無料券が目に入らぬかーッ!」

唯「ま、眩しい! 眩しいよりっちゃん!」

律「よぉしっじゃあ行くぞ!」

唯「でも…いいの? みんなと喫茶店行くんじゃ…」

律「唯。あの箱を開けたからには今日一日はわたしに従ってもらう! いいな!?」

唯「えっ? えっ?」


284 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:57:24.04 ID:xlq73.AO

律「いいからいいから。早く早く~」

唯「り、りっちゃん?」

腕を引っ掛けられ無理やり入口まで引っ張られて行く。
頭にクエスチョンマークを生やしたまま、二人は入場手続きを済ませ、遊園地内部へと足を踏み入れた。


唯「うわぁ~人がいっぱいだねぇ!」

さっきまでの不安も吹き飛び、すっかり遊園地の空気に気持ちがタコ躍り気味だった。

律「そうだなー! じゃあはじめは何乗る?」

律が園内のパンフレットを広げながらそう聞いてくる。

唯「ジェットコースター乗りたい!」

律「定番だよなー。じゃ、行くか!」


285 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:58:22.90 ID:xlq73.AO

唯「一時間待ちなのです……」

律「人気だもんな~ジェットコースター。どうする? 他のやつ乗るか?」

唯「ううん、待とうりっちゃん! 乗るまで待とうほととぎすだよ!」

律「まあ話してれば一時間なんてすぐ…か。じゃあ問題です! 唯がさっき言った~待とう、ホトトギス。これは誰の言葉でしょ~か?」

唯「……。鳴くよウグイス平安京?」

律「カムバック戦国時代!」

律「じゃなくて人物だよ人物」

唯「……。豊臣乃神秀吉?」

律「誰?」

唯「やだなぁ秀吉だよりっちゃん」

律「あ、いや、秀吉は知ってる」


286 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:58:48.82 ID:xlq73.AO

律「正解は徳川家康でした! 唯~ちゃんと勉強してるか~?」

律「あっ」

言った後でしまった、という顔をする律。

唯「……」

そんな律の心配を他所に、唯は頬を膨らませていつも通りに答えた。

唯「ちゃんとしてるよぉ! 酷いなぁりっちゃん」

律「だよな! うん……」

再び気まずくなってしまった空気。

唯「あっ! 身長制限だって!」

そんな空気を払うかのように駆け出す。

→ここまで

ない人は乗れませんという立て看板に自分の身長を照らし合わしてみる。うん、乗れそうだ。


287 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:59:18.66 ID:xlq73.AO

律「……全く…ふふっ」

唯「りっちゃん乗れるかなぁ?」

律「なにぃぃぃそんなに身長制限高いのかッ!?」

→130cm

律「ゆーいちゃーん?」

唯「乗れるね! やったねりっちゃん!」

律「唯ぃっ! こんにゃろ130cm以下に縮めて乗れなくしてやろうかこのこのっ」

唯「反撃の育ち盛り攻撃!」ミョーン

律「背伸びなしだぞ! 背伸びは!」

こうして楽しく過ごしていると時間はあっという間に過ぎるもので、気がつけば二人の順番になっていた。


288 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 22:59:53.63 ID:xlq73.AO

カンカンカンカン、
と、機械が何かを噛んでいるような音がする。
巻き上げられているのか、自ら登っているのかは最中ではないが、上に向かっていることは間違いない。

いよいよ頂上に差し掛かろうと言う時、ゴクリと誰かが息を飲む。

そして───、

みんな同じ空見上げて───、

ユニゾンで、

律「ああああああああああああアアアアアアアアアアアアア」

唯「さけ~~~~~~ぼ~~~~~~~~」

叫び声を捻り出させるようにジェットコースターは更に速度を上げうねりを増して行った。


289 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:00:50.75 ID:xlq73.AO

唯「りっちゃん大丈夫?」

律「だびじょぶ…」

唯「ちょっと休む?」

律「ッ! なんの! まだまだッ!」

唯「おおっ! 復活した!」

律「予定が詰まってるからな。こんなところで……」

唯「予定?」

律「いやなんでもないぞーなんでもない」

唯「?」

律「さあどんどん乗るぞ! 唯!」

唯「うんっ」

律「次は何がいいかな~」

唯「いっぱいあって目移りしちゃうね」

律「とりあえず片っ端から乗ってくか!」

唯「そうだねっ! 迷ってる時間が勿体無いよ!」


290 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:02:14.34 ID:xlq73.AO

唯「わあ~かわいいね~」

律「あ、プーさん発見」

唯「どこどこ?」

律「ほら、あそこあそこ」

唯「どこ~?」

律「あっ、あっちにもいた!」

唯「ほんと!?」プに

律「やーい引っ掛かった」

唯「んもぅ!」

二人が今乗っているのは、色々なキャラクターが生活したり遊んだりしているのを写し象った空間を風船のような乗り物で抜けていくというアトラクションだった。

律「唯とクマのプーさんって似てるよな」

唯「似てないよ!? さらっと酷いこと言ったよりっちゃん!?」

律「似てるだろ? 常にハチミツなめそうな顔とか」

唯「りっちゃん!?」


291 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:02:57.36 ID:xlq73.AO

唯「あっ! こっちにも! ああっ!」

律「そっちか! 逃がすか! あっちにもいるぞ! 唯!」

次に二人がやっているのはゾンビを光線銃で撃ちながら進んで行くアトラクションだ。
ゾンビについている光のポイントに光線銃のポインターを合わせてトリガーを引くと光が消える、つまり倒したということになる。

律「一つじゃ間に合わないか! ならばっ!」スチャッ

唯「二刀流だね!」フンスッ!

本来四人乗りの乗り物な為、光線銃が余っていたのだ。


292 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:03:30.36 ID:xlq73.AO

律「唯! 左よろしく!」

唯「わかったよ!」

ピュンッピュンッ

唯「なかなかうまくあたら……あっ、行っちゃう…」

ゾンビにつけられた光のポイントが過ぎさっって……、

律「させるかっ!」ピュンッ

唯「あっ! また行っちゃ」

律「逃がさんっ!」ピュンッピュンッ

唯「あ(ry」

律「うおおおおおお」ピュンッピュンッピュンッピュンッ

気づけば律が踊るように光線銃を振り回し、左右両方をカバーしていた。

「ゴオオオオオ」

唯「あっ! ボスだよりっちゃん!」

律「いよいよラスボスか! 総攻撃だ! 唯!」


293 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:05:01.86 ID:xlq73.AO

唯「わかったよ! りっちゃん!」

二人の光線銃がラスボス目掛けて火を吹く。

律「いけえっ!」
唯「そこだ」

律「くらえええ!」
唯「当たれよ」

律「まだまだァ!」
唯「迂闊なやつめ」

律「ちょっと冷静すぎだろ唯」

「ガアアアアアア」

無数に点灯していたポイントが消え、頭の分のみポイントが浮かび上がる。
しかし、それはかなり小さく、律も懸命に撃つが中々当たらない。

律「駄目だッ! このままじゃ通り過ぎ──」

律は見た──
光線銃をくるりと回転させてから掴み、構える唯を。


294 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:05:53.59 ID:xlq73.AO

ポイントとポインターが赤い糸で結ばれてるかのように一直線に重なり、そして、

唯「ラストシューティング…」

ピュンッ──

ズバシャッ!!! テテテー

クリアした時の音楽だろうか、廃坑した街並みには相応しくないポップなメロディが二人を出迎えた。

律「やったな唯! クリアだぞ!」

唯「若さ故の過ちだよ、りっちゃん…」

ふー、とガンマンのように光線銃の銃口を吹き消す。

律「誰だよ」

1位 Y&R 5000000点


295 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:06:27.73 ID:xlq73.AO

唯「ふぃ~いっぱい遊んだらお腹減ったね」

律「じゃあお昼にするか」

唯「そうしよっか。どこのレストランにする?」

休憩場所の簡易机の上にどんっ、置かれた箱。

律「田井中レストランにようこそお嬢さん」

唯「作って来たの!?」

律「これが第二の箱だ」

唯「第二の箱?」

律「まあまあ、気にせず食べた食べた」

箱、というかランチボックスを開くと中には彩り豊かなサンドイッチ達が犇めき合っていた。

唯「わあ~美味しそうい! いただきます!」

律「たんとお食べ」


296 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:07:03.19 ID:xlq73.AO

唯「美味し~ぃっ! 前のハンバーグもそうだけどりっちゃんって料理上手だよね!」

律「そうかぁ? サンドイッチなんてただ挟むだけだろ? ハンバーグは焼くだけだし」

唯「またまたぁ~。謙遜しなさんなって。りっちゃんはいいお嫁さんになれるね」

律「大げさだよ、唯は」

二人でニコニコしながらサンドイッチを減らしていく作業はとても幸せな一時だった。


297 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:07:40.65 ID:xlq73.AO

少し休憩した後、また乗り物に乗りまくる二人。

唯「放課後ティーカップ! なんちゃって」

律「定番だよな~コーヒーカップ」

唯「それ~っ!」

律「おいおいそんなに回すと…」

唯「とりゃ~っ!」

律「目が……あ……あっ」

唯「りっちゃん目が回るよ~」

律「唯さん!?」

制御不能となったコーヒーカップの上で二人はしばらく回り続けたそうな。

────

唯「メリーゴーランドに乗るよ!」

律「回る系はしばらく遠慮したい…ってわけでここで見てるよ」

唯「え~……。しょうがないなぁ」


298 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:08:34.88 ID:xlq73.AO

唯「あはは~りっちゃ~ん」

外にいる律に手を振る。

律「危ないからちゃんとつかまりなちゃいね~」

手を振り返す律。


唯「あははは~りっちゃ~ん」

手を振る唯。

律「危ないからちゃんとつかまりなちゃいね~」

振り返す律。


唯「あはははは~りっちゃ~ん」

手を振る唯。

律「危ないからちゃんとつかまりなちゃいね~」


唯「あははははは~りっちゃ~ん」

手を振る唯。

律「無限ループって怖いでちゅね~」

振り返す律。


299 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:09:32.02 ID:xlq73.AO

次に二人が乗ったのは、天空サイクリングと言う乗り物だ。
自転車を漕ぐことにより中空にかけられているレールを走ることが出来る。

唯「高いねりっちゃん!」コギコギ

律「ああ…。まさに天空エクサイクリング!」コギコギ

唯「……」

律「……。さっきのはエキサイトとサイクリングを掛けた高度な……」

唯「寒いね…りっちゃん」

律「心も体も冬にしてしまってすまない、唯」

唯「あっ! 後ろから来てるよりっちゃん! 早く行かないとつっかえちゃう!」

律「なにをー!? 追い付かせるものかーっ! ファイトォォッ」コギコギ

唯「いっぱあーつっ」コギコギ


300 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:10:00.59 ID:xlq73.AO

唯「わあ~綺麗だね~」

律「そうだな~」

今二人は園内を走る列車に乗っている。そこから園内を眺めながら感慨に浸っていた。

唯「こうやって見るとまた何か違うね」

律「だな」

唯「あっ! 手振ってくれてるよ!」

律「ん? あ、ほんとだ。おーい」

ここのメインキャラクターが二人に向かって手を振ってくれている。

唯「お~い」

窓から乗りだして大きく手を振る唯。

『危ないですので窓から手は出さないようにお願いします』

唯「あっ、す、すみません」

律「ぷくくっ」

唯「あっ! りっちゃん酷い!」


301 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:10:38.01 ID:xlq73.AO

観覧車に乗った時にはすっかり日も落ちかけ、夕焼けが顔を覗かせていた。

唯「ここからだとよく夕日が見えるね」

律「綺麗だな」

唯「……。ねぇ、りっちゃん」

律「ん?」

唯「昨日はごめんね?」

律「気にしてないよ。わたしこそごめんな、唯」

唯「……」

律「……」

唯「えへへ///」
律「にひひ///」

唯「みんな受験勉強で忙しいもんね…わたしの誕生日なんて覚えてられないよね」

律「唯…」

唯「これ終わったら帰ろっか。もう遅いし」

律「……ああ」


302 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:11:12.02 ID:xlq73.AO

観覧車を降りた頃にはすっかり日も沈み、園内はライトアップされていた。

唯「今日はありがとうりっちゃん。凄い楽しかったよ。最高の誕生日プレゼントだった!」

律「……」

唯「祝ってくれたのはりっちゃんだけだったけど……それでも今までで一番楽しかった! だから……」

律「唯」

いとおしそうに優しく唯の頭を撫でる。

唯「りっちゃ……。ん……。だから……次はみんなで来よ゛う゛ね゛」

涙に邪魔されて最後まで上手く言えない。

律「大丈夫、まだ箱の魔法は終わってないから」

そう言って、律は携帯に目を遣る。


303 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:12:10.67 ID:xlq73.AO

律「よーし、準備完了か。こっちもそろそろ……」

唯「?」

律「唯。お前のその涙を、笑顔に変えてやるよ」

そんな演技がかったセリフを口にし、カウントを始める。

律「5.4.3.2...」

律「1ッ!!!!」

両腕を翼の様に広げる律。
その遥か後方から何かが打ち上がった。
それはみるみる上空へと飛翔して行き……。

バァンッ!!! と派手な音をたてて散った。

唯「わあ…花火……! 花火だよりっちゃん!」

律「花火ぐらいで驚くなよ? 続いてパレード!!」パチンッ!


304 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:13:05.49 ID:xlq73.AO

律がパチンと指を鳴らすと、まるで本当に律が指示したかのようなタイミングでキャラクター達が乗った台座カーが出現する。

唯「きれい……」

台座カーに取り付けられたイルミネーションが辺りを幻想の世界へと誘う。

律「もういっちょっ!」

その声に反応したかのように次々とイルミネーションが開花して行く。
園内全体が眩い斑の光に包まれた。

唯「ほんとに魔法使いみたいだねりっちゃん!」


律「ある時はジュリエット、そしてまたある時は魔法使い、そしてまたまたある時は……」パチンッ!

園内にワルツのような曲が流れ始める──、


305 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:13:31.71 ID:xlq73.AO

律「ロミオにだってなれる」

学園祭で魅せた演技力は未だ健在のようだった。

律「Shall we Dance?」

そう言いながら差し伸ばしてくれた手を、

唯「Gladly♪」

と言って握り、二人は踊り始めた。

誕生日のワルツを。

その時唯の瞳に涙はなく、笑顔だけが広がっていた。


306 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:16:29.68 ID:xlq73.AO

────

唯「すっかり遅くなっちゃったね~」

律「唯がまだ踊ろうよ~とか言うから」

唯「ごめんね。楽しかったからついつい」

律「まっ、いいけどさ。わたしは」

唯「あれ? そう言えばりっちゃんの家って向こうじゃ…」

律「……、まだ第三の箱があるからな!」

唯「第三の箱?」

第一は白い何も入ってない箱だった。
第二は美味しいサンドイッチだった。
第三は一体どんな箱なのだろう?
唯は興奮覚めやまぬと言った感じで律にせっつく。

唯「どれどれ?」

律「そう焦るなって。そろそろ見えてくるから」


307 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:17:41.85 ID:xlq73.AO

そう言って歩きついた先は、

唯「わたしの家?」

律「これが第三の箱だよ。開けてみて」

唯「う、うん」

自分の家の玄関を恐る恐る開けてみると……、

パァン! パァン! パァン!
一斉にクラッカーが鳴る。

憂「お誕生日おめでとう! お姉ちゃん!」
澪「誕生日おめでとう、唯」
紬「お誕生日おめでとう唯ちゃん」
梓「誕生日おめでとうございます、唯先輩」
和「誕生日おめでとう、唯」
純「誕生日おめでとうございます唯先輩っ!」
さわ子「誕生日おめでとう唯ちゃん」


308 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:18:40.75 ID:xlq73.AO

唯「ほ……? へ?」

一体何が起こったのか理解出来ず、律の方へ振り向く。

律「誕生日おめでとう、唯」

その言葉で、ようやく全てを理解した。

唯「みんな……、ズルいよ。忘れたふりなんてさ」

顔を俯ける唯。

澪「ごめんな、唯。律がどうせならサプライズでやろうって言うから」

律「澪も乗る気だったろーっ?」

紬「ほんとは昨日も……、…っ…ぅ…メールしたくて……、したくてぇ」

梓「もう、ムギ先輩鼻水出てますよ」

紬「ありがどう゛あずじゃぢゃん」


309 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:19:32.01 ID:xlq73.AO

和「バカね、毎年やってるんだから忘れるわけないじゃない」

憂「律さんにどうしてもって言われてたから……、すやすや眠たそうなお姉ちゃんから掛布団を……、掛布団をっ!!」

純「はいはい落ち着きなよ憂」

さわ子「このツリー持って来るの苦労したんだから」

澪「クリスマスじゃないんですよさわ子先生…」

さわ子「似たようなものじゃない。綺麗だし」

純「まあ綺麗と言えば綺麗ですよね」

梓「すみません唯先輩。色々飾り付けしたりするためにどうしても家を出てもらわなくちゃならなくて…」


310 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:23:20.57 ID:xlq73.AO

澪「その役目が律だったってわけだ」

紬「ほんとはみんなで喫茶店に行って……、その後りっちゃんと唯ちゃんを残して用意するつもりだったの」

唯「……じゃあ」

顔をあげ、もう一度律の顔を見ると、

律「唯の誕生日をみんなが忘れるわけないだろ? みんな唯が大好きだよ」

いつか言われたあのセリフ

唯「りっあああああああああちゃん」

私は、嬉しくて、嬉しくて……、りっちゃんに飛び付いた。

律「あぁ~もぅ泣くな泣くな。これから楽しい楽しい本当のプレゼントが待ってるんだから」

唯「ううん……。もういっぱいもらったよ」


311 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:27:44.47 ID:xlq73.AO

流れる涙をこの時ばかりは塞き止めながら、精一杯の笑顔で。

唯「いっぱいプレゼント(思い出)もらったよ」

白い箱から始まり、美味しい箱、そして暖かい箱。
ううん、私の人生って箱には思い出がこんなにもいっぱいで……。

これからもいっぱいいっぱいもらうことになるから……、だから……、

唯「みんな、ありがとう」

精一杯の笑顔でお礼を言うんだ。

生まれた日、誕生日。
生まれて来て、みんなに出会えて、本当に私は幸せだよっ!

おしまい


312 名前:◆sIyMU.D1PY:2010/11/27(土) 23:28:45.76 ID:xlq73.AO

唯ちゃん誕生日おめでとう

こんなに祝われて唯は本当に幸せ者ですね
参加した皆さんお疲れさまでした。
次の方いましたらどうぞ



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唯「まるでパンドラボックスだね」#12
[ 2010/11/28 00:28 ] 日常系 | | CM(0)

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