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律「…痛ってぇーな」 澪「ご、ごめん律」 【シリアス】


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 06:54:22.37 ID:7LbFEaFg0

そう、それはいつも通りの風景。
いつも通りの放課後ティータイム。

澪「またお前はそうやってふざけてっ!」ゴチンッ

律「………」

律がふざけて、私が突っ込みを入れる。
こんな役回り。
傍から見たらまるで漫才だ。
私に頭をゴチンッてされても、律は笑ってまたこっちを向いてくれる。

そう、今日もいつも通り…。
いつも通りかと思っていたら。

律「……痛ってぇーな」

唯「…り、りっちゃん?」

澪「な、何怒ってるんだよ。こんなのいつものツッコミだろ」

律「はぁ…?」





3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 06:55:58.58 ID:7LbFEaFg0

律が声をあげて、いつもとは違う表情で私を見ている…。
でも私は、この程度の事で律が怒る訳ないって知ってるんだ。
何年一緒にいるんだと思ってるんだよ、バカ律。

律「いい加減にしろよ。いつもいつもポカポカポカポカ」
「あたしを何だと思ってるんだよ澪は?あぁ?」

澪「(あ、まさか律、これもジョーク?)」

律「こっちにも非があるのはわかってるから、毎回黙って笑って返してやってたk…」

澪「そ、そうやって私を騙そうとしても無駄だっ!!」ゴチンッ

唯「わっ…」

紬「澪ちゃんっ!!」

律「…痛っ……」



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 06:58:53.58 ID:7LbFEaFg0

?何だろう。
律の様子がおかしい。
叩いた後頭部を押さえて本当に痛そうにしてる。

でもこの辺りで
「バレたかーっ!やっぱり澪は騙されないかー!」
なんて言ってくるんだろ?

わかってるんだよ。

律「お前…いい加減にしろよ」

澪「律?」

律は後頭部を押さえていた右手を下ろして、
親の仇を見るような瞳をして私を睨む。
…そして。

パチーーンっ!!

澪「あぐっ!!」

唯「りっちゃんーっ!?」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:01:31.69 ID:7LbFEaFg0

さっきまで額を押さえていた律の右手は私の頬を叩いた。
まさか律に叩かれるはずはないと思っていた私は、衝撃で床に倒れてしまう。

澪「う…ぐっ…」

私はショックで右手を頬に当てたまま動けない。
もちろん痛さもあった。
けれどそれ以上に、律に叩かれたという現実に精神的ショックを感じてた。
さらに同時に律に対して怒りも湧き上がる。

紬「ふ、2人ともまぁまぁおさえて…、お茶飲みましょ?」


澪「律、私はいつも軽く叩いてやっていたんだぞ。お前今…」

律「本気ではたいたよ、今までの仕返しも含めてな。あースッキリした」



9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:04:00.61 ID:7LbFEaFg0

その言葉に思わず利き腕である左の拳が震えた。
涙も溢れてきたけれど、それが律に叩かれたショックなのか痛みなのかわからない。

澪「そっか、律…、本気でやったのか…」

律「それがなんd…」バコッ!!!

バタッ!!

紬「きゃっ…」

唯「澪ちゃん!?グーはダメだよグーはっ!!」

律「ッ…、澪てめ…」

私は左手で殴り返す。
しかも顔をグーでだ。
幼馴染だからって容赦はしてない。



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:08:05.02 ID:7LbFEaFg0

さすがに律は倒れて唸っているだけで立ち上がることはできないみたいだった。
その様子に唯とムギは、急いで律の介抱に向かう。

唯「りっちゃん平気…?」ナデナデ

紬「さすがに腫れちゃってるわね…、ちょっと待っててね」

律「別に痛くねーから平気だよ…っ」

澪「…さっき思いっきり痛がってただろ。だから私をぶったんだろ」

皮肉を込めて言ってやる。

律「黙ってろ、澪」

澪「…っ!」

律は一言だけそう言うと、それ以上はもう喋らない。
黙って唯とムギの介抱を受けている。
怒りを込めた瞳で律の方を見ると、鼻から出血していたようだった。



17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:11:09.53 ID:7LbFEaFg0

対する私も、殴った左の拳を握ったまま動けない。

律「サンキュ、唯、ムギ。もう大丈夫」

律のその言葉で、唯とムギからは、ふうっと溜め息と似たようなものがでる。

澪「……」

部室に沈黙が走る。
いつもは騒がしい軽音部の部室が、部活動時間中…私達がいるのに
ここまで静かになるなんて凄く珍しいことなんじゃないだろうか。

唯「あ、あのさ!!練習しようよ練習っ!
  ねっ!!私上手く引けないところがあってぇ…」アセアセッ
 
 「ちょっと澪ちゃんに見てほし…」

律「澪。出て行けよ、もうここに用はないだろ」

唯は立ち尽くしてしまっている私に向けて言葉を発してくれたのだろうけど
律の一言でその台詞を止めた。



21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:14:39.38 ID:7LbFEaFg0

澪「…律…ッ!!」ギリッ

言う通り帰ってやろうと、自分の鞄を持ち上げる。

紬「澪ちゃん待って、少し話をしましょ…?こんなことで私達が…」

唯「そ、そうだよ!りっちゃんも怒ってないよね!ねー??」

律「…早く出て行け」

ムギと唯はやっぱり私をフォローしてくれているけど、
律は私に対して怒りが収まらないみたいだ…

このままここにいても気まずい。
律の顔を見ているのも辛い。

澪「わかったよ…!」



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:16:56.31 ID:7LbFEaFg0

あくまで冷静なフリをしていた私だけど、体中が震えていた。
それが律にバレるのも何だか悔しい気がして、急いで部室を出る。

梓「あ、澪先パ…」

澪「……」


梓「……どうかしたんですか?」

澪「…じゃあな。梓」


部室を出た所で梓と出くわしたが、
とても会話しようなんて気は起きなかったので挨拶だけして横切る。
冷静になれたのは暫く後になってからだった。



26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:19:00.13 ID:7LbFEaFg0

帰りみち!

ど、どうしてこんなことになっちゃったんだ…
でも元はと言えば律が悪いんだ、律が私を叩くから…
…たぶん。

澪「(…ベース部室に忘れた)」


今日は厄日なのかな…。

特に何もないまま自宅に到着。
家に帰った後のことは言うまでもないと思う。

自分の部屋に直行、ベッドにダイブ。
食欲もない。

もしかしたら、と思って携帯を枕の隣に置いておいたけど、
鳴ることも震えることもなかった。
もちろん、今日は殆ど眠れなかった。



29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:22:55.89 ID:7LbFEaFg0

次の日!

澪「(学校行きたくないな…)」

やっぱり昨日の今日だ。
3学年に上がって同じクラスになってしまったので、通学路で会うのを避けても
嫌でも教室へ辿り着いたら顔を合わせる…。

顔を合わせただけで、また怒りが昇ってきてしまうのではないか。
律に殴り返されてしまうのではないか。
そんな心配をしてしまう。

澪「(休もう…)」ベッドにモゴモゴ

澪母「みーおー、そろそろ起きないと遅刻するわよー」

部屋の入り口のドアの前から声が聞こえた。
ママに何て言うかな。
風邪でいいか。



33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:25:36.20 ID:7LbFEaFg0

澪「ちょっと熱っぽいから休むー」

澪母「あら、そうなの。了解了解」

ズル休みなんてする訳ないと思っているのか、
ママは大人しく引き下がってくれた。

今だけは日頃の行いが良かったと感謝する。

澪「(昨日あまり眠れなかったし、ちょっと眠気あるな…)」

そう考えて寝返った後は、自然と眠りに落ちれた。



34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:27:02.34 ID:7LbFEaFg0

ゆうがた!


澪「(…お腹すいた)」グーキュルキュル

目を覚まして今何時なのかを確認すると、すぐにお腹が鳴った。
やっぱり人間の三大欲求の1つである食欲には勝てないな。

澪「(いい加減起きるか…)」

何か食べ物を…と思って部屋から出ようとすると
携帯が点滅しているのが目についた。

澪「誰からだろう…」ポチポチピッピ

言葉では発してみたが、想像はついている。
そもそも私にメールしてくる相手なんて極少数の人物しかいないのだから。
若干の期待と不安を保ち、携帯を開く。

澪「(メール4件に着信………15件!?)」



36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:29:42.32 ID:7LbFEaFg0

8:56
From:平沢 唯
Sub :澪ちゃん?今日お休みなの?

本文なし


澪「(何だこれ。唯の奴サブの方に文書いて本文なしじゃないか)」

何か焦ることでもあったのかな。
…と、少し苦笑したのも束の間、2通目のメールを見て私は固まった。



38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:31:38.00 ID:7LbFEaFg0

11:20
From: 琴吹 紬
Sub : 澪ちゃん!!
今からでも良いから早くきて!!
りっちゃんが澪ちゃんを軽音部から退部させるって!!
凄く怒っちゃってて私じゃ止められないの!!

澪「(え…?)」

背筋が凍った。
悪寒がした。

メールの文章を見る限り、これが冗談なんてとても思えない。
というか、ムギはこんなことを言う人間じゃない。

澪「(……)」

メールの着信時間を見る限り、これはまだお昼前のメールだ。
ちなみに現在の時刻は18時30分と言った所だろうか。
今から私が学校へ向かおうとも、このメールを打ち込んで、
私が学校に来るのを期待しているムギには会えない。

手が震える…。
この先のメールを見るのが怖い。



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:34:46.43 ID:7LbFEaFg0

15:21
From: 中野 梓
Sub : 無題

今すぐ学校に来てください
本当に風邪引いたわけじゃありませんよね
絶対返事下さい


澪「(梓…)」

昨日は挨拶をしただけで終わってしまった梓からのメール。
きっとあの後、梓は部室に入って唯や律から事情を聞いているんだろうな。
でも昨日の時点でメールをしてこなかったと言うことは、
昨日はそこまで大事にならないと踏んでいたということだろうか。

澪「(返せなくてすまない。梓…。ムギのあのメールを見た後じゃ…)」

どっちにしろ今からじゃ遅いかな、と思いながら次のメールへと進む。
最後のメールの着信時間は…、17時半近く、ついさっきか。



45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:37:02.48 ID:7LbFEaFg0

17:26
From:平沢 唯
Sub :無題

大変だよ、りっちゃんが
りっちゃんがー!!


澪「(え!?)」


突然これは意味がわからないぞ唯…?
前のムギと梓のメールの件とは別なの…か?これは。

4件のメールを見終わって溜め息が出る。

澪「(私は律と喧嘩して、それから一切会話もせず…)」
 「(仲直りの機会も与えてもらえずに放課後ティータイムをクビにされたのか)」

さすがにこの仕打ちは酷いんじゃないか。律。
私達の関係ってこんなもんだったのか?
確かに今日休んだのは私が悪いけど、いきなり退部だなんて…。



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:41:52.78 ID:7LbFEaFg0

昨日、寝付く前に何で殴ってしまったんだと反省はした。
…けれど、私にはそれ以上に律の行動が理解できなかったんだ。
あの時、ぶたれてしまったから私はカッとなってしまった。
口で言ってくれたら…。

澪「(…って、バカか私は。律はやめろって言ってたじゃないか。でも…)」

何故か律は私を絶対にぶたない。そんな気がしていたのに。
もちろん冗談で、とかなら別だけれど。



54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:45:20.66 ID:7LbFEaFg0

澪「(はぁ…)」

体が重たい。

グデーン、と言う効果音が似合うような感じで再びベッドに転がる。

凄い喪失感だ。

でも何故だろう、涙は流れてこなかった。


澪「(律…、りつ…)」

かけがえのない親友があっさりと消えてしまった。
それと同時に軽音部であることも許されなくなってしまった。
放課後ティータイムにも当然いられない。

何だろうな、今まさにピークを迎えて、一番輝いているはずの花火が、
前触れもなく突然フッと消えてしまった感じ。

澪「(もうヤダ…)」

さすがに勝手すぎる気がしたよ。
律も、私も。



57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:48:06.88 ID:7LbFEaFg0

…ふと、思い出す。

澪「(あ…、ベース)」

昨日部室に忘れていったんだったな…。
明日放課後行って気まずい空気になるのも嫌だし、今のうちに回収しちゃおうかな。

時刻は19時になろうとしていた。

澪「(こんな時間に制服に着替えるなんて)」

真っ暗だった部屋に電気をつけ、朝と同じように支度をする。
もう下校時刻は過ぎているから、学校は当然閉まっているだろう。
でも先生はまだいるよな。
忘れ物をした、と言えば部室の鍵だって借りられるはず。

いつもの制服を着こなし、なんとなく鞄を持った後、静かに部屋を出る。



61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:51:37.95 ID:7LbFEaFg0

澪母「あら…?制服になんて着替えちゃって。これから学校?」

澪「あ…、ちょっと学校に忘れ物したの思い出して…。だいぶ調子も良くなってきたし」

当然、玄関でママに気づかれる。
私は頭の中に用意しておいた言葉を発する。

澪母「でも、これからなんて…。明日にしておいたら?」

澪「明日までに提出する宿題で使うんだ。すぐ帰ってくるよ」

澪母「あらそう…。でももう外は暗いし、気をつけるのよ?」

澪「うん、行ってくる」

言いながら靴を既に履き終えていた私は、最後の言葉とほぼ同時に家を出た。

バタンッ。



64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:54:11.81 ID:7LbFEaFg0

澪「(夜はさすがに冷えるな…)」

マフラー巻いてくればよかったかな。

寒さを飛ばすように、私は早歩きで学校に向かう。
一人で歩いていると、いつも歩いている学校までの道のりが遠く…
そして広く感じた。

澪「(別に毎日律と学校行ってたわけじゃあるまいし何考えてんだ)」クスッ

ちょっとだけ笑みがこぼれた。

別に律に嫌われて、部活を辞めたからといって、もう今後律と会わない訳じゃないしな。
きっと私が挨拶すれば、不器用ながらも律は『おはよう』って挨拶を返してくれると思う。
寂しくはなるけど…。

澪「(ん。あれは…?)」

もうすぐ学校に到着しそうな所、目視で校門が見える地点まで歩いてくると、
知っている影を見つけた。

澪「唯と…梓…律もムギもいるな…」

部活でこんなに遅くまで残っていたのか…



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 07:57:42.22 ID:7LbFEaFg0

でも、正直今顔を合わせるのは辛い。
そんな気にはとてもじゃないけどなれない。
…と言うか、会いづらいから今学校に来たわけで…。

私はメールに返事をしてないし、今日は学校を休んでいる。
何より律がいるし…。
明日みんなと会ったら、本当に風邪を引いて寝込んでいたことにしよう。
そんな事を考えていると…


梓「まったく…、律先輩……酷……す」

唯「……あ…はは…でも……」

紬「……唯ちゃ……うふふ……」


会話の一部が少しだけ聞こえてきた。
既に辺りに誰もいないせいか、声が響いているんだ。
でも何だろう。違和感を感じる。



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:00:03.77 ID:7LbFEaFg0

唯「あずにゃん私お腹空いちゃったよー。アイス買って帰ろうよ~」

梓「帰ったら憂がご飯作って待ってるでしょうに……もう」

律「唯、お前さっき澪の分まで食べてたくせによー」

唯「甘いものは別腹って言うじゃないのさ!りっちゃん!!」

律「えー…?」

紬「今日は宿題もなかったし、もうちょっと遅くなっても良いんじゃないかしら」


え、どうして…。
違和感。違和感だ。

澪「(何だろうコレ…)」


……そっか、みんな笑顔なんだ。

私がいないのに。
私が……。



70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:02:16.61 ID:7LbFEaFg0

「(ぅっ…)」

律は私がいなくても、みんなと笑ってる。

…何でそんなに笑ってるんだよ。
やめてくれよ…、そこに私は…、今お前の隣に私はいないんだよ。
そんな顔で笑わないでくれよ…。

これは律に対する怒りなのだろうか。
それとも嫉妬なのだろうか。

澪「(帰ろう…)」グスッ

鼻を啜って気持ちを少しだけ整えた後、私はUターンした。


澪「(もういいよ…)」



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:06:41.23 ID:7LbFEaFg0

Uターンしたからと言って家に帰る気は起きなかった。
誰もいない道を歩いていると、
この世界で私は一人ぼっちになっている気がして嫌だった。

別にそんな気はなかったのに、自然と賑やかな場所へと足が進んでいた。

人が多い。多いはずなのに…。
私に話しかける人はいないし、私が話しかける人もいない。

澪「(…そりゃ当然だよな…)」


1分1秒経つ度に、現実を思い知らされる気がした。
そしてどこに向かうこともなく道を歩いていると…



76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:10:02.30 ID:7LbFEaFg0

ドンッ!!

澪「痛っ…つ」


誰かとぶつかった。

やっぱり人通りが激しい所はダメだな。
考え事もできやしない。
そろそろ帰ろう。結局何も食べてないし…。

「おい。謝れよ。てめーからぶつかってきたんだろ」


澪「……」


何だろうこの人は。


「聞いてんのか?おい」


澪「……さい…」

私からぶつかってなんかいないよ。
今のは貴方からぶつかってきたんだ。
確かに考え事はしてたけど、前はちゃんと見て歩いてたんだ。



79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:16:11.84 ID:7LbFEaFg0

澪「……るさい…」

「あ?てめー、ブツブツ何言って…」


あー…、もう…
知らない奴と話すのは嫌なのに…
律だったら何て返すのかな、こういう時。


澪「…うるさい!!!!」


「…………あ?」


つい、大声を出してしまった。
律のこと考えちゃったからかな。
知り合い相手でもないのに…



84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:22:43.04 ID:7LbFEaFg0

「…てめぇ、ちょっとこっちへ来いよ」

澪「…え…、ぁっ!」


ここで私は初めて相手の姿を見た。
私より20cm近くは背が高くて、髪は茶髪で大柄で…
露出した右肩にはタトゥーのようなものがついていて、
片手には大きめの黒いリュックサックを持っていた。


澪「や、やめ……痛っ…」

「……」

凄い力だ。これが男の人の力なのか。
とても私なんかでは逆らえない。
もちろん抵抗はしていた。
しかも結構暴れていたつもり。
でも誰もこっちを見てくれない。
私の姿が誰にも見えていないのだろうか?
そんなことも考えてしまう。

抵抗はしていたものの、恐怖で悲鳴をあげることもできず、
私はあっという間に誰も来ないような路地裏に連れていかれてしまった。



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:27:48.65 ID:7LbFEaFg0

澪「…や、やだっやだやだ…!!」

男が制服の中へ手をまさぐる。
片手で私の両腕を掴む。

男は片手、私は両手だと言うのに、男の手は少しも開く気がしない。
だから上半身と下半身で精一杯抵抗する。

澪「離せ…!!離せっ!!離して!!!」

「うっせーな…」

ドサッ!

澪「あぐっ!!」

男が私の足を引っ掛けた。
簡単に転んでしまう。

澪「…な、何…っ」

そして男は私に馬乗りになると、先程手に持っていたリュックサックを、
私の顔が包むように押し付ける。
その男の押し付ける力に私は呼吸ができなくなる。



93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:33:01.19 ID:7LbFEaFg0

たまらなくなって暴れるが、両手を掴まれている上に馬乗りになられているのでは
私の力では全く歯が立たなかった。

「暴れんな。このまま殺すぞ」

澪「…ゥッ…ムぐぅ……ッ」

本当に息ができない。
苦しい。このままじゃ死んじゃう。
助けて、助けて。

ふと頭に、つい昨日喧嘩してしまった親友の名前が浮かんだ。

でもその親友はもういないんだ。
私は捨てられたんだ……。

何かを諦めるように、私は抵抗をやめた。



94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:37:28.57 ID:7LbFEaFg0

「……わかればいいんだよ」

男は先程のリュックサックから太い紐のようなものを取り出す。
何でそんなもの持っているんだ。と言う言葉は、頭の中では浮かんでいたけど
ガクガクと震えている私の口からは発せられなかった。
男は慣れた手つきで私の両手首を縛る。

もうどうにもならない。

澪「……」

「…よく見ると中々いいじゃねーか。運悪いと思ってたら今日はついてるな」

澪「……」

「何か喋れよ。元はと言えばお前が悪いんだ」

澪「…解いて」

「あ?」

私の一言で男の目つきが変わる。

「人にお願いする時は敬語、だろ?」



96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:40:31.45 ID:7LbFEaFg0

澪「……」

こんな最低な事する奴に…
でも私は最後の望みにかけて言葉を発する。
どうせ助けてくれるなんてことはない。そんなのわかってるけど…

澪「助けて…ください」

「まぁ無理なんだけどさ」

澪「……」


ほらね…。
予想通りだ。

男はもう1本、両手首を縛ったのと同じ紐を取り出すと、私の口を塞いだ。
これから何をされるのか。
それを考えると震えが止まらない。
私はあまりの恐怖に目を閉じる。



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:44:32.34 ID:7LbFEaFg0

澪「う…」

片手は胸へ、片手はまだ殆ど触ったことがない場所へと、男の手が移動する。
こういう行為を知らない訳じゃない。
でもしたことないし、する相手もいない。
そしてこの行為は、好きな人同士ですることだ。
こんな男の手が私の体を這い回っているかと思うと吐き気がする。

?「……おい」

「あ?」

これ以上行為を続けられたら立ち直れないかもしれない。
だがそんな時、どこかで聞き覚えのある声が聞こえた。

?「何してんだよ。オッサン」

「…あ?なんだおm…」


バゴッ!!!!!


鈍い音が聞こえた。
そして響いた。



104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:51:30.55 ID:7LbFEaFg0

ドガッ!!バキィッ!

「あガッ!!!!!」

男の身に何があったのだろうと、私は閉じていた目をゆっくりと開く。

律「…私の親友に手を出そーなんて1億年はえーんだよ!!!」


澪「…り…つ……?」


そこにはいなくなってしまったと思っていたはずの…
捨てられてしまったと思っていたはずの親友の律がいた。

……その後、すぐに唯や梓が走ってくるのが見えて…
そこでやっと、あぁ私は助かったんだな、と思えた。

そして何だか眠くなってきたので再び目を閉じた。



105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 08:57:16.45 ID:7LbFEaFg0

律side
律の家!

律「あぁあ…うざ…っ!!」

この日、あたしはイライラしていた。
両親と進路について揉めたからだ。

律「まだまだ先の話じゃねーか全く…」


いつもの食事で話すようなノリじゃない。
その時一緒にいた聡は追い出され、両親と3人で話した。
あたしが進路なんてまだ考えてねーよって答えたらマジギレ。

律「(あんなに怒らなくてもいいっつーのに!!)」

最初は適当に聞き流していたあたしも、さすがにそれが1時間も続くと
殺意が湧くってもんだ。
結局あたしは『ほっといてくれよ!』と怒鳴って部屋に逃げ帰ってきたんだ。

律「(イライラする。寝よ)」



106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 09:01:44.64 ID:7LbFEaFg0

次の日!


律「(やべぇ。まだむかつく)」

昨日の気持ちは今日になっても無くならなかった。
それどころか…

律「(もう家出しちまうかなちくしょー)」

こんなことまで考えてしまうほどだ。

澪「おはよ、律。なんかグッタリしてるな」

律「…おう」

登校中、澪に会った。
でもそっけない返事を返してしまう。
それくらいあたしはイラついていたんだ。
昨日の両親にも、1日経ってもこんなムカツク気持ちが晴れないあたし自身にも。



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 13:46:34.74 ID:7LbFEaFg0

放課後!


澪「律、どうしたんだよ。お前今日1日ずっと様子おかしいぞ…」

律「へぃへぃ、すいやせーん」

まじ気分も乗らねえ。
それなのに澪は授業と授業の間の休み時間の度にまであたしに話しかけてきた。
普段はここまでしつこいやつじゃないのに。
こういう時こそ空気読んでこないでくれよ…。

律「(…かと言って澪にキレるのもお門違いだしなー)」



152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 13:49:11.52 ID:7LbFEaFg0

ここはおもいっきしドラム叩いて気分発散すればきっと!!

なんて思った矢先…

澪「…部活、今日はやめておいた方がいいんじゃないか?」

律「あー?なんで」

こいつはあたしが機嫌悪いのとか、気づいてるんだろうか。
それでもただ何となく言ってるだけなんだろうか。

でも当然そんなことは言えずに…

律「部活はやるよ。ほらいこうぜ、もう鍵借りてあるし」

澪「……律が良いならいいけど」


別に澪が悪いなんて思ってない。
思ってないけど、無償に腹が立つ。
澪に腹が立ってる自分にも腹が立つ。

あーー!!もーーっ!!!



153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 13:52:39.91 ID:7LbFEaFg0

部室!


律「ふぅ、あいつら来るまでしばらく待つか」

澪「…そうだな」

たまにはティータイムの前に練習するのも悪くないだろ。
……そう思いながらセッティングを始める。
あたしが始めたら、何も言わなくても澪も自然と始めた。

この辺りはさすが幼馴染ってとこかね。
…別にそんなん自慢する気とかねーけどさ。

唯「ふぃー、掃除に時間かかっちゃったよぉーう…」ヘトヘト

紬「あらあら。唯ちゃんが転んでバケツひっくり返しちゃったからよー?」
「自業自得ってとこかしらね♪」

唯「痛いトコをつきますねぇ!ムギちゃんっ」

律「…お。2人ともおーっす」



155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 13:57:14.78 ID:7LbFEaFg0

準備が終わって軽くドラムを叩こうとした時、唯とムギが入ってきた。
2人が掃除当番なのは知ってたけど、さすがにちょっと遅いと思ってたんだよな。

唯「あれれー?もう練習するの?」

律「たまには良いんじゃないかなーって、な」

紬「うふふ。すぐ準備するから待っててね」

さすが2人はノリがいいぜー。

あたし以外の3人が準備している中、暇だったから、ドラムのスティックをくるくる回す。
けど、その時。
スティックはあたしの指から離れて、あらぬ方向に飛んでいった。
んでそれが…

澪「……痛っ…」

澪に当たる。

律「(……あー……)」

唯「もー!りっちゃん危ないよお!」

まぁそんな勢いつけて回してたわけじゃないし、大して痛くなかっただろーし。
別にそこまで怒るようなことでもないよな。

なんて考えてしまったけど、当然澪が怒らないわけもなく…



156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:04:35.55 ID:7LbFEaFg0

澪「……」プルプル

律「なはははー、み、澪すまん」

澪「またお前はそうやってふざけてっ!」ゴチンッ


……あれ。

律「………」

いつもと同じ。
いつもと同じ感じで殴られたハズなのに。

やばい、何でだろう。
すげームカツク。

律「……痛ってぇーな」

思わず発してしまう。
でももうあたしの感情は止まらなかった。

「な、何怒ってるんだよ。こんなのいつものツッコミだろ」
トドメと言わんばかりに澪からこんな声が発せられたらもう…。



158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:09:22.30 ID:7LbFEaFg0

律「はぁ…?」

いつもと同じツッコミだ?
あたしらは漫才のグループでも組んでるのか?

律「いい加減にしろよ。いつもいつもポカポカポカポカ」
「あたしを何だと思ってるんだよ澪は?あぁ?」

澪「そ、そうやって私を騙そうとしても無駄だっ!!」ゴチンッ

唯「わっ…」

紬「澪ちゃんっ!!」

律「…痛っ……」

何でまた殴るんだよこいつ。
もう怒りの衝動が抑えられない。いくら澪でももうダメだ。
あたしはもう何も考えられずに右手を振りかざす。



159 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:13:08.84 ID:7LbFEaFg0

律「お前…いい加減にしろよ」

パチーーンっ!!

澪「あぐっ!!」

唯「りっちゃんーっ!?」

澪はあたしが振りかざした右手に一瞬驚いた顔をした。
でも衝撃を受ける準備をさせる前にあたしの平手が澪の頬をとらえる。

澪「う…ぐっ…」

ついにやっちまった。
澪をぶった右手が震えてる…。
自分でやったくせに情けないぜあたし…。



162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:18:13.20 ID:7LbFEaFg0

紬「ふ、2人ともまぁまぁおさえて…、お茶飲みましょ?」

澪「律、私はいつも軽く叩いてやっていたんだぞ。お前今…」

…軽く?軽くならいいのか?
そんなわけないだろ、だって今あたしはこんなにムカついてんのに。

律「本気ではたいたよ、今までの仕返しも含めてな。あースッキリした」

澪の言葉を聞いて、自然とそんな台詞が出た。
だけどもちろん全然スッキリなんてしてない。
むしろまた自分に腹が立っちまったよ。



166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:24:33.13 ID:7LbFEaFg0

澪「そっか、律…、本気でやったのか…」

あー、こりゃ澪相当怒ってるな。
また殴られるかな。

…そう思いつつ次の言葉を発しようとしたその時。

バコッ!!!

紬「きゃっ…」

唯「澪ちゃん!?グーはダメだよグーはっ!!」

律「ッ…、澪てめ…」

おい。
グーはねえだろグーは。しかも顔面。
こんなんでもあたし女なんだぞ…。



168 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:29:42.55 ID:7LbFEaFg0

澪をぶって、せっかく下がりかかっていた怒りのボルテージがまた上がっていく。

律「(あー、ちくしょ、立てねえ…)」

澪があたしを上から見下ろすような角度で見つめてきていたのがムカついたから
立ち上がってもう一発澪にきついの入れてやろうかと思ってたんだけど、
あたしは唸るのが精一杯で立つことができない。
そんなあたしの様子を見て、唯と紬はこちらに向かって介抱しにきてくれる。

律「別に痛くねーから平気だよ…っ」

強がってこんな台詞を吐いたけどまじ痛ってぇ…。
とか、思ったら血が出てるし…。

澪「…さっき思いっきり痛がってただろ。だから私をぶったんだろ」

…またこいつはあたしの気持ちを言い当てるように態々言ってきやがって……。

律「黙ってろ、澪」

だからあたしがそう言ってやると、
澪はまた驚いたような表情をした後、ゆっくりと俯いた。



169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:33:44.43 ID:7LbFEaFg0

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あたしが澪に顔面グーパンチされてから暫く経ち、ようやく血も止まってくれた。

…にしても素早く丁寧に介抱してくれたムギと違って、
唯はあたしのおでこ撫でてただけだな。

別にいいけどさ。

律「サンキュ、唯、ムギ。もう大丈夫」

あたしの言葉で聞いて、唯とムギからは、ふうっと溜め息と似たようなものがでた。

もちろんその間は無言だ。
澪なんかその場から1mmたりとも動いてない。

あたしは2人に介抱されてる間も、澪になんて言ってやろうか考えていた。
少なくてももう今日は澪の顔は見たくない。
見てるだけでも腹が立つってもんだよ……ったく。



171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:39:37.61 ID:7LbFEaFg0

「あ、あのさ!!練習しようよ練習っ!ねっ!!
 私上手く引けないところがあってぇ…」アセアセッ
「ちょっと澪ちゃんに見てほし…」

律「澪。出て行けよ、もうここに用はないだろ」

あたしはまだちょっと動けそうにないから、澪に出ていってもらおうと言葉を発すると
唯の台詞と見事に被さってしまった。
ま、これから演奏する気になんてなれないだろうし別にいいか。

澪「…律…ッ!!」

凄い目で睨まれた。
ムカっときたのであたしも睨み返してやる。

紬「澪ちゃん待って、少し話をしましょ…?こんなことで私達が…」

唯「そ、そうだよ!りっちゃんも怒ってないよね!ねー??」

2人とも余計なこと言うなよ…。
友達思いなのは良いことだけどさ、
こんな状態で今すぐ仲直りなんてどう考えても無理だろ。



173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:43:47.90 ID:7LbFEaFg0

律「…早く出て行け」

澪「わかったよ…!」

ガチャ…、バタン。

あたしのダメ押しの一言で澪はやっと出ていった。


律「はーあ……。なんでこんなことに」


唯「………」

紬「………」

律「悪りぃな、2人とも、嫌なとこ見せちまって…。あたしちょっと昨日色々あってさ」
 「機嫌悪かったというか…、少しイライラしてたんだよ」



175 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:46:56.31 ID:7LbFEaFg0

唯「………」

紬「………」

律「…おい、何か…」


唯「もう、りっちゃん!!!!なんでよ!!!」プンスコ

紬「りっちゃんっ!!ダメよ!!!」プンスコ


律「……えー、なんであたしが怒られるの?」


意味わかんないぞお前ら。

……まぁこんな空気はあたしには似合わないか。
2人のおかげで気が抜けたわ。



177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:50:50.55 ID:7LbFEaFg0

ガチャ。

再び部室の扉が開く。
一瞬、また澪が入ってきたのかと思って顔を強張らせようとしたけれど
入ってきたのは澪じゃなかった。

梓「こんにちは。あの、今澪先輩が泣いて…」


律「……なんだ」

唯「あずにゃぁーん!!!りっちゃんたら酷いんだよ!!」プンスコ

紬「そうよ!?酷いのよー!?りっちゃんたら!」プンスコ


梓「……何なんですか一体…?」

律「この流れやめろって…」



180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 14:56:19.20 ID:7LbFEaFg0

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梓「は、はぁ…、そんなことが…」

唯「これってどっちが悪いのかなあ?」

紬「うーん…」

どっちが悪いってそりゃ澪の方だろ。
元はといえば、イライラしてるあたしにあいつが殴ったから…


梓「どっちが悪いとかないんじゃないですか?」

律「な、なんでだ。あたしは顔面グーパンチ食らったんだぞっ」

梓「それは律先輩がぶった上に、澪先輩を挑発したからじゃないですか」



184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:01:33.24 ID:7LbFEaFg0

律「……う…」

こ、こいつ…。
年下のくせになんて冷静な意見を出すんだ…

梓「こういうのは片方が許した時点で、片方が謝れば解決だと思うんですけど」

唯「おぉぉぅ!?あずにゃんあったまいー!」

紬「あったまいぃー♪」


律「……おい、まさかお前ら」

あたしに3人の視線が集まってくる…。
おいおい冗談じゃねー……。



185 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:07:44.02 ID:7LbFEaFg0

律「…おい、あたしは謝る気なんか今のトコこれっぽっちもないぞっ!!」
「あ、あたしは被害者だぞぉっ!!?」

梓「…では、放課後ティータイムは解散ですね」

律「……えっ?」


梓「澪先輩抜きで放課後ティータイムを続けるなんて、私は嫌ですけど?」

律「いや、ちょっと待てよっ、そんなつもりは…」

唯「もちろん私もだよ??りっちゃん」

紬「うふふ。右に同じく」

どんどん話が膨らんでいってる。
放課後ティータイムが解散…?
おいおいそんなバカなことがあるか。



188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:13:43.15 ID:7LbFEaFg0

…気づいたら、いつの間にか
さっきまでのイライラしてる気持ちは大分落ち着いていた。

そんなことよりも不安な気持ちの方が大きくなっていたからかね。

唯「りっちゃん。りっちゃんは澪ちゃんと幼馴染だし」
 「私たちなんかよりも澪ちゃんのことを
  ずっとずっと良くしってると思ってたけどなぁ?」

そ、そりゃそうだよ。
あいつとあたしは……。
…あぁ、そうだ。あたしは澪のことを誰よりもよくわかってるつもりだ…。

梓「…律先輩」


……そうだな。澪の性格を考えたら…。
だったらあたしから謝らないと…。でも…。



194 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:18:40.73 ID:7LbFEaFg0

律「ちょ、ちょっと1日考えさせてくれ…。
  明日朝、ちょっと早めにみんな部室集合で…。いいか?」

紬「うふふ、OKよりっちゃん」

梓「わかりました」

唯「はーいっ!……って、あれ」

あたしが全員の返事を待っていると、
唯が何かに気づいて、返事とは別の声をあげる。
みんなが釣られて唯の視線の方へ向く。


梓「…あ、澪先輩。ベース忘れて言ってますね」

本当だ。
やっぱりあいつ相当動揺してたんだな。
…全く、世話の焼けるやつ。



196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:26:35.14 ID:7LbFEaFg0

次の日!
部室!

唯「………ドッキリ?」

梓「何でまたそんな意味不明なことを…」

律「いやだってちょっと悔しいし…」

昨日考えたのはこうだ。

あたしから澪に謝るのは良い。
でもそれだとあたしとしてはかなり悔しい。
そんで、澪にもちょっとは反省してほしいって気持ちもある。

だから澪には、今日1日だけりっちゃん特性ドッキリに合っていただく、という訳だ!

紬「ちょっと面白いかもしれないわねー?」


梓「…で、私達はどうしたらいいんですか?」

律「いや、肝心のソレが思い浮かばなくてだね」デヘヘ

唯「…りっちゃん、それはないと思うなぁ…」



197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:29:50.53 ID:7LbFEaFg0

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結局あたしは思いつかなかったので、
ムギの考えた『返事は全て嫌だ!ドッキリ』となるものに決定した。
文字見りゃどんなドッキリか誰でもわかると思うけど…

紬「澪ちゃんに話しかけられたら、みーんなぜーんぶ、嫌だ!!で答えるの!」


唯「嫌だ!!」

律「え、いや唯。お前さっきこれで良いって言ったじゃないかよー…?」

唯「嫌だ!!」

紬「嫌だー♪」

梓「嫌です」

律「…おい、ドッキリの相手はあたしじゃない」

唯「嫌だ!!」

紬「嫌だー♪」

梓「嫌です」

律「(しつけぇー…)」



199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:37:15.97 ID:7LbFEaFg0

教室!

キーンコーンカーン(チャイム

ここで予想外の出来事が発生してしまった。
予鈴のチャイムがなったのに澪が教室に入ってくる気配はない。

律「…おい、肝心の澪がこないんだが」

紬「澪ちゃんが来ないんじゃドッキリが成立しないわね…」


唯「え、えぇぇええ!?なんてこったぁあ…」ガクシ

律「何で唯がガッカリするんだよ。楽しみにでもしてたのかよ」

唯「ばれてしまいましたかぁ」デヘヘ

何故かテンションの高い唯に、あたしは自然と笑みと溜め息が零れる。
ま、楽しむなら楽しむでいいけどな。唯だし。



202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:43:42.65 ID:7LbFEaFg0

さわ子「はいはーい、席についてー」

唯「あ。さわちゃん先生きちゃった。りっちゃん、私澪ちゃんにメールしてみるよ」

律「…頼むわ、唯」

紬「それじゃまた後でね、りっちゃん」

律「おー」

-------------------------------

唯「(見つからないようにそーっとそっと…)」ピコピコピッピッ
「(澪ちゃん?今日お休みなの?…っと…。よし、送信っ!)」ピッ

律「(唯、マナーモードになってないからバレバレだよ…)」


唯「(あぁぁあっ!本文に書いてなかった!!!)」ガガーン!


さわ子「…唯ちゃん、携帯はしまってね。あとマナーモードね」



205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:51:32.66 ID:7LbFEaFg0

休み時間!

紬「風邪で欠席…、とさわ子先生は言っていたけど…」

律「……あいつ…」

十中八九ズル休みじゃねーか…。
変な気起こさなければいいけど。

唯「澪ちゃんからメールの返事ないねぇ…、電話もかけてみてるんだけどぉ」

律「そうか…」

紬「りっちゃんからもしてみたら?電話とメール」

律「え、あたしが…?」

いやいやそれはさすがにしにくい。
昨日の今日でメールなんてしにくすぎるにも程があるぞムギ。
でも、確かに心配なんだよなぁ…。
次の授業が終わったら昼休みか…。
さすがにまだ寝てるってことはないと思うけど。



207 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:54:06.09 ID:7LbFEaFg0

その時、ピンッ!と頭に1つの案が浮かぶ。

律「ムギ、携帯貸してくれ。それでメールするわ」

紬「?え、私ので?」

律「おう。澪を学校に来させるとっておきの文章を考えたんだ!!」

紬「?だからそれを、なんで私の携帯で送るのかしら、りっちゃん」ニコニコ

突っ込んでくるなぁムギは…!
言わなくてもわかってるくせによぉ…。

律「は、恥ずかしいからだよ…!さ、早く早く!」

紬「もう、仕方ないわね」うふふ

律「サンキュ、恩に着るっ!!」



208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 15:56:58.28 ID:7LbFEaFg0

ムギから携帯を受け取り、あたしは自分の席に戻る。
文章を作るのに予想以上に手間どってしまい、
結局送信できたのは授業が始まってからになってしまった。

律「(よしよし…)」

今からでも良いから早くきて!!
りっちゃんが澪ちゃんを軽音部から退部させるって!!
凄く怒っちゃってて私じゃ止められないの!!

律「(上手くムギっぽく書けたし、
  これを送れば澪は間違いなく学校に来るハズだぜ…)」ニヘヘ

紬「(りっちゃん笑ってる…。変なメール送ってなければいいけど…)」


唯「スピー、スピー」zZZ



249 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:57:00.84 ID:7LbFEaFg0

お昼休み!

な、何故…。
何故返事がこねーんだ…。
そして来る気配もねぇ…。
仕方なくムギに携帯を返却すると、ムギは心配そうな顔をして送信ボックスを見始めた。

紬「りっちゃん……これ……これ…」プルプル

律「お、ムギ。すげー良い出来だろ?」
 「どっからどう見てもムギが書いたようにしか思えないよな!」アハハッ

紬「………」プルプルプル

律「?ムギ??」


紬「バカぁー!バカバカぁー!」ポカポカポカ

律「痛っ!痛い痛い!やめ!ポカポカやめ!」


唯「どうみてもムギちゃんだから、ムギちゃんが可哀想なんだよりっちゃん…」

律「あ、なるほど」

紬「りっちゃんのバカァー!」ポカポカポカ



250 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:59:00.31 ID:7LbFEaFg0

紬「もうばらすっ!澪ちゃんに電話かけるんだから!」

律「…多分出ないけどな。実際そのメールの返事も返ってこねーし」

紬「………」クスン

唯「それにしてもどうしたんだろうね澪ちゃん。本当に風邪なのかなぁ??」


律「そんなことないと思うんだけどなぁ…」

あー…。
まぁ確かに本当に風邪ならメールとか電話の返事が返ってこないのも納得できるか。
でも澪なら着信見た時点で返事返してくれると思うんだよなぁ。
唯が朝にメールをして、あたしもさっきメールして…
その間一回も目を覚ましてないってことか?
有り得ないことではないけどさー。



251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 20:59:56.92 ID:7LbFEaFg0

和「珍しくどんよりしちゃって。どうしたの?」

律「ん。和。別にどんよりなんかしてねーぞ」

紬「どんよりしてるのは私だけよね、りっちゃん」

律「あ…、いやどうかな」

唯「和ちゃんー、澪ちゃんにメールと電話したんだけど、
  返事が全然返ってこないんだよぉ」シュン

和「あら、そうなの…。って先生が朝に風邪って言ってなかった?」

律「いや、多分ズル休み」

和「…はぁ?どうして澪がズル休みなんてするのよ」

律「説明するのに1時間はかかるから、まずは澪に電話してみてくれよー」


和「?よくわからないけどわかったわ…」



252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:02:41.97 ID:7LbFEaFg0

------------------

和「出ないわね。……まぁ風邪らしいし寝てるんじゃない?」


律「あー、うんそうだな。風邪だ」

唯「りっちゃん和ちゃんかわいそうだよぉ…」

悪ィ、和…。
説明してたら昼休みが終わっちまうんだわ。

律「いやさ、和からの電話なら出てくれるんじゃないかなーって思ったんだけど」

和「どうして風邪で寝てるのに私の電話なら出るのかわからないわよ…」

律「ゴメン!事情は今度話すからさっ!」

和「な、何よ電話までさせておいて…。もう…」

唯「和ちゃん、ごめんねぇ…」



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:04:07.38 ID:7LbFEaFg0

ちくしょー、澪め。
ここまであたしらを無視するとは良い度胸じゃないか。

律「(よし…!こうなったら絶対返信したくなるようなメールを考えてやるか!)」


和「もう私生徒会から帰ってこないから」

唯「わわぁ。帰ってきてー、帰ってきてー和ちゃーん」

紬「帰ってきてー」


唯もダメで、ムギ(の携帯)もダメで…
和の電話も出なかった…

となれば、後はあいつしかいない…か。



254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:05:20.54 ID:7LbFEaFg0

2年2組

さて。きたぞ。
梓はどこにいるのかなっと…、あ、いたいた。

律「どうも中野さん。りっちゃん先輩です」

梓「何ですか気色悪い…」

紬「どうもー」

唯「あずにゃん会いにきたよー!!」ダキっ

梓「にゃ、にゃぁっ!!?///」
「ダ、ダメです唯先輩!!ここ教室ですよ!?周り周り!周り見てっ!」

唯「照れなさんなってぇ」モフモフ



255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:06:39.98 ID:7LbFEaFg0

憂「あ、お姉ちゃんだー」

唯「ういー、会いたかったよぅう。10年ぶりの再会だようぅう!」

憂「え?えと今朝会ったよね…?」


梓「私に抱きつきながら変なこと言わないでください!」


律「憂ちゃん、ちょっと梓借りてくな」」

紬「借りていくわねー」

憂「?あ、はい。どうぞ」

梓「!?」



256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:08:00.65 ID:7LbFEaFg0

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梓「嫌です!!」

律「そこを何とか!」

梓「絶対に嫌です!!」
 「律先輩に携帯を渡したら、
  澪先輩にどんなメールを送られるかわかったものじゃないです!」

唯「りっちゃん信用されてないんだね」アハハッ

紬「私もちょっと信用できなくなってきたのー」ウフフ

律「頼むよ梓ちゃん、いえ、梓さまっ!決して変なメールは送りませんっ!」



257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:09:06.18 ID:7LbFEaFg0

梓「大体なんで自分の携帯でメールしないんですか!」
 「澪先輩が一番来て嬉しいのは律先輩だと思いますけど!?」

律「そこは今は重要じゃないんだ」

唯「重要じゃないのだよあずにゃん」

梓「(重要でしょうどう考えても…。)」



梓「わかりましたよ…。じゃあすぐ返し…」パッ

律「んじゃ借りてくな~」携帯ヒラヒラ

梓「うわああっ!律先輩ぃーっ!」

唯「ばいばーいあずにゃーんっ」



258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:11:45.92 ID:7LbFEaFg0

授業中!

…さて、梓の携帯を見事にゲットできたわけだが。

律「(あー。なんて送るかな…)」

こんにちは、あずにゃんです
今日純の家の猫が死にました。澪先輩のせいです
責任とってください

律「(イマイチ…かな)」

部室が爆発しそうです
でも今ならまだ間に合います
早く学校にきてください

律「(なんか。惜しい…)」

今すぐ学校に来てください
本当に風邪引いたわけじゃありませんよね
絶対返事下さい

律「(うん。やっぱり普通が一番だなー)」
 「(本当に風邪で寝てる可能性も考えて、もう暫く時間経ってから送るか)」



259 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:13:59.18 ID:7LbFEaFg0

放課後!
部室!

梓「りぃつ先輩ぃいいいいいいいいいいいッ!!」ドタドタドタッ

律「…おー、梓。早かったな、ほれ携帯」ヒョィ

梓「あ、どうも(あっさりだ)」

律「……はぁ…」ドンヨリ


梓「…唯先輩。律先輩どうしたんですか?これ」

唯「うんー…。澪ちゃんから返事まだこないんだって」

梓「え…まだきてなかったんですか。そういえば学校にも結局…」

唯「うん。さすがにちょっとヘンだね」

律「(な、何故だ…。さすがに気づいてないわけないだろこれ)」


紬「とりあえず、お茶にしましょうか」



261 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:18:03.75 ID:7LbFEaFg0

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紬「澪ちゃんの分、どうしようかしら…」

ムギが黙々とティータイムの準備を進める中、あたしは真剣に考えていた。
今日のお菓子はなんだとか、そういうんじゃない。勿論澪のことだ。
あいつのベースをボーッと眺めながら、今日の事を振り返ってみる。

律「(もし…もしもだ)」

仮に本当に風邪だったとして、もしも今、澪が目を覚ましたとしたらどうする…

律「(あたしらからの沢山の着信…。そして澪に対して残酷な内容メール…)」

そのメールを、昨日みたいに動揺しちまってる澪が見たらどう思うか。

律「(やっべえ…コレ、ドッキリより半端なく大変なことやらかしちゃったかもしれね)」

唯「ケーキおいひぃよぉー、ムギちゃん!!」

紬「うふふ。ありがとう」



263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 21:20:20.36 ID:7LbFEaFg0

梓「……律先輩?」

律「悪い、ちょっと電話してくる」

もう恥ずかしいとか言ってる場合じゃないな。
携帯にかけても出てくれないだろうし、澪の家に電話してみよう。


---------------------

ツーッ ツーッ


律「……話し中か。しゃーないな…」

ま、もしかしたらメールを見て学校に向かってきてるかもしれないし…
少し部室で待ってみるか。

澪、早く来いよ。みんな待ってるし、お茶もお菓子もあるぜ。
それにお前が来ないと練習もできないんだよ。



270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:03:36.35 ID:7LbFEaFg0

唯「これももらっちゃっていいかなぁっ?」

梓「ダ、ダメですよ!!それ澪先輩の…!!」

紬「あらあら」

訂正、お菓子はなくなりそう。


律「…最後に唯の携帯使ってそれっぽいメール送るかな!」

唯「……なんで電話はできるのにメールはできないんだい!りっちゃん」モグモグ

律「あたしの名前を使うからな」

唯「?…りっちゃんの??」



271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:08:52.01 ID:7LbFEaFg0

ゆうがた!


唯「遅いねえ…澪ちゃん」

唯「……そうだな」紅茶ズズー


梓「…もうすぐ下校時間ですよ」

紬「せっかく準備して、すぐ練習できるようにしておいたのに。残念ね…」


律「澪のことだから、
  あたしらがいない間にベースを取りにくるってこともあると思うんだ」
 「だから、まだ可能性がないわけじゃねーさ」

梓「……なんでそんなことわかるんですか」

律「あたしが澪と何年一緒にいると思ってるんだっての!」


唯「幼馴染の勘だね!?りっちゃんっ」

紬「りっちゃんが言うから本当に来ちゃいそうね」うふふ

律「おうっ!………でも来なくてもあたしを攻めないでなっ」



272 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:09:39.21 ID:7LbFEaFg0

しばらく後!

ガチャッ

さわ子「やっぱりいたのね…。
    あなた達、とっとと帰りなさい。もう下校時間過ぎてるわよ」

律「げ。さわちゃん…」

梓「……もう19時ですしね。届出も出してませんし」

紬「……りっちゃん」

律「…えー……もうちょっと…」

さわ子「ほらほら急いで!校門閉まるわよっ!」

唯「澪ちゃん……」


律「…しゃーねぇ、出るか」

さわちゃんに急かされ、渋々ながら楽器を片付ける。
澪のベースに少しだけついてしまっていた埃を落とすと、
あたし達はそのまま鍵をさわちゃんに返して
学校を出た。



274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:11:08.52 ID:7LbFEaFg0

校門前!


梓「では、実は私親に頼まれた買い物がありますのでこれd…」ガシッ


律「まぁまぁもうちょっと話していこうじゃないかー!」

梓「な、なんでですか!何で校門前なんかで!」

唯「ここで澪ちゃんを待つんだね!りっちゃん!」

紬「ちょっと不良っぽくて良いわねー」

梓「そんなコンビニ前にたむろってる人達じゃあるまいし…っ」

外はちょっと寒い。
でもみんなで話してるとなんか暖かい。



275 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:12:17.70 ID:7LbFEaFg0

当然だけど、澪が学校に向かっているだなんて核心はもててない。
それはみんな一緒だ。
でもこうして話してると楽しいよ。……もし澪がまだ家で寝ててさ、
明日の朝になるまで学校に来なくても、何かそれはそれで良い気がしてきたよ。
そしたらお前は笑うんだろうな『朝まで何やってんだバカ律』ってあたしを殴りつつ。


梓「まったく…、元はと言えば律先輩が
  ドッキリしようなんて酷いこと考えるからいけないんです!」
 「ドッキリなんかじゃなくて普通にメールを送っていたら…!」

唯「あはは、でも『返事は全て嫌だ!ドッキリ』はやってみたかったな~」

紬「唯ちゃんったら。うふふ」

律「そのドッキリはもうあたしでやってたじゃないかよー…」



276 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:13:37.87 ID:7LbFEaFg0

---------------------

唯「あずにゃん私お腹空いちゃったよー。アイス買って帰ろうよ~」

梓「帰ったら憂がご飯作って待ってるでしょうに……もう」

律「唯、お前さっき澪の分まで食べてたくせによー」

唯「甘いものは別腹って言うじゃないのさ!りっちゃん!!」

律「えー…?」

紬「今日は宿題もなかったし、もうちょっと遅くなっても良いんじゃないかしら」


律「そうだな。澪がきたら、みんなでアイス買って帰るか」

唯「さんせ~いっ!」



277 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:14:20.51 ID:7LbFEaFg0

律「……ン」

みんなで談笑しつつ、校門で過ごして数十分。

ようやくご登場かよ…。
お前の気配にあたしが気づかないとでも思ったか、澪。


唯「…りっちゃん?どうかしたの?」

梓「やっと帰る気になりました…?」


律「………澪…」



279 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:15:51.91 ID:7LbFEaFg0

紬「えっ!本当にっ!?どこ!?どこかしら!?」キョロキョロ

唯「あ、あれかな?…でももう見えなくなっちゃうよ!?」

やっと来てくれたのかと思ったのも束の間、澪は校門とは逆方向へ歩いていた。
……やっぱりあたしらとは会いづらいみたいだな。

ま、それならこっちから捕まえてやるさ。

律「…追いかけよう」


唯「了解ですっ!!!」フンス

紬「了解ですっ!!!」

梓「わかりましたよ、もー!」

あたし達は早足で澪を追いかける。



281 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:17:31.57 ID:7LbFEaFg0

-------------------

律「…で、なんでこんな人ごみ激しいトコに来てんだよ」

紬「……見事に見失っちゃったわね…」

唯「どうする?りっちゃん」


律「どうするって言ってもな。じゃあ手分けして探…」

梓「……それは反対です。というかちょっと怖いですこの辺り」

紬「確かに、あまり良くない噂ばかり聞くわね…」


律「しょうがない。なら一緒に行くか。回りを見つつ、ゆっくり進もうぜ」

唯「あいよぅりっちゃんっ!!」


あたし達は見逃さないように、人間だけではなく、道の隅から隅までを見ながら歩く。

でも20分程探し回っても、澪を見つけることはできなかった。



283 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 22:18:27.78 ID:7LbFEaFg0

梓「いませんね…。さっきの見間違えとかじゃないですよね」

律「そんなはず…」

そんなはずはない。
あれは確かに澪だ。
黒髪でロングヘアでうちの制服を着ていたってこともあるけれど
それだけじゃない。
澪にしかない雰囲気ってやつを持っていた気がするんだ。

唯「…りっちゃん、こっちにも道があるよ」

律「ん。おう、行ってみよう」



298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:28:03.16 ID:7LbFEaFg0

そこは今までの道とは違う。
人通りが激しいこの場所で、何故か誰もそこを通ろうとする人はいない。
そんな道だ。
正直澪がこんなところに一人で来ることは考えにくいとは思う。
でも唯が見つけたからか、何故か気になってしまった。

梓「く、暗いですね…」

紬「本当ね…。さっきまでの賑やかな場所が嘘みたい」



……そして見つける。


律「……ッ!!!」


男に詰め寄られ、腕を縛られ、服を汚され、
身動きができなくなってしまっている女の子の姿。
あれは紛れもなく……!

唯「あっ!!りっちゃん待ってっ!!」

あたしは走った。
せっかく見つけたんだ。
捕まえるまでもう止まれない。



300 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:29:33.32 ID:7LbFEaFg0

走りながら何か武器はないかと鞄を弄る。お目当てのものがすぐに指に当たる。
……これだっ!!

律「(へへ、これなら扱いなれてるッ!!)」


握ったのはドラムスティック。
そして…

律「何してんだよ、オッサン」


「…あ?なんだおm…」」


律「おらァッ!!!!!」

力まかせにぶん殴った。


バゴッ!!!!!


鈍い音が聞こえる。
そして響く。



302 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:32:28.93 ID:7LbFEaFg0

ドガッ!!バキィッ!

「あゲッ!!!!!」


律「はぁ…っ!はぁ…っ!」


「……………」ピクピクッ

おいおい、もうのびたのか?
まだたった3発しか殴ってないぞ…!
澪にこんなことしてこの程度で済むと思ってんのか…!?
昨日ドラム叩けなかった分、思いっきりやらせてもらったけどさ!


ま、でもこれだけは言わせてもらう。


律「…私の親友に手を出そーなんて1億年はえーんだよ!!!」デデーン


ハハーン!どうだ!仁王立ちで言い切ってやったぜっ!



305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:34:59.10 ID:7LbFEaFg0

あたしは軽くふうっと深呼吸をした後、澪の方を見る。
澪は震えながらもあたしを見つめ返してくれていた。
その様子は、とてもじゃないけどいつもの澪とは程遠い。

澪「…り…つ……?」

律「…あぁ、迎えにきたぜ、澪」

あたしは近づき、澪をそっと抱きしめた。
もう力が残ってないのか、さすがに抱き返してくれるなんてことはなかったけど
澪が今まであたしにもあまり見せてくれたことがないような顔をしてくれるもんだから
あたしはちょっとだけ嬉しかった。

律「すげー震えてる。澪、辛かったよな…。ごめんな。本当にごめんな」

澪「……りつ…私…私…」

律「…もう喋らなくていいよ」



308 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:37:56.93 ID:7LbFEaFg0

もうちょっとだけこのままでいても良いかな、何てことも考えたけど
後ろで叫びながら近づいてくる仲間がいたので、少しだけ離れる。


唯「りっちゃぁーん!!」

梓「律先輩…!澪先輩っ!!」

紬「大丈夫ー?2人ともー…!」


澪はもう眼を閉じていてしまったけれど…
その可愛らしい表情は間違いなくさっきまでよりも安心してくれている。
いきなり男に襲われてる所を見つけた時はさすがのあたしも驚いたけど
澪が無事で良かった良かった。

とりあえず、帰ろっか。澪。
あたしも今日は疲れたや。



313 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:44:47.29 ID:7LbFEaFg0

------------------------------

澪のへや!


律「……」

澪「……すぅ、すぅ」

澪を自宅まで送って、この日はあたしも帰って休もうかと思ってたんだけど
おばさんに澪についていてあげて、と、頼まれてしまった。

まぁ、少しだけならいいかな、と。
あたしは澪と一緒に部屋にいる。
澪はベッドで。
あたしはイスで。

律「……」

澪「すぅ、すぅ…」

今は静かに寝息を立てている澪だけど、既に何度か涙を流している。
涙を流す時は、決まってうなされる時だ。

よっぽど今日の事が怖かったんだろうなあ。



317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:47:00.29 ID:7LbFEaFg0

澪「…ん……」

律「…お。やっと起きたか」

澪「…り…つ?」

律「おう。おはよ。あたしだ」


あたしがこの部屋に来てからどのくらい経っただろうか。
ようやく澪の瞳が開く。


澪「……ここ、どこ…?」

律「どこって…。澪の部屋だけど。何かまずかったか?」

…つーかなんだよ、寝ぼけてるのか。


澪「私の…へや……?どうして?」

律「どうしてって…おい…」



319 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:50:19.71 ID:7LbFEaFg0

なんだ、この…丸一日寝てたみたいな反応。
一瞬、澪の精神的な部分に良からぬ悪影響を与えてしまったのかと思っちゃったよ。

ま、次の澪の言葉でそんな不安は消し飛んだけど。


澪「りつ…。り、律?律なんだ。律なんだな…?」

律「…そうだよ」


澪「律…!律…!!」
「うわぁああああん!!律ぅうううううううううっ!!」ガバッ

律「…ぉおっ!?」

やっと感覚が戻ったのか知らないけど、急にあたしに抱きついてくる澪。
しかもマジ泣きしてやがる…。
おいおい、もう怖いのは去ったんだぞ。
あの男はムギがどこかに運んでいってくれたんだ。



320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:52:27.81 ID:7LbFEaFg0

澪「…怖かったんだ…!!私、すごく…!!でも律が助けてくれて…!!」

律「……澪を助けたのはあたしだけじゃないぜ。みんなが澪を助けたんだよ」
 「確かに良いトコ見せちゃったのはあたしかもしんないけどさ」

澪「…みんな…?」

律「…どうしてみんなで校門で待ってたのに逃げちゃったんだよ」


澪「だって…、だって…。みんな私がいなくても笑顔で…。律だって笑ってた」
 「それにメールで……」


律「(…あ。)」

…やっぱり気にしてたのか、澪は。
いやー、ムギと梓と唯には悪いことしちゃったな、ははっ。



321 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:54:21.26 ID:7LbFEaFg0

澪「…それだけじゃない、昨日。私は律に酷い事をしちゃったし」
 「だから学校でまた律と会うのが怖くて」

律「昨日は…あたしも悪かったよ。澪をぶっちゃったりしたし…」


澪「いいんだ。私が律の事を考えずに、ポカポカ殴ったりしてきたから…」

律「いいっていいって。つーかそんな風にしょぼくれてんの。澪らしくないぜ」
 「もっと元気出せよ。元気」


澪「律…」

律「昨日の後、みんなに脅迫されたんだぜ?」
 「『じゃあ放課後ティータイムは解散ですね』
   なんて梓に言われた時にはまじで焦ったよ」
 「あたしと澪の友情がこんな簡単に崩れるわけねーってのにさ」



322 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:56:15.34 ID:7LbFEaFg0

澪「……放課後ティータイム、私はクビなんじゃ」

律「そんなわけないだろ。あたしらは軽音部のあの5人で放課後ティータイムなの」

澪「う。…そ、そっか…。そうだよな…」

律「おう。…だからさ」

澪「…うん?」

律「またいつも通りあたしがヘマした時にはツッコミ入れてくれよ」
「この役は澪以外には勤まんねーからさ」


澪「……うん。わかった」

律「よしっ!」


澪「……ごめんね。律」



おわり



326 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/10/01(金) 23:58:26.60 ID:7LbFEaFg0

おまけ


澪「……何……ドッキリ…?あのメールは全部律が……?」


紬「そうなのよ澪ちゃんっ!りっちゃんが私達の携帯取り上げて!」

律「ちょ、ムギ!!!」


澪「…律……、私、せっかく律のこと……」


律「ちょ!!ま、待てよ!!!唯!梓っ!お前らからもなんか言ってくれよっ!」


唯「嫌だー!」

梓「嫌です」


律「今そのドッキリはシャレになってな……って痛ィ!!」ゴツンッ!


澪「謝って損した!!!!」






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律「…痛ってぇーな」 澪「ご、ごめん律」
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